<木 彫> 復元模造 製作 仕様 ( 1 )円 覚寺仁王像 阿吽形一対 ①基本情報 法 量:高さ239.2cm、幅105.59cm(推定) 所蔵者: 沖縄県立博物館・美術館(残欠) 内 容: 現存する残欠部材 のうちの当初部材 を もとに、最初の製 作時と推定され 室 町時代後期の製作当 初の状態を想定復 元する。その際、当 初部材の製作時期 と同年代で製作技術 者が同系派である 複数件の類似作例 を調査、選定し、そ れらを参考にしなが ら製作当初の状態 を想定復元する。京 仏師によって 製作 されたと推定され る当初の姿を想 ※画像イメージ: 定復元すること 参考事例・珠洲市・法住寺仁王像に円覚寺仁王像の残欠を合成 により、琉球王朝 での室町時代後期における京都との交流の証を顕在化させることを目指 す。 ②製作仕様 ・木 地材 料は 胎部はカヤ材を基本とす る が 、 調達 が 困 難 な 材 質 で ある た め 、 代替材の検討も行う。 ・接合材料 は伝統的な材料を主体とし、漆・膠を使用する。 ・金属具は伝統的な形状の枘、鎹、釘を使用する。 ③本年度業務工程 ・残欠材の型取り 残欠材(当初部材のみ)から 雌型を取り、FRPで型抜きを行う。 ※残欠材の型取り作業を行う前に、現状で脆弱な状態になっている残欠材 の木部および彩色層の強化処置及び剥落止め処置を行う。 ※当初部材 の保護 のため 全面に錫箔を貼り付け た上で 、シリコン、石膏な どで型取りを行う。 ・復元原型の参考作例の選定 復 元 原型 の 参 考 と な る 作 例の 絞 り 込 み を 行 う 。復 元 に 有 効 な 参 考 事例 に 関して現地調査・写真撮影を行い、必要に応じエックス線撮影(木組み構 造の把握のため)を行う。 ・想定復元案原型の製作(粘土)【阿形像・吽行像】 残欠材からFRPに型取りした部材と参考作例をもとに、粘土を用いて 想定復元原型を制作する。その際、残欠材のFRPを粘土原型に組み込 む。 ・粘土原型からの型取り【阿形像・吽行像】 粘土原型を石膏で雌型を取り、FRPにて型抜きを行う。 (H29 年度製作 ) ・原型からの木彫の製作【阿形像 】※ 吽行像 は H30 年度製作 想定復元原型(FRP)をもとに、木彫製作を行う。 木彫制作の際、木取り効率性向上や原型の造形を的確に写すために、FRP 原 型 を 3D スキャニングし、3D データを取得することとする。その際、木 組みなどは参考作例を参考にし、各部材は枘、鎹、釘などで接合する(組 み上げ作業は沖縄にて行う)。 ・残欠材(後補部材)の修復処置 残 欠 材( 後 補 部 材 ) に 対 し、 剥 落 止 め や 木 部 強化 な ど の 適 切 な 修 復処 置 を施す。 ・復元像の輸送 制 作 し た FRP 原型・木彫像計 4 体、残欠部材の展示用パネル・心棒を沖縄 へ輸送する。 ・残欠材(全部材)の展示用組み付け 残欠材のすべてを、破損前の状態を想定しつつ、想定される定位置に構 築する。構築には、透明なプレキシグラスを用いて心棒を制作し、空間 上に適切に配置する。また、背面に板を置き、板正面に仁王像の想定輪 郭線を描く。 ・木彫像の部材の組み付けおよび残欠部材の展示用組み上げ 完成した木彫像と修復処置済みの残欠部材を沖縄に輸送し、博物館にて 沖縄県民を交えたワークショップを行いながら木彫像と残欠部材の組み 上げ作業を行う。 ( 2 )漆 巴紋牡丹沈金透彫足付盆 ①基本情報 法 量:大サイズ 口径47.6cm 高さ23.13cm 1基 中サイズ 口径28.7cm 高さ13.95cm 1基 所蔵者:個人蔵 内 容: 琉球王国時代、正月儀式として使用された三御飾道具(美御前揃)の一部 である金碗、銀製流台、八角銀碗、托付銀碗や御玉貫を載せることを目的 とした朱漆巴紋牡丹沈金透彫足付盆の大 2 基、小 1 基を製作する。木地は 捲胎を中心とした内部構造と木彫部の外部とし、見込部分の 15~16 世紀 の琉球沈金の技法、銀朱による朱漆塗り、木彫部の箔絵製作を行う。 ②製作仕様 ・ 木 地の内部構造は、CT 及び透過X線撮影調査の結果や類似資料から、脚 部・見込ともスギ材とする。外部の木彫部は、堅木材を使用する。木地に ついて木彫刻の精度を勘案して堅木材を採用する。 ・接合材・塗装材:接合材は伝統的な漆・膠を用い、塗装材も漆とし、朱漆 部は銀朱を使用する。 ・加飾:加飾は、木彫部に箔絵を施し、見込の沈金加飾部にも金箔を埋める ものとする。 ・見込 ・鍔 に沈 金を 施す。 沈金 は、 復元 製作候 補の 製作 推定 時期で ある 15 ~16 世紀に琉球漆器に施された沈金技法の技術復元も目指す。 ・図案の決定 は CT 画像・展開写真 等から図案を確定し、試作手板の製作で 検討した後、本製作を実施する。 ・木地本製作 ・内部構造は、脚部については捲胎技法を用いて製作し、見込部分は、臍の ない接合の上、分廻しで円形を図取りして、見込を製作する。鍔も捲胎技 法を用いて製作する。 ・外部の木彫部分は、試作の成果を踏まえて製作する。 ・加 飾 ・側面の木彫部に箔絵を施す。金箔の色合せは、所蔵者からの熟覧調査の許 可が下りれば調査結果を踏まえて決定する。熟覧調査が実施できない場合、 過年度記録の画像を踏まえて監修委員・監督職員と協議の上、金箔色を決 定する。 ③本年度業務工程 ・曲輪、巻胎木地製作、木地模造試作、木彫荒削、木彫試作彫り (H29 年 度 製作) ・木彫仕上げ、木地部、木彫部接合、漆塗 (H30 年 度 製作) ・沈金加飾、 ( 3 )聖 観音像 ①基本情報: 法 量:高さ26.0cm、幅7.1cm、奥行き4. 8cm 所蔵者:蓮華院(糸満市) 内 容: 19 世紀に活躍した田名宗経作で、由緒伝来が明確 な 木彫作品として県指定有形文化財に指定される。 ②製作仕様 CT 撮影結果に基づき、向背・観音像・蓮座に部材を 分 け て 製作する。材料はカヤ材等の堅木材である可 能性が高い。 ・木地:胎部は堅木材を使用する。 ・ 加 飾 : 加 飾 は 、 仏 像 ( 観 音 像 )・ 向 背 前 面 ・ 蓮 座 に 箔絵を施す。 ・原型・模型の製作 は CT 撮影の結果、画像資料等から粘土原型を製作する。 粘土原型を製作した後、石膏模型を製作して本製作に備える。 ・木地本製作 は石膏模型について、監修委員・監督職員の了解を得て石膏模 型を基に本製作を行う。銘も石膏模型・画像等を基礎情報として刻むこと とする。 ・加飾 の 箔 絵 は 、仏 像(観 音像 )・ 向背 前面・ 蓮座 に箔 絵を 施す。 金箔 の色 合せは、所蔵者からの熟覧調査の許可が下りれば調査結果を踏まえて決定 する。熟覧調査が実施できない場合、過年度記録の画像を踏まえて監修委 員・監督職員と協議の上、金箔色を決定する。 ③本年度製作 なし (平 成 29 年度 ) ・ 試作、木彫荒削 (平 成 30 年度 ) ・木彫仕上げ、箔絵
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