秋田県産トウホクサンショウウオを用いた中学校理科教材の

Akita University
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 第38号 2016年
秋田県産トウホクサンショウウオを用いた中学校理科教材の開発†
-鰓に注目して-
石井 照久・茨木 智裕* 秋田大学教育文化学部 秋田県産トウホクサンショウウオを用い,変態時の鰓の変化に注目して中学校理科の教
材を開発した.サンショウウオ類は両生類に属しており,一般的には,変態に伴い鰓が消
失する.カエルのオタマジャクシ幼生の内鰓と異なり,サンショウウオ類の幼生は,外か
らはっきり確認できる外鰓を持っており,それが変態に伴い消失するので,変態の観察に
適している.こういったサンショウウオ類の利点を活かし,さらに秋田の自然環境を活か
して,本研究では中学校において変態の前後を通じて,生徒が継続的に飼育・観察する発
展的な教材を開発した.
キーワード:理科実験教材,サンショウウオ類,変態,鰓,飼育と観察
はじめに
平成20年に告示された新しい学習指導要領(文部
科学省,2008a)によると,中学校理科では,科学
に関する基本的な概念の一層の定着を図ることと
し,科学的な思考力や表現力を育成するために自然
の事物・現象とのかかわりの中で問題を見いだし,
観察・実験を通して課題を解決するなどの科学的に
探究する学習活動を重視している.そのうえで,観
察・実験の結果を分析して解釈する能力や,導き出
した自らの考えを表現する能力の育成にも力を入れ
ている(文部科学省,2008a, b).
さらに,今までの理科教育の中で 2 つの課題が
見つかった(文部科学省,2008b).これらの問題
点は国際教育到達度評価学会(IEA)による国際数
学・理科教育調査(TIMSS 調査)や経済協力開発
機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調
査(PISA 調査)の結果からも示唆されている(国
立教育政策研究所「IEA 国際数学・理科教育動向調
2015年12月25日受理
†
Development of biological teaching materials for junior
high school science education, using salamanders of
Akita Prefecture -paying attention to gill *
T eruhisa I SHII and Tomohiro I BARAKI , Faculty of
Education and Human Studies, Akita University
第38号 2016年
査の2007年調査(TIMSS2007)」のホームページ,
国立教育政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査
(PISA)」のホームページ).
1 つは,生徒が科学を学ぶ意義や有用性を実感し
ていないということである.そのため今後は,科学
技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全
性の向上に役立っていること,理科で学習すること
が様々な職業と関係しているなど,日常生活や社会
との関連を重視して改善を図ることを目標としてい
る.
もう 1 つは,生徒の科学的な体験,自然体験の不
足である.改善のために,観察,実験の充実はもち
ろんのこと,原理や方法の理解を深めるためのもの
づくり,継続的な観察や季節を変えての定点観測な
ど,科学的な体験や自然体験の充実を図ることが目
標である(文部科学省,2008b).
日常生活との関連で学ぶ,自然体験をする,ため
には,生きている生き物を飼育・観察することが近
道ではないだろうか.近年は,学校現場の周りに容
易に見つけられなくなったサンショウウオ類を教材
に活用することにより,身近な自然環境を考えるこ
とができたり,生命の尊さを実感できたり,生き物
を育てる大変さを実感できる.秋田県では,サン
ショウウオ類の卵塊が比較的容易に手に入り(本郷,
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2000),教材化しやすい.
サンショウウオ類は両生綱(Amphibia),有尾目
(Caudata)
,サンショウウオ上科(Cryptobranchoidea)
に属する動物の総称であり,サンショウウオなどの
有尾類では,幼生時に樹木のように枝分かれした外
鰓(がいさい)があるが,これは鰓弓の外面の体表
が伸びたものである.成長して肺が形成されるとと
もに外鰓は消失するが,ウーパールーパーのように,
成長しても外鰓が消えず,終生水中で生活するもの
もいる.
本郷(2000)によると,秋田県には 3 種類のサン
ショウウオが生息している.トウホクサンショウウ
オ,ハコネサンショウウオ,クロサンショウウオで
ある.本研究で用いるのはトウホクサンショウウオ
で,学名はHynobius lichenatus である.
トウホクサンショウウオのホームページによる
と,トウホクサンショウウオは,東北地方,新潟県,
栃木県,群馬県,茨城県に生息する.群馬県,茨城
県ではかなりの高山の豪雪地帯に生息する.産卵場
所は湿地や沼,田んぼ等の用水路,小渓流の溜まり
等だが,共通して湧き水で構成されている場所が多
く,産卵時期は 1 月から 6 月である.一対の卵のう
を水中の水草や,落ち葉,石の下などに産みつける.
