電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) 12.飛行速度調整による時間管理の検討 航空交通管理領域 1. はじめに 将 来 の 航 空 交 通 管 理 ( ATM : Air ※福田 豊、白川 昌之、瀬之口 敦 2. 航空機の運航モデル Traffic 航空機の運航と燃料消費量について、航空機性 Management)の運用概念として、航空機のトラ 能モデルを使用して説明する。航空機性能モデル ジェクトリ(軌道)を計画し、それに基づいて運 は ユ ー ロ コ ン ト ロ ー ル の BADA ( Base of 航する軌道ベース運用(TBO:Trajectory Based Aircraft Data)を使用した[9]。BADA は、航空 Operation)が検討されている。航空機の軌道は、 機を質点としたエネルギー保存則に基づくモデ 飛行中および地上走行中の両方での 3 次元位置 ルである。 と時間を含む 4 次元の運動の記述である[1]。軌道 航空機の速度は、較正対気速度(Calibrated は、運航者の希望に基づき、気象条件など運航に Air Speed:CAS)、真対気速度(True Air Speed: 影響するさまざまな要素を考慮して生成され、コ TAS)、対地速度(Ground Speed:GS)の 3 種 ンフリクトや悪天の回避などに対応して修正さ 類に区分される。CAS は、ピトー静圧式速度計 れる。TBO により、航空機の出発から到着まで の速度に対気速度系統の誤差の補正を加えた速 を一元的に管理することができ、運航の効率性な 度で、コックピットの速度計に表示され、飛行操 どを向上することができる。 作に用いられる。TAS は、CAS に対して飛行高 電子航法研究所は、TBO を実現するための航 度における空気密度比および空気の圧縮性の影 空機の軌道を精密に生成する予測モデルを開発 響を修正した速度である。GS は、地表面に対す している。軌道予測モデルは、航空機性能データ、 る速度で、TAS に飛行経路に対する風速成分を 気象予報データなどを使用して、航空機の 4 次元 加算して求める。航空機は、飛行操作に使用され 軌道を生成する。また、予測モデルで生成した軌 る CAS またはマッハ数を一定にして飛行するこ 道を実運航データと比較して、位置予測の誤差解 とが多い。ここでマッハ数は音速との比で示した 析を実施している[2]-[6]。 航空機の速度である。 地球環境問題への対応から、排出ガスの低減、 航空機の運動計算には、航空機を質点としたエ 消費燃料の低減が望まれている。現在、首都圏空 ネルギー保存則に基づくモデルを使用する。これ 港への交通集中による到着機の滞留による飛行 は、航空機に作用する力(推力と抗力)の仕事率 距離の延伸が発生している[7]。電子航法研究所で が、機体の運動エネルギーと位置エネルギーの増 は TBO の時間管理により、事前に滞留が予測さ 加率と等しくなるモデルである。