2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル ターボチャージャー:欧州を中心に、ガソリンエンジンへの採用が拡大 主要サプライヤーは生産体制を拡充、Bosch と Continental が新規参入 2009.6.9 No.784 Ford が EcoBoost エンジンファミリーを展開、GM も直4 直噴ターボエンジンを生産 Daimler が直4ガソリン直噴ターボを発表、BMW も2012年投入を目処に開発中 Fiat は 0.9L 2気筒ガソリンターボエンジンで、既存の小排気量直4 エンジンを代替 VW は直4 TSI エンジン、Renault は TCe エンジンを、小排気量に拡大 日本では、マツダが MPV, CX-7 等にガソリン直噴ターボエンジンを設定、日産も計画 ターボサプライヤー:欧州で生産体制を拡充、Bosch とContinental が新規参入 要 約 欧州自動車メーカーを中心に、ターボチャージャーを省燃費・CO2低減技術としてガソリンエンジンに採用して、中 排気量エンジンを代替する計画が進展している (いわば、ガソリンエンジンのダウンサイジング)。 VW, BMW, Daimler, Fiat, Renault が高性能・高効率なガソリンターボエンジンの設定を拡大しており、GM, Ford, 日産も同種エンジンの新規投入を計画している (そのほとんどは、ターボ技術だけでなく、ターボチャージャ ーによるノッキング対策に有効とされる直噴技術を組み合わせている)。 ガソリンエンジンへの採用拡大による、ターボチャージャー需要の拡大を見越して、主要サプライヤーも欧州生産 体制を拡充している。既に BorgWarner がポーランド、IHI がドイツに新工場を完工し、既存工場も拡張中。また、 Bosch と Continental がターボチャージャー生産に新規参入し、2011年に生産を開始する。 主要自動車メーカーの、ガソリンターボエンジン投入動向 GM Ford 1.4L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、2010年から米国生産する。 EcoBoost ガソリン直噴ターボエンジンを、2009年から米国と欧州で生産する。米国では 3.5L V6、欧 州では 2.0L 直4 と 1.6L 直4 を生産する。 TSI エンジンファミリーで最小排気量となる 1.2L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、2009年 5月に発 VW 表した。TSI エンジンファミリーには、現在、スーパーチャージャーとターボを組み合わせた 1.4L 直4 ガ ソリン直噴ツインチャージャー エンジンと、2.0L/1.8L/1.4Lの直4 ガソリン直噴ターボエンジンがあり、 欧州生産モデルに搭載している。 新開発 6.0L V12 ガソリン直噴ツインターボエンジンを、2009年 4月、7-Series に設定した。BMW は BMW これまでに、4.4L V8 ガソリン直噴ツインターボエンジン、3.0L 直6 ガソリン直噴ツインターボエンジン を、欧州生産モデルに展開している。直4 ガソリン直噴ツインターボエンジンも開発中。 Daimler Fiat Renault 日産 新開発 1.8L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、2009年 3月、新型 E-Class Coupe に設定した。従 来の 1.8L 直4 ガソリンスーパーチャージャーエンジン (ポート噴射) よりも高性能で省燃費。 0.9L 2気筒ガソリンターボエンジン (ポート噴射) を、2010年から欧州生産する。2009年 3月には、 Alfa Romeo 159 に新開発 1.75L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを設定した。 1.2L 直4 と 0.9L 直3 の TCe ガソリン直噴ターボエンジンを、2012年から欧州生産する。TCe エンジ ンは07年に 1.2L、08年に 1.4L のガソリンターボエンジン (共にポート噴射) を投入済み。 新開発 1.6L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、2010年から日本と英国で生産する。1.2L 直4 ガソリ ン直噴ターボエンジンも開発中。 (注) ターボチャージャーの最大サプライヤーで、年産規模が 900万基超の Honeywell によれば、2008年の自動車 のターボ装着率は、全世界で約 30%。装着率は今後も上昇して、2013年までに 38% に高まるとしている。ちな みに、西欧主要5ヶ国の2008年新車販売で、過給機付エンジン車比率は、ディーゼル車は 100% 近いが、ガソ リン車は 7% 程度にとどまっている。 