誰でも出来る映像作成

映像制作“自分化”マニュアル
誰でも出来る映像作成
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1.企画
映像製作を行うためには、まず、何をどんな映像にするか決める必要がありま
す。ドキュメンタリーなのか、映画なのか、実写なのか、それ以外なのかという
ことを、自分の表現したいものに何が最も適しているのかをよく見当して決めま
しょう。
2.シナリオ
映像の方向性が決まったら、シナリオを作成しましょう。目的のない映像の寄
せ集めは、やはりどこかまとまりがありません。何を作りたいのかテーマを決め、
表現し伝えたいのかを明確にしておくことが大切です。その表現したいものを念
頭においておくことによって、それぞれのシーンに、どのような効果や演出が必
要かも考えやすくなるはずです。
●シナリオ作成のヒント
最初から、自分の作りたいものが明確に決まっている人は良いですが、テーマ
と意欲だけがあって、シナリオは考えていない人もいるでしょう。そんな人は、
いきなり「シナリオを作れ」と言われても、困惑してしまうのではないでしょう
か。ここでは、そんな際のヒントを紹介します。
・ストーリー作品
シナリオを作成する上で重要なのが登場人物です。まず主人公を設定し、性格
や趣味、生い立ちなどの細かいところまで決めておきましょう。実際には物語に
関わってこない設定でも、それらを決めておくことで、主人公の人間性を把握す
ることが出来、様々な状況下での身の振らせ方を想像しやすくなります。その他
にも、周囲を取り巻く人間や環境を設定しておくことが必要です。そして、それ
らと主人公の関係性を考えておくと、違和感のないスムーズなストーリーを作る
ことが出来ます。そこから、主人公と何についての話を描くのかを決め、その関
係性から動きを考えていきます。最初は上手く動かず、余り面白みのないものに
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なってしまうかも知れませんが、慣れていくうちに面白い抑揚の付け方も身に付
いてきます。こういったことは経験ですから、諦めず何度もチャレンジすること
が大切です。
・ドキュメンタリー作品
ドキュメンタリーに必要なのは、まず取材です。ドキュメンタリーは事実を伝
えることが基本ですから、取り上げる分野について、しっかりと情報を収集しま
しょう。その上で、解りやすくまとめることが重要です。どんなに情報が詰まっ
ていても、解り難ければ伝わりません。様々な情報を得たために、どれもこれも
人に教えたくなってしまう気持ちはわかりますが、出来るだけポイントを絞って
ください。一点について他方向から見た表現をしたほうが内容も濃く感じますし、
見ている側にはまとまっていて解りやすいものになります。シナリオの構成とし
ては、論文のような形式で作っていくといいかもしれません。
ただし、ここでひとつポイントがあります。それは「人間の感情」です。確かに、
ドキュメンタリーは事実を伝えるものであり、間違いのない情報をきちんと伝え
ることは大切ですが、それだけでは面白みがありません。ここで、なぜこれを映
像にしたいのかを考えてみてください。事実を伝えるだけならば、文章でまかな
うことが出来ますが、ここにあえて映像をつけたいのは、何かしら視覚的な情報
で与えたいものがあるからでしょう。そして、その視覚情報を受け取る側は、そ
れを見て“悲しみ”や“怒り”“楽しさ”など、何かしらの感情を持ちます。それ
を意識して映像を補足として利用していくと、身のある面白いドキュメンタリー
になるでしょう。
3.絵コンテ
シナリオが完成したら、絵コンテを切りましょう。絵コンテとは、シナリオを
元に登場人物の動きやカメラの位置などを、カットごとに絵で示したもののこと
です。
絵コンテを切るのには次の3つの目的があります。
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1.映像的なアイデアをまとめるため
2.スタッフや役者に考えを具体的に伝えるため
3.編集の設計図として
この3点を押さえられていれば、例えどんなに
簡単な棒人間の絵でも構わないので、面倒くさ
がらずにきちんと行いましょう。
絵コンテは、紙に2コマのボックスを作り、
縦につなげて描いていきます。左に絵を描き、
右にセリフや状態などを記入していきます。い
つ新しいアイデアが出るとも分かりませんので、
なるべく修正のきく鉛筆などで記入することを
お薦めします。短いシーンなどは、後から出た
アイデアで挿入する場所が変わってしまうとい
うこともあります。その時、短いシーンだから
といって他のコンテとつなげて描いてしまうと、コンテ上での移動がききません。
シーンごとにページを替えていくと良いでしょう。
描き上がったらコピーをとっておいてください。鉛筆線は擦ったりすると汚れ
たり消えたりしてしまいます。多く人の手に触れる可能性のあるものですから、
コピーしたものを本稿として使用するのが無難です。
●キャスティングとロケ設定
またこの時点で、キャストや撮影場所なども見当しておいてください。どんな
にイメージが固まっていても、それをこなせる役者や、イメージにあう場所がな
ければ、映像は出来上がりません。そして、念のため使えそうな場所を下調べし
ておくことが必要です。イメージにあうからといって、その場所が撮影に適して
いるかは分かりません。人通りが多すぎて使えなかったり、背景に不必要なもの
が映りこんでしまう可能性もあります。それらの情報に応じて、修正・変更を行
ってください。頑なにイメージを守ることも大事ですが、周囲全てが協力してく
れるというわけではありませんから、妥協をしていくことも大切です。
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4.撮影
絵コンテが完成しらた、ようやく撮影に入ります。ここで用意するのがカメラ・
三脚・レフ板です。レフ板とは、光を反射させて被写体を明るくする道具です。
カメラ映りが良くなるので、影を重視したようなシーンでない限り使用すること
をお薦めします。
●レフ板の作り方
材料