ここで、運動エ れる場合には、巡航中および降下中の飛行速度の ネルギーは速度、位置エネルギーは高度に対応す 減速により、消費燃料を節約する運用手法を検討 る。例えば、アイドル推力による CAS 一定の降 している[8]。 下では、推力、抗力、速度から降下率を算出する 本報告では、航空機の速度調整による時間管理 ことができる。抗力は速度、空気密度、航空機の の実現性と便益について検討する。初めに、航空 コンフィグレーション(フラップ、ランディング 機の運航と燃料消費量について、航空機の性能モ ギアの有無)などの関数となり、速度が増加する デルより説明する。次に、降下区間および巡航区 ほど抗力は大きくなる。また、推力と燃料消費率 間での速度調整による時間調整についてのシミ はほぼ比例する関係がある。 図 1 から図 3 に BADA で生成した航空機の軌 ュレーション結果を示し、経路延伸による滞留と 比較する。 道の高度、速度、燃料消費率の例を示す。航空機 - 63 - 高度(ft) 電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) CAS 一定速度の上昇から、マッハ数一定速度の 35000 30000 25000 20000 上昇に変化する。この例の遷移高度は 31,560 ft (9.62km,1 ft = 0.305 m)であり、この高度を 15000 10000 5000 0 通過した飛行時間 1,344 秒の時点から、TAS が 低下している。上昇時の燃料消費率は他の区間に 0 1,000 2,000 3,000 比べて大きい。 4,000 飛行時間(秒) 巡航中はマッハ数一定速度の飛行であり、推力 図 1 高度 は抗力とほぼ均衡する。 高度 33,000 ft(10.06 km) を、マッハ数 0.84(TAS に換算すると 490 kt(252 真対気速度(kt) 600 m/s, 1 kt = 0.514 m/s))で巡航中の重量 237.6 t 500 400 の航空機の運動エネルギーは 7.5 GJ、位置エネ 300 ルギーは 23.4 GJ、合計エネルギーは 31.0 GJ で 200 ある。運動エネルギーと位置エネルギーの割合は、 100 約 1:3 であり、位置エネルギーが大きい。 0 0 1,000 2,000 3,000 飛行時間(秒) 降下中は、アイドル推力により、位置エネルギ 4,000 ーを運動エネルギーに変えながら、グライダーの ように降下する。運航速度モデルでは、上昇と同 図 2 真対気速度(TAS) 燃料消費率(kg/min) 様に、高高度ではマッハ数一定速度、遷移高度以 下では CAS 一定速度が高度帯毎に定義されてい 350 300 250 200 150 100 る。アイドル推力のため、図 3 のように降下中の 燃料消費率は小さい。着陸前には、フラップやラ ンディングギアを使用するコンフィグレーショ ンとなり、抗力が増加するので、推力を増加させ、 50 0 燃料消費率も増加する。 0 1,000 2,000 3,000 4,000 この計算例の燃料消費量の合計値は 8,951 kg 飛行時間(秒) である。