(環境造園科)

(環境造園科)
前回の1月号で紹介した「ものづくりマイスター講習。」今月号は、その報告の続きです。
環境造園科棟の「土間」と呼ばれる室内練習場で、1年生が4時間×2日(四つ目垣制作と敷石設
置)、2年生が4時間×3日間(建仁寺垣と蹲踞【つくばい】設置と延べ段制作)の集中講義実習を
行いました。
毎回、外部講師(プロの造園家さん)2名に加え、本学科教員も2~4名加わり、生徒一人一人の
知識・技術力をグンと高めることが出来た時間となりました。
今回の講義は、1年生が来年7月に受験する「造園技能士3級」の国家資格(実技)に、2年生が
春から制作開始する「坪庭」と「卒業記念庭園」で、設計図面を実際の形として表すのに役立てます。
建仁寺垣 制作
竹垣は庭の「仕切り」としてだけでなく、目隠しや庭
そのものを引き立てる役目があります。
1年時は「四つ目垣」、いわゆる「透かし垣」の作り方を
マスタ-しました。
今回は露天風呂等で「遮(しゃ)へい垣」=(目隠し)
としてよく目にする「建仁寺垣」の制作方法を学びまし
た。この写真は、目隠しとなる「立子」を隙間なく
「しゅろ縄」で「かきつけていく方法」を教えてもらっ
ているところです。
ここから更に、「とっくり結び」・「飾りイボ結び」
等の難しい「結び」を習いました。
「蹲踞(つくばい)」は千利休が完成させた「茶の
湯」に付随する露地(茶)庭の重要な構成要素です。
庭を歩き、「手水鉢」の水で手や口を漱ぎ、心身を清
めてから茶の湯を愉しみます。
施工にあたっては、前石に屈んだ(はいつくばって
=蹲踞:そんきょ)姿勢で使いやすいように、4つの
役石の高さや向き等にこだわり施工していきます。
「夜や冬の茶会」に迎えるお客さんのことを思い、
手元・足元に灯りをともし、冷たい水を温めるお湯を
準備しておきます。「もてなしの優しい心遣い」が、
この「つくばい」に表れています。
つくばい・延べ段 施工
湯桶石
手水鉢
1年生:
札幌(6月)で行われる「ガーデニング甲子園」に出展する
「洋風庭園」の構想を各自が練っています。
2年生:
3年で制作する「坪庭」の設計図をCAD(コンピューターで)
で制作中。また卒業記念庭園の図面制作も進めています。
3年生:
3月1日の卒業式を持って、本校を巣立っていきます。
今後の情報をお楽しみに!
手燭石
前石
延べ段
(環境造園科)
1年生 四つ目垣実習
2年生 建仁寺垣実習
“環境造園科”一職員のひとりごと・・・
その2
12月
臥龍(がりょう)の庭を上から
鑑賞する。下からの眺めと違い、
又ひと味違う風情がある。苔む
した灯籠・流れのせせらぎ・石
の配置。天を駆け上る龍を水
と石で表したものであるが、上
から視るとかけらもない。一度
視る価値があると思います。
八瀬
瑠璃光院
(環境造園科)
農業高校食彩フェア IN アリオ札幌
工具の使い方・組み立て方を教えてあげました。
10月20日に1年生が、23日には2年生が森林科学科の先
生方の協力を得て、月形の演習林で「森林体験学習」を行っ
てきました。この森は、林業を学ぶ場として普段は森林科の
生徒さん達が汗を流して実習を行っている場所です。私達造
園科の前身はこの森林科。つまり、樹木の勉強は共通してい
るのです。但し、森林科が太く・真っ直ぐの樹を育てる事を
目的としているのに対して、私達は自然の姿の美しさを活か
す(剪定)事を目的としている点が異なります・・・
今回は周回林道を散策しながら森林科:佐野・持田先生か
ら「伐倒の実演」、「森の話」を詳しく聞き、更に「葉っぱ
による樹木同定」の方法を教えて頂きました。今後の勉強に
大いに活用出来そうです!!本当に有り難うございました。
インターンシップ体験
夏の3級技能士試験の練習で使用し
た「晒(さらし)竹。」これをただ廃
棄していては「環境造園科」の名がす
たる・・・そこで生まれたのが「和風
イス。」
腰掛け部分に竹を使用した事で、落
ち着いた雰囲気に、座り心地も一味
違ったものになりました。これを「イ
ンパクトドライバー」を使って、自分
で作り上げてもらう。そんなコーナー
を造園科2年生の小松さんと中谷さん
が運営したのです。小学校1年生の子
から70過ぎのおばさんまで15名近
くのお客さんが、自分のイスを作りあ
げて、笑顔で帰って行かれました。
森林体験学習
伐倒(間伐)を実演してもらう
2年生39名が28の企業
さんの協力を得て、3日間の
職場体験実習に行ってきまし
た。
普段の生活を離れ、働く意
義や対人関係の大切さ、高校
卒業後の進路等について考え
を深めてきたようです。
採集した「葉」から樹木を同定
積極的に入浴介助も体験した生徒も
1年生全員が合格をめざし奮闘中!