http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 1/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル Ford が EcoBoost エンジンファミリーを展開、GM も直4 直噴ターボエンジンを生産 Ford は、燃費向上の戦略技術と位置付けているガソリン直噴ターボエンジンの EcoBoost ファミリーを、米国と欧 州で生産補完する体制を構築する。米国では 3.5L V6 ガソリン直噴ツインターボエンジン生産を既に開始、欧州で は 2.0/1.6L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを生産する。 GMも、2008年 9月発表では、米国に建設する新工場で、1.4L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを2010年から生 産して Chevrolet Cruze に、同工場で 1.4L 直4 自然吸気ガソリンエンジン(ポート噴射) も生産してハイブリッド車 の Volt に搭載するとしていた。 Ford:ガソリン直噴ターボの EcoBoost 新エンジンファミリーを投入 Ford は2009年 5月、新開発 3.5L EcoBoost V6 ガソリン直噴ツインターボエンジンを、2010年型 Lincoln MKS に設定して発表した。3.5L EcoBoost V6 は、Ford の燃費改善のための戦略製品のひとつで、性能は自然吸気 4.6L V8 エンジン並み、燃費は 3.7L V6 エンジン並み。 Ford は 3.5L EcoBoost V6 を、Lincoln MKT, Ford Flex, Ford Taurus SHO にも設定して、09年夏以降に販 売を開始する。2010年には、F-Series Pickup にもオプション設定する見込み。Ford は同エンジンを、2013年ま でに、北米販売するモデルの 90% に設定する計画で、年販 50万台の搭載車販売を見込んでいる。 Ford は、2.0L EcoBoost 直4 ガソリン直噴エンジンも、従来型の 3.0L V6 エンジンに代えて設定する計画。さ らに 1.6L EcoBoost 直4 ガソリン直噴エンジンも投入する計画。1.2L または 1.0L EcoBoost 直4 ガソリン直噴エ ンジンも、投入する可能性があるとされる。 (注) 3.5L EcoBoost V6 のツインターボエンジンは、同一容量のターボ 2基を搭載し、 V6 エンジンの片バンク 3気筒を 1基のターボが過給する。EcoBoost 直4 のターボは 1基。 ■EcoBoost エンジン生産を、米国, 英国, スペインで分担 Ford は、EcoBoost エンジン生産を米国と欧州で分担する。米国では、Ohio 州の Cleveland Engine Plant No.1 で、2009年 2月に 3.5L EcoBoost V6 生産を開始した。欧州では、スペイン Valencia 工場で、09年末から 2.0L EcoBoost 直4 を生産する。英国 Bridgend エンジン工場でも、2010年から 1.6L EcoBoost 直4 を生産す る。 ■Volvo:次期型 S60 に 1.6L EcoBoost 直4 エンジンを搭載 Volvo は2009年デトロイトモーターショーで、新型の 1.6L ガソリン直噴ターボエンジンを搭載した S60 Concept を発表した (S60 は2010年前半にフルモデルチェンジ見込み)。新エンジンの呼称は GTDi (Gasoline Turbocharged Direct Injection) だが、スペックは Ford の 1.6L EcoBoost 直4エンジンと同じ。GTDi 1.6L は、 現行 S60 の 2.4L 直5 エンジンと比較して、パフォーマンスはほぼ同等で、燃費は約 20% 向上する。 資料:Ford news release 09.5.14/08.1.6, その他 (注) Ford の EcoBoost V6 エンジンにツインターボチャージャーを供給するのは Honeywell (Pickup 向けエンジンには、BorgWarner が供給)。 GM:1.4L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、2010年から米国生産 GM は、米国 Michigan 州 Flint に新エンジン工場を建設し (投資額 3.7億ドル)、1.4L 直4 エンジンを2010年 春から生産する (08年 9月発表)。自然吸気エンジン (ポート噴射) と、ガソリン直噴ターボエンジンの 2タイプを生 産し、自然吸気エンジンは先ずハイブリッド車の Volt に搭載、ターボエンジンは先ず Chevrolet Cruze に設定 する計画。1.4L 直4 ターボエンジンの出力は自然吸気 1.8L 直4 エンジンと同等で、燃費は 8% 向上する。 資料:GM news release 08.9.25, その他 (注) GM が米国生産する 1.4L 直4 エンジンは、Opel が開発した Family 0 シリーズ。