区間に分けると上昇区間が 6,050 kg、巡 図 3 燃料消費率 の型式は、大型機のボーイング 777-300(B773)、 重量は BADA の参照重量の 237.6 t とした。大気 モデルは標準大気を使用し、風は無風とした。横 軸は飛行時間を示す。離陸から着陸までの飛行時 間は 1 時間 4 分、飛行距離は 429 NM(795 km, 1 NM = 1.852 km)である。 航空機の上昇中は、推力と抗力の差分により、 位置エネルギーと運動エネルギーが増加する [10]。 BADA の運航速度モデルでは、上昇中の航空機 の CAS は、高度帯毎に一定速度が定義されてい る。CAS 一定速度の上昇においても、高度が上 昇するに従って空気密度が小さくなるため、図 2 のように TAS は増加する。さらに上昇して、高 度が CAS 基準の運航とマッハ数基準の運航の境 界の高度である遷移高度以上になった場合は、 航区間が 2,334 kg、降下区間が 566 kg であり, 割合ではそれぞれ 68%、26%、6%となる。 3. 降下区間と巡航区間の速度調整 3.1 経路延伸による時間調整 航空機の目的空港が混雑している場合に、着陸 待ちのため、空中で時間調整をすること(滞留) がある。通常、航空管制官からのレーダ誘導の管 制指示により、経路を延伸し、滞留することが多 い。第 2 章の例に対して、滞留時の燃料消費量を 推定する。航空機は滞留のために、降下区間の途 中に高度 15,000 ft で CAS 310 kt の水平飛行を し、その後は再びアイドル推力で降下する。この 水平飛行区間の TAS は 383 kt、燃料消費率は 131.8 kg/min である。仮に 5 分間の滞留をこの 水平飛行により実現する場合の燃料消費量の増 - 64 - 電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) 最大速度 最小速度 標準速度 失速速度 40000 高度(ft) 30000 高度(ft) 250 260 270 280 290 300 310 30000 20000 20000 10000 10000 0 0 0 100 200 CAS(kt) 300 0 400 図 4 速度調整範囲(CAS) 最大速度 最小速度 200 CAS(kt) 300 400 図 6 速度調整モデル 標準速度 失速速度 310 kt 30000 高度(ft) 40000 30000 高度(ft) 100 20000 20000 250 kt 10000 250 260 270 280 290 300 310 10000 0 280 300 320 340 360 380 400 420 440 飛行距離(NM) 0 0 100 200 300 400 TAS(kt) 500 600 図 5 速度調整範囲(TAS) 図 7 降下区間の軌道 加分は 659 kg、延伸する経路長は 32 NM である。 加速する速度調整範囲は小さいが、減速する速度 また、10 分間の滞留の場合は、それぞれ 1,318 kg、 調整範囲は大きい。