この上なく美しい豪奢な廟は妃に捧げた愛の証。「黒いタージ」建設予定地だったヤムナー川対岸は、英国式の庭園「マターブ・バーグ」が整備され、 1990年代に発掘されたムガル帝国時代の遺構も残る。ここから見る夕暮れのタージ・マハルは絶景で、人気のスポットになっている。（上）インドでは子どもも立派な一家の稼ぎ手。観光地のレストランで、民族衣装を着た子どもたちが踊りを披露して観光客からチップを得る。（下）インドに行くと人生観が変わる、とを運ばせ、世界中から貴石を買い求め、言われている。世界第７位の面優秀な職人を集めるなど天文学的な積と12億人を超える人々が暮らす、経費用をかけた廟は、着工から22年の済成長著しい新興国。さまざまな民歳月を経て1653年に完成した。族、宗教、文化が混沌としていて、スパここに眠っているのはムムターズ・マハイスの香りや独特の音楽にあふれ、人ル。ペルシア出身の大貴族の娘で、皇や車が行き交う道には悠然とゾウや牛帝の妃となり14人の子を産み36歳でこが歩いている。どこに行っても日本での世を去った。皇帝は生涯、妻だけをは考えられないような光景に出会える、熱愛し、戦場にも連れて行くほどで、それこそがこの国の最大の魅力なのだその死の衝撃は察して余りある。彼のと思う。そのインドにあって、最も特異治世にムガル帝国は最盛期を迎えた。で最も美しい建物といえば、首都・だからこそ、彼は心のままに財をかけ、ニューデリーから特急電車で２時間ほ愛する妃のために最高の廟を建てるこどの古都・アーグラーにある「タージ・とができたのだ。マハル」だろう。16世紀初頭、北インだが、栄華は長く続かない。彼は「タードで興り19世紀半ばまで続いたトルコジ・マハル」からヤムナー川を渡った対系イスラム王朝のムガル帝国、その第岸に、莫大な予算をかけて黒大理石で５代皇帝シャー・ジャハーンによって自身の廟となる「黒いタージ」を建設し、建設された。何が特異なのかというと、２つの廟を橋で結ぶ予定だったといこの建物の目的が、王家が住まう宮殿う。しかし晩年、息子の一人に帝位をではなく、神に捧げる神殿でもなく、簒奪されて計画は頓挫した。幽閉されたった一人のための廟（墓）だからだ。たアーグラー城の塔からは「タージ・マ正門の向こうに、鏡のような泉水と整ハル」が見えたという。朝な夕なに眺然とした庭園を前景として、左右対称めながら、老皇帝は何に思いを馳せての４本のミナレット（塔）を従えた壮大いたのか…。 Ivory 華麗な象牙色のドームが現れる。その「タージ・マハル」は1983年に世界遺産姿は、息をのむほど美しい。外観だけに登録され、年間400万人が観光に訪 in でなく細部に至るまでイスラム様式のれる。ムガル帝国は歴史の中にしか見事な装飾が施され、壁や柱などに埋存在しないが、皇帝が妻に捧げた永め込まれた宝石や宝玉が光を放ってい遠の愛の証は、人類の至宝として後のる。インド中から建材となる白大理石世にも燦然と輝き続けるだろう。 I nd ia CHINA BHUTAN PAKISTAN ニューデリー至高の色・寵愛の色世界の色図鑑 World color pallet NEPAL 地球の歩き方 INDIA 地球の歩き方ガイドブックインド BANGLADESH 国名：インド共和国 SRI LANKA 首都：ニューデリー面積：約329万km2 人口：約12億2,718万人（2012年推計）言語：ヒンディー語編集長植木孝 1984年発行の初版から現在 28版目のインド編。地球の歩き方のガイドブックの中では、アメリカ編、ヨーロッパ編に次いで3番目の創刊。総 Present ページ数：600ページ。 5名さま定価 1,890円（税込）全国書店で発売中 2012 WINTER 2