Opel 開発の現行直4 エン ジンには、Family 0 (1.0/1.2/1.4L、うち 1.0L は 3気筒)、Family 1 (1.6/1.8L)、Family 2 (2.0/2.4L) があ る。GM は Family 0 エンジンの生産規模を、米国生産の拡大で、2011年までに07年比 2倍にする計画。 Daimler が直4ガソリン直噴ターボを発表、BMW も2012年投入を目処に開発中 Daimler は2009年 3月、従来の 1.8L 直4 ガソリンスーパーチャージャーエンジン(ポート噴射) より高性能・高効 率な、1.8L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを発表、新型 E-Class Coupe の一部に設定した。 BMW は V12, V8, 直6 のガソリン直噴ツインターボエンジンを生産しているが、小排気量の直4 ガソリン直噴ツイ http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 2/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル ンターボエンジンも開発中で、2012年に 1 Series と 3 Series 等に設定する見込み。 Daimler:1.8L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、新型 E-Class Coupe に設定 Daimler は2009年 3月、ジュネーブモーターショーで新型 E-Class Coupe を発表 (09年 5月に市場投入)、 E250 CGI BlueEFFICIENCY Coupe に新開発 1.8L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを設定した (CGI は Stratified-Charged Gasoline Injection の略)。 Daimler は、1.8L 直4 ガソリンスーパーチャージャーエンジン (ポート噴射) を、03年から C-Class に設定し、 07年のフルモデルチェンジ後も設定している (C200 Kompressor)。新型の 1.8L ターボエンジンは、1.8L スーパ ーチャージャーエンジンよりも高性能で、燃費も優れている。 Daimler は、次世代型 V12 ガソリンツインターボエンジン開発を中止し、それに代わる V8 ガソリンツインターボ エンジンを開発中とされる。また、5.5L V12 ツインターボエンジンを CL 600 と SL600、6.0L V12 ツインターボエ ンジンを CL65 AMG, SL65 AMG, S65 AMG 等に設定している。 BMW:V12/V8/直6 のガソリン直噴ツインターボエンジンを展開 BMW は2009年 4月、7 Series に、新開発 6.0L V12 ガソリン直噴ツインターボエンジンを搭載した 760i とロン グホイールベースの 760Li を、最上級グレードとして追加した。V12 ツインターボエンジンは従来の自然吸気 6.0L V12 ガソリンエンジン (ポート噴射) よりも高性能で、燃費も約 4.5% 向上する。 BMW は2008年デトロイトモーターショーでは、4.4L V8 ガソリン直噴ツインターボエンジンを発表した。従来の 自然吸気の 4.8L V8 ガソリンエンジンより高性能。クロスオーバーの新モデル BMW X6 (08年春に発売)、フルモ デルチェンジした新型 7 Series (09年初に発売) に設定した。 BMW は2006年にも、3.0L 直6 ガソリン直噴ツインターボエンジンを発表した。自然吸気の 4.0L V8 ガソリンエ ンジンと同等性能で、約 40kg 軽量。06年に 3 Series、08年に 1 Series と 5 Series、09年に新型 7 Series と X6 に設定している。 (注) BMW のツインターボチャージャーは、小型のターボチャージャー 2基を使用する。V型エンジは 1基のターボで 1. 片バンクを過給する。直列 6気筒エンジンでは 1基のターボが 3気筒を過給する。 2.BMW は、直列 6気筒相当の性能を有する、直4 ガソリン直噴ツインターボエンジンを開発中とされ、2012年に 1 Series と 3 Series 等に設定する見込み。 ■BMW/PSA:1.6L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、スポーツグレードに設定 BMW と PSA は、PSA の TU 直4 ガソリンエンジンをベースに共同開発した Prince エンジンシリーズ (1.4/1.6L、ポート噴射) に、スポーツググレード向け 1.6L ガソリン直噴ターボエンジンを追加した。ターボチャー ジャーは 1基の ツインスクロール・ターボチャージャーで、最高出力 110kW (150PS) の THP150、128kW (175PS) の THP175 の 2仕様がある。 