帝国ホテル関連社史及び文献案内(刊行年順)

帝国ホテル関連社史及び文献案内(刊行年順)
このリストは渋沢史料館企画展「実業家たちのおもてなし:渋沢栄一と帝国ホテル」の関連情報として実業史研究情報センター
が作成したものです。
http://www.shibusawa.or.jp/museum/special/pdf/2014-01_bunken.pdf
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◆ 帝国ホテルまたは帝国ホテル経営者による編纂/刊行
書誌事項※
解
題
『ホテル経営』
犬丸徹三, 大塚常吉編
帝国ホテル,1924.12
(7, 14, 244p ; 23cm)
ホテル業界ではホテルマン養成学校設立の機運があったが未着手だったので、帝国ホ
テルは1923年(大12)夏季に第1回講習会を開催した。翌年にも7月1日から8月15日まで
第2回講習会を従業員向けに開催し、支配人以下現場の責任者が交代でホテル経営の要
諦を講話した。
その第2回講習会の内容を編集し印刷したのが本書で、総論、各論、組織経営論の3編
からなる。ホテルマンの具体的な心得を説く一方でホテル全体の経営管理法にも目を配
り、有為な人材育成のための教材となっている。
[第1回講習会はホテル学校として東京市内のホテルの若い従業員を対象に開催され好
評を博した(『帝国ホテル百年史』p230)]
『ホテルと共に七十年』
犬丸徹三著
展望社, 1964.04
(530, 14p, 図版8枚 ; 22cm)
石川県出身の犬丸徹三(いぬまる・てつぞう、1887-1981)は東京高等商業学校卒業
後、満洲・上海・欧州・米国でホテル業務に従事。1890年(明23)開業の帝国ホテルに
1918年(大7)招聘され帰国し、翌年副支配人に就任。ライト設計の新館建築中の1923
年(大12)支配人となる。昭和期の発展を築き戦火を乗り越え終戦後1945年(昭20)末
に社長に就任。戦後のホテル事業復活と共に観光業界発展にも尽力する。
本書は70年余りの人生の大半をホテル業界に身を置き、帝国ホテルの業績向上に深く
貢献した著者の自伝。「半生の記」と題し38回に渡り日本ホテル協会機関誌『ホテル・
レビュー』に連載した記事を元に編集。真摯な語り口で帝国ホテルと日本のホテル業界
の足跡を描き出している。
『帝国ホテル物語 : ホテルが
綴る近代史 : 開業九十周年記
念』
帝国ホテル [編]
帝国ホテル, [1980.11]
(32p ; 30cm)
1890年(明23)に開業した帝国ホテルの90周年記念誌。創業時から首都東京に相応し
い役割を追求してきた帝国ホテルは、時代の要請に対応するオフィス機能を備えたイン
ペリアルタワー建築中に90周年を迎える。社史は少ないページ数ながら建物や関わった
人々の写真を数多く取り入れた編集で、スタッフや顧客のエピソードもはさみ、帝国ホ
テルの沿革と特徴をわかりやすくまとめている。
『帝国ホテル百年史』
帝国ホテル編
帝国ホテル, 1990.11
(1012p, 図版14枚 ; 27cm)
幕末の開国以後、外国の賓客接待のための近代ホテルの必要性が高まる。財界実力者
渋沢栄一、大倉喜八郎らを発起人に1887年(明20)有限責任東京ホテル会社設立。しか
し近くに同名のホテルがあり1890年(明23)有限責任帝国ホテル会社と改称し、同年帝
国ホテル開業。1893年(明26)株式会社に改組。1923年(大12)にはライト設計の全館
が完成、同年の関東大震災の被害も軽微で、戦前戦後を通じて多くの来日外国人が宿
泊。戦後は進駐軍に接収されるが、解除後は観光ビジネスの拡大と共に事業を拡充。
1970年(昭45)に現本館が完成し、卓越したサービスの提供を目指して発展する。
本格的社史として初めて編纂された100年史は沿革編と資料編からなる。沿革編は帝
国ホテルの創業からの経営施策の足跡に加え、関連の深い観光行政や帝国ホテルが欧米
から移入した生活文化等についても触れる。人名・事項索引付。同時に普及版と英語版
の社史も刊行。
『帝国ホテル百年の歩み』
帝国ホテル編
帝国ホテル, 1990.11
(266p ; 26cm)
『帝国ホテル百年史』の普及版。1890年(明23)の開業からの経営の歩みを第1部に
置き、第2部以降は帝国ホテルが時代の先駆けとなり、新しい生活文化の伝播あるいは
創造に大きな影響を与えた足跡を、「文化」「建築」「料理」の角度からまとめてい
る。読みやすい文体で写真や図版を豊富に取り入れ具体的に提示した編集。
『The Imperial : the first
100 years』
Imperial Hotel[編]
Imperial Hotel, 1990
(315p ; 28cm)
