ターニング・ザ・タイド - World Association of Zoos and Aquariums

WAZA
ターニング・ザ・タイド
保全と持続性のための
世界水族館戦略
i
ターニング・ザ・タイド
保全と持続性のための
世界水族館戦略
WAZA 水族館コミュニティーとパートナーによる
世界動物園水族館保全戦略の実施
編集
M. ぺニング、 G. McG. レイド、 H. コルデウェイ、 G. ディック、 B. アンドリュース
K. アライ、 P. ガラット、 S. ジェンドロン、 J. ランゲ、 K. タナー、 S. トング
P. ヴァンデンサンド、 D. ウォーモルツ、 C. ギブソン
日本語版製作
(社)日本動物園水族館協会・情報部
ii
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
Citation
Penning, M., Reid, G. McG., Koldewey, H., Dick, G., Andrews, B., Arai, K., Garratt, P., Gendron, S., Lange, J., Tanner, K.,
Tonge, S., Van den Sande, P., Warmolts, D. and Gibson, C. (Eds) 2009. Turning the Tide: A Global Aquarium Strategy for
Conservation and Sustainability. World Association of Zoos and Aquariums, Bern, Switzerland.
ISBN 978-3-033-02140-2
© WAZA 2009
WAZA 事務局
IUCN Conservation Centre
28 Rue Mauverney
CH-1196 Gland
Switzerland
www.waza.org
デザイン
www.naturebureau.co.uk
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Information Press, Oxford, UK
カバー:
モントレイベイ水族館 (アメリカ)の外洋展示施
設とホホジロザメ
バックカバー :
ヘアリーハーミットクラブ(Amomura sp.)
©Dennis King, South Africa
高校の湖水生態クラス(シェド水族館・アメリカ)
世界動物園水族館協会 The World Association of Zoos and Aquariums (WAZA)は世界にある 1300 以上の主要な動
物園および水族館の基本理念、運営方針、展示方法、ならびに経営戦略を共有するために活動している世界的な組織です。
WAZA は世界中の動物園と水族館に従事する人々を統括し、代表すると同時に、国際自然保護連合(IUCN)、政府および
非政府組織と協調して活動を行い、動物にとって生息しやすい環境を確保し、動物園と水族館(域外)や自然(域内)での保
全を達成すべく鋭意努力を続けています(www.waza.org)。
iii
目 次
前 文 ............................................................................................................................................ v
国 際 支 援 .................................................................................................................................. vii
要 旨 ............................................................................................................................................ x
序 文 . .......................................................................................................................................... 1
戦 略 . ........................................................................................................................................ 11
1. 統合保全 ............................................................................................................................. 12
2. 野生個体群の保全 . ............................................................................................................ 14
3. 科学と研究 ..........................................................................................................................20
4. 個体群管理 ......................................................................................................................... 24
5. 教育と研修 ..........................................................................................................................29
6. コミュニケーション・マーケティング・広報 .............................................................................. 34
7. パートナーシップと政策 . ...................................................................................................... 36
8. 持続的な資源利用 ..............................................................................................................40
9. 倫理と福祉 .......................................................................................................................... 43
謝 辞 . ........................................................................................................................................50
文 献 .......................................................................................................................................... 51
補 遺
I
用語解説 .......................................................................................................................... 56
II 水族館および水生保全に関係する団体とプログラム ........................................................ 62
III 水族館: 産業としての世界的規模 .....................................................................................64
IV 水族館:保全のサポートにおける利点と課題 .................................................................... 67
V 水族館: 教育における世界的役割 ....................................................................................69
VI 水族館:国際条約・規約・ガイドライン ................................................................................ 70
VII 水族館および水生保全に関係する団体とプログラム ........................................................ 71
VIII水族館:繁殖プログラム ..................................................................................................... 75
IX 水族館:水生および湿地研究および環境に関する定期刊行物 ......................................... 77
v
前文
「人間には海を変え、海を損なうようなことはできないと長く
信じられてきましたが、不幸なことに、このような考えは通用
しなくなったことが証明されました」
レイチェル・カーソン著『The Sea Around Us』 1951 年
世界動物園水族館協会 The World Association of Zoos and Aquariums (WAZA)は世界にある
1300 以上の動物園および水族館の基本理念、運営方針、展示方法、ならびに経営戦略を共有する
ために活動している世界的な組織です。 当協会が共通の目標としているのは「保全のための団結」
です。 WAZA は 1935 年にスイスのバーゼルで設立されましたが、第二次世界大戦中に解散した国
際動物園長連盟(IUDZG)を前身とする組織です。 IUDZG は 1946 年にロッテルダムで世界動物園
機構(WZO)として再組織化されました。 2000 年に WZO は名称を変え、新生「WAZA」として現代的
かつ包括的な組織として生まれ変わりました。 WAZA では水族館の参加が認められ、生物保護の
ための協力的な活動に大きな意義がおかれ、組織としての活動が大きく前進することになりました。
今日 WAZA は世界中の動物園水族館に従事する人々の「声」をまとめ、代表する重要な組織となっ
ています。 スイスにある本部を中心に、 WAZA は IUCN、政府および非政府組織と協調して活動を
行い、動物福祉の高度な基準を確立し、動物園水族館(域外)や自然(域内)での保全と持続性を達
成すべく鋭意努力を続けています。
WAZA は、生物多様性の保全、特に動物園水族館が重要と考えている種の保全において信頼さ
れ、また主導的役割を果たせるパートナーとなることをめざしています。 当組織の使命は、動物園水
族館、ならびに動物の管理と福祉、生物多様性の保全、環境教育と地球規模での生物種の持続可
能性にかかわる世界的なパートナー組織を指導し、サポートすることにあります。 このような使命の
追求と任務達成を目的として、20 年ほど前にこの組織自体と会員の行動指針となる戦略的保全「青
写真」の必要が生まれ、実現化されました。 これにより、 IUCN 種保存委員会の保全繁殖専門家グ
ループ(CBSG)の協力を得て WZO-IUDZG は 1993 年に『世界動物園保全戦略』を発行しました。
この文書により世界の動物園水族館関係者が一致団結して地球規模の保全活動に参加協力する
ことが要求され、初めてこのような活動に対する全体的責任と機会が明確にされました。 2002 年に
世界の動物園水族館の代表者数名が集って、提案された新しい戦略について論議がなされました。
参加したのは、ベール・ド・ボエ博士(EAZA ヨーロッパ動物園水族館協会会長、 1993 年の戦略原
案の主要著者および編集者)、ユリシーズ・シール博士(CBSG の当時の会長)、ウィリアム・コンウェイ
博士(米国ニューヨーク州野生生物保全協会の当時の代表)、そしてギュンター・ノッゲ教授(ドイツケ
ルン動物園の当時の園長ならびに WZO 前会長)です。 新しい戦略は成功裏に展開された当初の
戦略にもとづいて構築されたもので、水族館の存在価値を高め、動物園水族館が保全のイニシアチ
ブをうまくサポートしながらさらに進んだ方法を示します。 このような方々の初期の素晴らしい努力
により、ジョナサン・ギップス博士(イギリス、ブリストル動物園園長ならびに WAZA 保全・持続性委員
会委員長)が主導している運営委員会の指導の下で新戦略が展開されました。
世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、 2005 年 5 月 2 日にオーストラリアのメルボルンで発
行されました。 見出しは「野生生物のための未来構築」で、 350 以上に上る世界中の動物園水族
館の専門家ならびにその他保全維持にたずさわるパートナーなど多くの人々の努力の賜物です。 こ
の戦略はすべての動物園水族館、さらに協会やパートナー組織を対象としているもので、規模の大
小、裕福の度合い、さらに WAZA のメンバーであるかどうかは関係がありません。 この戦略は世界
の動物園水族館が共通の考え方と高い目標をもてるように作られたものです。 さらに戦略のなかで
は、保全という目的を達成するのに必要な基準、基本方針、実施事項が明確に定められています。
この画期的な文書は、 WAZA のウェブサイト www.waza.org から英語、ドイツ語、ロシア語、スウェー
デン語、スペイン語、ポルトガル語、ポーランド語、チェコ語と中国語で無料ダウンロードできます。
vi
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
水族館の運営にたずさわり、国際的に著名な多くの方々が、 WZACS (2005 年)原文の作成に多
大な貢献をされました。 しかしながら、多くの共通点がある一方で、水族館と動物園にある相違点も
従来から指摘されています。 そもそも本質的なものや特徴、典型的な構造や運営上必要とされるこ
とがらが異なりますし、資金提供をしている団体も異なります。 また、水域や湿地の保全と持続性に
おいて直面している課題においても水族館は動物園とは大きく異なっています。 これらを勘案して、
水族館の専門家とパートナーが文書を準備して、 WZACS に対して水族館が求められていることを
詳しく説明する必要がありました。 この新戦略は世界にある水族館の将来を見すえた内容となって
います。 今、世界の海洋、海岸と淡水域の資源は乱獲が進み、水域関連地域に生息する生物の多
様性は着実に減少し、地球の健全性のためにもすべての水生生態系の慎重な管理が欠かせない
状況に至っています。 つまり、新戦略である「ターニング・ザ・タイド」は WAZA 水族館コミュニティー
が WZACS に対してやらなければならないことを示しています。
この新戦略の実施は水族館委員会を通して WAZA がサポートとモニターをすることになっていま
す。 実施状況については、保全・持続性委員会、倫理・福祉委員会、科学・獣医学委員会、マーケティ
ング・広報委員会および教育委員会(国際動物園教育機関 IZE と緊密な連携の下で運営されてい
る)から重要な情報が随時入手されます。 このように協力的で戦略的なアプローチを通して、世界の
水族館がひとつになって、他の多くのパートナーとともに、水域全般の保全と持続性のために全世界
的な努力を結集して有意義な貢献をしたいと考えています。
ゴードン・マクグレガー・レイド教授
WAZA 会長
マーク・ペニング博士
WAZA 次期会長
水族館委員会委員長
ジョナサン・ギップス OBE 博士
WAZA 保全・持続性委員会
委員長
vii
国際支援
本文書を準備するにあたり、 WAZA の組織内、ならびに地方協会会員の方々、数え切れないほど
多くの個人の協力者の方々、すべてに心から感謝の意を表します。 また世界水族館フォーラム(IAF)、
世界水族館会議(IAC)、さらにヨーロッパ水族館館長ユニオン(EUAC)の方々にも同様にご協力を
賜りましたことを深く感謝いたします。 ご協力いただいた個人のお名前は全員分を一覧にして掲載
いたしました(P. 50)。さらに本文書作成に際し、WAZA は IUCN 種保存委員会、湿地に関するラムサー
ル会議、コンサベーション・インターナショナル、国際湿地保全連合ならびにアメリカ世界野生生物基
金による正式な支援をいただいたことを心より感謝申し上げます。
次の方々の貴重な意見書についてもその貢献に謝意を表します。 IUCN 種保存委員会委員 – サ
イモン・スチュアート博士(IUCN-SSC 会長)とウィル・ダーウォール博士(マネージャー、 IUCN-SSC 淡
水生物多様性部会)、湿地に関するラムサール条約の事務局 – アナダ・ティーガ博士(事務総長)と
同博士のチーム、コンサベーション・インターナショナルの事務局 – ラッセル・ミッターマイヤー博
士(会長)、クロード・ガスコン博士(副代表、プログラムと科学)、トム・ブルックス(副代表、コンサベー
ションプライオリティーズと出先機関、応用生物多様性科学センター)、ニール・コックス氏(プログラム
オフィサー、 IUCN の SSC/CABS 生物多様性アセスメント部会)、ならびにイアン・ハリソン博士(淡水
種アセスメントおよびプログラム基金担当マネージャー、ニューヨークアメリカ自然史博物館研究員)、
アメリカ世界野生生物基金の事務局 – ビル・フォックス博士(水生生物系リーダー)とミシェル・シーム
博士(淡水魚類学者)、そして国際湿地保全連合の職員 – ジェイン・マドウィック博士(CEO)と彼女の
チーム。
WAZA は以下の各組織からの支援表明についても深く感謝いたします。
国際自然保護連合
近年の保全に関する飛躍的な展開のなかでも最も印象的な事項は、世界の動物園における域
内外での保全活動の大きな広がりです。 多くの意味においてこれはひとえに、『世界動物園水族館
保全戦略』の直接的な成果です。 この戦略は 2005 年に世界動物園水族館協会(WAZA)が先頭
にたってまとめられたものでした。 今、私は『WAZA 保全と持続性のための世界水族館戦略』を見て
大変喜ばしく思い、これを支持すると同時に、この戦略が契機となって世界の水族館の保全活動が
大きく前進するものと確信しています。 この戦略は誠に時宜を得て発表されています。 今、世界の海
はこれまでにないほど人間による悪影響を受けて状況が悪化しており、保全の努力が急を要する事
態となっています。 海水表面温度上昇の結果、生態系全体の潜在的な損失、例えばサンゴ礁、そし
て海洋の酸性化は今現実の問題となりつつあります。 美しいサンゴ礁を未来に確実に残していくこ
とは、多分今の私たちの時代における保全最大の挑戦です。 種の絶滅の可能性という観点からす
れば、私たちの時代での保全活動の失敗が由々しき結果を引き起こすことは想像に難くありません。
岩礁を漁場にしている人々の生活の糧が失われ、海岸線を守るものが減ってしまえば洪水という大
災害のリスクが高まることは必定です。 『WAZA 保全と持続性のための世界水族館戦略』はこのよ
うなチャレンジに対する世界的な対応の重要な一部となります。 私はこのような戦略を積極的に構
築された WAZA のビジョンとリーダーシップに敬意を表します。
サイモン・N・スチュアート博士
国際自然保護連合
種保存委員会委員長
viii
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
コンサベーション・インターナショナル
世界動物園水族館協会は、水生種の保全をさらに推進するために、水族館が実行できる中枢的
役割を示した重要な戦略を決定しました。 この戦略には域内外における保全プログラムの実施を
通して達成される直接的貢献が明確化されています。 また、この戦略では水族館が専門的な能力
を展開し、公共の教育活動に参加することによって可能となる貢献についても強調しています。 これ
により、水生生態系の理解を深め、その環境を保全し、その生態系が人間にとってもよりよい生存環
境をもたらす結果が確実に得られます。 この戦略を展開することにより、水族館は社会を啓発し、支
援しながら、現在と将来の世代にとって公平にその利益が得られるように、水生生物資源の持続性
の管理をしていくことができます。
コンサベーション・インターナショナルが考えているところでは、水生生物多様性の保全はこのよう
な生態系が生みだすものに依存している何十億という人々の生活の糧を守ることと密接につながっ
ています。 この中には地球上の淡水、海洋、湖、川や湿地などから得られる食料資源の供給と、水
生生態系がもたらしてくれる無数の環境的、文化的、そして美的恩恵があります。 コンサベーション・
インターナショナルは IUCN の種のプログラムや種保存委員会、国際湿地連合やネイチャーサーブ
を含む多くのパートナー組織と一緒に作業を進めながら、水生生物の生物多様性、生態系の保持
と人間のよりよい生活がつながりあう地球的規模の優先事項を考え出しています。 この中には世
界海洋種アセスメントプログラムと世界両生類アセスメントプログラムが含まれ、絶滅の危機に瀕し
ている水生種とその保全状況に関する多くの世界的なデータを提供しています。 これらのデータは
IUCN の絶滅危惧種のレッドリストに記録され、この『WAZA 保全と持続性のための世界水族館戦
略』で推奨されている数々の計画活動の基礎資料となっています。
この『WAZA 水族館戦略』はまた研究機関、国内外の非政府組織、地方組織との協力という機
会も少なからず取り入れています。 そのすべてにおいて水生生態系の保全と持続性が共通の目標
になっています。
コンサベーション・インターナショナルは世界動物園水族館協会のこの非常に重要な戦略の展
開に祝意を表すると同時に、本戦略の成功のために貢献できる機会がくることを楽しみにいたして
おります。
ラッセル・A・ミッターマイヤー博士
コンサベーション・インターナショナル会長
国際支援
国際湿地保全連合
世界動物園水族館協会がこの度発行された『保全と持続性のための世界水族館戦略』にお祝
いを申し上げます。 国際湿地保全連合は、生物多様性と人類のよりよい生活環境に資するあらゆ
る分野の奉仕事業を含め、湿地の持続的利用にむけてほぼ 20 年にわたって世界で活動を展開し
ています。
陸地表面の 6%、淡水全域の 30% に、全生物種の 40% と 10 億をこえる人々の直接的な命の
源があることを考えると、湿地は保全と開発において優先度の高い場所であると言えます。 さらに、
IUCN SSC/ WI スペシャリストグループと WAZA のさまざまな組織の間には密接なつながりがあり、
特に淡水魚専門家グループを通して、私たちとも共通の目標があります。
私たちといたしましても、 WAZA が保全と持続性を目的とした戦略をめざしていることを大変あり
がたく思い、将来にわたって湿地の維持可能な利用のために一層の協力をしていきたいと考えてい
ます。 この戦略の出版により動物園水族館と国際的な保全コミュニティーの間にさらなる相互作用
と深い結びつきが生まれることを確信いたしております。
この場を借りてご協力に感謝申し上げます。
ジェイン・マドウィック博士
国際湿地保全連合、 CEO
湿地に関するラムサール条約
湿地に関するラムサール条約は『WAZA 保全と持続性のための世界水族館戦略』を作り上げら
れた世界の水族館コミュニティーに祝意を表します。 この戦略では水族館が果たすことができ、ま
た果たさなければならない重大かつ具体的な役割を明確に認識し、定義しています。 このような役
割が果たされることで生物の多様性が失われている現在の損失速度が大きく緩和され、地球規模
でのチャレンジに貢献することができます。 特に淡水の河川、沼地、池、湖、海岸の潟湖、デルタ、河
口とマングローブ、海草藻場とサンゴ礁のような湿地生態系の観点から大きな貢献が期待されます。
保全とこれらの生態系の回復を通して現在進行している湿地の減少、種の衰退とこのような事態に
対する対処活動の必要性を広く一般に認知してもらうには、水族館は最もふさわしい場所です。 水
族館はまた非常に期待のできる教育の場ともなります。 絶滅の危機に瀕している湿地の生物種は
複雑な生態学的プロセスによりよい理解を生み出し、保全プロジェクトに一般の人々を参加させるの
には絶好のコミュニケーションツールです。 ラムサール条約はこの目的のために WAZA や世界の
水族館とともに活動を推進していくことを楽しみにしています。
アナダ ・ ティーガ博士
湿地に関するラムサール条約事務総長
ix
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x
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
要旨
世界には 300 をはるかにこえる数の大規模な水族館があり、そのうちの 100 館以上は 1990 年
以降にオープンした水族館です。 動物園内で運営されている水族館も含め、全体で毎年 4 億 5000
万人の来館者を引き付けています。 それだけに水族館は大きな教育効果と経済的なインパクトを
もっています。 この急速に拡大している「水族館産業」(商業ビジネスとしての運営から地方自治体、
研究機関や慈善団体まで)は多くの場合、社会的な貧困からの立ち直り、疲弊した港湾地域や工業
エリアの復活を賭けた経済再生プロジェクトと関連づけられます。
水族館は保全と持続性にかかわる大規模で多様な拡大プログラムに積極的にかかわっていま
す。 繁殖から生息域の回復、野生復帰までのプログラムでイニシアチブをとっています。 渓流、沼地、
泥炭地や海岸湿地から深海、サンゴ礁からケイヴフィッシュやカワウソ、カニや二枚貝からワニやカ
バ、クラゲからペンギン、ヘビ、アシカやイルカ、サメからタツノオトシゴ、サンショウウオ、カエルそして
ウミガメまでのすべてが網羅されています。 他の組織と協力関係にある水族館は、地球をめぐる諸
問題と戦う大きな潜在的能力をもっています。 例えば、水生生物の多様性の保全、水資源、漁業に
かかわる諸問題、環境マネジメント、水生動物の福祉、人間の発展、そして貧困の軽減などです。
『ターニング・ザ・タイド:保全と持続性のための世界水族館戦略』(2009 年 WAZA)は、 2005 年
に世界動物園水族館協会が発行した『世界動物園水族館保全戦略』(2005 年 WAZA)として一般
に知られている戦略に対する国際水族館コミュニティーの対応を細分化したものです。『ターニング・
ザ・タイド』では各章のならびや見出しの説明が初版の WZACS にしたがって作られています。 項目
は以下の通りです。 統合保全、野生個体群の保全、科学と研究、個体群管理、教育および研修、コ
ミュニケーション・マーケティング・広報、パートナーシップと政策、持続的な資源利用、倫理と福祉。
世界の水族館コミュニティーは最初の声明に対して詳細な対応を示しました。 このなかでは、域
外で行われている保全活動と域内で実施さている活動との間にある密接で、複雑かつ極めて重要
な関係が強調されています。 各章のセクションごとにアクションリストがあり、個々の水族館から国
立や地域の水族館または動物園協会までさまざまなレベルにおいて対応、適用することができるに
ようになっています。
水族館や各国または地域の協会とパートナーは、『ターニング・ザ・タイド』掲載の推奨される対応
とアクションリストを十分に考慮に入れつつ、保全活動、持続性、さらに自らの活動の教育的科学的
価値を最大にする努力をはらうことが望まれています。 そうすることによって「賢明な」目標をもちな
がら、水族館は独自の文書化した水族館計画を展開していくことになります。 これによって、明確で、
測定可能、達成可能で現実的かつ時間を決めた保全、持続性とその他の達成目標が設定されるこ
とになります。
1
序文
水族館 「産業」
「動物園」と「水族館」を完全に区分するということは困難なこと
です。 分類学上の比率は異なっていますが、ほとんどの園館が
陸上、水生、両生、そして水への依存度が高い種を集めて展示して
いるからです(図 1)。 世界にある独立した水族館と水族館併設
の動物園は慈善事業の場合もあり、また地方自治体の施設、大
学の研究機関、または商業的事業の場合もあります。 しかしな
がらどのように構成されていても、動物園や水族館は世界中の大
勢の人々と交流ができ、来館者に水の環境に関する正しい知識
を教えることができる唯一の場所です。 毎年世界では少なくとも
6 億 5000 万人の人々が動物園や水族館を訪れます。 この数字
は一般参加型の行動としてはその人数の多さでサッカーを抜いて
います !