卵のうは幅約18mm で,長さ約120から150mm でバ
ナナ状に湾曲するか,コイル状に巻く.外皮は透明
で縦横の明瞭な縦横の条線がある.片卵塊中の卵数
は15から60個で,卵の直径は約 3 ~ 5 mmで動物極
は黒褐色である.幼生の孵化直後の全長は約13mm
で平衡桿と指間突起をもつが指に爪をもたない.足
指が 4 本のことがあり,胴体は肥厚しない.背面は
褐色で,胴体から尾に黒褐色の斑点を持つ.
変態までの期間は 4 か月ほどであり,変態期は 8
月以降である.生態になると10cm くらいまで育ち,
腹部が大きいのが雌と分かるが雄に比べ全長もやや
小さく頭部も卵型で小さい.繁殖期でなくとも雄の
総排泄腔には突起があるため判別できる.
中学校理科(文部科学省,2008a, b)の大単元(3)
動物の生活と生物の変遷の「動物のからだのつくり
と働き(生命を維持する働き)」では,動物の呼吸
の方法のひとつとして鰓呼吸が取り上げられてい
る.鰓呼吸は”鰓“という呼吸器官を用いて行われ
るが,その機能やガス交換の仕組みなどは説明しな
い(文部科学省,2008a, b).また,実生活において
も実際に鰓というものを見る機会が少なく,鰓をも
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つ動物の多くは,体外に鰓が露出していない.その
ため,多くの中学生が,鰓というものをどのような
ものか想像できないまま,授業が進行してしまう可
能性がある.
現在の学習指導要領(文部科学省,2008a, b)では,
鰓についての説明はしなくてよいことになっている
が,授業をするうえで生徒にとって鰓というものが
想像しづらいのはあまり好ましくない.たとえ学習
指導要領を超える発展的な学習内容であっても,学
習指導要領に含まれる内容を理解するために必要な
ものであったら,積極的に学習に取り入れてもよい
のだと考える.そこで,本研究では鰓に注目した教
材開発を目的とした.
両生類のカエルの仲間も変態するが,カエルのオ
タマジャクシ幼生の鰓は内鰓であり,外からは観察
できないため,変態に伴う鰓の消失をカエルで実感
することは難しい.それに対してサンショウウオ類
の幼生は,外からはっきり確認できる外鰓を持って
おり,血流も確認でき呼吸に使われているのを実感
することができる.生きた魚を用いて鰓の中に血液
が流れていることを観察するのはとても困難であ
る.サンショウウオ類の幼生では鰓が変態に伴い消
失するので,変態の観察に適している.そこで,中
学生に鰓というものに触れる機会を作ることができ
るようにサンショウウオ類の幼生を用いた教材開発
を行うこととした.
両生類あるいはサンショウウオ類を用いた教材は
これまで山崎(啓林館のホームページ)の先行事例
をはじめとして数多く知られている.ただし,それ
らのほとんどが,卵塊の観察や受精から孵化までの
発生段階の観察を主目的としている.それらに対し,
本研究は変態の前後での外鰓の変化に注目した教材
開発であり,他にはあまり先行例はない.
また,身近で見つけられなくなったサンショウウ
オ類を用いることで生徒に自然環境を考えさせるよ
いきっかけとなりうる.秋田県は容易にサンショウ
ウオ類の卵塊が手に入るところであり,秋田県にあ
る横手南中学校では,中学校の理科室で継続的にト
ウホクサンショウウオを飼育観察していた(横手市
立横手南中学校の公式ブログ).本研究では,秋田
県ならではのメリットを活用し,トウショクサン
ショウウオを例に学校内で実施できる教材を開発し
た.
そして,本研究で開発したような教材で,生徒に
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実際にサンショウウオ類を数か月の長期に渡って飼
育してもらうことで,中学校理科の指導の配慮事項
である「継続的な観察などの充実」や「生命の尊重」
について指導していくことが可能となる.「継続的
な観察などの充実」は,生物の行動や成長の様子を
とらえたりすることで実現されうる.このような観
察を生徒に行ってもらうことで,生徒が時間に伴う
変化の様子をとらえたり,対象とする事象の全体像
を把握したりすることができると考えた.
材料および方法
⑴卵塊の採集と飼育
実際に,野外でトウホクサンショウウオの卵塊を
採集し,卵の段階から変態後まで長期にトウホクサ
ンショウウオを飼育することを経験してから教材開
発を行った.
種の同定は,卵塊の様子や変態後の個体の様子を
佐藤(1943),本郷(2000)および松井(2010)と
比較して判定した.
⑵指導案等の開発
トウホクサンショウウオを実際に飼育することに
よって得られた知見をもとに,さらに,中学校理科
教育実践講座刊行会(1995)と堀(1997)の生物飼
育の授業実践を参考に,変態前後の 2 回の授業指導
案,生徒用の飼育マニュアル,生徒用観察記録用紙,
教師用の飼育マニュアル,教師用の授業ガイド,を
それぞれ作成した.サンショウウオ類についての先
行の飼育事例は沢山あるが,本研究で示したものは,
とても簡易な方法である.
