日本標準商品分類番号 2013年1月改訂(改訂第6版) 871179 872329 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領2008に準拠して作成 剤形 製剤の規制区分 規格・含量 一般名 錠剤(フィルムコ-ト錠)・細粒剤・カプセル剤 劇薬 (ミラドール細粒10%・細粒50%、ミラドール錠100・錠200) 処方せん医薬品 注) 注)注意-医師等の処方せんにより使用すること 50 1錠中日局スルピリド50mg含有 ミラドール錠 100 1錠中日局スルピリド100mg含有 200 1錠中日局スルピリド200mg含有 10% 1g中日局スルピリド100mg含有 ミラドール細粒 50% 1g中日局スルピリド500mg含有 ミラドールカプセル 50mg 1カプセル中日局スルピリド50mg含有 和名:スルピリド 洋名:Sulpiride 50 100 200 50% 10% 50mg 製造販売承認日 薬価基準収載日 発売年月日 1979年3月13日 1979年4月19日 1979年5月2日 製造販売承認 年月日・薬価基準 収載・発売年月日 ミラドール錠 開発・製造販売(輸入)・ 提携・販売会社名 提携 :サノフィ株式会社 製造販売元:バイエル薬品株式会社 ミラドール細粒 ミラドール細粒 ミラドールカプセル 1981年1月9日 1981年9月1日 1981年9月1日 2007年9月27日* 2007年12月21日* 1978年4月1日 *:販売名変更に伴う承認・薬価基準収載年月日 担当者の連絡先 電話番号・FAX番号 問い合わせ窓口 バイエル薬品株式会社・くすり相談 0120-106-398 受付時間:9:00~17:30(土・日・祝日、弊社休日を除く) 医療関係者向けホームページ http://www.bayer-hv.jp 本IFは2012年10月改訂の添付文書の記載に基づき作成した。 最新の添付文書情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ (http://www.info.pmda.go.jp/)にてご確認ください。 IF 利用の手引きの概要 ―日本病院薬剤師会― 1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯 医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書と略す)がある。医療現場 で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には、添付文書 に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。医療現場では、当該医薬品について製 薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報を補完して対処してきている。この際に必 要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタビューフォームが誕生した。昭和 63 年に日本病院 薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」 (以下、IF と略す)の位 置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後、医療従事者向け並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を 受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行われた。更に 10 年が 経過した現在、医薬品情報の創り手である製薬企業、使い手である医療現場の薬剤師、双方にとって薬事・ 医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において新たな IF 記載要 領が策定された。 2.IF とは IF は「添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な、医薬品の品質管理の ための情報、処方設計のための情報、調剤のための情報、医薬品の適正使用のための情報、薬学的な患者ケ アのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、薬剤師等 のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。ただし、薬事 法・製薬企業機密等に関わるもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自らが評価・判断・提供 すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企業から提供された IF は、薬剤師自らが評 価・判断・臨床適応するとともに、必要な補完をするものという認識を持つことを前提としている。[IF の様式]① 規格は A4 版、横書きとし、原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し、一色刷りとする。ただし、添 付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、電子媒体ではこれに従うものとする。②IF 記載要領に基づき作成し、 各項目名はゴシック体で記載する。③表紙の記載は統一し、表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの 概要」の全文を記載するものとし、2 頁にまとめる。[IF の作成]①IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤、 注射剤、外用剤)に作成される。②IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。 ③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。④製薬企業の機密等に関す るもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者自らが評価・判断・提供すべき 事項については記載されない。⑤「IF 記載要領 2008」により作成された IF は、電子媒体での提供を基本とし、 必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する。企業での製本は必須ではない。[IF の発行]① 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」(以下、「IF 記載要領 2008」と略す)は、平成 21 年 4 月以降に承 認された新医薬品から適用となる。②上記以外の医薬品については、「IF 記載要領 2008」による作成・提供は 強制されるものではない。③使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された 時点並びに適応症の拡大等がなされ、記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。 3.IF の利用にあたって 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」においては、従来の主に MR による紙媒体での提供に替え、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利用する薬剤師は、電子媒体から印刷して利用する ことが原則で、医療機関での IT 環境によっては必要に応じて MR に印刷物での提供を依頼してもよいこととした。 電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場所が 設定されている。製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原点 を踏まえ、医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等ヘのイ ンタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要がある。また、随時改訂される使用 上の注意等に関する事項に関しては、IF が改訂されるまでの間は、当該医薬品の製薬企業が提供する添付文 書やお知らせ文書等、あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等により薬剤師自らが整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する。なお適正使用や 安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に関する項目等は承認事項に 関わることがあり、その取扱いには十分留意すべきである。 4.利用に際しての留意点 IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。しかし、薬事法 や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情報として提供できる範囲には自 ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであることか ら、記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない。また製薬企業は、IF があくま でも添付文書を補完する情報資材であり、今後インターネットでの公開等も踏まえ、薬事法上の広告規制に抵触 しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必要がある。(2008 年 9 月) 目 次 Ⅰ.概要に関する項目 1.開発の経緯 2.製品の治療学的・製剤学的特性 Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名 (1)和 名 (2)洋 名 (3)名称の由来 2.一般名 (1)和 名(命名法) (2)洋 名(命名法) (3)ステム 3.構造式又は示性式 4.分子式及び分子量 5.化学名(命名法) 6.慣用名、別名、略号、記号番号 7.CAS 登録番号 1 2 Ⅲ. 有効成分に関する項目 3 1.物理化学的性質 (1)外観・性状 (2)溶解性 (3)吸湿性 (4)融点(分解点)、沸点、凝固点 (5)酸塩基解離定数 (6)分配係数 (7)その他の主な示性値 2.有効成分の各種条件下における安定性 3.有効成分の確認試験法 4.有効成分の定量法 Ⅳ. 製剤に関する項目 4 1.剤 形 (1)剤形の区別、規格及び性状 (2)製剤の物性 (3)識別コード 2.製剤の組成 (1)有効成分(活性成分)の含量 (2)添加物 (3)その他 3.懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意 4.製剤の各種条件下における安定性 5.調整法及び溶解後の安定性 6.他剤との配合変化(物理化学的変化) 7.溶出性 8.生物学的試験法 9.製剤中の有効成分の確認試験法 10.製剤中の有効成分の定量法 11.力価 12.混入する可能性のある夾雑物 13. 治療上注意が必要な容器に関する情報 14. その他 Ⅴ. 治療に関する項目 1.効能又は効果 2.用法及び用量 3.臨床成績 (1)臨床データパッケージ (2)臨床効果 (3)臨床薬理試験:忍容性試験 (4)探索的試験:用量反応探索試験 (5)検証的試験 (6)治療的使用 9 Ⅵ. 薬効薬理に関する項目 12 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 2.薬理作用 (1)作用部位・作用機序 (2)薬効を裏付ける試験成績 (3)作用発現時間・持続時間 Ⅶ. 薬物動態に関する項目 14 1.