世界にある標準的な水族館の総数は、毎年増加し、315 館(補
遺 III)をはるかにこえていると推定されています(WAZA の会員
非会員を含む)。 1990 年代初頭から数えても、世界中で 100 以
上の水族館がオープンしました。 特に中国では 22 もの水族館
がオープンしています(補遺 III)。 これに対し、まったく新規に開
園する陸生動物園の増加率ははるかに低く、水族館の増加率と
は対照的です。 この非常に現代的ともいえる「水族館レジャー産
業」の拡大は一般の人々の興味と需要を反映していると同時に、
莫大な資金が投入される都市部、港湾地域やその他の荒廃し
た元工業地域の再生と密接な関係のある場合が多く見られます。
このような大規模な投資は経済と雇用に大きなプラスの効果を
もたらし、また社会的な強いインパクトをもっています。
動物園
哺乳類
鳥類
爬虫類と
両生類
魚類
無脊椎動物
水族館
図 1. 分類学的指標による動物園と水族館の典型的相違 Reid, G. McG., 2004.
チェスター動物園の自然保護をテーマとした水族館 © Steve Rawlins
水族館があること、そして世界のすべての地域に急速に水族
館が広がっていることとで、すべての社会経済カテゴリーにいる
多種多様な文化圏の人々に新しい教育の機会が生まれます。 こ
のような施設では革新的で情報にあふれた教育的展示を通して、
私達の水をめぐる環境の状態について人々が関心をもつように
しむけ、環境にやさしいライフスタイルを選択できるようにしむけ
ていくことも役割のひとつです。 その潜在的な可能性は無限大
です。 少なくとも 2 億 5000 万人の人々が毎年水族館を訪れてい
ます(補遺 III)。 もし中国を含めるとしたら(現在の推定データで
すが)、この数字は 4 億 5000 万人まで増える可能性があります。 中国、日本やアメリカの規模の大
きな水族館では、年間で 300 万から 600 万人の集客力があります(補遺 III)。
水族館は経済的、集客的、さらに教育にかかわるベースをもっていると同時に、その他数多くの強
みをもっています(補遺 IV)。 そして今自然の水をめぐる環境を保全し、「持続可能な信頼性」を示そ
うとする多くの現実的なチャレンジにむかって立ち上がろうとしています。 展示については、まだ多く
の場合、野生で捕獲された生物に頼る傾向がありますが(現代の陸生動物を展示している動物園
ではこれは一般的ではありません)、水族館では協同での国際保全繁殖プログラムを充実させるこ
とで個体の確保が行われています(例えば、種保存計画や分類群アドバイザリーグループ)。 このよ
うな計画の中には哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類や魚類、無脊椎動物や植物の絶滅に瀕した水生
種が含まれています(補遺 VIII)。 水族館で育った生物は「保険」として役立てられ、 IUCN レッドリ
スト基準の下で絶滅危惧分類群が野生絶滅(EW)になりつつある場合、再導入のための保全オプ
ションとして提供されます。 各国の水族館は国内外のフィールドにおいて、保全と持続性プロジェクト
のために資金を出し、プロジェクトに参加しています。 多くは他の保全組織と協力して活動を展開して
います(補遺 VII)。
2
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
「水」 の惑星
オセアニア© Wetlands International
ときとして私たちは、水というものがもつ強大な力と重要性、そし
て水の中や周辺にすむ生き物の大切さについて過小評価をして
しまいます。 私たちが「地球」として知っている私たちの惑星は簡
単に言えば「水」の一言で表現できます。 地球には 1 億 3600 万
立方キロメートル以上の水があり、地球表面のおよそ 70.8% を占
めています。 この水のうち 97.2% は海で、 1.8% は氷河、氷山と
大氷原で、0.9% が地下水、0.02% が湖、内海や川にある淡水です。
1 パーセントの 1000 分の 1 が大気中の水蒸気として随時存在し
ています。 この大気には人間や人間以外の陸上動物が呼吸をす
るときに出た息も含まれています。 水は人間の血管の中にも流
れています。 文学的な比喩を使って表現すれば、水は「命の血」
であり、 水が地球を人間やその他すべての生命体にとって生存
に適した星にするというきわめて重大な役割を担っているという
ことを十分に認識している人はほとんどいません。 海があり、川
があり、内陸に水域があるからこそ地球に命は存在できるのです。
私たちが呼吸している酸素のほぼ 70% は海や湖に浮遊してい
る「藻」(植物プランクトン)から発生したもので、森林や陸地にある
その他の植物からの酸素の発生はわずか 30% です。
地球の気候は海流によって左右されます。 それは海流が地球全体に熱を運んでいるからで、海
流が生命にとって重要な気象と基本的な環境状況を決定します。 最近の研究では、解明されてい
る部分は少ないものの、電磁気の基本的現象も、少なくとも一部分において、地球の水の移動に関
係しているのではないかという指摘があります。 地球温暖化に関する科学的研究によれば、 30 年
以内に北極の氷はほとんどすべて解けて、結果として発生する大陸の洪水により少なくとも世界の人
口の 4 分の 1 の人々と無数の動物や植物種が影響を受けるということです(http://www.agu.org/
pubs/crossref/2009/2009GL037820.shtml)。
水生生物多様性と水資源
水域は驚くほど多様な生物を養っています。 例えば、リスト(http://www.iucnredlist.org/static/
stats)に掲載されているもので軟体動物は 70000 種ほど、甲殻類は 40000 種、魚類は 29300 種、
そして両生類は 5743 種、さらに多くの哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫や水生の植物種などです。 科
学的な新種発見によって毎年分類学のリストは大きく増え続けています。 淡水、汽水域と海洋
の魚類だけで 2006 年から 2008 年では毎年 300 の新種が報告され、 2009 年(IUCN SSC/WI
淡水魚類専門家グループデータベース)には 500 種近くが報告されています。 世界の生物多様
性の 50% から 80% ほどが 海洋で見られると推 定されていま す(http://www.panda.org/about_
our_earth/teacher_resources/webfieldtrips/oceans_threat/;http://www.waza.org/marketing/
downloads/18%20Judy%20Mann%20-%20UsHAKA.pps)。 にもかかわらず、人間は海洋の研究や
インディアンリバー (ドミニカ) © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
序文
いまだ十分に解明されていない水の生態系の研究よりも他の惑星を知る研究にはるかに多くのお
金をつぎこんでいます !
すべての動植物は水に大きく依存しています。 収穫のための農業は特に大量の水を必要としま
す。 水資源である淡水全体の 70% は農業用水です。 飲料用に日々必要とされる水に加え、人間の
衛生面から、エネルギーの元として、レクリエーションや経済活動をして生活するという側面から水は
欠かせない資源です。 世界の人口の 60% は海から 60km 以内で生活していますが、このような貴
重な資源に対して払うべき配慮をまったくしていないのが現状です。 毎年 450km3 以上のゴミが海
に投棄されています。 そのようなゴミの中には非常に有害で生物分解ができないゴミもあります。
世界の漁業と環境問題
世界の漁業の大部分は食用のための漁業で、そのうちのおよそ 40% は世界の人口のほぼ 3 分
の 2 にあたる人々のタンパク源となっています。 世界中で約 3800 万人の人々が漁業で生計のすべ
てまたは、大半をまかなっています。 年間約 9000 万トンの魚類が水揚げされています。 水揚げされ
た魚介類は消費物資や非消費物資としてさまざまな経済製品へと加工されます。 例えば、刺身、缶
詰、干物、魚卵、キャビア、魚油や皮革、さらには練り製品として加工されます。 貝や乾燥サンゴ、美
術品、水生種から作る伝統的な薬としても小規模ながら取引があります。 非常に多くの水生の種
「貝類」(無脊椎動物)と「魚類」(脊椎動物)が漁業の主な対象(例として次を参照、 FishBase http://
www.fishbase.org/)となっています。 さらに、レクリエーションとしての釣りは、世界の漁獲量の少なく
とも 4% を占め、全体で金額にして年間 160 億ドル前後を占めています。
残念なことに、漁業も危機的状況にあります。 国際連合食料農業機関(FAO, http://www.fao.
org/)の推定では、組織的な漁業の 70% は現在既に破綻しているか、あるいは魚のとりすぎでまも
なく破綻するということです。 特定の種のマグロ、メカジキ、サメのような多くの「上位」捕食魚の個体
数は本来のレベルの 10% にまで激減しています。 タコやイカのように非常に人気の高い無脊椎動
物の数も減少しています。 毎年 3000 万トン前後の海洋生物(珍しいサメ、イルカ、ウミガメ、海鳥、タ
ツノオトシゴやウミヘビを含む)が偶然の「混獲」によって廃棄されています。 取引によって特に絶滅
のリスクが高くなる動植物の水生種は CITES (絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関
する条約附属書 I 参照)の下で多くの種がリスト化されています。 野生生物と持続可能な漁業への
脅威は実に多いのが現状です。 例えば、乱獲、混獲、破壊的な漁
法、地球温暖化と気候変動、さまざまな汚染など(船舶、陸地から
魚網にからまっているアザラシ © Salkode Wolf – Ecomare
の流入、工業汚染、農業や薬品類による汚染を含む)、そして特に
マングローブやサンゴ礁を含む水域と海岸環境の著しい悪化など
があります。
ボルネオの木材の積み出し © Roland Seitre
3
4
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
サンゴ礁とそれに関係する種が特に海洋酸性化の脅威の下にあります。 これは大気中の二酸化
炭素が世界中で徐々に海水に溶けこんだもので、その量は増え続けています。 サンゴにとっての酸
性化閾値の限界は 350ppm をこえる大気中の二酸化炭素の濃度に相当します。 8.1 から 7.3 以下へ
の pH の持続的な減少が現在から 2300 年の間に予測されています。 pH7.7 は貝殻を形成する軟体
動物と岩礁を造成するサンゴが消滅する致死限界と考えられます。 現在の酸性化の流れが続くよ
うであれば、この分類群は 2065 年までには絶滅すると予測されています。 継続的な海洋の酸性化
により、生態系の食物網に大きな欠落部分が発生し、魚類の多くの種が生理的に苦しみ、その多くが
危機的な閾値の限界以下の生息環境で繁殖することができなくなります。 この非常に深刻な状況
を鑑み、 26 カ国から 155 人の海洋科学者がモナコ宣言に署名したのは最近のことです。 モナコ宣
言は特に地球温暖化と海洋酸性化の二重の脅威について世界に警告を発しています(http://www.
oceanacidification.net/; http://www.us-ocb.org/MonacoDeclaration.pdf; WAZA はサンゴ礁作業
グループミーティングの声明を支持しました。 The Royal Society 2009 年 7 月 6 日号)。
カニ漁(イギリス) © P. Richardson
地球上にある大河の多く(アマゾン川、メコン川とコンゴ川)は
古代からの熱帯雨林をぬって流れています。 この熱帯雨林は
1000 年の間安定した環境状態を保ち続け、魚や他の淡水生物
が進化繁栄して高度な生物多様性を育んできました。 しかし、大
変不幸なことに、今日、熱帯雨林は驚異的な速度で失われつつあ
り(http://www.nature.org/rainforests/explore/facts.html, http://
www.rainforestsos.org/pages/nonprofits/)、そのため環境を保全
する役割ができなくなりつつあります。 結果として温暖化、化学的
被害と繁殖地の消滅をともなうより複雑なシステムにより、川は特
定の水生種と両生類の種にとって生息にあまり適さないか、また
はまったく適さない生息域となっています。 森林伐採による有害
な影響は源流から河口まで多くの淡水河川のどの場所にでも見る
ことができます。 多くの堆積物が河口の先にまで広がって、沖合い
のサンゴ礁までもが埋まってしまうような有害な影響が広がってい
ます。
特に世界の工業化された地域の河川流域はダムでせき止めら
れ、流域を限られ、過剰に取水されて、すべての大陸にある多くの
主要な河川は何事もなく海に注ぐことはもうなくなっています。 淡
水域は、地球上の水資源としては 0.02% に満たないものの、非常
に高いレベルの魚類の生物多様性を育んでいます(12000 または
それ以上の種、あるいは少なくとも IUCN SSC / WI FFSG データ全
種の 40%)。
水生生物生息地の非架橋プラスチックを含む様々なゴミ © Steve Trewhella
東南アジアの淡水漁業 © E. Parker
海岸ゴミの中のアザラシ(イギリス) © Skomer MNR
序文
淡水域はチョウザメ、サケ、ウナギやエビ、そして真珠を作る淡水の貝をとる重要な漁場となってい
ます。 大規模な商業的漁業の他に開発途上国では零細漁業が特に重要で、水揚げされた魚は干
物あるいは燻製にした貯蔵食物として貴重なタンパク源となり、また販売用の商品にもなります。 こ
のような地域では地元に雇用の機会がほとんどない女性が零細漁業に従事している場合が多く、
漁に出るために子供を学校から連れ出すことが増えています。 淡水漁業の 68% 以上は開発途上
国で行われています。 全体として見た場合、淡水魚は世界の内陸での漁業(魚類と貝類)の漁獲高
全体の 87% 程度を占め、 2000 万トン以上の水揚げがあり、全世界の食用魚の 4 分の 1 近くを占め
ています。 淡水漁業ではおよそ 1200 万人の人々が直接雇用されている状態ですが、これは健全で
持続可能な水生環境がどの程度維持できるかにかかっています。
水生生態系は無分別で継続的な過剰開発と増え続ける汚染、生息域の変動と外来種の進出
(ティラピア、ナイルパーチ、ホテイアオイや淡水のツボカビ)で悪影響を受けています。 船舶のバラス
ト廃棄による海洋システムのなかでの外来種の世界的な拡散はまた別の大きな問題となっています。
全体的には、水生領域の中に最も危機的な生態系があり、そこには生息域や固有の種が含まれて
います。 WWF のリビング・プラネット・インデックスによると、海洋システムでは生物多様性において
全般的に 27% の減少、そして淡水では 28% の減少があるとされています(http://www.panda.org/
about_our_earth/all_publications/living_planet_report/living_planet_index/)。
養殖と環境
国際連合食料農業機構(FAO, http://www.fao.org/)の報告書によれば、魚の農場、つまり「水産
養殖」は今何十億ドルもの売り上げがある世界的な産業に成長しています。 毎年消費される海洋
動物の 30% 以上がこのような養殖場で育てられています。 陸地をベースにした世界中の養殖場で
市場に流通させる貴重な藻類や高等植物、何十億という数の甲殻類、軟体動物や魚類を淡水の池
やプール、あるいはコンクリートの水槽で養殖しています。 海をベースに行われている養殖は海岸
線に近い場所に位置しており、このような養殖場にいる魚はネットかメッシュのケージに入っています
が、ときとして、病気や寄生生物、富栄養やその他の汚染で健康を害し、良好な生育に問題を発生す
る場合があります。 外来種が周辺の環境に入りこむ可能性を防ぐというのは、特に内陸や淡水の養
殖ではまた別の問題になります。
エビ底曳き網で廃棄される混獲の魚 © Johnny Woodlock, Irish Seal Sanctuary
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
東南アジアでの淡水漁業 © Wetlands International
人間が消費する食用魚の養殖に加え、観賞用の淡水魚や海洋種の
魚を養殖する施設が昨今東南アジア、シンガポールやスリランカ、そし
てアメリカに多くできています。 この鑑賞魚の世界的な取引という水産
業の業態は、国際連合環境計画と世界自然保全モニタリングセンター
が出した最 近の報告書で取り上げられています(http://www.unepwcmc.org/resources/publications/UNEP_WCMC_bio_series/17.htm)。
報告書の中の推計によれば、世界中で海洋の水産業にかかわってい
る人々の数は 150 万人から 200 万人、また水族館向けの魚の輸出取
引額は年間で 2 億ドルから 3 億 3000 万ドルの間であるとされていま
す。また小売レベルでの観賞魚の取引総額は 72 億ドル前後、さらに(水
槽、フィルターやその他の商品を含む)業界全体では世界で約 150 億ド
ルから 300 億ドルの市場規模であると推定されています。 この巨大な
「観賞魚漁業」は卸売りから小売まで数え切れないほどの職業と生活
の糧を生み出しています。 また、資源と経済的な選択肢が限られてい
る低所得の熱帯の辺境海岸エリアの貴重な収入源ともなっています。
水族館と取引をしている会社の中には認定された高いレベルの国
際基準に沿って運営している会社もあります(例えば『FAO 責任ある漁
業のための行動規範』 1-5 巻参照)。 このような会社は信頼でき信用
がおけるサプライヤーで、動物や水生植物、さらには冷凍のエサ(例え
ば「ミジンコ」 Daphnia や「蚊」の幼虫、 Chironomus)を観賞魚取扱業者
や水族館に販売しています。 明らかに、水族館の頼みの綱は生きた水生生物の収集で、すべての
責任ある水族館は信頼でき、認定され、資格のあるサプライヤーを通して、どこで捕獲するにせよ持
続可能な捕獲手段による捕獲をする必要があります。 展示している魚類を養うために水族館で使
用するエサについても、持続可能で病気をもたないエサを仕入れて与える必要があります。
水族館、 水族館産業と持続可能な運営
水族館の展示生物の確保はその多くが、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物やその他の分類群
(上記参照)を含む非常に規模の大きな国際的生体取引専門業者との取引の成立によって行われ
ます。 展示生物の取引については、観賞魚インダストリー (OFI, www.ornamentalfish.org)や海洋
水族館会議(MAC, www.aquariumcouncil.org)のような責任ある取引協会もあり、このような組織で
は個体の捕獲、世話と管理、輸送(捕獲場所から、卸売業者を通して小売店に至るまで)については
要求されている動物福祉と持続可能な基準の下で活動しています。 水族館と飼育場をもつ専門取
引業者はそれぞれで連盟や協会を組織(国内、または国際)しています。 組織はテーマ分野に専門
化(熱帯の海、熱帯の淡水、アフリカの湖など)するかまたは、タツノオトシゴ、メダカ、シクリッドフィッ
シュ、サンゴ、甲殻類、水生植物など特定の分類グループを専門分野としています。 生体取引専門
業者の協会と個人の生物取引人(爬虫類、両生類、軟体動物、甲殻類とトンボを専門にしているアマ
チュアを含む)は例えば、水質管理、飼育、生活史、寄生虫、治療、繁殖について専門の知識を共有し
て、水族館の創設に非常に大きな貢献をしています。 このような専門家と水族館を支える人々は保
全と、動物福祉、さらには持続可能な活動の支援にますます深くかかわっています。 水族館はこの
ようなグループとのよりよい関係を育み、彼らの専門知識をひき出し、パートナーシップを大切にする
ことによって多くを得ることができます。
人為的選択 / 遺伝子組み換えの生物と
自然での生物多様性の保全
多くの水族館が展示している魚類、無脊椎動物と植物は観賞用に売買されている商品であるこ
とが多く、取引されている淡水魚類の多くは飼育下繁殖や養殖で育てられたものです。 しかし、水
族館にとって科学的、あるいは保全上または管理にかかわる問題をひきおこしています。 これはそ
の動物たちの繁殖履歴がわからなかったり、交雑の可能性があったり、地理的な起源が不明だっ
たり、行動に異常があったりする問題です。 観賞用と科学的実験室での人為淘汰と遺伝子操作は
「魅力的」または「有益な」(実際には、ときとして「化け物のような」あるいは「遺伝子導入の」形が生ま
れ、野生ではほとんど生き残れない)特性を生み出すことができますが、これによりさらに深刻な問
題が発生します。 「ニホンメダカ」(Oryzias latipes)や「ゼブラフィッシュ」(Danio rerio)のような遺伝子
組み換え魚類は暗い場所で魚が光るようクラゲの遺伝子が組みこまれています。 さらにどのよう
な結果がひき起こされるか分からないまま、このような遺伝子を組み換えた(GM)魚が自然に放流
序文
されるという現実的な予測もあります。 「遺伝子改良型」 GIFT または G8 ティラピア(Oreochromis
niloticus niloticus - いわゆる「フランケンシュタインフィッシュ」)も非常に大きな問題となっています。
これらの魚はさまざまな環境のなかで生存できるように改良されていて、固有種の魚を生態的に駆
逐して減少または根絶させることが多分に考えられます(http://www.fao.org/docrep/009/a0113e/
A0113E04.htm; http://www.idrc.ca/en/ev-67662-201-1-DO_TOPIC.html)。 動物福祉と自然での
水生生物の多様性とゲノムの域外保全という観点から懸念される状況があります。 しかるべき野生
地に長期的なスパンで再導入することも考えなければなりません。 地味な模様の魚に「デイグロー」
と呼ばれる人工的な色の蛍光塗料を注入するダイ - インジェクションという養殖業者の一般的な行
為も同様に動物福祉の問題として考える必要があります。
サンゴ礁と観賞魚と無脊椎動物の取引
水族館にいる熱帯海水魚と無脊椎動物は、イソギンチャクやエビ、軟体動物、カイメン、カニや美