結 果
⑴卵塊の採集と飼育
1)卵塊の採集
秋田県の秋田市内の稚子沢溜池周辺にて(図 1),
2012(平成24)年 4 月24日,2013(平成25)年 4 月
24日,2014(平成26)年 4 月17日,にそれぞれトウ
ホクサンショウウオの卵塊を採集し大学の研究室に
持ち帰った(図 2).2014年 4 月17日には,6 個の卵
塊を採集し合計で112個の卵(発生段階の進み具合
はさまざまであった)が得られた.2012年と2013年
に採集した卵数は,それぞれ20個前後であった.以
後,トウホクサンショウウオの個体数については,
数値データの記録が残っている部分のみを記載す
第38号 2016年
る.
持ち帰った卵塊は,孵化するまで,水中で静置し
た.また,水は数日に 1 回程度交換した.
採集した卵塊からの飼育および以降の飼育では,
温度管理は特に行わず,研究室内の室温下で飼育を
行った.
2)幼生の飼育
孵化した幼生(図 3)は,エアレーションを施し
た水中(バケツ)に移した(図 4).例年卵塊採集
からほぼ 1 か月以内に孵化が完了した.幼生は外鰓
(図 3 の矢頭)と平衡桿(図 3 の矢印)を持っていた.
2014年採集分では,すべての卵が 5 月 8 日までに孵
化した.2014年の卵塊由来の孵化直後の幼生の全長
は約14mm で,体重は約0.04g であった.2013年と
2014年は,エサとして市販の冷凍赤虫を解凍してか
ら,ほぼ 1 日に 1 回の割合で,エアレーションを施
している水中に入れた.水中で解凍赤虫が生きてい
るように動くため,幼生がエサと認識してよく食べ
てくれた.食べ残しはできるだけ早く取り除いた.
水替えは週に 1 回程度行った.2014年には,孵化し
たてのブラインシュリンプも試しにエサとして与え
たところ,幼生は食べていた.幼生では,鰓と鰭が
徐々に大きくなり,前肢についで後肢が生えてきた.
3)幼生の変態時の飼育
孵化して 1 ~ 2 か月以内で変態が起こった.幼生
が変態するまでの間に共食いが起こり(図 5),多
くの個体が死亡してしまった.2014年では,採集し
た卵の数が多かったので,1 つのバケツに幼生が10
匹以下になるように飼育を行ったが,共食いを防ぐ
ことはできなかった.なお,野外でもサンショウウ
オの幼生同士の共食いは普通に見られる現象である
(本郷,2000)
.トウホクサンショウウオの幼生では,
外鰓と鰭が消失すること(図 6,7),そして体がや
や小さくなることが観察された(図 7),
2014年では,112匹の幼生が変態する頃までには,
共食いによって41匹にまで減少したが,生き残った
41匹すべてが 7 月 6 日までに変態した.野外では 8
月頃に変態するようだが,室内で飼育していたため
に,野外と比較して水温が高かったこと,エサが野
外より豊富だっただろうこと,などが原因で変態が
早まったようである.
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図 1 トウホクサンショウウオの卵塊を採集した秋田市内
の稚子沢溜池周辺の様子(秋田大学手形キャンパスから
約 3 km 地点).A;2014年 4 月17日に撮影した稚子沢溜
池の周辺にある用水路の様子.この用水路で卵塊を採集
した.B;採集の様子.同日,A と同じ用水路を A の写真
の左方向から撮影したもの.
図 2 トトウホクサンショウウオの卵塊の写真.2014年 4
月17日に採集した卵塊を大学に持ち帰って当日撮影した.
コイル状にまいている卵塊の直径は約18cm だった.
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図 3 孵化したトウホクサンショウウオの幼生.2014年
4 月17日に採集した卵塊から孵化した全長15mm の個体.
矢印は右の平衡桿を示している.左の平衡桿は写真では
確認しにくいが,実際にはきちんと存在していた。矢頭
は左の外鰓を示している.右の外鰓も確認できる.
図 4 幼生を飼育している様子(2014年 6 月 1 日).バケ
ツの水中にエアレーションを施してある.
図 5 共食いの様子(2014年 5 月14日).上の幼生が下の
幼生を丸のみしようとしている所.下の幼生の頭以外は
ほとんどすでに飲み込まれていた.
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図 6 変態に伴う外鰓の変化の様子.A;幼生の外鰓の様
子(2014年 6 月 5 日).鰓の中に赤血球が流れているのが
容易に観察できる.B;Aとは別の個体だが,変態が迫っ
た幼生の外鰓の様子(2014年 6 月12日).Aの写真とほぼ
同じ縮尺であるので,外鰓がかなり小さくなっているこ
とが容易にわかる.