・大きめの厚紙、または段ボールなど
・アルミホイル
・セロテープ
厚紙や段ボールを用意できない人は A3 のスケッチブックを使用しても良いかも
しれません。
紙に、アルミホイルの裏(くすんだ面)を表にして全面に張り付ければ出来上が
りです。出来れば、アルミホイルの表(光った面)を表にして全面に張り付けた
レフ板も作っておくといいかもしれません。光の強い場所では、あまりしっかり
光を反射してしまうと被写体が明るくなりすぎて、白く映ってしまう事がありま
す。その場の状況に応じて、どちらのレフ板を使うか、またはレフ板は使用しな
いのかを決めましょう。
また、白い紙でもレフ板と同じ効果が得られますが、反射する光量が弱いので、
出来るだけ作っておくことをお薦めします。
●カメラの準備
家庭用カメラには様々なメーカーがありますが、性能にそれほどの差違はあり
ません。パソコンにつなげられるものなら、どこのカメラでも大丈夫です。もし、
選ぶ基準で迷うようでしたら、一番自分の手になじむサイズのものにすることを
お薦めします。
初めてビデオカメラを使う人は、最初によくカメラ付属の説明書で注意書きを
読んでおくことが必要です。カメラは精密機械ですので、よく分からずに乱雑に
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扱うと壊してしまいます。必要最低限の注意書きは、説明書の最初に書いてあり
ますので、きちんとチェックしてください。
カメラを用意したらバッテリーを取り付けます。きちんと充電されているかも
チェックしてください。撮影の際は、アングルの関係などで、充電コードをつな
げたまま作業するのが困難な場合もあります。屋外での撮影も考えられますので、
しっかりと充電しておかないと、撮影中にカメラが動かなくなってしまっては意
味がありません。
充電を済ませたら、電源を入れましょう。電源には、画像調整などをオートで行
ってくれる撮影モードと手動で調整を行う撮影モード、撮影した映像を再生する
モードがあります。まず行うのは撮影ですから、使用するのは撮影モードです。
シーンにあわせておこなう画像調整は重要ですので、手動で画像調整の行えるモ
ードを使用してください。
また、メモリーカード対応のカメラには、どこかに、データをメモリーカード
に保存するのか、テープに保存するのかを切り替える、モード選択スイッチがつ
いています。これを、テープに保存するモードに切り替えておいてください。
次にテープをセットします。テープの挿入口は電動式になっているため、とて
もデリケートです。手動の外蓋を開けると、カセットホルダーが自動でゆっくり
とせり上がってきます。動きが止まるまで待ってください。決して無理やり引っ
張りだしたり、途中で押し込めたりしないで下さい。テープをセットしたら、ホ
ルダーに「ココを押してください」などの指示が書いてありますので、必ず指示
の場所を押して閉めてください。カチッと音が鳴り、また自動的にホルダーが下
がっていきます。動きが止まったのを確認したら、外蓋を閉めましょう。
次に三脚を用意します。映像が揺れたり不安定だと、見づらいだけでなく、見
ている人間に不快感を抱かせてしまいます。撮影はカメラを三脚で安定させて行
いましょう。
・手ブレ対策
シーンによっては、三脚付きでは撮ることが不可能な場合もあるはずです。そ
の場合には手持ちで撮影します。ただし、手ブレには充分注意する必要がありま
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す。脇を締めて腕を体に引き寄せ、利き手でカメラを持ち、もう一方の手で補助
して、出来る限りがっちり固定してください。足は肩幅に開き、ふらつかないよ
うにしましょう。
三脚に固定したらカメラのキャップを外し、ファインダーを後ろに引き出します。
そうすることで、初めてカメラに画像が表示されます。サイドにある液晶画面を
開いても画像は表示されますが、電池の消耗が激しいため、撮影時はあまり使用
しないようにしましょう。
●画像調整
これで、撮影のために必要な最低限の下準備は整いました。このまま、「撮影」
ボタンを押せば撮影は開始されます。しかし、その前にここで行わなければなら
ないのが、撮影場所に適した画像調整です。設定をオートにしておくと、カメラ
が自動的に調整してくれますが、この機能は万全ではありません。自分でしっか
り設定してください。
・露出補正
露出補正とは、逆光や明るさなどを設定する機能です。例えば屋外での撮影で
は、否応なしに光源が太陽の方向になります。通常、撮影は光原がカメラと同じ
向きになるように設定しますが、ロケ地の関係で太陽が役者の真後ろ、つまりカ
メラの正面に来てしまったらどうでしょうか。太陽を見やすくするために明るさ
を自動調節してしまったら、光が当たらず影になっている役者の顔は真っ黒にな
ってしまいます。また、たとえば屋内での撮影であっても、日中はやはり窓から
差し込む太陽の光の方が電気灯よりも明るく、カメラはそちらの光量に合わせて
明るさを変えてしまいますので、室内が暗くなってしまいます。
それでは、どんな素晴しい演技や演出をしても意味がありません。もちろん、こ
ういった現象を効果的に使うことで、雰囲気のある演出をしている映像監督もい
ますが、素人にはなかなか難しい技術です。ですから、これらの設定を調節する
必要があります。
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このとき利用するのが「逆光補正」または「明るさ」です。
「逆光補正」を使うと、カメラがバランスを調節し、影になってしまった被写体
を明るく撮影することが出来ます。しかし、この機能は細かい設定が出来ないの
で、満足のいく明るさにならなかったり、被写体が明るくなりすぎたりする場合
もあります。その場合は「明るさ」を使用しましょう。明るい映像から暗い映像
まで何段階かに手動で設定できるので、自分の好みにあわせて替える事が出来ま
す。これらは、どのカメラにも付いている機能ですので、説明書でボタンの場所
と使用方法を確認してみましょう。
また、故意に逆光の映像を撮影する場合ですが、これは上記でも述べたとおりな