しいサンゴそのものも(規制にしたがった造礁サンゴ、非造礁サンゴの両方)含めて、ほとんどすべて
がサンゴ礁やその周辺で捕獲採取されたものです。 熱帯海水魚のうちおよそ 25 種は甲殻類や腔
腸動物の数多くの種とともに商業ベースで養殖されていますが、野生で採取された数の方ががはる
かに多く、これは明らかに保全の問題をひきおこし、海洋観賞魚取引の積極的消極的側面について
は長期にわたる議論があります。 保全上問題のない場所を起源とする魚類、甲殻類、腔腸動物が
水族館に搬入され、館内で繁殖したのであれば問題はないので
レイク・マラウイ・シクリッドフィッシュ (チェスター動物園水族館) ©Steve Rawlins
すが、現実的には、それほど簡単ではありません。 繁殖のための
条件が十分に知られている種では、たとえ野生で採取したとして
も、少数ですみます。 飼育下での繁殖は、野生個体群にとって捕
獲圧を減少することになり、これによって地方レベルで野生種の
生息数と生息域を守ろうとする地元の人々の意欲や理由付けを
失わせてしまうことにもなりかねません。 例えば、道路建設の材
料を作るためにサンゴ礁の破壊は増加し、そのため海岸線の保
護は減少しています。 先住漁民がもつ伝統につちかわれた知識
をうやまい、利用すること、そして生活を営んでいく上での彼らの権
利や公正な取引の必要性と利益の分かちあいを守ることは、現
代の保全と持続性のための活動の重要な部分であり、 WAZA が
支援している生物多様性条約(CBD, http://www.cbd.int/)の下で
は、義務でもあります。
カクレクマノミ(Amphiprion ocellaris)と共生関係にあるイソギンチャク © Steve Rawlins
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
保全と生態系の回復
ほとんどの海洋種にとって、私たちの生物学的理解はまだ未成熟な状態にあります。 例えば、生
活史、繁殖行動や複雑な食性を含む生態的必要性、また外洋の種の幼生など。 短期中期的には、
このような状況は経済と効率の両面から考えても水族館で再現されることはないでしょうが、長期
的視野に立てば、保全と繁殖を目的として、域外でこのようなプロセスを科学的に理解し、定期的に
再現するということが絶対必要になるでしょう。 自然のサンゴ礁は地球温暖化に関係する白化、病
気や酸性化により重大な脅威に日々さらされています。 野生から救助した個体を使って、水族館で
の有性生殖を含め(www.secore.org 参照)、サンゴの増殖は可能であり,ある特定の種では,野生で
絶滅した場合の 「 保険」として利用できます(EAZA 研究戦略 2008 年)。 実際に、サンゴの植え付
けを通してサンゴ礁の再生について既に積極的に活動している水族館が複数あります。 他の多く
のサンゴ礁にすむ種は非常に多産で、大量に拡散するため、サンゴが生き残り、サンゴ礁周辺の漁
業が適正な範囲で行われている限り種の持続が可能です。 最後に、道徳的行動の義務を人々に
課すことで、人々はそれぞれのために海洋、海岸と淡水の資源をうまく管理し、持続的に使うことが
できます。 人間の開発行為と貧困の軽減は、水族館にとって全体的で統合された保全の協議事項
の一部としてあつかわれなければならないのです。
淡水域については、 2009 年 9 月 1 日から 5 日にかけて、ドイツのデュッセルドルフで IUCN-SSC
(4 つの専門家グループとヨーロッパ・ユニオンのライフプロジェクトとアクアズー・デュッセルドルフを
含む 12 の組織パートナーとともに)は第 1 回魚類個体群回復に関する国際ワークショップを共同
開催しました(出版未定 http://www.lanuv. nrw.de/alosaalosa/int/tagung_2009/index.html)。 こ
の ワークショップは河川、湖と汽水域の生息域の回復と遺伝子管理、消滅したか、または個体数の
激減している固有の魚種の再導入または補充を中心テーマとしています。 このような消滅または減
少は主に 18 世紀の後半から 19 世紀初頭以降に工業化された国々で発生している広範囲な汚染
と大規模な生息域の変動に原因があります。 サケ、チョウザメ、シャド、ウナギ、コイのような魚(コイ科
魚類)のような両側回遊性 魚
類については、自由な流れとス
ベルーガ(Delphinapterus leucas)と水族館生まれの赤ちゃん © Shedd Aquarium, USA
ムーズなつながりのある自然
のダイナミックなシステムの重
要性が強調されました。 – ウェ
ブサイト「ダイアドロム」 http://
diadrom.tripod.com/ を 参 照
してください。 回復については、
魚の孵化場と水族館での数多
くの機会をとらえ、域内外の両
面を見る組織の協力関係が大
切です。 例えば、デュッセルドル
フのアクアズーは IUCN のレッ
ドリストに掲載されている生き
たアリスシャド Alosa alosa の教
育的展示を初めて行い、国際ア
リスシャド -EU ライフプロジェク
トチーム(2007 年以降、 http://
w w w. l a n u v. n r w. d e / a l o s a alosa/en/index.html)のために
基礎を築き、資金を提供しまし
た。 結果として、この種の最初
の量産可能な孵化場がオープ
ンして、およそ 225 万匹の稚魚
が 2008 年と 2009 年にライン
川(汚染が減り、卵の生息域が
改善)に放流されました(Beek
et al., 2009)。 これにより、成長
したシャドがライン川を再び生
息の場とし、繁殖するという喜
ばしい期待をもつことができる
ようになりました。 同様のこと
序文
が他のヨーロッパのシステムでも応用され、150 年前と同じように経済的にも重要になってくるでしょう。
一般的に、多くの魚類や無脊椎動物の種が多産であるということは、一度その繁殖生物学が解明
されれば、域外でも必要に応じて、数百、数千、あるいは数百万単位で生産できるということになりま
す。 これは陸上の脊椎動物のかなり限定的な繁殖の可能性とは対照的です。
経済的に重要なケースとしては、 IUCN のレッドリストに載っているヨーロッパウナギ Anguilla
anguilla があります。 このウナギの回遊生態(Acou et al., 2009 印刷中)がかなり解明されたことで、
水力発電所のダムを管理している当局との協力体制が生まれ、発電所はウナギの回遊が予想され
るピークの時期にタービンを止めることになりました(多少の稚魚は域外で飼育されています)。 こ
のようにして、 13 カ所続いている電力プラントを下って、若い「シルバー」ウナギが海にたどり着くこと
ができるようになりましたが、運転を止めなかった場合、 37 から 82% は海に着く前に死んでいまし
た。 もしこのような事例が広がれば、保全に従事する人、生態学者と水力エンジニアの新しい協力
的アプローチは回遊魚にとって地球規模の大きな保全の可能性をもつことになります。 一般原則
として、明らかに圧倒的である工業や農業あるいは科学的で社会的な挑戦にはなりますが、野生
の種にとってのなんらかの緩和策は効果的であることもあります。 ヨーロッパの多くの水族館では
ヨーロッパウナギを展示しているので、この大切な第一歩について広く知ってもらう大切な機会となり
ます。 IUCN の SSC のボランティアスペシャリストグループをサポートし、採用している水族館もあり
ます。 例えば、北部イングランド動物園協会は IUCN SSC / WI の淡水魚類専門家グループの協力
支援をしています。
破壊的漁業と福祉基準の改善に関する活動
過去 10 年以上にわたって破壊的な漁法への意識が高まり、 WAZA とパートナーはこの問題に
ついて取り上げる努力をしてきました。 資金提供を受けたプログラムでさらに有効な取引データの収
集と分析が始まりました。 水族館の協力を多く得ながら「禁漁」エリアと保護区域(海洋と淡水)が設
定されました。 地元の漁師をトレーニングして、危険な化学薬品や爆薬を使わずに、タモ網を使って
手で漁ができるようにしました。 また、輸送中や水族館で死亡する確立の高い種の取引は意識的
に禁じられています。絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の規定(CITES
附属書 I 参照)にしたがい、環境に適合し、福祉にのっとった方法で動物が集められたことを証明す
る包括プログラムが開発されています。
虐殺的漁法によって自然のイルカを捕まえるような不適切な行為を含め、 WAZA とメンバー協会
は高いレベルでの動物福祉と保全活動を展開しています。 現在のところ、少なくともひとつの動物
園協会の地域では、 75% のイルカが水族館で繁殖し、 15 年以上の間自然のイルカは一頭も捕ら
えられていないということです(アメリカ動物園水族館協会 – AZA2009 年データ)。 審査を受けて公
認された施設は海生哺乳類のレスキュー、獣医学的ケア、リハビリとリリースの指導的立場となって
います。 悲しいことに、このような取得困難な技術は今となっては絶滅しているヨウスコウカワイルカ
Lipotes vexillifer を救うには遅すぎましたが、将来予想される同様の絶滅の危機に瀕している種に
は当然適用されることでしょう。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
国際水生保全モデルプロジェクト
分類学的にも幅広い分野で無数のよい例が報告されています。 プロジェクト・シーホースはその
優秀な積極事例です。 始まりはフィリピンのコミュニティーをベースにした保全活動で、国際的に広
がり、現在では水族館と強いリンクをもつようになっています。 タツノオトシゴは観賞用、美術品や特
に漢方薬での需要から世界的に捕獲されています。 水揚げ総数は未確認ながら年間 2000 万匹
に達しています。 地場産業として、また地域的に見ても、長年にわたるこの種の乱獲は深刻な影響
をもたらし、 CITES 附属書 II にタツノオトシゴ全種が入り(補遺 I 参照)、さらに水族館コミュニティー
のなかで海水魚類として国際的に管理される初のプログラムとなりました。 プロジェクト・シーホース
はフィリピンやその他の地域にある地元のコミュニティーと一緒に任意の海洋保護エリアを設定して
漁獲量を管理し、観賞用や薬としての取引のためのタツノオトシゴの簡単な養殖を指導して持続可
能な環境基盤を作り上げるものです。 水族館コミュニティー (研究機関、協会
と分類群アドバイザリーグループ)はこのような活動を協力にサポートしていま
す。結果、これらの活動は評価を得、また自然に良好なインパクトを与えています。
これらの水族館は生物にとって最も望ましい飼育方法を確立するために活動
を続け、一般の人々や関係者にとって教育的で効果的な説明の場を作り上げて
います。
WAZA と IUCN SSC 両生類保全アドバイザリーグループによる「両生類の箱
舟」(AARK)の設立は、世界の動物園、水族館、植物園、自然博物館やその他の
パートナーが主導した別の事例で、絶滅危機の勧告の場となっています(www.
amphibianark.org 参照)。 WAZA コミュニティーの責任ある水族館は今、進歩
し続ける保全と持続性について主導する上で大変重要な役割をになっています。
WAZA 自体は国際的な政策展開および保全と持続性のプロモーションを積極
的に推進しており、またバルセロナで開催された IUCN 世界保全会議で代表とな
りました。 ここで WAZA は賛同を得て水生生物に関する以下の活動の共同スポ
香港のマーケットでのタツノオトシゴの分類トレーニング
© Amanda Vincent, Project Seahorse
ンサーとなりました。 CGR4.MOTO21 – 両生類の危機の回避、 CGR4.MOTO23
– 世界種会議、 CGR4.MOTO33 – サメに対する効果的なヨーロッパ活動計画、
CGR4.MOTO34 – 回遊性および外洋性のサメの保全、 CGR4.MOTO54 – 生物
資源の維持可能な利用に関する委員会の枠をこえた合同委員会。
『ターニング ・ ザ ・ タイド』 の構成、 内容と目的
以下に続く 9 つの章は WZACS (2005 年)の原文の流れと内容にしたがったもので、上記の詳細
な序文のほとんどを反映しています。 含まれている項目は、統合保全、野生個体群の保全、科学と
研究、個体群管理、教育および研修、コミュニケーション・マーケティング・広報、パートナーシップと政
策、持続的な資源利用、倫理と福祉です。 世界の水族館コミュニティーは、各章ごとの内容に対して
全体的な対応を提示しています。 その対応は特に域内での実施とともに域外で実行されている保
全活動との間の密接で重要な関係について強調したものになっています。
以下に続くのは、各章のセクションごとの活動リスト(すべてを網羅してはいない)で、独立した水族
館から国立または地域の水族館または動物園協会において、全体のなかからそれぞれのレベルに
あわせて採用できます。 要するに、水族館、国内と地域の協会およびパートナーは、それぞれの活
動において、 WZACS のビジョン表明と勧告、水族館コミュニティーの対応と活動リストをしっかりと
念頭におきながら、保全と持続性の実効性を最大とするように活動していただきたい。 そうすること
によって水族館は、「SMART」という目標を組みこんだ独自の明文化した水族館計画を展開していく
ことになります。 これによって、明確で、測定可能、達成可能で現実的かつ時間を決めた達成目標
が設定されることになります。
『ターニング・ザ・タイド:保全と持続性のための世界水族館戦略』にある深い意向に応えるべく、
WAZA のメンバーとパートナーは水生環境とそこに生息している素晴らしい生き物たちを守り支援
する方法を見つけ、よい方向に進展するように鋭意努力をしています。
11
戦略
ロングスナウテッドシーホース(Hippocampus guttulatus)。 この種の分類と保全に関する研究は 14 の水族館からなる
団体の支援を受けています © Tashin Ceylan ‘Guylian Seahorses of the World’ photo competition
12
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第1章
統合保全
ビジョン
「動物園水族館の主要な目的は、保全に関する活動をすべ
ての面で統合していくことです。 それぞれの組織文化の基
本要素は、持続性と保全の価値にあり、そして社会と環境に
責任をもつことです。 この価値は活動地域すべてに浸透し、
WAZA ネットワークでの活動を推進していきます。」
2005年世界動物園水族館保全戦略
五大湖の海岸掃除(シェド水族館・アメリカ)
統合保全
勧告
アメリカマナティー (Trichechus manatus) © Nuremberg Zoo, Germany
1.1 世界動物園水族館保全計画(WZACS)は、
それぞれの園館における団結力と戦略的思考
を最大限にし、他機関との協力体制も最大限に
することにより、統合的な保全を実施し、財政な
らびに人的資源を慎重かつ有効に活用するよう
呼びかけます。 これにより、絶滅の危機に瀕し
た種やそれらの生息地およびそれらに隣接した
人々のための最もすぐれた持続可能な保全利益
をもたらします。
対応
すべての水族館や国または地域の協会とパー
トナーは、 WZACS のビジョン表明(上記と下記)
と勧告を深く考慮に入れつつ、自らが行う保全や
持続可能性の価値を最大にしなければならな
い。 そうすることによって水族館は、「SMART」と
いう目標を組みこんだ独自の明文化した水族館
計画を展開していくことになる。 これによって、明確で、測定可能、達成可能で現実的かつ時間を決
めた達成目標が設定されることになる。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 水生環境の問題について広く一般に知ってもらうために、最重要種の利用について考える。
■ 商業的漁業、レクリエーションならびに大規模漁業において、さらに教育、物販と料飲を含むすべ
ての水族館の運営において「環境にやさしい」持続可能な資源利用の重要性を強調する。
■ 例えば、適切な解説などを通して水生領域の保全と持続可能なプロジェクトにつながる展示を工
夫する。
■ 水生と陸生の生息域(とそれぞれの保全活動)の間の密接な関係を強調する。 例えば、海洋、
汽水域、淡水域の保全は効果的な陸地の保全と密接に結びついていなければならない。
■ しかるべき関連フィールドプログラムについて専門知識とサポートを提供する。
■ 水族館とフィールドプログラムを統合して、価値のある地球規模の水族館関連プロジェクト、例え
ばプロジェクト・シーホース、両生類の箱舟や SECORE/ サンゴ動物園プロジェクトのようなプロ
ジェクトを実質的にサポートする。
■ 保全事業や他の国際的な自発的水生保全グループまたは機関、例えば IUCN SSC の分類群お
よびテーマ別専門家グループを実質的にサポートする。
■ 水族館を『生物多様性対水資源』の問題がある活動の関係分野に参加させる。 例えば、環境
インパクトアセスメント、河川流域、または海岸ゾーンの管理、汚染コントロール、都市再生や持続
可能な海産物の利用を対象としている特定の地域、国家的および国際的プログラムにおける
ケースなど。
■ 地方の水生生態系を監視し保全するために地元の管理機関やコミュニティーと協力する。
■ ボランティアをリスト化して協力を依頼し、メディアの宣伝効果を得ながら、地方の水生環境を直
接的に保全し、実際的なプログラムを開発し、 1 年に少なくともひとつの海岸、川、または池のク
リーンアップを行い、よい結果に結びつける。
13
14
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第2章
野生個体群の保全
ビジョン
「動物園水族館は、野生動物やその環境の保全において、
その職員や活発な野外での研究者の支援によって、世界的
な保全の重要な力となります。 動物園水族館は、施設内で
の繁殖、移動、再導入、野生動物の健康、調査、研修、教育
から得られた知識、技術、そして資源を提供することによって、
野生での保全に今後さらなる貢献をしていきます。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
漁業者とプロジェクト ・ シーホースの生物学者がフィリピンのハンドゥモン
海洋保護区で調査の準備をしている © Amanda Vincent, Project Seahorse
野生個体群の保全
勧告
2.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、
すべての動物園水族館に野生での保全支援活
動に関心をもつように呼びかけます。
アマゾン川で保全の目的でサンプリングを
するブライアン・ズィマーマン(ロンドン動
物園協会・水族館係長) © ZSL, UK
対応
すべての水族館や国と地域の協会とパート
ナーは、フィールドでの保全の努力において有
効な役割を果たし、その戦略的優先性を考慮し、
予算と人的資源ならびに出資者との関係におい
て適切に協力をしなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会
とパートナーは:
■ 域内保全戦略と計画について他の国際的な
組織(CI 、 FFI、 WI、 WWF のような)および
条約(CBD やラムサールのような)と緊密に
連絡をとりあい、これを支援し、また水生保全
グループや機関、ならびに IUCN SSC のいくつかの分類群およびテーマ別専門家グループと直
接かかわる。
■ 少なくとも最低ひとつの大きな域内プロジェクトを正式にサポートする政策を採用して、専門知識、
研修、説明、教育を展開し、キャンペーンや資金集めを行う。
■ 域外の水族館としての専門知識が適切かつ効果的に水生領域の保全問題に応用される方法
を考える。 このなかには種の保存、例えば種の維持、専門知識の収集、輸送、再導入や移動、補
助再生、遺伝子資源バンキングや冷凍生物学における科学的な研究または技術的援助を提供
することによる種の保存方法、または必要に応じ現地に出向くフィールドワークの組織化による
方法などがある(標準的なリスクアセスメントにしたがう)。
2.2 WZACS は、 WAZA やその地域、各国の協会に加盟している動物園水族館は各国、地域、地
方の種保存計画(例えば、 SSP、 EEP)または生物多様性行動計画(BAPs)や、同様の種や生息域
の回復プログラムを含む保全計画・活動に焦点を絞り、まだ計画が立ち上がらなかったり、効果がな
かったりする場合は、その組織は、(再組織化も含めて)保全支援活動を伝授・支援され、強化される
べきだという見解をとります。
対応
水族館とその協会は次の内容について理解をする。 有力な保全機関(政府または非政府)は飛
躍的な進歩をしている一方、各種の世界的、地域、国および地方のさまざまな(域外と域内の構成要
素を含む) BAP は、「上位の」海生脊椎動物の分類群、海水魚類、淡水魚類と水生無脊椎動物につ
いて全般的に進展の程度が低く、調整が不十分である。 このようなアクションプランの開発、調整に
ついては、世界、地域、国と地方レベルで、水族館と該当する水族館協会がパートナーシップによる
援助を申し出ることを提言する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協
会とパートナーは:
■ 水族館の運営について環境に配慮した責任
ある姿勢「水族館は野生での種の生存に影
響を与えない」などの表明をする。 例として、
水族館につながる外部水路への廃水を管
理徹底し、偶発的な外来種(帰化の可能性
あり)または病原菌の放出を排除する。
オスのポトシパプフィッシュ (Cyprinodon alvarezi)。 この種は自然界では絶滅している © Heiko Kaerst
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
■ さまざまな形式、または適切な流れのなかで、
アカガエル (Rana dalmatina) の野生への再導入(ジャージー)
© Richard Gibson, Chester Zoo, UK
水生の BAPs の開発と実行を容易にするた
めに、適切な連携を行う。
■ 全国および地域の水族館と動物園の分類
群アドバイザリーグループ(TAGs)に参加し、
種、個体、目標個体数の規模と参加水族館
について特定の勧告があるものについて、繁
殖の危機にある 種のための(地 域収 集計
画)協力戦略の開発を援助する。
■ 『変化する世界の野生 : 2008 年 IUCN 絶滅
危 惧レ ッド リスト の 分析』(http://www.iucn.
