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豆についてもっと詳しく調べたい場合
参考になる書籍&ホームページ
【書籍】
豆類百科 日本豆類基金協会発行
小学生向け学習読本
もと 元
命の
気
生
と
も
の
たのしくたべようたべもの絵本 おまめのはなし 農文協発行
そだててあそぼう ソラマメの絵本 木暮秩編 農文協発行
そだててあそぼう ダイズの絵本 国分牧衛編・絵 農文協発行
そだててあそぼう アズキの絵本 十勝農業試験場アズキグループ編 農文協発行
マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて 吉田よし子著 平凡社発行
豆屋さんの豆料理 長谷部美野子著 創森社発行
たべもの教室 4 豆でつくる 家庭科教育研究者連盟編 大月書店発行
食べ物のひみつ 2 すがたをかえる豆 幕内秀夫/神みよ子監修 学習研究社発行
「食」で地域探検 2 豆・いもの郷土料理 服部幸應/服部津貴子監修・著 岩崎書店発行
聞き書 日本の食生活全集 全 50 巻 農文協発行
【ホームページ】
(財)日本豆類基金協会 http://www.mame.or.jp/
北海道の豆に関して http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/mamemugi/mame_top.htm
(北海道庁「北海道の麦と豆とそばのページ」)
豆の試験研究に関して http://www.agri.pref.hokkaido.jp/tokachi/beans/
(北海道立十勝農業試験場 「あずき・いんげん豆の品種・栽培関係」)
指導者向け解説書
和菓子に関して http://www.wagashi.or.jp/(全国和菓子協会)
落花生に関して http://www.peanuts-jp.com/(全国落花生協同組合連合会「落花生の知識、栽培関係」
)
小学生向け学習読本「おまめのはなし」
指導者向け解説書
2007 年 5 月発行
企画・発行
(財)日本豆類基金協会
〒 100-0004 東京都千代田区大手町 1-8-3 JA ビル
電話 03-3270-2809
FAX 03-3270-2930
http://www.mame.or.jp/
制作
(社)農山漁村文化協会 提携事業センター
(財)
日本豆類基金協会
はじめに
「おまめのはなし」で伝えたいこと
豆類は、古くから米、麦などとともに重要な作物として栽培され、伝統行事や地域の食文化とも結びついて身近な
小学生向け学習読本「おまめのはなし」は、テーマごとに2ページの見開き単位で誌面構成し、豆
食物として親しまれてきましたが、最近では、健康の維持増進や生活習慣病予防に効果的な栄養素や機能性成分を豊
のかわいいキャラクターが子どもたちに様々な疑問を投げかけることで、答えを求めて次のページへ
富にかつバランス良く含む食材として注目を集めるようになってきました。
自然と進みたくなるようなストーリー展開になっています。冒頭では、遊び心たっぷりのメニューが
一方、学校においては、学校給食における栄養所要量の基準等の一部改訂(平成 15 年 5 月、注参照)に伴い、児
並ぶマメマメパーティーから始まり、ページをめくるたびに新たな豆の秘密が解かれていきます。こ
童・生徒の健康と成長に果たす豆類の役割が明確に位置付けられ、学校給食において豆類の利用機会を増やしていく
うした新たな発見を通しながら、豆の生命の不思議や偉大さを知り、小粒でありながらも元気のもと
べく、子どもたちに喜んで食べてもらえる学校給食用豆料理レシピの開発など関係者の方々による努力が続けられて
がいっぱい詰まった豆の大きな力をより身近に感じてくれることを願っています。
いるところです。
さらに、実際に教育現場で役立つように、先生方や学校栄養士の方々の視点に立ち、教科と体験と
しかし、豆類は、販売店の売り場でも目立たない存在であり、どのような種類があるか、どこでどのように生産さ
の関連を意識しながら、主に 3 つの観点―①豆の料理と栄養・食文化/家庭科・食育(給食指導)、
れているのか、どのような栄養があるのかなどについては、お母さん方にも必ずしも十分理解されているとはいえな
②豆の栽培と観察/理科・総合的な学習時間、③豆の生産流通・歴史/社会―から各種話題を取り上
い状況にあります。また、乾燥豆は調理に手間がかかって面倒、あるいは豆料理のメニューをあまり知らないなどと
げています。また、栽培や観察、調理など、実際の体験による学習を促すとともに、子どもたちが自
いった理由から、家庭での豆料理は敬遠される傾向もあります。このため、日頃、豆に馴染みのない子どもたちは、
ら考える力を養うことができるように、楽しい問いかけやクイズ・クロスワードパズルといった要素
学校給食で豆の食べ残しが目立つとされ、学校給食関係者の方々の悩みの一つともなっています。
も盛り込んでいます。
(財)日本豆類基金協会では、子どものうちから豆類に親しみ、健康的な食習慣を身につけてもらいたいという願い
学習読本の解説書となる本書では、「おまめのはなし」で取り上げた項目ごとに、詳細な解説を行
を込め、平成 13 年から小学校家庭科副読本「もっと知ろう!もっと食べよう!おまめ」を全国の小学校に配布してま
うとともに、豆に関することわざや物語など国語の観点や、学ぶ意欲を後押ししてくれるような図画
いりましたが、この度、食育などより幅広い視点から内容の見直し・充実を図った小学生向け学習読本「おまめのは
工作や音楽ともつながる楽しい遊びの要素も盛り込みました。また、学習のアイデアとして、クイズ
なし」を制作し、従前の資料に代えて配布を行っていくことといたしました。また、この学習読本を効果的に利活用
の要素も盛り込んでいますので、子どもたちに問いかける際のヒントとしてお使いいただければ幸い
していただくため、指導者向け解説書として本書もあわせて制作いたしました。
です。
学校関係者の皆様におかれましては、本書も参考にしていただきながら、学習読本「おまめのはなし」を、家庭科
や総合的な学習の時間、給食の時間など、さまざまな機会に利活用していただければ幸いです。
(財)日本豆類基金協会
学習読本「おまめのはなし」クイズ&クロスワードの正解
(注)豆の栄養と学校給食
学校給食の食事内容については、文部科学省から栄養所要量や食品構成に関する基準が示されていますが、同基準の平成 15 年 5 月の一部改
正では、「これまでは、豆類の中では豆製品が中心に摂取されているため、植物性たんぱくの豊富な豆の摂取等についても配慮すること」
との方針が示され、豆製品類と豆類を区分した摂取量の目標も設定されました。
(4 ページ)「どんな豆が使われているのかな」の答え
①カレー ……………………………………………いんげん豆、べにばないんげん
②おにぎり …………………………………………えんどう
