症例1、解答と解説

症例1、解答と解説
設問1)
心拍数:73拍/分
P波:消失、F波(粗動波)出現、約210拍/分
電気軸:正常
QRS:0.112秒、不完全右脚ブロック
心室へ4:1の割合で興奮が伝導されている。
心房粗動(atrial flutter:AFL)
[判読ポイント]
P波:消失
Ⅱ、Ⅲ、aVF、aVL 誘導の基線に鋸歯状の振れが認められる(粗動波:F波)
QRS:正常(心室内変行伝導を伴う場合は延長)
RR間隔:不整、興奮は規則的(2:1、3:1、4:1)に心室へ伝導される。
[鑑別診断]
心房頻拍、心房細動、筋電図・ノイズ混入
症例2、解答と解説
設問1)
心拍数:85拍/分
P波:幅0.158秒、高さ0.4mV(V2);尖鋭増高P波 右房負荷
電気軸:右軸偏位
QRS:0.10秒、不完全右脚ブロック
PR時間:0.216秒 1度房室ブロック
V1、V2 でR波増高、Ⅰ、aVL、V5、V6 で深いS波 右室肥大
Ⅱ、Ⅲ、 aVF、V1~V4 ST低下
設問2)
肺高血圧症
症例3、解答と解説
設問1)
心拍数:41拍/分 徐脈
電気軸:正常
QRS:0.10秒、不完全右脚ブロック
QTc:0.450秒、わずかに延長
3拍目よりQRSに先行するP波が欠落。それ以降の心拍(QRS)は補充調律で、
その後ろに逆行性P波が見られる
洞不全症候群(sick sinus syndrome : SSS)
洞結節や洞結節と房室結節の結節間路の機能不全により脈拍が著明な
徐脈を呈する状態
症例4、解答と解説
設問1)
心拍数:30拍/分、P波:60拍/分・・・2:1房室ブロック
房室結節の伝導障害により心房からの電気的興奮が心室に2:1で伝導されて
いる
PQ時間:0.49秒
電気軸:正常
非発作時の心電図
PQ時間:0.24秒、Ⅰ度房室ブロック
心拍数:74拍/分
心房からの電気的興奮は1:1で心室に伝導している
(P波とQRS波が1:1で対応)
症例5、解答と解説
設問1)
救急外来受診時
心拍数:201拍/分
電気軸:正常
P波は判別困難、R-R間隔一定、QRS正常
Ⅱ、Ⅲ、aVF、V2~V6誘導でST低下
(Ⅰ)、Ⅲ、aVF誘導のQRS終末部に若干のノッチないし変形を認める
発作性上室頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia:PSVT)
規則正しいR-R間隔、狭い幅のQRS波の連続(140~220拍/分程度)
P波はあるがQRS波に埋もれて認められない場合も多くある
治療後
心拍数:94拍/分(正常洞調律)
電気軸:正常
V1~V3で軽度ST上昇
[鑑別診断]
房室回帰性頻拍(AVRT)、房室結節回帰性頻拍(AVNRT)、心房頻拍、心房粗動など
症例6、解答と解説
設問1)
救急外来受診時
心拍数:77拍/分
電気軸:やや左軸偏位
ST-T:V1~V5誘導で上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVFで低下
T波:Ⅲ、aVFで陰性化
V1に異常Q波(深さR波の約1/2、幅0.34秒)
*異常Q波:深さR波の1/4以上、幅0.04秒以上
治療後
心拍数:62拍/分
電気軸:正常
ST-T:V1~V4誘導で上方凸の上昇
T波:V1~V5で陰性化
V1~V3にかけてR波増高不良、異常Q波出現
設問2)
急性心筋梗塞(前壁中隔)の急性期とその治療後の心電図
症例7、解答と解説
設問1)
救急外来受診時
心拍数:40拍/分 徐脈
電気軸:正常
完全房室ブロック
ST-T:Ⅱ、Ⅲ、aVFで著明に上昇、Ⅰ、aVL、V1~V4で低下
CCU着床時
心拍数:100拍/分 頻脈
PR時間:0.288秒 1度房室ブロック
ST-T:Ⅱ、Ⅲ、aVFで著明に上昇、Ⅰ、aVL、V2~V6 で低下
QTc:0.457秒で延長
設問2)
急性心筋梗塞(下壁)
治療経過とともにST上昇(降下)の程度が減少
Ⅱ、Ⅲ、aVFのT波陰転化
Ⅲ、aVFで異常Q波の出現