かなか難しい技術です。逆光のまま、被写体の表情も見えるように撮影するには、
正面から証明を当てるか、レフ板を使って明るくする必要がありますが、その使
い方によっては違和感のある画になってしまいます。これは技術と感性でカバー
していくしかないので、各自何度も試行錯誤を繰り返して貰うしかありません。
最初はあまり無理して使用しない方が無難です。
・フォーカス
フォーカスとはピントのことです。折角撮影しても、映像がピンぼけしていて
見づらかったり、最悪使えないということになると取り直しをしなければなりま
せん。撮影する際にきちんと修正しましょう。
フォーカスの調整は以下のような場面で特に重要になります。
・平らな壁や青空など、コントラストのほとんどない被写体を撮影するとき
・金網などの障害物がカメラと被写体の間にあるとき
・細かい模様や同じ模様が規則正しく並んでいる被写体を撮るとき
・蛍光灯などのちらつきのある光源の下で撮影するとき
・被写体にスポットライトがあたっているとき
・被写体が画面の端にいるとき
・ホワイトバランス
カメラは、撮影環境や光源などによって、画面全体が青っぽくなったり赤っぽ
くなったりすることがあります。私たち人間の目は、白ならばどのような状況下
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においても「白だ」と思っているので白く見えますが、カメラには、これが「白」
という基準がないためにこのようなことが起こります。これを修正するのがホワ
イトバランスです。これはカメラに基準の白をインプットする機能です。撮影現
場に着いたら、被写体と同じ光が当たっている白い紙を画面全体に表示させ、ホ
ワイトバランスを決定するボタンを押して、白を記憶させましょう。これを各場
所ごとに行ってください。出来れば毎回、同じ紙を使用しましょう。
●撮影
画像調整が完了したら撮影です。役者や小道具など、必要なものをセッティン
グし、カメラをスタンバイしたら「撮影」ボタンを押し、撮影を開始してくださ
い。
ただし、ここで注意することがあります。映像の初めと終わりに、必ず余裕を作
りましょう。あまりにも内容きっちりに始めと終わりを撮影してしまうと、映像
をパソコンに取り込んで編集するときに、つながりが不自然になってしまったり、
唐突すぎて違和感が出てしまったり、最悪、演技やセリフが切れてしまう事もあ
ります。ですから、「撮影」ボタンを押したからといって急がず、少し間を取りま
しょう。演技もいきなりセリフから入るよりは前動作から始めた方が安全ですし、
繋げやすくなるはずです。不要な映像の削除は編集時に幾らでも可能ですので、
多めに余分を作っておいてください。
さて、こうして撮影を重ねていくと、撮るごとに「本当にこれでいいのだろう
か?」とついつい中身を確認したくなってしまうものです。しかし、巻き戻しや
早送りはテープを劣化させてしまい、映像が汚くなってしまいます。そして、も
しも必要だったシーンを消してしまうようなことになっては大変です。撮影中は
出来る限り中身の確認はしない方が好ましいです。内容に不安があるのなら、何
回か同じシーンを撮っておくと良いでしょう。
また、どうしても中身を確認する際は、無記録部分を作らないように気を付けま
しょう。無記録部分とはテープに何も記録されていない青画面が表示される部分
のことです。撮影した映像にはタイムコードが記録されます。タイムコードは、
撮影中に一コマ一コマに記録される数字で、動画の撮影・再生・編集の際に映像
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の位置を確かめる目安になります。無記録部分を作ってしまうと、カウントが再
び 00:00:00 に戻ってしまうため、タイムコードが重複になってしまい、誤作動の
原因になってしまいます。中身を確認した後の撮影は、前の映像の最後に被せる
ように撮るか、もしくは一度テープ一本を埋める形で適当に映像を入れておき、
上から重ね撮りするようにしましょう。
●撮影時の注意点
上記以外にも、撮影時に特に注意すべき点をいくつか挙げておきましょう。
・カメラのエフェクト機能は使わない
エフェクトとは特殊効果の事です。カメラには、「フェードイン」や「フェード
アウト」など、場面転換用のエフェクトをお好みで付けられる機能があります。
しかし、これらの機能を使用してしまうと、いざパソコン上で編集しようと思っ
たとき、「やはりない方がいい」と思っても取り外しがきかず不便です。エフェク
トは編集ソフトで付けることが出来ますので、カメラのエフェクトは使用しない
ようにしましょう。
・ズームの使用
ズームには「光学ズーム」と「デジタルズーム」の2種類が存在します。
「光学ズーム」とは、一眼レフなどのフィルム式カメラと同じで、レンズを動か
して焦点距離を変えることで画像を拡大します。実際に拡大した画像を記録する
事になるので、画質が劣化せず、綺麗な画像を撮ることが出来ます。
一方「デジタルズーム」は、レンズで映す画像の大きさは変わりません。映った
小さな画像の一部を電子的な処理で大きくして、拡大したように見せるものです。
そのため、画像は大きくすればするほど劣化し、荒い画像になっていきます。
私たちが使う家庭用カメラは、メーカーによって多少の違いはありますが、光学
ズームとデジタルズームを併用する形になっています。初めは光学ズームで拡大
しますが、途中からデジタルズームに切り替わります。ですから、ズームの多様
はあまりお薦めしません。シナリオ上どうしても必要な場合以外は不用意に使わ
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ない方が良いでしょう。最初から設定を変更して、デジタルズームを使えないよ
うにしておいたほうがいいです。
・撮影が終わったら
カメラを準備したときと逆の手順でカメラを片づけます。ファインダーをしま
い、レンズキャップをしたら電源を切ります。テープは分からなくならないよう、
きちんと取り出してケースに入れ、ラベルなどに内容を記入して管理してくださ
い。バッテリーを外したら、カメラを専用のカメラバッグに入れましょう。
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5.編集
●接続
撮影した映像を編集するには、映像を素材としてパソコンに取り込む必要があ
ります。この取り込み作業を「キャプチャリング」といいます。キャプチャリン
グを行うためには、パソコンとカメラをつなぐコードとキャプチャリングを行う
ソフトが必要になります。コードはカメラとは別売りですので、「IEEE1394(ア
イトリプルイー)」というコードを各自購入してください。この「IEEE1394」は
デジタルカメラやビデオなどのデジタル機器とパソコンの接続によく使われるも
ので「i.Link(アイリンク)」や「FireWire(ファイヤーワイヤー)」とも呼ばれ
ます。
次にキャプチャリングを行うソフトですが、フリーダウンロードの簡単なもので
ない限り、大抵は編集ソフトにキャプチャリング機能がついています。代表的な
編集ソフトとして挙げられるのが「Adobe Premiere」と「Windows ムービーメ
ーカー」です。Premiere は映像編集ソフトの定番として、アマチュアからプロま
で広く使われているソフトです。様々な機能があり便利ですが、その分操作が多
少難しくなります。Windows ムービーメーカーは、Windows を使っている人な
らば大抵持っているはずです。機能は少ないですが扱いが簡単で、誰にでも使い
やすいソフトです。ここでは、一段階難しい Premiere を扱うことを前提に話を
進めていきます。
カメラの電源を「切」にした状態で、DV 端子に IEEE をつなぎます。パソコ
ンとつないだら電源を入れましょう。撮影した内容を呼び出したい訳ですから、
「再生」モードにしてください。パソコンがカメラの接続を感知し、画面に動作
選択が表示されます。後の動作はそれぞれ使用するソフトで行いますので、ひと
まずは「何もしない」を選択してください。
後はこの時点で、(D)ドライブに映像製作用のフォルダを作成し、その中に、素材・
プロジェクト・音声など小分けのフォルダを作っておいてください。キャプチャ
素材や編集プロジェクトなどは、すべてここにまとめて保存します。
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●編集
・Adobe Premiere で編集
まず「新規プロジェクト」を開きます。「使用可能なプリセット」の DV-NTSC
から「Standard 48k Hz」を選択します。保存場所は、作ったプロジェクト用フ
ォルダを指定し
ましょう。名前
は分からなくな
らないよう、覚
えやすいものを
付け、こまめに
上書き保存して
く だ さ い 。
「 OK 」 を 押 す
と、メインウイ
ンドウが開きま
す。
・キャプチャリング
メニューバーの「ファイ
ル」から「キャプチャ」を
選択するとキャプチャウィ
ンドウが表示されます。
「設定」の「キャプチャフ
ァイルの保存先」で、映像
の保存先を、作っておいた
素材フォルダに指定してく
ださい。
「デバイスコントロール」
でデバイスを「DV デバイ
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スコンロトール」にするとビデオの操作をキャプチャ画面上のモニタ下にある「デ
バイスコントロール」ボタンで行うことが出来るようになります。
モニタで内容を確認しつつ取り込みたい位置まで映像を送
り、一時停止します。その位置からで OK ならば「ログ」
の「タイムコード」内にある「インを設定(インポイントを
設定)」ボタンを押し、取り込み開始位置を決めてください。
このとき、撮影時に作った余裕分も切ってしまわず、ある
程度残して取り込んでください。撮影のときにも注意しま
したが、もし必要な部分が切れてしまっては困ります。余
裕分の削除は編集画面で行えばすむので、前後ともきちん
と余裕を持たせましょう。
次は、取り込み終了位置を決めます。先ほどのイン点から
一 本 の 素 材 と し て 使 い た い 位 置 ま で 送 り 、「 ア ウ ト を 設 定
(ア ウ ト ポ イ ン ト を 設 定)」 ボ タ ン を 押 し た ら 、 一 度 映 像 を
停止します。「キャプチャ」内の「イン/アウト」ボタンを押すと、設定したイン
点からアウト点までを保存するボックスが表示されますので、ファイル名を決め
て「OK」を押してください。
指定先フォルダに保存されると同時に、「プロジェクト」ボックスに素材が投げ込
まれます。また、「プロジェクト」ボックス内からさ削除した素材をもう一度呼び
出したい場合は、「ファイル」から「読み込み」を選択すると、素材の入ったフォ
ルダを呼び出すことが出来ます。この場合は、使用したい素材を選択して「開く」
を押すか、ダブルクリックで、「プロジェクト」ボックスに素材が投げ込まれます。
・タイムライン
タイムラインには「ビデオ」と「オーディオ」があります。「ビデオ」が映像用、
「オーディオ」が音声用です。始めは各自3個ずつ用意されていますが、これは
増やすことも可能です。「ビデオ」は、上に置いたものが前に表示されるようにな
っているので、配置の順番で、効果的に映像を重ねることが出来ます。かといっ
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て好き勝手ばらばらに配置
していくと、編集がやりに
くくなってしまうので、基
本は「ビデオ1」を使用す
ると良いでしょう。
「プロジェクト」ボックス
にある、使いたい素材の名
前のあたりをつかみ、タイムラン上に持っていきます。素材には、映像と音声が
ありますので、ラインは「ビデオ」と「オーディオ」にひとつずつ表示されます。
これを順番に並べていくことによって、映像を繋げていきます。
●調整
映像の完成度を高めるには様々な調整が必要になります。ここがデジタル編集
の要となる部分です。
・トリミング
タイムライン上に配置した素材は、トリミングすることが出来ます。トリミン
グとは不要な部分を切り落とす作業のことです。キャプチャリングの際に多めに
とっておいた前後の余裕部分で、必要のないところを切っていきましょう。