血中濃度の推移・測定法 (1)治療上有効な血中濃度 (2)最高血中濃度到達時間 (3)臨床試験で確認された血中濃度 (4)中毒域 (5)食事・併用薬の影響 (6)母集団(ポピュレーション)解折に より判明した薬物体内動態変動要因 2.薬物速度論的パラメータ (1) コンパートメントモデル (2) 吸収速度定数 (3) バイオアベイラビリティ (4) 消失速度定数 (5) クリアランス (6) 分布容積 (7) 血漿蛋白結合率 3.吸収 4.分布 (1)血液-脳関門通過性 (2)血液-胎盤関門通過性 (3)乳汁への移行性 (4)髄液への移行性 (5)その他の組織への移行性 5.代謝 (1)代謝部位及び代謝経路 (2)代謝に関与する酵素(CYP450 等)の 分子種 (3)初回通過効果の有無及びその割合 (4)代謝物の活性の有無及び比率 (5)活性代謝物の速度論的パラメータ 6.排泄 (1)排泄部位及び経路 (2)排泄率 (3)排泄速度 7.透析等による除去率 Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 17 1.警告内容とその理由 2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) 3.効能又は効果に関連する使用上の注意と その理由 4.用法及び用量に関連する使用上の注意と その理由 5.慎重投与内容とその理由 6.重要な基本的注意とその理由及び処置 方法 7.相互作用 (1)併用禁忌とその理由 8.副作用 (1)副作用の概要 (2)重大な副作用と初期症状 (3)その他の副作用 (4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値 異常一覧 (5)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有 無等背景別の副作用発現頻度 (6)薬物アレルギーに対する注意及び 試験法 9.高齢者への投与 10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦、産婦 (2)授乳婦 11.小児等への投与 12.臨床検査結果に及ぼす影響 13.過量投与 14.適用上の注意 15.その他の注意 16.その他 Ⅸ. 非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 (1)薬効薬理試験 (2)副次的薬理試験 (3)安全性薬理試験 (4)その他の薬理試験 2.毒性試験 (1)単回投与毒性試験 (2)反復投与毒性試験 (3)生殖発生毒性試験 (4)その他の特殊毒性試験 27 Ⅹ. 管理的事項に関する項目 29 1.規制区分 2.有効期間又は使用期限 3.貯法・保存条件 4.薬剤取扱い上の注意点 5.承認条件等 6.包装 7.容器の材質 8.同一成分・同効薬 9.国際誕生年月日 10.製造販売承認年月日及び承認番号 11.薬価基準収載年月日 12.効能・効果追加,用法・用量変更追加 等の年月日及びその内容 13.再審査結果,再評価結果公表年月日及び その内容 14.再審査期間 15.投与期間制限医薬品に関する情報 16.各種コード 17.保険給付上の注意 Ⅺ. 文献 31 1.引用文献 2.その他の参考文献 3.文献請求先・製品に関するお問い合わせ先 Ⅻ. 参考資料 1.主な外国での発売状況 2.海外における臨床支援情報 32 ⅩⅢ.備考 33 Ⅰ.概要に関する項目 1. 開発の経緯 スルピリドは 1957 年 フランスの旧 Delagrange 社の SESIF 研究所 (現 Sanofi)が抗不整脈薬プロカインアミド誘導体から制吐剤を開発する目的で研 究を行い、1965 年の制吐作用と抗精神作用を有するベンザミド系のスルピリドを合 成した。本剤は 1969 年からフランスで消化器領域、精神病領域などを適応として 発売された。 国内への本剤の導入は 1973 年に旧藤沢薬品(現アステラス製薬)がカプセル製 剤で「胃・十二指腸潰瘍」を適応として承認を取得し、精神科領域への適応拡大に ついては 1974 年アステラス製薬、旧住友製薬(現大日本住友製薬)および旧三井 製薬(現バイエル薬品)が開発契約を締結し、臨床試験が開始された。本剤の臨 床効果は統合失調症に対してクロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、 チオリダジンを対照薬とし、また、うつ病・うつ状態に対してはイミプラミンを対照薬 とした二重盲検比較試験が実施された。その結果、本剤は統合失調症、うつ病に 対して既製剤に比べ有用性を示すことが明らかになり、1979 年 3 月にミラドール錠 剤、ミラドール細粒 50%の剤型で統合失調症、うつ病・うつ状態を適応症として承認 された。また、剤型の追加としてミラドールカプセル、ミラドール細粒 10%が開発さ れ、それぞれ 1977 年と 1981 年に承認を取得している。なお、本剤は 1977 年に 「胃・十二指腸潰瘍」の適応症も取得し、2004 年までに再評価を終了した。2007 年 には、医療事故防止のためカプセル剤について「ミラドールカプセル 50mg」と名称 を変更した。 2.製品の治療学的・製剤 学的特性 (1) 健康成人(12 名)男子にスルピリド 50mg 又は 100mg を 1 回経口投与したとき、 投与後約 2 時間で最高血中濃度(それぞれ 0.13μg/mL または 0.31μg/mL) に達し、消化管から良好な吸収が確認された。 (2) 本剤の一般臨床試験は、胃・十二指腸潰瘍に対する臨床試験において経口 投与で 150~200mg/日を投与し、その他筋肉内投与例も含め 536 例中 453 例 (84.5%)に潰瘍の治癒、縮小を認めた。 統合失調症では本剤 100~3600mg/日が投与され、597 例中有効以上が 230 例(38.5%)、やや有効以上は 370 例(62.0%)であった。なお、本剤の維持量は 600mg 前後が適当と考えられた。 うつ病、うつ状態の症例では本剤 50~1200mg/日が経口投与され、その他筋 肉内投与した症例を含め 498 例中 387 例(77.7%)にやや有効以上の抗うつ効果 を認めた。 (3) 本剤の二重盲検比較試験は胃・十二指腸潰瘍において 35 例を対象にプラセ ボ群と比較された。その結果、本剤投与群は治癒・略治の評価でプラセボ群に 比べ有意差が認められた。 統合失調症は 293 例を対象にクロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジ ン、チオリダジンと比較された。その結果、本剤は全般改善度でクロルプロマ ジン、ハロペリドールより有意にまさり、ペルフェナジンとは一部に有意差を 認め、チオリダジンとは差を認めなかった。その他、症状別改善度で言語、 動作、接触、感情などをあらわす症候群や感情表出、病識で比較薬に比べ 有意差を認めた。 うつ病、うつ状態に対する二重盲検比較試験は 137 例を対象にイミプラミンと比 較された。その結果、本剤は気分の抑うつ、思考内容(自殺)、日内変動(夕抑 うつ)の改善で有意差を認めた。これら臨床試験から本剤は各投与用量で胃・ 十二指腸潰瘍、統合失調症、うつ病・うつ状態に対して有用であることが明らか にされた。 (4) 本剤は投与用量(150mg~600mg/日)により消化器科領域、精神科領域に対 する有用性を示す治療薬であるが、承認時及び年次報告において胃・十二指 腸潰瘍領域で総症例 6,078 例中 225 例(3.7%)、精神科領域で総症例 17,010 例中 2,136 例(12.6%)に副作用が報告されている。 1 Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名 (1)和 名 ミラドール®錠 50 ミラドール®錠 100 ミラドール®錠 200 ミラドール®細粒 10% ミラドール®細粒 50% ミラドール®カプセル 50 mg (2)洋 名 Miradol®Tab.50 Miradol®Tab.100 Miradol®Tab.200 Miradol®Fine granule 10% Miradol®Fine granule 50% Miradol®Cap 50 mg (3)名称の由来 効能・効果が幅広い(MIRACLE)、作用が柔らかい(DOLCE)ことから命名 した。 2.一般名 (1)和 名(命名法) スルピリド (JAN) (2)洋 名(命名法) Sulpiride (JAN、INN) (3) ステム sulpiride 誘導体-pride 3.構造式又は示性式 4.分子式及び分子量 分子式:C15H23N3O4S 分子量:341.43 5.化学名(命名法) N-(1-Ethylpyrrolidin-2-ylmethyl)-2-methoxy-5-sulfamoylbenzamide 6.慣用名、別名、略号、記 号番号 治験番号:MS-4206 記号番号:1403R.D. 7.CAS 登録番号 15676-16-1 2 Ⅲ.有効成分に関する項目 1.物理化学的性質 (1)外観・性状 白色の結晶性の粉末である。 (2)溶解性 (日局) 酢酸(100)又は希酢酸に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール (99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。 0.05mol/L 硫酸試薬に溶ける。 (3)吸湿性 通常の保存条件下では吸湿性はない。 (4)融点(分解点)、沸点、凝固点 約 178℃(分解) (5)酸塩基解離定数 pKa1=9.0 (滴定法) pKa2=10.0 (6)分配係数 該当資料なし (7)その他の主な示性値 吸光度:波長 289~293nm に吸収の極大、263~239nm に吸収の極小を 示す。 本品のメタノ-ル溶液(1→100)は、旋光性を示さない。 2.有効成分の各種条件下 における安定性 安定性試験 スルピリドの安定性 保存条件 保存形態 結果 室温、散乱光 35℃、散乱光 45℃、散乱光 50℃、散乱光 24 ヶ月 24 ヶ月 12 ヶ月 6 ヶ月 瓶(密栓) 変化なし 温度 105℃、散乱光 6 時間 瓶(開放) 変化なし 湿度 35℃、75%RH、散乱光 3 ヶ月 瓶(開放) 変化なし 光 室内散乱光 フェードテスターによる 紫外線照射 3 ヶ月 10 時間 ペトリ皿 (施蓋) 変化なし 長期保存期間 苛 酷 試 験 期間 (試験項目:外観、融点、定量など) スルピリドは室温で長期安定性が認められ、また、加温、加湿及び紫外 線照射条件下でも変化が認められなかった。 3.有効成分の確認試験法 日局「スルピリド」の確認法による 4.有効成分の定量法 日局「スルピリド」の定量法による 3 Ⅳ.製剤に関する項目 1.剤 形 (1)剤形の区別、規格及び性状 錠 :白色~帯黄白色のフィルムコート錠 細粒 :白色の細粒剤 カプセル剤 :青色と白色のツートンカラーの硬カプセル剤 1) 錠剤、 販売名 ミラドール錠 50 ミラドール錠 100 ミラドール錠 200 成分・含量 1錠中、日局スルピリド 50mg 含有 1錠中、日局スルピリド 100mg 含有 1錠中、日局スルピリド 200mg 含有 白色~帯黄白色のフィルムコート錠 色・剤形 外形 (識別コード) 直径(mm) 6.0 7.0 9.0 厚さ(mm) 2.8 3.2 3.7 重さ(g) 0.082 0.123 0.246 2) 細粒 販売名 ミラドール細粒 10%、50% 成分・含量 1g中、日局スルピリド 100 mg、500mg 含有 色・剤形 白色の細粒剤 3) カプセル 販売名 成分・含量 色・剤形 ミラドールカプセル 50 mg 1 カプセル中、日局スルピリド 50 mg 含有 青色と白色のツートンカラーの硬カプセル剤 (3 号カプセル) 外形 (識別コード) 0.240 重さ(g) (2)製剤の物性 1) 錠剤 錠 50 錠 100 錠 200 2)細粒 粒度分布 安息角 分散性 3)カプセル 崩壊試験*〈日局〉 10 分以内 10 分以内 15 分以内 「日本薬局方」製剤総則 11. 細粒剤の項(3)に規定の細粒試験 により試験を行う時、これに適合する。 (18 号通過:全量、30 号残留:5%以下、200 号通過;10%以下) 細粒 50%の場合:38.1(度) 細粒 50%の場合:16.2(%) 崩壊試験*〈日局〉 カプセル 50 mg 10 分以内 *:試験液:日局第 1 液 (3)識別コード 錠 50 : MPI 120 (錠剤表面に表示) : MPI 121 (錠剤表面に表示) 錠 100 錠 200 : MPI 122 (錠剤表面に表示) カプセル 50mg :MPI 123 (カプセル剤に表示) 4 Ⅳ.製剤に関する項目 2.製剤の組成 (1)有効成分(活性成分)の含量 販売名 有効成分の含量 ミラドール錠 50 1 錠中 日局スルピリド 50mg 含有 ミラドール錠 100 1 錠中 日局スルピリド 100mg 含有 ミラドール錠 200 1 錠中 日局スルピリド 200mg 含有 ミラドール細粒 10% 1g 中 日局 スルピリド 100mg 含有 ミラドール細粒 50% 1g 中 日局 スルピリド 500mg 含有 ミラドール カプセル 50mg 1 カプセル中 日局スルピリド 50mg 含有 (2)添加物 (保存剤、賦形剤、安定剤、溶媒、溶解補助剤、基剤等) 錠剤 ステアリン酸マグネシウム、 デキストリン、 トリアセチン、 ヒプロメロース、 メチルセルロース、カルナウバロウ 酸化チタン、 ヒプロメロースフタル酸エステル 乳糖水和物、 カルメロース ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ステアリン酸、 乳糖水和物 ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、 乳糖水和物、 カプセル本体中 ラウリル硫酸ナトリウム、青色1号、赤色3号、 ゼラチン、酸化チタン 細粒剤 カプセル剤 (3)その他 原薬が苦味を有するため錠剤はフィルムコート錠とし、服用しやすくした。また、同様の理由 で細粒剤はポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートで被覆し、唾液中での溶解を防ぐ 措置を施している。 3.懸濁剤、乳剤の分散性 に対する注意 4.製剤の各種条件下にお ける安定性 該当しない (1)ミラドール錠 50、100、200 安定性試験 ミラドール錠 50、100、200 の安定性試験結果(一変処方品) 試験項目 長期保存 加速 試験 保存条件 保存期間(月) 室温、散乱光、 48 40℃、75% 40℃、75% 3 加湿 保存形態 ポリエチレン瓶 PTP PTP/ラッパー ポリエチレン瓶 PTP 結果 変化なし 変化なし ミラドール錠は室温保存、加温加湿条件下で安定な製剤と思われた。 (2)ミラドール細粒 50% 安定性試験結果 ミラドール細粒 50%の安定性試験結果 試験項目 保存条件 保存期間(月) 保存形態 瓶(密閉) 瓶(開放) 長期保存 室温 18 40℃ 6 瓶(密閉) 変化なし 50℃ 3 瓶(密閉) 2 ヶ月以降外観微黄 色~微黄白色 40℃、65% 40℃、80% 室温、散乱光 6 6 3 ペトリ皿 ペトリ皿 ペトリ皿 加温 苛酷 試験 加湿 室内散乱光 結果 変化なし 変化なし 変化なし ミラドール細粒は各試験条件下で安定であった。 (3)ミラドールカプセル 50mg 安定性試験結果 ミラドールカプセル 50mg の安定性試験結果 試験項目 長期保存 加温、加湿 室内散乱光 保存条件 室温 40℃、60% 散乱光 保存期間(月) 12 3 3 保存形態 PTP ペトリ皿 ペトリ皿 ミラドールカプセル 50mg は各試験条件下で安定であった。 5 結果 変化なし 変化なし 変化なし Ⅳ.製剤に関する項目 5.調整法及び溶解後の 安定性 該当資料なし 6.他剤との配合変化(物理 化学的変化) ミラドール細粒 50%の配合試験結果 :最良条件の薬包紙包装及び SP 包装を除 き、黄色に変色 :最悪条件の配合品は黒褐色に変化 セノコット顆粒 :中間、最悪の各保存条件で濃褐色に変化 パンビタン末 ベンザリン散 1% :最悪条件の裸保存と薬包紙保存品が僅か 黄色に変化 シナール :配合品は褐色に変化 アタラックスーP、 ベンザリン散、 ドリデン散、 エビオス末、 ナーベン 100 倍散、 プロピタン散、 セノコット顆粒、 レセルピン散、 SM 散、 パンカル G、 ラキサトール、 タチオン散、 パンビタン末、 ダイオウ末、 フェノバルビタール、安息香酸ナトリウム・カフェイン、 重質酸化マグネシウム、グルマール顆粒、乳糖、 単品、配合品ともに吸湿するもので、各製剤の吸湿性によると思 われる外観変化であった。変化の程度はミラドール細粒配合品の 方が少ない傾向にあった。 アプレゾリン酸 配合注意 変化が疑わしい もの配合 吸湿の激しい配 合 試験方法:以下の条件で 28 日間の試験を実施した。 試験条件 保存方法 1.最良条件 2.中間条件 3.最悪条件 1.無包装 2.薬包紙包装 3.SP 包装 (5℃、 RH52%) (20℃、RH75%) (30℃、RH92%) 7.溶出性 条件;有効成分:スルピリド、剤型:錠剤、含量:50mg、試験液:pH1.2、4.0、6.8、水, 回転数 50rpm、界面活性剤:使用せず 医療用医薬品品質再評価に係る公的溶出試験(2004 年) 表示量(スルピリドとして) 錠剤 50 mg 錠剤 100 mg 錠剤 200 mg 規格時間 30 分 45 分 45 分 溶出率 80%以上 75%以上 70%以上 (pH6.8) 6 Ⅳ.製剤に関する項目 7.溶出性(つづき) スルピリド細粒 50% 100 90 80 溶 70 出 60 率 50 (%) 40 30 pH1.2 pH4.0 pH6.8 水 20 10 0 0 5 10 15 45 60 90 試験液採取時間(分) 30 条件;有効成分:スルピリド、剤型:細粒、含量:500mg、試験液:pH1.2、4.0、6.8、水, 回転数 50rpm、界面活性剤:使用せず スルピリドカプセル50mg 100 90 80 溶 70 出 60 率 50 pH1.2 pH4.0 pH6.8 水 (%) 40 30 20 10 5 10 15 30 45 60 90 試験液採取時間(分) 120 条件;有効成分:スルピリド、剤型:カプセル、含量:50mg、試験液:pH1.2、4.0、6.8、水, 回転数 50rpm、界面活性剤:使用せず 医療用医薬品品質再評価に係る公的溶出試験(2003 年) 表示量(スルピリドとして) 細粒 10% 100mg/g 細粒 50% 500 mg/g カプセル 50 mg 規格時間 45 分 45 分 120 分 溶出率 80%以上 80%以上 75%以上 (pH6.8) 8.生物学的試験法 該当しない 9.製剤中の有効成分の 確認試験法 錠剤、カプセル;日局「スルピリドカプセル、錠剤」確認試験法による。 細粒 ;ドラーゲンドルフ試薬沈殿法、紫外可視吸光度測定法(極大吸収 波長、289~293nm、極小吸収波長 263~269nm)による。 10.製剤中の有効成分の 定量法 錠剤、カプセル;日局「スルピリドカプセル、錠剤」定量試験法による。 細粒 ;紫外可視吸光度測定法による。 11.力価 該当しない 7 Ⅳ.製剤に関する項目 12.混入する可能性のある 夾雑物 特になし 13.治療上注意が必要な 容器に関する情報 特になし 14.その他 特になし 8 Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果 胃・十二指腸潰瘍、統合失調症、うつ病・うつ状態 ミラドール錠 50 ミラドール錠 100、200 ミラドール細粒 10%、50% ミラドールカプセル 50mg 2.用法及び用量 胃・十二指腸潰瘍 ○ ○ ○ 統合失調症 ○ ○ ○ ○ うつ病・うつ状態 ○ ○ ○ ○ (1)用法・用量 [胃・十二指腸潰瘍] スルピリドとして、通常、成人 1 日 150mg を 3 回に分割経口投与する。 なお、症状により適宜増減する。 [統合失調症] スルピリドとして、通常、成人 1 日 300~600mg を分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1 日 1,200mg まで増量することが できる。 [うつ病・うつ状態] スルピリドとして、通常、成人 1 日 150~300mg を分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1 日 600mg まで増量することが できる。 (2)最大使用投与量・投与期間 該当資料なし (3)小児用量 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立して いない。[使用経験が少ない。] (4)高齢者用量 副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、用量並びに投与間隔に留意する など慎重に投与すること。[本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者 では腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれ がある。] (5)臓器障害時の投与量 腎障害がある患者には慎重に投与すること。 (6)透析時の補正投与量 該当資料なし (参考:美川郁夫、新薬と臨床、1982,31, 691-694)高度腎機能障害例でクレアチニンクリアラ ンス 10mL/min 以下において、最高血中濃度が約 1.7 倍、半減期が 48 時間と蓄積性が認 められ、腎障害者には本剤の 1/3 量連日、または隔日投与法を推奨する報告がある。 (7)特殊患者群に対する注意 特になし (8)特別な投与法 特になし 9 Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績 (1)臨床データパッケージ 該当しない (2)臨床効果 1) 一般臨床試験における有効率 <胃・十二指腸潰瘍> 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 胃・十二指腸共存潰瘍 計 例数 444 74 18 536 治癒 281(63.3%) 49(66.2%) 11(61.1%) 341(63.6%) 縮小 98(22.1%) 11(14.9%) 3(16.7%) 112(20.9%) 有効率 379/444(85.4%) 60/74(81.1%) 14/18(77.8%) 453/536(84.5%) やや有効以上 有効率 370/597(62.0%) 387/498(77.7%) <統合失調症、うつ病・うつ状態> 例数 597 498 統合失調症 うつ病、うつ状態 有効以上 230(38.5%) 280(56.2%) 370(62.0%) 387(77.7%) (3)臨床薬理試験:忍容性試験 該当資料なし (4)探索的試験:用量反応探索試験 該当資料なし (5)検証的試験 1)無作為化並行用量反応試験 該当資料なし 2)比較試験 2~7) 胃・十二指腸潰瘍の比較試験は、内視鏡で評価可能な胃潰瘍患者 35 例を 対象に本剤 150mg/日投与群とプラセボ群との 2 ヶ月間の試験を実施した。 その結果、本剤投与群は胃潰瘍の治癒・略治の改善率においてプラセボ群 との間に有意差が認められた(p<0.05,Fisher検定)。2) 統合失調症における比較試験は本剤 300mg~1200mg/日、試験期間 6~10 週間とし、慢性統合失調症患者(入院例)あるいは人格荒廃、興奮状態のない 患者(入院例)の総計 293 例を対象にクロルプロマジン、ハロペリドール、 ペルフェナジン、チオリダジン投与群と比較した。その結果、本剤は全般改善 度でクロルプロマジン、ハロペリドール投与群より有意にまさり(P<0.05,χ2 検定)、ペルフェナジンとは一部に有意差を認め(P<0.05,χ2 検定)、チオリダ ジンとは優劣を認めなかった。その他、症状別改善度で言語、動作、接触、感情 などをあらわす症候群や感情表出、病識で比較薬に比べ有意差を認めた (P<0.05,2×2 分割表)。