消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場

名城論叢
213
2013 年3月
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場
前
目
田
真一郎
次
はじめに
第1章
消費者信用発生の社会的要請
1.1.生産力強化と大量生産体制の確立
1.2.消費者の所得拡大と消費行動
1.3.生産 - 消費の結合と消費者信用
第2章
割賦信用の形成と特徴
2.1.割賦信用の形成と中身
2.2.耐久消費財の普及と割賦信用の拡大
第3章
ファイナンス・カンパニーの登場と拡大
3.1.ファイナンス・カンパニーの登場
3.2.自動車の普及と販売金融会社
3.3.割賦信用供与のための基盤
3.4.パーソナル・ローンと消費者金融会社
3.5.ファイナンス・カンパニーの資金調達
むすびに
はじめに
現代において米国金融機関の中には,リテール金融を重要な収益の源泉とするところが多く現れ
(1)
ている 。金融機関のリテール業務を,その商品およびサービスの需要者としてみた場合,対象と
なるのは消費者と一部の中小・零細企業である。中でも消費者を対象とする金融取引は,20 世紀に
大きく拡大し,現在では米国金融機関が最も注力する分野の一つとなっている。それでは,そもそ
も消費者を対象とする金融は,いつ,どのようにして生まれてきたのであろうか。
消費者による貸借取引の始まりは,古代にまでさかのぼる
(2,3)
。
「歴史的にみて,貸付あるいは信
用の初期の形態は,われわれが今日,生産金融と呼ぶところのものよりは,むしろ消費金融と呼ぶ
(4)
ものに近かったと考えられる」 。例えば,利息付き貸付は,16 世紀末まで「ウスラ」と呼ばれ,
「ウ
⑴
米国金融機関のリテール金融についての実証的研究としては,前田真一郎(2004)を参照。
⑵
基本的な貸借取引について,川合一郎(1981a)は以下のように述べている。
「金融論におけるもっとも簡単な
範疇は信用 = 貸借取引である。貸借とは私的所有制が存在し,そのもとで所有者と利用希望者が乖離したときに,
所有制を維持したままでこの乖離に架橋するために発生する」(川合一郎(1981a),7頁)。
⑶
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), pp. 6-13.
214 第 13 巻
第4号
スラの管理として知られている最初の法律,ハムラビ法典の第 71 条は,固定利息を超えた債権者に
(5)
は,その負債を取り上げる罰を与えている」 。このように古くから存在した消費者を対象とした貸
(6)
借取引が,信用形態として発展したのは,20 世紀初頭の米国においてである 。信用形態としての
消費者に対する与信を消費者信用と呼ぶとするならば,消費者信用の発生は,1910 年代から 1920
年代の米国において見出すことができる。
本稿では,20 世紀初頭の米国において,なぜ消費者信用が発生したのか,消費者信用を形成する
要因と背景について考察する。また消費者信用を成立させうる条件と,その業務を手掛ける企業お
よび金融機関の対応についても分析している。そうすることによって,現代金融業におけるリテー
ル金融の原点の一つと考えられる消費者信用の特質を明らかにできると考えている。
第1章
消費者信用発生の社会的要請
消費者信用は,現代の米国経済において重要な役割を果たしており,消費者が生活する上でも必
要不可欠なものとなっている。例えば,広大な米国において自動車は生活必需品であるが,多くの
消費者は消費者信用を利用して自動車を購入している。世界的にみても,先進国において消費者信
用の利用は広がっており,住宅と並んで自動車などの耐久消費財は借入によって購入するのが一般
(7)
的である 。従って消費者信用の利用は,消費者による消費支出の動向に大きな影響を与える。こ
のように現代米国社会において定着している消費者信用は,そもそもどのような社会的要請にもと
づいて生まれてきたのであろうか。古代から存在していた消費者の貸借取引では,富者による貧民
(8)
への貸付が繰り返されていた 。しかし,貧民への一時的な貸付というだけでは,社会的な仕組み
として普及することはなかった。消費者信用の発生は,利用することによって生活が豊かになり,
社会全体として経済活動を活性化させるような機構があったはずである。本章ではまず,消費者信
用が発生した経済的背景をみることにする。
1.1.生産力強化と大量生産体制の確立
消費者信用の発生は,企業の生産活動と大きな結びつきがあった。米国において,大量生産・大
(9)
量消費の動きが本格化したのは,1920 年代のことである 。歴史的に米国における企業の生産活動
が活発化する契機は,南北戦争(1861-1865 年)以降の農業生産の飛躍的な向上と産業革命にあっ
た。広大な農地を有する米国では,農業地域の拡張と同時に農業の機械化が進んだ。企業は,南北
戦争の時代に不足する労働力を補うため,農業機械の発明や改良を行い農業生産の効率化を進めて
⑷
矢島保男(1963),1頁。
⑸
Gelpi, Rosa-Maria et Julien-Labruyère, François (1994), p. 26, 邦訳 , 5 頁 .
⑹ 「信用の発展とは信用関係に入る当事者が単なる二人からそれ以上に発展するところの信用の社会化である」
(川合一郎(1981a),5頁)。
⑺
米国では住宅の場合は8割弱,自動車の場合は9割程度が借入によってまかなわれている。詳しくは,峯岸誠・
石崎寛憲(2002),4頁を参照。なお,米国では自動車をリース契約により利用する場合もある。
⑻
片山隆男・神木良三・杉江雅彦(2005),第2章を参照。
⑼
川波洋一(1991c),第1章を参照。
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 215
いった。また製造業は,工場制機械工業の導入によって,食品加工業や繊維産業などから鉄鋼や機
械,自動車産業などへ広がりをみせた。元々米国には,豊富な天然資源が存在している。企業はこ
の資源を開発するにあたり,鉄道を中心とした交通網の整備による大量輸送を進め,大規模な工業
化を進展させていったのである。鉄道,鉄鋼,石油精製,車両をはじめとする工業が発展すると同
時に,科学技術の進歩と機械化が進み,大量生産体制が確立されていった。
このように大量生産は,機械化による高い生産力によって支えられた。消費者信用の発生におい
て重要であった点は,標準化された商品を大量に生産することを可能にしたことである。特に耐久
消費財は,機械化による大量生産が推し進められていった。耐久消費財として,当初は家具やミシ
ン,ピアノなどが,その後 20 世紀に入り自動車が大量生産されるようになった。企業は,機械化に
よる大量生産が可能になると,より安価での商品販売が可能となった。それは,再生産の拡大をも
たらすという循環を生み出した。ここに,生産者の再生産活動を活性化する要素が生まれたのであ
る。それと同時に,生産者はより安価での商品販売が可能になったことで,大量販売を促進する方
法を考えるようになっていった。
1.2.消費者の所得拡大と消費行動
このような生産者の生産活動の変化は,消費者の生活および消費行動に大きな影響を与えた。ま
ず,工業化の進展などによる米国企業および産業の発展は,労働者である一般消費者の所得を向上
させた。消費者の所得向上は,その所得によって購買される商品の内容に変化をもたらした。すな
わち,消費行動が大きく変化するのである。消費者は,基本的に生活に必要なものを取り揃える生
活から,次第に文化的なゆとりのある生活に移行していく。ここで,個々の消費者の好みに応じた
様々な嗜好品やサービスの需要が生まれてくるのである。また同時に企業および産業の拡大は,雇
用機会を幅広く提供することになる。雇用機会が幅広く創出されることによって,消費者間の所得
格差が縮小していく。例えば,これまで一定の雇用者数しか確保していなかった大企業が,生産活
動を拡大させるために雇用者数を増加させることによって,それまで所得水準が低かった労働者の
所得が向上する機会が生まれる。これは,一方で消費行動が類似してくることにもなる。例えば,
隣の家庭が自動車やテレビを持つと,自分の家でも同様に購入するといった行動に出ることが考え
られる。このような消費行動の変化は,大衆消費社会と呼ばれる現象を出現させた。加えて,女性
の社会進出も消費行動に影響を与えた。家庭の主婦が働くようになると,必然的に家計の所得増加
をもたらした。また主婦自身が,家庭での家事一般に要する時間と労力を節約しようとして,家庭
用電気器具などを中心とした耐久消費財の所有を進めた。
さらに高速道路など輸送・交通機関や電信・電話設備といった社会インフラの整備によって,都
市部のみならず郊外に住む人々も増えていった。これは,都会と農村との生活様式の差,すなわち
地域的な生活格差を縮小することにつながった。また人々が郊外に住宅を持つようになると,高速
道路など輸送・交通機関が整備され,自動車の購入が増加していった。これは,大量生産により消
費者が耐久消費財を比較的安価で購入できるようになった要因と重なり,自動車の普及を後押しし
たのである。
216 第 13 巻
第4号
1.3.生産 - 消費の結合と消費者信用
生産者は,最終消費財を円滑に販売することによって,大量生産に対応する大量販売体制へと志
向する。生産者は,標準化された商品を大量に生産し,大量にかつ迅速に販売したいという意向を
強めるのである。一方,消費者は,所得水準の向上などに伴って耐久消費財に対する需要を増加さ
せるが,毎月の給与では購入できないという事態が起こりうる。ここに,消費者が信用供与を受け
る動機が生じる。そこで,生産者および消費者の要請を同時に満たすものとして,消費者に信用を
供与するという消費者信用が発生する。消費者信用は,「再生産過程の末端にある生産者と消費者
が,大量生産される比較的高単価の耐久消費財の取引を通じて向かい合うことによって広く普及す
(10)
るようになったのである」 。
それでは,消費者信用の機能は,再生産過程の中で,どのように位置付けられるのであろうか。
信用取引は,互いによく知っている資本家間の取引すなわち商業流通において行われ,すでに商業
信用として展開していた。これに対し,再生産過程の末端にある生産者と消費者間の取引すなわち
一般的流通においては,現金取引しかなじまなかった部面である。消費者信用では,この一般的流
通に信用が浸透していくことになる。従って,消費者信用が定着していくことは,最終的な商品価
格の実現までが信用によって取引され,信用取引が再生産過程の全ての部面に浸透することになる
のである。
第2章
割賦信用の形成と特徴
消費者信用の形成およびその後の普及は,その社会的な便益,特に利用者である消費者の利点が
なければ達成することができないはずである。生産者による最終的な商品価格の実現が,生産者の
利潤追求のみによって行われるのであれば,消費者信用は社会的に受け入れられないであろう。そ
こには,生産者および消費者の双方が便益を得られるような仕組みが必要であった。その仕組みが,
賦払い方式である。消費者信用の中でも割賦信用は,信用を供与する相手が消費者であるというこ
(11)
とに加え賦払い方式を用いるという点で,商業信用と質的に異なっている 。以下では,消費者信
用発生の根幹をなしている割賦信用について詳しくみていくことにする。そうすることによって,
消費者信用とは何かが明らかになってくると思われる。
2.1.割賦信用の形成と中身
割賦信用は,信用が与えられるその返済が賦払い方式によってなされる信用取引であり,消費者
信用の一形態である。貨幣の貸借が賦払い方式によって行われるという取引形態は古代にまでさか
⑽
⑾
川波洋一(1991c),236 頁。
割賦信用(instalment credit)の利用は,そもそも生産活動に利用される固定設備の調達が契機であった。従っ
て,割賦信用は,生産者および消費者に与えられる信用として存在した。そこでセリグマンは,消費財の取引を
目的として与えられる信用を consumption credit(消費信用)
,生産財生産を目的として与えられる信用を production credit(生産信用)として区別して認識している。Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 12. また同時にセリグ
マンは,消費者に対して与えられる信用を Consumers’ Credit(消費者信用),生産者に対して与えられる信用を
Producers’ Credit として対比させて使っている。Cf., Seligman, E. R. A. (1927b), p. 24.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 217
のぼることができるが,19 世紀初め頃から販売業者により賦払い方式で商品を販売する形態がみら
れた
(12)
。
賦払い方式による商品販売すなわち割賦販売について,E. R. A. セリグマン(Seligman, E. R. A.