とは別の個体だが,変態直後の個体の様子(2014年 6 月
12日).すでに外鰓は消滅していて,鰭もなくなっている.
そして変態前と比べて体が少し小さくなった.
図 7 変態前後の様子.A;変態が近いトウホクサンショ
ウウオの幼生(2014年 6 月11日).すでに 4 肢が生えてお
り,左右の鰓がやや小さくなっている個体.写真では確
認しづらいがまだ背中の後方に鰭が存在していた.写真
で白く明るく見える部分はカメラの照明である.B;A
図 9 2013年に採集した卵塊から育てているトウホクサン
ショウウオ個体(2015年 1 月 8 日撮影).全長40mm であ
り,この個体は 2 回越冬(冬眠はしていない)を経験し
ている.
第38号 2016年
図 8 変態した個体を飼育するケースの様子(2014年 6 月
17日).
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4)変態後の飼育
変態後の個体は,水辺と小さい砂利で陸を作った
飼育ケースに移した(図 8).飼育ケースの水替え
を 1 週間に 1 回程度行った.また,エサやりは困難
を極めた.2012年から2014年にかけて,中学校でも
入手できたり,中学生でも実際に与えることができ
たりする,以下のさまざまなエサを試した.
大学のキャンパス内の土壌から採集したアリ,ム
カデ,小さいダンゴムシ,小さいミミズやその他の
土壌動物を試した.さらに釣り用に市販されている
生きたミミズも試した.そして,市販の冷凍赤虫を
解凍してそのまま飼育ケース内に置いてみることも
試した.さらに,解凍した赤虫をピンセットで各個
体の目の前で揺らしながら与えることも試した.
トウホクサンショウウオの各個体は,学内の土壌
から採集してきたアリやムカデを一切食べなかっ
た.理由は,それらが動くのが早いためだと考えら
れた.
一方,学内の土壌から採集してきた小さいダンゴ
ムシや小さいミミズについては,食べる個体と食べ
ない個体がいた.市販の生きたミミズのうちできる
だけ小さいミミズを与えると,食べる個体と食べな
い個体がいた.市販の生きたミミズを飼養している
と繁殖によって極小のミミズが生まれるのだが,こ
の極小ミミズを与えると,比較的多くの個体が食べ
てくれた.
解凍した赤虫を,そのまま飼育ケース内に置いた
場合は,どの個体も全く食べなかった.解凍した赤
虫を辛抱強く数分間,ピンセットで各個体の目の前
で揺らした場合は,始めは全く食べなかったが,徐々
に食べるようになった.エサやりは週に 1 ~ 2 回位
行ったが,各個体が必ず食べたわけではなかった.
一般的に,サンショウウオ類の個体は,目の前で
動くものに反応して食欲を示すが,動かないもの,
動いていても遠ざかっているもの,には反応しない.
そのため,変態後のエサやりは非常に大変であっ
た.2012年はエサをうまく食べてくれずにやせ細
り,すべての個体(変態後の個体は10匹前後)が冬
を越せずに死亡した.2013年はエサを工夫したこと
もあって(2013年からダンゴムシなどを与えた)8
匹中 6 匹が越冬した.さらにこれら 6 匹は 2 年目の
冬も無事に越した.そのため,2013年に採集してき
た卵塊由来の個体が2015年 3 月の時点で 6 匹生存し
ている(図 9).
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2014年に採集してきた卵塊由来の個体で変態した
41匹の個体のうち,26匹が越冬し,2015年 3 月の時
点でも26匹が生存している.2014年にも,変態後,
個体数が減少したのだが,その主な理由は飼育ケー
スからの逃亡により乾燥してしまったことであっ
た.2014年はエサを食べていないことによる餓死は
ほとんどなかったと考えている.
野外では,普通サンショウウオ類は冬眠するとい
われているが,研究室内で飼育したところ冬眠はし
ていなかった.
前述したように,2012年 4 月からトウホクサン
ショウウオを飼育してきたが,最長で約 2 年10か月
間,飼育できているが,採集時と比較して生存して
いる個体数はわずかである.
⑵指導案等の開発
変態前については「えら」
,変態後については「変
態」に,それぞれ焦点をあてた 2 回の授業指導案を
それぞれ図10A と図10B のように作成した.鰓につ
いての授業(図10A)では,鰓というものに興味を
もってもらえるように作成した.変態についての授
業(図10B)では,観察記録(図10C)を継続的に
つけてもらうことによって時間に伴う変化の様子を
実感してもらえるよう配慮した.観察記録は,
「えら」
の授業後から「変態」の授業まで,継続して生徒に
観察・記録してもらうことを考えた.
また,実際に飼育してみて気づいたこと,わかっ
たこと,注意点などをまとめ,それぞれをもとに生
徒用の飼育マニュアル(図11)と教師向けの飼育マ
ニュアル(図12)を作成した.