org/about/work/programmes/species/red_
list/review)を参考にする。
■ さまざまな IUCN SSC 専門家グループととも
に作業をし、現在データ不足(IUCN Red List,
2009.1)としてリストにある 645 種の魚種の目
標部分のレッドリストの状況を把握する手助
けをする。
■ IUCN レ ッ ド リス ト(13 種 EW, 289 種 CR,
269 種 EN, 717 種 VU, 255 種 NT [IUCN
レッドリスト, 2009.1])に絶滅危惧、または絶
滅危惧に近いとして評価されているすべての
魚類を調査し、域外管理を適用する種を決
定する。
■ 小規模個体群の遺伝子管理、保全計画(例えば、個体数と生息域の生育能力分析または
PHVA)について、 IUCN 保全繁殖専門家グループの専門スキルを活用する。
■ 魚類の個体群の新しいイニシアチブを開拓している EAZA の EPMAG (ヨーロッパ個体群管理グ
ループ)に相談をする。
■ 水族館内で絶滅危惧または「モデル」種を繁殖(ただし、繁殖が妥当で、法的条件、取得、動物福
祉について厳格に法律を遵守している場合のみ)させて、野生種の保全をサポートする。
■ 水族館で遺伝学的および統計学的に生育可能な個体群として絶滅種を維持し、さらに政府が
承認した再導入と移動の試みに積極的にかかわることにより、野生で絶滅している種の回復に
積極的な役割を果たす。
■ 有意義で、公的な支援があり、効果的に運営されている関連フィールドのプロジェクトに地方の水
族館、国または地域の協会を参加させる。
2.3 WZACS は、動物園水族館が野生復帰や個体群移動計画を実行する際には園館独自で活動
するのではなく、特に主催国の他の施設や特定の政府関係官庁、関連する IUCN SSC 専門家グルー
プ、他の政府、非政府保全関連組織と協力して活動することを強く要請します。
対応 :
水族館は再導入または移動プログラムが IUCN と国の政府ガイドラインに一致して行われなけれ
ばならないということを十分に認識すること。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ いかなる再導入、移動、リリースの提案に先立って、 IUCN 再導入専門家グループからのガイダン
スにしたがう。
■ 再導入プログラムを実施する場合、政府関係部署、 NGO と地域の協会と密接な連携をとる。
■ 保全と再導入プログラムでは生物多様性重要地域(「ホットスポット」)とその他の認定ずみ優先
保全エリアを考慮する。
■ 余剰ストックの廃棄については各機関の政策を定期的に精査する。 それが適切で完全に許可
されている状況である場合を除けば、野生へのリリースが許されない場合があるからである。
■ ひとつの水族館協会につき保全を目的として、少なくとも一件の公的な支援のある再導入プロ
ジェクトの妥当性について評価計画をする。
野生個体群の保全
2.4 WZACS は、野生での保全の仕事のためのスタッフを募集して、研修をさせ、サポートすることの
できる動物園水族館を力強く支えていきます。 また、動物園水族館とパートナーである施設が野生
保全専門家のための研修コースを整備することを支持し、そして他園館に独自の研修コースを立ち
上げるように勧め、あるいは既に実施されているコースへ援助することを勧めます。
対応
水族館とその協会は自分たちのスタッフ、ならびに可能であって、妥当な場合、他の保全専門家に
ついても研修やその他のサポートを提供しなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 資源管理にたずさわる人員のために、例えば種の基本的な識別、サンプリング技術またはその
他の保全と持続性に関係する項目に関して、ひとつの水族館協会につき少なくともひとつの研修
コースのサポートを提供または計画する。
■ 運営管理や科学担当者および学芸員と飼育スタッフにフィールドでの保全活動に積極的に参加
するように勧め、また「職場での」経験を重ねることで他の同僚との情報交換により実際的利益
をすぐに得ることができるようにする。
2.5 WZACS は、国と地域の協会ならびにすべての動物園と水族館に、額の多少を問わず、野生保
全のための資金調達に積極的にかかわるように呼びかけます。
対応
水族館は野生での保全のために積極的に資金調達を行い、これらの資金を有効性が高く、優先
性の高いプログラムとターゲットとしているプロジェクトのために充当する。 あるいは、パートナーが
運営している同様の重要なプロジェクトにあてる。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 少なくともひとつの水生領域の保全または持続可能なプロジェクトを採用してスポンサーとなり、
この特定のプロジェクトの資金調達をする。
■ 優先エリア全体において水生領域の保全ならびに持続可能なプロジェクトについてバランスのと
れた代表者となるために他の保全機関(国、地域または世界レベル、必要に応じて対応)と緊密
な連携をとる。
■ 他機関とのパートナーシップや連携をする上で、資金集めや啓発キャンペーンを展開することを
考慮する。
■ IUCN SSC の水生専門家グループの採用、後援と資金提供について考慮する。
放流準備中のシロワニ(Carcharias taurus)(ツーオーシャンズ水族館・南アフリカ) © G. Spiby
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
2.6 WZACS は、動物園水族館が絶滅の危機にあるその土地の固有種の生息域を提供するという
考えをもって、自分たちの活動場所の存在意義を高めることを提案します。
対応
水族館は、自分たちが活動する場所に生息する種について考慮しなければならず、それらの場所
の水生環境や湿地環境が、持続可能で責任ある理想的な方法で管理されていなければならない。
また、自分たちが活動する場所が、水生動物や両生類または、植物(水中または抽水)の種が群居
できる生息地となるように対応しなければならない。 また、それらの場所が、しかるべき生息地として
一般の人々がアクセスできるようにするか、または、そこに生息する種に関することも含めて、水族館
内での展示で一般向けに説明をする。
活動
水族館とパートナーは:
■ 水生生物や沿岸性生物種の生息域の保全が行われていることを定期的に確認し、水族館の活
動場所と水族館の景観計画に含まれる地域が土地開発上問題ないことも確認する。
■ 水族館の活動場所や水族館の景観計画に含まれる地域内の生物多様性の主要区域やその
他の優先保全地域が適正に管理されるように地方の保全組織との連携を密にする。
2.7 WZACS は、地域または各国の動物園協会はそれらのメンバーによって実施されている保全
活動の成果を評価する方法の考案および手段に時間をさき、予算を計上することを勧めます。
対応
水族館は保全プログラムのインパクトの評価が長期的保全の実現推進にとってきわめて重要で
あるということを認識する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ ISIS-ZIMS のような国際的な保全データベースを活用しこれに貢献する。 これらは公共機関や
地域の協会(例えば AZA、 EAZA)が電子的に保存し運用している。
■ 公共機関のデータの照合と収集をうながし、保全と持続性についてなされている相対的かつ全
体的貢献について実効性と資金の面から定期的に評価し判断する。
第 2 回淡水魚識別と保全に関する全国トレーニングコース(フィリピン) ・これはチェスター動物園・FFSG が支援している © Claudine Gibson Chester Zoo, UK
野生個体群の保全
■ 収集したデータを責任のある保全組織ならびに担当組織に提供し、協力の相乗効果と機会を有
効に活用する。
■ それぞれの機関がどの程度一般とのかかわりのなかで影響を与えているか、ならびにどの程度
積極的な生活スタイルと行動に変化がもたらされているかを判断するツールを開発する。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第3章
科学と研究
ビジョン
「動物園水族館は、ひとつの研究コミュニティーとなるべく一
体となって積極的に活動し、真剣に取り組む尊敬される科
学的研究機関として一般の意識を高め、科学の理解をおし
進めることで世界の野生生物のために大きく貢献し、ゆるぎ
のない科学的決定を行います。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
キハダマグロにタグをつけている研究者(アメリカ・モントレーベイ水族館とアメリカ・スタンフォード大学) © Scott Taylor
科学と研究
勧告
3.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、すべての地域および国際的な関連組織に対し、各
組織で行う研究を継続して記録整理し、その情報を開示し、保全に応用するために新しい科学分野
の出現に注意をはらうことを勧めます。
対応
水族館は関係する生物の研究を行うか支援し、水族館およびさらに広範囲なコミュニティーに、例
えばウェブ、出版物やのその他の広報手段を使って公開する。 研究プロジェクトやリポートについて
は地域の協会に登録しなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域レベルでの研究プロジェクト登録制度の確立を推進する。
■ これらの研究プロジェクトを他とリンクさせ調整するために世界水族館フォーラム、世界水族館
会議、 WAZA やその他のネットワーク(WON, WOP, IAF) を活用する。
■ 研究セッションや技術報告書を地域の水族館会議プログラムに取りこむ。
■ 地方の大学や他の研修機関との関係強化を推進する。
■ 科学的な報告書を定期的に作成し配布する。 可能な限り研究結果を学術専門雑誌に発表する。
■ 絶滅危惧種(IUCN レッドリスト)または水族館コミュニティーにより域外管理されている「モデル」
種を考慮し、生物学一般、飼育、病気、健康管理と繁殖に関する(多分重要な)情報は速やかに、
また効果的に記録し、情報を他に発信する。 これは例えば、国際種情報システム(ISIS)やウェブ
の活用、また印刷物としての記事やガイドラインにより行う。
■ 可能な限り、他の組織との協力関係を築き、他地域での研究に参加することを検討する(必要な
リスク評価や安全予防措置にしたがう)。
3.2 WZACS は、動物園水族館が直接行う研究や、研究施設単独、ないしは共同研究に関し、各自
の必要性に応じた優先順位をつけることを勧めます。
対応
水族館では環境または群れの状態が自然に近く、動植物の種の数も十分に確保されているため、
また必要によってはさまざまな条件をコントロールできることから、個々の水族館には域内での種に
関係する研究を受入れる体制が広く整っている。 さらに他の組織と協力して国内外の域内での水
生に関係する研究プロジェクトを展開する発展的能力ももちあわせている。 研究教育と研修は水
族館教育プログラムと学生プロジェクトを通してどこでも実施することができる。 動物園水族館協会
は現在展開している能力や受入れ体制をさらに充実させ、特に他の組織と協力して、資金が投入さ
れている研究活動を推進し、調整する必要がある。 特にヨーロッパ動物園水族館協会は、 WZACS
(WAZA 2005 年)への直接的対応として、『動物園水族館の研究能力の開発 : EAZA 研究戦略』
(EAZA 2008 年)を出版した。 この詳細な戦略文書の中には、特定の水生研究の識別化と優先化
を目的として、簡単でさまざまな状況に応じて個別に変えられる一般研究活動計画が含まれている
(http://www.eaza.net/)。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 水族館や動物園からの出版物を利用し、特に『動物園水族館の研究能力の開発:EAZA 研究
戦略』(EAZA 2008 年)を参考にしながら、組織または地域の研究戦略を準備する。
■ WAZA ネットワークによるものも含めて、研究の優先性を明確にし、これらを会員に通達する。
■ WAZA ネットワークを通して研究成果を監視し、優先課題が取り組まれているかどうかを確認する。
■ 優先課題に対応する組織的研究能力と計画を発展させる。
3.3 WZACS は、世界の動物園水族館組織に対し、データベースと動物園の保全事業を助ける情
報バンクを設立し、その利用者を広めていきます。 特に WAZA ネットワークと国際種情報システム
(ISIS)には、最終的には動物園情報管理システム(ZIMS)が、すべての WAZA メンバーと WAZA 地
域組織のメンバーにとり、共有できる重要なシステムとして活用していくようにします。 さらに、すべて
の地域組織が ISIS’ZIMS プロジェクトの国際的な参加者となることを求めます。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
対応
水族館は国際的に標準化された包括的記録保持システムとして ZIMS の使用を支持し、システム
構成要素の一部を水族館仕様とし、ひとつの個体群のなかでの比較的大きな数の個体の管理にう
まく利用する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ ISIS を支持、推進、参加して、可能なかぎり ZIMS を支援する。
3.4 WZACS は、各園館に対し、現状よりも、保全に直接関係した分野の研究に予算のより多くを振
り分けるよう勧めます。 加えて各園館は独立して、または協力して外部から研究資金を得られるよう
働きかけるべきです。 このような働きがけを補助するため、 WAZA と各地域組織では、資金源や利
用方法に関する情報を収集しなければなりません。
対応
水族館は保全にとって最も望ましい域内外の研究プログラムをサポートしなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 水族館は、館内で収集されている生物を使って、域内の種の保全計画に特に役立つ技術開発を
する。 例えば、トラッキング、個体にやさしいヒレのクリッピング方法(倫理的で、動物福祉にした
がい、法令遵守されている)など。
■ ひとつの水族館につき少なくともひとつの域内外の研究プロジェクトを支援または開発する。 こ
れは、不必要な研究の重複、状況の複雑化、非生産性の可能性をできるだけ小さくおさえ、共同
利用や貢献を通して追加的な資金を投資する機会を最大にするために、現在進行中の保全組
織、大学、または研究機関と協調して行われるべきである。
3.5 WZACS は、動物園水族館および関連する研究機関に対し、研究結果を分析し、学術雑誌に
発表することを勧めます。 また、文献目録を編集し配布したり、関連雑誌やニュースレター、ウェブサ
イトに短報やレビューを掲載し、研究結果を公表することを推進します。
対応
水族館は組織だった専門の研究をすることを旨とし、その成果を水族館コミュニティーなどが広く
利用できるようにする。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 正式な専門的研究の成果を学術雑誌に掲載する。
■ 水族館の飼育、管理と繁殖の貴重な情報について、『一般の』読み物や通常の雑誌に掲載する。
■ 水族館の獣医やスタッフによる記事、例えば希少種の繁殖、または水生疾病治療に関する記事
を該当する専門雑誌、ニュースレターやウェブサイトで発表する。
■ 獣医師であるスタッフを奨励し、支援しながらフィールドでの活動に参加させ、獣医学が必要な
フィールドでの保全プロジェクトをサポートする。
■ 域内外における調整プログラムにかかわるすべての種について生活史の基本データと寿命
データを収集する。
■ 実 施 した種の年 次 調 査と 活動 を 国 際 デ ー タベース に提 供 する、例 えば ZIMS, FishBase,
Census of Marine Life など。
■ 保全コミュニティーのなかでの学習を推進するために保全の介入に関する成功と失敗について
公表する。
科学と研究
絶滅に瀕している水族館育ちのレッドライントーピードバルブ (Puntius denisonii ) © Colin Grist, Chester Zoo, UK
3.6 WZACS は、組織、地域と世界レベル、またはそのいずれかで、動物園で行われている研究に
対し定期的な規律に関する評価が行われることを要求します。 これらの評価は、指定されている研
究の優先度の進展を記録し、必要に応じ、優先性の評価と見直しを行わなければなりません。
対応
水族館はこのプロセスを強く指導する立場にあり、世界の水族館コミュニティーのために研究の
優先度を設定する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ できるだけ速やかに組織の研究方針を設定する。
■ 組織的な監査のプロセスを開発し、組織的な研究方針の展開に沿って実施されている研究を評
価し、地域の研究評価チェックシステムを確立する。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第4章