PSA は、2006年から THP150 と THP175 を Peugeot 207、07年から THP150 を Peugeot 208、08年から THP150 を Citroen C4 に設定している。BMW は、2007年から THP175 を MINI Cooper S に設定している。 (注) ツインスクロール・ターボチャージャーは、タービン内のスクロール部が区切られたターボチャージャー。 エキゾーストマニホールドが 2系統に分かれており、系統ごとに排気がスクロールに送られる。 排気の干渉を避けることでタービンの作動効率が向上する。 Fiat は 0.9L 2気筒ガソリンターボエンジンで、既存の小排気量直4 エンジンを代替 Fiat は、2010年に 0.9L 2気筒ガソリンターボエンジン (ポート直噴) を投入し、既存の直4 エンジン (1.1/1.2/1.4L FIRE エンジン) を、順次、代替する計画。 Fiat:0.9L 2気筒ガソリンターボエンジンを、2010年に投入 Fiat は 0.9L 2気筒の新ガソリンターボエンジン (ポート噴射) を2010年から生産し、既存の直4 エンジン (1.1/1.2/1.4L FIRE エンジン) を、順次、代替する計画。新ターボエンジンは、エンジン回転数に応じて吸気バ ルブを制御する、可変バルブタイミング&リフト機構の Multiair も採用する。 新 2気筒エンジンは、65bhp/80bhp/90bhp/105bhp の 4仕様あり、ガソリンと CNG とのデュアル・フューエル仕 様になる見込み。2010年生産開始予定の新モデル Topolino (コード名) と現行 Fiat 500、および Panda, Grande Punto, Lancia Ypsilon の次期型等に設定する計画。(Topolino と Fiat 500 は platform 共通) http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 3/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル ■1.75L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを、Alfa Romeo 159 と MiTo に設定 Fiat は2009年 3月のジュネーブモーターショーで、新開発 1.75L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを搭載した Alfa Romeo 159 1750 TBi と 、チューンアップした同エンジンを搭載した Alfa Romeo MiTo GTA concept を発 表した。 新 1.75L ターボエンジンは、ガソリン直噴, 可変バルブタイミング, ターボ過給の組み合わせにより、自然吸気 3.0L エンジンのパフォーマンスで、燃費は従来の 1.8L エンジンのレベルとしている。159 1750 TBi は09年 4 月、MiTo GTA は09年半ばに発売する見込み。 (注) TBi は TURBO BENZINA の略で、turbocharged petrol を意味する。 GTA は Gran Turismo Alleggerito の略で lightweight GT car を意味する。 VW は直4 TSI エンジン、Renault は TCe エンジンを、小排気量に拡大 VW は2009年 5月、1.2L TSI 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを発表した。現行 TSIエンジンのラインアップは、 1.4L 直4 ガソリン直噴ツインチャージャーエンジン、2.0/1.8/1.4L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンで、新エンジン は最小排気量となる。 Renault も、1.2L TCe 直4 と 0.9L TCe 3気筒の、小排気量ガソリン直噴ターボエンジンを、2012年に投入する 計画。現行 TCe エンジンのラインアップは、1.4/1.2Lエンジン(ポート噴射)。 VW:1.2L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを発表 VW は2009年 5月、TSI エンジンファミリーで排気量最小となる 1.2L 直4 ガソリン直噴ターボエンジン (1.2L TSI) を発表した。09年内に Golf に設定するほか、2010年 2月に生産開始予定の次期型 Polo に設定する。 資料:VW news release 09.5.8 ■直4 ガソリン直噴ターボエンジンを TSI エンジンファミリーとして展開 VW は2006年から 1.8L 直4 ガソリン直噴ターボエンジンを 1.8L TSI エンジンと称し (TSI は、Turbocharged Stratified Injection の略)、以降、07年に 1.4L 直4 ガソリン直噴ターボ (1.4L TSI)、08年に 2.0L 直4 ガソリン直 噴ターボ (2.0L TSI) を、VW/Audi/SEAT/Skoda ブランドに展開している。