さらに,授業がスムーズに進むように教師用の授
業ガイドを図13のように作成した.
考察
本研究では,秋田県で容易に手に入るトウホクサ
ンショウウオを用いて,主に鰓の変化に着目した,
さらに変態後の長期飼育を含んだ教材の開発を行っ
た.しかも中学校の指導内容からややはみ出した発
展的な内容を取り扱っている.そのため,サンショ
ウウオ類を用いた先行の教材とは観点を異にする教
材である.これまでに述べてきた飼育事例は,実際
にトウホクサンショウウオを飼育する場合に有効な
情報と考えて,やや詳しすぎるくらいに記載した.
特に秋田県内の読者の方々には,直接使える情報に
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要
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本時の実際(本時 1 / 2 )
(1)ねらい
両生類のえらについて興味を持って学習することができる(関心・意欲・態度)。
観察記録
(2)学習過程
氏名
時間
学習活動
教師のかかわり
導入
10 分
呼吸についての復習をする。
○これから勉強するえらについ
ての予備知識を確認させるよう
にする。
サンショウウオ(幼生)はどの
ように呼吸するか,生息場所
から考え,さらに呼吸器官の
構造を考える。
○サンショウウオの幼生を見
せ,どのように呼吸しているか
の発問することによって考えや
すいようにする→えら呼吸
評価
○生き物の体のかたち
えらというものはどのようになっているのだろうか?
展開
30 分
終末
10 分
えらについての説明を聞く。
○肺呼吸と比較しながら説明す
ることで,生徒にイメージしや
すいようにする。
えらをルーペで観察してスケ
ッチをする。
○生徒がしっかりとルーペを用
いることができるように,机間
指導を行う。
えらの形に気づく。
○スケッチを用いることによっ
て,構造の特徴について気づか
せるようにする。
えらに血液が流れる様子の動
画を見る。
○生徒にえらに血液が流れてい
るところをみせることによっ
て,生命を維持する活動がある
ということを認識させるように
する。
えらに興味を持
って学習をして
いる(関心・意
欲・態度)。
○気づいたこと(前回の観察時との違いなど)
本時の授業の感想や振り返り
を書く。
図10C
片づけをする。
図10A
本時の実際(本時 2 / 2 )
(1)ねらい
サンショウウオの体の変化について理解することができる(思考・判断・表現)。
図10 2 回分の学習指導案と観察用紙.A;変態前の「えら」
に着目した授業の学習指導案.B;変態後の「変態につい
て」の授業の学習指導案.C;1 回目から 2 回目までの授
業の間に,生徒がグループで週 1 回観察して記録する記
録用紙.
(2)学習過程
時間
学習活動
教師のかかわり
導入
10 分
セキツイ動物の分類について
復習する。
○復習する項目(呼吸・体表・卵
生)を定めて,生徒が想起しやす
いようにする。
サンショウウオはどのグルー
プに分けられるのか考える。
上記の両生類の特徴以外の特
徴を考える。
評価
生徒向けの「サンショウウオの飼育上の注意」
幼生期
○生徒の観察記録と復習したこ
とを照らし合わせるようにし
て,スムーズにグループ分けで
きるようにする。
○バケツ(エアレーションの設備をしてある)1つで6匹を目安に飼育を行う。
班ごとに班の人数分飼育するとなおよい。
○餌は1日1回程度,冷凍赤虫を与える。1つのバケツに冷凍赤虫1ブロック
○観察記録や日常生活から想起
できるように発問をする。
→変態
の半分程度を与える。
サンショウウオはどのようにして体が変化していくのだろうか?
○バケツの水は2日に1回程度替える。そのとき,一日汲み置きした水を用い
る。水温は急激に変化させるとよくないので室温程度の水を用いる。
展開
30 分
変態について説明を聞く。
サンショウウオの変態がどの
ように起こっているか考えて
みる。
○生徒に分かりやすい例を提示
して理解しやすいようにする。
○観察記録を用いて時系列でサ
ンショウウオの変化を考えさせ
ることによって,幼生から成体
になる際どのように変わるか気
づかせるようにする。
サンショウウオ
の体の変化につ
いて説明できる
(思考・判断・表
現)。
○変態期に近づいてきたら,1人1匹ずつ,小さな飼育ケースに移し飼育を行
う。
変態後
○変態したら餌は3日に1回程度与える。冷凍(あるいは水で戻したフリーズ
ドライ)赤虫の場合は,ピンセットでつまみサンショウウオの前で揺らして与
終末
5分
まとめをする。
今日学んだ知識を整理させる。
える。
かたづけ
○飼育ケースには水辺と陸地を作り,水は1週間に1回水替えを行う。
○卵塊の時期から1週間に1回観察記録をつける。
図10B
第38号 2016年
図11 生徒向けの「サンショウウオの飼育上の注意」生
徒にどのように飼育してもらうかをまとめたもの.