また、高度 10,000ft 以下で 64 NM となる。 は CAS が 250 kt 以下とする運用上の制限がある。 巡航高度 33,000 ft から高度 1,000 ft までの降 3.2 降下区間の速度調整による時間調整 下区間における飛行時間、飛行距離、燃料消費量 航空機の降下区間で速度を調整し、時間調整す を比較する。図 6 のとおり、高度 33,000 ft から る方法を検討する。航空機の降下区間では、第 2 10,000 ft の区間において、CAS を 310 kt から 章の例のとおり、アイドル推力の降下とする。降 250 kt まで 10 kt 毎に変化させ、飛行軌道を生成 下速度を変更した場合の飛行時間と燃料消費量 した。高度 10,000 ft 以下では標準速度とした。 を求める。 航空機が降下中に減速する場合には、降下率を 図 4 と図 5 に BADA に基づく航空機の降下速 低減させたり、水平飛行区間を飛行することによ 度の調整幅の例を示す。図 4 は CAS を示し、図 り減速する [12]。今回のシミュレーションでは、 5 はそれを変換した TAS を示す。最大速度、最 モデルを簡易化するため、速度の変更時間は、瞬 小速度、失速速度は BADA の飛行性能データか 間的に変化するとし、この遷移区間は省略した。 ら、標準速度は運航速度モデルから算出した。航 図 7 に降下区間の軌道を示す。CAS を低減す 空機の最小速度は、失速速度に安全率を加えて設 ると、抗力が小さくなるので、飛行距離が長くな 定される。また、最大速度は型式毎に CAS とマ る。この点を考慮して、図では全区間の飛行距離 ッハ数が決められている。全体的に標準速度より が 429 NM に等しくなるように、降下開始点 - 65 - 電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) ⾲㸯 㝆ୗ㏿ᗘࡢẚ㍑ CAS (kt㸧㻌 㣕⾜ 㛫 㸦⛊㸧㻌 㣕⾜ 㛫ᕪ 㸦⛊㸧㻌 㣕⾜ ㊥㞳 㸦NM㸧 㣕⾜ ㊥㞳ᕪ 㸦NM㸧 㝆ୗ ⇞ᩱ ᾘ㈝㔞 (kg)㻌 ᕠ⯟ ⿵ṇ ⇞ᩱ 㸦kg)㻌 ⇞ᩱ ᾘ㈝㔞 ྜィ (kg)㻌 ⇞ᩱ ⠇⣙㔞 (kg)㻌 250㻌 1,635㻌 290㻌 139.6㻌 10.7㻌 664.8㻌 -182.8 482.0㻌 -84.2㻌 260㻌 1,588㻌 243㻌 138.9㻌 10.0㻌 648.6㻌 -170.5 478.0㻌 -88.2㻌 270㻌 1,539㻌 194㻌 137.6㻌 8.7㻌 631.6㻌 -148.5 483.1㻌 -83.2㻌 280㻌 1,489㻌 144㻌 135.9㻌 6.9㻌 614.3㻌 -118.7㻌 495.6㻌 -70.7㻌 290㻌 1,440㻌 95㻌 133.8㻌 4.9㻌 599.1㻌 -83.3㻌 515.9㻌 -50.4㻌 300㻌 1,391㻌 46㻌 131.4㻌 2.5㻌 571.9㻌 -42.6㻌 529.3㻌 -37.0㻌 310㻌 1,345㻌 0㻌 128.9㻌 0.0㻌 566.2㻌 0.0㻌 566.2㻌 