3~6) うつ病・うつ状態に対する比較試験は本剤 150mg~450mg/日、試験期間 21 日間とし、149 例を対象にイミプラミン投与群と比較した。その結果、本剤は気分 の抑うつ、思考内容(自殺)、日内変動(夕抑うつ)の改善で有意差を認めた (p<0.05,U 検定)。7) 10 Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績(つづき) スルピリド二重盲検比較試験結果 試験項目、試験期間 胃潰瘍 2 ヶ月 全般改善率 統合失調症 8 週間 全般改善率 統合失調症 8 週間 全般改善率 統合失調症 6 週間 全般改善率 統合失調症 10 週間 全般改善率 うつ病・うつ状態 3 週間 全般改善率 2~7) 比較対照薬 スルピリド 11/17 (64.7%) スルピリド *1 34/38(89.5%)*2 スルピリド 32/37(86.4%) *2 スルピリド 12/27(44.4%) スルピリド 26/44(59.1%) スルピリド 59/71(83.1%) プラセボ 4/18(22.2%) クロルプロマジン 24/37(64.9%) ハロペリドール 20/37(54.0%) ペルフェナジン 16/29(55.2%) チオリダジン 24/44(54.5%) イミプラミン 49/66(74.2%) (*;p<0.05,*1;Fisher検定,*2;χ2 検定) 3)安全性試験 該当資料なし 4)患者・病態別試験 該当資料なし (6)治療的使用 1)使用成績調査・特別調査・市販後臨床試験 該当しない 2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要 該当しない 11 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1.薬理学的に関連ある 化合物又化合物群 ベンズアミド系(スルトプリド) フェノチアジン系(クロルプロマジン、ペルフェナジンなど) ブチロフェノン系(ハロペリドールなど) 三環系抗うつ薬(イミプラミンなど) 2.薬理作用 (1) 作用部位・作用機序 作用部位 <胃・十二指腸潰瘍> 視床下部後部交感神経領域 <統合失調症、うつ病・うつ状態> 主として皮質及び辺縁系、黒質-線条体系などのドパミン神経支配領域 作用機序 <胃・十二指腸潰瘍> 視床下部後部刺激による交感神経興奮の抑制作用と考えられている。 <統合失調症、うつ病・うつ状態> 抗精神病薬の作用機序は、抗ドパミン作用と密接に関連していると推定 されており、本剤も行動薬理学的試験及び神経化学的試験によって、 中枢性抗ドパミン作用を示すことが明らかにされている。 (2)薬効を裏付ける試験成績 <胃・十二指腸潰瘍> 1) 抗潰瘍作用:スルピリドは Shay 潰瘍及び 24 時間間歇通電による潰瘍に対し て、潰瘍形成発生を予防すると共に潰瘍を縮小し、治癒促進効果を示す。 (ラット)8,9) 2) 胃内容排出促進作用:スルピリドは胃・十二指腸潰瘍における血流を増加 させる。また、視床下部後部電気刺激による胃粘膜血流の停滞ないし部分 的虚血現象を抑制する。(イヌ、ウサギ、ラット)10,11,12) 3) 胃血流増加作用:スルピリドは胃及び小腸運動を亢進し、内容物の排泄及 び通過を促進する。(イヌ) 13,14) <統合失調症、うつ病・うつ状態> 1) スルピリドは強力な抗ドパミン作用を有し、アポモルヒンやメタアンフェタミン 等のドパミン様刺激作用を抑制する。(ラット)15,16,17) (参考:PET を用いたスルピリドの健常成人脳内ドパミン D2 受容体占有率〉 Dopamine D2 receptor occupancy(%) (a) (b) 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 0 0 0 200 400 600 0 800 Dose (mg) 500 1000 1500 2000 スルピリドとスルトプリドのドパミン受容体 占有率[(a)用量、(b)血漿濃度]の回帰 曲線、 スルピリドはスルトプリドと同様に D2 受 容体に用量及び血漿濃度に相関して 占有することが報告されている。 □:スルピリド、○:スルトプリド、(前頭、 頭頂、視床各皮質の D2 受容体)測定 値、(n=21) Plasma concentration (ng/mL) Takano,A.,Inter J Neuropsychopharma,2006,9,539 2)スルピリドは精神身体症状を指標とした実験で、イミプラミンと同様に顕著 な抗レセルピン作用を示す。また、嗅球摘除ラットでの Muricide- behaviour (喰殺行動)抑制作用を示し、三環系抗うつ剤に共通に認められるモノアミン の神経終末での取り込み抑制を全く示さなかった。(サル、ラット) 18,19,20,21) 12 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 2.薬理作用 (つづき) (2)薬効を裏付ける試験成績 (つづき) <統合失調症、うつ病・うつ状態> 3)スルピリドは光眼輪筋反射(対光反射)においてジアゼパムやイミプラミン とは異なり、P1,P2 の潜時を短縮し、意識レベルを高めた。(ヒト)22) 4)スルピリドはクロルプロマジンやハロペリドールで認められる麻酔遷延作 用を示さず、眠気、脱力感等の自覚症状はみられない。(マウス、ヒト)16,22) (3)作用発現時間・持続時間 該当資料なし 13 Ⅶ.薬物動態に関する項目 (1)治療上有効な血中濃度 該当資料なし (2)最高血中濃度到達時間 約 2 時間 23) (3)臨床試験で確認された血中濃度 23) 単回投与 健康成人男子にスルピリド 50mg 錠及び 100mg 錠を 1 回 1 錠、細粒 50% 1 回 0.2g(100mg)を経口投与したときの血中濃度は、約 2 時間でピークに 達し、その消失半減期は 50mg 錠、100mg 錠が約 5.5 時間、細粒が 4.5 時 間であった。 スルピリド血中濃度の推移 Concentration of sulpiride in serum(μg/mL) 1.血中濃度の推移・測定法 錠 100m g 0.3 錠 50m g 細粒 50%0.2g 0.2 0.1 0 1 2 4 6 8 T im e after administration(hr) スルピリド錠、細粒単回投与後の薬物動態 表示量(スルピリドとして) Cmax(μg/mL) Tmax(hr) 錠 (50mg) 錠 (100mg) 細粒 50% (100mg) 0.129±0.020 0.312±0.051 0.339±0.043 2.33±0.4 2.67±0.3 2.50±0.4 AUC0~8hr (μg・hr/mL) 5.5 0.686±0.084 5.5 1.675±0.177 4.5 1.630±0.160 平均値±標準偏差 T1/2(hr) 反復投与 24) 該当資料なし (参考:外国データ;統合失調症患者 12 名にスルピリド 800mg/日を 4 週間投与) 血中濃度は 1 週間で定常状態に達し、蓄積性が認められなかった。 (4)中毒域 該当資料なし 14 Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定 法(つづき) (5)食事・併用薬の影響 該当資料なし 25) (参考;健康成人に 100mg を経口投与)食事により吸収が遅延し、48 時間内の尿中排泄率が 30%低下したとの報告がある。 (6)母集団(ポピュレーション)解折により判明した薬物体内動態変動要因 2.薬物速度論的パラメータ 該当資料なし (1)コンパートメントモデル 該当資料なし (2)吸収速度定数 該当資料なし 26) (参考:外国データ;健康成人に 50mg カプセル経口投与) 1.895 hr-1 ;健康成人に 200mg 経口投与) 1.049hr-1 (3)バイオアベイラビリティ 該当資料なし 27) (参考:外国データ;健康成人に 100mg の静注及び経口投与) 27% (4)消失速度定数 該当資料なし 26) (参考:外国データ;健康成人に 200mg 経口投与) 0.030 hr-1 (5)クリアランス 26) 該当資料なし (参考:外国データ;健康成人に 200mg 経口投与) 36.40L/h (6)分布容積 26) 該当資料なし (参考:外国データ;健康成人に 200mg 経口投与) 17.03L/Kg (7)血漿蛋白結合率 28) 3.6~4.5% (in vitro、濃度 1,10,100μg/mL、限外濾過法) 3.吸 収 吸収部位:消化管 4.分 布 (1)血液-脳関門通過性 該当資料なし (2)血液-胎盤関門通過性 該当資料なし (3)乳汁への移行性 29) スルピリド 50mg を 1 日 2 回経口投与した出産 3 日目~7 日目の授乳婦 20 例の乳汁中スルピリド平均濃度は 0.97μg/mL(0.26~1.97μg/mL)であった。 (4)髄液への移行性 24) 該当資料なし (参考:外国データ;統合失調症患者 12 名にスルピリド 800mg/日を 4 週間投与) 48~88ng/mL (5)その他の組織への移行性 該当資料なし 15 Ⅶ.薬物動態に関する項目 5.代 謝 (1) 代謝部位及び代謝経路 28) 代謝部位: 肝臓 代謝経路: 代謝物は主に尿中に 5-oxopyrrolidine sulpiride (ラクタム体)として排泄される。 ヒトでの主な代謝物 (2)代謝に関与する酵素(CYP450 等) の分子種 30) 本剤は CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4 と相互作用を示さない。 (3)初回通過効果の有無及びその割合 該当資料なし (4)代謝物の活性の有無及び比率 該当資料なし (5)活性代謝物の速度論的パラメータ 該当資料なし 6.排泄 (1)排泄部位及び経路 31) 14 C スルピリドを健康成人 4 例に経口投与後、尿中回収率は 48 時間で 95% であった。投与 1 週後までの尿中と糞便中の 14C 回収率はそれぞれ 27~ 52%と 19~69%であった。 (2)排泄率 23) 健康成人男子にスルピリド 50mg 又は 100mg を 1 回経口投与すると、投与 24 時間後までに投与量の 25~26%が未変化体のまま尿中に排泄された。 (3)排泄速度 32) 該当資料なし (参考:外国データ;健康成人 6 例に 200mg を経口投与) 排泄速度は、約 6 時間後で 4mg/h、24 時間後で約 0.8mg/h と報告されている。 7.透析等による除去率 ・腹膜透析 該当資料なし ・血液透析 33) 該当資料なし (参考:慢性腎炎で透析が導入された症例)スルピリド 300mg/日を服用した時の透析後 の血清スルピリド濃度は透析前に比べ約 30%低下したとの報告がある。 ・直接血液灌流 該当資料なし 16 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1.警告内容とその理由 2.禁忌内容とその理由 (原則禁忌を含む) 該当せず 禁忌 (次の患者には投与しないこと) (1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者[抗ド パミン作用によりプロラクチン分泌が亢進し、病態を悪化させるお それがある] (3) 褐色細胞腫の疑いのある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれ ( がある] (1) 同種同効薬に準じた。 (2) 海外添付文書等の記載を参考に設定した。本剤の抗ドパミン作用によりプロラクチン 分泌がさらに促進され病態を悪化させる可能性がある。 (3) 海外添付文書等の記載を参考に設定した。本剤投与で腫瘍からカテコールアミンが大 量に遊離して、昇圧発作が報告されている。また、in vitro 実験でスルピリドが直接 褐色細胞に作用して、カテコールアミンを遊離することが報告されている。34,35,36) 3.効能又は効果に関連 する使用の注意とその 理由 該当しない 4.用法及び用量に関連 する使用上の注意と その理由 該当しない 5.