(1927))は,次のように定義している。
「割賦販売のシステムは,その支払いの全部あるいは一部分
が将来に繰り延べられ,
継続して部分的に支払いがなされていく富の移転である。
(中略)要するに,
(13)
手渡され譲渡されるものは商品と同時に最終的に商品を獲得する購買力である」 。すなわちセリ
グマンは,消費者信用を富の移転を図りながら購買力を創出する手段であると捉えている。また R.
H. コール(Cole, R. H. (1988))は,「消費者信用におけるクレジットとは,個々の消費者が財貨や
サービスの売手に,またはかかる品目を得るための金銭の貸手に,現時点で提供し,将来のある時
(14)
点で返済することを申し込む,
時間差のある交換手段として定義される」 と述べている。これは,
(15)
消費者信用の役割を,異時点間の資源配分として捉える見方である 。
それでは,割賦信用を中心とした消費者信用について具体的な中身をみてみる。まず消費者信用
は,その返済方式により,割賦信用と非割賦信用に分類される。割賦信用は一定期間内に分割返済
されるものであり,非割賦信用は特定日に全額の返済がなされるものである。これらは,さらに対
象商品やサービスの形態によって分類される。その場合 FRB(連邦準備制度理事会)の分類方法を
引用するのが一般的である。この分類方法にもとづいて米国消費者信用残高の形態別推移を見たの
が表1である。
この表1によると,割賦信用は以下の4つに分類される。第一は,自動車手形である。これには,
消費者が自動車ディーラーから割賦信用にて自動車を購入するものと,消費者が割賦信用で金融機
関から資金を借入れて自動車ディーラーから自動車を現金購入するものとがある。自動車手形は,
割賦信用の普及に際し,最も重要な役割を果たしたものである。
第二は,その他消費財手形である。消費者が自動車以外の商品,例えば家具や家庭用家電製品等
を割賦信用にて購入するものである。その他消費財手形は,商品が多様でかつ自動車に比べると小
口であるため,金融機関による買取方式が主流とはならず,小売店によって供与される場合が多い。
第三は,住宅改善のための貸付である。これは,住宅の修理・改善すなわちリフォームのための
貸付である。消費者の住宅購入あるいは建設のための借入の場合は住宅モーゲージ貸付として割賦
返済方式がとられているが,
消費者信用とは別の信用形態として捉えられている。それは,
住宅モー
ゲージ貸付の場合,借入者は消費者であるものの,割賦返済の期間が 20 年ないし 30 年などの超長
期にわたることや,政府機関などによる公信用が利用されるためである。
(16)
第四は,パーソナル・ローン(個人貸付)である 。医療費や教育費,税金,旅行費,保険料な
⑿
セリグマンは,米国における消費財の賦払い取引の始まりを 1807 年としている。Cf., Seligman, E. R. A.
(1927a), pp. 14-15.
⒀
Seligman, E. R. A. (1927a), p. 2.
⒁
Cole, R. H. (1988), p. 11, 邦訳 , 14 頁 .
⒂
貯蓄は,将来の消費に備えて行われることから,消費と貯蓄の関係は異時点間の資源配分の問題となる。借入
制約が働く場合には,消費者は借入制約がない場合よりも低い効用で満足しなければならない。借入制約に直面
している消費者にとっては,消費を決定する最重要な要素は現在の所得になるが,借入制約に縛られない消費者
にとって消費を決定する要素は生涯所得となる。
218 第 13 巻
第4号
表1
米国消費者信用残高の形態別推移(1919-1970年)
(単位:百万ドル)
割賦
非割賦
年末
合計
1919
2,642
800
304
409
5
82
1,842
306
1,298
238
1920
2,964
969
376
490
7
96
1,995
354
1,379
262
1921
2,966
919
317
484
9
109
2,047
404
1,358
285
1922
3,166
1,047
295
619
10
123
2,119
430
1,391
298
1923
3,652
1,368
526
684
12
146
2,284
512
1,456
316
1924
4,025
1,646
670
779
16
181
2,379
561
1,482
336
1925
4,715
2,115
914
951
22
228
2,600
671
1,549
380
1926
5,227
2,363
977
1,083
24
279
2,864
745
1,701
418
1927
5,344
2,319
765
1,183
26
345
3,025
812
1,765
448
1928
6,258
2,935
1,134
1,331
28
442
3,323
928
1,901
494
1929
7,116
3,524
1,384
1,544
27
569
3,592
1,040
1,996
556
1930
6,351
3,022
986
1,432
25
579
3,329
955
1,833
541
1931
5,315
2,463
684
1,214
22
543
2,852
712
1,635
505
1932
4,026
1,672
356
834
18
464
2,354
505
1,374
475
1933
3,885
1,723
493
799
15
416
2,162
418
1,286
458
1934
4,218
1,999
614
889
37
459
2,219
473
1,306
440
1935
5,190
2,817
992
1,000
253
572
2,373
561
1,354
458
1936
6,375
3,747
1,372
1,290
364
721
2,628
698
1,428
502
1937
6,948
4,118
1,494
1,505
219
900
2,830
792
1,504
534
1938
6,370
3,686
1,099
1,442
218
927
2,684
773
1,403
508
1939
7,222
4,503
1,497
1,620
298
1,088
2,719
787
1,414
518
1940
8,338
5,514
2,071
1,827
371
1,245
2,824
800
1,471
553
1941
9,172
6,085
2,458
1,929
376
1,322
3,087
845
1,645
597
1942
5,983
3,166
742
1,195
255
974
2,817
713
1,444
660
1943
4,901
2,136
355
819
130
832
2,765
613
1,440
712
1944
5,111
2,176
397
791
119
869
2,935
624
1,517
794
1945
5,665
2,462
455
816
182
1,009
3,203
746
1,612
845
1946
8,384
4,172
981
1,290
405
1,496
4,212
1,122
2,076
1,014
1947
11,598
6,695
1,924
2,143
718
1,910
4,903
1,356
2,381
1,166
1948
14,447
8,996
3,018
2,901
853
2,224
5,451
1,445
2,722
1,284
1949
17,364
11,590
4,555
3,706
898
2,431
5,774
1,532
2,854
1,388
1950
21,471
14,703
6,074
4,799
1,016
2,814
6,768
1,821
3,367
1,580
1951
22,712
15,294
5,972
4,880
1,085
3,357
7,418
1,934
3,700
1,784
1952
27,520
19,403
7,733
6,174
1,385
4,111
8,117
2,120
4,130
1,867
1953
31,393
23,005
9,835
6,779
1,610
4,781
8,388
2,187
4,274
1,927
1954
32,464
23,568
9,809
6,751
1,616
5,392
8,896
2,408
4,485
2,003
1955
38,830
28,906
13,460
7,641
1,693
6,112
9,924
3,002
4,795
2,127
1956
42,334
31,720
14,420
8,606
1,905
6,789
10,614
3,253
4,995
2,366
1957
44,971
33,867
15,340
8,844
2,101
7,582
11,103
3,364
5,146
2,593
1958
45,129
33,642
14,152
9,028
2,346
8,116
11,487
3,627
5,060
2,800
1959
51,544
39,247
16,420
10,631
2,809
9,386
12,297
4,129
5,104
3,064
1960
56,141
42,968
17,658
11,545
3,148
10,617
13,173
4,507
5,329
3,337
1961
57,982
43,891
17,135
11,862
3,221
11,673
14,091
5,136
5,324
3,631
1962
63,821
48,720
19,381
12,627
3,298
13,414
15,101
5,456
5,684
3,961
1963
71,739
55,486
22,254
14,177
3,437
15,618
16,253
6,101
5,903
4,249
1964
80,268
62,692
24,934
16,333
3,577
17,848
17,576
6,874
6,195
4,507
1965
89,883
70,893
28,437
18,483
3,736
20,237
18,990
7,671
6,430
4,889
1966
96,239
76,245
30,010
20,732
3,841
21,662
19,994
7,972
6,686
5,336
1967
100,783
79,428
29,796
22,389
4,008
23,235
21,355
8,558
7,070
5,727
1968
110,770
87,745
32,948
24,626
4,239
25,932
23,025
9,532
7,193
6,300
1969
121,146
97,105
35,527
28,313
4,613
28,652
24,041
9,747
7,373
6,921
1970
127,163
102,064
35,184
31,465
5,070
30,345
25,099
9,675
7,968
7,456
割賦計
自動車手形
その他消費
財手形
住宅改善の
ための貸付
個人貸付
非割賦計
1回払貸付
掛勘定
サービス
勘定
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976), Banking and Monetary Statistics, Board
of Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., p. 1081.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 219
どの支払いに充てる目的で,金融機関が消費者に直接貸付けるものである。
一方,非割賦信用は以下の3つに分類される。第一は,1回払貸付である。上記の消費者に直接
貸付ける個人貸付と同じ形態であるが,
そのうち特定日に1回で全額の返済が行われるものである。
第二は,掛勘定(Charge Account)である。これは,百貨店など小売店での掛売りのことである。
(17)
通常利用最高限度額が定められ,月末払い,30 日払い,クーポン券を発行するものなどがある 。
1920 年時点では,消費者信用の中でも圧倒的に大きな比重を占めていた。
第三は,サービス勘定である。これは,専門業者およびサービス供与機関に対する消費者の債務
であり,病院,弁護士,教育機関,電気・ガスなどの公共機関に対する債務が含まれる。例えば,
病院など医療機関での医療費支払いなどである。
このように,消費者信用は多様な形態に分類される。ここで,消費者信用の中身を整理してみる。
まず分類の基準として,消費者に信用を供与する主体が,金融機関であるか商人(小売店)である
かという点がある(表2)
。信用を供与する主体が金融機関であり,金融機関による消費者への貸付
は,最も単純な消費者信用の形態である。例えば,自動車手形において,消費者が割賦信用で金融
(18)
機関から資金を借入れて,
自動車ディーラーから自動車を現金購入する形態がそれである 。一方,
消費者に信用を供与する主体が商人である時は,商人自らが掛売りを行う場合と,商人が割賦販売
を行う場合がある。後者の場合,商人は何らかの形で割賦販売のための資金を手当てする必要が生
じる。そこで商人が金融機関から信用供与を受けることが考えられる。その場合,消費者は直接的
には商人から信用を供与されているものの,間接的には商人の背後にいる金融機関から信用供与を
受けていることになる。つまり,
商人による信用供与が金融機関によって代位されているのである。
例えば自動車手形において,自動車ディーラーが消費者に割賦販売にて自動車を販売し,その受け
取った自動車手形(割賦手形)を金融機関が買取によって肩代わりするという形態である。従って,
消費者信用を FRB の分類方法に沿って割賦信用と非割賦信用に分ける場合,非割賦信用の掛勘定
を除いて,金融機関の関与が生まれてくることになる
(19)
。