0.0㻌 㸦TOD㸸Top of Descent㸧ࡢ⨨ࢆಟṇࡋࡓࠋ ᾘ㈝⋡ࡀኚࡍࡿࠋ ⾲ 1 ྛ㏿ᗘ࠾ࡅࡿ㣕⾜㛫ࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࢆ ᅗ 8 TAS ⇞ᩱᾘ㈝⋡ࡢ㛵ಀࢆ♧ࡍࠋᕠ⯟ ♧ࡍࠋCAS ࢆపῶࡍࡿࠊ㝆ୗ༊㛫ࡢ㣕⾜㛫 ㏿ᗘࡣ࣐ࢵࣁ 0.85 ࡽ࣐ࢵࣁ 0.70 ࡲ࡛ 0.01 ้ 㣕⾜㊥㞳ࡣ㛗ࡃ࡞ࡿࠋ㣕⾜㛫ࡢᕪࡣ᭱ 290 ࡳኚࡉࡏࡓࠋB773 ࡢᕠ⯟༊㛫ࡢࣇࣛࢺ࢚ ⛊ࠊ㣕⾜㊥㞳ࡢᕪࡣ᭱ 10.7 NM ࡛࠶ࡿࠋ⾲㸯 ࣮ࣥ࣋ࣟࣉࡣࠊᅗ 4 ࡢ㝆ୗ༊㛫ྠᵝࠊ᭱㏿ ࡛ࡣࠊᶆ‽㏿ᗘ CAS 310kt ࢆᇶ‽ࡋࡓᕪศࢆ ᗘ࣐ࢵࣁ 0.89 ࡲࡓࡣ CAS 330 ktࠊ᭱ᑠ㏿ᗘࡣ ♧ࡍࠋ CAS 208kt ࡛࠶ࡿࠋᕠ⯟㧗ᗘ 33,000 ft ࠾ࡅࡿ 㝆ୗ༊㛫ࡢ⇞ᩱᾘ㈝⋡ࡣࢻࣝ᥎ຊࡢࡓࡵࠊ ࣐ࢵࣁ 0.70 ࡣ CAS ⟬ࡍࡿ 246 kt ࡞ࡾࠊ ㏿ᗘࡣ౫Ꮡࡋ࡞࠸ࠋࡑࡢࡓࡵࠊప㏿ࡢሙྜࡣ㝆 ࣇࣛࢺ࢚࣮ࣥ࣋ࣟࣉࡢ⠊ᅖෆ࡞ࡿࠋ㏿ᗘࡀ㐜 ୗ༊㛫ࡢ㣕⾜㛫ࡀ㛗ࡃ࡞ࡿࡇࡼࡾࠊ⇞ᩱᾘ ࠸࠺ࡀᢠຊࡀᑠࡉࡃ࡞ࡾࠊࡑࢀ㔮ࡾྜ࠺᥎ຊ ㈝㔞ࡣቑຍࡍࡿࠋణࡋࠊప㏿ࡢሙྜࡣࠊ㝆ୗ༊㛫 ࡀᑠࡉࡃ࡚ࡼ࠸ࡢ࡛ࠊ⇞ᩱᾘ㈝⋡ࡀᑡ࡞࠸ࠋ ࡢ㣕⾜㊥㞳ࡀ㛗ࡃ࡞ࡿศࠊTOD ࡢ⨨ࢆኚ᭦ࡋࠊ ᅗ 9 TAS ⯟⥆⋡㸦SR㸸Specific Range㸧 ᕠ⯟༊㛫ࢆ▷⦰ࡍࡿࡇࡀ࡛ࡁࡿࠋ⾲ 1 ࡛ࡣࠊᕠ ࡢ㛵ಀࢆ♧ࡍࠋ⯟⥆⋡ࡣ༢⇞ᩱᙜࡾࡢ㣕⾜㊥㞳 ⯟⿵ṇ⇞ᩱࡀᕠ⯟༊㛫࡛ࡢ⇞ᩱ⠇⣙ศࢆ♧ࡍࠋࡇ ࡛ᐃ⩏ࡉࢀࡿࠋ㏿ᗘࡀ㐜࠸࠺ࡀ⇞ᩱᾘ㈝⋡ࡀᑡ ࡢᩘ್ࡣࠊ㝆ୗ༊㛫࡛ࡢ㣕⾜㊥㞳ࡢᕪศࢆᕠ⯟༊ ࡞ࡃ࡞ࡿࡀࠊ༢㛫ᙜࡓࡾࡢ㣕⾜㊥㞳ࡶᑠࡉࡃ 㛫ࡢ㏿ᗘ࣐ࢵࣁ 0.84㸦TAS 489 kt㸧࡛ࡾࠊᕠ ࡞ࡿࠋ⯟⥆⋡ࡢ್᭱ࡣࠊ࣐ࢵࣁ 0.81 ࡢሙྜ࡛ ⯟༊㛫ࡢ⇞ᩱᾘ㈝⋡ 139.5 kg/min ࢆࡅ࡚ࠊ⠇ ࠶ࡿࠋࡇࡢ㏿ᗘࡀ㣕⾜㊥㞳ᑐࡋ࡚⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡀ ⣙࡛ࡁࡿ⇞ᩱᾘ㈝㔞ኚࡋࡓࠋ㝆ୗ⇞ᩱᾘ㈝ ᭱ࡶᑡ࡞ࡃ࡞ࡿࠋ 㔞ᕠ⯟⿵ṇ⇞ᩱࢆຍ⟬ࡋࡓࡶࡢࡀࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞 ᕠ ⯟ ࡣ ࠊ ⯟ ⥆ ⋡ ࡀ ᭱ ࡞ ࡿ MRC ྜィ್࡛࠶ࡿࠋࡇࢀࡣࠊCAS ࡀ 260 kt ࡢ᭱ 㸦 Maximum Range Cruise 㸧 LRC 㸦 Long ᑠ್࡞ࡾࠊᶆ‽㏿ᗘ 310 kt ẚ㍑ࡋ࡚ࠊ88 kg Range Cruise㸧ࡢ࣮ࣔࢻࡀ࠶ࡿ [11]ࠋLRC ࡣࠊ ⠇⣙࡛ࡁࡿࠋ ᕠ⯟༊㛫ࡢ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ㛫ㄪᩚ MRC ẚ࡚ SR ࡀ 1%పୗࡍࡿࡀࠊ㏿ᗘࡀ 3㹼 5%ቑຍࡍࡿࡓࡵࠊ㣕⾜㛫ᾘ㈝⇞ᩱࢆ⪃៖ࡍ ࡿຠ⋡ⓗ࡞㐠⯟࡞ࡿࠋ㣕⾜⟶⌮ࢩࢫࢸ࣒ ⯟✵ᶵࡢᕠ⯟༊㛫࡛㏿ᗘࢆㄪᩚࡋࠊ㛫ㄪᩚࡍ 㸦FMS㸸Flight Management System㸧ࡢࢥࢫࢺ ࡿ᪉ἲࢆ᳨ウࡍࡿࠋᕠ⯟༊㛫࡛ࡣ㏿ᗘࡼࡾ⇞ᩱ ࣥࢹࢵࢡࢫ CI ᇶ࡙ࡃ⤒῭㏿ᗘࡣࡇࡢ⪃࠼᪉ - 66 - 電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) 㻞㻤㻡㻜 㻝㻠㻡 㻞㻤㻜㻜 㻝㻠㻜 㣕⾜㛫䠄⛊䠅 ⇞ᩱᾘ㈝⋡䠄㼗㼓㻛㼙㼕㼚䠅 㻹㻚㻤㻡 㻝㻟㻡 㻝㻟㻜 㻝㻞㻡 㻹㻚㻣㻜 㻞㻣㻡㻜 㻞㻣㻜㻜 㻞㻢㻡㻜 㻞㻢㻜㻜 㻞㻡㻡㻜 㻞㻡㻜㻜 㻹㻚㻤㻡 㻞㻠㻡㻜 㻝㻞㻜 㻠㻜㻜 㻠㻞㻜 㻠㻠㻜 㻠㻢㻜 㼀㻭㻿㻔㼗㼠㻕 㻠㻤㻜 㻠㻜㻜 㻡㻜㻜 ᅗ 8 TAS ⇞ᩱᾘ㈝⋡ࡢ㛵ಀ 㻠㻞㻜 㻠㻠㻜 㻠㻢㻜 㼀㻭㻿㻔㼗㼠㻕 㻠㻤㻜 㻡㻜㻜 ᅗ 10 TAS 㣕⾜㛫ࡢ㛵ಀ 㻜㻚㻜㻡㻥㻜 㻤㻠㻞㻜 㻹㻚㻣㻜 㻜㻚㻜㻡㻤㻡 㻹㻚㻤㻡 㻤㻠㻜㻜 㻜㻚㻜㻡㻤㻜 ⇞ᩱᾘ㈝㔞䠄㼗㼓䠅 ⯟⥆⋡䠄㻺㻹㻛㼗㼓䠅 㻹㻚㻣㻜 㻹㻚㻤㻡 㻜㻚㻜㻡㻣㻡 㻜㻚㻜㻡㻣㻜 㻜㻚㻜㻡㻢㻡 㻜㻚㻜㻡㻢㻜 㻤㻟㻤㻜 㻤㻟㻢㻜 㻤㻟㻠㻜 㻤㻟㻞㻜 㻹㻚㻣㻜 㻜㻚㻜㻡㻡㻡 㻤㻟㻜㻜 㻠㻜㻜 㻠㻞㻜 㻠㻠㻜 㻠㻢㻜 㼀㻭㻿㻔㼗㼠㻕 㻠㻤㻜 㻡㻜㻜 㻠㻜㻜 ᅗ 9 TAS ⯟⥆⋡ࡢ㛵ಀ 㻠㻞㻜 㻠㻠㻜 㻠㻢㻜 㼀㻭㻿㻔㼗㼠㻕 㻠㻤㻜 㻡㻜㻜 ᅗ 11 TAS ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡢ㛵ಀ ࢆᣑᙇࡋࡓࡶࡢ࡛࠶ࡾࠊMRC ㏿ᗘ௨ୖ࡛ LRC ࡿࠋ ㏿ᗘ㏆ࡢ㏿ᗘ⠊ᅖࡽ CI ᛂࡌࡓ㏿ᗘࢆ⟬ฟ ࡍࡿࠋCI ࡣ㣕⾜㛫⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡢ㔜ࡳࡅࢆ ␃ᡭἲࡼࡿ⇞ᩱᾘ㈝㔞ẚ㍑ ᣦᐃࡍࡿಀᩘ࡛࠶ࡾࠊ㛫ࢥࢫࢺ¹⇞ᩱࢥࢫࢺࢆ ⯟✵ᶵࡀ⣙ 5 ศ㛫࠾ࡼࡧ⣙ 10 ศ㛫ࡢ␃ࢆࡍ ♧ࡍࠋCI ࢆ 0 タᐃࡋࡓሙྜࡣࠊ⇞ᩱࢥࢫࢺࡀ ࡿᚲせࡀ࠶ࡿሙྜ࠾࠸࡚ࠊ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ㛫 ᭱ᑠ࡞ࡿ MRC ୍⮴ࡍࡿࠋ ㄪᩚ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࢆẚ㍑ࡍࡿࠋ 5 ศ㛫ࡢ␃ࡢሙྜࡣࠊ㏻ᖖ㏿ᗘ࡛⤒㊰ࢆᘏఙ ᅗ 10 㞳㝣ࡽ TOD㸦300 NM㸧ࡲ࡛ࡢୖ᪼ ༊㛫ᕠ⯟༊㛫ࡢྜィ㣕⾜㛫ࢆ♧ࡍࠋࡇࡇ࡛ࡣࠊ ࡍࡿ᪉ἲ࡛ࡣ➨ 3.1 ⠇ࡢ࠾ࡾ 659 kg ⇞ᩱᾘ㈝ 㑄⛣㧗ᗘ௨ୖࡢୖ᪼༊㛫ᕠ⯟༊㛫ࡢ࣐ࢵࣁᩘ 㔞ࡀቑຍࡍࡿࠋᕠ⯟༊㛫ࡢ㏿ᗘㄪᩚ࡛ࡣࠊ➨ 3.3 ࢆኚ᭦ࡋࠊ㌶㐨ࢆ⏕ᡂࡋࡓࠋୖ᪼༊㛫ࡢ CAS ࡣ ⠇ࡢ࠾ࡾ㏿ᗘࢆ࣐ࢵࣁ 0.70 ῶ㏿ࡍࡿࡇ ඹ㏻ࡋࡓࠋ࣐ࢵࣁ 0.70 ࡛㣕⾜ࡋࡓሙྜࡣࠊᶆ ࡼࡾࠊ฿╔้ࢆ 288 ⛊㐜ࡃࡍࡿࡇࡀ࡛ࡁࡿࠋ ‽ࡢ࣐ࢵࣁ 0.84 ẚ㍑ࡋ࡚ࠊ㣕⾜㛫ࡀ 288 ⛊ ణࡋࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡣ 29kg ቑຍࡍࡿࠋࡲࡓࠊ㝆ୗ 㐜ࡃ࡞ࡿࠋ ༊㛫ࡢ㏿ᗘㄪᩚ࡛ࡣࠊ➨ 3.2 ⠇ࡢ࠾ࡾ CAS ࢆ ᅗ 11 㞳㝣ࡽ TOD