カーソルを素材の両端に持っていくと、矢印のついた赤いカッコのアイコンが表
示されます。その表示の出ている状態で素材端をつかみ、内側に縮めると、縮め
られた部分は再生時に表示されなくなります。状態を確認するには、タイムライ
ン上にある赤い縦線(時間インジケータ)を動かして位置を合わせ、モニターの
下部にある再生ボタン押して再生してみてください。もし、多く切りすぎてしま
った場合も、外側に向かって伸ばせば元に戻るので、何度でもやり直しが出来ま
す。繋がりが不自然にならないよううまく調節しましょう。
・リップル削除
いくつかの素材を並べてからトリミングをすると、それぞれの間に隙間が出来
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てしまいます。その場合は、隙間にカーソルを合わせて右クリッ
クしましょう。「リップルを削除」という表示が表れますので、こ
れを選択し決定してください。素材が移動し、隙間がなくなりま
す。
・速度調整
素材の速度は自由に調整することが出来ます。スロ
ーや早送りなどの効果として使用することが出来ます
し、また、繋げてみたら前のシーンと動きの速度が違
ってしまっていた、などの不具合の調整にも有効です。
タイムライン上の、速度を変えたい素材を右クリック
するとメニューが表示されます。その中から「速度・
デュレーション」を選択し、調節画面を表示させます。
「速度」の数字を小さくすると遅く、大きくすると早
く な り ま す 。 ま た 最 初 の 設 定 で は 、「 デ ュ レ ー シ ョ ン
(クリップの再生時間)」と「速度」はリンクするようになっているので、デュレ
ーションの数値を増やしたり減らしたりしても同じ効果が得られます。
ただし、速度を変えると音声の速度も変わるため、スローにすれば低く、早送り
にすれば高くなります。セリフなどを、ビデオ音声そのまま使う場合は、「オーデ
ィオのピッチを維持」にチェックするという方法があります。しかしこれには、
速度を早くした場合に再生時間が短くなり、音声が切れてしまうという問題があ
ります。出来れば最初から映像と音声のリンクを解除して、映像への速度調整が
音声に繁栄されないようにしておくと良いでしょう。映像と音声のリンクを解除
するには、素材を右クリックし、「オーディオとビデオのリンク解除」を選択して
ください。
・リバース
リバースは逆再生です。こちらも、速度調整のときと
同様「速度・デュレーション」メニューを使用します。
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調節画面が表示されたら、「リバース」のチェックボックスにチェックして「OK」
すれば完了です。再生して確認してみましょう。
●エフェクト
映像を効果的に演出するために重要なのが「エフェクト(特殊効果)」です。
「プロジェクト」ボックス内のプロジェクト名の横にある「エフェクト」を押し
ます。もしボックス内に表示がなければ、「ウインドウ」から「エフェクト」を選
択し、表示させてください。
エフェクトには「オーディオエフェクト」「オーディオトランジション」「ビデオ
エフェクト」「ビデオトランジション」の4つがあります。映像の効果には「ビデ
オエフェクト」と「ビデオトランジション」を使用します。
・ビデオエフェクト
「ビデオエフェクト」は映像
素材そのものに変更をかける機
能です。色調やコントラストな
どの画質を変更したり、モザイ
クやノイズなどの特殊効果をか
けることが出来ます。使用した
いエフェクトをつかみ、タイム
ライン上の効果をかけたい素材
に重ねると、「モニタ」ウインド
ウに「エフェクトコントロール」
が表示されます。エフェクト名
の横にある矢印をクリックしてエフェクトのプロパティを表示させ、モニタで状
態を確認しながら細かい数値を設定していきましょう。
エフェクトの中には「アンカーポイント」を使用するものがあります。素材全体
にひとつのエフェクトをかけるのではなく、素材の中のどこからどこまでに、ど
のくらいのエフェクトをどうやってかけるのかを指定することが出来ます。例え
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ば、不透明度を、最初は黒画面からだんだんと鮮明にしていき、まただんだんと
黒画面に戻していくことなども出来ます。エフェクトのプロパティを開き、エフ
ェクトを開始したい時点でアンカーを付け、不透明を上げることで黒画面が表示
されるようにします。次に、最も鮮明にしたい時点でアンカーを付け、不透明度
を下げます。さらに黒画面に戻したい時点にアンカーを付けて、不透明度を上げ
れば出来上がりです。
・ビデオトランジション
「ビデオトランジション」は映像と映像の間に効果をつける機能です。前の映
像をフェードアウト、後ろの映像をフェードインさせて、二枚の映像を交差させ
る「クロスディゾルブ」など、映像制作には欠かせない効果をかけることが出来
ます。これも、エフェクト同
様、使いたい効果をつかんで
タイムライン上の素材に重ね
ます。ただし、エフェクトと
は異なり、重ねる場所は素材
と素材の間です。ただ素材の
上に持っていっても何の反応
もありません。トランジショ
ンを配置すると、二枚の素材
の間に紫色のバーが表示され
ます。タイムラインの表示が密だと細すぎて見えない場合があるので、その時は、
表示エリアバーを縮めて、タイムラインの表示を大きくしてみてください。
表示されたバーをそのまま左右に引き伸ばすか縮めれば、効果の長さを変更する
ことが出来ます。細かく数値で指定したい場合は、バーをクリックすれば、「モニ
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タ」に「エフェクトコントロール」が表示されますので、「デュレーション」の数
値で変更してください。
※一部書き出し
エ フ ェ ク ト を 使 用 す る と 、 処 理 速 度 が 遅 い た め に 、 モ ニ タ が エ フ ェ ク ト のかか
っ た 映 像 を う ま く 表 示 し な い 場 合 が あ り ま す 。 そ の 場 合 、 エ フ ェ ク ト の かかり