③トースト …………………………………………落花生
目 次
④ポタージュ ………………………………………そら豆
(「おまめのはなし」の関連ページ)
⑤アイスクリーム …………………………………あずき
はじめに ………………………………………………………2
「おまめのはなし」で伝えたいこと …………………………3
豆の種類と特徴 ………………………………………………4
(5)
豆の栄養と機能 ………………………………………………5
(10 ― 11)
豆の発祥と伝播の歴史 ………………………………………6
(8 ― 9)
豆の日本への伝来の歴史 ……………………………………7
(6 ― 7)
豆の生産と流通 …………………………………………8 ・ 9
(14 ― 15)
豆の植物的特徴と栽培 ………………………………10 ・ 11
(16 ― 17)
豆の伝統料理と豆レシピ ……………………………12 ・ 13
(2 ― 3、6 ― 7、18 ― 19)
(裏表紙)「マメマメクロスワード」の答え
あ ん こ
豆のことわざ・物語 …………………………………………14
豆と遊ぼう ……………………………………………………15
―2―
―3―
荒れ、口内炎等ができやすくなったりするほか、発育に
んげんとも呼ばれる「大福豆」「白金時豆」や「手亡」、
豆の種類と特徴
斑紋入りの「うずら豆」や「とら豆」などです。なお、
「おまめのはなし」5 ページ a「豆のいろいろ大集合!!」
若いサヤを食べる「さやいんげん」には、乾燥豆用とは
豆の栄養と機能
も悪影響を及ぼします。また、脳や神経はブドウ糖を唯
「おまめのはなし」10-11 ページ a「豆の元気パワーをさぐってみよう!」
一のエネルギー源としているため、そのエネルギー転換
に必要なビタミン B 1 が不足すると精神状態が不安定に
別の専用品種が使われます。
④べにばないんげん
■ 豆の特性
豆類は、含まれる 3 大栄養素(たんぱく質、脂質、炭
インゲン属に分類され、いんげん豆の近い親戚筋に当
マメ科植物は種類が多く、あずき、大豆、スイートピ
ーなどの 1 年草のほか、クローバー、クズなどの多年草、
たる大形の豆で、美しく大きな花をたくさん咲かせるた
またハギ、フジなどの木本性もあり、世界では約 650 属
め通常は「花豆」と呼ばれます。紫地に黒の斑紋が入っ
水化物)の構成割合により、2 グループに大別されます。
炭水化物グループ
あずき、ささげ、いんげん豆、べにばないんげん、え
た「紫花豆」と白色の「白花豆」があり、花は前者が鮮
んどう、そら豆が属し、乾燥豆の重量の 50 %以上が炭
目に大きなグループを形成しています。マメ科植物のう
紅色、後者が白色で、「べにばないんげん」の名前の由
水化物です。たんぱく質を約 20 %と豊富に含む一方で、
ち、食用として利用されるものを豆類と総称します。
来は前者によるものです。
脂質は約 2 %と少量です。
⑤そら豆
脂質グループ
若いサヤが上向きに付き、空を向いていることから、
mg
(可食部100g当たり)
小学5・6年生の1人1日
当たりの推奨量 1.2mg
0.4
18,000 種が知られ、植物ではキク科、ラン科に続く 3 番
■ 日本で栽培される豆類
なると言われています。
mg
0.10
0.3
0.08
0.22
0.2
0.06
0.18
0.15
0.06
0.05
0.01
0.02
0.0
あ
ず
き
︵
ゆ
で
︶
大豆及び落花生が属します。大豆は、乾燥豆重量の約
まゆ
20 %が脂質で、たんぱく質も 30 %以上と非常に多く、
実る豆ということから「蚕豆」と表記され、日本でもこ
炭水化物の含有率は約 30 %以下になります。落花生は
すると言われ、「あ=赤色」「ずき=溶ける」を意味しま
れをそのまま用いる場合があります。
脂質の含有率が約 50 %と極めて高く、たんぱく質も
す。日本、朝鮮、中国では、古くから豆の赤色に魔除け
⑥えんどう
25 %あり、大豆と似た栄養成分の構成になっています。
あずきの語源は、赤色で煮くずれしやすい特徴に由来
0.09
0.27
0.1
この名前がつきました。中国では春に蚕が繭を作る頃に
①あずき
(可食部100g当たり)
小学5・6年生の1人1日
当たりの推奨量
男子1.4mg 女子1.3mg
︵い
ゆ
でん
︶げ
ん
豆
え
ん
ど
う
︵
ゆ
で
︶
大
豆
︵
ゆ
で
︶
ご
は
ん
︵
白
米
︶
0.00
図 2 ビタミン B1 の含有量
あ
ず
き
︵
ゆ
で
︶
︵い
ゆ
でん
︶げ
ん
豆
え
ん
ど
う
︵
ゆ
で
︶
大
豆
︵
ゆ
で
︶
ご
は
ん
︵
白
米
︶
図 3 ビタミン B2 の含有量
ミネラル(無機質)
豆類には、骨や歯のもととなるカルシウム、過剰な塩
分の排出に役立つカリウム、筋肉や神経の働きを調節す
などの神秘的な力があるとして、行事や儀式など生活に
緑色の「青えんどう」と赤褐色の「赤えんどう」があ
密接に結びついて利用されてきました。豆の色には、赤
ります。名前の由来は、一説には古くから豆を中国に輸
■ 豆の栄養
る役割のあるマグネシウム、赤血球中のヘモグロビンの
以外にも白、黒、緑、茶色などがあります。豆の長径は
出していた「大宛国」(現在のウズベキスタン・フェル
たんぱく質
構成成分となる鉄、成長や新陳代謝に加え味覚や免疫機
通常 6 ∼ 7mm ですが、7 ∼ 9mm と大粒で煮ても皮が破れ
ガナ州付近)にちなんで「豌豆」と表記されたためと言
たんぱく質は、体内でアミノ酸に分解された後、再び
にくいものは「大納言」と呼ばれ、区別して流通されて
われています。若いサヤを食べる「さやえんどう」や未
合成され、筋肉、内臓、皮膚、血液など身体を形づくり
います。その名前の由来は、公家の官位である大納言に
熟の豆を食べる「グリーンピース」も同じ種類ですが、
ます。20 種類あるアミノ酸のうち「必須アミノ酸」と
は切腹の習慣がないため、あるいは豆の形が大納言の被
乾燥豆用とは別の専用品種が使われます。
呼ばれる9種類は、体内で合成できないため必ず食品か
る烏帽子に似ているためと言われています。
⑦大豆
ら摂る必要がある上、1種類でも不足するとたんぱく質
豆腐をはじめ、納豆、味噌、醤油などの原料として、
②ささげ
ささげの語源は、さやの形を牙に見立てて「細々牙」
、
あるいは若いサヤの先端が上向きにそり返り、物をささ
日本人の食生活を支える重要な豆ですが、世界では主に
質は量だけでなく質に注目する必要があります。主食で
搾油原料として生産されています。日本でも用途の8割
ある米は、必須アミノ
(可食部 100 g当たり)
mg
酸のうちリジンが不足
ずきと似ていますが、全体に角張っている上、へそが丸
熟な豆は枝豆として食べられます。
豆の色は黄色のほか、
していますが、豆類に
緑色の「青大豆」、黒色の「黒大豆(黒豆)」などがあり
お祝い事に赤飯を作る際、あずきは皮が切れやすく、切
ます。大昔から単に「豆」と言えば大豆のことを指すほ