ࡲ࡛ࡢ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࢆ♧ 250 kt ῶ㏿ࡋ࡚㝆ୗࡍࡿࡇࡼࡾࠊ฿╔ ࡍࠋᶆ‽㏿ᗘẚ㍑ࡋ࡚ࠊ㏿ᗘࡀ㐜ࡃ࡞ࡿ⇞ ้ࢆ 290 ⛊ࡢ㐜ࡃࡍࡿࡇࡀ࡛ࡁࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞 ᩱᾘ㈝⋡ࡣῶᑡࡍࡿࡓࡵࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡀῶᑡࡋࠊ ࢆ 84 kg ⠇⣙࡛ࡁࡿࠋ㝆ୗ༊㛫࡛㏿ᗘࢆῶ㏿ࡍࡿ ࣐ࢵࣁ 0.77 ࡛᭱ᑠ್࡞ࡿࠋࡑࢀ௨ୗࡢ㏿ᗘ࡛ ㏿ᗘㄪᩚࡣࠊ⤒㊰ᘏఙ࡛ࡢ␃ẚ㍑ࡋ࡚ࠊ୧⪅ ࡣࠊ㣕⾜㛫ࡀቑຍࡍࡿᙳ㡪ࡀࡁࡃ࡞ࡾࠊ⇞ᩱ ࡢ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡢቑῶࡢࡢ 743 kg ࡀ⠇⣙࡛ࡁࡿࠋ ᾘ㈝㔞ࡣቑຍࡍࡿࠋᶆ‽㏿ᗘࡢ࣐ࢵࣁ 0.84 ẚ ␃࡞ࡋࡢሙྜࡢᶆ‽㣕⾜㛫 1 㛫 6 ศࠊ⇞ᩱ ㍑ࡋ࡚ࠊ࣐ࢵࣁ 0.77 ࡛ࡣࠊ63 kg ᾘ㈝⇞ᩱࡀῶ ᾘ㈝㔞 8,951 kg ẚ㍑ࡍࡿࠊ5 ศ㛫ࡢ␃ࡢ ᑡࡋࠊ࣐ࢵࣁ 0.70 ࡛ࡣ 29 kg ᾘ㈝⇞ᩱࡀቑຍࡍ ሙྜࡢ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡢ⠇⣙ࡢྜ - 67 - 電子航法研究所研究発表会(第 11 回平成 23 年6月) ࡣ⣙ 8.3 %࡛࠶ࡿࠋ [2] ⓑᕝ, ⚟⏣, ℩அཱྀ㸪͆⯟✵ᶵᛶ⬟ࣔࢹࣝࢆ 10 ศ㛫ࡢ␃ࡢሙྜࡣࠊ⤒㊰ᘏఙࡢ␃࡛ࡣࠊ ⏝࠸ࡓ⯟✵ᶵ㌶㐨ண ͇, ಙᏛᢏሗ SANE 2008-99㸪2009 ᖺ 1 ᭶ 1,318 kg ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡀቑຍࡍࡿࠋ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ 㛫ㄪᩚ࡛ࡣࠊᕠ⯟༊㛫࡛࣐ࢵࣁ 0.70 ῶ㏿ࡋࠊ [3] ⓑᕝ, ⚟⏣, ℩அཱྀ㸪͆⯟✵ᶵᛶ⬟ࢹ࣮ࢱࢆ 㝆ୗ༊㛫࡛ CAS 250 kt ῶ㏿ࡍࡿ୧᪉ࢆᐇ ⏝࠸ࡓ㌶㐨ࣔࢹࣝㄗᕪ᥎ᐃ,㟁Ꮚ⯟ἲ◊✲ᡤ ࡍࡿࡇࡼࡾࠊ578 ⛊㐜ࡃࡍࡿࡇࡀ࡛ࡁࠊ ◊✲Ⓨ⾲ㅮ₇ᴫせ͇㸪2009 ᖺ 6 ᭶ ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡣ 55 kg ⠇⣙࡛ࡁࡿࠋ୧⪅ࢆẚ㍑ࡍࡿ [4] ⓑᕝ, ⚟⏣, ℩அཱྀ㸪͆⯟✵ᶵ㌶㐨ண ࠾ ࠊ㏿ᗘㄪᩚࡀ⤒㊰ᘏఙẚ㍑ࡋ࡚ 1,373 kg ࡢ ࡅࡿㄗᕪせᅉࡢゎᯒ͇, ಙᏛᢏሗ SANE ⇞ᩱࢆ⠇⣙࡛ࡁࡿࠋ 2009-167㸪2010 ᖺ 2 ᭶ [5] ⚟⏣㸪ⓑᕝ㸪℩அཱྀ㸪͆ࢺࣛࢪ࢙ࢡࢺࣜண ᳨ウㄢ㢟 ࡢㄗᕪせᅉゎᯒ͇㸪㟁Ꮚ⯟ἲ◊✲ᡤ◊✲Ⓨ⾲ ㅮ₇ᴫせ㸪2010 ᖺ 6 ᭶ ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ␃ࡢᐇࡢࡓࡵࡣࠊΰ㞧✵ ࠾ࡅࡿ⯟✵ᶵࡢ฿╔้ࢆ᪩ᮇࡢẁ㝵࡛ィ [6] ⚟⏣㸪ⓑᕝ㸪℩அཱྀ㸪͆ࢺࣛࢪ࢙ࢡࢺࣜண ⏬ࡍࡿᚲせࡀ࠶ࡿࠋ⯟✵ᶵࡢ฿╔้ࡢィ⏬ࡣࠊ ࣔࢹࣝࡢ㛤Ⓨ͇㸪➨ 48 ᅇ㣕⾜ᶵࢩ࣏ࣥࢪ࣒࢘㸪 AMAN ࡤࢀࡿ฿╔⟶⌮ࢩࢫࢸ࣒ࡀ◊✲㛤Ⓨ 2010 ᖺ 11 ᭶ ࡉࢀ࡚࠸ࡿ[13]ࠋ㝆ୗ༊㛫࡛㏿ᗘㄪᩚࢆᐇࡍࡿ [7] ⚟⏣㸪ⶱᒣ㸪ᒣᮏ㸪ᐑὠ㸪⾜ᮌ㸪͆㐠⯟ᐇ⦼ ሙྜࡣࠊTOD ࡢ๓ࡢⅬ࡛╔㝣ࡢ⣙ 20 ศ๓ࠊࡲ ࢹ࣮ࢱࡼࡿ㣕⾜㊥㞳ࡢ ᐃᡭἲࡢ᳨ウ͇㸪 ࡓࠊᕠ⯟༊㛫࡛ࡢ㏿ᗘㄪᩚࡢሙྜࡣࠊᕠ⯟㛫ࢆ 㟁Ꮚ⯟ἲ◊✲ᡤ◊✲Ⓨ⾲ㅮ₇ᴫせ㸪2007 30 ศࡍࡿࠊ╔㝣ࡢ⣙ 50 ศ๓࡞ࡿࠋࡇࡢࡼ ᖺ6᭶ ࠺࡞ィ⏬ࡢࡓࡵࡣࠊ⯟✵ᶵࡢṇ☜࡞㌶㐨ண [8] ⚟⏣㸪ᒸ㸪ᒣᮏ㸪͆㛫⟶⌮ᡭἲࡢホ౯ࢩࢫ ไᚚᢏ⾡ࠊ᪂ࡋ࠸㐠⏝࣮ࣝࣝࡢసᡂࠊ㛵ಀ⪅࡛ࡢ ࢸ࣒ࡢ㛤Ⓨ͇㸪㟁Ꮚ⯟ἲ◊✲ᡤ◊✲Ⓨ⾲ㅮ ሗඹ᭷ࡍࡿࡓࡵࡢሗ㏻ಙᇶ┙ࡀᚲせ࡛࠶ࡿࠋ ₇ᴫせ㸪2008 ᖺ 6 ᭶ [9] Eurocontol Experimental Center 㸪͆ User ࠾ࢃࡾ Manual for the Base of Aircraft Data ᮏሗ࿌࡛ࡣࠊ⯟✵ᶵࡢ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ㛫⟶⌮ (BADA), revision 3.7 ͇ 㸪 EEC ࡢᐇ⌧ᛶ౽┈ࡘ࠸᳨࡚ウࡋࡓࠋึࡵࠊ⯟✵ Technical/Scientific Report No.2008-0003, ᶵࡢ㐠⯟⇞ᩱᾘ㈝㔞ࡘ࠸࡚ࠊ⯟✵ᶵࡢᛶ⬟ࣔ March 2009. ࢹࣝࡼࡾㄝ᫂ࡋࡓࠋḟࠊ㝆ୗ༊㛫࠾ࡼࡧᕠ⯟༊ [10] ⓑᕝ㸪⚟⏣㸪℩அཱྀ㸪͆⯟✵ᶵࡢᆶ┤㌶㐨 㛫࡛ࡢ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ㛫ㄪᩚࡘ࠸࡚ࢩ࣑ࣗ ࡘ࠸࡚ࡢ୍⪃ᐹ͇㸪➨ 48 ᅇ㣕⾜ᶵࢩ࣏ࣥࢪ࢘ ࣮ࣞࢩࣙࣥ⤖ᯝࢆ♧ࡋࠊ⤒㊰ᘏఙࡼࡿ␃ẚ ࣒㸪2010 ᖺ 11 ᭶ ㍑ࡋࡓࠋ㏿ᗘㄪᩚࡼࡿ㛫ㄪᩚࡀ⤒㊰ᘏఙࡼ [11] Roberson, “Fuel Conservation Strategies: ࡿ␃ẚ㍑ࡋ࡚ࠊ⇞ᩱᾘ㈝㔞ࢆపῶ࡛ࡁࡿࡇ Cruise Flight”, Boeing Aero Quarterly ࡀࢩ࣑࣮ࣗࣞࢩࣙࣥࡼࡾ☜ㄆ࡛ࡁࡓࠋ qtr_04 | 07, 2007 ᚋࡣࠊࡼࡾ⌧ᐇⓗ࡞㐠⯟ࢆᐃࡋࡓ⇞ᩱᾘ㈝ [12] ⚟⏣㸪ⓑᕝ㸪℩அཱྀ㸪✄Ἴ㸪Ṋᕷ͆⥅⥆㝆 㔞ࡢẚ㍑ࠊᑗ᮶ࡢ⯟✵㏻ࢩࢼࣜ࢜ᇶ࡙ࡃ㛫 ୗ㐠⏝㸦CDO㸧ࡘ࠸࡚͇㸪᪥ᮏ⯟✵ᏱᐂᏛ ⟶⌮ࡢࢩ࣑࣮ࣗࣞࢩࣙࣥࠊ㛫⟶⌮ࡢไᚚᡭἲࡢ ➨ 42 ᮇᖺㅮ₇㸪2011 ᖺ 4 ᭶ ᳨ウࢆ㐍ࡵࡿணᐃ࡛࠶ࡿࠋ [13] Eurocontol 㸪͆ AMAN Status Review 2010͇㸪Edition Number: 0.1, Dec. 2010. ཧ⪃ᩥ⊩ [1] ICAO㸪͆Global Air Traffic Management Operational Concept ͇ 㸪 ICAO Doc 9854AN/458, 2005. - 68 -
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