それでは,形態別に見た消費者信用の市場規模について分析してみる。図1は,1919 年から 1941
年にかけての米国消費者信用残高を,掛勘定と自動車手形・その他消費財手形・住宅改善のための
貸付合計に分けてその推移を見たものである。後者は,割賦信用のうち個人貸付を除くものであり,
商品の販売と直接的に結びついている形態である。この比較によると,1925 年時点で初めて,自動
⒃
FRB の分類によると,Personal loans と記載されている。本稿では,原著および元データに Personal loans と
あった場合は,個人貸付と訳している。FRB の分類にあるとおり個人貸付は,消費者信用の一つの形態である。
⒄
ほとんどの小売商は,掛売期間が通常 30 日であっても,実際には顧客が支払いを延ばすことを認めていた。例
えば,掛売代金の支払いを 30 日内に 1/3,60 日以内に 1/3,さらに 90 日以内に 1/3 を金利手数料なしで支払うこ
とを許していた。詳しくは,Cole, R. H. (1988), p. 49, 邦訳 , 61 頁を参照。
⒅
ただし,この場合にも,自動車の所有権は完済まで金融機関に留保されるため,金融機関と消費者との間には
条件付売渡契約(conditional sales contracts)が締結され,頭金が徴収される。この点が,個人貸付と異なる点で
ある。
⒆
サービス勘定に分類されているものの中でも,例えば病院の医療費請求書を金融機関が買取って,その後割賦
にて返済させる事例もみられる。またサービス勘定の中に教育機関への債務も含まれるが,これは徐々に教育
ローンの形式で,個人貸付の一種として発展していった。
220 第 13 巻
第4号
表2
A
消費者信用
B
⑴
商人による信用
⑵
金融機関による信用
(A を変形したもの)
消費者信用
消費者信用の分類
%
掛売り
&
賦払販売
%
一回払貸付け
&
賦払貸付け
賦払信用
賦払販売
非賦払信用
一回払貸付け
商人による信用
賦払貸付け
金融機関による信用
掛売り
(出所)矢島保男(1963)『消費者金融論』東洋経済新報社,80頁。
車手形・その他消費財手形・住宅改善のための貸付合計が掛勘定を上回っていることが分かる。そ
れまで商人が掛売りによって商品販売を行っていた取引が,割賦信用に置き換わっていったのであ
る。自動車手形・その他消費財手形・住宅改善のための貸付合計は,1929 年の大恐慌後,一時的に
減少したが,その後消費者信用の中でも主要な取引形態として普及していった(図1)
。このように
消費者信用の中で,割賦信用が主要な位置を占めるようになったのは,1920 年代半ばであったとみ
ることができる。
それでは,割賦信用による商品販売すなわち割賦販売では,どのような商品を取り扱っていたの
であろうか。米国で消費者への割賦販売は,1807 年にニューヨークの家具商であったカウパース
ウェイト・アンド・サン商会が始めたのが最初とされている
(20)
。その初期の段階において中心であっ
た商品は,家具などの家財道具であった。従って,割賦販売は当初,比較的高級財を対象に始まっ
たとみることができる。その後,19 世紀の中頃には,ピアノやストーブなどが割賦販売されるよう
になったが,割賦販売の方式を全米的な規模で取り上げたのは,1850 年のシンガー・ミシンが最初
(21)
である 。ただしミシンの場合,その利用者の大半は女性であった。女性の社会進出があまり行わ
れていないその当時は,女性による安定的な収入確保に問題があり,ミシンの割賦販売は社会的に
一般化するまでには至らなかった。また南北戦争(1861-1865 年)後には,書籍,衣類,宝石などが
割賦販売にて取り扱われるようになった。しかし,その当時は消費者の信用度を確認する体制が
整っていない中で,一部販売業者による不公正な説得・勧誘もあって,この販売信用が悪用・乱用
されることがしばしば起こった。従って 19 世紀の段階において割賦販売は米国で既にみられてい
たものの,その基盤が整備されておらず,社会的に一般化するまでには至らなかった。
⒇
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 14.
(
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 16.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 221
図1
消費者信用残高の主要形態別推移(1919-1941年)
(出 所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976) , Banking and Monetary Statistics, Board of
Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., p. 1081.より作成。
(22)
その後,割賦販売の普及に最も貢献したのが自動車である 。自動車の割賦販売およびファイナ
ンス・カンパニーの役割については後述するが,それ以降,割賦販売が様々な商品に展開していく
ことになる。前述したように,商人による消費者への信用供与が,金融機関によって代位されるよ
うになっていった 1925 年頃における割賦販売商品は,表3のようなものである。この表で割賦手
形合計という欄を見ると,自動車が圧倒的に大きいが,それ以外の商品として家具,ピアノ,写真
機,ラジオ,洗濯機,掃除機,ミシン,ガスレンジ,冷蔵庫,宝飾品,衣料品,不動産改良(住宅
改善)などがある。このように割賦販売の対象商品が広がっていったことも,消費者信用市場の拡
大に大きく貢献した。
割賦信用のもう一つの柱として,個人貸付(パーソナル・ローン)がある。1900 年代の初めまで
は,消費者が借入をする場合,質屋や高利貸しに依存することが多かった。
「消費者に対する少額貸
付に関する法律は,最初,1855 年にニューヨーク州で採用され,また,近代的な少額貸付法のはじ
(23)
めのものが 1911 年にマサチューセッツ州で現れた」
と言われる。1907 年設立のラッセル・セイ
ジ財団によって起草された統一少額貸付法(Uniform Small Loan Law)が 1916 年に発表され,その
後米国各州によって少額貸付法が制定された。
個人貸付(パーソナル・ローン)も含めた消費者信用の利用分類について,E. B. フィリップス
(24)
(Phillips, E. B. (1957))は,掛勘定,賦払販売信用,個人貸付の3種類に分けて捉えている (表
)
セリグマンは,近代的な割賦販売形成および普及の歴史を,5段階に分けて解説している。Cf., Seligman, E. R.
A. (1927a), p. 14. 詳しくは本稿第3章を参照。
*
+
矢島保男(1963),176 頁。
フィリップスは,原著にて個人貸付を Consumer loans として使っているが,ここでは FRB の統計に沿って個
人貸付と訳している。
222 第 13 巻
第4号
表3
米国における割賦による小売販売(1925年)
(単位:百万ドル)
小売販売
現金正価
割賦によ
る販売比
率(%)
割賦販売
の現金正
価
頭金の割
合(%)
2,879
76
2,188
33.3
1,459
10
1,605
2,334
12ヶ月
869
567
80
454
〃
302
10
333
485
〃〃
180
2,642
〃
1,761
10
1,938
2,819
〃〃
1,049
881
40
528
15
新規乗用車
新規貨物自動車
新規自動車
計
3,446
中古車・中古貨物自動車
自動車
計
生活家具
3,523
賦 払 額 割賦手数 割賦手形 割賦商品 支払完了 1925年の 1923年の 1923年か
(割賦販 料(%)
合計
の販売価 までの平 平均貸付 貸付残高 ら25年の
売額)
格
均期間
残高
増 加 率
(%)
2,289
608
961
〃〃
329
2,546
3,780
〃〃
1,378
1,378
0
15
1,000
70
700
15
595
15
684
789
18 〃
542
471
ピアノ
225
90
203
15
172
18
203
234
24 〃
212
212
0
写真機
200
80
160
25
120
12
134
174
14 〃
84
80
5
ラジオ受信機
225
75
169
25
127
10
139
181
6 〃
41
13
215
洗濯機
105
90
95
10
85
10
94
104
12 〃
51
44
16
掃除機
60
85
51
15
43
10
48
56
9 〃
20
18
11
ミシン
100
90
90
10
81
20
97
106
18 〃
77
73
5
ガスレンジ
35
70
25
15
21
10
23
27
12 〃
12
11
9
電気冷蔵庫
15
90
14
15
12
15
14
16
18 〃
11
2
450
400
25
100
20
80
10
88
108
10 〃
40
32
25
衣料品,賦払い販売店
90
15
77
10
84
97
25 週
21
衣料品,10回払い方式
185
25
139
0
139
185
10 〃
15
223
282
36
20
80
宝飾品
衣料品
計
5,500
5
275
100
25
75
10
83
108
12ヶ月
45
23
96
トラクター
95
75
71
33.3
48
10
52
75
〃〃
28
25
12
他農業機械
280
10
28
20
22
10
25
31
〃〃
13
12
8
100
20
80
10
88
108
〃〃
48
24
100
4,541
6,179
2,638
2,438
不動産改良
その他
総計
5,704
216
4,066
(注)Ayres氏による推測値。
(出所)Seligman, E. R. A. (1927), The Economics of Instalment Selling : A Study in Consumers’ Credit with Special
Reference to the Automobile Volume one, Harper & Brothers Publishers, pp. 100-101.
表4
E. B. フィリップスによる消費者信用の利用分類
種類
消費者信用の利用
目的
発生の主要な理由
掛勘定
日常の必需品をまかなうため
便利だから
賦払販売信用
高価な耐久消費財を買うため
ただちに享受する
個人貸付
⑴債務を整理したり,緊急時を乗り切るため
⑵高価な耐久消費財を買うため
必要だから
ただちに享受する
(出所)Phillips, E. B. (1957), Consumer Economic Problems, Henry Holt and Company, p. 194.(矢島保男(1963)
『消費者金融論』東洋経済新報社,82-83頁)より作成。
4)。フィリップスは,消費者信用をそれが発生する主要な理由で,便利あるいは必要のために起こ
るものと,高価な耐久消費財をただちに享受するために起こるものとに分けている。この中でフィ
リップスは,掛勘定や緊急時のための個人貸付は社会生活の上で必要に応じて発生するのに対して,
(25)
割賦販売や商品購入のための個人貸付は自然発生的なものではないことを指摘している 。
商人による掛勘定や緊急時のための個人貸付は,消費者が生活していく上で古くから存在してい
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 223
た。それに加え,耐久消費財の普及に伴い将来の便益をただちに享受する手段として割賦信用の利
用が進んでいった。消費者からみて割賦信用は,支払いを容易にする手段のみならず,将来の支払
(26)
いに備え倹約の度合いを高めるものであった 。セリグマンは,割賦信用の仕組みがあると,消費
者が将来の支払いに備え倹約意識を高めると同時に,需要の前倒し効果をもたらし購買力を高める
ことを指摘している。すなわち消費者信用の根幹をなす割賦信用は,消費者の貯蓄意識を高め,か
つ需要を創出し消費活動を刺激する役割を果たすとみることができる。
2.2.耐久消費財の普及と割賦信用の拡大
消費者信用のうち割賦信用は,20 世紀前半の米国で社会的に一般化されるようになっていった。
ここで,当時の消費者信用がどの程度,耐久消費財と関連していたかを確認しておく。次の図2は,
米国消費者信用残高のうち割賦信用残高を,自動車手形・その他消費財手形・住宅改善のための貸
付合計と個人貸付に分けてその推移を見たものである。前者は,割賦信用のうち商品の販売と直接
的に結びついている形態である。これをみると,自動車手形・その他消費財手形・住宅改善のため
の貸付合計は,第二次世界大戦の影響により消費者信用統制が実施された 1940 年代の一部を除き,
割賦信用残高全体の 70%以上を占めている。これは,これまで指摘してきたとおり 20 世紀前半の
米国における割賦信用が,耐久消費財を中心に取引されていたことを示している。
消費者信用は,再生産過程の中で位置付けるとすると,需要の創出という役割がある。現時点で
は発生していない需要要因に,消費者に信用を供与することにより購買力を与えて,生産した商品
図2
割賦信用のうち耐久消費財関連と個人貸付の推移(1919-1950年)
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976), Banking and Monetary Statistics, Board of
Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., p. 1081. より作成。
>
Cf., Phillips, E. B. (1957), p. 193.
