ワイン課通信 シャンパンの色々 暑い中お疲れ様です。今回担当させていただく、サンカントヌフの太田です。 暑いときにこそワインを、特にシャンパンや白ワインをお勧めできるものです。 そこで書き出しにもあるとおりシャンパンのあれこれを書かせて いただきたいと思います。まとまりの無いものになる恐れがありますが、 最後までお付き合いいただければ幸いです。 地理 パリの北東150キロメートルにあり、 ブドウ栽培北限の地と言われています。 北海道よりも北にあります。 大陸性気候で冬の寒さは穏やかで、春は不安定、 夏は暑く、秋は比較的良い天気が続く気候は、 ブドウ栽培にてきしています。しかし、気温9度以下 でのブドウの成長は難しいため、北部に位置し、 年間平均気温が、10℃のこの地域でのブドウ栽培 は大変デリケートです。 土壌はこの地方特有の石灰質土壌が大半を 占めています。この土壌は安定した自然の環境を 実現させ、さらに、昼間の太陽の熱を蓄え、コンス タントにその熱を放出することができます。 この地のブドウ品種には理想的であり、シャンパー ニュに独特な香りと味わいを与えているといわれています。おもな栽培地区は「モンターニュ・ド・ランス」 「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」「コート・デ・ブラン」などがあります。 歴史 17世紀後半までは白、ロゼ、赤の非発泡性ワインのみが造られていました。 18世紀にはドン・ペリニヨンによって「メソッド・シャンプノワ(シャンパーニュ方式)」が開発されました。 ドン・ペリニヨンが初めて口にした時の感想が「星のような味だ!」だったそうです。 よく飲んでみようという気になったと思いますね。 帝政時代にはエペルネイのジャン・レミ・モエ、ランスのクリコ未亡人がヨーロッパ中にシャンパーニュを 広めました。ともにナポレオンが活躍していた時代の話です。 醸造 白黒ブドウ ↓ 圧搾 ↓ 第一次発酵 ↓ 清澄 ↓ ブレンド Assemblage アサンブラージュ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 瓶詰め Tirage ティラージュ ↓ 瓶内二次発酵 Deuxieme Fermentation en Bouteille ↓ 熟成 Vieillissement sur Lie ヴィエンスモン・シュール・リー ↓ 動瓶 Remuage ルミアージュ ↓ 澱抜き Degorgementデゴルジュマン ↓ 捕酒 Dosageドサージュ ↓ コルク密栓 Bouchageブシャージュ ↓ ラベル貼り Habillageアビラージュ ・4.,000kgのブドウから2,550ℓ 圧搾 2,050ℓ Vin de Cuvee ヴァン・ド・キュヴェ または Tete de Cuvee テート・ド・キュヴェ 500ℓ Premiere Taille プルミエール・タイユ ・12月~1月にかけて、シャンパーニュの品質を決定する原酒のブレンドが 行われる。異なるクリュや、生産年度の異なるリザーブ・ワインと新しいワイ ンを巧みに調合し完全に調和がとれたワインに造り上げる。できたものを Cuvee キュヴェという。 ・特別に作柄の良い年には、その年にできたワインだけでブレンドが行われ、 ヴィンテージ・シャンパーニュが造られる。 ・リザーヴ・ワイン…ブレンドに使われる複数年の保存ワイン。シャンパーニュ に複雑さを与える為に、収穫年の異なるワインをブレンドする。 ・酵母と蔗糖を混ぜたもの(Liqueur de Tirage リクール・ド・ティラージュ)を加 えて瓶詰めする ・瓶の中で糖分は発酵によってアルコールと炭酸ガスに変換してシャンパー ニュの泡になる。 ・法的熟成期間(1996年より変更) Millesime ミレジメ……………ティラージュ後最低3年間 Non Millesimeノン・ミレジメ………ティラージュ後最低15ヶ月 ・瓶口はやや斜め下向きに傾けPupitreピュピトルという澱下げ台に並べ、 毎日1/8位ずつ回転させボトルを立てていき、澱を瓶口に集める。 最近ではジオパレットという自動制御機械でこの作業を行うこともできる。 ・冷却した塩化カルシウム水溶液に瓶口をつけ凍らせ仮栓とともに澱を 取り除く。 ・蔗糖とシャンパーニュの原酒の混合液(Liqueur d'Expedition リケール・デ スクペディション門出のリキュール)を加える。このリキュールの糖度で味の タイプが決まる。大きく分けての表記を下に書いておきます。 以上が、一般的なシャンパンの造り方です。 シャンパーニュのエチケットに表記されている情報です。 品質分類 メーカー名 メーカーの業態 ワイン名 アルコール度 甘辛表示 容量 などが書いてあります。 残糖度によっての甘辛表示 Brut(ブリュット) :~15g/l Demi-Sec(ドゥミ・セック) :33~50g/l Extra dry(エクストラ・ドライ) :12~20g/l Doux(ドゥー) :50g/l~ 大きく分けての表示です。他にも細かく分かれての表記 Sec(セック) :17~35g/l もあります。 品質分類はChampagneですがA.O.Cを書かなくてよい唯一のワイン産地です。 Champagneという文字の大きさは、銘柄名の大きさの1/2以下にしてはいけません。 メーカーの業態(7種類) N.M.(ネゴシアン・マニピュラン) 297社:シャンパーニュを生産する会社または個人で、必要とするブドウ、果汁、原酒を一部あるいは全量を外部 から購入する。多くはこれに入ります。 R.M.(レコルタン・マニピュラン) 4,729軒:自家栽培ブドウからの原酒で造る生産者で、小規模な場合が多い。 