自然冷媒を用いた産業用 ヒートポンプシステムの 開発事例

第4回流体物性クラブ
『マエカワ』は環境保護のための研究開発に積極的に取り組んでいます
自然冷媒を用いた産業用
ヒートポンプシステムの
開発事例
2010年1月29日
1
オゾン層保護・地球温暖化防止
出典 : 国立環境研究所 地球環境研究センター資料
2
国内におけるオゾン層保護・地球温暖化
防止に対する取組み(冷媒ガスに関して)
上記に加えて、改正省エネルギー法によるエネルギー
起源のCO2排出抑制(機器の高効率化と省エネ)
3
オゾン層破壊物質の生産規制
経済産業省:オゾンン層保護に関する現状資料抜粋
4
京都議定書目標達成計画
に基づく削減の考え方
5
冷媒問題に関する対策の動向
6
各種冷媒の特性と動向
フロン系冷媒
CFC
自然冷媒
HFC
HCFC
R-11・R-12
R-22・R-123
京都議定書
(温暖化問題)
モントリオール議定書
(オゾン層破壊+温暖化問題)
特定フロン
CFC
(全廃冷媒)
冷媒の種類
R717:アンモニア
R744:CO2
R718:水
R729:空気
R-134a・R-404A
R-407C・R410A
2010年新規
2020年全廃
1996年に全廃
(代替冷媒)
指定フロン
HCFC
(規制冷媒)
R290: プロパン
R600a:イソブタン
代替フロン
HFC
(代替冷媒)
自然冷媒
Natural Five
冷媒名
R11
R12
R502
R22
R134a
R404A
R407C
R410A
R717
NH3
R744
CO2
R600a
イソブタン
オゾン層破壊
係数(ODP)
1.0
1.0
0.334
0.055
0
0
0
0
0
0
0
温暖化係数
(GWP)
4750
10900
4520
1700
1430
3780
1650
1980
>1
1
4
特 徴
・塩素がオゾン層を破壊
・冷蔵庫・カーエアコン
・既に全廃(1995年)
・モントリオール議定
書規制対象
・2020年に全廃
・組成が非常に不安定
・オゾン層の破壊は無し
・京都議定書で温室効果ガスに指定
・自然界に存在
アンモニア・炭化水素・水
空気・二酸化炭素
7
日本フルオロカーボン協会 2007年10月 資料抜粋
各種冷媒の特性
ODP
GWP
(100年)
安全性
区分
COP 比
冷凍能力比
単位重量当り
高圧
MPa
吐出温度
℃
R22
0.055
1700
A1
1
1
1.53
57.5
R134a
0
1300
A1
0.99
0.93
1.02
44.5
R407C
0
1370
A1/A1
0.99
1.04
1.64
53.6
R410A
0
1370
A1/A1
0.93
1.04
2.41
57.2
R717
アンモニア
0
<1
B2
1.05
6.98
1.55
93.3
R744
CO2
0
1
A1
0.63
0.85
9.0
72.0
冷媒
HCFC
HFC
自然冷媒
※ Tc/Te=40/0℃(Sc=Sh=0℃)(REFPROP V6.01による算出)
※COP比,冷凍能力比はR22を1とした時の比較値
※吐出圧力、吐出温度はTc=40℃の場合
※安全性区分はASHRAE Standard 34 Safety Groupによる ; A:低毒性、B:高毒性、1:不燃性、2:弱燃性、3:強燃性
8
『地球温暖化防止に向けて・・・』
あらゆる用途に最適なノンフロン冷媒を
選ぶ事によって、
『省エネ』と『ノンフロン化』
を同時に達成できる
技術開発に取り組んでいます
ナ
HC
チ
ュ
CO2
NEDO 平成17年度「課題設定型産業技術開発費助成金」
業務用自然冷媒給湯ヒートポンプ(通称:エコキュート)
「ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発事業」
第7回 財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター振興賞(CO2)