?
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 263.
224 第 13 巻
第4号
表5
消費者信用,消費支出,個人所得推移(1920-1965年)
(十億ドル)
消費者負債残高(年末)
賦払債務
消費者賦払信用
個人消費支出
負債総額
合計
自動車
増加額
返済額
純増額
個人所得
合計
耐久消費
財支出
個人消費支出の指数
(1920年=100)
合計
耐久消費
財支出
100
1920
3.0
1.0
0.4
-
-
+0.2
58.7
6.1
65.4
100
1929
7.1
3.5
1.4
5.8
5.4
+0.4
77.2
9.2
85.9
132
151
1937
6.9
4.1
1.5
6.3
5.9
+0.4
66.5
6.9
74.1
113
113
1941
9.2
6.1
2.5
9.4
8.9
+0.6
80.6
9.6
96.0
137
157
1948
14.4
9.0
3.0
15.6
13.3
+2.3
173.6
22.7
210.2
296
372
1953
31.4
23.0
9.8
31.6
28.0
+3.6
230.0
33.2
288.2
392
544
1957
45.0
33.9
15.3
42.0
39.9
+2.1
281.4
40.8
351.1
479
669
1960
56.0
42.8
17.7
49.6
46.0
+3.6
325.2
45.3
401.0
554
743
1963
70.5
54.2
22.4
61.3
55.2
+6.1
375.0
53.9
465.5
639
884
1964
78.4
60.5
25.2
67.5
61.1
+6.4
401.4
59.4
496.0
684
974
1965
87.9
68.6
28.8
75.5
67.5
+8.0
431.5
66.1
535.1
735
1084
1929年と
1965年の
比較
(倍)
12.4
19.6
20.6
13.0
12.5
20.0
5.6
7.2
6.2
-
-
(%)
個人所得
に対する
負債総額
個人所得に対する賦
払債務残高
合計
自動車
個人所得に対する消費者賦払信用
増加額
返済額
純増額
個人消費
支出に対
する耐久
消費財支
出
個人消費
支出に対
する賦払
信用増加
額
個人消費
支出に対
する賦払
信用純増
額
1920
4.6
1.5
0.6
-
-
+0.3
10.4
-
+0.3
1929
8.3
4.1
1.6
6.8
6.3
+0.5
11.9
7.5
+0.5
1937
9.3
5.5
2.0
8.5
8.0
+0.5
10.4
9.5
+0.6
1941
9.6
6.4
2.6
9.8
9.3
+0.6
11.9
11.7
+0.7
1948
6.9
4.3
1.4
7.4
6.3
+1.1
13.1
9.0
+1.3
1953
10.9
8.0
3.4
11.0
9.7
+1.2
14.4
13.7
+1.6
1957
12.8
9.7
4.4
12.0
11.4
+0.6
14.5
14.9
+0.7
1960
14.0
10.7
4.4
12.4
11.5
+0.9
13.9
15.3
+1.1
1963
15.1
11.6
4.8
13.2
11.9
+1.3
14.4
16.3
+1.6
1964
15.8
12.2
5.1
13.6
12.3
+1.3
14.8
16.8
+1.6
1965
16.4
12.8
5.4
14.1
12.6
+1.5
15.3
17.5
+1.9
(出 所)Moore, G. H. and P. A. Klein (1967) , The Quality of Consumer Instalment Credit,
Columbia University Press, pp. 5-6. より作成。
の価値(価格)実現を促進する,すなわち産業部門の生産を補完する役割を果たしうる。所得水準
の向上に伴い消費者信用が普及すると,自動車や家電製品等の利用が増えて消費支出が押し上げら
れる。それでは,消費者信用が形成された 1920 年代以降の米国において,そのような需要の創出や
消費の押し上げ効果はみられたのであろうか。表5は,20 世紀前半から半ばにかけての消費者信
用,消費支出,個人所得の推移を見たものである。大恐慌が起きた 1929 年と 1965 年を比較すると,
個人所得は 6.2 倍になっているのに対し,個人消費支出は 5.6 倍と同程度の増加となっている。ま
た個人消費支出のうち耐久消費財支出を取り出してみると同 7.2 倍と個人所得を上回る増加となっ
ている。この背景には,消費者信用の増加がある。個人所得に対する賦払債務残高の比率は,1929
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 225
年の 4.1%から 1965 年には 12.8%にまで上昇している。また個人消費支出に対する割賦信用増加
額の比率も 1929 年の 7.5%から 1965 年には 17.5%にまで上昇している。
消費と所得の関係は,消費者信用の利用以外の要素を考慮しなければならないことから一概には
言えないが,耐久消費財支出の増加は消費者信用の拡大と歩調を合わせている。これをより詳細に
みるために,個人消費支出に対する耐久消費財支出の比率と同割賦信用増加額の比率を比較してみ
た。この表6において重要なのは,この2つの比率の変化の方向性である。1929 年から 1955 年ま
での間で,この2つの比率の変化が一致しているのは全体の 78%に相当する。20 世紀前半から半
ばにかけての割賦信用の拡大は,耐久消費財の普及と合わせた動きとして表れたのである。
表6
年
個人消費支出に対する耐久消費財支出および賦払信用増加額の比率(1929-1955年)
個人消費支出に対する耐久
消費財支出の比率
比率の前年比
変化幅
個人消費支出に対する賦払
信用増加額の比率
比率の前年比
変化幅
(%)
(%ポイント)
(%)
(%ポイント)
1929
11.6
7.3
1930
10.1
−1.5
6.8
−0.5
1931
9.0
−1.1
6.3
−0.5
1932
7.3
−1.7
4.9
−1.4
1933
7.5
0.2
5.3
0.4
1934
8.1
0.6
6.0
0.7
1935
9.1
1.0
7.4
1.4
1936
10.1
1.0
9.0
1.6
1937
8.8
−1.3
9.4
0.4
1938
9.9
1.1
8.4
−1.0
1939
10.8
0.9
10.2
1.8
1940
11.8
1.0
11.4
1.2
1941
7.8
−4.0
11.5
0.1
1942
6.6
−1.2
5.8
−5.7
1943
6.2
−0.4
4.6
−1.2
1944
6.2
0.0
4.5
−0.1
1945
6.4
0.2
4.4
−0.1
1946
10.8
4.4
5.8
1.4
1947
12.5
1.7
7.7
1.9
1948
13.1
0.6
8.8
1.1
1949
13.1
0.0
10.0
1.2
1950
14.7
1.6
11.0
1.0
1951
13.0
−1.7
10.9
−0.1
1952
12.2
−0.8
13.0
2.1
1953
12.9
0.7
13.2
0.2
1954
12.4
−0.5
12.4
−0.8
1955
14.1
1.7
14.6
2.2
(注)網掛け部分は,耐久消費財支出と賦払信用増加額の比率増減傾向が一致している年を示して
いる。
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1957), Consumer Instalment Credit
PartⅡ Volume 1 Conference on Regulation, United States Government Printing Office
Washington, p. 51. より作成。
226 第 13 巻
第3章
第4号
ファイナンス・カンパニーの登場と拡大
これまでは,20 世紀初頭の米国において消費者信用がどのようにして発生したのか,古くから存
在した消費者の貸借取引が信用形態として展開したその要因と背景について述べてきた。ここでさ
らに明らかにしなければならないのは,その消費者信用を業務として手掛けていた小売店および金
融機関の動向である。20 世紀初頭の米国における消費者信用業務は,主に販売金融会社を中心とし
たファイナンス・カンパニーによって行われていた。セリグマンは,割賦販売の近代化の歴史は,
(27)
以下の5段階に分けられるとしている 。それは,①初期における家財道具などの高級品取引,②
下級品取引,③自動車の割賦販売の開始,④ファイナンス・カンパニーの発展,⑤割賦販売のその
他一般消費財への拡張である。この中で特に重要な役割を果たしたのは,自動車の割賦販売の開始
とファイナンス・カンパニーの発展である。以下では,
自動車における割賦販売の普及を中心にファ
イナンス・カンパニーの登場とその役割について明らかにする。
3.1.ファイナンス・カンパニーの登場
歴史的にみると,米国最初の販売金融会社は,ニューヨーク州のロチェスターで 1904 年に設立さ
(28)
れ,ピアノの小売商から賦払い販売契約を購入したといわれる 。それ以前の割賦販売は,先に述
べたシンガー・ミシンのように小売店が自らのリスクにて賦払い方式で商品販売を行うものであっ
た。米国割賦信用残高の保有者別推移をみると,1919 年当時では金融機関よりも小売店の方がはる
かに大きな割賦信用残高を保有していたことが分かる(表7)
。小売店の中でも,特に家具店と自動
車ディーラーが大きな比重を占めていた。
しかし,小売店が割賦販売を行うには限界があった。それは,小売店による資金的な制約である。
小売店が消費者に割賦販売を行った場合,その販売代金の回収は長期間にわたることになる。その
一方で,生産者への支払いはその商品を仕入れた時点で,あるいはある一定程度の猶予期間をおい
て,販売代金の回収よりも早く行う必要があった。そこで,資金的な制約を打破するために金融機
関が登場した。ただし,割賦信用の供与に乗り出したのは,商業銀行ではなく,販売金融会社など
のファイナンス・カンパニーであった。表7をもとに金融機関の割賦信用保有残高推移を比較して
みると,1920 年から 1930 年代の割賦信用拡大を支えたのは販売金融会社であったことが明確に分
かる(図3)
。
なぜ商業銀行は,消費者信用の形成当初,自ら消費者信用業務に乗り出さなかったのであろうか。
そもそも小売店が割賦販売を行う際の賦払い手形は,小売店自体の信用力が低かったことから,商
業銀行が買取るには適していないとみられていた。またそれまで商業銀行は,短期の商業貸付を中
心に行っており,割賦販売を行うことは長期の貸付を行うことになることから,そのような体制が
整っていなかった。その後,商業銀行は 1930 年代以降にターム・ローンを提供するようになり,消
(29)
費者信用業務へも参入していくことになった 。
C
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 14.