個体群管理
ビジョン
「すべての動物園水族館は、小規模な個体群の管理とその
利用に関する学術研究の重要な中心施設となり、そして、世
界的あるいは地域の共同繁殖計画に参加することになる
でしょう。 そのようなすべての計画は、個体群管理、繁殖生
態学、遺伝学、行動学、栄養学、獣医学的な管理そして畜産
学の最新データを用いたしっかりとした知識にもとづいてい
ます。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
オウサマペンギン ( Aptenodytes patagonicus ) © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
個体群管理
勧告
4.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、動物園水族館における絶滅の危機に瀕した種のす
べての繁殖プログラムは、一連の特別なプログラムをなしとげることを目的とした世界的あるいは地
域的な協力プログラムとして実施されることを勧告します。 地域的プログラムは、世界的な保全戦
略と互いに連携をとらなければなりません。 世界的あるいは地域的な血統登録台帳または同様な
データベースは、絶滅の危機に瀕した種のために持続されていく必要があります。 可能である場所
では、絶滅の危機に瀕していない種のための繁殖プログラムもまた、監視および管理されなければ
なりません。
対応
水族館は管理された繁殖計画の価値を認め、これらの繁殖計画が、陸生の動物園で多く見られ
るように、高いレベルの達成度にいたるまで展開されていることを確認する必要がある。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ すべての水族館が WAZA および地域と国の動物園水族館協会、または両者のいずれかの会
員となるよう勧める。
■ 「計画動物」を所有しているすべての水族館が現在進行中の地域または世界の計画に参加し、
地域および国際血統登録台帳のなかで活動することを確実にする。
■ 絶滅危惧種に関する地方、国、地域または世界の評価は適切な保全計画が実施されている場
所で必ず実行される。
■ 最先端の水耕栽培技術を使い、動物保全計画と同様、水生植物を守る機会を考える。
4.2 WZACS は、動物園水族館が関係するすべての繁殖計画は、目的、状況、可能性に関して量的
に、そして、客観的に評価されなければならないことを勧告します。
対応
すべての繁殖計画を定期的に厳格に評価することが必要で、このために段階的に高くなる評価
基準の確立が必要であるということに水族館は同意する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域または全国の協会、さらに特に関心のあるグループは、すべての繁殖プログラムについて定
期的に徹底したチェックを必ず行い、適切で可能な場合、「メタ個体群」管理にたずさわりながら、
繁殖プログラムを野生での個体数の状況と関係づける。
■ 地域の協会を後押しして、世界的な種の管理計画、またそれが妥当な場合には国際血統登録
台帳の作成に向けて活動をする。
■ 絶滅危惧種の生息域の国々で保全問題の現場に近い場合、機会があれば、現場での繁殖プロ
ジェクトの開発や支援を検討する。
4.3 WZACS は、すべての繁殖プログラムが個体群管理、繁殖生物学、遺伝学、動物行動学、栄養
学、飼育基準の最新の利用可能な知識を用いた科学と管理にもとづかなければならないということ
を強く勧告します。
対応
水族館は最高の結果を確実に得るために、すべての分野の専門家が繁殖計画に参加すること
に同意する。 絶滅危惧種ではない種についても効果的な活動ができるようにする。 希少なカイメン、
サンゴやクラゲなどの群生生物の繁殖については特別な配慮が必要である。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 科学的組織、私的な水族館取引(例えば OFI)、養殖産業、個人の水族館マニア、またはその他
のしかるべき専門家が繁殖プログラムへのパートナーとして貢献することを、関係性と可能性が
ある場合において受入れる方向で判断する。
■ 獣医業務、品質管理、関係する飼育マニュアルの作成と適切な普及、血統登録台帳や種または
個体の管理実施計画が正しく運用されているかを把握確認する。
■ 発表されている報告書、記事ならびに学術雑誌論文の内容を共有する。
■ 安全衛生環境(SHE)リスク評価にしたがい、研究機関(博物館、大学、冷凍バンクなど)に組織材
料を提供する。 これは個体、種やさらに高いレベルの分類学や系統学の利益に供するためであ
る(これらの研究結果は例えば、ジーンバンクでの発表などを通して一般に入手可能となる予定)。
■ 「冷凍された箱舟」(www.frozenark.org)組織と「両生類の箱舟」(www.amphibianark.org)が運
営しているバンクも含めて、冷凍組織(生物試料保存またはゲノムリソース)バンクに可能な限り
貢献する。
4.4 WZACS は、押収された動物を受入れる前に『押収および没収された動物の受入れに関する
WAZA ガイドライン』を参考にすることを、すべての動物園水族館と地方・地域・国家機関に浸透させ
ます。
対応
水族館は、押収された動物の受入れを真剣に検討している場合、保全に最も利益となる倫理的
方法で「押収および没収された動物の受入れに関する WAZA ガイドライン」にしたがって行動するこ
とに同意する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 「押収および没収された動物の受入れに関する WAZA ガイドライン」の内容が地域の協会に理
解され、受入れられていること、さらにはそれぞれの会員組織にも同様に広く受入れられているこ
とを確認する。
■ すべての水族館は地域の保全機関、関税当局やその他の規制団体(例えば野生生物取引モニ
タリング NGO、 TRAFFIC)との良好な関係を開拓し、上記当局にこのガイドラインを提出し、常に
接触を維持するよう配慮する。
■ 買取りの申し出があった場合には、そのような売買が CITES の規制に反していないか、またはそ
の他関係する保全や法律規則に違反していないかを確認する。
4.5 WZACS は、特に群れ管理をする分類群(例えば魚類や無脊椎動物、微生物)、または病気のよ
うな特別な問題を解決する種について個体群管理の科学的な進展をサポートし続けるよう、すべて
の動物園水族館に訴えます。
対応
水族館は現在進行中の実用的かつ高度な個体群管理ソフトウェアの支援に同意する。 このソフ
トウェアはアクセスが容易で水族館として導入するのにふさわしい。 水族館には水生種の連続した
世代を管理し記録する特殊な作業があり、これについては、かなりの数の個体が対象となっている
ためである。 また、コロニー、あるいは、ある種のイソギンチャク、サンゴ、クラゲ、カイメンや外肛動物
などは群体として存在している場合もある。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ すべての水族館は国際標準となっている動物園情報管理システム(ISIS-ZIMS)(下記参照)に参
加し、積極的にこれを支援し、情報提供をすることが望ましい。
■ 魚類については EAZA/EPMAG 管理活動を支援し、これに貢献する。
個体群管理
4.6 WZACS は、収集動物の重要な記録をとり続け、そして、タイムリーで包括的な方法において、
ISIS データベースと血統登録台帳にデータを登録することを、すべての動物園水族館に浸透させま
す。 WAZA と地域の協会は、これを全世界的に取り組むために発展途上国の園館にとって経済的
に可能な方策を探していかなければなりません。
対応
水族館は正確なデータベースを維持することと承認されている血統登録台帳に定期的にデータ
を送ることの価値と重要性を認識する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ できるだけ速やかに ZIMS プロジェクトに入り、これを支援し、積極的に参加する。
■ 経済的な支援とトレーニングプログラム、またはそのいずれかを通して、発展途上国の水族館を
ZIMS に参加させるために補助する。
4.7 WZACS は、 IUCN SSC の分類と種の収集に関する専門家グループの協力のもとに作成されて
いる地域的または世界的に認知されている保全優先度に収集計画がリンクするようにすべての動
物園水族館に呼びかけます。
対応
水族館は地域の協会と保全組織との結びつきで、認定された保全優先度にかなった生物収集
計画が可能になるということを理解する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域の協会は承認された保全担当機関の協力のなかで主要な保全優先度を決定するというこ
とを確認する。
■ これらの主要な保全優先度はそれぞれの会員ベースと活動グループに効果的に確実に伝えら
れるようにする。
■ すべての水族館がこれらの認定された保全優先度にしたがって生物の収集を展開するように勧
める。
■ 収集生物がどのように保全優先度に対応しているかを監視し、状況について報告を上げる。
ハミルトンガメ(Geoclemys hamiltonii)。インド、ネパール、パキスタンとバングラデシュ原産のこの愛嬌のあるカメは CITES の附属書 I に入る予定であるが、広く乱獲されている。現在、
IUCN レッドリストに絶滅危急種として入っている © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
27
28
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
■ 収集生物と計画のデー タを外部の保全組織に提供して、必要に応じて、 IUCN レッドリスト、
ZSL-EDGE データベース、アライアンス・フォー・ゼロエクスティンクション・バイオダイバーシティ・
ホットスポット・インデックス、 WWF 生きている地球インデックスレポート、 TRFFIC データベース
や世界生物多様性データベースのような世界的データベースに入れる。
4.8 WZACS は、動物園水族館の施設間で行われる動物および遺伝物質の輸送に関する手続き
が、できるだけ速やかに完了するよう法律制定者と実務者に要求します。
対応
水族館の施設間で行われる動物と遺伝子材料の輸送における法律と手続きが、速やかにまた
実態に即して適用される必要があることを認識する。 これは、輸送時の福祉水準を維持改善して
域内外における保全の利点を最大にすることを主に目的としている。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ Balai 指令、 CITES や IATA 規制のような現在の法律規制ならびに国際的に受入れられている
輸送手続きを遵守する。
■ 改善された輸送手続きと法律を進展させるために関係当局との連絡フォーラムやワーキンググ
ループに参加する。
■ 輸送手続きと関連する法律を必要に応じてさらに改善し、新しくしていくために関係当局を参加さ
せる。
■ 冷凍材料の輸送については、「凍結された箱舟」と「両生類の箱舟」バイオバンキングアドバイザ
リー委員会のようなゲノムリソースバンキング機関と連絡をとる。
■ 動物と遺伝子の輸送を誠実、実直かつ透明性をもって行うことで関係当局との信頼関係を築く。
29
第5章
教育と研修
ビジョン
「動物園水族館は生きた動物というユニークな土台、その
専門的技術そして野生保全へのつながりとともに、保全の
ための公の教育や気軽な教育のリーダーそして指導者と
して認知されます。 動物園水族館の教育的役割は社会
的、文化的に関連づけられ、そして人間の行動や価値観に
影響を与えることにより、教育は重要な保全活動のひとつと
して見なされます。 動物園水族館は、スタッフや生息域内、
生息域外の仕事に従事する人々の研修を行い、その活動を
拡げていきます。 園内のスタッフや域内外で作業に従事す
るその他の人々への研修も拡大充実させます。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
タッチプール(シェド水族館・アメリカ)
30
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
勧告
高校の湖水生態学の授業(シェド水族館・アメリカ)
5.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、
教育は動物園水族館が存在する理由の中心的
な部分であることを認識し、そして、この役割を果
たすために、適格な支援と資源を供給していくこ
とをすべての動物園水族館に勧めています。
対応
すべての水族館は教育活動部門を設置する
か、または学習を希望している団体への効果的
な教育を行い、一般の来館者に分かりやすい解
説をする専任のスタッフ(指導者または解説員)
をおかなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会
とパートナーは:
■ 教育(発見と学習)部門を創設するという観
点から、訓練を受けた有資格の教育スタッフ
を最低一人雇用する。
■ 教育サービスを適正に運営するために十分
な資金をあてる。
■ すべての年齢の来館者を対象として、基本的な解説、双方向理解と先進の電子通信システムを
含むさまざまな学習体験を提供する。
■ 組織と協会間の理解共有による有利な点(例えば、解説、視聴覚素材、一般的な印刷物など)を
考慮し、出費を最小限におさえ、得られる利益を最大にする。
■ 他の水族館や自然史博物館、野生動物公園やその他の組織を含む他の機関と協力をして、一
般からの問いあわせに回答するネットワークの開発構築を検討する。
■ 例えば、 UNEP、 IUCN や WWF のプログラムなどと研修、受入れ体制ならびに教育的な援助活
動について国および国際プログラムと連携をする。
5.2 WZACS は、すべての国または地域の動物園水族館協会が、教育方針を進展させることを勧め
ます。 このことは、教育への調和された取り組み方を保証し、原理や戦略、最低限の教育基準を作
るリーダーシップを与えることになります。
対応
すべての動物園水族館協会ならびに独立した機関は、一致した共通の教育方針とアクションプラ
ンをもつべきである。 国際動物園教育者会議ではこのような開発に助言と支援の提供が可能であ
る。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域の水族館と動物園協会の支援の下で教育方針を展開する。
■ それぞれの会員の本部と組織のスタッフに教育方針について通達する。
■ 国際動物園教育者会議ならびに WAZA 教育委員会とともに作業を進めることで、地域の教育
委員会は最も効率のよい形で作業が分担できる。
■ 教育部門をもつ他の外部の保全組織(例えば、 UNEP、 IUCN や WWF )と連携をもつ。
■ 生息域をもつ国々での教育支援ならびに教育的な内容の交換の機会を考える。
■ 教育、一般との関係とメディアとの間での重要な重なり部分に注意をする。
教育と研修
5.3 WZACS は、個々の動物園水族館は、所属する協会の教育方針や園館自身の必要性とあわせ
て、教育方針を適合させ進めるよう勧告します。
対応
すべての水族館は、世界、地域と国の戦略と政策を補足する組織の教育方針をもつべきである。
活動
水族館とパートナーは :
■ 水族館の中心的な存在価値のひとつとして教育の役割を支持する。
■ 関係する地方のグループと国や地域の教育関係協会に入り、その教育会議に積極的に参加する。
■ 組織の教育方針(達成内容)と戦略(達成方法)をできる限り速やかに検討作成する。
■ 水族館の上層部で認められている教育方針を展開する。
■ 教育方針と戦略を組織のスタッフと広範囲な利害関係者に伝える。
5.4 WZACS は、教育方針の声明、戦略、基準は、速やかに採択されるべきであり、定期的に見直し、
更新して、最新のものにするべきであることを勧めます。
対応
変化に対応し、戦略を最新の状態にしておくために関係協会との連携は重要である。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 基準を定めた優先システムを開発し、変化し続ける地域的国際的な基準とトレンドにあわせて教
育方針を定期的に見直す。
■ 教育方針とプログラムの自由な評価を得るために、大学の教育部門または地方の教育大学と
の提携によるメリットを考える。
■ 研究用に教育とトレーニングのプログラムを検討しているのであれば、『動物園水族館の研究
能力の開発 : EAZA 研究戦略』(EAZA 2008 年)を参照する。
学校団体の見学 © Shark Trust, UK
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32
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
ミノカサゴ(Pterois miles)。 この美しい種は有毒な海洋生物
についての教育プログラムと海でのバイオ調査には最適の
モデルです © Camilla Floros.