ています。このため、
腹を連想させて縁起が悪いとしてささげが代用され、現
ど重要視され、「大いなる豆」「大切な豆」という意味を
米に豆を組み合わせて
在でも関東地方ではこの風習が根強く残っています。
込めて大豆と呼ぶようになったと言われています。
食べると、たんぱく質
⑧落花生
を効率的に利用できる
イソロイシン
6.1
︵い
ゆん
で
︶げ
ん
豆
3
︵ご
白は
米
︶ん
牛
乳
︵ま
生い
︶わ
し
図 4 カルシウムの含有量 ロイシン
100
100
トリプト
ファン
あ
ず
き
︵
ゆ
で
︶
13.3
10
5
30
(基準値を100とした場合)
はこれが豊富に含まれ
11.8
70
50
0
バリン
g
110
60
精白米 いんげん豆
米+豆
(可食部100g当たり)
小学 5・6 年生の 1 人 1 日
当たり目安量 950mg
100
基準値
は搾油ですが、国産はほぼ全量が食品用です。また、未
③いんげん豆
に欠かせないミネラルが豊富に含まれています。
を効率的に利用できなくなります。このため、たんぱく
げ持つように見えるためと言われています。色や形があ
くて黒い輪郭を持つので区別できます。武家社会では、
能にもかかわっている亜鉛など、身体の機能維持や調節
0
あ
ず
き
︵
ゆ
で
︶
︵い
ゆん
で
︶げ
ん
豆
0.3
︵ご
白は
米
︶ん
︵ご
ゆぼ
で
︶う
図 5 食物繊維の含有量
食物繊維
リジン
豆類は、際だって食物繊維を多く含んでいる食品です。
食物繊維は、体内で消化・吸収できない成分で、便秘の
スレオニン
含硫アミノ酸
芳香属アミノ酸
予防・改善や肥満防止のほか、大腸がん、糖尿病、動脈
硬化等の成人病予防に欠かせない重要な成分です。
※必須アミノ酸には、この他に幼児期に必要な
ヒスチジンがあります
ポリフェノール
名前の由来は、この豆を中国から日本に初めて持ち込
落花生は、花が咲いて受粉した後、子房のもと(子房
んだ隠元禅師の名にちなんだものと言われています。豆
柄)が下向きに伸びて地中に潜り、その先端にさやが形
の色は白、赤、黄、茶、褐、黒など多様で、豆の全体あ
成され豆ができるというユニークな生態を持った豆で
豆類には、炭水化物・脂質をエネルギーに転換するた
ポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノール
るいは一部に斑紋が入ったものもあります。また、大き
す。花が地面に落ちて豆が生まれるから「落花生」とい
めに必要なビタミン B1 ・ B2 や、たんぱく質の分解・合
は、強い抗酸化作用を持っているため、健康に様々な悪
さ・形にも変化があります。代表的なものは、赤いんげ
うわけです。大豆と同様、世界では主に搾油原料に用い
成に重要な役割を果たすビタミン B 6 が豊富に含まれて
影響を及ぼす活性酸素を除去し、免疫力増強、抗アレル
んとも呼ばれる「金時豆」や「レッドキドニー」、白い
られますが、国産はほとんどが食用です。
います。これらが不足すると、疲れやすくなったり、肌
ギー作用などの効果があると言われています。
―4―
ようになります。
ビタミン類
図 1 米と豆との組み合わせによる
アミノ酸バランスの改善
豆類(特にあずきや金時豆など濃い赤色の豆)には、
―5―
子文化と結びついて独特な利用法を発展させてきた豆と
日本への輸出用に生産している国があります。
豆の発祥と伝播の歴史
豆の日本への伝来の歴史
大豆(発祥時期:紀元前 3000 年頃)
「おまめのはなし」8-9 ページ a「豆料理は世界中にあるよ!」
中国の広範な地域で栽培され、日本にも弥生時代には
■ 豆の通ってきた道
いうことができます。
「おまめのはなし」6-7 ページ a「どうしてお正月に豆を食べるの?」
ささげ
伝来して栽培されるようになりました。ゆでただけでは
アフリカ原産のささげは、まず海路でインドに伝わっ
特有のにおいが残り、消化も良くないことから、主に発
た後、シルクロードにより中国に入り、日本に伝来した
■ 日本への豆の伝来と定着
と考えられています。9 世紀末の東大寺の日誌にささげ
豆の栽培は、農耕文明が誕生した時点から穀類と並ん
酵食品の原料として利用され、このような利用法に馴染
日本への豆の伝来をみると、まず大豆が紀元前の弥生
で始まったといわれています。乾燥豆は品質を低下させ
みがない他の地域にはなかなか広がりませんでした。し
時代初期に、次いであずきが 3 世紀頃までに、そら豆、
に関する記録が残っています。
ずに長い期間貯蔵できること、肉や魚に劣らないたんぱ
かし、アメリカでは 1930 年代に製油用や飼料用として
えんどうが 8 世紀頃、ささげが 9 世紀頃に、いずれも中
いんげん豆
く質を含み豊かな栄養分があること、また、豆を栽培す
大豆の需要が高まり、本格的に生産されるようになりま
国から伝来したと考えられています。一方、新大陸原産
中米原産のいんげん豆は、スペイン人によりヨーロッ
ると根粒菌の働きにより地力の維持・向上に役立つこと
した。20 世紀になると、カナダ、ブラジル、オースト
の豆は、いんげん豆が 17 世紀、落花生が 18 世紀、べに
パに持ち帰られた後、16 世紀末には中国まで伝わり、
などから、世界中のいたるところで生産されるようにな
ラリアなどでも生産が行われるようになりました。
ばないんげんが 19 世紀になって伝来しました。
日本には江戸時代初期(1654 年)に明から招いた隠元
りました。
落花生(発祥時期:未詳)
大豆
禅師により伝えられたとされています。北海道開拓が始
原産地はアンデス山中で、
土の中で実を結ぶことから、
レンズ豆(発祥時期:紀元前 7000 ∼ 6000 年頃)
原産地である中国から伝わったと考えられています。
まる明治時代初期に、アメリカから品種を導入して広大
アマゾン川、ラプラタ川などの支流が氾濫するたびに種
712 年「古事記」、720 年「日本書紀」に大豆に関する記
な土地で本格的に栽培が始まりました。
ギリシア、ローマへと伝わり、各地域の大事な食料とな
子が流され、川沿いに漂着して中南米に広まったと考え
載があり、ある程度栽培が行われていたことが分かりま
べにばないんげん
りました。紀元前 2000 年頃には、現在の最大産地であ
られています。スペイン人によってヨーロッパへ、ポル
す。伝来当初の利用法は、煮豆や煎り豆が主だったよう
江戸時代の末期にオランダから伝わり、花が大きく美
るインドへ伝わったといわれています。
トガル人によってアフリカへ普及していきました。19
ですが、奈良時代には味噌や醤油の原型となった発酵食
しいため観賞用に栽培されていました。食用としては明
えんどう(発祥時期:紀元前 7000 ∼ 6000 年頃)
世紀になってから北アメリカに伝わり、栽培が盛んに行
品「穀醤(こくびしお)」の原料として利用されていま
治になってから札幌農学校で始まりましたが、本格的な