D
矢島保男(1963),163 頁を参照。
E
ターム・ローンについては,近沢敏里(1971),第5章,坂本正(1997),第 10 章を参照。
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 227
表7
米国割賦信用残高の保有者別推移(1919-1964年)
(単位:百万ドル)
金融機関
年末
合計
金融機関
計
商業銀行
販売金融
会社
小売店
信用組合
消費者金
融会社
その他
小売店計
百貨店
家具店
家電販
売店
自動車
ディーラー
その他
1919
800
164
19
73
4
68
636
31
253
60
258
34
1920
969
214
25
105
6
78
755
44
300
64
309
38
1921
919
219
31
93
7
88
700
35
300
68
255
42
1922
1,047
280
39
136
8
97
767
36
375
96
199
61
1923
1,368
397
52
222
10
113
971
41
412
97
348
73
1924
1,646
515
69
293
12
141
1,131
46
458
109
435
83
1925
2,115
815
94
529
14
178
1,300
65
506
142
484
103
1926
2,363
1,019
116
669
16
218
1,344
89
536
153
440
126
1927
2,319
1,054
136
628
18
272
1,265
112
549
181
276
147
1928
2,935
1,353
167
816
21
349
1,582
143
552
210
508
169
1929
3,524
1,745
201
1,074
22
448
1,779
160
583
253
586
197
1930
3,022
1,563
204
880
22
457
1,459
155
539
216
352
197
1931
2,463
1,319
173
684
21
441
1,144
138
454
172
191
189
1932
1,672
958
137
418
19
384
714
103
313
107
44
147
1933
1,723
1,001
127
507
20
347
722
118
299
108
65
132
1934
1,999
1,203
169
630
24
380
796
146
314
121
57
158
1935
2,817
1,860
415
974
36
435
957
187
336
142
110
182
1936
3,747
2,580
655
1,353
57
515
1,167
257
406
164
96
244
1937
4,118
2,804
706
1,415
81
602
1,314
289
445
191
93
296
1938
3,686
2,414
742
969
101
602
1,272
282
425
172
90
303
1939
4,503
3,065
1,079
1,197
132
657
1,438
354
439
183
123
339
1940
5,514
3,918
1,452
1,575
171
720
1,596
394
474
196
167
365
1941
6,085
4,480
1,726
1,797
198
759
1,605
320
496
206
188
395
1942
3,166
2,176
862
588
128
598
990
181
331
111
53
314
1943
2,136
1,413
532
252
103
526
723
127
235
37
31
293
1944
2,176
1,486
574
262
99
551
690
127
230
19
33
281
1945
2,462
1,776
745
300
102
629
686
131
240
17
28
270
1946
4,172
3,235
1,567
677
151
840
937
209
319
38
47
324
1947
6,695
5,255
2,625
1,355
235
1,040
1,440
379
474
79
101
407
1948
8,996
7,120
3,529
2,011
334
1,246
1,876
470
604
127
159
516
1949
11,590
9,257
4,439
2,944
438
2,333
596
740
178
236
583
1950
14,703
11,805
5,798
3,711
590
2,898
746
827
267
287
771
1951
15,294
12,124
5,771
3,654
635
1,555
509
3,170
924
810
243
290
903
1952
19,403
15,581
7,524
4,711
837
1,866
643
3,822
1,107
943
301
389
1,082
1953
23,005
18,963
8,998
5,927
1,124
2,137
777
4,042
1,064
1,004
377
527
1,070
1954
23,568
19,450
8,796
6,144
1,342
2,257
911
4,118
1,242
984
377
463
1,052
1955
28,906
24,398
10,601
8,447
1,678
2,623
1,049
4,508
1,511
1,044
365
487
1,101
1956
31,720
26,859
11,777
8,999
2,014
2,940
1,129
4,861
1,526
1,187
377
502
1,269
1957
33,868
28,915
12,843
9,324
2,429
3,124
1,195
4,953
1,678
1,210
361
478
1,226
1958
33,642
28,261
12,780
8,446
2,668
3,085
1,282
5,381
2,280
1,128
292
506
1,175
1959
39,247
33,131
15,227
9,880
3,280
3,337
1,407
6,116
2,732
1,225
310
481
1,368
1960
42,968
36,673
16,672
10,763
3,923
3,781
1,534
6,295
3,094
1,107
333
359
1,402
1961
43,891
37,471
17,008
10,327
4,303
4,145
1,688
6,420
3,246
1,058
293
342
1,481
1962
48,720
41,878
19,005
11,405
4,875
4,765
1,828
6,842
3,603
1,073
294
345
1,527
1963
55,486
47,819
22,023
12,630
5,526
5,582
2,058
7,667
4,036
1,488
351
1,792
1964
62,692
53,898
25,094
13,605
6,340
6,492
2,367
8,794
4,701
1,632
329
2,132
1,436
1,286
420
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976), Banking and Monetary Statistics, Board of
Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., p. 1087.
228 第 13 巻
第4号
図3
金融機関の割賦信用保有残高推移(1919-1950年)
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976), Banking and Monetary Statistics, Board of
Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., p. 1087. より作成。
3.2.自動車の普及と販売金融会社
ファイナンス・カンパニーの中で,主に消費者信用業務を手掛けたのは販売金融会社であった。
初期の販売金融会社は,商業銀行があまり手掛けなかった売掛債権(account receivable)を担保に
した貸付や売掛債権の買取(ファクタリング)を古くから行っていた
(30)
。この販売金融会社が,賦
払手形の購入を中心に手掛けるようになったのは,1910 年代に入って自動車産業が発達したのがそ
の契機である。これは,販売金融会社の割賦信用残高内訳をみても明らかである(表8)
。
自動車そのものの発明は 19 世紀末にまでさかのぼる。当初自動車は,鉄道以来の革命的な輸送
手段であるとは認識されておらず,一部の富裕者がスポーツや娯楽の一つとして保有することが多
かった。組織的な自動車メーカーとしては,1903 年にフォード自動車会社(Ford Motor Company)
,1908 年にゼネラルモーターズ・カンパニー(General Motors Company),1909 年にハドソ
ン自動車会社(Hudson Motor Car Company)が創設された。米国において自動車は,その後 1910
年代に入って急速に普及し,一般消費者が購入する耐久消費財となっていった(表9)。いわゆる
フォードの T 型車の生産により,一般消費者でも賦払い方式を利用すれば購入できる範囲の大衆
車が登場したのである。
このような中で,自動車の割賦販売に関わる販売金融会社が設立され始めたのは 1910 年代半ば
からである。販売金融会社の中に自動車部が設けられたほか,メーカーが自ら販売金融会社を創設
し 始 め,1919 年 に は The General Motors Acceptance Corporation( GMAC )が 設 立 さ れ た。
GMAC 設立発表時に会社側は以下のように述べている。
「事業の規模が大きくなったため,融資の
F
Cf., Saulnier, R. J. and N. H. Jacoby (1943), pp. 1-2.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 229
表8
米国販売金融会社の割賦信用残高(1919-1964年)
(単位:百万ドル)
年末
販売金融会社計
自動車手形
その他消費財手形
住宅改善のための貸付
個人貸付
1919
73
42
31
1920
105
61
44
1921
93
54
39
1922
136
86
50
1923
222
164
58
1924
293
215
78
1925
529
402
127
1926
669
501
168
1927
628
445
183
1928
816
572
244
1929
1,074
736
337
1
1930
880
568
309
3
1931
684
432
243
9
1932
418
259
146
13
1933
507
368
122
1934
630
477
123
9
21
1935
974
770
111
67
26
1936
1,353
1,077
126
117
33
1937
1,415
1,120
156
98
41
1938
969
707
114
102
46
1939
1,197
878
115
148
56
1940
1,575
1,187
136
190
62
1941
1,797
1,363
167
201
66
1942
588
341
78
117
52
1943
252
131
34
42
45
1944
262
153
28
33
48
1945
300
164
24
58
54
1946
677
377
67
141
92
1947
1,355
802
185
242
126
1948
2,011
1,333
287
225
166
1949
2,944
2,265
447
90
142
1950
3,711
2,956
532
61
162
1951
3,654
2,863
452
63
276
1952
4,711
3,630
680
60
341
1953
5,927
4,688
816
46
377
1954
6,144
4,870
841
31
402
1955
8,447
6,905
1,048
28
466
1956
8,999
7,238
1,159
32
570
1957
9,324
7,393
1,224
31
676
1958
8,446
6,310
1,319
36
781
1959
9,880
7,187
1,675
72
946
1960
10,763
7,488
2,059
146
1,070
1961
10,327
6,702
2,226
186
1,213
1962
11,405
7,251
2,465
213
1,476
1963
12,630
7,922
2,699
214
1,795
1964
13,605
8,285
3,022
207
2,091
17
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976), Banking
and Monetary Statistics, Board of Governors of the Federal Reserve
System, Washington, D. C., p. 1097.
230 第 13 巻
第4号
表9
GMにおける事業部別乗用車・トラック生産台数(1909-1962年)
アメリカ国内生産台数
海外工場生産台数
合計
(アメリカ)
暦年
ビュイック
(マルケット)
キャデラック
(ラ・サール)
シボレー
カナダ工場
生産台数
1909⒜
1909⒝
1910
1911
14,140
4,437
20,758
18,844
6,484
2,156
10,039
10,071
-
24,681
7,630
39,300
35,752
-
1912
1913
1914
1915
26,796
29,722
42,803
60,662
12,708
17,284
7,818
20,404
-
49,696
57,270
61,584
102,388
1916
1917
1918
1919
90,925
122,262
81,413
115,401
16,323
19,759
12,329
19,851
52,689
117,840
1920
1921
1922
1923
112,208
80,122
123,048
200,759
19,790
11,130
22,021