具 合 を 確 認 す る に は 、 書 き 出 し て 見 る の が 一 番 で す 。 で す が 、 い ち い ち 全体を
書 き 出 し て い た ら 時 間 が か か っ て 仕 方 が あ り ま せ ん 。 こ の 場 合 に は 一 部 書き出
し を 行 い ま す 。 タ イ ム ラ イ ン 上 部 に あ る ワ ー ク エ リ ア バ ー を 書 き 出 し た い部分
だ け に 縮 め 、「 フ ァ イ ル 」 の 「 書 き 出 し 」 か ら 「 ム ー ビ ー 」 を 選 択 し 、「 設 定 」
で 、 範 囲 を 「 ワ ー ク エ リ ア バ ー 」 に し て 保 存 し ま す 。 保 存 先 に 、 指 定 し た部分
の 映 像 だ け が 書 き 出 さ れ て い ま す の で 、 再 生 し て 、 エ フ ェ ク ト の 状 態 を 確認し
てみましょう。
●その他の画像調整
また、画像の調整を行う場合、動画の場合は Premiere で調整するほかありませ
んが、静止画の場合ならば、Premiere よりも写真編集ソフトの Photoshop の方
が、細かい変化をつけられて便利です。
静止画として保存したい位置に時間インジケータを合わせ、「ファイル」の「書き
出し」から「フレーム」を選択します。これで保存すると、指定した部分が BMP
(ビットマップフォント)で保存されます。これを Photoshop で開けば、様々な
調整を行うことが出来ます。
・Adobe Photoshop を使う
Adobe Photoshop は主に写真などを加工するソフトです。機能が多く、画像の
調整にとても長けています。
※ペンタブレット
Photoshop の機能を上手く使いこなす上で、あるととても便利なのがペンタブ
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レットです。ペンタブレットはペンの形をしたマウスで、筆圧感知機能がある
ため、力加減で微妙な調整を施すことも出来ます。
ペンタブレットを購入すると、ペンタブレットを使用するためのソフトが付い
てきますので、説明に従ってインストールしてください。その後、スタートメ
ニ ュ ー を 開 く と 、「 す べ て の プ ロ グ ラ ム 」 の 中 に 、 新 し い 機 能 と し て ペ ン タ ブ
レットが追加されています。それを開き、自分の使いやすいように設定を変更
し ま す 。「 タ ブ レ ッ ト モ ー ド 」 を 「 ペ ン タ ブ レ ッ ト 」 に し 、 ペ ン 先 の 硬 さ 、 ダ
ブルクリックの距離などを設定します。これは、使っていく内にだんだんと自
分の使いやすいものを研究していけばいいので、分からない場合は中間にして
おきましょう。
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●Adobe Photoshop での画像調整
まず、「ファイル」の「開く」で、先ほど保存した静止画を呼び出します。画像
の右上のボックスで画像を最大化表示にしておくと作業がしやすいです。
行った作業は、「ウインドウ」の「ヒストリーを表示」で表示されます。失敗した
場合は、消したい作業工程の一つ上の作業を押せば、その下で作業したものは消
えます。ですが、ヒストリーにも戻れる限界があるので注意してください。
Photoshop での画像調整で、よく使うものの一つが「イメージ」メニュー内にあ
る「色調補正」です。
・レベル補正
「入力レベル」に数値を設定するか、もしく
はグラフ下の矢印を移動させることによって、
明るさとコントラストを設定することが出来ま
す。左側の黒い矢印を内側に動かせば色が鮮や
かさを失い、コントラストが低くなります。逆
に、右側の白い矢印を内側に動かせばコントラ
ストが高くなり、色が鮮やかになります。真ん中の灰色の矢印は中間色です。
また、下の「出力レベル」は画像全体の明るさを調整します。黒い矢印を内側に
移動させると明るくなり、白い矢印を移動させると暗くなります。明るさ、コン
トラスト共に「プレビュー」ボックスにチェックして、画像の変化を見ながら変
えていってください。
・色相、彩度
「色相」は、色の種類です。元の色が赤系で、も
っと他の色味にしたい場合などに有効です。矢印
を動かしていくと、画像の色が変化します。
「彩度」は色の鮮やかさです。コントラストと多
少似ていますが、彩度の場合は数値を下げると白
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黒画像になっていきます。
「明度」は「明るさ」と同様です。
また、このボックス内にある「編集」を「マスター」以外にすると、そこで指定
した色の部分にだけ変化をかけることが出来ます。例えば「レッド系」にすれば、
画像内の赤系統の色の部分にのみ変化が適用されるようになります。
・階調の反転
これを使用すると、画像の色が反転しま
す。ちょうど、写真のネガのような写り方
に見えるようになります。
・2階調化
これを使用すると、画像をコントラストの強い白黒画像に
することが出来ます。「しきい値」を設定することで、それよ
り位部分を黒に、明るい部分を白に変化させます。
※Photoshop では、エフェクト的な加工を施すことも出来ます。
「フィルタ」がそれらの効果です。基本的な「ぼかし」や「シャープ」から、画
像 を ス テ ン ド グ ラ ス の よ う に 大 ま か な 色 で 表 現 す る 「 テ ク ス チ ャ /ス テ ン ド グ ラ
ス」など、使える効果は様々です。これらは処理速度によっては、作業を完了す
るのに少々時間がかかる場合があります。動かないからといって焦って消したり
しないようにしてください。
これらの他にもツールを使用すれば、「合成」など、もう一段階高度な編集作業を
行うことが出来ます。
・画像の合成
まず、2枚の画像を用意します。下地になるものと、重ねるパーツになるもの
です。