われるようになりました。
した。日本国内で広く栽培されるようになったのは鎌倉
栽培は大正になってからです。
ト、トルコ、ギリシアへと伝わり、その後、時間をかけ
時代以降です。
えんどう
てフランスをはじめとするヨーロッパ地域に広まりまし
あずき
レンズ豆は、メソポタミア地域から西方のエジプト、
肥沃な三日月地帯といわれるメソポタミアからエジプ
メソポタミア原産のえんどうは、インドを経由して 3
た。1922 年にエジプトのツタンカーメン王(紀元前
中国から伝来したと考えられています。中国、朝鮮半
∼ 6 世紀に中国に伝わり、日本へは奈良時代に遣唐使に
1300 年代)の墓の中で見つかったえんどうは、「ツタン
島では、栽培の歴史は古いものの、必ずしも利用が盛ん
より持ち帰られたと考えられています。本格的な生産は
カーメンのえんどう」として有名です。この種子の子孫
であったわけではなく、むしろ日本で重要視され、和菓
明治以降で、主な生産地は北海道です。第一次世界大戦
が世界各国に分けられました。
を契機に一時はイギリス等にも盛んに輸出されました。
いんげん豆(発祥時期:紀元前 5000 ∼ 4500 年頃)
そら豆
メキシコから広がり、南北アメリカ大陸では多くの種
メソポタミア原産のそら豆は、中国経由で渡来したイ
類が栽培されていました。コロンブスによる新大陸発見
ンド僧により奈良時代に日本に伝えられ、これを行基上
にともない、16 世紀初頭にはスペイン人によりヨーロ
人が武庫(兵庫県)で試作したとされています。
落花生
ッパに持ち帰られ、やがてヨーロッパ中に広がり、世界
あずき
中に普及していきました。現在、食用豆としては、世界
えんどう
南米原産の落花生は、16 世紀初頭にスペイン人によ
大豆
りフィリピンに持ち込まれ、中国を経由して 18 世紀の
で最も生産量の多い豆です。
レンズ豆
初めに日本に伝わり、「南京豆」と呼ばれました。本格
そら豆(発祥時期:紀元前 3500 ∼ 3000 年頃)
いんげん豆
そら豆
的な栽培が始まったのは、明治時代に米国から改めて種
メソポタミアまたは北アフリカ起源と考えられている
子が導入され、奨励されたことによります。
そら豆は、古代からヨーロッパ、アフリカに伝わってい
ました。中国に伝わったのは紀元前1世紀頃で、アメリ
落花生
カへの伝播は 19 世紀末になってからです。
レンズ豆
あずき(発祥時期:未詳)
えんどう
東北アジア地域が原産地と考えられ、中国では 2000
いんげん豆
そら豆
せない豆ですが、豆板醤の原材料となるそら豆は中
年前から栽培されてきました。東アジア以外の国ではあ
大豆
ずきの食習慣がありませんが、近年、米国、カナダなど、
落花生
―6―
学習のアイデア
味噌・醤油等の原材料となる大豆は日本料理に欠か
華料理に欠かせない豆と言われています。
図 6 豆の原産地と伝播
―7―
■ 豆の流通
その他の豆
豆の生産と流通
「おまめのはなし」14-15 ページ a「豆はどこで作られているの?」
■ 世界の豆生産の現状
えんどう、そら豆、ささげの乾燥豆としての国内生産
国産の豆は、産地で収穫されると、まず生産者から農
は非常に少なく、生産のある都道府県もそれぞれ数県し
協や産地の集荷業者に渡り、倉庫に集められます。豆の
かありません。えんどうは9割が北海道、そら豆は 8 割
選別・調製が行われると、農産物検査法に基づく検査を
が香川県、ささげは7割が沖縄県で生産されています。
受けます。その後、産地の農協・集荷業者から消費地の
世界ではさまざまな種類の豆が生産されていますが、
豆の種類
主なものとして、大豆、落花生、いんげん豆、えんどう、
ひよこ豆、そら豆、レンズ豆などがあげられます。
豆の種類
主な生産国 生産量
(千トン)
■ 豆の素材製品
生産量
(トン)
主な生産地(都道府県)
あずき
北海道、岩手県、青森県、福島県、兵庫県、栃木県、京都府、岡山県
63,900
いんげん豆
北海道、長野県、群馬県、福島県、山梨県
19,100
えんどう
北海道、兵庫県、岡山県
787
そら豆
香川県、岩手県、岡山県
116
全国各地に受け継がれている郷土の豆料理は、特産物
や季節の旬の食材を使い、伝統的な調理法で料理され、
され、ここで製品化されたものが小売業者や外食業者に
その土地に深く根付いています。以下はその一部です。
納められ、最終的に消費者の元へ届けられます。
どんな豆料理が地域に残っているか調べてみましょう。
インド、ブラジル、中国、ミャンマー、メキシコ
22,112
ささげ
沖縄県、福島県、秋田県、福岡県
37
輸入豆の場合は、大部分は横浜港と神戸港に水揚げさ
カナダ、フランス、ロシア、中国、ウクライナ
12,203
大豆
北海道、秋田県、宮城県、新潟県、栃木県、福岡県
230,900
インド、トルコ、パキスタン、イラン、メキシコ
8,544
落花生
千葉県、茨城県、鹿児島県、神奈川県、栃木県
20,000
れ、通関後、輸入業者から各地の問屋へ輸送して引き渡
ひよこ豆
そら豆
中国、エチオピア、フランス、エジプト、モロッコ
4,270
レンズ豆
インド、トルコ、カナダ、アメリカ、ネパール
3,750
その他
インド、ロシア、スペイン、トルコ、ケニア
9,858
上記豆の合計
インド、中国、カナダ、ブラジル、ミャンマー
アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、中国、インド 204,275
落花生
中国、インド、ナイジェリア、アメリカ、インドネシア
豆の種類
36,387
* FAO(国連食糧農業機関)の統計による 2004 年産の実績値です。
*大豆及び落花生は主に食用油の原料として生産されるため、統計上「油糧種子」
として扱われています。あずき及びささげは、いんげん豆に含めて集計されています。
表 1 世界の豆の生産量と主な生産国
あずき
■ 日本の豆生産の現状
豆の国産割合は、あずきが約 7 割、いんげん豆が約 3
割で、大豆、えんどう及びそら豆は数%にすぎず、ほと
んどが輸入豆で占められています。
あずき
あずきは日本全国で栽培されていますが、生産量は北
海道が圧倒的に多く全国の 9 割に達しています。北海道
以外では、東北、関東、近畿、中国地方でもある程度ま
とまった生産がみられ、特色のある品種で地域特産化が
図られている産地もあります。
いんげん豆(べにばないんげんを含む)
新豆が出回るのは秋から冬にかけてですが、豆は長期
紅花(群馬県)、花豆(福島
県)
えんどう
大緑、北海赤花(北海道)
―
そら豆
―
陵西一寸(香川県、愛媛県、
福岡県)
ささげ
―
花嫁ささげ(福島県)
大豆
大豆は、北海道の生産が最も多く全体の 3 割を占めて
いますが、東北、北関東、北陸、北九州などをはじめ日
本全国を通じ広く栽培されています。
落花生
小売店
煮豆メーカー
一
次
問
屋
生
産
者
産
地
の
集
荷
業
者
二
次
問
屋
デパート
製あんメーカー
