生体高分子化学研究室 Laboratory for Biopolymer Chemistry (研究室ホームページ:http://www.cis.kit.ac.jp/~bmebpc/index.html) 研究分野 蛋白質工学・ペプチド工学・生化学・高分子化学 スタッフ 教授 功刀 滋 2 号館 303 号室 内線;7632 email;kunugi@ 准教授 田中直毅 1 号館 224 号室 内線;7861 email;tanaka@ 助教 1 号館 223 号室 内線;7811 email;waku1214@ 和久友則 研究室では細胞工学、蛋白質工学、高分子化学を複合した新たなバイオテクノロジーを開 拓し、これを医薬学、食品工学、環境工学の領域に応用する研究を行なっています。高分子 化学とペプチド工学を組み合わせた技術により、細胞増殖制御、免疫制御、環境浄化、機能 性食品開発を実現する新たなナノファイバー工学の創成に取り組んでいます。 研究テーマ (1)神経変性疾患を制御する機能性分子の探索および開発 蛋白質が規則正しく凝集して形成するアミロイド線維は、アルツハイマー病、パーキンソン病 などの脳神経変性疾患の原因として医学的な研究がなされている。本研究では生体内で蛋白質凝 集を抑制するシャペロンナノファイバーを合成し、脳神経変性疾患の制御に利用する技術を開発 する。 (2)環境ガスを分解する酵素配合ポリマーナノファイバーの開発 水溶性のポリマーマトリックス中の酵素反応は 水溶液中とは異なる機構で反応する。この現象を 利用して酵素配合したポリマーナノファイバー を用いて、ホルムアルデヒドや二酸化炭素などの 有害物質のセンサーや、有用物質に変換するシス テムを開発する。 (3)卵白アルブミンのナノファイバー形成機構と機能性材料への応用 近年卵白蛋白質のゲル化におい てアミロイド線維に類似したナノ ファイバー構造を形成する現象が 見出されている。近年蛋白質ナノ ファイバーはスパイダーシルクや バイオフィルムのような生体維持 に不可欠な組織形成に寄与してい ることが判明している。本研究で は蛋白質ナノファイバー形成の分子機構を明らかにした上で、そのゲル物性における役割を調査 し、得られた知見をもとに医用材料、食品としての機能向上に利用する研究を行なう。 (4)抗原ペプチドナノファイバーの医工学への応用 水晶体における蛋白質凝集を防ぐことで、白内障 を抑制する役割を担うタンパク質であるαクリスタ リンは、アミロイド線維を形成することでその活性 を保持している。本研究ではこのペプチドの自己組 織化により形成するナノファイバーの形態や表面組 成を精密に制御することで、高効率に抗腫瘍免疫を 誘導することが可能な抗原ペプチドデリバリーデバ イスを作製することを目的とする。 Representative Publications: 1.“The substrate binding domain of DnaK facilitates slow protein refolding” Tanaka N., Nakao S., Wadai H., Ikeda S., Chatellier J., Kunugi S. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 15398-15403 (2002). 2. “Amyloid fibril formation and chaperone-like activity of peptides from A-crystallin” Tanaka N., Tanaka R., Tokuhara M., Kunugi S., Lee Y-F. & Hamada D. Biochemistry 47, 2961-2967 (2008). 3. “ Enzymatic conversion of atmospheric aldehydes into alcohol in a phospholipid polymer film” Tanaka N. et al. ACS Applied Materials & Interfaces 1, 228-231 (2009) 4. “ The mechanism of fibril formation of a non-inhibitory serpin ovalbumin revealed by the identification of amyloidogenic core regions.” Tanaka N. et al. J. Biol. Chem. 286, 5884-5889 (2011). 5. “Mechanism of the Chaperone-like and Antichaperone Activities of Amyloid Fibrils of Peptides from aA-Crystallin” Fukuhara S., Nishigaki T., Miyata K., Tsuchiya N., Waku T., Tanaka N. Biochemistry 51, 5394-5401 (2012).
© Copyright 2024 Paperzz