慎重投与内容とその理 由 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1) 心・血管疾患,低血圧又はそれらの疑いのある患者[症状が悪化す るおそれがある] (2) QT 延長のある患者[QT 延長が悪化するおそれがある] (3) QT 延長を起こしやすい患者[QT 延長が発現するおそれがある] 1) 著明な徐脈のある患者 2) 低カリウム血症のある患者等 (4) 腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある] (5) パーキンソン病のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある] (6) 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[悪性症候群 (Syndrome malin)が起こりやすい] (7) 高齢者[「高齢者への投与」の項参照] (8) 小児[「小児等への投与」の項参照] (1) (2)(3) (4) (5) (6) 一般に現在使用されている抗精神病薬や抗うつ薬の中には、心電図や血管 疾患などに副作用を有する薬剤が多くあり、スルピリドでも同様な副作用が報 告されている。 動物試験(イヌ)で本剤の QT 延長作用が報告されており、症状を悪化させる おそれがある。37) 腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス 10mL/分以下)では、高い血 中濃度が持続することが報告されている。 本剤は抗ドパミン作用を有するため、パーキンソン病患者ではその症状を悪 化させるおそれがある。 一般にこのような状態の患者では悪性症候群が発生しやすいといわれてい る。 17 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.重要な基本的注意とその 理由及び処置方法 7.相互作用 重要な基本的注意 (1)本剤の投与により、内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)、錐体外 路症状等の副作用があらわれることがあるので、本剤の投与に際して は、有効性と安全性を十分考慮のうえ使用すること。 (2)ときに眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患 者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注 意すること。 (3)制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等 による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。 (4)抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報 告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険 因子を有する患者に投与する場合には注意すること。 (1)併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 QT延長を起こすことが QT延長、心室性不整 知られている薬剤 脈等の重篤な副作用 イミプラミン、 を起こすおそれがあ ピモジド等 る。 ジギタリス剤 ジゴキシン、 ジギトキシン等 ベンズアミド系薬剤 メトクロプラミド、 チアプリド等 フェノチアジン系薬剤 クロルプロマジン等 ブチロフェノン系薬剤 ハロペリドール等 中枢神経抑制剤 バルビツール酸誘導 体、麻酔剤 ジギタリス剤飽和時の 指標となる悪心・嘔 吐、食欲不振症状を 不顕性化するおそれ がある。 内分泌機能異常、 錐体外路症状が発現 しやすくなる。 機序・危険因子 本剤及びこれらの薬剤 はいずれも QT 間隔を 延長させるおそれがあ るため、併用により作 用が増強するおそれが ある。 本剤の制吐作用に よる。 これらの薬剤は抗ドパ ミン作用を有するた め、併用により抗ドパミ ン作用が強くあらわれ る。 相互に中枢神経抑制 作用が増強させること がある。 ともに中枢神経抑制作 用を有する。 ドパミン作動薬 レボドパ等 相互に作用を減弱さ せることがある。 アルコール (飲酒) 相互に中枢神経抑制 作用が増強することが ある。 本剤は抗ドパミン作用 を有するため、作用が 拮抗する。 ともに中枢神経抑制作 用を有する。 18 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (1)副作用の概要 胃・十二指腸潰瘍 38) 総症例6,078例中、副作用発現例は225例で発現頻度は3.7%であっ た。(年次報告終了時:1977年2月) 統合失調症、うつ病・うつ状態 39) 総症例17,010例中、副作用発現例は2,136例で発現頻度は12.6%で あった。(年次報告終了時:1982年4月) (2)重大な副作用と初期症状 1) 悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満) 悪性症候群があらわれることがあるので、無動緘黙、強度の筋強 剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き 続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給 等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、 白血球の増加や血清 CK(CPK)の上昇がみられることが多く、ま た、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。 なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症 状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。 2) 痙攣 (0.1%未満) 痙攣があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場 合には投与を中止すること。 3) QT 延長、心室頻拍 (0.1%未満) QT 延長、心室頻拍(Torsades de pointes を含む)があらわれるこ とがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には 投与を中止し、適切な処置を行うこと。 4) 肝機能障害,黄疸(0.1%未満) AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P の上昇を伴う肝機能障 害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常 が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 5) 遅発性ジスキネジア (0.1%未満) 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ投与中止後 も持続することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められ た場合には適切な処置を行うこと。 6) 無顆粒球症、白血球減少 (0.1%未満) 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十 分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切 な処置を行うこと。 7) 肺塞栓症、深部静脈血栓症 (0.1%未満) 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症 が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢 の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適 切な処置を行うこと。 19 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (3)その他の副作用 <胃・十二指腸潰瘍> 注 1) 内分泌 0.1~5%未満 0.1%未満 月経異常、乳汁分泌、 女性型乳房 乳房腫脹、勃起不全 錐体外路症状注 2) 不眠、眠気、めまい、ふらつき 精神神経系 消化器 口渇、胸やけ、悪心、嘔吐、 便秘 熱感、倦怠感 その他注 3) 注1) 注2) 注3) パーキンソン症候群(振戦、 筋強剛、流涎等), 舌のもつれ、焦燥感 発疹、浮腫、性欲減退 観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。 このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 発疹、浮腫があらわれた場合には投与を中止すること。 <統合失調症、うつ病・うつ状態> 0.1~5%未満 心・血管系注 1) 血圧下降 錐体外路症状注 2) 内分泌注 3) 精神神経系 消化器 肝臓 皮膚注 4) パーキンソン症候群 (振戦、筋強剛、流涎等) ジスキネジア (舌のもつれ、言語障害、 頸筋捻転、眼球回転、注 視痙攣、嚥下困難等) アカシジア (静坐不能) 乳汁分泌、女性型乳房、 月経異常、射精不能 睡眠障害、不穏、焦燥感、眠 気、頭痛、頭重、めまい、浮 遊感、興奮、躁転、躁状態、 しびれ、運動失調 悪心、嘔吐、口渇、便秘、 食欲不振、腹部不快感 AST(GOT) 、 ALT(GPT) 、 Al-P 等の上昇 発疹 0.1%未満 心電図異常、血圧上昇、 胸内苦悶、頻脈 乳房腫脹、 勃起不全 物忘れ、ぼんやり、徘徊、 多動、抑制欠如、無欲状態 下痢、胸やけ、腹痛、食欲亢 進 瘙痒感 視力障害、眼球冷感・重感、 眼 眼のちらつき 体重増加、浮腫、脱力感、倦 頻尿、腰痛、肩こり、熱感、 その他注 5) 怠感、排尿困難、性欲減退 発熱、発汗、鼻閉 注1) 急激に増量した場合、心電図に変化がみられることがあるので慎重に投与すること。 このような症状があらわれた場合には、減量又は抗パーキンソン剤の併用等適切な処置 注2) を行うこと。 注3) このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 注4) このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 注5) 浮腫があらわれた場合には投与を中止すること。 