22,009
1924
1925
1926
1927
156,627
196,863
267,991
254,350
1928
1929
1930
1931
合計
(アメリカお
よびカナダ)
ブラジル
ホールデンス
オペル
ボクスホール
全社合計
24,681
7,630
39,300
35,752
-
-
-
-
24,681
7,630
39,300
35,752
-
49,696
57,270
61,584
102,388
-
-
-
-
49,696
57,270
61,584
102,388
146,185
203,119
204,014
367,407
1,312
24,331
146,185
203,119
205,326
391,738
-
-
-
-
146,185
203,119
205,326
391,738
134,117
68,080
223,840
454,386
370,667
199,415
419,682
754,810
22,408
15,384
37,081
43,745
393,075
214,799
456,763
798,555
-
-
-
-
393,075
214,799
456,763
798,555
17,748
22,542
27,340
34,811
293,849
481,267
692,417
940,277
553,833
790,880
1,179,214
1,472,494
33,508
45,022
55,636
90,254
587,341
835,902
1,234,850
1,562,748
-
-
-
1,513
1,606
587,341
835,902
1,236,363
1,564,354
218,779
190,662
121,816
91,485
41,172
36,698
22,559
15,012
1,118,993
1,259,434
825,287
756,790
1,709,763
1,799,427
1,105,773
997,594
101,043
99,840
52,520
35,924
1,810,806
1,899,267
1,158,293
1,033,518
-
-
26,312
26,355
2,587
1,387
8,930
14,836
1,813,393
1,900,654
1,193,535
1,074,709
1932
1933
1934
1935
45,356
42,191
78,327
106,590
9,153
6,736
11,468
22,675
383,892
607,973
835,812
1,020,055
506,928
779,029
1,086,321
1,504,698
18,799
23,075
42,005
59,554
525,727
802,104
1,128,326
1,564,252
-
-
20,914
39,295
71,665
102,765
16,329
27,636
40,456
48,671
562,970
869,035
1,240,447
1,715,688
1936
1937
1938
1939
179,279
225,936
175,369
230,088
28,741
44,724
28,297
38,390
1,228,816
1,132,631
655,771
891,572
1,803,275
1,846,621
1,052,873
1,487,375
63,314
81,212
56,028
55,170
1,866,589
1,927,833
1,108,901
1,542,545
-
-
120,397
128,370
139,631
122,856
50,704
59,746
60,111
61,454
2,037,690
2,115,949
1,308,643
1,726,855
1940
1941
1942
1943⒞
310,823
317,986
18,225
-
40,206
60,037
2,865
-
1,135,826
1,256,108
166,043
60,257
1,950,142
2,149,804
217,804
91,109
75,071
107,214
83,686
61,437
2,025,213
2,257,018
301,490
152,546
-
-
-
55,353
43,010
47,316
41,598
2,080,566
2,300,028
348,806
194,144
1944⒞
1945
1946
1947
2,337
153,733
268,798
933
27,993
59,652
71,631
102,896
662,952
1,037,109
224,227
229,929
1,123,451
1,845,885
54,312
45,644
51,997
85,033
278,539
275,573
1,175,448
1,930,918
-
-
-
38,493
32,471
53,586
61,453
317,032
308,044
1,229,034
1,992,371
1948
1949
1950
1951
273,845
397,978
554,326
405,880
65,714
82,043
109,515
104,601
1,166,340
1,487,642
2,009,611
1,555,856
2,051,742
2,672,894
3,653,358
2,829,490
94,563
91,503
158,805
186,996
2,146,305
2,764,397
3,812,163
3,016,486
-
112
7,725
20,113
25,177
40,058
72,568
77,594
74,576
84,168
87,454
77,877
2,220,933
2,896,348
3,992,298
3,197,134
1952
1953
1954
1955
315,301
481,557
536,894
780,237
95,420
104,999
122,144
153,134
1,200,589
1,839,230
1,749,578
2,213,888
2,234,397
3,276,586
3,295,956
4,476,672
199,763
219,413
153,808
161,374
2,434,160
3,495,999
3,449,764
4,638,046
-
31,945
44,175
54,796
63,800
83,282
110,164
164,117
186,999
79,813
110,141
130,951
142,149
2,629,200
3,760,479
3,799,628
5,030,994
1956
1957
1958
1959
535,315
407,546
258,394
232,757
140,340
152,660
126,087
138,610
1,970,610
1,871,902
1,543,992
1,754,784
3,507,741
3,237,178
2,526,245
2,960,017
184,981
181,322
186,625
180,216
3,692,722
3,418,500
2,712,870
3,140,233
16,274
68,893
94,557
110,626
115,308
205,605
228,736
312,873
334,444
123,643
143,573
174,124
244,655
4,090,863
3,885,366
3,310,493
3,850,914
1960
1961
1962
304,085
292,398
416,087
158,719
147,957
159,014
2,267,759
1,949,111
2,555,081
3,681,377
3,150,312
4,222,823
208,357
196,407
268,624
3,889,734
3,346,719
4,491,447
18,128
13,584
18,977
140,336
112,680
133,325
366,817
377,258
378,878
245,981
186,388
215,974
4,660,996
4,036,629
5,238,601
(注)⒜ 1909年9月30日までの年度。
⒝ 1909年10月1日から12月31日までの3ヵ月。
⒞ 1909年から1923年までの期間は,カーターカー,エルモアー,アルキット,ランドルフ,スクリプス・ブー
ス,ウエルチ,サムソン・トラック・トラクターの各社の生産を含んでいる。1943年と44年にアメリカで
生産された乗用車の売上げが計上されていないのは,軍備により,1942年2月10日に車の生産が中止され
たためである。シボレーの数字は,1943年と44年のトラックの売上げのみを示している。
(出所)Sloan, A. P., Jr. (1963), My Years With General Motors, Harold Matson Company, Inc., New York, pp. 446447.(有賀裕子訳(2003)『〔新版〕GMとともに』ダイヤモンド社,510-511頁)より作成。
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 231
問題が浮上してきた。既存の銀行は,融資ニーズに対応するだけの弾力性を持たないようだ。GM
製品,とりわけ乗用車と商用車の需要が着実に伸びるに伴って,ディーラーは難題に直面してきた。
セールス担当者の能力や製品の魅力が増すにつれて取引量が増大したが,融資が最も必要な時期に
それが得られないのである。そこで GM はみずから問題解決に乗り出そうと,GMAC の設立を決
めた。GMAC の使命は,各地域の融資機関を補って,ディーラーの事業拡大を最大限に支援するこ
(31)
とだ」 。これは,自動車メーカーが販売金融の重要性を認識し,それに対応する金融機関が存在し
ない中で,自らの手で販売金融を手掛けようと決断した動きが如実に表れている。その後,GMAC
は急成長を遂げ,自動車の普及,より正確に言えば自動車の割賦販売すなわち消費者信用の普及に
(32)
大きく貢献した 。販売金融会社が自動車ディーラーから賦払手形を買取ることによって,自動車
ディーラーは割賦販売の代金を早期に回収することが可能になる。同時にその資金にもとづいて自
動車ディーラーは,商品の仕入れを円滑に行うことができたのである。また販売金融会社は,自動
車ディーラーがメーカーから商品を仕入れるための資金を貸付けることも行っていた。そこからさ
らに発展して,販売金融会社は自動車の卸売価格の 80-90%程度を手形貸付の形式で自動車ディー
ラーに貸付け,ディーラーが仕入れる自動車をその担保とする。自動車ディーラーは,自動車を割
賦販売すると自動車手形を販売金融会社に買取ってもらい,その受領額をもって貸付の返済を行う
(33)
ようになった 。
それでは,なぜ自動車が割賦販売の普及に最も貢献したのであろうか。それは自動車が衣服など
の一般消費財より高価であり,賦払い方式によって支払いがなされるのに適していたこと,またそ
の価格が順次低下していく中で,標準化された自動車が大量生産されるようになってきたことがあ
る。それを具体的なデータで見てみよう。1919 年から 1926 年上半期にかけて GM 車の価格は,
(34)
1,500 ドルから 1,019 ドルへ 32.1%も低下した 。興味深いことに自動車の割賦販売には価格帯に
より違いがみられた。GM の新車における割賦販売比率は,1919 年の 32.6%から 1926 年上半期に
は 55.9%にまで上昇した。その価格帯の中で最も低額の新車は同 74.8%から 68.6%へ低下してい
るのに対し,それ以外の価格帯では同比率が上昇している(表 10)。低額の自動車はその価格低下
によりむしろ現金での購入が増加したものの,それ以外の自動車では割賦販売が定着していったこ
とが分かる。ちなみに GM の中古車における割賦販売比率も,1919 年の 44.5%から 1926 年上半期
には 65.2%にまで上昇している
(35)
。販売金融会社の登場により,消費者信用が普及し,自動車にお
いてはその過半が消費者信用を利用することにより販売されるようになったのである。
M
Sloan, A. P., Jr. (1963), p. 303, 邦訳 , 343 頁 .
N
1960 年6月末時点において販売金融会社は 2,021 社存在しており,そのうち割賦信用残高1億ドル以上を持つ
会社は 12 社で,販売金融会社全体の 77%を占めていた。大手5社としては,Universal C. I. T. Credit Corporation,GMAC,Commercial Credit Company,Associates Investment Company,Pacific Finance Corporation があ
り,記載順の上位3社だけで全体の半分以上を占めていた。
O
矢島保男(1963),162-163 頁を参照。
P
Cf., Seligman, E. R. A. (1927b), p. 428.
Q
Cf., Seligman, E. R. A. (1927b), p. 439.
232 第 13 巻
第4号
表10
米国における新車の割賦販売比率推移(1919-1926年上半期)
(単位:%)
GM車のライン
(価格帯)
1919
1920
1921
1922
1923
1924
1925
1926
上半期
A
74.8
73.7
59.2
57.9
64.4
70.6
68.6
68.6
B
47.6
53.8
46.9
62.9
70.8
61.9
59.9
62.1
C
7.6
16.4
18.8
53.9
60.2
64.8
67.4
64.3
D
29.4
26.0
35.6
37.0
41.3
42.7
42.5
46.9
8.3
11.8
14.6
14.6
21.6
29.7
28.8
28.7
32.6
29.2
33.7
37.1
45.8
50.7
52.0
55.9
E
全GM車
(注)1.A-Eの表記はGM車の価格帯を示し,Aが最も低額,Eが最も高額である。
2.1924年以前の自動車販売ディーラー数は,統計数値としては少ないと推測される。
(出所)Seligman, E. R. A. (1927), The Economics of Instalment Selling : A Study in Consumers’ Credit with
Special Reference to the Automobile Volume two, Harper & Brothers Publishers, p. 426.