HC(ハイドロカーボン)系冷媒業務用空調・給湯ヒートポンプの開発
ラ
ル
NH3
環境省 平成19年度地球温暖化対策技術開発事業(補助事業)
冷蔵倉庫並びに食品工場用の
省エネ型自然冷媒式冷凍装置の製品化技術開発
フ
ァ
H2O
平成17年~19年度「NEDO太陽エネルギー
新利用システム技術研究開発事業」(3ヵ年事業)
イ
ブ
Air
平成15年「NEDOエネルギー使用合理化技術戦略的開発事業」
高分子吸着剤による除湿型高性能空気冷凍システムの開発(3ヶ年事業)
9
冷凍、空調、給湯の用途に使用される地球環境にやさしい5つの自然冷媒「ナチュラルファイブ」
120℃熱風発生
10
冷蔵庫専用
NH3/CO2新型冷凍機 NewTon3000
冷蔵庫専用NH
H19年度 環境省「地球温暖化対策技術開発事業」
●
●
●
自然冷媒式で環境に優しい
高効率NH3専用冷凍機を搭載
間接冷却方式で安心
・NH3は冷凍機室のみ
・屋内へは安全な液体CO2を
● 水冷式で省電力
● 既設機械室向けコンパクト設計
COP20%向上
高効率IPM
モーター
高効率IPMモーター
洞爺湖サミット 国際プレスセンターに展示
高性能新歯型スクリュー
高精度ローター
水冷モーター
NH3用ハーメティック
NH3用ハーメティック
モーター
油量の最適化
ダブルエコノマイザー
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ヒートポンプ
業務用・産業用
CO22給湯
業務用・産業用CO
給湯ヒートポンプ
空気熱源
『エコキュート』 第7回電力負荷平準化機器・システム表彰
空気熱源『エコキュート』
ヒートポンプ・蓄熱センター振興賞受賞
特徴
特徴
•• 国内最大級
の 80
給湯能力
国内最大級の
80 kW
kW の
の給湯能力
•• COP
の高効率
COP == 4.1
4.1の高効率
•• 燃焼式設備と比較して
年間ランニングコスト1/3
燃焼式設備と比較して年間ランニングコスト1/3
•• 循環
加温運転が可能(65℃→90℃)
循環加温運転が可能(65℃→90℃)
•• 外気温
-10℃~43℃において90℃出湯可能
外気温-10℃~43℃において90℃出湯可能
•• 自社製高効率レシプロ圧縮機
を搭載
自社製高効率レシプロ圧縮機を搭載
貯湯時
給湯時
55℃で開
開放式貯湯槽
給水
加圧給湯ポンプ
給湯器へは60℃入水までOK
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ヒートポンプ
業務用・産業用
CO22給湯
業務用・産業用CO
給湯ヒートポンプ
水熱源
『エコキュート』
水熱源『エコキュート』
特徴
特徴
・・ 90
℃のお湯と冷水を同時に供給
90℃のお湯と冷水を同時に供給
・・ 給湯能力
以上で大容量コンパクト
給湯能力 90kW
90kW以上で大容量コンパクト
・・ 最高
COPt=8(井水22℃利用の場合)
最高COPt=8(井水22℃利用の場合)
給湯+冷房の場合でも
COPt=6.4
給湯+冷房の場合でもCOPt=6.4
・・ 給湯温度
℃~90℃ 、冷熱供給温度
10℃~17℃
給湯温度 65
65℃~90℃
、冷熱供給温度 --10℃~17℃
・・ 燃焼式給湯+チラーと比較して
年間ランニングコスト1/3
燃焼式給湯+チラーと比較して年間ランニングコスト1/3
・・ 自社製高効率レシプロ圧縮機
を搭載
自社製高効率レシプロ圧縮機を搭載
給湯+冷房
給湯+冷房
密閉式貯湯タンクユニット
貯湯時
7℃
給湯時
65~90℃
混合水栓
水熱源エコキュート
ファンコイル
冷房
12℃
給水
COPt=6.4
エ コキュート は 6 5 ℃ ま で 入 水 可 能
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CO2ヒートポンプ式熱風発生装置
『MAYEKAWA エコシロッコ』
名称
水熱源CO2ヒートポンプ式熱風発生装置
加熱能力
110KW
圧縮機定格動力