スーパーマーケット
和菓子メーカー
コンビニエンスストア
消
費
者
袋詰業者
あずきは 8 割以上があんや甘納豆など菓子類の原料と
改良半立(神奈川県)、ワセ
ダイリュウ(大分県、鹿児島
県)、サヤカ(茨城県、静岡
県)、タチマサリ(愛知県)、
郷の香(滋賀県、鹿児島県)、
半立早生(京都府)、ランナ
ー種(広島県)、ふくまさり
(鹿児島県)
表 3 豆の主要な品種と地域の品種
―8―
実業者
経
済
連
農
協
■ 豆の用途
フクユタカ(九州、東海、 音更大袖(北海道)、岩手み
ど り ( 岩 手 県 )、 納 豆 小 粒
四国等)、エンレイ(北陸
等)
、タチナガハ(関東等)、 (茨城県等)、津久井在来(神
奈川県)、越後みどり(新潟
リュウホウ(秋田県、山
県)、中鉄砲(岐阜県)、錦大
形県)、スズユタカ(山形
豆(滋賀県)、赤大豆(兵庫
県、福島県)、いわいくろ
県)、もち大豆(兵庫県)、銀
(北海道)、ミヤギシロメ
大豆(岡山県)、むらゆたか
(宮城県)、おおすず(青
森県)、トヨムスメ(北海 (佐賀県)、丹波黒(兵庫県、
岡山県等)、新丹波黒(京都
道)、サチユタカ(中国・
府)
四国)
千葉半立(千葉県、茨城
県、栃木県、静岡県、長
崎県、鹿児島県等)、ナカ
テユタカ(千葉県、茨城
県、栃木県、鹿児島県、
宮崎県等)
間の貯蔵が可能であるため、1 年を通じて流通します。
図 7 国産の豆・豆製品の流通経路
大白花、白花っ娘、紫花
豆(北海道)
大豆
されています。
アケノワセ(北海道)、テン
コウ(秋田県)、紅南部(岩
手県)、大館 1 号・ 2 号(秋田
県)、金時(山形県、秋田県、
鹿児島県)、赤小豆(福島県、
山形県)
、秋あずき(岐阜県)、
白小豆(岡山県、茨城県、群
馬県、島根県)、新備中大納
言(岡山県)、中納言(高知
県等)
、少納言(福島県等)
べにばな
いんげん
方の高冷地では、夏の冷涼な気候をいかしてべにばない
落花生は、全国の 8 割が千葉県、1割が茨城県で生産
エリモショウズ(北海道)
、
きたのおとめ(北海道)、
しゅまり(北海道)、サホ
ロショウズ(北海道)、ア
カネダイナゴン(北海道、
山形県等)、とよみ大納言
(北海道)、ほくと大納言
(北海道)、ベニダイナゴ
ン(新潟県、山形県、岩
手県)、丹波大納言(兵庫
県、岡山県)、京都大納言
(京都府)
紅絞、姉子豆、貝殻豆(北海
道)
す。都府県のシェアは数%にすぎませんが、関東甲信地
落花生
地域の品種
大正金時、福勝、北海金
時、福良金時、福白金時、
いんげん 雪手亡、姫手亡、福うず
ら、福粒中長、洞爺大福、
豆
大福、福虎豆、改良虎豆
(北海道)
いんげん豆の生産はほとんど北海道で行われていま
んげんが栽培され、特産農産物となっています。
主要な品種
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
されます。それ以降は、国産豆と同様です。
表 2 豆の種類と主な生産地及び生産量
60,737
■ 郷土の豆料理
応じて豆製品の加工メーカーや乾燥豆の袋詰業者に配送
いんげん豆
大豆
パウチなどにした素材製品が数多く出回っています。
問屋に販売され、消費地の倉庫へ輸送されます。注文に
えんどう
*農林水産省の統計による 2006 年産の実績値(えんどう、そら豆及びささげは
2004 年産)
最近、豆を水煮や蒸し煮にして缶詰、瓶詰、レトルト
なっています。いんげん豆も同様ですが、煮豆製品の原
料としても重要です。えんどうは、あん・菓子類・煮豆
のほか、煎豆の原料として使われています。そら豆は、
あんや煮豆にも利用されますが、7 割が煎豆の原料とな
っています。このように、豆は大部分が加工原料として
利用され、小売段階で乾燥豆として流通している豆の割
合は、国産で約 7 %、輸入で約 1 %にすぎません。
69
あずき
66
いんげん豆
34
えんどう
そら豆
22
10
10
9
16
16
1 7
17
68
60
20%
2
30
10
雑豆全体
0%
13
11
40%
60%
10
80%
8
11
100%
餡 甘納豆等菓子類 煮豆 煎豆 その他
うずら豆入りそばだんご(いんげん豆)
小豆ばっとう(あずき)
浮き浮きだんご(あずき)
ずんだもち(大豆)
ささげのにんにくあえ(ささげ)
煮びたし(大豆)
あかあかもち(あずき)
豆らっつぇ(あずき)
芋ちゃのこ(あずき)
つじゅうだんご(あずき)
つとっこ(あずき)
煮ぢゃんこ(ささげ)
きんとん(いんげん豆)
小豆べっちょ(あずき)
あんぶ(あずき)
小豆ずる(あずき)
みたま(いんげん豆)
とびつきだんご(ささげ)
小豆ぼうとう(あずき)
小豆ざざ(あずき)
みょうがぼち(そら豆)
おかしわ(あずき)
じょじょぎり(ささげ)
ぼぶら飯(ささげ、緑豆)
こふく豆(そら豆)
いばらもち(あずき)
はらみだんご(そら豆)
すり焼き(そら豆)
かぼちゃのいとこねり(あずき)
粉ふき豆(そら豆)
あんびんもち(あずき、そら豆)
まき(そら豆)
うけじゃ(そら豆)
おけじゃ(あずき、ささげ)
いちろく(いんげん豆)
茶ごめ(そら豆)
しょうゆ豆(そら豆)
りんまん(あずき)
ほしかだんご(あずき)
よどまんじゅう(あずき、そら豆)
とうまめの塩打ち豆(そら豆)
せっかんの二度蒸し(あずき、ささげ)
こらつけ(そら豆)
かんくろもち(あずき、ささげなど)
小豆あくまき(あずき)
かからんだご(あずき)
あまがし(あずき、緑豆)
参考文献:日本の食生活全集(農文協刊)
図 8 雑豆の用途別消費割合
―9―
表 4 都道府県別の豆の郷土料理
るもの(矮性、叢性)の3タイプに大別できます。蔓の
豆の植物的特徴と栽培
巻き付く方向は左巻き(上から見て反時計回り)です。
「おまめのはなし」16-17 ページ a「豆の栽培にチャレンジしよう!」
■ マメ科作物の生態的な特徴
○水やり:播種後、乾き過ぎない程度に水をあげてくだ
②いんげん豆(乾燥豆)
③花の特徴:花は5弁からなる独特な形をしており、
います。いんげん豆は、品種によって形態的な違いが
蝶々に似ていることから「蝶形花」と呼ばれています。
大きく、矮性、叢性、蔓性、半蔓性のものがあります。
花の色は、白、黄、赤、紫、朱紅など多彩です。
金時類は矮性、手亡は叢性・半蔓性、虎豆や大福豆は
程度で薄紫色の花が咲き始め、約2週間程度は次々に
蔓性です。蔓性のいんげん豆の栽培は、茎長が 3m にも
咲き続けます。
①根粒菌と共生する
主茎
子葉
種類
花色
マメ科の作物は、根に根粒菌を共生させて空中の窒素
あずき
地下
直立、蔓性(一部在来種の
み)
黄
なるため支柱を必要とし、管理作業に手間がかかりま
を固定し、生育に必要な肥料分として利用できます。こ
ささげ
地上
蔓性又は矮性
白、淡青紫
す。ここでは矮性のいんげん豆をプランター等で育て
白
赤紫(濃淡の変異
幅が大きい)
る方法を紹介します。
地上
蔓性:大福豆、虎豆