2年生が11月3日(月)より京都・大阪・神戸方面への見学旅行へ出発します。
3日目の学科別研修では、東福寺・竜安寺・天龍寺・京都御所・二条城等と古の時代を代表する庭園を見学
してきます。これまでの学習が身についてきていると、観る視点がいっぱいある楽しい時間となるはずです。
(環境造園科)
技能検定試験風景
本校での練習風景
8月
“環境造園科“一職員のひとりごと・・・・
八瀬
瑠璃光院;時間の許す限り、池の横にある茶室の縁に座り何時間観ていても飽きのこない空間(風
景)
。庭師が手塩にかけて造り上げた空間・・・・
至福の一時です。
八瀬 瑠璃光院
臥龍(がりょう)の庭
天にかけのぼる龍を水と石で表した池泉庭園。
眺める人の心を解放し、昇運の兆しをもたらします。
大徳寺
瑞峯院
閑眠庭(かんみんてい)
キリシタン灯籠を背にして観ると、7個の石組みが十字
架を形造っている。
重森三玲作
1961年(開祖で
ある徹岫宗九の400年遠忌に作庭)
3級造園技能検定
【国家資格】
(2014年
○四つ目垣の施工
環境造園科2年)
○完成間近の風景
環境造園科は、常にこのような空間を未来栄悟記憶に残る庭園・都市緑地空間を設計・施工できる人材
育成のため、必要な資格にチャレンジし、必要な知識を身につけるため日々勉学に励んでいます。
窓部分やラティスフェンス部分
をアイビーで囲む予定。
屋根部分はフェンス
を改良して作った。
「窓のあるフェンス」」
ここから公園の噴水
を「借景」として取り
入れることを考えた。
ラティスフェンスは「青
空」に映える「白」
(ヴィクトリアホワイト)
に塗装。
ナツツバキ
フェンスやウッドデッキ部
分は2×4材を使用。
木の棒を設置。こ
こにも花等をぶら
下げる予定。
様々な花材を使った
ハンギングバスケット(半
球、半円)で立体的
に花を飾った。
校内で伐採された
赤松をくり抜いて
花を飾った。
川嶋先生が作ってく
れた花台。凸凹の
リズムも面白い。
波や雲をイメージさせ
るフェンスを設置。
枕木で敷地に高さ
を持たせた。
通路横を「ごろた石」を敷く。
自然な雰囲気で石を積み
あげた。
丸太を連結させて通路を
つくった。転がらないよう
に固定した。
底面保護にシートを
敷いた。ここに配置の
ラインを描いた。
使用した花材の多くは、岩農・生活科学科のみなさんが種から育てたものです。
これを5月始めに分けてもらい、鉢上げ、寄植え・ハンギングづくり等をして、管理をしてきました。
約20年前から花フェスタ札幌に「花ディスプレイ」という形で庭を出展しています。1年生の「造園計画」(授業)で西洋
庭園の構想を練り、2年生でそれを設計図面に描く。そして花フェスタでそれを創り上げる授業を展開しています。
今年39名の作品から選ばれたのは、「窓のあるフェンス」のアイディアが面白かった松本さんの作品。そしてウッ
ドデッキにテーブルやイスを配置して「くつろぎ空間」を設けた松井さんの作品を融合させ(放課後実習を通して)、
庭を完成させました。 明後日の土曜日の審査では、2人が代表として庭のプレゼンを行う予定です。
(環境造園科)
御礼
測量
3級技能士作庭