25KW
冷媒
圧縮機型式
主電動機
法定冷凍トン
運転範囲
H21年10月発売開始
R744(CO2)
半密閉型レシプロ式2気筒 型式:C2HT
3φ×AC200V×25KW×4P
8.3トン
温風出口温度120℃以下
熱源水出口温度-9℃~32℃
熱風
本表は、空気入口温度20℃、温風供給温度100℃、蒸発温度20℃の場合
W1,100×L1,600×H2,200,1,700kg
14
ハイドロカーボン系冷媒業務用空調・給湯ヒートポンプ
装置外観
装置外観
H17~H19年度
NEDO「ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発事業」
特徴
特徴
・・最適冷媒の開発:プロパン・イソブタン混合冷媒
最適冷媒の開発:プロパン・イソブタン混合冷媒
・・冷媒漏洩対策:ハーメチック圧縮機(防爆仕様)、
冷媒漏洩対策:ハーメチック圧縮機(防爆仕様)、
冷媒量最小化
冷媒量最小化
・・安全対策:冷媒拡散装置、安全基準
安全対策:冷媒拡散装置、安全基準
・・従来システムに対して、ノンフロン化、高効率化
従来システムに対して、ノンフロン化、高効率化
洞爺湖サミット国際プレス
センターの冷房に使用
ハーメチック圧縮機(防爆仕様)
ハーメチック圧縮機(防爆仕様)
冷房時COP
3.7 (冷水温度7℃、空冷)
暖房時COP
3.7 (温水温度45℃。空気熱源)
給湯時COP
3.4 (給湯温度65℃、空気熱源)
追い焚き性能の改善
温度
アプリケーション
適用市場
70℃
65℃給湯・暖房システム
病院,ホテル,食品工場
50℃
45℃暖房システム
オフィスビル,工場
0℃
+7℃冷水チラーシステム
オフィスビル,工場
-5℃
+2℃冷水チラーシステム
食品工場
-15℃
氷蓄熱システム
オフィスビル,工場 15
~H19年度 NEDO「太陽熱新利用
吸着式冷凍機「アドレフ」 H17
システム技術研究開発事業」
特徴
特徴
●水と吸着剤の吸熱・放熱反応を利用した地球環境にやさしい冷凍機です。
●低温熱源水(60~75℃)から10℃以下の冷水を製造することができます。
●ノンフロンでしかも省電力のため、60%以上のCO2排出量削減効果があります。
(空調用途におけるフロン空冷チラーとの比較)
●メンテナンスコストは、ほとんどかかりません。
●NEDOより補助金の適用が受けられます。 (太陽熱高度利用システムフィールドテスト事業)
太陽熱を利用した吸着冷凍機
による冷却設備
※既に2件のフィールドテスト事業実績あり
ソーラーコレクター24枚(300㎡)
冷却塔
吸着冷凍機
70KW
バファータンク
熱交換器
プロセス冷水
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空気冷凍システム
『パスカルエア』
空気冷凍システム『パスカルエア』
H15~H17年度 NEDO「エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業」
装置外観
装置外観
特徴
特徴
●究極の自然冷媒である
『空気』を使用しているため、地球環境負荷がゼロ!
●究極の自然冷媒である『空気』を使用しているため、地球環境負荷がゼロ!
●従来冷凍システムに比べ、
最大50%の省エネ、CO2排出量削減(庫内温度
●従来冷凍システムに比べ、最大50%の省エネ、CO2排出量削減(庫内温度
-
60℃の時)を達成!
の時)
-60℃の時)を達成!
●低圧運転のため、
法規制(高圧ガス保安法)の適用外!
●低圧運転のため、法規制(高圧ガス保安法)の適用外!
●庫内空気を直接冷却するため、庫内クーラーや冷媒配管が不要で、
設備工
●庫内空気を直接冷却するため、庫内クーラーや冷媒配管が不要で、設備工
事費が安価!
事費が安価!
●膨張機一体型圧縮機採用により、
保守が容易で長寿命!
●膨張機一体型圧縮機採用により、保守が容易で長寿命!
●膨張機で発生する動力を回収し、圧縮機動力に使用するため、
高効率!