5.5 WZACS は、個々の動物園水族館は、所属
する協会の教育方針や園館自身の必要性とあ
わせて、教育方針を適合させ進めるよう勧告し
ます。
対応
すべての水族館は関係する政府の担当部局、
保全組織ならびにその他の環境教育機関との
連携を確立することによって正式な教育に貢献
すべきである。 さらに水生環境に焦点を絞った
教育プログラムの効果についての研究を行う。
活動
サンゴの島の回復プロジェクトのため、動物園が支援している教育プロ
グラムの開始(モーリシャス) © Maggie Esson, Chester Zoo, UK
水族館とパートナーは :
■ 該当する国と地域の動物園水族館協会の活動会員となり、水生にかかわる事項全般について
積極的に活動を行う。
■ これらの協会のなかで教育専門家グループの構成を推進し、参加をうながす。
■ 国際動物園教育者協会(IZE)に加盟する。
■ 教育カリキュラムに準拠した水族館教育または教育研究プログラムの準備においては、関係す
る政府教育部局と連携をとる。
■ 地域にある学校と提携して、水生環境教育の授業と教材を提供する。
■ 成人とシニア世代の人々には水に関する話題をあつかう生涯学習プログラムを開発する。
■ 地方の教師の方々には水族館関係の話題についてカリキュラムをベースにした研修を提供する。
■ 地域と世界の教育プログラムや活動とも連携をする。
教育と研修
5.6 WZACS は、動物園水族館がすべてのスタッフとボランティアにとって利用可能な充実した研修
プログラムの開発努力をするよう提言します。
対応
水族館の職員のための研修プログラムも非常に重要である。 スタッフは来館者に分かりやすく、
水族館などの適切な保全と持続性についてのメッセージをしっかりと伝え、組織として専門的な立場
にあることを自覚する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ すべてのレベルにおいて、進行中の専門分野についてシステムを開発する。
■ 域内外の保全プログラムにかかわる職員の理解度を深める。
■ 他の組織との協力関係にある人々も含め、水生保全プログラムに積極的に従事している人々の
ための研修コースの開設を考える。
■ 興味をもっている一般の人々のために、例えば、水生動物の同定、生物学あるいは水生生態学
などのコースの提供を考える。
■ 可能であれば、興味をもっている釣人たちに水生保全コース(福祉に関係する魚のタグ付けやと
りあつかい方を含む)を提供することを考える。
■ 各地域の水族館協会から少なくとも最低ひとつの水族館がフィールドの保全努力を支援する飼
育研修を提供するようにする。
■ 各地 域の水族館協会から少なくとも最低ひとつの水族館が CITES マネージャーのために
CITES のリストに載っている種の識別ととりあつかいの研修を提供するようにする。
■ 基準を文書化する場合には地域の水族館認定および認可当局と連絡をとる。
■ 水生分類群の保全状態を評価するための ICUN レッドリストトレーニング実習の支援を考慮する。
5.7 WZACS は、すべての動物園水族館に、保全教育と研修プログラムの効果を評価するために、
試験ずみの客観的方法を採用することを強く勧めます。
対応
すべての水族館は自らが実施している教育と研修プログラムを定期的に評価しなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 一定の評価の仕組みを開発する。 それにより、学習者のグループに行われる正式な教育の実
施内容、一般の来館者へのある程度の説明、ならびにスタッフの研修プログラムを評価する。
■ このような仕組みやその他の事項の基準を文書化する場合には、地域の水族館認定および認
可当局と連絡をとる。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第6章
コミュニケーション・マーケティング・広報
ビジョン
「動物園水族館ならびに国と地域の協会は、保全問題と、
保全における自らの役割をより効果的に伝えていくようにな
ります。 そして、動物園水族館ならびに国と地域の協会は、
野生生物と自然のために、主要な最も信頼される代弁者と
して広く認められるようになります。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
アメリカ・モントレーベイ水族館でのケルプの展示
コミュニケーション・マーケティング・広報
勧告
6.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、すべての動物園水族館協会、ならびにすべての動
物園水族館が、規模の大小を問わず、情報伝達のための戦略を計画、履行することを強く勧告しま
す。それはすべての情報伝達の目的を明らかにすること、標的となる対象を見定めること、重要なメッ
セージを決めること、戦術や方法を選ぶこと、必要かつ利用可能な資金を見定めること、モニタリング
と評価技術を発達させることです。
対応
動物園水族館産業には強力で明確な団結したコミュニケーション戦略が必要であるということを
水族館は同意する。 水族館は幅広い利害関係者コミュニティーの利益と関心事に歩調をあわせ、
特に動物の福祉、保全と持続性の分野において共通の認識に立つ必要がある。 さらに世界的な
保全努力への水族館の貢献には、世界のすべての地域の参加と協力が必要であると水族館は理
解する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 各地域協会がそれぞれにふさわしい地域コミュニケーション戦略を開発することを要請する。
■ WAZA マーケティング・広報委員会がこれらの地域戦略を比較検討し、世界的な WAZA コミュ
ニケーション戦略を開発することを保証する。
■ すべての水族館に強力で、一貫した広報とマーケティング計画の開発を要請する。 このような計
画は関係する国と地域のコミュニケーション戦略ならびに WAZA の方針とよく連携するようにす
る。
■ 来館者、地方のメディア、政府担当官ならびに他の NGO 向けに通信媒体、教材と広報を通して、
保全に関する動物園水族館のコミュニケーションにおける重要性を示した綱領を策定する。
■ 各水族館は内部においてスタッフにメディアトレーニングを行い、地域と国のレベルで最も伝えた
いメッセージを広めるために、カリスマ的な専門家ならびに有名人のスポークスマンを認定する。
■ 国際動物福祉基金(www.IFAW.org)ならびに世界動物保護協会(www.wspa.org/uk)のような
動物福祉の主流グループと建設的にかかわり、動物福祉のコミュニケーションを進展させ、さら
に継続的な進歩をめざして、計画の実施と発展にたずさわる。
■ 極端な動物の権利を主張するグループがおこす広報のリスクを認識し、誠実で効果的な事前対
策プログラムを動物園や水族館のスタッフ、メディアや他の利害関係者とともに組織する。
■ 来館者や一般の人々と率直に話ができるシステムを構築する。 そこで建設的なフィードバックを
受け、それが妥当な場合には、行動に移す。
■ 水生動物関連の保全と持続性の諸問題を特定し説明する方法の開発を行い、一般の人々や政
策決定にかかわる人々にこれらの諸問題を効果的に伝える。 例えば、サメのヒレだけをとるフィ
ニング、魚のとりすぎ、破壊的漁法、追いこみ漁、捕獲証明書、持続可能な収穫など。
■ 他の保全団体や水族館取引団体と連携して、有用なデータをプールするために行動する(例えば、
海洋管理協議会、海洋水族館協議会)。
■ 水族館の物販や料飲を通して、保全と持続性のメッセージを伝える。 例えば、持続可能な海産
物の公正な売買や絶滅危惧種ではないリストから調理した魚介類を出すことなど。
■ 域内外について、成功した科学的研究と保全プログラムに関する情報を広めるために創造的な
場を作りだす。
■ 動物園水族館協会がないエリアに協会を設立する手助けを積極的に行い、そのような協会を
WAZA の組織に組みこむ。
■ メディアの個々の代表と個人的な関係を築くことにより、メディアの代表(新聞社、ラジオ、テレビ)と
のネットワークを作り、水族館活動の推進のためのネットワークを効果的に活用する。
■ 各水族館独特の組織的なあり方を利用して、世論に影響を与え、 WZACS の方針と一致する保
全の結果が得られるような投票行動へと結びつける。
■ 適切なメッセージをタイムリーに伝え、キャンペーン活動に参加できるように他の保全組織と連
絡をとりあう。
■ 種の大切さと水生生態系(「エコシステムサービス」アプローチ)を人々に強調して、これを保全に
かかわるさらに大きな利益に結びつける。 また域内外の保全支援の必要性のよりよい理解に
結びつける。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第7章
パートナーシップと政策
ビジョン
「協力を増やし、影響力を高めることで、動物園水族館は動
物管理の標準を高めていき続けることができ、保全について
の教育啓発を進めること、および野生のプロジェクトを支援
し続けることができます。 パートナーシップは世界的な協力
を強くし、保全の目的を達成し、見直しをしていくすべての動
物園水族館や他の保全機関を支援していきます。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
カマイルカ(Lagenorhynchus obliquidens)(シェド水族館・アメリカ)
パートナーシップと政策
勧告
7.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、動物園水族館のパートナーシップやネットワークが
作り出されること、もしくは地方、国、地域、国際のそれぞれのレベルで連携が強められることを強く
勧告します。
対応
すべての水族館は、関係するパートナーシップとネットワークを推進し、これに積極的に参加する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地方、国と地域レベルの「関係機関の相関図」を作成する。
■ 関係する水族館ネットワークを支援するために組織の方針を積極的に展開する。
■ ミー ティング、ワークショップおよび会議への定期的出席を通して、世界動物園水族館協会
(WAZA)を支援する。 またプログラムのサポートも行う。
■ WAZA のミーティングとプログラムに有意義に参加するために十分な組織の資源を利用できる
ようにする。
■ さらに、ヨーロッパ水族館館長ユニオン(EUAC)、世界水族館会議(IAC)と世界水族館フォーラム
(IAF)との業務提携を開拓し支援する。
■ アフリカ、中東とインドを含む水族館事業の低開発未開発地域における開発をサポートし、地域
の動物園水族館協会への参加を積極的に支援する。
■ 現在、国、地域と世界レベルで連携のない水族館(下記 7.3 参照)と連携をとるように努力する。
7.2 WZACS は、すべての動物園水族館が保全活動や動物福祉に影響する法律と政策を必ず遵
守するよう喚起します。
対応
責任ある水族館は、国内および国際レベルでの現在有効な保全、環境、衛生と安全性ならびに
動物福祉の法律を遵守することが良質な水族館業務の主要な構成要素であることに同意する。 こ
れはまた政府と専門団体による信用にとっても重要な基本姿勢である。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 法律遵守と助言にしたがった最高の実践行動を確実にするためにフレームワーク、方針と活動
計画を策定する。
■ 現在施行されている法律と政策に一致して行動し、スタッフと一般の来館者に適用されている必
要な基準について話をする。
■ 組織内部に倫理福祉委員会を設置して、現行の法律を守っているかを規定にしたがって見きわ
め、倫理と福祉の観点から運営実態について調査できる独立した倫理評価プロセスを確立する。
■ 必要に応じて WAZA の倫理福祉委員会と地域の協会に照会する。
■ 国と地域の認定制度を実施するか、またはそのような制度がまだ存在しない場所では実情にも
とづいたプロセスを設ける。
7.3 WZACS は、すべての動物園水族館が地域と国の協会のどちらか、あるいは両方のメンバーと
なることを要請します。
対応
すべての水族館は世界動物園水族館協会(WAZA)やしかるべき地域または国の動物園水族館
協会のメンバーとなるか、なるために活動しなければならない。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ WAZA への入会を積極的に勧め、すべての水族館が WAZA のメンバーになるようにする。
■ 地域の協会への入会を積極的に勧め、すべての主要な水族館は地域の協会のメンバーになる
ようにする。
■ 国の協会がある場合、その協会への入会を積極的に勧め、すべての主要な水族館は国の協会
のメンバーになるようにする。
37
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
7.4 WZACS は、地域や国の協会が、メンバー組織の文化において適切な保全活動を生み出し提
示すること、またすべての協会メンバーの活動が共通した倫理と技術にもとづいて進めることを勧告
します。
対応
水族館は保全と福祉の精神または「意識」を地域と組織のレベルで浸透させ、地域差を調和させ
るように協力して作業を進める。 さらに、保全と福祉の精神および真に国際的で継続的に進歩し続
ける技術水準を広める。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域と国の水族館協会はそれぞれの会員の拠点内で保全の精神を広め、このような協会が実
施する計画やプロジェクトがスムーズに展開され実行されるように鋭意努力する。
■ 組織の責任として、またわかち与えられる恩恵として、水族館文化の導入と発展に寄与する。
■ 研修、技術提供、スタッフの交換、新入社員教育と専門知識の交換を通して、世界の保全コミュニ
ティーのなかで、志は高いものの資金の少ない組織を援助し、その潜在能力の掘りおこしに協力す
る。
■ 保全繁殖専門家グループ(CBSG)と再導入専門家グループ(RSG)、さらに水生分類群の保全に
従事している専門家を含め、IUCN の種保存委員会(SSC)の専門家グループと緊密な連携をとり、
情報交換を行う。
■ 他の保全組織との提携を含め、適切な保全キャンペーンをリードする、もしくは参加する(保全に
関連した信頼できる動物福祉団体の動物福祉キャンペーンを含めて)。
■ 発展途上国、または地域にある組織と「姉妹提携」のようなパートナーシップを結ぶ。
■ 保全科学、生物学、獣医学または社会学について水族館をこえた協力的な研究プロジェクトを開
拓する。
■ 「水族館フレンド」あるいはその他の活動的なボランティア協会を立ち上げて、水路や海岸の「ク
リーンアップ」のような保全のための清掃活動や資金集めをサポートしてもらう。
■ 学校と連携をとり、水生環境を守る教育を進めてもらう。
■ 観賞魚産業と連携協力して、必要に応じ、持続性と取引倫理を向上させる。
■ 動物園協会、博物館、大学や研究機関と協力して、会議やセミナーを組織または主催し、レク
チャーを行い、教育的展示を作り、分かりやすく使える教材を開発共有して、保全と環境倫理の
考えを広く知ってもらう。
■ 博物館や図書館を含む文化的な機関と連携をとり、水生「ネイチャーリンク」を推進する。 例えば、
パブリックアート、創造的で事実にもとづく作文、読み聞かせ、詩のコンテスト、その他の類似活動。
■ 保全のメッセージを広く伝えるために「町のアーティスト」プログラムを通して画家、彫刻家、陶芸家
やその他のビジュアルアーティストの参加を検討する。
■ 教育と保全キャンペーンについて評価し、さらに水生環境に対する人間の倫理、態度と行動への
影響と変化について評価をする。
■ 種または生息域をターゲットとしている保全援助プロジェクトを進める場合、他の開発組織と協
力して行うのが望ましく、人間に関する事項である、開発と貧困の軽減における関連課題にもとり
組むことを考慮する。
7.5 WZACS は、地域や国の協会が、政府にはたらきかけ、保全活動の目的を果たそうとする動物
園水族館を支援するための動物園水族館に関する法律を制定し改訂することを推進します。
対応
地方自治体および国の政府に対して、必要な場合には陳情を行い、特に水族館の保全活動を推
進するための全般的な行動基準を継続的に改善するために、適切な法律の整備を行うように伝え
ることが不可欠であるということに水族館は同意する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 国と地域の協会は水族館の運営に関係する諸法律について常に意識をし、対応を怠らない。
■ 各水族館は専門家が集まるセンターとしての役割を確立し、飼育下の野生水生動物に関するす
べての事項について立法組織の助言を受けることを提言する。
パートナーシップと政策
■ 生物多様性の保全、移動性の種、移入種、自然資源の収穫、水の汚染管理やその他の環境に
かかわる問題に関連する法律、政策と命令の作成と改正については政府当局と立法府に伝え、
依頼し協力をする。
■ 諸活動の推進、ならびに水族館のさまざまな基準のひき上げ(例えば、水生環境、漁業、林業、
農業、獣医による治療、観光事業などとの関連事項)のために、政府の担当部局、省庁や野生生
物機関と連絡をとる。 さらに水族館の大きな経済効果とこれに対応する社会的利益に注目させ
る。
■ 法律の適用と実施を公式にあつかっているフォーラムには必ず参加する。
■ 保全、教育、科学、動物管理と福祉の要求基準を満たすことができない水族館を改修または閉
鎖しようとする政府の支配力を強化する方向で活動する。
7.6 WZACS は、動物園水族館に関する法律がない国が、独自の政策や規制を進めるとき、既存の
他国の適切な法律を参考にするようにその政府にはたらきかけます。 また、法律が存在するところ
では、その政府がそれらの動物園水族館協会を支援するように求めます。
対応
関係する適用法の進展が不十分な国々においては、そのような法律の整備が保全努力の根
幹要素となるということに水族館は同意する。 動物福祉と倫理に関する法律と規制の監視、調査、
フィードバック、必要な場合には改正が立法プロセスの肝要な部分である。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 動物園水族館に関係する法律整備が不適切で不完全な政府を特定し、援助し、立法担当議員
に関係する地域協会の意見を聞くように助言する。
■ 発展途上の機関と国々に助言をし、技術的協力のためのプログラムを作成し支援する。
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
第8章
持続的な資源利用
ビジョン
「すべての動物園水族館は、持続性にむかって努力し、その
「環境への足跡」を削減すべきです。 衰退を招かない方法、
つまり未来の世代と競合せずに、現在の需要を満たすよう
なかたちで自然資源を利用すべきです。 すべての動物園水
族館は、その運営のすべての側面において環境にやさしい
行動をとり、来館者が持続可能なライフスタイルを実践でき
る方法を実際に例として示すことによって、リーダーとしての
役割を果たします。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
ケルプの林(ツーオーシャンズ水族館・南アフリカ) © S. Lennert
持続的な資源利用
勧告
8.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、すべての動物園水族館が持続的な自然資源を守
り、評価と活動を行うことを強く勧めます。
対応
水族館コミュニティーは資源の利用を減らし合理化する方法を見つけ、自らの運営と活動全般にお
いて適用できる「環境にやさしい」かまたは持続可能な方針を採用するべきであると認識されている。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 地域の協会と連携をとりながら、 WAZA と他の水族館は最良の実践活動を確立していく。
■ 新しい水族館の設計と建設にあたっては、環境にやさしい方法をとりいれ、また既存の水族館が
提案している新しい展示では、特にエネルギー消費に関して環境にやさしい方向へ転換する。
■ 水族館の運営に必要なエネルギー源については、代替エネルギーを考える。 例えば、地熱、ソー
ラー、バイオガス発酵または水力発電があり、さらに機械技術の熱回収システムを採用する。 資
源利用の低減と合理化のために目標とスケジュールを定め、これを電力または水の消費、あるい
は展示する動物の収集やエサにも関連づける。
■ 水族館内の売店とカフェテリアでの販売商品は必ず持続可能で「フェアトレード」ガイドラインに
沿った商品を販売することとする。
■ 水 族 館のレスト ランで 消費 する魚介 類 は
カクレクマノミ(Amphiprion ocellaris)(ツーオーシャンズ水族館・南アフリカ )© D. Warmerdam
IUCN のレッドリストには入っていない種であ
ることを確認し、管理のゆきとどいた持続可
能な漁業により漁獲されたものであることを
確認する(可能であればどこで漁獲されたか
証明されたもの)。
8.2 WZACS は、すべての動物園水族館が環境
方針を明文化し、環境監査を行うことを勧めます。
対応
水族館は組織ならびに地域レベルで環境方
針を作成して、これを定期的な監査プログラムに
組みこむこととする。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会
とパートナーは:
■ 水 族 館 は ISO 14001 (www.iso14000-iso
14001-environmentalmanagement.com/
iso14001.htm)のような国際的に認められた
環境管理認証、または組織の標準を得られ
るように活動する。
■ ISO14001 のような国際的に認められた管理
システムに設定されている規格を補足する環
境方針を組織と地域レベルで作成する。
■ 水族館の建物と運営システムが、 BREEAM
(英 国 建 築 研 究 所 の 環 境 評 価 法、 www.
breeam.org)のような国際的に持続可能な
建築設計、建設と運営規格に一致しているこ
とを確認する作業を行う。
41
42
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
■ 水族館が関連している土木工学の作業は、国際的に認められている土木工学環境品質評価認
証スキーム(CEEQUAL, http://www.ceequal.com/)などの規格にあわせて実施されていること
を確認することが必要である。
■ 組織の監査を展開する(例えば、 EMAS the Eco-Management and Audit Scheme www.iema.
net/ems/emas)。 この監査では継続的な改善のための組織の環境、衛生と安全性の方針と目
標について運営の評価を行う。
■ 安全性、衛生と環境(SHE)および持続性の水準または、地域と世界レベルでの科学的事実にも
とづいたその他のプロセスが認定の一要素となることを承知しておく。
8.3 WZACS は、すべての動物園水族館が、どのように持続性が達成され、社会情勢や行動をどの
ように変化させるかを示すために、環境への持続性の実践を推進します。 それは、動物園水族館が
全生態系の保全に貢献していることを示すことになります。
対応
水族館は環境の持続性を運営の原則とプログラムの必須要素としてとりいれ、研修と継続的な
専門分野の展開(COD)を通して、職員の間や、さらにすぐれた相談や会話を通して、来館者の間に
持続可能の文化を展開していかなければならない。 活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 野生の水生動物と植物の収集については、持続可能でしっかりと文書化された収集戦略を展
開する。 これらの戦略には生物多様性条約(CBD)の要求事項を含める。 例えば海洋水族館
協議会(MAC)証明書など。
■ 最善の収集、とりあつかい、輸送技術と卓越した飼育や獣医のケアを通して、また同様の厳しい
基準を満たしている認定されたサプライヤーから入手する過程で、生存している動植物の損失を
最低にする。
■ 館内での繁殖プログラムにより、水生の動植物の持続可能な収集を展開する。
■ 特に、成功している繁殖プログラムからの動物を受入れるという観点から、それが可能で適切な
場合には、組織間での生存している動物の取引(入手または譲渡)を増加する。
■ 水族館の教育的責任の重要な構成要素として持続性を認識し、また水族館を訪れる人々、最終
的には世界の人々の態度と見方、行動を変えることを目標とする。
■ 自然環境をテーマとした展示の数を増やす方向で考える。 例えば、サンゴ礁、地下の洞穴のプー
ル、海の深さ、ケルプの森、マングローブの湿地、汽水域、川、湖、池、沼地、ピート地帯、さらにその
他の湿地をテーマとして、生物界全体のクロスバイオームの保全プログラムの必要性を強調する。
■ 展示のデザインに環境にやさしい素材を導入する。
■ 外国産の種だけの展示に優先して、地域の固有種や特産種の展示にも当然の配慮をする。
■ 野生水生動植物の保全と持続性に成功したプログラムを解説する展示を展開する。
■ 消費者に提供する食べ物をあつかう店という観点から、また館内で飼育している動物の給餌と
いう観点から、持続可能なシーフードの新規構想に参加し、これを推進する。
■ 水族館内での料飲や売店、またその他いろいろな場所で持続性のメッセージを発信し続ける。
■ 持続可能な漁業で漁獲された魚介類のメニューを選べるように来館者に助言カードを配布する。
■ リサイクルを積極的に推進し、リサイクルされた商品の利用、配布または販売を行う。
■ 節水、節電、公衆衛生やその他の持続可能な手段の「実演者」となり、あるいはその「モデル」とし
て節水、節電などを実行する。
■ 動物または地質学的由来のめずらしい商品(貝、サンゴ、乾燥タツノオトシゴ、サメの歯、化石、小
石など)の入手と販売をする場合、ギフトショップでは現行のガイダンスにしたがい、最も望ましい
形で販売する。 さらに、そのような商品が適切な仕入先から入っているかを確認する。
■ やりがいのある国際的な持続性に関する新規構想を支援し、世界海洋ネットワークと海洋プロ
ジェクトが展開しているようなキャンペーン活動をサポートする。
43
第9章
倫理と福祉
ビジョン
「すべての動物園水族館は、倫理原則にしたがい、動物福
祉を確立するために、最も高い水準を維持します。 そして、
保全を目的とし、健康な動物の様々な個体群を維持し、保
全の情報を市民に明確に伝えていきます。」
2005 年世界動物園水族館保全戦略
輸送中のオニイトマキエイ(Manta birostris) © uShaka Marine World, South Africa
44
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
勧告
9.1 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、すべての動物園水族館が、進歩し続ける知識と感
性にもとづき、その管理技術と専門的な活動を継続して改善する努力をし続けることを勧めます。
対応
他の水族館、地域の協会と WAZA が設定して受入れられている基準または標準に照らしあわせ
て、倫理と福祉の実行による動物状態と活動のすべてにおいて定期的に評価を行うことに水族館
は同意する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 標準ならびに基準の必要性が判定され、その結果、展開される接点として、 WAZA と地域ならび
に国の協会を活用する。
■ 地域と国の協会ならびに関連する機関との適切な連携を確実に行う。
■ 倫理方針と最善の行動展開、立場に関する声明の準備と論争の的になる事項に関するプレスリ
リースにおいて、さらに水族館にふさわしいフォーラムで声明を出す場合、 WAZA と地域および
国の協会をサポートする。
9.2 WZACS は、すべての動物園水族館協会において、倫理規定が確保され、動物福祉の方針が
守られることを求めます。
対応
各地域の協会は倫理福祉委員会を設置して、地域の動物の福祉基準と実行の倫理規約を作成
し、これらの規約が守られているかを判定する。 国の協会と組織の方針はこれらの国際的な規約
を反映している必要があり、可能であれば、これらの規約は国際的ならびに世界的に調和がとれて
いる必要がある。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ それぞれの地域と国の協会が倫理と動物福祉の観点から動物園ならびに水族館として最も望
ましい行動規約をもっているかどうかを決定する。
■ 現在までそのような文書化された規約のない地域または国の協会は、ふさわしい文書を作成し、
法律にしたがっているかどうかを確認するシステムを開発する援助が受けられるものとする。
■ 地域と国の協会が採用した行動規約にしたがっているかを評価するために確立した規準をもっ
ているかどうかを確認する。
■ 倫理にそむく活動または水族館取引を国または地域の協会に知らせる。 必要な場合には、規
制を担当する国の当局と WAZA を含む他の関係団体に通知する。
■ 倫理と福祉について受入れられている国際的な基準及び規範に違反した場合、適切で効果的
な行動をとるために、責任の所在を明らかにするシステムがあることを確認する。 このシステムに
は「自然の正義」の観点から「アピール」のプロセスが組みこまれている。
■ 基準や規約を定める場合には、動物園と野生生物の獣医からなる国、国際および地域の協会
と連絡をとる。
9.3 WZACS は、動物園水族館が、野生から絶滅の危機にある動物を捕獲する際、「生息域外個体
群保全のための IUCN 技術指導目標」を遵守するよう求めます。
対応
野生からの動物の捕獲とその後の飼育については「生息域外個体群保全のための IUCN 技術
指導目標」にしたがって行われるべきであるということに水族館は同意する。
倫理と福祉
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協
会とパートナーは:
■ すべての地域と国の協会が IUCN 技術ガイド
ラインをもち、 これをすべての会員に配布す
るか、 ウェブサイトのようなすぐにアクセスで
きるシステムで確実に利用できるようにする。
■ 地域と国の協会は IUCN 技術ガイドライン
を守っているかを評価する確立した規準を
もっていることを確認する。
9.4 世界動物園水族館保全戦略(WZACS)は、
すべての動物園水族館が、進歩し続ける知識と
感性にもとづき、その管理技術と専門的な活動
を継続して改善する努力をし続けることを勧め
ます。
対応
絶滅危惧種のプライーソク (Probarbus jullieni)
の輸送 © Stephanie Sanderson, Chester Zoo, UK
ヨ ー ロ ッ パ ア カ ガ エ ル(Rana temporaria)
と卵。 この種はイギリスではラナウィルス
の伝染により深刻な影響を受けています
©Richard Gibson, Chester Zoo, UK
すべての動植物の輸送は該当する国内と国
際の旅行規制にしたがい、最高の福祉基準に
一致して行われなければならないということに
水族館は同意する。 同様に、生きた組織、細
胞、生殖細胞、種子、 DNA やその他の生物標
本 資 料 も CITES と Balai 指 令 (http://www.