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まず、パーツ画像の使いたい部分を切り出します。切り出しには以下の方法が挙
げられます。
選択の方法
①自動選択ツールを使用する
ツールボックスの「自動選択ツール」を使うと、選択
した部分周辺の設定値以内に入る同色部分を選択してく
れます。うまく範囲が指定されなかった場合は、一度選
択を解除し、「許容量」の数値を変更し、もう一度同じよ
う選択位置を指定してみてください。数値を大きくすれ
ば選択できる色の範囲が大きくなり、小さくすれば範囲
も小さくなります。欲しい部分が全部入るように数値を
設定していきましょう。選択を解除するには「選択範囲」
の「選択を解除」を押してください。また、色合いのた
めにどうしてもうまく選択されない場合は、「 Shift」を
押しながら選択されない部分をクリックすると、現在選択されている部分に、選
択範囲として追加されます。
また逆に、選択したい部分以外の全てを選択してしまい、「選択範囲」から「選択
範囲を反転」すれば、今まで選択していなかった部分の方が選択されるようにな
ります。
②なげなわツールを使用する
ツールボックスにある「なげなわツール」を使用します。なげなわツールは、
フリーハンドで囲んだ部分を選択してくれるツールです。ペンタブレットを使え
ば、それなりに綺麗に使いたい部分の輪郭をなぞることが出来ますので、画像の
色調が似通っているときなどは有効です。
③クイックマスクモードを使用する
クイックマスクモードを使うと、最も細かく範囲を指定できます。まず、ツー
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ルボックス下部にある「クイックマスクモードで編集」を押します。すると、ツ
ールボックスの「描画色」と「背景色」が白と黒に変わります。選択したい部分
以外を鉛筆ツールの黒で塗ります。すると、画面の塗った部分が半透明の赤色に
変わります。逆に白で塗ると、この赤い表示は消えます。この2色を使い、選択
したい部分をまんべんなく塗ってください。色は、2色のボックスの右上部にあ
る矢印を押すと入れ替わります(または消しゴムツールが右下の色になりますの
で、そちらを使っても OK です)。隙間なく塗りつぶしたら、先程設定した「ク
イックマスクモードで編集」を左横の「画像描画モード」に変更します。すると、
赤く表示されていた部分以外が選択範囲として囲まれます。
クイックマスクモードでの編集は自動選択ツールやなげなわ
ツールとの併用も出来ます。選択したい範囲が大きい場合は、
ある程度どちらかで選択してから、この機能で足し引きして
いくと簡単です。
使用したい部分を選択したら、「移動ツール」を使います。2枚の画像を呼び出し
た状態で、「ウインドウ」の「並べて表示」を押し、2枚の画像を横並びにしたら、
選択範囲をつかんだまま、隣の画像の上へと運びます。すると、下地の画像の上
に、移動した画像が表示されますので、再び移動ツールで配置したい場所に動か
してください。場所が決まったら選択範囲を解除しましょう。そのままでは違和
感がある場合は、色相・彩度や明るさなどを変えて、なるべく色調を合わせると、
浮きが少なくなります。
下地と角度が合わない場合は、回転や縮小・拡大も可能です。「選択範囲」の「再
選択」でもう一度選択範囲を表示させ、「編集」の「変形」から「拡大・縮小」を
選びます。8カ所に表示された四角のいずれかをつかみ、動かすと画像の大きさ
が変わります。縦と横の比率を変えたくない場合は、「Shift」を押しながら動か
すと、縦横比が固定されます。大きさが決まったら、画面右側上部に表示された
「○」を押すと確定されます。失敗したので元に戻したいときは「×」を押して
ください。「回転」も要領は同じです。
配置が完了したら「レイヤー」を開き、「画像を統合」を押します。これにより、
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ただ重なっていただけの2枚の画像が、1枚の絵として統合されます。これで画
像の合成が完了しました。
すべての画像修正が完了したら上書き保存しましょう。
Photoshop は、使いこなせば様々な加工が可能です。まずは色々な機能を使って
慣れていきましょう。
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●音声をつける
映像の加工が終わったら、音声をつけます。撮影時に取れた音をそのまま使う
のも手ですが、雑音が多く、使いたい声が聞き取りづらくなってしまうのが難点
です。その場合はアフレコを行います。アフレコとは、アフターレコーディング
の略です。映画やテレビの制作で、先に画面だけを撮影しておき、それに合わせ
て音声を録音することをいいます。録音は、なるべく静かな場所で行ってくださ
い。
・セリフ
ビデオカメラを役者の方に向け、中央に置きます。カメラの設定は普通に撮影
する場合と同じでかまいません。「録画」ボタンを押し、録音を開始しましょう。
全てのセリフを一本通しで録ってしまい、編集時に切って配置していくことも出
来ますが、出来れば前にパソコンを用意し、動画を流しながら、映像にタイミン
グをあわせながら録ると手間が省けます。
すべて録り終わったら、キャプチャリングをしてください。方法は映像のときと
同様です。ただし、保存の際、「ログ」の「設定」で「キャプチャ」の部分を「オ
ーディオ」にしてください。これで、音声のみの素材が出来上がります。
※映像についている音声は、タイムラインの音声素材が入っているライン(オー
ディオ1)の一番左側にあるスピーカーのマーク(トラック出力)をワンクリッ
クしてオフにしてください。マークが消えれば音は鳴らなくなります。
作った音声素材をオーディオ2に投げ込み、映像に合うように配置してください。
・効果音
動作や場面にあわせて必要な効果音を入れていきましょう。例えば、背景が道
路のシーンにもかかわらず、セリフ以外の音が無音ではまったく臨場感がありま
せん。そうした些細な音までしっかり配慮することで、かなり完成度が上がりま
す。
今回もセリフと同様、実際の音をビデオで録音していきましょう。その際、必要