『帝国ホテル百年史』の英語版。序章"Hospitality : a medley of traditions"で
は、西欧の伝統を受け継ぎながら日本の迎賓館としての歴史を築いた帝国ホテルの「も
てなしの心」に触れる。第1章"The grand design"では、1890年(明23)の開業前後か
らホテルの基礎を作り上げた時期を扱う。第2章"The vibrant image"は、ライト館時代
の輝かしい発展と戦争前後の時期を述べる。第3章"Practical accommodations"では、
新しい時代に即した本館を建築し更に向上を目指すホテルの姿を描く。巻頭に年表を置
き本文中に多くの写真をとりいれた編集。
『Imperial. 33 : 110th
anniversary in 2000』
帝国ホテル [編]
帝国ホテル, 2000.11
(47p ; 28cm)
帝国ホテルの110周年を記念した、広報誌『Imperial』33号。特集タイトルは「帝国
ホテル110年語録」。1890年(明23)開業からの110年を7つの時代に区切り、それぞれ
の時代に顧客あるいはスタッフとして関わった人々や報道記事から77の言葉を採録した
もの。各人の肖像や時代ごとのホテルの写真をふんだんに取り入れている。
[『Imperial』は1994年創刊の季刊誌で、1972~1993年に刊行された『インペリア
ル』の後継誌]
詳細
書誌事項※
解
題
詳細
『Imperial hotel : a legend
in pictures = 帝国ホテル :
写真で見る歩み』
帝国ホテル編
帝国ホテル, 2003.03
(91p ; 24×24cm)
1890年(明23)の開業から100年以上にわたる帝国ホテルの歩みを写真で綴った社
史。日本の西欧化の足跡を示すホテル建物や各種設備、行事とそこに集った人々、レス
トランのメニューなど各時代の写真を解説付きで配している。本文は英語と日本語併記
で、巻末の"The Imperial : a brief history in words"「3つの物語 : 帝国ホテルの
軌跡」に沿革をまとめている。
[巻頭にライトがデザインした帝国ホテル用食器の写真]
『Imperial. 120 years of
Imperial history : 120th
anniversary edition =帝国ホ
テル120年史 : 開業120周年記
念特別号』
帝国ホテル, 2010.04
(35p ; 29cm)
帝国ホテルの120周年を記念した、広報誌『Imperial』の特別号。1890年(明23)の開
業から120年間の足跡をトピックごとの写真で綴る。沿革は「3つの「物語」」に簡潔に
まとめている。日本語と英語併記。
["Imperial Hotel : a legend in pictures"(2003)を簡略化した内容で、巻頭にライ
トがデザインした帝国ホテル用食器の写真]
『帝国ホテルの120年』
帝国ホテル編
帝国ホテル, 2010.12
(299p, 図版5枚 ; 28cm)
1890年(明23)開業の帝国ホテル120年史。最高のもてなしを提供する志で出発し、
120年間同じ場所で営業を続け日本の近現代史の様々なイベントの舞台となり、また文
化発信の場として歩んできた足跡を記載。既刊の100年史以降の20年間に重点を置きつ
つ、創業からの歩みを本編17章にまとめている。新たに発見された初代料理長関係資料
始め、多くの写真を取り入れた編集。脚注と巻末資料編掲載の補注に、人物を含む関連
事項を詳細に記している。
◆その他
『帝国ホテル物語』
武内孝夫著
現代書館, 1997.05
(278p ; 20cm)
『帝国ホテル百年史』(1990)の執筆者の一人である著者が、帝国ホテルの歴史を別
の視点から描いたもの。明治以来の日本の近代化の歩みの中で、帝国ホテルは海外から
の賓客をもてなす国策ホテルとして誕生した。大正期に完成したライト館には国内外か
ら多くの有名人が投宿し、輝かしい一時代を築いた。戦争を経て高度経済成長によりホ
テル建設ラッシュ時代を迎える中、帝国ホテルは新本館に続きインペリアルタワーも建
設した。しかし経済合理性の追求と規模拡大路線の中で、帝国ホテルはそのアイデン
ティティを次第に見失っているようにみえると著者は考える。第10章「株式の攻防」で
は帝国ホテルの株式取得をめぐる様々な攻防を詳述し、経営陣の理念が100年の歩みの
中で変化していったひとつの側面を伝えている。
※書誌事項には、『タイトル』 編著者、出版者、出版年月 (ページ数、大きさ)を記載。ページ付が目次・本文・索引など
で複数になる場合は、それぞれ数字をあげた。なお当該書籍以外から補記した事項は[ ]内にいれた(解題も同様)。
©公益財団法人渋沢栄一記念財団 2014年2月