プレスリリース 2014年5月10日 倭人欧州へ到来の図 若手日本人作家グループ展 出展作家:片岡純也、 渡邊万莉菜、佐藤恵美、上田奈央子、岩竹理恵、前澤妙子 キュレーター:渡邊万莉菜、岡村万里絵 2014年6月5日(木) - 7日(土)11時 - 19時 パリ国際大学都市 日本館 7C Boulevard Jourdan 75014 PARIS www.maisondujapon.org オープニング レセプション 日付 2014年6月5日 時間 18時 - 21時 image : © Marina WATANABE 若手日本人作家グループ展「倭人欧州へ到来の図」開催にあたって この度、日本館に居住しパリで美術を学ぶ学生たちを中心に、美術展覧会を開催する 運びとなりました。会場は、エコール・ド・パリの代表作家である藤田嗣治の描いた 「欧人日本へ到来の図」がその壁面を飾る大サロンです。藤田がパリで活躍した時代か らおよそ100年、今の若い美術作家達が今パリで何を感じ、何を表現しようとしている か、この展覧会を機に御高覧頂ければ幸いです。私はフランス近世の美術を学ぶ研究者 ですが、これを最初の機会に展覧会やコンサートなどを通して、日本館を日仏文化の交 流の場として活性化させていきたいと思います。今後とも皆様の御理解と御協力を宜し く御願い申し上げます。 パリ国際大学都市日本館館長 大野芳材 Maison du Japon, Cité Internationale Universitaire de Parisとは パリ国際大学都市、現代のカルフール フランス首都圏の高等教育・研究機関に在籍する世界各国の学 生や研究者に対する宿舎提供と文化・学術交流の推進を目的とし た学術施設として、当時の文部大臣アンドレ・オノラ氏の提唱に より1925年パリ14 区に創設されました。34ヘクタールという広大 な敷地に国際色豊かな宿舎が散在する中、政府管掌の非直轄館の 一つとして、日本館はユニークな建築様式を誇っています。 パリ国際大学都市日本館、「 摩館」の精神と使命再び 当時駐日フランス大使であった詩人・劇作家のポール・クロー デルによる日本館建設提唱に対し、日本人実業家の 摩治郎八氏 が 350 万フラン (当時)の私財を投じ1929年に建設、大学都市に 寄贈された寄宿施設であり、後にフランス政府からレジオン・ド ヌール勲章が与えられた同氏の名をとって「 摩館」と呼ばれて います。日本古来の城廓を模した地上 7 階・半地下 1 階の建物 は、フランス人建築家ピエール・サルドゥーの設計によるもので す。国際大学都市に建設された6番目の学生寮であり、また同都市 に居を構える数少ないアジア圏のメゾンである日本館は、1920年 代におけるフランスと日本の学術・文化・科学技術面での交流の 姿の反映であると言えます。パリに滞在した日本人芸術家を始め 様々な芸術分野への支援を惜しまず、日本館創設に際し日仏両国 © Maison du Japon, CIUP の文化振興を願った「バロン 摩」の想いを受けて、「 摩館」 は今後もより一層の国際的な文化芸術の振興と交流に尽力すべく 意欲的な活動を続けます。 展覧会概要 二つの「到来の図」 開館当初の大サロン © Harlingue-Viollet 大戦間に建設された日本館は、城郭を模したその外観と共に、出資者である 摩氏と親交 の深かった藤田嗣治による2枚の壁画を所蔵する事で知られています。藤田は1920年代のパリ で描いた裸婦や猫をモチーフとするタブローで有名ですが、1920年代末から1930年代に壁画 の大作を複数手がけています。中でも1929年に日本館大サロンを飾るべく制作した「欧人日 本へ到来の図」は、西洋絵画技法を専門とする画家が初めて大作群像画に正面から挑んだ点 でその画業における転換期を象徴する作品であると共に、注文画ながら藤田が異国で初めて 取り組んだ日本表象であり、また近世初期の南蛮屛風を除けば、日本美術の歴史において数 少ない国際交流の光景を主題とする作品の一つであると言えます(1)。 大野新館長就任後、第1回目の視覚芸術関連企画となる本展覧会では、日本館大サロンの シンボルである藤田の作品に着想を得、フランスにたどり着いた若手日本人作家6名を紹介し ます。