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教師向けの「サンショウウオの飼育上の注意」
教師用授業ガイド
①
○水替えについては,カルキを抜いた水を用いるようにする。また,できるだ
け水の温度は変わらない方がよい。水質については自然界でもきれいな水に住
飼育について
飼育は,できるだけ生徒に作業をやらせたいが,準備物は教師側で準備を行
う。特にカルキ抜きの水はよく使用するので常に用意するよう心掛ける。
んでいるわけではないので週に1回程度の水替えでよい。食べ残しはできるだ
また,温度管理についても適切に教師側が行う。
け取り除いた方がよい。
②
授業について~えら~
導入では水の中に住んでいるサンショウウオの幼生の実物をみせて水の中の
幼生期
生き物の呼吸法を生徒に考えやすくさせる。
○えさについては,生後5日あたりから,エアレーション設備をした飼育バケ
展開では,えらの図などを用いてどのようにえらが呼吸器官として働いてい
ツに冷凍赤虫を入れれば勝手に食べてくれる。たくさんあげても共食いはなく
るのか興味を持たせる。そして,次に一人一匹ないし二人ペアでサンショウウ
ならないが,幼生期に大きくすることができれば,変態したときの飼育が少し
オの幼生のえらを観察させ,スケッチを行わせる。その際に,うまく観察でき
容易になるのでえさは多めにあげてもよいと考える。
ない生徒のため,机間指導を行う。また,実体顕微鏡を用いてあらかじめ撮影
○幼生がだんだん育ってくると,生餌不足で共食いを行うので個体の密度があ
しておいた,えらの写真を提示して補助とする。
まり多くならないように注意する。
考察では,えらに血液が流れる様子を動画で収めておき,生命が維持する活
○変態し始めてきた際には,飼育ケースの隙間を埋めるか,変態が進んでいる
動を認識させるようにしたい。
個体を分けるか,した方がよい。エアレーションのチューブや壁を容易に上る
③
ようになるので脱走に気を付けた方がよい。
授業について~変態~
導入でサンショウウオの成体の写真を用いたり,生徒にサンショウウオはセ
キツイ動物のどのグループに属するのか考えさせたりするようにする。そして,
変態後
ここで生徒がつけている観察記録を用いることで,スムーズにグループ分けさ
○餌に関しては,ある程度慣れるまで全く食べなくなるが,えさを食べなくて
せるようにする。また,この観察記録から次の学習である両生類の特徴を挙げ
も3か月程度は生きるので少しずつならしていけばよい。
させる。
○温度に関してはあまり気にしなくて良いが,夏は涼しいところに置き,乾燥
展開では,変態について説明をするので,サンショウウオが幼生から成体に
しないようにする。冬は自然界では冬眠するが室内の温かいところで飼えば冬
変態するまでの過程を写真に収めておき,どのように変態が進むのか生徒に理
眠させずに済むのでそちらの方がよいと考える。
解しやすいようにしたい。この際に,実体顕微鏡を用いて,教師が,えらの写
真を定期的にとっておくことで変態が進むにつれてえらが無くなっていく様子
を生徒に提示することができる。また,生徒の観察記録から,変化の様子を時
系列にして生徒自身に気付かせてもよい。
図12 教師向けの「サンショウウオの飼育上の注意」.飼
育において生徒だけで行うことが困難な事項や教師から
支援すべきことをまとめたもの.
図13 教師用授業ガイド.サンショウウオを授業で用い
る際の準備物や指導の仕方をまとめたもの.
なっていることを期待したい.また,秋田県外の読
者の方々にも大いに参考にしていただきたい.
トウホクサンショウウオの飼育事例は横手南中学
校(横手市横手南中学校の公式ブログ)の事例をは
じめとして沢山あると思われるが,結果および以降
の考察で記載している飼育方法は,おそらく一番簡
易な方法だと思われる.是非に参考にしていただけ
たらと考えている.
ンショウウオの卵塊を採集した.この場所に卵塊が
産み付けられるのを長年の野外観察で知っているか
らである.ただし,その周辺で親個体は見つけてい
ない.
たとえば他の県や市町村だとするとこんな手軽に
サンショウウオ類の卵塊が採集できる身近な場所は
ないかもしれない.そのため,本稿で開発した教材
は絵に描いた餅になる可能性がある.できれば,中
学校の先生には,時間の許す限り野外観察を行って
もらい,中学校の近くでサンショウウオ類の卵塊が
得られる場所を確保していただけるとありがたい.
しかし,実際には難しいと思うので,将来,希望者
には著者らがトウホクサンショウウオの卵塊を提供
⑴ 材料入手,飼育,観察,授業時間確保について
1)卵塊や親個体の入手について
著者らは,秋田大学手形キャンパスから車で10分
以内(距離として 3 km 以内)の場所でトウホクサ
86
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要
Akita University
することも視野に入れている(ただし時期は 4 月~
5 月).