TSI エンジンは当初、ガソリン直噴ツ インチャージャーエンジンの名称だったが、現在では、直4 ガソリン直噴ターボ (ツインチャージャーを含む) のエ ンジンファミリー名としている。 ■2005年に、1.4L直4ガソリン直噴ツインチャージャーエンジンを投入 VW は2005年に、1.4L 直4 ガソリン直噴ツインチャージャーエンジンの 1.4L TSI を VW Golf に設定した。ガソ リンエンジンに、ディーゼルエンジンの TDI (Turbo Direct Injection) 技術を応用し、ディーゼルエンジンのトルク の力強さと、ガソリンエンジンの回転域の広さ・回転のスムーズさを融合させることを目的とした。現在は、Touran, Scirocco, Tiguan 等にも設定している。 (注) 1.ツインチャージャーは VW の呼称で、スーパーチャージャーとターボエンジンの組み合わせを意味する。タ ーボラグ対策のため、エンジン回転数 2400rpm 以下ではスーパーチャージャーが過給し、2400rpm を超え るとターボチャージャーも過給する。3500rpm 以上ではスーパーチャージャーがクラッチで切り離され、過給 しない。 2.VW はガソリン直噴技術を FSI (Fuel Stratified Injection) と称する。直噴エンジンにターボを組み合わせた エンジンが TFSI (Turbocharged Fuel Stratified Injection) で、2.0L 直4 ガソリン直噴ターボエンジン (2.0L TFSI) を2004年から Audi A3/A4 等に設定している。この他、2.5L 5気筒ガソリン直噴ターボエンジ ン (2.5 TFSI。Audi TT RS に設定)、3.0L V6 ガソリン直噴ターボエンジン (3.0 V6 TFSI。Audi A8 等に設 定)、5.0L V10 ガソリン直噴ターボエンジン (5.0V10 TFSI。Audi RS に設定) をラインアップしている。 Renault:1.2L 直4 と 0.9L 3気筒の、ガソリン直噴ターボエンジンを開発 Renault は、2012年に、TCe エンジンファミリーに新しいガソリン直噴ターボエンジンを追加する計画。新エンジ ンは 0.9L 3気筒と 1.2L 直4 の 2種類で、最高出力は 65kW (88PS) と 85kW (115PS)。0.9L TCe を既存 1.2L エンジン、1.2L TCe を既存 1.6L エンジンの後継とし、2015年初にはガソリンエンジンの 85% を TCe ファミリーと する計画。 TCe は Turbo Control Efficiency の略。Renault は、ダウンサイズド・ガソリンエンジンとして2007年に 1.2L http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 4/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル TCe 100、08年に 1.4L TCe 130 を投入した (いずれもポート噴射。100 は100hp、130 は 130hp の意味)。TCe 100 は Modus, Clio, Twingo に設定している。TCe 130は、先ず Grand Scenic に設定済みで、フルモデルチェ ンジ予定の Megane 等に順次拡大する。 資料:Renault press release 09.2.17, その他 (注) Renault は2009年 2月、CO2低減策として電気自動車 (EV) の量産に取り組むとともに、既存エンジンへの対 応として次世代型ガソリン/ディーゼルターボエンジンと AT を開発すると発表、TCe ファミリーエンジンはその 一環。なお、TCe 130 は日産のエンジンをベースに、日産と共同開発したエンジン。 日本では、マツダが MPV, CX-7 等にガソリン直噴ターボエンジンを設定、日産も計画 日本の自動車メーカーでは、マツダが 3.5L V6 エンジン相当の性能を有する 2.3L 直4 ガソリン直噴ターボエン ジンを MPV, CX-7 等に設定している。日産も、本格的なダウンサイジングエンジンとして 1.6L 直4 ガソリン直噴タ ーボエンジンを、2010年からスポーツグレードに設定する計画。 この他では、ホンダ、スズキ、三菱自動車、ダイハツがガソリンターボエンジンを軽自動車に設定(スズキのみ筒内 直噴、他はポート噴射)、富士重工がガソリンスーパーチャージャーエンジン (ポート噴射) を軽自動車に設定して いる。 日産:1.6/1.2L の、4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを投入する計画 日産は、1.6L 4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを、2010年から小型車に設定する計画。