今を生きる日本人にとって、フランスとの出会いや、そこでの生活・活動において生 じる出来事は藤田の生きた時代とは異なるかもしれません。一方で、エトランジェ(異邦 人)としてパリに生きる事で生じる様々な距離を通じて己を見つめ、生涯を通じて日本人と してのアイデンティティに向き合った藤田の在り方(2)には、私たちが直面する 藤の普遍性 を見出す事が出来ます。本展では、他者や異国の風土、ひいては自分自身と対峙する中で芽 生える客観的な日本・日本人感・日本人性の表象を、平面やインスタレーション・映像など 多分野から描き出します。 近世初期を思わせる外観とは対照的なモダンな内装を施した鉄筋コンクリート造りの建物 にあって、折衷的佇まいの大サロンは現代の我々の目に真実味を持って映るある種の日本ら しさを有していると言えます。パリの異邦人としての日本人が集い、日本館と言う特殊な環 境で提示される表現は、国際化が進行する中逆説的に保持される極東アジアの独自性と言う には曖昧な、それでいて私たちが無意識に共有している思考・行動様式の存在を再考する機 会をもたらすでしょう。1920年代当時の背景を色濃く写す壁画及び文化空間と現在の表現と いう「二つの到来の図」の対話の中で、この展覧会という場が現代における国際交流の一端 を担う事を願います。 岡村万里絵 (1)林洋子「パリでの壁画制作と日本の表象」『藤田嗣治 作品をひらく』名古屋大学出版会、2008年。 (2)藤田嗣治著、近藤史人編『腕一本 巴里の横顔』講談社、2005年。 出展作家一覧 片岡純也 1982年 栃木県出身、パリ在住 筑波大学大学院総合造形領域修了(2010年)後、第14回文化庁メディ ア芸術祭(国立新美術館、2011年)及び ARS ELECTRONICA CAMPUS EXHIBITION 2011(オーストリア、2011年)に出展。翌年には スロベニア、リュブリヤナで個展「Somrak」をGallery Kapelica にて 開催。2013年度パリ賞(武蔵野美術大学)受賞を受け渡仏。 身の回りの物や環境がもつ本来の機能とは離れた特性をエレクトロニ クスパーツを用い同期させ、身体感覚を刺激しアミニズム的な感覚を 呼び覚ます作品を制作。自然と人工の境界を生み出す事で、生活環境 に存在する目には見えないがそれらを繋ぐ空間に存在する、エネルギ ーやバイブレーション、メカニズムを鑑賞者に体感させる。 web : www.junyakataoka.main.jp 渡邊万莉菜(NARAMIX) 1989年 千葉県出身、パリ在住 東京芸術大学にて油彩画を学んだ後、2012年より同大学大学院版画科 に在籍。CfSHE ANNEX galleryでのグループ展「木版 ルネサンス」に 2012、2013年に参加、ギャラリー銀座にて個展 「Woodrawing」を 2012年に開催した他、西武百貨店美術画廊グループ展「Shibuya Style vol.7」(2013年)ではパフォーマンスも披露。2013年度春期交換留 学生として現在パリ国立美術高等学校在籍。 主に木版を用いた線主体の作品を中心に、半立体、更にそれらを使用 した身体表現などへと展開。現代を生きる日本人としての主体性を重視 し使用する素材の研究にも力を入れている。 web : www.naramix.com 佐藤恵美 1989年 東京都出身、パリ在住 写真左:佐藤恵美 写真右:渡辺万莉菜 本展では共作の映像 作品を出展 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科に在籍、学生有志パフォー マンスグループepa!「Jumafs」(武蔵野美術大学、2011年)、武蔵野 美術大学芸術文化学科学生企画「op.15-ART MAU LAYSunion」 (cafe&room LAYSunion・池袋、2012年)など精力的に活動する 他、2012年にはミュージカル・プロデュース・カンパニーにて「ジョ バンニ」(北とぴあ・王子)の映像制作に携わる。2013年度交換留学 生としてパリ国立美術高等学校在籍。現在アトリエRochette所属。 人との出会いや関わり方をテーマに、悲しい、楽しい、憎い、嬉し い、あるいはもっと複雑で曖昧な、人間の様々な感情を日常の体験か ら思い起こし共有すること、及びその瞬間を元に観客自身の記憶を呼 び起こすことを目指す。