20 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 38,39) 承認時・承認時以降の調査累計 精神科 調査症例数 副作用発現症例数 消化器科 承認時 承認時以降 合計 承認時 承認時以降 合計 1,906 15,104 17,010 481 5,597 6,078 604 1,532 2,136 10 215 225 副作用発現件数 1,121 2,045 3,166 12 247 259 副作用発現症例率 31.69% 10.14% 12.56% 2.10% 3.80% 3.70% 副作用発現件数 (%) 精神科 副作用の種類 消化器科 承認時 承認時以降 合計 血圧上昇 4(0.21) 7(0.05) 11(0.06) 血圧下降 9(0.47) 10(0.07) 19(0.11) 胸内苦悶 4(0.21) 7(0.05) 11(0.06) 頻脈 10(0.06) 承認時 承認時以降 合計 1(0.20) 3(0.05) 4(0.07) - 1(0.02) 1(0.02) - 2(0.04) 2(0.03) 2(0.40) 16(0.29) 18(0.30) 心血管系 2(0.10) 8(0.05) 心電図異常 - 4(0.03) 4(0.02) 動悸 - 1(0.01) 1(0.01) パーキンソニスムス 40(2.10) 75(0.50) 115(0.68) 振戦 102(5.35) 115(0.76) 217(1.28) 筋強剛 34(1.78) 21(0.14) 55(0.32) 流涎 43(2.26) 23(0.15) 66(0.39) - 1(0.01) 1(0.01) 錐体外路系 ジストニア ジスキネジア 4(0.21) 38(0.25) 42(0.25) 舌のもつれ 12(0.63) 25(0.17) 37(0.22) 言語障害 5(0.26) 21(0.14) 26(0.15) 頸筋捻転 2(0.10) 3(0.02) 5(0.03) 眼球回転 3(0.16) 14(0.09) 17(0.10) 注視痙攣 1(0.05) - 1(0.01) 嚥下困難 1(0.05) 3(0.02) 4(0.02) アカシジア 42(2.20) 126(0.83) 168(0.99) 膏顔 2(0.10) 3(0.02) 5(0.03) 10(0.52) 140’0.93) 150(0.88) 内分泌系 乳汁分泌 乳腺腫大・乳房腫脹 1(0.05) 22(0.15) 23(0.14) - 3(0.05) 3(0.05) 月経異常 14(0.73) 185(1.22) 199(1.17) - 9(0.16) 9(0.14) 射精不能 1(0.05) 5(0.03) 6(0.04) - 1(0.02) 1(0.02) 不正子宮出血 精神神経系 睡眠障害 240(12.6) 24(1.60) 48(2.83) - 1(0.02) 1(0.02) 不穏・焦燥 58(3.04) 65(0.43) 123(0.72) - 5(0.09) 5(0.08) 眠気 45(2.36) 163(1.08) 208(1.22) - 20(0.36) 20(0.33) 興奮 13(0.68) 31(0.21) 44(0.26) 物忘れ 4(0.21) 2(0.01) 6(0.04) 21 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧(つづき) 副作用発現件数 (%) 精神科 副作用の種類 消化器科 承認時 承認時以降 合計 ぼんやり 2(0.10) 8(0.05) 10(0.06) 徘徊・多動 2(0.10) 6(0.04) 8(0.05) 承認時 承認時以降 合計 - 2(0.04) 2(0.03) - 1(0.02) 1(0.02) 精神神経系(つづき) 無欲状態 2(0.10) 7(0.05) 9(0.05) 痙攣 2(0.10) 2(0.01) 4(0.02) 躁転・躁状態 8(0.42) 15(0.10) 23(0.14) 抑制欠如 - 1(0..01) 1(0..01) 抑うつ気分 - 2(0.01) 2(0.01) 脱力・倦怠感 54(2.83) 69(0.46) 123(0.72) 1(0.20) 15(0.26) 16(0.26) 口渇 42(2.20) 90(0.60) 132(0.78) 2(0.40) 34(0.61) 36(0.59) 頭痛・頭重 34(1.78) 25(0.17) 60(0.35) - 3(0.05) 3(0.05) めまい・浮遊感 26(1.36) 53(0.35) 79(0.45) 3((0.60) 17(0.30) 20(0.33) しびれ 8(0.42) 12(0.08) 20(0.12) 熱感・熱発 10(0.51) 1(0.01) 11(0.06) 2(0.40) 4(0.07) 6(0.10) 発汗 9(0.47) 5(0.03) 14(0.08) 排尿困難 4(0.21) 20(0.13) 24(0.14) 鼻閉 2(0.10) 7(0.05) 9(0.05) 肩こり 1(0.05) - 1(0.01) 運動失調 3(0.16) 17(0.11) 20(0.12) 手の脱力感 1(0.05) - 1(0.01) 悪心・嘔吐 34(1.78) 42(0.28) 76(0.45) - 9(0.16) 9(0.15) 便秘 40(2.10) 52(0.34) 92(0.54) - 68(1.21) 68(1.12) 食欲不振 37(1.94) 20(0.13) 57(0.34) - 1(0.02) 1(0.02) 胃部・腹部不快感 6(0.31) 16(0.11) 22(0.13) - 4(0.07) 4(0.07) 下痢 6(0.31) 6(0.04) 12(0.07) - 4(0.07) 4(0.07) 胸やけ 2(0.10) 6(0.04) 8(0.05) 1(0.20) 6(0.11) 7(0.12) 腹痛 2(0.10) 4(0.03) 6(0.04) 食欲亢進 1(0.05) 9(0.06) 10(0.06) - 2(0.04) 2(0.03) その他の胃腸障害 4(0.21) 1(0.01) 5(0.03) 空腹時痛 - 1(0.02) 1(0.02) 腹部圧迫感 - 1(0.02) 1(0.02) 腹部膨満感 - 2(0.04) 2(0.03) - 1(0.02) 1(0.02) - 1(0.02) 1(0.02) - 1(0.02) 1(0.02) - 1(0.02) 1(0.02) 自律神経系 消化器系 肝臓 AST(GOT)・ ALT(GPT)の上昇 - 29(0.19) 29(0.17) CCLF・TTT の異常 - 1(0.01) 1(0.01) 15(0.79) 22(0.15) 37(0.22) 皮膚 発疹 湿疹増悪 1(0.05) - 1(0.01) 痒感 2(0.10) 4(0.03) 6(0.04) 顔面浮腫状紅斑 22 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧(つづき) 副作用発現件数 (%) 精神科 副作用の種類 消化器科 承認時 承認時以降 合計 浮腫 8(0.42) 19(0.13) 27(0.16) 体重増加 37(1.94) 80(0.53) 117(0.69) 眼球冷感・重感 2(0.10) - 2(0.01) 視力障害 1(0.05) 5(0.03) 6(0.04) 目のちらつき 1(0.05) 5(0.03) 6(0.04) 性欲減退 4(0.21) 15(0.10) 19(0.11) 腰痛 1(0.05) - 1(0.01) 承認時 承認時以降 合計 - 1(0.02) 1(0.02) - 2(0.04) 2(0.03) - 1(0.02) 1(0.02) その他 足・下肢のはれ感 1(0.05) 1(0.01) 2(0.01) 知覚異常 2(0.10) 1(0.01) 3(0.02) 背中の痛み 1(0.05) - 1(0.01) 眼症状 4(0.21) - 4(0.02) 頻尿 1(0.05) 2(0.01) 3(0.02) 耳がボーンとする 1(0.05) - 1(0.01) 走りにくい 1(0.05) - 1(0.01) BUN の上昇 - 1(0.01) 1(0.01) 白血球増加 - 2(0.01) 2(0.01) 白血球減少 - 1(0.01) 1(0.01) 貧血 - 1(0.01) 1(0.01) 鼻出血 - 1(0.02) 1(0.02) 嗄声 - 1(0.02) 1(0.02) 23 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (5)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度 39) <統合失調症、うつ病・うつ状態> 項目 区分 調査症例数 7,942 男 8,680 性別 女 388 未記載 47 ≦13 1,810 ≦25 3,730 ≦35 3,695 ≦45 年齢 3,544 ≦55 (歳) 2,012 ≦65 1,292 ≦75 391 ≧76 489 未記載 統合失調症 6,600 対象 うつ病・うつ状態 8,626 疾患 その他 1,784 1,531 あり 14,983 合併症 なし 496 未記載 12,036 あり 4,754 併用薬 なし 220 未記載 1日 平均 投与量 (mg/日) 6,602 8,425 5,328 1,753 1,644 336 125 459 ≦150 ≦300 ≦600 ≦900 ≦1,200 ≦1,800 >1,800 未記載 発現症例数 822 1,156 158 5 311 568 468 333 172 87 13 179 1,171 756 209 140 1,795 201 1,694 313 129 305 626 611 168 177 30 11 244 発現率(%) 10.35 13.32 40.72 10.64 17.18 15.23 12.67 9.40 8.55 6.73 3.32 36.61 17.74 8.76 11.72 9.14 11.98 40.52 14.07 6.58 58.64 4.62 7.43 11.47 9.58 10.77 8.93 8.80 53.16 (承認時、承認時以降の調査の合計) 24 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (つづき) (6)薬物アレルギ-に対する注意および試験法 「禁忌」とその理由および「副作用」の項参照 試験法、該当資料なし (参考:外国デ-タ;Botey,E,Allergy,2004,59,1020-1021)プリック試験はスルピリドのアレル ギー性蕁麻疹発症の診断に有用であったと報告されている。 9.高齢者への投与 高齢者への投与 副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、用量並びに投与間隔に 留意するなど慎重に投与すること。 [本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下 していることが多く、高い血中濃度が維持するおそれがある。] 10.妊婦、産婦、授乳婦等へ (1)妊婦、産婦 投与 妊婦、産婦への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危 険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。妊娠後期に抗 精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障 害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があ らわれたとの報告がある。] (2)授乳婦 授乳婦への投与 授乳中の女性への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与 する場合は授乳を避けさせること。 [母乳中へ移行することが報告されている(「薬物動態」の項参照)。] 11.小児等への投与 小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立 していない。 [使用経験が少ない。] 12.臨床検査結果に及ぼす 影響 該当資料なし 13.過量投与 徴候、症状:パーキンソン症候群等の錐体外路症状があらわれる。また、昏睡が あらわれることもある。 処置:主として対症療法及び維持療法(輸液等)を行う。 (参考)過剰服薬時、意識レベル、バイタルサインを確認し、JCS(Japan Coma Scale)が二桁、三桁の場合は身体救急に搬送する。一般に抗精神病薬過剰摂 取時の症状は、発熱、意識障害、頸部及び上下肢の筋強直が現れ、時に心電 図異常(Torsades de pointes)が報告されている。処置は投与の中止と対症療法 (胃洗浄、活性炭、下剤、輸液、気管挿管など)が行われるとの記載がある。40) 25 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 14.適用上の注意 薬剤交布時: PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するように指導するこ と。[PTP シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には 穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されて いる。] 