もし,中学校の近くでサンショウウオ類の卵塊が
得られるとしたら,身の周りにサンショウウオ類が
生息していることを生徒にも知らせたい.最近,自
宅や学校で飼育する生き物は,ペットショップ由来
のものが多く,生徒にとって飼育している生き物と
身近な自然がかい離している可能性がある.身近な
自然にもこんなかわいい動物が生息しているのだ,
ということを実感することで自然を大切にする気持
ちが育つのではないだろうか.
秋田県は,学校現場のすぐ近くで,たくさんの動
物が観察できる自然豊富な県である.秋田県あるい
は自然が豊富な多くの他の県は,その豊富な自然は
教育においてアドバンテージであるので,大いにこ
のアドバンテージを活かしたいものである.
2)継続飼育・観察と授業時間の確保について -
夏季の暑さ対策,冬季の寒さ対策,エサやり-
サンショウウオ類を継続して飼育する場合には,
温度管理も重要な要素である.本研究では,大学の
研究室内で特に温度管理をせずに卵塊から変態後ま
でのすべての段階の飼育を室温下で行った.しか
し,トウホクサンショウウオは比較的冷涼な気候を
好むので,冬場の寒さについてはあまり心配はいら
ないが,夏場に飼育している場所の気温が30℃を超
えるようになると,トウホクサンショウウオはかな
り弱ってくる.そのためには,エアコンで部屋ごと
冷やすのが理想的だが,中学校では,おそらくエア
コンが完備されている教室は少ないと思われる.そ
こで,夏場の暑い時期には,できるだけ校舎内の涼
しい場所に飼育ケースを移動するのが大切である.
山崎(啓林館のホームページ)では,変態後の飼
育は行っていない.一般的に,サンショウウオ類を
教材に用いる場合は,卵塊の観察と変態までの発生
段階の観察を対象としており,長期的な飼育-特に
生徒に飼育してもらうこと-は想定していないので
ある.そこで,変態後のエサについても述べる.
変態してから安定してエサを食べ始めた場合のエ
サやりは,2 ~ 3 日に一度,市販の冷凍赤虫を解凍
して与えるか,あるいはフリーズドライの赤虫を水
で戻して与えるか,のどちらかでよい.著者らは,
最近は冷凍赤虫とフリーズドライの赤虫をほぼ,交
互に与えている.そして,継続してエサやりを行う
第38号 2016年
のは,中学校の現場では,すべて生徒に任せるのか,
それとも長期の休みは教員が行うのか,など各現場
でやりやすい方法で行うのでよいと思う.
継続して飼育を行い,さらに継続して観察を行う
としても,どのように授業に組み込むか,変態の前
後の時期を見ながら慎重に授業に組み込む時期と時
間数を考える必要がある.
⑵ 生き物を飼育・観察することによってのみ味わ
うことのできる感性の育成
科学における教育で,本研究で開発した教材のよ
うに,観察や実験を実際に生徒が体験することは重
要であり,周知の事実であるが,石井と松㟢(2014)
が報告しているように実際の高校の現場では観察・
実験の機会が非常に少ない.また,石井ら(2012)
が指摘するように,高校や中学の生物分野において
は,観察・実験を指導する際に高度な実験手技が要
求されることがあり,教科書記載の実験を容易に生
徒に教授することが難しいのが現実である.
小学校においては,理科を得意としない教師が存
在するため(秋田大学教育文化学部わかる理科教育
推進ワーキンググループ,2008),観察・実験など
については出前授業などが有効活用されている(秋
田県教育庁義務教育課,2008,2009,2010;秋田大
学教育文化学部,2007;石井,2011;科学技術振興
機構,2010).出前授業や訪問授業を活用すること
で,小中高の学校現場でさまざま理由から実施でき
ていない観察・実験を補てんすることができる(石
井,2013b).
しかし,出前授業などを活用できない場合は,櫻
庭ら(2013)が指摘するように,実際に行う観察・
実験と行わないそれらに分けて指導するのが現実的
である.また,教師が観察・実験に関する実験手技
を少しでも身につけるために,教員免許状更新講習
の選択講習を受講するのも方法である.秋田大学教
員免許状更新講習推進センターでは,観察・実験を
含んだ様々な選択講習を提供している(秋田大学教
員免許状更新講習推進センター,2010~2015;石井,
2013a).
今回開発した本教材のように,生き物に直接触れ
る体験は重要である.直接体験によってこそ,生き
物は生きているんだ,生き物を大切にするんだ,そ
して,その生き物をありがたくいただいくことによ
り私たちも生きているんだ,という感覚が育てられ
87
Akita University
ると思われる.生き物に直接触れる教材によって,
内田・諸江(2009)が指摘する視点である,いのち
をいただく,を実感できる.