半蔓性:大手亡、福粒中長
叢性:姫手亡
矮性:大正金時、福白金時
蔓性
白、朱紅
○種子の入手:種は食用として売られている「金時」ま
のため、窒素肥料が少なくてすむ上、地力を高めて後作
いんげん豆
の生育にも好影響を与えることから、複数の異なる作物
べにばないんげん 地下
を一定の順序で繰り返し栽培していく「輪作」に組み込
むのに適した作物の一つです。
えんどう
地下
蔓性(短茎長のものを矮性、
中間のものを半蔓性と呼ぶ 白、紅、紫
慣習あり)
そら豆
地下
直立
白、淡紫、淡紫紅
大豆
地上
直立
赤紫、青紫、白
落花生
地表面 直立
②気候条件の異なる様々な地域で栽培されている
マメ科の作物は、原産地の気候条件を反映して夏作・
高温を好む大豆、いんげん豆、ささげ、冬作・比較的冷
大豆、落花生などは適応力が高く、原産地と違う気候条
主産地は北海道で、全国の収穫量の8割以上を生産し
件の地域で多く生産されています。なお、大豆やあずき
ています。あずきは温度や光に対する感受性のちがいに
などは開花時期が日長や温度に左右されますが、地域の
よって夏アズキ型品種、秋アズキ型品種、中間型品種が
気候条件に合うよう品種が分化し、ほぼ日本全国で栽培
あります。夏アズキ品種は、本州では春に種を播いて夏
が可能となっています。
に収穫する品種で、沖縄を除く全国で栽培することがで
■ マメ科作物の成長過程の特徴
します。秋アズキは主に西日本(近畿から九州)で栽培
①葉の特徴:発芽時の子葉の出方は種類により異なり、
されています。また、中間型の品種は、初夏に種を播く
地上に出てくるもの、地下にとどまるもの、地表面まで
のがよく、中部地方の山間部や東北地方を中心に栽培さ
出てくるものの3タイプがあります。
れています。北海道で栽培されているのはすべて夏アズ
②茎の特徴:主茎の伸び方は、蔓になって支柱などに巻
キで、5 月下旬に種を播いて 9 月∼ 10 月に収穫します。
き付きながら伸び続けるもの(蔓性)、蔓にはなるが一
(プランター等によるあずきの栽培法は、学習読本 16 ページ
北海道
耕
う
ん
・
整
地
施元
用肥
同
時
6月
7月
中土
耕寄
せ
施
肥
︵
元
肥
︶
兵庫県
(丹波大納言の場合)
8月
栽 培 地
1月
2月
3月
4月
5月
耕
う
ん
・
整
地
北海道
10月
11月
12月
7月
中土
耕寄
せ
施元
用肥
同
時
8月
9月
8月
9月
施
肥
︵
追
肥
︶
開花
病
害
虫
防
除
10月
11月
12月
病
害
虫
防
除
栽 培 地
1月
2月
3月
4月
耕
う
ん
・
整
地
北海道・寒冷地
6月
中土
耕寄
せ
施元
用肥
同
時
中土
耕寄
せ
温暖地
5月
7月
播種
栽 培 地
温暖地
(秋播き)
1月
施
肥
︵
元
肥
︶
病
害
虫
防
除
中土
耕寄
せ
2月
3月
4月
11月
5月
開 花
6月
7月
9月
(関西)
(九州)
―11―
う
ね
立
て
播種
8月
(関東)
病
害
虫
防
除
12月
病
害
虫
防
除
開花
(秋播き)
収穫
10月
開花
<そら豆(乾燥豆)の栽培暦>
中土
耕寄
せ
収穫
開花
<えんどう(乾燥豆)の栽培暦>
(参考資料)
病
害
虫
防
除
う
ね
立
て
6月
播種
参考 WEB サイト:「北海道立十勝農業試験場 作物研究部小豆菜豆科 Q &A」
開花
参考 WEB サイト:「北海道立十勝農業試験場 作物研究部小豆菜豆科 Q &A」
「兵庫県柏原農業改良普及センター丹波地域技術情報(丹波大納言の栽培)
」
―10―
9月
収穫
燥させ、さやの中の豆を取り出します。
<いんげん豆(乾燥豆)の栽培暦>
(春播き)
を参照)
5月
○乾燥:さやを摘み取って、新聞紙などの上に広げて乾
なら5月下旬∼6月中旬頃。直径20cm程度の鉢なら2∼
きます。また、秋アズキ品種は夏に種を播き、秋に収穫
4月
ラカラと音がするようになったら収穫します。
います。肥料は草花の栽培よりはやや少なめにします。
3cmくらいに播きます。5∼10日程度で発芽します。
3月
が雨に当たらないようにします。さやを軽く振ってカ
○土の用意:畑や庭の土、市販の園芸用培養土などを使
①あずき(乾燥豆)
2月
○収穫:開花後、1 カ月∼ 1 カ月半くらいでさやは緑色
から黄色、白褐色へと変色して乾いていきます。さや
培する季節と地域が限定されます。しかし、いんげん豆、
1月
第に大きくなります。
たは「大正金時」という種類を使います。
3 粒、細長いプランターなら 2 ∼ 3 粒を 3 カ所に、深さ
栽 培 地
○さやがつく:花びらが枯れ落ちた後、さやがついて次
ようなら、液肥などで肥料を追加してください。
■ 豆の栽培について
播種
○開花:日当たりの良い場所で育てると、発芽後1カ月
○追肥:さやがつき始める頃、葉の色が薄くなっていく
レンズ豆、落花生、緑豆などに分けられ、種によって栽
<あずき(乾燥豆)の栽培暦>
い程度にしてください。
○種まき:本州なら6月中旬∼7月下旬、北海道、北東北
オレンジ
表 5 豆の種類別の成長過程の特徴
涼な気候を好むえんどう、そら豆、乾燥に強いひよこ豆、
定以上伸びないもの(半蔓性)、蔓にはならずに直立す
さい。過湿を嫌うので、発芽後も水やりは乾き過ぎな
いんげん豆は、そのほとんどが北海道で生産されて
10月
収穫
11月
12月
に伝来後、法要を営み祖先を祀る行事へと変化したとい
豆の伝統料理と豆レシピ
■ マメマメパーティ&はやわざマメマメメニュー 豆料理レシピ
われています。春の彼岸時の牡丹の花が咲く頃に作るの
「おまめのはなし」2-3 ページ a「みんなで楽しいマメマメ大パーティ!」
が「ぼたもち」、萩の花が咲く秋に作られるのが「おは
6-7 ページ a「どうしてお正月に豆を食べるの?」
ぎ」で、それらを供えて祖先を供養します。
18-19 ページ a「マメマメ料理を作ってみよう!」
端午の節句(5 月 5 日)
■ 行事と豆料理
上新粉で作った餅であずきの餡を挟み、柏の葉で包ん
季節や人生の節目に食べる豆料理には、魔除けや喜び
だ「柏餅」を食べて、男子の健やかな成長を祝います。
の思いが込められ、日本の暮らしの中で息づいています。
柏は新芽が育つまで葉が落ちないことから、子孫繁栄の
正月・小正月(1 月 1 日∼ 3 日)
願いが込められています。そのほかに、よもぎや菖蒲に
黒大豆で作る「黒豆」は、田作り、数の子と並んでお
は邪気を払う作用があると考えられ、5 月 5 日には、よ
せち料理に欠かせない「三つ肴」の一つで、年中まめに
もぎを軒につるしたり、菖蒲湯に入ったりする風習が残
暮らせるようにとの願いが込められています。大福豆で
っています。
作る「豆きんとん」は、「金団」の文字が財宝につなが
お祝い
ることから、裕福に暮らせるようにとの願いが込められ
古くは赤米を蒸したご飯が「赤飯」でしたが、現在で
ています。また、1 月 7 日の「七草粥」と並んで、1 月