のない音や、自分たちの声などが入らないよう気をつけてください。キャプチャ
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の方法はセリフの時と同様です。
また、もしどうしても自分で用意することの出来ないような音を使いたい場合は、
市販の効果音 CD を購入すると良いでしょう。一度使うために、いちいち CD を
買うのは嫌という人は、図書館で貸し出しをしている場合もありますので、探し
てみてください。
また、インターネットで効果音素材を配布しているサイトから借りてくるという
方法もあります。効果音素材は有料・無料と様々あります。使用法については、
各サイトの利用規約を参照してください。これは、あくまで借りるのであって、
貰うわけではありません。著作権も存在しますので、規約違反の無いようしっか
り読みましょう。
・BGM
BGM はシーンの雰囲気や、映像全体のイメージを決定する重要なパーツです。
もし、シリアスなシーンにアップテンポの曲が使われていたり、コミカルなシー
ンで地を這うような恐怖音が流れていたら、どう考えても違和感があります。シ
ーンの雰囲気を考え、最も適した BGM を選ぶことは重要になります。
BGM の設定で注意することは、著作権です。市販の音楽 CD には著作権が存在
します。そのため、公開を行わない自己満足の映像に使用する分には大丈夫です
が、商業利用するものや、外向けに公開する作品に無断で使用することは出来ま
せん。著作権は著作者没後 50 年間有効ですので、使用できるのはクラシック曲
ぐらいになってしまいます。クラシック以外を使いたい場合は、効果音の時と同
様、音楽素材サイトでオリジナルの曲を借りてくるという方法があります。この
場合も、利用規約をきちんと守ってください。
BGM の使用として最も理想的な形は、自作の曲を使うことです。自作ならば、
シーンにあわせて曲の長さも変えられますし、イメージと違うといったことも無
いでしょう。生で楽器演奏したものをビデオで録音して使うか、端からパソコン
用にデータ保存できるデジタル楽器を使用して録音するなど、方法は様々です。
また、音楽作成ソフトを使用して、曲を作るという方法もあります。
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●Garage Band の使い方
Garage Band は、ソフト内にある既存の音を組み合わせたり、デジタル楽器を
接続し、生の音を取り込んで音楽作成を行えるソフトです。
起動したら「ファイル」から「新規」を選択します。「新規プロジェクトウィンド
ウ」が表示されますので、保存する名前を決め、保存場所を指定し、音のコード
と調子を設定してください。「作成」を押すと作成画面に移ります。画面左下の目
のマークを押すと「ループブラウザ」が表示されます。カテゴリの中から、使い
たいものを選んでいくと、右側に既存のループ音が現れます。クリックすると、
一つ一つの曲が聴けますので、使いたいものを選び、つかんで上部のラインに持
っていきます。ライン上に表示された音は、端の下部にカーソルを合わせてつか
み、内側に向けて動かせば長さを短く切ることが出来、端の上部にカーソルをあ
わせて外側に動かせば、何度も同じメロディーをループさせることが出来ます。
また、目のマークの横にあるハサミのマークを押し、トラックエディタを開けば、
ループ音の中の音符一つ一つの配置や長さを調節することも出来ます。
いろいろな音を組み合わせていき、それぞれの音量やタイミングなどを調節する
ことで、独自の曲を作っていきましょう。
出来上がったら、「ファイル」の「保存」を押し、プロジェクトを保存してくださ
い。また、曲を Premiere に持っていって使うには書き出しが必要です。「ファイ
ル」の「i Tunes に書き出し」を選択すると i Tunes 画面が開き、出来上がった
曲が表示されます。曲そのものは、i Tunes で設定された保存場所に保存されて
いますので、分からない場合は、曲を選択した状態で「ファイル」から「情報を
見る」を選択してください。曲の情報が表示されますので、保存場所を確認して
探し出しましょう。あとは、そのデータを Premiere で呼び出して使用してくだ
さい。
●音声エフェクト
音声も、映像同様にエフェクトを掛けることが出来ます。「プロジェクト」ボック
スの「エフェクト」内にある、「オーディオエフェクト」「オーディオトランジシ
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ョン」を使用します。
・オーディオエフェクト
「オーディオエフェクト」を開くと、「5.1」「ステレオ」「モノラル」の3つが
あります。これは、エフェクトをかける音声がどのタイプかによって使い分ける
ためにあります。音声タイプに対応していないものは、素材に重ねても認知され
ません。
エフェクトのかけ方は「ビデオエフェクト」と同様です。「エフェクトコントロー
ル」ウインドウに詳細設定が表れますので、エフェクトのプロパティを開いて、
数値を設定していきましょう。
・オーディオトランジション
こちらも、使い方は「ビデオトランジション」と同様になります。「オーディオ
トランジション」内の「コンスタントパワー」と「コンスタントゲイン」は、素
材の最初か最後の部分にかかる効果ですので、フェードイン・フェードアウトさ
せるには、前の素材とあとの素材に1つずつ使う必要があります。
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●書き出し
すべての編集作業が終了したら、最後にもう一度上書き保存しましょう。
これで完成品のプロジェクトが出来上がりました。ですが、まだこれでは映像が
出来上がったわけではありません。最後に書き出しを行い、ひとつの映像として
完成させます。方法は、エフェクト確認のときに行った一部書き出しの方法を、
「ワークエリアバー」ではなく「シーケンス全体」で行うだけです。
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