3.3.割賦信用供与のための基盤
セリグマンは,割賦信用においては共通する特徴があるとしている。その特徴とは,商品の耐久
(36)
性,目新しく比較的高価な商品,多様な支払い期間である 。割賦信用の場合,支払い期間が将来
にわたるため,その支払い期間にわたって便益を享受できるような耐久性のある商品が対象として
適している。また消費者がそのような耐久性のある比較的高価な商品を購入しようとするに際し,
毎月の給与だけでは不足する事態に割賦信用が登場したことはこれまでに述べたとおりである。一
方で,割賦信用を供与するに際し,小売店または金融機関は,その消費者が信用を与えるにふさわ
しいかどうかの判断を行わなければならない。信用供与に際し,信用調査を行うのは企業の場合も
消費者の場合も同じであるが,企業の場合は過去の取引履歴などから情報が蓄積されていることが
多く,企業の決算書などをもとに業況確認の方法は確保されている。それに対し,消費者の場合は,
決算書はもちろん確認できる情報が限られる。しかも,信用を供与する相手は不特定多数の消費者
にわたることから,信用調査は容易ではない。このため,小売店や金融機関は,その支払いおよび
回収を確実にするために様々な方策をとってきた。ここで,自動車を例として割賦信用取引を行う
基盤について確認しておく(図4)
。
消費者は,自動車を購入するに際し,自動車ディーラーで実際に商品を確認するなどして,商品
の購入及び割賦信用の申込みを行う(図4の①)
。自動車ディーラーは,割賦手形を買取ってもらう
販売金融会社に,信用審査の依頼を行う(同②)
。販売金融会社は,自動車ディーラーからの依頼を
受けて,消費者の信用調査を行う(同③)
。消費者の信用調査は,申込者が提出した情報をもとに始
められる。申込者が提出した情報には,姓名,年齢,住所,電話番号,勤務先(職場)
,婚姻の状況
(既婚・未婚)などの基本的な情報が含まれる。これらをもとに,最初に調査すべき点は,消費者
の支払能力である。多くの消費者の負債は,経常的な収入から支払われるため,勤労による収入の
額と安定性について確認しなければならない。申込者に過去の支払履歴がある場合は,それも参考
にされる。また,返済意思についての確認も重要である。これは申し込みの面接時の印象や申込用
R
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), pp. 197-202.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 233
図4
割賦信用取引の仕組み(自動車の場合)
(注)割賦手形の買取は,20世紀初頭までは販売金融会社が中心に行っていたが,1930年代半ば以降商業銀行も直接
行うようになっていった。そのため,販売金融会社だけでなく商業銀行が直接に割賦手形を買取る場合も含め
て記載している。
(出所)筆者作成。
紙に記入された事項の確からしさなどをもとに判断される。申込書の記入事項は,住所や勤務先な
ど個別に確認することがある。
信用調査においては販売金融会社等が個別に情報収集を行うが,その情報収集には手間とコスト
がかかる。そのため,過去の情報に加え他の小売店や金融機関が集めた情報なども合わせて体系的
に活用した方が効率的である。そこで,設立されたのが信用調査機関である。信用調査機関設立の
歴史は古く,1846 年に事業信用調査機関として R. G. Dun Co. が設立されたのがその始まりであ
(37)
る 。この事業信用調査機関は,その後社名を Dun and Brad Street Inc. に変更し,海外にまで調
査網を持つ大規模な信用調査機関に発展した。一方,消費者の信用調査を行う機関としては,小売
店用の信用調査機関 Retailers Commercial Agency がニューヨークに設立され,その後,地域的に
分散する形で小規模の local credit bureau が多数存在するようになった。消費者の信用調査機関と
して全国的なものとしては,1906 年創立の Associated Credit Bureaus of America, Inc. および
1912 年設立の National Retail Credit Association がある。これらの消費者信用調査機関の利用は,
(38)
小売店,金融機関,石油業者,建築業者,病院,連邦警察局と多方面に及んでいる 。特に地方の
小売店の利用が多く,消費者の債務不履行の情報はただちに信用調査機関へ報告される仕組みが確
S
Dun and Brad Street Inc. の設立については,Foulke, R. A. (1941)を参照。
T
日本銀行調査局(1960),18 頁を参照。
234 第 13 巻
第4号
立している。また消費者の情報は照会に対して提供されるが,消費者の信用状態が急激に変化した
場合には,登録情報がただちに更新されるようになっている。販売金融会社は,この信用調査機関
から信用情報の提供を受けるなどして,消費者の信用調査を行う(同③’
)。
販売金融会社は信用調査の結果,消費者が信用を供与するに値すると判断した場合に,自動車
ディーラーに対して販売承認を行い
(同④)
,
自動車ディーラーは消費者に商品の提供を行う
(同⑤)。
消費者は,割賦販売によって購入した商品はただちに享受することができる。しかし,その所有権
は,その債務が完済されるまでは小売店または金融機関の側にあり,もし消費者がその支払い契約
に違反した場合,その商品は差し押さえられることになる。すなわち所有権が留保されているので
ある。これは,小売店や金融機関からすると,信用供与に際して実質的に担保設定の役割を果たし
ている。
消費者は,商品の提供を受けるに際し割賦手形を振出す(同⑥)。自動車ディーラーは,その割賦
手形を販売金融会社に持ち込み,買取ってもらう(同⑦)。そして販売金融会社は,割賦手形の買取
代金を自動車ディーラーに支払う(同⑧)
。この段階で,消費者に信用を供与しているのは販売金融
会社になり,自動車ディーラーの活動は完了する。その後,消費者は,販売金融会社に対し割賦方
式により支払いを行う(同⑩)
。
割賦信用は,その支払いを賦払いで行う取引であるが,その支払い方法には様々な条件が付けら
れている。まずは頭金率である。消費者が耐久消費財を割賦信用にて購入する場合,その商品の一
部分を頭金として先に支払うのが一般的である。消費者にとって頭金は商品に対する最初の持分で
あり,その持分が大きいほど支払いを履行する傾向が強くなるとされる。小売店や金融機関は,先
に頭金を徴収することで,債務不履行のリスクを軽減しようとする。ただし,自動車の割賦販売に
よる頭金は,それまで消費者が使用していた自動車の下取りによって全部または一部がまかなわれ
ることが多い。頭金率は,自動車については 1920 年代以来 33%以上,主要な家庭用品については
10%以上が基準となっていた。また割賦信用では,債務の返済が一部分ずつなされることから,そ
の返済期間を調整することによって,
債務不履行のリスクも変化することになる。商品に対しては,
割賦信用の残存額がその商品の転売価格の範囲内であるように期間を算定するという一定の原則が
ある。また割賦信用の契約の中には,支払いの延滞や不履行が発生した場合に,消費者から罰金を
徴収することを定めている場合が多い。小売店や金融機関は,債務不履行になった場合,差し押さ
えた商品を転売することにより損失を回避しようと試みるが,一部商品は中古市場が未発達の場合
もあるため,罰金を徴収することで対応している。消費者が支払いを延滞した場合の督促や集金は,
その延滞期間にもよるが,ある一定期間を過ぎると集金機関に委託される場合がある。この集金機
関には,独立の集金業者と消費者信用調査機関の集金部とがある。この集金機関は,現代で言うサー
ビサーに相当するものであるが,消費者への割賦信用供与を補完する役割として古くから存在して
いた。なお消費者信用の普及に際し,保険制度も一定の役割を果たしたと言われている。例えば,
信用生命保険(Credit Life Insurance)は,消費者自身が利用することが多い。この保険の始まりは,
1917 年に Morris Plan Insurance Society が Morris Plan Banks(モーリス式銀行)の債務者を対象
(39)
に取り扱ったのが最初とされている 。
U
日本銀行調査局(1960),20 頁を参照。
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 235
なお自動車ディーラーが消費者へ商品を販売し,その賦払手形を金融機関が買取った場合,小売
店と金融機関の間で債務不履行が生じた場合の負担についての契約が結ばれている。債務不履行が
生じた場合,小売店が全てのリスクを負う場合は完全償還請求契約(full recourse)と呼ばれる。こ
れは,割賦信用が普及していった初期の段階にて結ばれていた契約で,小売店が金融機関への支払
い義務を負うものである。これに対し,金融機関が全てのリスクを負う場合は非完全償還請求契約
(non-recourse)と呼ばれる。この場合,金融機関による信用調査が重要性を増してくる。ただし,
金融機関による信用調査能力が増してくると,金融機関自らが割賦信用の供与へ進出するようにな
るという要因をもたらす。実際,割賦信用が普及していく初期の段階では,小売店を中心に信用情
報機関が整備されており消費者との接点はあくまで小売店であったが,次第に金融機関が消費者へ
直接的に割賦信用を提供していくようになっていった。
3.4.パーソナル・ローンと消費者金融会社
ファイナンス・カンパニーの中で,販売金融会社が耐久消費財の割賦販売を中心に業務を展開す
る一方,パーソナル・ローン(個人貸付)の分野で重要な位置を占めていたのは消費者金融会社で
ある。消費者金融会社は,一部では自動車手形やその他消費財手形を手掛けていたが,その主要な
(40)
業務は個人貸付であった 。統計データの制約があるが,米国消費者金融会社の割賦信用残高内訳
を見ると,その大部分を個人貸付が占めていることが分かる(表 11)。消費者金融会社は,個人貸付
の返済を賦払い方式にしていたこと,物的担保に頼らず人的担保に依存していたこと,信用審査を
行う体制を整備していたことなどの点で,古くから存在していた高利貸しや庶民金融とは異なって
いた。消費者金融会社のうち全国的な組織を持っている会社としては,Household Finance Corporation,Beneficial Finance Company などが有名である。1960 年6月末時点において,販売金融
会社の 2,021 社に対して消費者金融会社は 2,165 社存在していた。消費者金融会社や販売金融会社
などのファイナンス・カンパニーは,州際業務規制が敷かれていた商業銀行と異なり,営業範囲が
州に限定されることがなかったため,全国的に営業展開するものが多く存在していた。
それでは,消費者金融会社から借入れる理由としては,どのようなことがあるのだろうか。1945
年当時の調査によると,医療費,入院費,葬儀費などの急な支出に対応するものや,税金,燃料費
など現金での支払いが必要なものに対する資金が中心であった(表 12)。1954 年時点の調査でも医
療費,入院費,葬儀費などの急な支出への対応が多いのに加え,延滞請求書の整理目的でも利用さ
れている(表 12)
。総じてみると,一時的な費用や現金での支払いが必要な部面で消費者金融会社
からの借入が行われているようである。消費者金融会社の個人貸付は,販売金融会社の場合のよう
に,ある耐久消費財の普及に伴って急激に拡大するものではなく,消費者の一般的な生活の中で生
V
米国で個人貸付を最初に始めたのは,A. J. モーリスである。彼は,一般消費者なかでも勤労者がどこからも借
入を受けられず,高利貸しに依存せざるをえない状況をみて,1910 年にノーフォーク信用貯蓄信託会社(Fidelity Savings and Trust Company of Norfolk)を設立した。これは元来,勤労者のために設立された少額貸付機関
で,勤労銀行(Industrial Bank)あるいはモーリス式銀行(Morris plan banks)と呼ばれた。モーリスは設立に際
し,主に消費目的のための貸付であること,物的担保を取らず人的担保によること,返済は賦払い方式によって
行うことを原則としていた。モーリス式銀行について詳しくは,矢島保男(1963),207 頁,Seligman, E. R. A.
(1927a), p. 39 を参照。
236 第 13 巻
第4号
表11
米国消費者金融会社の割賦信用残高(1950-1964年)
(単位:百万ドル)
年末
消費者金融会社計
自動車手形
その他消費財手形
個人貸付
1950
1,286
125
128
1,033
1951
1,555
133
154
1,268
1952
1,866
155
207
1,504
1953
2,137
156
240
1,741
1954
2,257
129
234
1,894
1955
2,623
154
341
2,128
1956
2,940
161
372
2,407
1957
3,124
152
312
2,659
1958
3,085
134
277
2,674
1959
3,337
150
334
2,853
1960
3,781
153
398
3,230
1961
4,145
169
390
3,586
1962
4,765
193
380
4,192
1963
5,582
202
427
4,953
1964
6,492
187
559
5,746
(出 所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1976) , Banking and Monetary Statistics, Board of
Governors of the Federal Reserve System, Washington, D. C., pp. 1100-1102. より作成。
表12
借入理由
消費者金融会社からの借入理由
構成比(%)
1
2
1954年
1945年
延滞請求書の整理
32.7
10.3
医療費,歯科治療費,入院費,葬儀費
11.5
22.5
自動車購入費
7.9
1.4
服飾品
6.9
4.5
旅行・休暇費用
6.7
5.3
修繕費(家屋)
6.6
5.4
家具
4.7
3.6
税金
3.9
14.1
親族への援助
3.5
6.1
投機的費用
2.6
4.7
燃料
1.6
10.1
保険
1.4
1.7
不動産,住宅ローン
1.2
3.6
その他諸費用,未報告
8.8
6.7
100.0
100.0
合計
(注)1.出典は,The National Consumer Finance Association。1954年1月1日現在での1,791営業所の記録による
まとめ。Danaldson, E. F. (1956), Personal Finance 2 d ed., The Ronald Press Co., New York, p. 53より引
用。
2.American Association of Small Loan Companies (1945), When People Need Money, Washington, D. C., p. 3.
代表的な州における300以上の小口金融事務所の記録による。
3.この表は消費者金融会社による全貸付の目的別配分を表す。自動車やその他消費財の購入と家屋修繕のた
めの貸付は,連邦準備制度理事会推計の消費者割賦信用の各区分に含まれており,個人割賦貸付ではない。
(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System (1957), Consumer Instalment Credit PartⅠ Volume 1
Growth and Import, United States Government Printing Office Washington, p. 33.