既存 1.6L エンジンの 燃費で、 2.0~2.2L 自然吸気エンジンと同等の性能とする。 先ず、2010年から英国生産する計画の新モデル Qazana と (コンセプト名。Qashqai/Dualis よりひと回り小さい SUV )、2010年秋にフルモデルチェンジ見込みの Tiida に設定する。両モデルとも、ハイパワーのスポーツグレー ドに設定する (ベースエンジンは、共に 1.6L)。 1.2L 4気筒ガソリン直噴ターボエンジンも開発中で、2010年にフルモデルチェンジ見込みの March のスポーツ グレードに設定する (March のベースエンジンは 1.2L)。 資料:日産 press release 06.12.11, その他 (注) 日産は、ニッサン・グリーンプログラム 2010 で (06年発表)、CO2排出をディーゼルエンジンと同等レベルに低 減したガソリンエンジンを、2010年度からグローバルに投入するとしている。4気筒エンジンは直噴+次世代ター ボチャージャー、6気筒・8気筒エンジンは直噴+バルブ作動角・リフト量連続可変システムで実現する計画。 日本の自動車メーカー:ターボ/スーパーチャージャー付きガソリンエンジン搭載モデル ホンダ 排気量・型式 過給装置 噴射方式 0.66L 3気筒 ターボ ポート噴射 モデル・グレード Life PASTEL Turbo/DIVA Turbo Zest SPARK G Turbo/W Turbo 日産 3.8L V6 ターボ ポート噴射 GT-R 筒内直接噴射 Cerbo SR Cerbo TX Wagon R FT Wagon R Stingray T/TS スズキ 0.66L 3気筒 Kei B TURBO/Works ターボ ポート噴射 Lapin T MR wagon Wit TS Palette X (4WD)/T/TS Every Wagon JP Turbo/PZ Turbo Jimny Mazdaspeed Axela マツダ 2.3L 直4 ターボ 筒内直接噴射 MPV 23T CX-7 http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 5/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル Lancer Evolution X 2.0L 直4 ターボ ポート噴射 Galant Fortis RALLIART Galant Fortis Sportback RALLIART 1.5L 直4 ターボ ポート噴射 Colt RALLIART Version-R 三菱自動車 i T 0.66L 3気筒 ターボ eK Sport R/RS ポート噴射 Town Box RX Toppo T 0.66 直4 ターボ ポート噴射 Pajero Mini ZR/VR/EXCEED 0.94 直4 ターボ ポート噴射 Boon X4 0.66L 直4 ターボ ポート噴射 Copen Mira Custom RS Move Custom R/RS ダイハツ 0.66L 3気筒 ターボ Move Conte Custom RS ポート噴射 Tanto Custom RS Atrai Wagon Terios Kid Legacy Touring Wagon 2.5GT 2.5L 水平対向 4気筒 ターボ ポート噴射 Legacy B4 2.5GT Impreza WRX STI A-Line Forester XT 2.0L 水平対向 富士重工 4気筒 ターボ ポート噴射 Exiga 2.0GT Impreza 2.0GT/WRX STI R1 S 0.66L 直4 スーパー チャージャー R2 Type S ポート噴射 Stella LS/REVESTA S/RS Sambar Dias Wagon Superchager (注) 1.マツダの Mazdaspeed Axela は単一グレードのみ。 2.日産 GT-R, スズキJimny, マツダ CX-7, 三菱 Lancer Evolution X, ダイハツの Copen と Atrai Wagon と Terios Kid は全グレードに搭載。 ターボサプライヤー:欧州で生産体制を拡充、Bosch とContinental が新規参入 Bosch (Mahleと合弁) と Continental は、ターボチャージャーを、燃費と CO2排出量を持続的に低減するキーテ クノロジーと位置付けて、ターボチャージャー生産に参入する。 Bosch/Mahle は建設中のオーストリア新工場で、Continentalはチェコの既存工場で、ともに2011年に生産開始 する。 Bosch/Mahle:ターボチャージャー事業に新規参入、オーストリアに新工場建設 Bosch は2008年 5月、ピストンなどのエンジンコンポーネントメーカー Mahle と折半出資で、ターボチャージャー を開発/製造/販売する Bosch Mahle Turbo Systems GmbH & Co. KG を設立した。