はもち米にあずきまたはささげを 1 ∼ 2 割混ぜて蒸し上
15 日(小正月)に「あずき粥」を食べる風習が残って
げます。
豆といえば、「栄養価が高く健康的」「美味しい」「日
■ あずきの粒餡
本の伝統食」とされながらも、「料理に手間がかかる食
あずき餡は餅を添えてぜんざ
品」というイメージが強いようです。そこで、もっと気
いにしたり、栗の甘露煮を入れ
軽に豆料理に親しんでいただけるよう、副読本で取り上
て栗ぜんざいにしたりと、いろ
げた簡単な豆料理のレシピを紹介します。
いろ応用がききます。
ポタージュ
【材料】 4 人分
小豆 1 カップ(150 g)
砂糖 120 g 塩 小さじ 1/3
①洗ったあずきはたっぷりの水(豆の分量の 4 倍)で最初強火、沸
騰したら弱火で 10 分ほどゆでる(事前に水に浸けて水を吸わせ
る必要はない)
②渋味のもとになる「あく」が出るので、ざるにあけて煮汁を捨て、
新しい水を入れて再び煮立てる
③ゆっくりじっくり豆が踊らない程度の水(びっくり水)を足しな
がら煮続ける
④豆がやわらかくなったら砂糖を入れて煮つめる
■ 豆の選び方のポイント
鏡開き(1 月 11 日)
豆を水の中に入れたときに浮いてくるものは避け、よ
「鏡」は円満を、「開く」は末広がりを意味することか
ら、正月に年神に供えた鏡餅とあずきを「お汁粉」にし
■ 世界の豆料理 豆は、世界に広がっていく中で各国の食文化に根付き、
く乾燥していて、表皮にツヤがあり、ふっくらしている
独自の調理法が生まれました。世界的にも有名なアメリ
豆を購入しましょう。
カの家庭料理ポークビーンズの作り方を紹介します。
■豆料理の基本
節分は、本来は各季節の始まりの日(立春・立夏・立
乾燥豆は、原則として、まず一晩程度水に浸して戻し、
秋・立冬)の前日のことで、江戸時代以降、立春の前日
これを下ゆでした後、料理に使用します。しかし、種皮
を指すようになったといわれています。豆まきは、鬼に
が硬くて水の吸収に長時間を要するあずき、ささげや、
豆をぶつけることにより、邪気を払い、一年の無病息災
豆が扁平で煮えやすいレンズ豆は、水で戻さずに直接下
を願う行事です。豆まきには、普通、煎った大豆が使用
ゆでを始めてもよい豆です。
されますが、北海道、東北、信越など積雪地では殻付き
調理時間を短縮したり手間を省きたい場合は、次のよ
ポークビーンズ
【材料】 4 人分
ささげやいんげん豆
(市販の水煮等一次加工製品の缶詰 1 個)
②フライパンを熱して油をうすくひいたあと、一度火からおろして
濡れ布巾で冷まし、余分な油をふき取る
(またはトマトのホール缶 1 個)
トマトジュース 1 缶
スープ 2 カップ
オールスパイス 少々
モラセス 大さじ 2
塩・胡椒 少々
③①を丸く流し入れ、表面がボツボツとしてきたら、裏返して焼き
目が薄く色づくまで焼く
ならば雪の上にまいた豆を回収した後、殻から出して食
①水の代わりに湯を使って短時間で戻す。
べることができるためと言われています。落花生の産地
②戻した豆を沸騰した湯とともに魔法瓶に入れ、5 ∼ 6
①ベーコンは 2cm 角に切り、熱湯でさっとゆでる
である南九州でも、比較的高い割合で節分に落花生が使
数時間放置してゆであげる。
②玉ねぎとトマトはへたを取り、皮をむいて粗く刻む
われています。
③水で戻した豆を圧力鍋により短時間で下ゆでする。
ひな祭り(3 月 3 日)
④水煮や蒸し煮にした缶詰、レトルトパックなどの一次
③鍋に①と②とスープを入れて煮立たせたあと、弱火にしてアクを
取り除く
生地であずきの餡を包み、これを塩漬けした桜の葉で巻
また、豆を甘く味付けする場合、糖分が豆の中の水分
いた「さくら餅」を食べ、女の子の健やかな成長を祈り
を吸い出し、硬くしまってしまうことがあります。失敗
ます。
しないコツは、豆が少し割れるくらいまで十分やわらか
彼岸(3 月 18 日∼ 24 日/ 9 月 20 日∼ 26 日)
めに下ゆでするとともに、砂糖を数回に分けて入れるこ
浄土思想に由来する春分と秋分の彼岸の仏事は、日本
とです。
―12―
⑤④が冷めたらミキサーにかけ、ポタージュ状にする
①ホットケーキミックス、卵、牛乳を泡だて器でよく混ぜてから、
ゆであずきを入れ均等に合わせる
ベーコンブロック 200 g
玉ねぎ 1 個
完熟トマト 2 個
うな方法があります。
加工製品を利用する。
④やわらかくなったら牛乳を加え、塩、胡椒で味を調え、煮立つ直
前に火からおろす
【材料】 8 ∼ 10 枚分
ホットケーキミックス 100 g
全卵 1/2 個
牛乳 80ml
ゆであずきの缶詰 30 g
落花生が高い割合で使用されています。これは、落花生
関東では小麦粉を、関西では道明寺粉を使って作った
②鍋にバターを入れ、玉ねぎを炒めて透き通ってきたら、じゃがい
もと水煮したそら豆を加える
あずき入りパンケーキ
て食べ、一家の円満を願います。
節分(2 月 3 日)
①玉ねぎはスライスし、じゃがいもは 5mm 厚くらいに切る
③全体にバターが回ったら水とチキンブイヨンを入れ、ふたをして
10 分ほど煮る
います。これはあずきには1年の邪気を払い万病を除く
力があるとの平安時代からの言い伝えによるものです。
【材料】 4 人分
そら豆(水煮したもの) 150 g
玉ねぎ 1/4 個
じゃがいも 2 個
水 500ml
牛乳 200ml
チキンブイヨン(固形) 1 個
塩・胡椒 各適宜
バター 大さじ 1
豆牛乳寒天
④豆を入れ、トマトジュース、オールスパイスを加えて、弱火で 1
時間煮る
【材料】 6 個分
ミックス豆の缶詰 1 缶
砂糖・水(シロップ用) 各大さじ 2
粉寒天 5g
牛乳 300ml
水 200ml
砂糖 大さじ 2
⑤ベーコンがやわらかくなり、豆がつぶれるくらいに煮立ったら、
塩、胡椒、モラセス※で味を調える
①鍋に牛乳と水、粉寒天を入れ火にかけ、かき混ぜながら 2 ∼ 3 分
沸騰させる
※砂糖を精製するときにできる糖蜜で、黒蜜のような風味があり、
味がまろやかに仕上がります
②火からおろし砂糖を加え、よく混ぜる。プリン型などに流し入れ
て、表面を少し固める
③ミックス豆は、シロップで煮る
④③が冷めたら②の上にのせ冷蔵庫で冷やし固める
―13―
■ 音響効果や楽器に使われる豆
「豆を煮るにまめがらを炊く」
豆のことわざ・物語
そうち
そうひ
魏の曹植が兄の曹丕(文帝)から、7 歩あゆむ間に詩
「おまめのはなし」関連ページなし
を作らねば罰するといわれ、「まめがらは釜の下にあっ
豆と遊ぼう
竹籠と組み合わせて波の音を表したり、紙の上に落と
「おまめのはなし」関連ページなし
して大粒の雨の降る音を表したりと、よく擬音の発生材
ふちゅう
て燃え、豆は釜中にあって泣く、本これ同根より生ず」
同士が傷つけあうことのたとえ。
音読み トウ
訓読み マメ
■ 豆にまつわる物語
豆は古くから人間との繋がりが深いため、イギリス民
■「まめ」の語源
話として有名な「ジャックと豆の木」、韓国に古くから伝
