自然科学への熱い誘い - 一般財団法人 成和記念財団

■成和記念財団主催2014年秋の講演会
自然科学への熱い誘い
夫勇進山形大学大学院准教授が講演
自然科学に興味のある学生のための講演会が当財団主催で昨年(2014年)11月10日、ハロー貸
会議室上野で行われ、東京、神奈川、埼玉から中・高・大生たちと教育関係者、保護者ら30人が
出席しました。
夫勇進山形大学大学院准教授(当財団の金萬有学術賞受賞者)が「次世代省エネ照明への挑戦
~在日若手科学者の奮闘~」と題して自らの研究について講演(概要は別項)、スライドと現物
を駆使しての熱弁で聴衆を魅了しました。
会場から学生たちの積極的な質問があり、終了後には講師と記念写真を撮るなどで盛り上がり
ました。
教育関係者からは「(このような場に)もっと多くの学生や教育関係者に参加してもらいたい」
との声が出ていました。
次世代省エネ照明への挑戦
〜在日若手科学者の奮闘〜
山形大学大学院理工学研究科有機デバイス工学専攻 准教授 夫 勇 進
現在、私は「有機EL」という研
究をしています。有機ELとは有機
エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)の略であり、有機物
に電気を流して光らせる現象です。
自然界には多くの光る有機物があり
ます。代表的例にホタルやホタルイ
カ、オワンクラゲなどがあります。
ホタルは体の中の化学エネルギーを
利用し、お尻にある発光物質を緑色
に光らせます。そのような光る物質
を化学薬品から人工的に作りだし、
化学エネルギーではなく電気エネル
ギーで光らせたものが有機ELです。作り出す色は緑色に限らず、青色や黄色、赤色など様々な
色を作り出す事ができます。赤、緑、青の三つの発光物質を非常に小さく規則正しく並べ、それ
ぞれを電気的に制御・点灯させたものが有機ELテレビになります。有機ELテレビは、今までの
ブラウン管テレビや液晶テレビとは全く異なり、非常に鮮やかに美しく映像を映し出す「究極の
テレビ」と呼ばれています。現在、小型画面では携帯電話などで一部実用化が始まっていますが、
大型画面においては電機メーカー各社が熾烈な開発競争を展開しており、まもなく電気屋さんに
有機ELテレビが並び出す日も近いと言われています。有機ELテレビは、現在はガラス板上に作
られていますが、将来的にはプラスチックフィルム上に作られ、柔らかに折れ曲がり軽く持ち運
べる大画面型フィルムテレビができると言われています。
色々な発光色が可能である有機ELですが、開発当初は白色が難しいと言われていました。90
夫勇進
学歴
1992年3月
1996年3月
1999年4月
2002年3月
2003年4月
大阪朝鮮高級学校卒。
朝鮮大学校理学部化学科卒。
学振特別研究員(DC1)。
早稲田大学理工学部応用化学科博士(工
学)
。
同年4月同助手。
同21COE客員研究助手。
2004年4月
Oxford 大学化学科学振海外特別研究
員。
2006年7月
山形大学工学部機能高分子工学科助手。
2007年4月
山形大学大学院理工学研究科有機デバ
イス工学専攻助教。
2009年12月 同准教授。
2008年5月
当財団金萬有学術賞受賞。
年代初頭に山形大学において、初の白色発光に成功します。以来、白色有機ELは白熱球や蛍光
灯に替わる照明用の光として多くの注目を集めています。日本では、総エネルギー消費量の16%
程度という膨大なエネルギーが照明に使われています。そこで、有機EL照明は消費電力が低い
省エネ照明として、地球温暖化防止のための切り札となる技術の一つとして大きく期待されてい
ます。環境に関心の高いドイツなどの欧米先進国では国を挙げての有機EL照明開発プロジェク
トなどが展開されています。日本でも私が所属する山形大学工学部が中心となり、世界に先駆け
ての有機EL照明の実用化に励んでおり、有機の光で世界を照すべく日夜研究に没頭しています。
有機エレクトロニクス
有機EL
有機エレクトロルミネッセンス
石油
(有機物)
半導体
(エレクトロニクス)
有機電界発光
Organic Light Emitting Diode (OLED)
化学
NC
O
N
O
Al
O
CN
N
O
コントラスト =
N
N
液晶 =
N
N
有機EL =
Ir
N
n
N
O
N
松明
蛍光灯
(70 lm/W)
LED
(100 lm/W)
黒の光
10万
1
10万
0
= 10万
= 無限 (10万以上)
液晶
有機EL
○
∞
N
Ir
たき火
白の光
行灯
白熱電球
(15 lm/W)
有機EL
(? lm/W)
ろうそく
ガス灯
コントラスト
ԇᆀྖ୳ ¨ཌӌ©
ಎ ¨Ձ‫ފ‬ӌ©
Ӂɲʗʵɸ˂ ¨͍ఉɲʗʵɸ˂©
᫖෥
б
ᅁɲʗʵɸ˂ ¨ᯚӛလԇ©
ᖞɲʗʵɸ˂