defra.gov.uk/animalh/int-trde/imports/iins/
livebalai/)を含む国際規約にしたがっていなけ
ればならない。 さらに凍結された箱舟(www.
frozenark.org/consortium.html)協会や両生類
の箱舟バイオバンキングアドバイザリー委員会
(www.amphibianark.org)のようなゲノム資源バ
ンキングと直接関係している物の輸送と維持の
規準についても同様である。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 動物の輸送を担当するすべての水族館スタッフは旅行規制、衛生、動植物検疫と福祉基準につ
いて熟知していなければならない。 さらにそのような規制と基準を正確に遵守できるように適切
に訓練されていなければならない。
■ 国内と国際の旅行規制や絶滅危惧 種の取引に関係する国際機関(IATA (www.IATA.org)、
CITES (www.cites.org) さらに TRAFFIC (www.traffic.org)を含む) や諸団体に、技術的なサ
ポートや最も望ましい行動に関するガイドラインを提供する。
9.5 WZACS は、動物園水族館が、動物と移入種の植物が管理敷地外に出るのを防ぐためにあら
ゆる努力をすることを求めます。
対応
水族館は、固有ではなく、移入種または潜在的に有害な動物および植物、寄生生物、病原菌やそ
の他の生きている生物が逃げ出したり、偶発的に施設外に出ることを防止する適切な措置をとらな
ければならないということに同意する。
45
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ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 水族館の展示施設が展示している個体、寄生生物、病原菌やその他の生物が逃げ出さないよう
になっていることを確認する。 逃げ出した場合には、広範囲の環境に有害な影響を与える可能
性があるためである。 例えば、ウィルス、菌類、バクテリア、動物プランクトンと植物プランクトン、さ
らに遺伝子組み換えを行った生物(GMO)など。
■ 水を廃棄する場合には適切に検査し殺菌して、施設外に流れても影響がないようにする。
■ 展示している生物が逃げたり、外来種が逃げたり偶発的に放した場合、動物原性感染症(動物の
間で伝染する水由来の病気は、ときとして人に感染する)も考慮に入れた上で、水族館の職員が
可能性のある影響について理解していることを要請する。
■ 死にいたる可能性のある水生真菌による両生類の病気であるツボカビ病の拡散を防ぐために
設計された研究施設と生物安全保障の方法については両生類の箱舟(www.amphibianark.
org)と連携をとる。
チェスター動物園の生物安全保障両生類保全ユニットの中 © Richard Gibson,
■ IUCN-SSC 移入種専門家グループと彼らのデータ
Chester Zoo, UK
バンクに貢献する。
■ 生物安全保障に関する国、地域と世界の方針な
らびに最良の実施ガイドラインを作成する。 植物、
動物、寄生生物、病原菌などの水生移入種のリリー
ス防止についても同様のガイドラインを作成する。
さらにそのようなリリースが発生する事故があった
場合、回復活動もしくは制御の手段についてもガイ
ドラインを作成して貢献する。
9.6 WZACS は、すべての動物園水族館に、飼育され
る動物についての法的な要求にしたがうことを求めま
す。 しかし、規則は最低限の水準を定義しているため、
動物園水族館コミュニティーはより高い水準をめざす
べきです。
対応
動物を所有するために法律が定めている最低の水準は、最良の飼育基準として考えられるべき
ではない。 すべての水族館はむしろ、現在の水準をこえて、動物たちにとって可能な限り最高の環境
を提供するよう努力すべきである。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 現在適用されている最低の水準を満たし、これを確実にこえる。
■ すべての地域と国の協会は動物の収容、飼育、動物トレーニング、獣医の治療、行動エンリッチメ
ント、生物安全保障のような事項に関して最高の水準を実現できるように積極的に努力する。
■ 動物を直接ふれる「ふれあい水槽」のような公開の展示に人々が近づくのを定期的にチェックし
て、動物福祉が損なわれていないか、または来館者の健康が害されていないかを確認する。
■ 飼育基準などを継続的に改善し最新のものにするために、同業の団体と共に作業にあたる。
■ 人為的に選択した「化け物」、または遺伝子組み換えした、魚類や他の生物を展示、維持、繁殖さ
せてはならない。
9.7 WZACS は、余剰動物を殺すことが受入れられない合法的で文化的な理由があるのであれば、
そして去勢または避妊措置が当該動物の健康を害すか、あるいは苦痛を生じさせるとき、動物園ま
たは水族館はその収集生物の中にこれらの動物を含めるべきではなく、さらにその動物を別の収
集組織へ移動するという選択肢も考えることを助言します。
対応
各水族館は、倫理と福祉の厳格な原則にもとづいた適切な組織収集計画をもつ。 この計画には
余剰生物の廃棄の規準を含める。 規準では、できれば、他の機関か信頼できる組織へ移動するこ
とが望ましい。 あるいは、認定されたプログラムにより野生に放すこととする(IUCN 再導入専門家グ
ループガイドラインに厳密にしたがうこと(www.iucnsscrsg.org))。 場合によっては組織間の移動は
地域協会の種保存計画(SSPs、 EERs)の必要条件を満たすべきである。 その他の選択肢が現実
倫理と福祉
的ではなく、また推薦できないような場合、余剰動物または卵を安楽死という国際的に受入れられ
ているやさしい方法によって殺処分することを考えなければならない。 同様の考えが、確かな福祉、
飼育、獣医学的な理由のための安楽死にもあてはまる。 動物の生活の質がひどく損なわれている
場合も含まれる。 必要に応じて、殺処分された死体を保全ならびにその他の研究(参照、例えば、凍
結された箱舟(www.frozenark.org/consortium.html)や両生類の箱舟(www.amphibianark.org)の
補助資材としてしかるべき博物館またはゲノム資源バンキングセンターに送ることを考慮する。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ すべての水族館が組織内の動物福祉倫理方針を含むか、これと関連する組織内の収集計画を
策定するように提言する。この倫理方針には入手、譲渡と安楽死を含む中心的分野が入っている。
■ 各水族館は動物福祉と倫理の実行にかかわる国と地域の規約を承知して、これを必ず採用す
る。
■ 動物の福祉と倫理に関する諸問題については、国と地域の協会ならびに WAZA に照会すること。
■ 水族館と動物園、または他の組織との協力において実施されている科学的研究のなかでの倫
理と福祉に関する諸問題のガイダンスについては『EAZA 研究戦略 』(2008 年)を参照する。
9.8 WZACS は、すべての地域と国の協会が科学的根拠にもとづく動物飼育ガイドラインを策定す
ることを勧めます。 特に域外での協力的な繁殖プログラムの下にある種については必要です。
対応
水族館は、国と地域の協会ならびに園館長ユニオンが、通常は分類群アドバイザリーグループ
(TAGs)を通して行われる、協力繁殖プログラムを開拓、調整、監視をして、考察する準備があるという
ことに同意する。 さらに保全のための繁殖についてもパートナーとして協力促進する用意があり、こ
のようなプログラムに必須な部分として動物飼育ガイドラインを位置づけている。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 国と地域の協会、園館長ユニオン、 TAG などの支援の下で作成された現在の飼育ガイドライン
を集めて、照合を行う。 さらに、
■ すべての地域の協会にそのような飼育ガイドラインを配布する。
■ 各地域の協会が一定の期間内に動物飼育に関するガイドラインの作成を進めることを要請する。
その作業は、国内および国際的な状況のなかで、協力体制を最大限に活用し、作業が重複する
といった非生産的状況を最小限におさえるようにして実施する。
9.9 WZACS は、動物園と水族館に対し、環境エンリッチメントを行い、エンリッチメントの技術が広
がり、発展して評価されるようにすることを求めます。
対応
水生の分類群のための環境と行動エンリッチメントは水族館産業では未開発で、福祉のための
必要性を強調する努力がなされるべきであるということに水族館は同意する。 エンリッチメントの必
要性を決定し、その方法を改善するためには科学的な調査と予算計画やスタッフの配置に関する検
討が必要である。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 現在のエンリッチメントの実施状況と議論に関する情報を収集し照合する。
■ 動物の行動と水生生態学を重点的にあつかっている科学雑誌をよく読み、行動と環境エンリッチ
メントの技術開発に役立ちそうな新しい情報を収集する。
■ そのような情報を国と地域のすべての協会に伝え、さらにこれを会員組織や個人の照会者が
ウェブなどで利用できるようにする。
■ 個々の水族館が日々の動物の世話の手順に使えるような組織内のエンリッチメントプログラムを
開発し、このエンリッチメントの内容をスタッフ研修プログラムに取りこむ。
■ 環境と行動エンリッチメントに関する新しい技術を研究開発し、発表実施するために多方面から
スタッフを激励支援する。
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48
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
■ 「動物ショー」が行動のエンリッチメントにどの程度貢献しているか、または貢献していないかを考
え、これに関する組織内の方針を広く検討する。
■ 一般の人々のため、あるいは学校から体験学習に来る団体のための「ふれあいの水槽」とその
他の生き物を直接ふれる施設がどの程度動物のストレスになっているかを考え、また過剰で不
適切なとりあつかいにより動物の福祉がそこなわれないようにする。
9.10WZACS は、より一層の事実にもとづいた客観的な福祉評価を実践していき、その結果、飼育動
物の環境改善を進めていくことを求めます。
対応
水族館は、地方行政機関との連携ならびに IFAW や WSPA のような主要な福祉団体との連携に
より、収集した動物の生存環境が改善されるということに同意する。 このような連携のない場所では、
実証をベースにした客観的評価方法を開発し実施する必要がある。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 獣医、飼育、研究と教育部門を水族館内におき、組織としての動物福祉評価プログラムを開発実
施する。
■ 水族館は地方行政機関、教育機関、 NGO ならびに動物権利保護団体を活用して、組織的な動
物権利保護評価プログラムに対する理解を深め、信用が得られるように努力する。
■ 動物園水族館で行われている科学的研究あるいは、他の組織との共同研究における動物福祉
やエンリッチメントの諸問題については『EAZA 研究戦略』(2008 年)を参照する。
9.11WZACS は、すべての動物園水族館が、その保全活動において倫理と動物福祉問題との関連
を熟知し、これについてスタッフおよび一般の人々を教育し、積極的なかかわりをもたせる努力をする
ことを勧めます。
対応
水族館は自らの保全活動に付随する倫理と権利保護の主要な問題が、論争中の諸問題も含め、
経営にたずさわる者、スタッフと一般の人々によりよく理解され、また正確に伝えられる必要があると
いうことに同意する。 これにより、理解をうながし、有意義な前進に結びつく建設的な討論や話しあ
いの場が形成される。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 倫理と動物福祉の観点から種々の活動の忌憚のない評価の重要性を組織全体として認識する。
■ 倫理・福祉委員会(下記参照)に関する事項、諸問題と活動の公表手段ならびにフィードバックを
受けとる手段として、スタッフ用のイントラネットと掲示板の活用を勧める。
■ 動物園水族館では、教育および接客担当者に、分かりやすく効果的な解説によって、一般の来
館者に倫理問題について説明させるようにする。
■ 動物福祉と倫理に関して一般の人々からのフィードバックを受けとり、しかるべき対応をするシステ
ムを確立する。
■ 人為的に選択し、交雑し、あるいは遺伝子的に組み変えられたある種の水生生物の展示と繁殖
に関しては、その福祉と保全、さらにその他さまざま意味あいについて、よく考える。
倫理と福祉
9.12WZACS は、すべての動物園水族館が、倫理委員会を設置しその活動のすべての側面について、
園館外での活動も含めて、倫理的な観点から調査を実施するように勧めます。
対応
水族館はすべての組織が恒久的な倫理・福祉委員会をもたなければならないということに同意す
る。 この委員会では動物収集による利益について倫理的な観点から検討をする場を設け、そこでの
協議内容については WAZA 倫理・福祉委員会と地域ならびに国の協会の指導が一部含まれるも
のとする。
活動
水族館や国または地域の動物園水族館協会とパートナーは:
■ 協会の倫理・福祉委員会を正式に設置するようにすべての水族館に勧める。
■ 倫理委員会のメンバーとして、水族館はシニアとジュニアレベルのスタッフをおき、委員会活動に
積極的に参加するように努力する。
■ 水族館は倫理・福祉委員会に確かで客観的な意見を出すために、外部の独立した専門家のス
キルを必ず役立てる。
アオウミガメ(Chelonia mydas)(ツーオーシャンズ水族館・南アフリカ)
49
50
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
謝辞
以下の個人、施設、協会、組織から絶大なるご協力をいただきました、 WAZA より御礼申し上げ
ます。 これ以外の多くの個人、施設、協会、組織からも大変多くのご支援をいただきました、あわせ
て心より御礼申し上げます。
Yoshitaka Abe, Aquamarine Fukushima, Japan
Javier Almunia, Loro Parque Fundacion, Tenerife
Thomas Althaus, WAZA
Brad Andrews, Sea World Inc, USA
Kazutoshi Arai, Kamogawa Seaworld, Japan
Stephane Auffret, Oceanarium Brest, France
Laurie Bingaman-Lackey, International Species
Information System
Jerry Borin, Columbus Zoo, USA
Paul Boyle, The Ocean Project, USA
Hai Chiang, National Museum of Marine Biology and
Aquarium, Taiwan
Mike Crumpler, Chester Zoo, UK
Gerald Dick, Executive Director, World Association of
Zoos and Aquariums
Leslie Dickie, Executive Director, European
Association of Zoos and Aquariums
Peter Dollinger, Director, German Federation of Zoo
Directors
Joao Falcato, Oceanário Lisboa, Portugal
Beth Firchau, Virginia Aquarium, USA
Nate Flesness, International Species Information
System
Patrick Garratt, Two Oceans Aquarium, SA
Claude Gascon, IUCN SSC Amphibian Specialist Group
Suzanne Gendron, Ocean Park, Hong Kong
Claudine Gibson, Chester Zoo, UK
David Gibson, The Deep, UK
Richard Gibson, Chester Zoo, UK
Colin Grist, Chester Zoo, UK
Ian Harrison, Conservation International
Thomas Jermann, Basel Zoo, Switzerland
Kevin Johnson, Australasian Regional Association of
Zoological Parks and Aquaria
Philippe Jouk, Antwerp Zoo, Belgium
Rainer Kaiser, Berlin Zoo Aquarium, Germany
Debra Kerr, John G. Shedd Aquarium, USA
Heather Koldewey, Zoological Society of London, UK
Jurgen Lange, Berlin Zoo, Germany
Bill Peters, Canadian Association of Zoos and
Aquariums
Martin Phillips, Australasian Regional Association of
Zoological Parks and Aquaria
Bai Li Ping, Xiangjiang Safari Park, China
Judy Mann, South African Association for Marine
Biological Research and uShaka Marine World, SA
Gordon McGregor Reid, Chester Zoo, UK
Cheryl Mell, John G. Shedd Aquarium, USA
Mark Penning, South African Association for Marine
Biological Research and uShaka Marine World, SA
Jone Porter, South African Association for Marine
Biological Research and uShaka Marine World, SA
Diana Sarmiento-Parra, ALPZA
Wang Shi Li, Underwater World Qingdao, China
Makoto Soichi, Port of Nagoya Public Aquarium,
Japan
Kevin Tanner, Oceanis, Australia
Michelle Thieme, WWF
Sue Thornton, International Zoo Vet Group, UK
Simon Tonge, Paignton Zoo, UK
Itaru Uchida, Port of Nagoya Public Aquarium, Japan
Paul Van den Sande, EUAC Executive Secretary
Kris Vehrs, AZA
Cynthia Vernon, Monterey Bay Aquarium, USA
Gerard Visser, Rotterdam Zoo, Netherlands
Chris Warhurst, Sydney Aquarium, Australia
Doug Warmolts, Columbus Zoo and Aquarium, USA
Kevin Zippel, Amphibian Ark
ナンヨウツバメウオ(Platax orbicularis)(ユーシャカマリンワールド・南アフリカ)
51
参考文献
水生生物に関する科学的、技術的文献は大変多く、水族館に関連するものでさえ、すべてを包
括するリストは作成できません。 以下の参考文献は、一般によく知られたものと、この水族館戦略
を作製する上で特に参考にしたものです。
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56
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
補 遺I
用語解説
両生類の箱舟(AArk)
■ AArk は域外の両生類保全のための活動で、 WAZA、 IUCN 保全繁殖専門家グループ(CBSG)
と IUCN 両生類専門家グループ(ASG)により管理されています。 http://www.amphibianark.