C.M(コオペラティヴ・ド・マニピュラシオン) 組合員が栽培したブドウから協同組合名でシャンパーニュを生産販売する。 R.C.(レコルタン・コオペラテゥール) 65組合:栽培家が加盟している組合から醸造過程の原酒あるいは製品を買い取り生産する。 S.R.(ソシエテ・ド・レコルタン) 同じ団体に属する会員の畑で収穫されたブドウからの原酒で生産する。 N.D.(ネゴシアン・ディストリビュトゥール) 瓶詰めされた完成品を購入して、自社のラベルを貼る。 M.A.(マルク・ダシュトゥール) プライベート・ブランドなど買い手の名で造られた銘柄。 などです。目にする機会があるのはほとんど、N.M.とR.M.だと思います。 次はタイプ別の分類です。 ・ ノン・ミレジメ(Non Millesime)=ノン・ヴィンテージ(Non Vintage=収穫年表記なし):収穫年をまたがる、 異なるブドウ品種の、異なるクリュのワインをアサンブラージュしたもの。一般的で数が多く、なおかつ シャンパン・ハウスを代表し、そのスタイルを反映させ、個性を最もよく表現している。 ・ ミレジメ(Millesime)=ヴィンテージ(Vintage=収穫年表記):例外的に天候に恵まれた年は、その収穫 年のワインだけでアサンブラージュされて、毎年造られるわけではない。当該年の80%を超えてはなら ない。 ・ キュヴェ・ド・プレスティージュ(Cuvee de Prestige):最上質のワインをベースとして造られるシャンパー ニュ。トップクラスの村のテット・ド・キュヴェ(Tete de Cuvee)を用い、細心の配慮とともにアサンブラー ジュされ6~10年熟成される。ほとんどはミレジメです。 ・ ロゼ(Rose):独特の美しい色合いとコクのある味わいを持つ。シャンパーニュ全体の3~5%しか造ら れていません。造り方は2つあります。ひとつは、ベースになるワインを黒ブドウ100%の醸造過程にお いてマセラシオンの途中にほどよく色づいたところで発酵果汁を取り出すセニエ方です。もうひとつは、 EUで唯一可能とされている赤ワインと白ワインを混ぜて造る方法です。二つ目の方法が大多数を占め ます。 ・ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs):白ブドウだけから造られたものです。 ・ブラン・ド・ノワール(Blanc de Noirs):黒ブドウだけから造られたものです。 シャンパーニュ地方のボトルの大きさ別の呼び方です。 Quart(キャール)またはSpit(スピット):188(200)ml Demi(ドゥミ)またはHalf(ハーフ)375ml Bouteille(ブテイユ)またはBottle(ボトル):750ml Magnum(マグナム):1,500ml Jeroboam(ジェロボアム):3,000ml Rehoboam(レオボアム):4,500ml Mathusalem(マチュザレム):6,000ml Salmanazar(サルマナザール):9,000ml Balthazar(バルタザール):12,000ml Nabuchodonosor(ナビュコドノゾール):15,000ml 最後にシャンパンを使った演出あれこれです。 進水式 船が完成した時の行いです。 まず命名式が行われた後、支綱切断の儀式を行います。この支綱がくす玉とシャンパンなどに繋がれていて、切断と連動 してシャンパンなどが船体に叩きつけられると同時に船名を覆っていた幕が外れ、進水台を滑り進水となります。 起源は1811年、当時のイギリス皇太子ジョージ4世が軍艦の進水でその役目を婦人に充てるよう決めたことから、 西欧ではこれが伝統として確立したそうです。進水式の際に、瓶が割れないとその船は不幸になると言われています。 シャンパンファイト これは、テレビなどで見かけることもあると思いますが、F1やメジャーリーグで優勝した 時に行われるシャンパンかけです。→ 何かをなし遂げた時の最高の演出だと思います。因みにF1で使われるシャンパンはスポ ンサーになっているアイテムが使われます。1985~1999年まではモエ・エ・シャンドン が、2000年よりマム社の「コルドン・ルージュ」が公式シャンパンとして指定されています。 一度は体験してみたいです。 シャンパンサーベル こちらは右のような刀(サーベル)でボトルの口を勢いよくカットする演出です。 もともとは中世フランスの海軍の出航出始め式で行われていた儀式で、航海の 無事と戦いの勝利を願って祈ったことからだそうです。シャンパンサーベラージュ とも言います。 結婚式でも結婚を新しい船出と見たて、ソムリエまたは新郎が開けたシャンパンで 乾杯します。内側のシャンパンが勢いよく噴き出すので破片が中に入る心配はありません。 シャンパンピラミッド 始まりは一世紀半ばのフランスの農民たちが葡萄の収穫を祝い、自分たちのカップを持ち寄り 発酵間もないワインを上から注いで祝ったことです。その後、ベル・エポック(古き良き時代)と 呼ばれる活動の中心地であったパリでは、社交界において華麗なシャンパンのサービス方法 として行われてきました。 シャンパンタワーとも呼ばれ、パーティや披露宴などでおもにクープ型のグラスが使われ これをピラミッド状に積み上げられ、上から新郎新婦またはソムリエが注いで、ゲストに振舞われるというものです。 オザミの婚礼でも取り入れていけたらよいなと、思っています。 あまりまとまりのないものになってしまいましたが最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
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