●膨張機で発生する動力を回収し、圧縮機動力に使用するため、高効率!
ターボ型圧縮機・膨張機
モータ
圧縮機
膨張機
一次冷却器
冷却水
庫内温度
膨張機一体型圧縮機
-50~-100℃
冷熱回収熱交換器
空気冷凍システム『パスカル エア』
超低温エリア
冷 媒
空気(Air)
冷凍能力
30kW(庫内温度-60℃時)
圧縮機動力
60kW
最高使用圧力
0.2MPa
17
スラリー状流体
熱輸送システム
ダイナミックアイス氷水搬送システム
蓄冷式保冷システム『エコ・ランクール』
超電導冷却用スラッシュ窒素冷却システム
18
ダイナミックアイス氷水搬送システム
前川製作所本社ビルの例
【外調機】
冷水コイル:一次冷却
【外調機】
氷水コイル:しっかり除湿
【氷水搬送】
-2℃の氷水を製造、搬送
ダイナミック
製氷ユニット
【一般冷水系統】
高め温度の冷水(9℃)を製造
ヒートポンプ
チラー
貯氷槽
外気
冷水
氷水
カラッとしたドライな空気
冷水
空調システム(冷水・氷水搬送系統)
19
蓄冷式保冷システム「エコ・ランクール」
特徴
ダイナミックアイス
搬送配管
1.CO2排出量削減(20~25%減) ;車載冷凍機未使用
2.燃費大幅削減(20~30%減)
3.庫内温度の安定
アイドリングストップ中も冷却;バッテリー使用
4.店舗での低騒音化
エンジンをかけずに冷却
5.運用コストの削減
高効率の地上設置型冷凍機で製氷
氷の融解熱で冷却
6.自然冷媒アンモニアと食品添加物が冷媒
<エコランクール車>
エアクーラー
<貯氷設備>
貯氷タンク
蓄冷タンク
<製氷設備>
冷凍機・
製氷ユニット
<供給設備>
ダイナミックアイス供給ユニット
保冷車庫内
高効率型の冷凍機を組込ん
だ製氷・貯氷設備
<回収設備>
回収タンク
ダイナミックアイス(蓄冷材)
製氷・供給・回収設備
エアクーラー
エコ・ランクールは解決します!
保冷材(ダイナミックアイス)
充填及び回収
配送センター
蓄冷タンク
食品積込
エコランクール車
(2t,4t車)
従来型車載冷凍機の問題点
店舗到着荷降
1.燃費が悪化する。(荷積中、走行中、店舗荷卸し中)
完全アイドリングストップ
エンジン直結の冷凍機を使用
2.アイドリングストップをすると冷却出来ない。
荷室内温度が上昇し、庫内温度が不安定になる。
1店目
3.店舗荷卸し中にアイドリング運転をすると騒音問題がある。
4.地上設置型の冷凍機に比べ効率が大幅に劣る。(47%ダウン)
5.冷媒に温暖化係数がCO2より1300(134a)~3850(404A)倍高いフロンを使用。
蓄冷板
2店目
N店目
20
スラッシュ窒素冷却システム
H12~H16年度 NEDO「交流超
電導電力基盤技術先導研究開発」
液体窒素と微細な固体窒素が混在したス
ラリー状の流体。高密度熱輸送となる。
スラッシュ窒素の特徴
スラッシュ窒素冷却上の利点
・熱容量が大:固体窒素の融解潜熱は液体窒素の 比熱の約13倍
・液体窒素よりも低温(63K)で一定温度の冷媒
スラッシュ窒素貯蔵タンク
液体
スラッシュ窒素を搬送
He 冷凍機
(潜熱利用)
発電所、工場など
固体
研究所など
データーセンター
インテリジェントビルなど
スラッシュ窒素製造機
スラッシュ窒素液ポンプ
スラッシュ窒素による冷熱供給システム
課題
・固体窒素の微細化製造技術
⇒搬送動力の低減
・高固体比率での貯蔵、搬送
⇒蓄熱システムとして利用可
能
スラッシュ窒素の搬送状況
21