15.その他の注意 (1) 動物の慢性毒性試験で精巣萎縮を、また、生殖試験において妊娠率の 低下を起こすとの報告がある。 (2) ラットで 40mg/Kg/日以上、マウスで 600mg/Kg/日以上を長期間経口 投与した試験において、下垂体、乳腺等での腫瘍発生頻度が対照群に 比し高いとの報告がある。 (3) 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を 有する高齢患者を対象とした 17 の臨床試験において、非定型抗精神 病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が 1.6~1.7 倍高かった との報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬 も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告があ る。 16.その他 特になし 26 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 (1)薬効薬理試験 「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」を参照 (2)副次的薬理試験 該当資料なし (3)安全性薬理試験 41) 1)中枢神経系(マウス、ネコ、サル) スルピリドは 500-1000 mg/Kg(po)の用量でもマウス自発運動に影響を示 さず、また、麻酔遷延作用は 2000mg/Kg(po)でも認められなかった。 ネコ自発脳波への影響は 30 mg/Kg(iv)の用量でも変化がなかった。 サルでのカタレプシー惹起作用の最小有効量は 16mg/Kg(po)で、鎮静 作用の ED50 値は 7.3mg/Kg(po)であった。 2)循環器系(イヌ) スルピリドは 64mg/Kg(iv)の用量で心電図に変化を示さず、1~5mg/ Kg (iv)で一過性の血圧下降作用を示し、呼吸の興奮が認められた。 また、血圧下降作用が 16~32mg/Kg(iv)の用量で持続的に認められた。 3)自律神経系〈ネコ、イヌ〉 スルピリドはアセチルコリンによる血圧下降作用に対して 1mg/Kg 以上で 増強し、ヒスタミンによる血圧下降作用には 16mg/Kg(iv)まで影響を示さな かった。アドレナリン、ノルアドレナリンによる血圧上昇に対しては 2~ 16mg/Kg(iv)で抑制作用を認めた。セロトニンの血圧上昇作用に対しては 16mg/Kg(iv)以上で抑制作用を示した。血圧を指標にした本剤の抗アドレ ナリン、抗ノルアドレナリン作用の ED50 値は、それぞれ 5.7 mg/ Kg、 16mg/Kg であった。 4)平滑筋・内分泌系(モルモット、ラット、ヒト) スルピリドはアセチルコリンによる回腸の攣縮を抑制(ID50 値 2×10-4g/ mL)し、また、ヒスタミンによる攣縮に対しても抑制した(ID50 値 6.2×10-5g/ mL)。摘出子宮に対しては 1×10-4g/mL で軽度自動能の減少と 1×10-3g/ mL で攣縮状態が認められた。 スルピリドはラットに 500ng/100g 体重(iv)を投与した時、投与 10 分後にピ -クを示す血漿プロラクチン値の上昇を示した。また、ヒトに 150mg/日を 3 週間連続経口投与したとき、血漿プロラクチン値は投与初日から上昇を 示し、2 週後にピーク(150ng/mL)に達し、3 週後には減少し、さらに休薬 3 週後には正常値に回復した。その他、FSH、LH、副腎皮質ホルモン、成 長ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなどへの影響はほとんど認められなか った。 5)その他 スルピリドは、アポモルヒネ嘔吐に対する制吐作用は 0.13mg/Kg(ED50 値, sc)であった。神経・筋接合部(ラット)の横隔膜-神経標本において、1× 10-3g/mL の濃度で運動を完全に抑制した。利尿作用(ラット、イヌ)、血糖 値(ウサギ)には影響が認められなかった。 以上から、本剤は投与初期に一過性プロラクチン分泌亢進作用を示す が、休薬により回復すること、また、カタレプシー惹起作用、鎮静作用を有 するもののその効果は他剤に比べ弱く、麻酔遷延作用を認めず、血圧を 指標とした本剤の抗アドレナリン、抗ノルアドレナリン作用も弱いことが明ら かにされている。 (4)その他の薬理試験 特になし 27 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 2.毒性試験 (1)単回投与毒性試験 42) スルピリド LD50 値 (mg/Kg) 動物/性別 マウス ラット 雄 雌 雄 雌 投与経路 経口 2,300 1,700 9,800 11,000 皮下 290 330 540 360 腹腔内 180 170 230 210 静脈内 48 50 42 40 (2)反復投与毒性試験 42,43,44) 亜急性毒性試験 ラット(500,1000,2000,4000 mg/Kg)の 1 ヶ月間経口投与試験で、1000mg/Kg 群以上に子 宮重量の低下、2000mg/Kg 群以上に自発運動量の軽度減少、4000mg/Kg 群で体重増加 抑制と死亡が 3 例認められた。 イヌ(200,500 mg/Kg)の 3 ヶ月間経口投与試験で、雌投与群に子宮内膜の萎縮、下垂体刺 激像、乳房の発達、雄投与群に精巣重量の減少、精子形成の低下、前立腺萎縮及び下垂 体刺激像などが認められたが、3 ヶ月間の休薬後で対照群と同様の所見を示していた。 慢性毒性試験 ラット(250,500,1000,2000,4000 mg/Kg)6 ヶ月間経口投与試験で、1000 mg/Kg 群以上の雄 で体重増加抑制、2000mg/Kg 群に自発運動の軽度減少、4000mg/Kg 群では死亡例発現 が投与開始 20 日後から認められ 3 ヶ月後に全例死亡した。なお、薬物と関連する異常所見 は認められなかった。 イヌ(50,100 mg/Kg)6 ヶ月間経口投与試験で、100mg/Kg 群に子宮内膜の萎縮、下垂体刺 激像、精巣重量の減少、精子形成の低下、前立腺萎縮及び下垂体刺激像などが認められ た。その他、検査項目のいずれにおいても異常所見は認められなかった。 (3)生殖発生毒性試験 45) 妊娠前および妊娠初期投与試験(ラット;32,64,125 mg/Kg,po) 投与群間の交配による妊娠率は明らかに低下した。投与継続した投与群雄(32,125mg/Kg) と無処置雌との交配率は 80%以上であり、対照群と同様な結果であった。投与を継続した 投与群雌(125mg/Kg)と無処置雄の交配率は 50%で対照群より低値であったが、休薬後 の交配率は正常に回復したことから、スルピリド投与による妊娠率の低下は雌の内分泌 機能の変化による可能性が示唆された。その他、母獣、新生仔に異常所見は認められ ず、また、次世代動物の生殖能にも異常はみられなかった。 器官形成期投与試験(ラット;500,1000,2000 mg/Kg,po、ウサギ; 10,20 mg/Kg,iv) ラット親動物で 500,1000mg/Kg 群に軽度体重増加抑制、胎児体重の低下が見られた以外、 着床数、死胎仔率、外形奇形仔率、骨発生などに異常は認められなかった。ウサギ親動物で 10mg/Kg 群に生仔平均体重の低下、20mg/Kg 群に軽度体重増加抑制が認められたが、 その他の項目に異常所見は認められなかった。 授乳期投与試験(ラット;32,250 mg/Kg,po) 親動物で 250mg/Kg群に出産遅延、哺育中全同腹仔死亡が軽度増加したが、新生仔 に異常所見が認められず、次世代動物での生殖能にも異常がなかった。 なお、いずれの試験においてもスルピリド投与による催奇形性は認められなかった。 (4)その他の特殊毒性試験 46~48) ・変異原性試験(微生物;サルモネラ菌、マウス;小核試験、優性致死試験) いずれの試験にお いても本剤による陽性反応は認められなかった。 ・依存性試験(アカゲザル) スルピリドはバルビタール依存性サルでの交差身体依存性、スルピ リド反復投与後の身体依存性形成試験、胃内連続自由摂取による試験で身体的、精神的依 存性をサルに形成しないことが確認された。 ・がん原性試験(ラット;40,120,600mg/Kg,po,78 週間,マウス;120ppm,食餌添加,去勢雄雌、副腎 摘出) ラットの試験で投与群の下垂体、乳腺、膵島細胞などに腺腫や腺癌の発生が認めら れた。マウスではスルピリド投与群の去勢雄、雌で乳腺などに腫瘍発生率、潜伏期に影響が 認められなかった。ラットの腫瘍発生の増加は、本剤の抗ドパミン作用によるプロラクチン分 泌等を介した作用であり、ヒトにおいて腫瘍発生の可能性を示唆するものではないと考えられ た。 28 Ⅹ.管理的事項に関する項目 1.規制区分 製剤: 2.有効期間又は使用期限 使用期限 [錠、細粒、カプセル] 4年 (外箱に表示) (安定性試験結果にもとづく) [錠、細粒、カプセル] 室温保存 3.貯法・保存条件 劇薬(細粒 10%・50%、錠 100・200) 処方せん医薬品注 1) 注1):注意―医師等の処方せんにより使用すること 有効成分:スルピリド 劇薬 4.薬剤取扱い上の注意点 ・劇薬(細粒 10%・50%、錠 100・200) ・注意―医師等の処方せんにより使用すること(処方せん医薬品) ・小児の手のとどかない所に保管するよう指導する 5.承認条件等 該当しない 6.包装 [錠] 50 100 200 PTP 包装 バラ包装 PTP 包装 バラ包装 PTP 包装 バラ包装 100 錠(10 錠×10) 1000 錠 100 錠(10 錠×10) 1000 錠 100 錠(10 錠×10) 1000 錠 1000 錠〈10 錠×100〉 瓶 瓶 500g 100g PTP 包装 100 カプセル(10 カプセル×10) 1000 錠〈10 錠×100〉 1000 錠〈10 錠×100〉 [細粒] 10% 50% [カプセル] 50mg 7.容器の材質 [錠] 8.同一成分・同効薬 同一成分 500g PTP包装 ポリ塩化ビニル、アルミニウム バラ包装 容器:ポリエチレン、キャップ:ポリエチレン [細粒] 瓶 容器:ポリエチレン、キャップ:ポリエチレン [カプセル] PTP包装 ポリ塩化ビニル、アルミニウム アビリット ドグマチール 大日本住友製薬 アステラス製薬 スルピリド細粒・錠「アメル」 共和薬品工業 同効薬 :スルトプリド、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、 イミプラミン等 9.国際誕生年月日 1973年1月10日 29 Ⅹ.管理的事項に関する項目 10.製造販売承認年月日及 び 承認番号 11.薬価基準収載年月日 販売名 ミラドール錠 50 ミラドール錠 100 ミラドール錠 200 ミラドール細粒 10% ミラドール細粒 50% ミラドールカプセル 50mg ミラドールカプセル * *) 旧販売名 製造承認年月日 1979 年 3 月 13 日 1979 年 3 月 13 日 1979 年 3 月 13 日 1981 年 1 月 9 日 1979 年 3 月 13 日 2007 年 9 月 27 日 1977 年 4 月 26 日 承認番号 15400AMZ00247 15400AMZ00248 15400AMZ00249 15600AMZ00015 15400AMZ00251 21900AMX01663 15200AMZ00341 薬価基準収載年月日 1979 年 4 月 19 日 1979 年 4 月 19 日 1979 年 4 月 19 日 1981 年 9 月 1 日 1979 年 4 月 19 日 2007 年 12 月 21 日 1978 年 4 月 1 日 12.効能・効果追加,用法・ 用 量 変 更 追加 等 の 年 月日及びその内容 該当しない 13.再審査結果,再評価結 果公表年月日及びそ の内容 再評価結果通知年月日:2003 年 11 月 21 日 内容:薬事法第 14 条第 2 項各号「承認拒否事由」のいずれにも該当しない 14.