映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」 2009年3月7日より全国東宝系にて公開中出演：竹内結子、阿部　寛、堺　雅人ほか監督：中村義洋原作：海堂　尊（宝島社刊） http://general-rouge.jp/ © 映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」製作委員会力を得るほうが医療の流れの中で極めて素直ですね。海堂　医療のエンドポイントにAiを置くという普遍的な制度を作ることで司法の経費とすることも可能なんですよ。医療費は生きている人に対する治療に使うお金です。Aiは死んだ人の検査ですから医療費外からの拠出をもらう。死んだ方の検査は医療ではなく医学ですからね。その分離点をはっきりすれば司法と医療の分離だってできる。それから、Aiは医療事故関連に関する死因究明制度の確立にも密接に関わっています。今大問題になっている「医療事故調査委員会」だって簡単に決着するんですよ。Aiセンターを医療のエンドポイントで作り、解剖の前にワンクッションを入れる。そのときに、遺族とのコンタクトもできるんです。医療事故問題の大半は感情のもつれですから、Aiの画像を見せて中立的に説明すればかなり改善するはずです。つまり、Aiシステムを放射線科がきっちり作って頂ければ、医療界が抱える多くの問題を解決することになる。そして、医療全体に対する大義にもなる。中島　放射線科医がリーダーシップをとって投げかけていくのは1つの方策かもしれませんね。海堂　法医の先生方をコントロールするよりも、臨床のエンドポイントとなるように活動していく方が現実的だし、はるかに楽です。Aiセンターを作り法医に画像診断を遠隔で吸い上げるような形で協力すれば、日医放が考えるセンター化とも一致するわけですよ。そこで、一歩進めて、Aiを15歳以下の小児死亡例全例に行うんです。社会的コンセンサスは簡単に得られると思います。その際、医療費からの拠出が求められても、当然医療費外であると訴えていくべきなんです。もう1つのチャンスは、5月から始まる裁判員制度。この制度上で、最終的に Aiの診断結果の提示が義務づけられると、放射線科が関与せざるを得なくなる。でも、死因究明に関しては法医学会がメインで放射線科は解剖のお手伝い、という枠組みができた後ではそれからのお裾分けですから、うまく回るわけがない。法医としては、Aiをやれば鑑定料の上乗せにはなる。法医学者は表向きにはAiの有用性をアピールしながら画像診断機を買って撮るけれども、読影しないで解剖によって死因究明を行う、といった事態も起こり得るんです。放射線科は「診断」のプロフェッショナルだ! 中島　社会に対してのイメージ作りは一番大切だと思いますね。海堂　もはや情報戦の領域になってきたということです。そこで最終ポイントは経済資源の配分争いです。Aiの費用海堂　尊先生の新刊情報を究明せよ！『極北クレイマー』朝日新聞出版（本体1,600円）週刊朝日の連載小説が待望の単行本化。 rin tin N ow P が途中で搾取され診断医に入らないシステムは、Aiの質、診断の質の低下に直結します。しかし、まだ放射線科の先生はAiは厄介な仕事が増えるという認識だと思うんですよね。中島　自信がないんだと思います。我々が危惧しているのは診断経験のない放射線科医が診断すること。だから教育を徹底したい。メディアの方にも、画像診断は主治医ではなく放射線科医がやってるんだということをアピールしてほしいです。「画像診断=放射線科」というイメージがないからAiにも響くんです。海堂　逆に言うとアピールする機会もない。中島　「放射線科医=放射線治療」ってイメージが強いんです。海堂　Aiの論争で日医放が全面に出てくださると、そういった認知に繋がると思います。私の小説の感想とか聞くと、「今まで読んだこともない」みたいな声が多いです。医療界以外の文壇の人が取材してもあそこまで書けない。登場するのは外科や内科の主治医なんですよね。中島　病理医や画像診断医をクローズアップして、一般の病院の診療の中での役割を知ってもらいたいですね。海堂　ええ。画像診断医と病理医の共通点は診断ですよ。「診断復権」っていうのを大きなテーマにしたいですね。日本医学放射線学会における Ai関連講演の予定日本放射線医学会総会合同特別講演「Aiは医療、そして社会制度の基盤になる」日　時：4月18日（土） 10：00～11：30 会　場：パシフィコ横浜・国立大ホールシンポジウム7 「医療におけるAutopsy Imaging」日　時：4月19日（日） 8：00～10：00 会　場：パシフィコ横浜・メインホール g JCR2009年ミッドサマーセミナー日　時：7月18日（土）、 19日（日）会　場：神戸ポートピアホテルカレントトピックスにて講演予定 3