さらに,生きている生き物を継続して飼育してい
ると,その変化に気づくことができるし,時として
その死に直面する.生徒はどのようなことを感じる
のだろうか.生徒によって感じる中身には個人差は
あるだろうが,飼育を通して「感じること」は,生
き物を継続して飼育することによってのみしか味わ
うことのできない大切なものであり,その生徒の感
性を育成していく下地になると思われる.このよう
な感性の下地を育成するのに,本教材はとても有意
義な教材である.
サンショウウオ類の幼生では,外鰓が赤く見え,
そこに血流があるのが肉眼でも確認できる.ルーペ,
解剖顕微鏡あるいは実体顕微鏡で拡大して外鰓部分
を観察すれば,赤血球が流れているのもはっきりと
観察できる.中学校で血流を観察する場合,メダカ
などの魚を用いる例が多くの教科書で取り上げられ
ているが,サンショウウオ類の幼生を教材に用いる
と血流がよりはっきりと確認できる.
カエルのオタマジャクシでも,孵化後外鰓の時期
がほんの少しだけあるが期間が短い.そのため,ほ
とんどの生徒が実生活でオタマジャクシの外鰓をみ
たことはないのではないだろうか.中学校の授業で,
カエルのオタマジャクシ幼生は「鰓呼吸」と教わる
ものの,実感が伴っていないことが予想される.そ
れに対して,サンショウウオ類の幼生では,外鰓が
およそ 1 か月間という長期にわたって観察可能であ
る.
肢の出てくる順にも気づいてほしい.カエルのオ
タマジャクシでは後肢がさきに生えてきて,その後,
前肢が生えてくる.それに対してサンショウウオ類
の幼生は,前肢が先に生えるので,継続観察をしな
がら,肢の生えてくる順番にも気づいてほしい.
繰り返しになるが,直接体験や実物との触れ合い
が需要だが,それが困難な場合あるいはその準備段
階として,三浦(2002)が開発したようなデジタル
教材を用いて,パソコン上で水生生物の採集を疑似
体験することも有効である.
⑶ 生徒を惹きつける教材開発の重要性
秋田県は,平成24年度に初めて実施された理科の
全国学力・学習状況調査でも好成績を残した(石井
88
と佐藤,2015).平成19年から行われている国語,
算数・数学の全国学力・学習状況調査では(実施し
なかった平成23年を除いて),常に秋田県の成績は
上位であり,平成24年の理科でも同様の結果となっ
た.秋田県がなぜ全国学力・学習状況調査で常に上
位の成績を収めることができているのかについて
は,多くの分析がなされているが,秋田大学あきた
の学力と教員養成に関する調査プロジェクト(2009)
によると,秋田県内の教員の日々のたゆまぬ研修成
果が大きな一因とのことである.
秋田県の教員の熱心な研修,秋田県のさまざまな
効果的な教育施策に秋田県の児童生徒の学習・生活
習慣があいまって好成績を生み続けていると考えら
れる.
理科においてもこういった好ましい状況を維持し
発展していくには,児童生徒を惹きつける新規の教
材の開発が必須である.ただし,学校現場では教員
は多忙なため,大学等で教材を開発することが望ま
れる.これまでに三浦(2002)は小学生を主な対象
に水生生物の観察教材を,石井と篠木(2009)は中
学校理科の教材(簡易エコボール)を,それぞれ大
学で開発している.また,石井と菅原(2010)は,
大学で教材を開発する場合の素材(シンボル生物)
をたくさん提示している.
理科離れを防ぐには,理科を好きになってもらう
ことが一番であるが,そのためには,本教材のよう
な実物を用いる直接体験を通して,児童生徒の直観
や感性に訴えるのが有効であり,大学等におけるさ
らなる教材開発が期待される.
謝 辞
2014年の卵塊の採集では,当時の秋田大学教育文
化学部 4 年生の植田一太郎氏にご協力いただきまし
た.ここに深く御礼申し上げます.
文 献
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支援員等派遣事業実施報告書.
秋田県教育庁義務教育課(2009):平成20年度理科
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ウオの保護活動を通して~.啓林館 授業実践記
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https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/tea/
chu/jissen/rika/201405/index.html
横手市立横手南中学校公式ブログ:
http://yokotenanchu.blog48.fc2.com/blogentry-141.html
Summary
We developed biological teaching materials
for junior high school science education, using
90
salamanders of Akita Prefecture, paying attention
to gill. The larva of salamander has external gill,
however the larva of frog has internal gill. Using
observation of larvae of salamanders is suitable for
study of metamorphosis in junior high school science
education, because external gill disappearance of
larva will be easily observed in salamanders. Using
observation materials of salamanders, students will
understand metamorphosis and importance of Life.
Key Words :S c i e n c e e d u c a t i o n a l m a t e r i a l s ,
salamanders, metamorphosis, gill,
breeding and observation.
(Received December 25, 2015)
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要