再審査期間 該当しない 15.投与期間制限医薬品に 関する情報 本剤は厚生労働省告示第 107 号(平成 18 年 3 月 6 日付)とその一部改正 (厚生労働省告知第 97 号:平成 20 年 3 月 19 日付)により「投与期間に上限 が設けられている医薬品」に該当しない。 16.各種コード 販売名 17.保険給付上の注意 HOT 番号 ミラドール錠 50, PTP, 100 錠 ミラドール錠 50, PTP, 1000 錠 ミラドール錠 50,バラ 1000 錠 ミラドール錠 100,PTP 100 錠 ミラドール錠 100,PTP 1000 錠 ミラドール錠 100,バラ 1000 錠 ミラドール錠 200, PTP 100 錠 ミラドール錠 200, PTP 1000 錠 ミラドール錠 200,バラ 1000 錠 ミラドール細粒 10% 瓶, 500 g ミラドール細粒 50% 瓶 ミラドール細粒 50% 瓶 100 g 500 g ミラドールカプセル 50mg 100 錠 該当しない 30 1044454030101 1044454030102 1044454030201 1013962030101 1013962030102 1013962030201 1014013030101 1014013030102 1014013030201 1044331030101 1044386030101 1044386030201 1044508030102 厚生労働省薬価 収載医薬品コード レセプト電算 コード 2329009F1144 612320274 1179016F1140 611170386 1179016F2112 611170387 2329009C2063 612320272 2329009C3086 612320273 2329009M1372 620006138 Ⅺ.文献 1.引用文献 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) 17) 18) 19) 20) 21) 22) 23) 24) 25) 26) 27) 28) 29) 30) 31) 32) 33) 34) 35) 36) 37) 38) 39) 40) 41) 42) 43) 44) 45) 46) 47) 48) 2.その他参考文献 3.文献請求先、製品に関 するお問い合わせ先 バイエル薬品社内資料 「一般臨床試験」 川井啓市、 診療、 Toru,M, J Clin Pharmacol, 奥田治、 薬理と治療、 天草大陸、 順天堂医学、 谷向弘、 精神医学、 由良了三、 精神医学、 松尾裕、 診療、 岡部進、 応用薬理、 第 6 回新薬物治療研究会講演集 浅野健夫、 松尾裕、 診療、 銭湯武彦、 広島医学、 福原武、 日本平滑筋学会雑誌、 田中直樹、 診療と新薬、 Honda,F, Jpn J Pharmacol, バイエル薬品社内資料 「精神薬理作用」 Bartholini,G, J Pharma Pharmacol, バイエル薬品社内資料 「アミン取り込み作用」 バイエル薬品社内資料 「抗 reserpine 作用」 バイエル薬品社内資料 「嗅球摘除試験」 Valzelli,L, Psychopharmacol, 磯崎宏、 臨床と研究、 バイエル薬品社内資料 「生物学的同等性試験」 Bjerkenstedt,L, Psycho Pharmacol, Shinkuna,D, Int J Clin Pharma Ther Toxicol, Sugnaux,FR, Eur J Drug Meta Pharmacokin, Wiesel,FR, Eur J Clin Pharmacol, バイエル薬品社内資料 「吸収、分布、代謝、排泄」 Aono,T, J Clin Endocrimol, Niwa,T, Biol Pharmaco Bull, Imondi,FA, Eur J Clin Pharmacol, Gouda,MW, Int J Pharmacol, 中澤了一、 透析、 Plans,C, Revista Clinica Espanola Teule,GJJ, Neth J Med, 大石誠一、 日本内分泌学会誌、 Sugiyama,A, J Cardiovas Pharmacol, 厚生省薬務局医薬品副作用情報 No29 厚生省薬務局医薬品副作用情報 No61 八田耕太郎、 臨床精神医学、 バイエル薬品社内資料 「一般薬理試験」 渡辺信夫、 薬物療法 森井外吉、 応用薬理、 森井外吉、 応用薬理、 バイエル薬品社内資料 「生殖試験」 バイエル薬品社内資料 「変異原性試験」 柳田知司、 実中研、前臨床、 バイエル薬品社内資料 「がん原性試験」 1970,23,75 1972,12,221 1979,7,439 1973,19,239 1973,15,197 1976,18,549 1971,24,960 1969,3,301 1969,108 1971,24,958 1971,24,48 1969,5,50 1970,7,753 1977,27,397 1976,28,429 1972,26,255 1978,55,1136 1974,64,135 1990,28,440 1983,8,189 1980,17,385 1979,48,478 2005,28,188 1980,17,385 1987,37,227 1984,61,128 1979,152,327 1981,24,68 1983,59,1608 2002,40,235 1978 1983 2001,30,341 1970,3,269 1973,7,1379 1973,7,1371 1975,1,145 MIR0048 MIR0104 MIR0049 MIR0050 MIR0051 MIR0052 MIR0053 MIR0078 MIR0079 MIR0103 MIR0082 MIR0081 MIR0083 MIR0084 MIR0057 MIR0059 MIR0076 MIR0031 MIR0060 MIR0061 MIR0077 MIR0065 MIR0066 MIR0090 MIR0091 MIR0092 MIR0093 MIR0069 MIR0075 MIR0039 MIR0094 MIR0095 MIR0041 MIR0028 MIR0096 MIR0102 MIR0100 MIR0056 MIR0001 MIR0085 MIR0097 MIR0070 MIR0072 MIR0071 MIR0101 MIR0098 MIR0074 MIR0099 特になし 文献請求先;バイエル薬品株式会社・メディカルインフォメーション 〒530-0001 大阪市北区梅田二丁目4番9号 製品に関するお問い合わせ先;バイエル薬品株式会社・くすり相談 0120-106-398 受付時間:9:00~17:30(土・日・祝日、弊社休日を除く) 31 Ⅻ.参考資料 1.主な外国での発売状況 海外では Sanofi 社がイギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ベルギーなど で発売している。(参考:MICROMEDEX 2.0 参照) 国名 イギリス 会社名 Sanofi 販売名 Dolmatil 錠 200mg、400mg 剤形・規格 スルピリドとして 200mg、400mg 含有 効能・効果 急性統合失調症、慢性統合失調症 承認年 1983 年 用法・用量 錠;400~800mg/日 (2008 年発行資料より) なお、国内でのスルピリドの適応症は「胃・十二指腸潰瘍、統合失調症、うつ病・うつ状態」である。 用法用量は統合失調症には通常、成人 1 日 300~600mg を分割経口投与、年齢、症状により適宜増 減するが、1 日 1200mgまで増量することができる。うつ病・うつ状態では 1 日 150~300mg、年齢、症状 により適宜増減するが、1 日 600mg まで増量できる。胃・十二指腸潰瘍には 1 日 150mg を 3 回に分割 経口投与する。なお、症状により適宜増減する。 2.海外における臨床支援 情報 妊婦へのスルピリドに関する海外情報 1) FDA Pregnancy Category Sulpiride Pregnancy Category: unknown (reference) ; FDA pregnancy risk catology of antipsychotics ( phenothiazine and butyrophenone derivatives) is C. Adequate, well-controlled human studies are lacking, and animal studies have shown a risk to the fetus or are lacking Risk C as well. There is a chance of fetal harm if the drug is administered during pregnancy; but the potential benefits may outweigh the potential risks. 2) An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy (オーストラリア分類) Sulpiride Category unknown (reference); Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy of antipsychotics(phenotiazine and butyrophenone derivatives) is B1~C. Risk B1~C B1:Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant women and women of childbearing age, without an increase in the frequency of malformation or other direct or indirect harmful effects on the human fetus having been observed. Studies in animals have not shown evidence of an increased occurrence of fetal damage. C: Drugs which, owing to their pharmacological effects, have caused or may be suspected of causing, harmful effects on the human fetus or neonate without causing malformations. These effects may be reversible. Accompanying texts should be consulted for further details. なお、国内における使用上の注意「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の 項の記載は以下のとおりである。 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上 回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は 確立されていない。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に 哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐 体外路症状があらわれたとの報告がある。] 32 ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 特になし 33 (201301 作成) MIR (KM) 資材記号 MIR-13-9000
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