円実(まろみ)、丸味(まるみ)が短縮されたという
説と、旨き味(うまきみ)の音変化が繰り返されたとす
わる物語「あずきがゆばあさんとトラ」など、世界各地
日本のものでは、あずきの豆の性質をよく表した「あ
大豆を指すことが多く、また、平仮名の「まめ」は健康
ずき洗い」「あずきとぎ」などと様々に呼ばれる妖怪が
在では、マメ科の植物やそのなかの種子などを食用にす
登場する民話や、新潟県に伝わる「豆助」、岩手県の
「鬼と豆の食い比べ」などの昔話があります。
るものの総称として使用されています。また、名詞の前
色とりどりの端布で作るお手玉には、米やそばのもみ
マラカスはラテン音楽で用いられる打楽器で、ウリ科
殻に加えて少量のあずきを入れると、ほどよい重さとな
のマラカの実を乾燥させて中身をくり抜き、種子やビー
る上、しっとり感も加わって、扱いやすくなります。
ズ玉などを入れて作ります。両手に 1 つずつ持って音楽
お手玉遊び
に合わせて振り鳴らします。
女の子が数人、車座になり歌いながら、両手を器用に
使い上下左右にいくつかのお手玉を操る遊びです。
す。ひょうたんの中身を取り出して乾燥させて、その中
にあずきを入れて作ります。また、なた豆を莢ごと乾燥
させて、マラカスのようにふってリズムを刻む「セミー
お手玉の作り方
①9 × 4.5cm 大の
2 枚 1 組で異な
る柄の布を 2 組
用意する
ジャ」という楽器もあります。
9cm
ひょうたんマラカスの作り方
9cm
「ジャックと豆の木」
「豆人形」「豆台風」などのように使われます。
マラカスは収穫したひょうたんでも作ることができま
①ヒョウタンの先を木の枝の太
さに合わせてカットする
②ヒョウタンの穴に合わせて、
木を削る
③あずきを入れる
④ヒョウタンと木の枝を木工用
ボンドで接着する
4.5cm
に付いて接頭語的にそれが小さいことを表し、
「豆電球」
マラカス
に豆にまつわる民話や物語が存在します。
る説があります。日本では、古くから「まめ」といえば
なさまを表す意味で使われた文献が多く見られます。現
■ お手玉
4.5cm
豆
と歌ったとされる「世説新語」の故事から。兄弟、仲間
部首 豆(まめ・まめへん)
料として使われます。
食べものを得るために牛を売
りに行ったジャックが、牛と引
■ 漢字の「豆」の成り立ち
き換えに豆を手に入れ、その豆
高い足のついた食物を盛る台である「たかつき」を描
いた絵から成り立ったといわれています。
を庭にまいたところ、空高く蔓
が伸びていった話。
■ 豆を使った漢字
リチャード・ウォーカー作
ニーアム・シャーキー絵
阿川佐和子訳 ブロンズ新社刊
②布を L 字型に置
いて待ち針でと
める
B
B
A
A′
C
「あずきがゆばあさんとトラ」
頭・逗・豌・豊・豈
A
A′
B′
B′
C
C′
C′
日常生活の身近な道具であ
った石うすやきりなどが、お
③A と A ′ B と B ′ C と C ′を仕上げがきれいになるように半返し
縫いで縫い代を 5mm 間隔で縫い合わせる
ばあさんが作る美味しいあず
「まめな人」
′
き粥を分けてもらい、力を合
します。豆に寄せる安心感や、豆を食べることによって
わせておばあさんをトラから
助ける話。
チョ・ホサン作
ユン・ミスク絵
おおたけきよみ訳
アートン刊
得る活力を実感して生まれた言葉の使い方と考えられて
B-B
A′
A-
真面目で裏表なく、几帳面に立ち働く人のことを意味
④出来上がった 2 組を図のよう
に縫い目のところで、互い違
いに色を合わせる。1 辺だけ
を残して中心から外に向かっ
て他を縫い合わせる
C-C′
■ 豆の慣用句やことわざ
「あずき洗い」伝説
います。
完成!!
ひえ
「豆を植えて稗」
川のほとりや橋の下で、「あずき研ごうか、人とって
良い結果を得ようとして、期待外れに終わることのた
とえ。
食おうか、ショキ、ショキ」と言ってあずきを研ぐよう
な音をさせる妖怪。各地にこの伝説が残り、地域によっ
「鳩の豆使い」
ては「あずきとぎ」や「ホトトギス」とも呼ばれます。
鳩は大好きな豆を見たら、他のことは忘れてそれに食
いつくのに夢中になるということから、使いの途中で道
草を食って帰るのを忘れるたとえ。
―14―
⑤袋を返して、米やそばのもみ
殻に少量のあずきを加えて、
開いた部分を縫い目が見えな
いように内側からきれいに縫
い合わせる。仕上げに角を針
先で整える
学習のアイデア
学習のアイデア
豆にまつわる民話や物語を調べて、発表してみまし
大きさや形の様々な豆を同じ大きさの空ペットボト
ょう。どんな豆が登場するのでしょうか。
ルに入れて振り、音の違いを聞き分けてみよう。
―15―
豆についてもっと詳しく調べたい場合
参考になる書籍&ホームページ
【書籍】
豆類百科 日本豆類基金協会発行
小学生向け学習読本
もと 元
命の
気
生
と
も
の
たのしくたべようたべもの絵本 おまめのはなし 農文協発行
そだててあそぼう ソラマメの絵本 木暮秩編 農文協発行
そだててあそぼう ダイズの絵本 国分牧衛編・絵 農文協発行
そだててあそぼう アズキの絵本 十勝農業試験場アズキグループ編 農文協発行
マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて 吉田よし子著 平凡社発行
豆屋さんの豆料理 長谷部美野子著 創森社発行
たべもの教室 4 豆でつくる 家庭科教育研究者連盟編 大月書店発行
食べ物のひみつ 2 すがたをかえる豆 幕内秀夫/神みよ子監修 学習研究社発行
「食」で地域探検 2 豆・いもの郷土料理 服部幸應/服部津貴子監修・著 岩崎書店発行
聞き書 日本の食生活全集 全 50 巻 農文協発行
【ホームページ】
(財)日本豆類基金協会 http://www.mame.or.jp/
北海道の豆に関して http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/mamemugi/mame_top.htm
(北海道庁「北海道の麦と豆とそばのページ」)
豆の試験研究に関して http://www.agri.pref.hokkaido.jp/tokachi/beans/
(北海道立十勝農業試験場 「あずき・いんげん豆の品種・栽培関係」)
指導者向け解説書
和菓子に関して http://www.wagashi.or.jp/(全国和菓子協会)
落花生に関して http://www.peanuts-jp.com/(全国落花生協同組合連合会「落花生の知識、栽培関係」
)
小学生向け学習読本「おまめのはなし」
指導者向け解説書
2007 年 5 月発行
企画・発行
(財)日本豆類基金協会
〒 100-0004 東京都千代田区大手町 1-8-3 JA ビル
電話 03-3270-2809
FAX 03-3270-2930
http://www.mame.or.jp/
制作
(社)農山漁村文化協会 提携事業センター
(財)
日本豆類基金協会