複数の人間が行動することによって生まれる予 期出来ない瞬間的なものごとを大切にしている。 web : www.megumisato.com 上田奈央子 1987年 岡山県出身、パリ在住 祖母の影響で生け花を始め、2007年池坊短期大学文化芸術学科卒業、 華道家元池坊准教授3級を取得。生け花以外の花を知るため2013年に 渡仏、フローリスト養成学校PIVERDIÈRE(Artisan Fleuriste Décorateur)卒業。 伝統と革新、和と洋をハイブリッドに行き来し、創造的な生け花の世 界を模索する。 岩竹理恵 1982年 南アフリカ共和国ヨハネスブルグ出身、 パリ在住 金沢美術工芸大学工芸科にて染織を学んだ後、筑波大学大学院芸術研 究科にて写真を学ぶ。2010年修了後、ペルーへ渡り天野博物館にて研 修勤務する。翌年2011年には初の個展となる「アマウタ」をクスコ市立 現代美術館(クスコ市, ペルー)にて開催。2013年に渡仏。 絵画・写真・平面・マテリアルの境界、観察と作為、日常的な物とそ うでない物のあいだをうろうろすることでパラレルな関係をつくり出 し、また、詩的な物語性を見せる。コラージュ・ペインティング・写 真・インスタレーションなど様々な手法により、具象と抽象が混在す るなかで起こる多層的、流動的な動きを表す。 web : www.iwatakerie.jp 前澤妙子 1977年 静岡県出身、パリ在住 2005年に個展をZainul Gallery Institute of Fine Art University of Dhaka(バングラデシュ)にて開催、2007年に日本版画協会展畦地 梅太郎賞及び文芸社VA出版文化賞を受賞。翌年「-記憶のちうち ぇ-」展を東京と神奈川で2カ所同時開催。2009年多摩美術大学大学 院修了後はグランシップアートコンペ2011(静岡)グランシップ賞 を受賞、韓国・香港やLAなど海外でのグループ展にも精力的に参 加。作品は宇和島市畦地梅太郎記念美術館、静岡県川根本町文化会 館及びCzech National Gallery (チェコ)に所蔵されている。 極めて曖昧で愛おしくも切なくもある日本独特のイメージ感覚とし ての「かわいい」をモチーフに、子供や動物自然の融合した姿を 様々な技法・素材からのミクストメディアで作品を制作。「かわい い」の感覚により成される、可視・不可視の存在に対する感覚の開 きや繋がりにおける融和的交歓に関心を持つ。 web : hwm2.gyao.ne.jp/chiuche/ 基本情報 展覧会詳細 会期 :2014年6月5日(木)—7日(土)11時—19時(入場無料) オープニング・レセプション:2014年6月5日(木) 18時— 21時(入場無料) 会場:パリ国際大学都市 日本館 大サロン 主催:パリ国際大学都市 日本館 キュレーター:渡邊万莉菜、岡村万里絵 出展作家:片岡純也、 渡邊万莉菜、佐藤恵美、上田奈央子、岩竹理恵、前澤妙子 パリ国際大学都市 日本館へのアクセス RER:ligne B, station Cité Universitaire Tram:ligne T3, station Cité Universitaire バス:bus n°21, 67 (停留所:Porte de Gentilly) またはn°216 (停留所:Cité Universitaire) 近隣のVélib駐輪場: n°14013 : 1 Rue Liard n°14014 : 5 Boulevard Jourdan n°14015 : Face 15 Boulevard Jourdan ゲート:n°7またはメインエントランスn°17を利用(下記地図黒枠) 住所:7C Boulevard Jourdan 75014 Paris(下記地図25番) コンタクト 岡村万里絵 パリ国際大学都市 日本館 文化企画担当 7C Boulevard Jourdan 75014 Paris [email protected] www.maisondujapon.org
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