PRESS INFORMATION ミシュランのトラック用ラジアルタイヤが誕生 60

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2012 年 11 月 7 日
ミシュランのトラック用ラジアルタイヤが誕生 60 周年に
日本ミシュランタイヤ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ベルナール・デ
ルマス)は、ミシュランが1952年に世界に先駆けて発表したトラック用ラジアルタイヤが誕生
から60周年を迎えたことを記念し、コメントを発表しました。
1946年の乗用車用ラジアルタイヤの特許取得に続き、1952年に発表されたトラック用ラジア
ルタイヤは、モビリティーに大いに貢献する革新的ソリューションとして世界中の輸送業界を
一変させました。
日本ミシュランタイヤ株式会社代表取締役社長のベルナール・デルマスは、「ミシュランは、
1889年の創業時から現在まで一貫してより良くより安全でより効率的なモビリティーの推進に
努めてきたと同時に、早期から環境を保護する姿勢を貫いてきました。オイルショックの約20
年前、そして車の燃費が大きな社会の関心事になる約40年前に登場したこのトラック用ラジア
ルタイヤは、まさに、現在まで変わらず続くミシュランの企業理念を象徴する革新的ソリュー
ションと言えます。ミシュランは革新的ソリューションの普及を図る際には常に事実に基づく
分析によって、そのソリューションの有効性をお客様に納得して頂くアプローチをとってきま
した。日本ではトラック・バス用ラジアルタイヤの市場での普及率はほぼ100%となっており、
現在、日本ミシュランタイヤは『リトレッド』や『リグルーブ』などのタイヤ再生ソリューシ
ョンをお客様に提案しております。特に『リグルーブ』は、世界では70年以上の歴史を持つ一
方で、日本では唯一ミシュランのみが促進するソリューションであり、引き続きその普及に努
めていきたいと考えています。」と語りました。
1940年代、ヨーロッパ全域、北米、アルゼンチン、ベトナムで事業を展開していたミシュラ
ンは、1952年にはすでにグローバル企業であり、多くの国でタイヤを製造・販売していました。
ミシュランのトラック用ラジアルタイヤは、アラビア語、フィンランド語、フラマン語、英語、
ポルトガル語、ドイツ語、スペイン語をはじめとして様々な言語で制作されたポスターで紹介
されました。
1952 年から…
2012 年まで、ミシュランは 60 年にわたり
その経験を生かしてトラックドライバーを
支えてきました。
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ラジアルタイヤの歴史(参考)
従来のクロスプライタイヤは、20 世紀前半の世界のモビリティーに大いに貢献しましたが、タ
イヤメーカーは明白な性能向上の限界があることを認識していました。その高速耐久性および
回転による発熱に問題があり、タイヤ寿命および総合的な信頼性にはまだ改善の余地がありま
した。そのため、タイヤの故障が原因で車が走行不能になることが多くありました。
1930 年代後半、ミシュランの研究者マリウス・ミニョル(Marius Mignol)は、タイヤのサイド
ウォールに広く間隔をとった放射線状のメタルケーブルを採用したコンセプトタイヤを設計し
ました。非常に特異な構造のため、このプロトタイプは社内で「虫かごタイヤ」と呼ばれまし
た。
ラジアルタイヤの最初のプロトタイプ「虫かごタイヤ」
当時のクロスプライタイヤが抱える大きな問題の一つは、回転でタイヤ自体が発熱することで
した。その熱は路面と接するトレッド部が発生源であると誰もが信じて疑いませんでした。し
かし、その常識に疑問を持ったミニョルは、その常識を検証するため、ほとんどトレッド部し
か無いこの「虫かごタイヤ」を作りました。そして、このプロトタイプの中にチューブを入れ
て車に取り付け走らせました。テストと計測を繰り返したところ、その結果は驚くべきもので
した。なぜなら熱の発生がごくわずかしか認められなかったのです。このテスト結果から、ク
ロスプライタイヤのサイドウォール部で何重にも交差するプライが、荷重を受けてタイヤが地
面と接するたびに起こるたわみによって擦れ合い、熱を発生しているという事実が分かりまし
た。クロスプライタイヤと構造が全く異なり発熱しにくいということは、高速耐久性も高いと
いうことを意味します。また、クロスプライタイヤのトレッド部とサイドウォール部が一体構
造なのに対し、ラジアルタイヤはそれぞれの機能が完全に分離しているため、トレッド部が安
定し、タイヤの寿命も伸びます。ミシュランは、ラジアルタイヤには輝かしい未来が約束され
ていると確信しました。
クロスプライタイヤの構造
(イメージ図)
ラジアルタイヤの構造
(イメージ図)
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ラジアルタイヤ技術の研究は、第二次世界大戦中、ドイツ軍占領下のフランスで極秘に続けら
れました。そして 1946 年 6 月 4 日、ミシュランはラジアルタイヤ「X タイヤ」の特許を取得し
ました。そしてその数年のうちにラジアルタイヤは、その優秀さを証明することになります。
1951 年、ランチアアウレリア(Lancia Aurelia)B20 は、ラジアルタイヤを純正装着した記念す
べき世界で最初の市販車となりました。当然のことながら装着されたタイヤは当時唯一ラジア
ルタイヤを生産できたミシュランのものでした。ランチアとミシュランの新しいラジアルタイ
ヤは、同年のルマン 24 時間レースの 2 リッタークラスで見事優勝し、早々に信頼を確立してい
ました。その後さらに、ラジアルタイヤの利点を最大限引き出すため、その特長を考えた駆動
系を備えた車が設計されるようになっていきました。それは 1955 年のシトロエン DS の発表で
実現し、ラジアルタイヤはフランスでの成功を手にしつつありました。その後の展開は、ご存
じの通りです。
ラジアルタイヤが起こした革命に十分対応するため、ミシュランはラジアルタイヤの新技術を
他のカテゴリーの車両にも応用しました。1952 年に最初のトラック用ラジアルタイヤを発表し
て輸送業界を完全に一変させました。続いて 1959 年、最初の建設機械用ラジアルタイヤを発表
しました。さらに 1981 年には最初の航空機用ラジアルタイヤも発表しています。ミシュランは
1984 年にはロードレース用バイクのためにラジアルタイヤを開発し、ラジアルタイヤは二輪車
のカテゴリーにも進出しました。そして、この技術を素早く市販車用タイヤへ応用し、1987 年
に A59X および M59X を発売しました。このタイヤは、優れたロードホールディング性能を発揮
し、新標準を確立しました。このように、革新技術の数々がミシュランの歴史を作ってきまし
た。そして、ラジアルタイヤの存在がその事実を何よりも雄弁に物語っています。