新会社は08年 9月、オース トリア St. Michael ob Bleiburg に新工場を着工、2011年に量産を開始する計画。 新工場は、ディーゼルエンジンとガソリンエンジン用ターボチャージャーの最終機械加工と最終組立を行い、最 大年産能力は 150万基。コンポーネント生産は、Bosch のドイツ Blaichach 工場を使用する。 資料:Bosch Mahle Turbo Systems Press Release 08.9.18/08.5.27, その他 http://www.marklines.com/ja/report/rep784_200907 6/7 2016/4/5 ターボチャージャー:欧州を 中心に、ガソリン エン ジン への採用が拡大 マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル Continental:ガソリン向けターボチャージャー事業に新規参入、チェコで生産 Continental は2009年 3月、ガソリンエンジン用ターボチャージャーを、チェコ Trutnov 工場で、2011年から生 産すると発表した。当初の年産計画は 10万基だが、2014年には 200万基とする計画。(Trutnov 工場は、現在、 ディーゼル燃料噴射ポンプを生産している) 資料:Continental Press Release 09.3.4, その他 ■BorgWarner がポーランドに、IHI がドイツに新工場を完工 既存のターボチャージャーサプライヤーも、欧州生産体制を拡充中。 BorgWarner はポーランド新工場を完工、2年後には年産能力を 200万基とする計画。また、ハンガリー工場も拡 充し、メキシコの既存工場でもターボチャージャー生産を開始する計画。 IHI も、Daimler と合弁でドイツ新工場を完工、2011年には、年産能力を 100万基とする計画。両社合弁のイタリ ア工場も、年産能力を 100万基に拡充する計画。 BorgWarner:ポーランドに年産 50万基の新工場建設、ハンガリー工場も拡張 BorgWarner は2009年 1月、ポーランド Rzeszow にターボチャージャー新工場を完工した。欧州の自動車工場 向けに小型ディーゼルエンジン向け製品を供給する。新工場の当初の年産能力は 50万基。2年後には 200万基 とする計画。小型ガソリンエンジン向けと小型ディーゼルエンジン向けを生産しているハンガリーのターボチャージ ャー工場も拡張する。 北米では、メキシコの同社既存工場敷地内にターボチャージャー工場を新設、ガソリン直噴エンジン向けターボ チャージャーの生産を2010年半ばに開始する計画。 (注) 1.BorgWarner のターボチャージャー事業は、欧州で買収した旧 Kuhnle, Kopp & Kausch (KKK) のターボ 事業と、米国で買収した Schwitzer の事業がベースになっている。KKK 買収 は1997年で、98年にターボ事 業を子会社化し、99年に Schwitzer を買収して統合した。なお、98年までは、旧石川島播磨重工業 (現 IHI) と提携していた。 2.ポーランド生産子会社名は BorgWarner Turbo Systems Poland Sp.z.o.o.。 IHI:Daimler と合弁のドイツ新工場が完成、2011年度には年産能力 100万基 Daimler と IHI は、合弁会社 IHI Charging Systems International GmbH (ICSI) のドイツターボチャージャー 工場 (Thuringen 州 Arnstadt) を2009年 4月に完工、開所式を行った。09年夏に、ディーゼルエンジン用とガソリ ンエンジン用ターボチャージャー生産を開始する計画。年産能力は、2011年度に 100万基とする計画。 ■イタリアの既存工場の年産能力も 40万基拡充、2011年度には 100万基に イタリアにある ICSI の既存のターボチャージャー工場も (ミラノ近郊・年産能力 60万基)、2011年度までに年産 能力を 40万基拡充して、100万基とする計画。 資料:IHI Press Release 09.4.23, その他 (注) ICSIは、2001年 6月、DaimlerChrysler (現 Daimler) が IHI のターボチャージャー子会社 IHI Turbo Germany GmbH に 49% 資本参加して設立された。ICSI のドイツ生産子会社は IHI Charging Systems International Germany GmbH (ICSI 100% 出資) で、08年 6月設立。イタリア生産子会社は IHI Charging Systems International S.p.A .(ICSI 100% 出資) で、95年設立。 出典:マークラインズ Copyright(C)MarkLines Co., Ltd. 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