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 237
じる一時的な資金融通をサポートしている側面が強い。そのため,いつの時代も,そのような一定
の社会的ニーズがあると考えられる。
3.5.ファイナンス・カンパニーの資金調達
販売金融会社や消費者金融会社などのファイナンス・カンパニーは,営業範囲が州に限定される
ことがなかったため,
大手会社を中心に全国展開を進め,
業容を拡大していった。それに伴ってファ
イナンス・カンパニーには,資金調達の問題が発生してきた。ファイナンス・カンパニーは割賦信
用を供与していることから,その資金の回収は長期にわたって行われる。その一方で,販売金融会
社の場合は小売店の賦払手形買取に際し,消費者金融会社の場合は新規の個人貸付に際し,資金調
達の必要が生じる。販売金融会社の場合,主に小売店が抱えてきた資金調達の問題を肩代わりした
のであるから,同様の問題がファイナンス・カンパニーに生じるのは当然のことである。ファイナ
ンス・カンパニーはそれらの資金調達ニーズに対応するため,まずは自己資本で対応していった。
しかし業容が拡大するにつれて,自己資本以外の外部調達に頼るようになっていった。それは短期
負債調達と長期負債調達に分けられる。短期負債は,銀行借入とコマーシャル・ペーパーであり,
長期負債は社債がその中心である。
表 13 は,1925 年および 1934-1938 年における販売金融会社の資金調達内訳を見たものである。
その内訳でいくと,自己資本である資本勘定が総資産の 20-30%程度を占めている。特に 1934 年か
ら 1937 年にかけて販売金融会社が総資産を拡大させる過程において,自己資本での資金調達構成
比が 35%から 20%にまで低下しているのが分かる。ファイナンス・カンパニーが割賦信用供与を
拡大する過程で,資金調達を自己資本だけに頼っておくことには限界があったのである。
ファイナンス・カンパニーの外部資金調達における中心は短期負債であった。その第一は,銀行
借入である。当時の商業銀行は,短期の商業貸付を中心に業務を行っており,消費者信用業務を行
うファイナンス・カンパニーに対する短期の貸付を行った。ここで,消費者信用に初めて銀行シス
テムが関与することになる。商業銀行は,小売店に対する貸付には慎重であったが,ファイナンス・
カンパニーの一部は,GMAC のように大手企業の子会社であることも多く信用力も高かったこと
から,ファイナンス・カンパニーへの貸付に応じていった。短期負債調達の第二は,コマーシャル・
ペーパーの発行である。これは約束手形を公開市場において発行することにより資金調達を行うも
のである。コマーシャル・ペーパーは,主として大規模なファイナンス・カンパニーが発行してい
たことから比較的信用力も高く,資金調達の一つとして定着していった。
ファイナンス・カンパニーの業容が拡大するにつれて比重を増していったのが,社債発行による
長期負債調達である。1934 年から 1938 年にかけて販売金融会社の総資産に対する社債調達比率は
4%から 20%へ上昇している(表 13)
。当時の社債調達で中心となっていたのは,担保付社債
(41)
(collateral trust notes)の発行によるものであった 。社債発行による資金調達は,大規模なファ
イナンス・カンパニーで次第に増加していった。当然のことであるが,信用力の高い企業は,コマー
シャル・ペーパーや社債発行による直接調達の比重を高めていったのである。このような状況は,
商業銀行にとっては,消費者信用の供与に直接的に関与せず,ファイナンス・カンパニーへの貸付
Z
Cf., Seligman, E. R. A. (1927a), p. 84.
238 第 13 巻
第4号
表13
販売金融会社の資金調達内訳(総資産比,1925年および1934-1938年)
(単位:%)
販売金融
会社72社
資金調達の源泉
販売金融会社48社
年
1925
1934
1935
1936
1937
1938
負債
69.8
51.3
57.7
64.1
69.0
56.3
64.9
47.3
53.4
48.4
53.8
36.2
24.0
32.7
28.9
34.4
20.0
12.4
短期負債
銀行借入
オープンマーケット
61.6
19.5
18.0
17.1
17.0
3.3
3.8
2.7
2.4
2.4
3.8
社債
4.9
4.0
4.3
15.7
15.2
20.1
資本勘定
23.3
35.3
28.7
22.5
20.1
30.2
6.7
6.6
3.6
3.3
4.8
その他
優先株
普通株
剰余金
17.9
5.4
28.6
22.1
86.4
18.9
86.6
16.8
89.1
25.4
負債および資本勘定
93.1
売掛金(Receivables)
80.3
82.3
87.1
87.7
88.1
85.1
総資産(百万ドル)
$687
$769
$1,068
$1,535
$1,811
$1,236
..
259.5
158.5
152.3
138.7
337.2
銀行借入に対する銀行与信限度額の比率
86.6
86.5
(注)オープンマーケットとは,公開市場において約束手形を発行するという意味で,ここではコマーシャル・ペー
パー発行による資金調達のことを指している。
(出所)Chapman, J. M. and Associates (1940), Commercial Banks and Consumer Instalment Credit, National
Bureau of Economic Research, p. 198.
というその間接的な関与も将来的には先細りになる可能性があった。消費者信用の形成と発展がみ
られた 20 世紀前半には,米国商業銀行の業務展開を考える上で新たな環境変化が起こっていたの
である。
むすびに
古くから存在した消費者を対象とした貸借取引が,信用形態として展開したのは,20 世紀初頭の
米国においてであった。信用形態としての消費者に対する与信を消費者信用と呼ぶとするならば,
消費者信用の発生は 1910 年代から 1920 年代の米国において見出すことができる。消費者信用は,
技術革新により大量生産および大量販売を志向する生産者と,所得向上を通じて耐久消費財の購買
意欲を高める消費者が向かいあう場面を通じ,社会的な要請を受けて形成されていった。それまで
みられていた消費者の貸借取引とは異なり,信用取引の形態として展開するためには,その社会的
要請を受入れる独自の仕組みが必要であった。その仕組みとして中心的な役割を果たしたのが,割
賦信用取引である。割賦信用を供与する場合は,生産者への商品代金の支払いと,消費者からの資
金回収に時間差が生じる。そこに登場したのが,ファイナンス・カンパニーを中心とした金融機関
であった。それまでみられていた消費者への貸借取引の場合は,貸手と借手が向かい合う形で取引
を行っており,当事者同士が相手のことをある程度知っていることが多かった。それに対し,金融
機関が不特定多数の消費者に対し消費者信用を供与するためには,
独自の信用審査ノウハウの確立,
信用調査機関の創設,頭金の徴収,所有権の留保,集金機関など独自の仕組みを作り上げる必要が
あったのである。
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 239
不特定多数の消費者を相手にする取引は,現金取引しかなじまなかった部面である。再生産過程
の末端にある生産者と消費者間の取引すなわち一般的流通においては,現金取引が行われ,そこで
最終的な価値実現が図られていた。この一般的流通に信用が浸透していくことにより,商業信用に
加えて,最終的な商品価格の実現までが信用によって取引されるようになっていく。これが消費者
信用の発生を通じて,信用形態が新たな部面に展開していくということである。
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阿部真也(1976)「消費者信用―大衆消費社会の光と影」川合一郎編『金融論を学ぶ』有斐閣選書,164-169 頁。
阿部真也(1978)「消費者信用」川合一郎編『現代信用論(下)―現代資本主義の信用構造―』有斐閣。
飯田裕康編(1992)『現代の金融 理論と実状』有斐閣。
飯田裕康・川波洋一編(1994)『現代信用論の基本課題』有斐閣。
生川栄治(1985)『信用理論の体系』有斐閣。
伊藤武(2006)『マルクス再生産論と信用理論』大月書店。
井村進哉(2002)『現代アメリカの住宅金融システム』東京大学出版会。
岡本悳也(1978)「商業銀行と兼営銀行」川合一郎編『現代信用論(上)―資本制生産と信用―』有斐閣。
香川保一・徳田博美・北原道貫編(1995)『〈新版〉金融実務辞典』金融財政事情研究会。
数阪孝志(1991)『アメリカ商業銀行の多角的展開』東洋経済新報社。
片山隆男・神木良三・杉江雅彦(2005)『庶民金融論―消費者金融を理解するために―』萌書房。
鎌倉昇(1966)『消費者ローン―流通革命を支えるもの―』中央公論社。
川合一郎(1954)『資本と信用』有斐閣。
川合一郎(1981 a)『川合一郎著作集
第二巻
資本と信用』有斐閣。
川合一郎(1981 b)『川合一郎著作集
第五巻
信用制度とインフレーション』有斐閣。
川合一郎(1982)『川合一郎著作集
第六巻
管理通貨と金融資本』有斐閣。
川波洋一(1990)
「米国商業銀行によるリテイル・バンキングへの進出過程⑴―管理通貨制度下における銀行信用浸
透の一側面―」日本証券経済研究所『証券経済』173 号,9月,97-120 頁。
川波洋一(1991 a)
「米国商業銀行によるリテイル・バンキングへの進出過程⑵―管理通貨制度下における銀行信用
消費者信用とファイナンス・カンパニーの登場(前田) 241
浸透の一側面―」日本証券経済研究所『証券経済』175 号,3月,59-85 頁。
川波洋一(1991 b)
「米国商業銀行によるリテイル・バンキングへの進出過程⑶―管理通貨制度下における銀行信用
浸透の一側面―」日本証券経済研究所『証券経済』177 号,9月,101-126 頁。
川波洋一(1991 c)
「消費者信用の発生とファイナンス・カンパニー」九州大学『経済学研究』第 56 巻第 1・2 合併
号,3月,221-250 頁。
川波洋一(1995)『貨幣資本と現実資本―資本主義的信用の構造と動態―』有斐閣。
北川哲雄(1987)『ファイナンス・カンパニー―マネーマシーンの素顔―』東洋経済新報社。
金融辞典編集委員会編(2002)『大月金融辞典』大月書店。
小泉明・堀内仁編(1971)『体系
金融実務辞典』青林書院新社。
小林真之(2000)『金融システムと信用恐慌―信用秩序の維持とセーフティ・ネット―』日本経済評論社。
坂本正(1997)『金融革新の源流』文眞堂。
消費者金融連絡会(2008)『TAPALS 白書 2007
消費者金融ガイドブック』消費者金融連絡会。
信用理論研究会編(1981)『信用論研究入門』有斐閣。
信用理論研究学会編(2006)『現代金融と信用理論』大月書店。
高木仁(2006)『アメリカの金融制度
改訂版―比較社会文化による問題接近をめざして―』東洋経済新報社。
近沢敏里(1971)『現代アメリカ商業銀行論―構造変化と業務多様化―』文雅堂銀行研究社。
西ヶ谷葉子編著(2003)『クレジット・金融用語辞典〈改訂版〉』金融財政事情研究会。
西村閑也・深町郁彌・小林襄治・坂本正(1991)『現代貨幣信用論』名古屋大学出版会。
日本銀行調査局(1960)「米国の消費者信用」調欧米特第5号,11 月,1-27 頁。
浜野俊一郎・深町郁彌編(1985)『資本論体系
第6巻
利子・信用』有斐閣。
深町郁彌(1976)「消費者信用の展開」森下二次也監修『商業の経済理論』ミネルヴァ書房。
深町郁彌(1981)『現代資本主義と国際通貨』岩波書店。
深町郁彌(2007)
「大不況とアメリカの『管理通貨制』への発進―『1935 年銀行法』を中心に―」熊本学園大学経済
学部『リーガルエコノミクス学科開設記念論文集』3月,231-257 頁。
前田真一郎(2004)
『米国金融機関のリテール戦略―「コストをかけないカスタマイズ化」をどう実現するか―』東
洋経済新報社。
峯岸誠・石崎寛憲(2002)
「米国家計支出はなぜ堅調か―資産価格依存型支出行動の光と影―」日本銀行『日本銀行
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矢島保男(1963)『消費者金融論』東洋経済新報社。
矢島保男(1987)『銀行の制度と機能(改訂版)』前野書店。
楊枝嗣朗(1982)『イギリス信用貨幣史研究』九州大学出版会。
楊枝嗣朗(1988)『貨幣・信用・中央銀行―支払決済システムの成立―』同文舘出版。