org/
アフリカ保全プログラム(APP)
■ PAAZAB はアフリカ保全プログラム(APP)として知られている協力的な保全繁殖に関する 基
盤を運営しています。 2004 年 3 月に PAAZAB 評議会は、 APP 調整委員会からの勧告を承
認し、 APP の組織が非商業ベースでメタ個体群保全管理プログラムを始められるように調整
することが決まりました。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)
■ 附属書 I は、 CITES のリストに載っている動植物のなかでも最も危機的な種です。 これらの動
植物は絶滅の恐れがあり、 CITES では一般的にこれらの種の個体の国際的な商取引を禁じて
います。 しかしながら、例えば、科学的な研究に使用する場合など例外的な状況では許可され
ることもあります。 このような場合には、輸出許可(または再輸出証明書)と輸入許可証の両方
の承認があることで取引が関係当局から許可されることがあります。
■ 附属書 II には、今必ずしも絶滅の危機にあるわけではないが、取引が細かく管理されない場
合には絶滅のおそれがある種をリスト化しています。 このなかにはまた「類似種」として、保全
の理由からリストに入っている種とよく似ている種も含まれています。 附属書 II の種の個体の
国際取引は輸出許可あるいは再輸出証明書の承認により当局から許可されることがあります。
これらの種については CITES の下での輸入許可の必要はありません(ただし、 CITES が要求
しているよりも厳しい規定を設けている国々では許可が必要な場合があります)。 許可または
証明書は、特にその取引が野生でその種の保全に悪い影響を及ぼさないと当局が判断し、必
要な条件が満たされた場合にのみ承認されます。
■ 附属書 III は、既にその種の取引を規制している団体および絶滅や違法な採取を防ぐために他
の国々の協力を必要としている国々の要請で作成した種のリストです。 この附属書にリスト化
されている種の個体の国際取引は該当する許可または証明書の提示のみで可能です。
保全繁殖計画
■ 個々の動物園水族館での動物の飼育数は長期的な保全という観点からすると、通常少なすぎ
ます。 したがって、多くの生存可能な個体群を形成するには、国際または地域協力による域外
繁殖計画が必要となります。 このような協力的繁殖計画は数多くの目的の達成につながりま
す。 一般の教育と展示の機会、またはそのいずれかのための動物の提供ができ、資金を募る
ための手段の提供、動物生態学と飼育の基礎的知識を得る研究対象の提供、そして野生の個
体群の規模の大きな統計学的遺伝子バックアップの提供ができます。 これらの役割をすべて
果たすために、このような個体群を長期間にわたっ
SECOREメソッドを使い幼生から飼育されている Favia fragum © ZSL, UK
て飼育する必要があります。 そのために必要とな
るのは動物たちが統計学的に安定して、健康で、よ
い環境におかれ、持続可能な繁殖ができ、壊滅的
な損失のリスクを軽減するためにいくつかの機関に
分散して配置し、遺伝的多様性のレベルを高度に
維持できる十分な規模としなければなりません。
■ 保全繁殖計画は通常、地域内の協会レベルで組織
されます。 というのも、主に家畜に関する規制によ
るものですが、地域間での動物の交換には高額な
費用がかかるからで、また困難をともなうからです。
2003 年の年次総会で WAZA は地域間プログラム
のための手順を設け、国際的な血統登録台帳制度
が確立されました。
補 遺I
表 1. CITES 附属書 I と II にリストアップされている海水魚、淡水魚 と無脊椎動物
CITES 附属書
水族館での飼育
ジンベエザメ Rhincodon typus
II
Y
ホホジロザメ Carcharodon carcharias
II
Y
ウバザメ Cetorhinus maximus
II
N
ノコギリエイ科全種 Pristidae spp. (Pristis microdon を除く )
I
Y
Pristis microdon ( 主に保全目的の、適切かつ受入可能な水族館に
対する生きている動物の国際取引を認めることを専らの目的とする
ものに限る )
II
Y
チョウザメ目 spp. ( ヘラチョウザメ類、チョウザメ類 – 下記附属書 I に
ある種を除く )
II
Y
ウミチョウザメ Acipenser brevirostrum
I
バルチックチョウザメ Acipenser sturio
I
Y
ピラルク Arapaima gigas
II
Y
アジアアロワナ Scleropages formosus
I
Y
ザイールメクラウオ Caecobarbus geertsi
II
Y?
プロバルブス Probarbus jullieni
I
N?
クイウイ Chasmistes cujus
I
N
メコンオオナマズ Pangasianodon gigas
I
Y
ヨーロッパウナギ Anguilla anguilla
II
Y
タツノオトシゴ類 Hippocampus spp.
II
Y
メガネモチノウオ Cheilinus undulatus
II
Y
トトアバ Totoaba macdonaldi
I
Y?
シーラカンス類 Latimeria spp.
I
N
オーストラリアハイギョ Neoceratodus forsteri
II
Y
シャコガイ科全種 Tridacnidae spp.
II
Y
ピンクガイ Strombus gigas
II
Y
I (26 種 )
II (3 種 )
Y ( 数種 )
ヨーロッパシギノハシ (海洋種) Lithophaga lithophaga
II
N?
アオサンゴ科全種 Helioporidae spp. (Heliopora coerulea を含む )
II
Y
クダサンゴ科全種 Tubiporidae spp.
II
Y
種名
サメ類とエイ類
硬骨魚類
無脊椎動物
イシガイ科 イシガイ類、シンジュガイ類
角サンゴ目全種 Antipatharia spp.
II
Y
石サンゴ目全種 Scleractinia spp.
II
Y
アナサンゴモドキ科全種 Milleporidae spp.
II
Y
サンゴモドキ科全種 Stylasteridae spp.
II
Y
ナマコの一種 Isostichopus fuscus ( エクアドル )
III
N
■ 地域の協会によって実施されている内容はデータ収集(地域血統登録台帳)に限られることが
あり、また域外の個体群の長期的維持を目的とし、例えば野生に再導入する動物の繁殖によ
る域内の保全との結びつきもあり、このプログラムを実施するために協会は分類群アドバイザ
リーグループ (TAGs)とサイエンティフィックアドバイザリーグループという特別な委員会を設置
しました。
■ 全部で、 850 以上の異なる分類群の血統登録台帳(国際と地域)と繁殖プログラムの両方、ま
たはそのいずれかがあります。
57
58
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
ヨーロッパ絶滅危惧種プログラム
■ EEP は EAZA の動物園で飼育されている種の個体群管理としては最も充実したタイプのプログ
ラムです。 各 EEP には種委員会が補助するコーディネーターがいます。
■ コーディネーターは EAZA の動物園水族館で飼育され、担当する種の全個体の状況に関する
情報を収集、血統登録台帳を作成し、個体群統計学的、遺伝学的分析をして、その種の将来に
わたる管理計画を作成し、参加機関に勧告を出します。
ヨーロッパ血統登録台帳(ESB)
■ ESB は TAG と参加機関が決定を下す際に参照する血統登録台帳掲載の種のマネジメントレ
ベルを示します。 ESB は EEP プログラムほど豊富なデータをもつには至っていません。
■ 特定の ESB の血統登録台帳管理者はその種を飼育している EAZA のすべての動物園から、
誕生、死、移動などに関するすべてのデータを収集します。
■ これらのデータは特別なコンピューターソフトに入力され、血統登録台帳の担当者はその種の
個体群の分析をすることができます。
野生での絶滅
IUCN 絶滅危惧種レッドリスト(2009 年 1 月)によれば、 36 の動物種が「野生で絶滅」し、飼育下で
のみ生存しています。 水生生物では以下がリストに含まれます :
(訳注:該当する和名がない場合は原文を記載しました)
軟体動物
■ Aylacostoma chloroticum
■ Aylacostoma guaraniticum
■ Aylacostoma stigmaticum
甲殻類
■ ソコロ等脚類 Thermosphaeroma thermophilum
魚類
■ ゴーデア Ameca splendens
■ ティロ Skiffia francesae
■ Perrito de Potosí, Cyprinodon alvarezi
■ Carchorrito de Charco palmal, Cyprinodon longidorsalis
■ Red-tailed shark-minnow, Epalzeorhynchos bicolor
■ Bluish Lake Victoria cichlid, Haplochromis lividus
■ Labrochromis ishmaeli
■ Cachorrito enano de Potosí, Megupsilon aporus
■ Lake Saradrano cichlid, Paretroplus menarambo
■ Platytaeniodus degeni
■ Prognathochromis perrieri
■ Yssichromis argens
両生類
■ ワイオミングヒキガエル Bufo baxteri
爬虫類
■ クロスッポン Aspideretes nigricans
国際種情報システム(ISIS)
■ ISIS は 1973 年に設立されました。 この年ユリシーズ・シール博士とデール・メイキー博士が、
動物園水族館の長期的な保全管理目標達成の一助となる国際的なデータベースのアイデア
を提案しました。 当初は北アメリカとヨーロッパの 51 の動物園がこのネットワークの参加呼び
かけに応じました。
■ アメリカ動物園水族館協会(AZA)、アメリカ動物園獣医師協会(AAZV)やその他の動物園協会
は ISIS に補助金を出し、正式な支持を表明しました。 さらにある獣医師たちは民間財団とアメリ
カ内務省から開発資金を募りました。 ミネソタ動物園は 15 年間プログラムを主催しています。
補 遺I
■ 1989 以来、 ISIS は署名加盟機関によって選出された国際評議会の下で、非営利団体として法
人化されました。
■ ISIS は動物園水族館、さらにその関連組織に動物とその環境に関する包括的で信頼できる最
新の情報提供をし、運営のサポートをしています。 このような情報は動物園水族館にとって地
域と世界の動物管理と保全に関する目標を達成する上で大きな役割を果たします。 情報収集
における国際協力を容易にすることと動物園水族館、さらにその関連組織の間での動物とその
環境に関する情報共有は ISIS の使命です。
■ ISIS は 76 の国の 825 の動物園水族館とソフトウェアを共有して世界の標準的な動物学的デー
タを提供しています。 ISIS は動物コミュニティーにとっての世界的データベースで、 15000 の分
類群、 10000 種、 200 万個体の情報が入っています。 ISIS の会員は、動物の収集のために
遺伝学的や個体数計画を管理している ISIS システムのなかで収集された基本的な生物学情
報(年齢、性、血統、出生地、死亡状況など) を使うことができます。
■ 今日、動物園水族館は危機に瀕している動物たちを繁殖させる努力においてはリーダーとなっ
ています。 動物園水族館は命をつなぐ「遺伝子バンク」となっています。 種によっては絶滅か
ら救われた種もあります。 動物園で繁殖して、野生に戻された種もあります。 例えば、クロアシ
イタチ、カリフォルニアコンドル、モウコノウマ、アメリカアカオオカミ、ズアカショウビン、アラビアオ
リックスなどです。 このような作業には膨大な量の科学的専門知識、遺伝学的研究、調整と協
力が必要で、これらすべてが正確な動物のデータ収集と交換に依存しています。 また繁殖と個
体群管理は地域をこえた動物情報、特に血統と個体群統計(出生数と死亡数)に依存していま
す。 正確な記録の保存は、絶滅危惧種の管理には不可欠です。 長年にわたって ISIS のソフト
ウェアは動物学の記録保存としては世界のスタンダードで最高のデータベースであると認めら
れています。
国際血統登録台帳
■ 危惧種と希少種の国際血統台帳は世界動物園水族館協会(WAZA)が厳重に保管しています。
ほとんどの場合、 WAZA の会員機関のスタッフが血統登録担当者となっています。 国際血統
登録台帳事務所はロンドン動物園協会(ZSL)が運営し、 ZSL の園長が国際血統登録台帳コー
ディネーターとして活動しています。
■ WAZA 内では、個体数管理委員会(CPM)が主に血統登録台帳にかかわる諸問題をあつかっ
ています。
■ 2007 年 1 月現在、個別の台帳となっているすべての亜種と種を含む国際血統登録台帳は 182
ありました。
種委員会管理共同体(JMSC)
■ イギリスとアイルランドでは、 BIAZA が設置した専門家の特別グループである、種委員会管理
共同体(JMSC)が繁殖計画を監視しています。
■ 繁殖プログラムはそれぞれの TAG に回答を出し、種計画管理共同体(JMSP)として照会を受け
ます。 管理のレベルに応じて(JMSP 管理には 4 つのレベルがあります)、血統登録担当者は、
飼育個体群がこの先 100 年(またはしかるべき期間)、遺伝学的、医学的、心理学的に健全で
あるための繁殖の必要性を判断します。
北アメリカ地域血統登録台帳(ASB)
■ 血統登録台帳は、属、種、亜種や特定の個体群などの分類群に関し、血統と個体群統計学的な
歴史を記載しています。 血統登録台帳は、亜種のない単一種、交雑種や起源がわからない個
体は含まれないが多くの亜種のある単一種、多くの交雑種と亜種を含む単一種または属、分類
群アドバイザリーグループ(TAG)と AZA 野生生物保全管理委員会(WCMC)によって適切と判
断された多くの種をカバーしています。 血統登録台帳は、地域限定のものと世界的レベルのも
のと、地理的な範囲で規定されています。
■ アメリカ動物園水族館協会(AZA)は、 225 の地域血統登録台帳を承認し、北アメリカの動物園
水族館飼育個体群の遺伝学的および個体群統計学的管理の基礎となっています。 血統登録
台帳は、単一の個体群に対し、遺伝学的および個体群統計学的分析が簡単にできる標準フォー
マットで、正確な最新情報を提供するために始められました。 血統登録台帳のデータを数量的
に解析することは、それぞれの個体群の個体に関し行われる勧告を通じて管理計画を発展させ
ます。 血統登録台帳がなければ、科学的に個体群を管理することは現実的には不可能です。
59
60
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
■ 血統登録担当者は、飼育個体群の血統や個体群統計学的データなどを把握します。 この情
報はいくつかのレベルにおいて飼育下個体群の管理に使用されることがあります。 最も高度
な管理レベルは AZA SSP© プログラムのような域外での保全です。 SSP© がない場合、血統
登録担当者は個体群管理計画(PMP)を進めるように求められています。 PMP は繁殖勧告に
ついては、 SSP© と同じ結論に達することが多くありますが、主要目標として保全に関する要素
は、さほど強くはありません。 このレベルの管理の共通目標は自己持続可能な飼育下個体群
の維持にあります。
個体群管理計画
■ 個体群管理計画(PMPs)は、さまざまな飼育個体群に対し基本的な個体群管理の勧告をする
ために設置されました。 PMP は種保存計画(SSPs)による厳しい管理や保全活動を必要としな
い血統登録台帳の個体群を対象としています。
■ PMP は個体群管理者が監督をしますが、これは承認された血統登録担当者である場合が多く、
個体群管理者は飼育個体群の監視に責任を負い、さらに飼育個体群全体の遺伝学的および個
体群統計学的健全性が増進されるような管理オプションに注意を喚起させる責任も負います。
個体群管理者は SSP で使用されているのと同じ遺伝学的および個体群統計学的プロトコルとソ
フトウェアを使います。 また個体群管理者は繁殖勧告を完成させるために小個体群管理アドバ
イザリーグループ (SPMAG)のアドバイザーと接触する必要があります。
■ 個体群管理者は SSP コーディネーターと同じツールを使っていますが、 PMP の勧告は「経
験則」で補足されている場合が多く、さらに高い集中度で管理されている SSP には適しません。
PMP の参加は完全に任意であるため、これらの一般的ガイドラインは参加している機関にそれ
ぞれの動物の個体群をどのようにしたら最善の状態で管理できるかについての意見の提供に
とどまります。
日本動物園水族館協会種の保存委員会(SSCJ)
■ 1988 に JAZA は、海外の動物園水族館との協力関係を発展させるために、理事会の支援組織
として種保存委員会 (SSCJ)を設置しました。
■ 日本動物園水族館協会種保存委員会は体系的な保全と繁殖の努力が必要な種を繁殖グルー
プとして独立させることを目的としています。 これについては、 JP-1 として繁殖のための種が
指定され、 JP-2 として登録種が指定されます。
種保存計画(Species Survival Plan®)
■ Species Survival Plan® は AZA が著作権をもつ繁殖と保全プログラムで、その使命は遺伝子
学上実行可能で個体群統計学的に安定した飼育個体群を維持することと域内保全のために
動物園水族館をベースにした活動を組織することにあります。
各 SSP は、遺伝学的に多様で、個体群統計学上安定した、健全で自立できる個体群を維持す
るために種の繁殖を行います。 現在 107 の SSP が 161 の独立した種を管理しています。 新し
い SSP は該当する AZA 分類群アドバイザリーグループ(TAG)、または AZA 野生生物保全管
理委員会(WCMC)によって承認されています。 TAG は種の関連グループ(類人猿、猛禽類、淡
水魚など)のための保全プログラムを管理しています。 各 SSP は日々の作業の運営責任を負
う適正な種コーディネーターを置いています。
分類群アドバイザリーグループ
■ 1990 年にアメリカ動物園水族館協会によって設立。 分類群アドバイザリーグループ(TAGs)
は関係する種のすべての分類群またはグループのすべての必要性を調査します。 AZA TAGs
が対象としている基本の分類グループの例としては両生類、ネコ科、ペンギン類と海産魚類が
あります。
■ 各 TAG は AZA メンバー組織からの代表で構成され、同時に AZA Species Survival Plan®(SSP)
のコーディネーターや血統登録担当者のような専門知識をもった個人も構成員として参加して
います。
■ 専門家アドバイザリー委員会として活動しながら、分類群アドバイザリーグループは AZA 保全
プログラムのための種選択を補助したり、分類群全体に適用される飼育方法、病気、倫理やそ
の他の諸問題についての討議も行います。
補 遺I
動物園情報管理システム(ZIMS)
■ 国際種登録システム(ISIS)の ZIMS プロジェクトは、 200 万種の動物データについてウェブを
ベースにリアルタイムのグローバルデータベースを使い、動物園水族館業界に、動物、獣医学、
飼育と個体数ならびに環境に関する最新の包括的、統合的情報を提供する次期ステップとして
います。
■ ZIMS は、およそ 500 名のキュレーター、記録担当者、獣医、水生陸生飼育専門員、またはその
他世界の動物園水族館からの参加によって発展してきました。
■ 動物園水族館スタッフは施設内の生物を生まれる前(卵または妊娠の段階)から死後(検死と
病理)までを通して追跡する能力をもち、施設内の動物の変更について最新の情報を把握して
います。 世界の動物と環境に関する情報の中枢として、 ZIMS は、病気の進行の原因と結果、
行動の変化、生死にかかわる事項、繁殖の成功やその他の重要なイベントの理解を深めます。
また新しく進んだレベルで、動物園コミュニティーのなかでの国際的な意思の伝達のための土
台を提供します。
アホロートル(Ambystoma mexicanum)。 この種は動物園、水族館、
研究機関や学校で一般的に飼われていますが、野生では絶滅の
危機に瀕しています © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
61
62
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
補 遺 II
水族館および水生保全に関係する団体とプログラム
国または地域の動物園水族館協会
協会
■ African Association of Zoos and Aquaria (PAAZAB)
www.paazab.com
■ American Zoo and Aquarium Association (AZA)
www.aza.org
■ Asociación Colombiana de Parques Zoológicos y
Acuarios (ACOPAZOA)
www.acopazoo.zoobaq.org
■ Asociación Mesoamericana y del Caribe de
Zoológico i Acuarios (AMACZOOA)
www.amaczooa.com
■ Association Nationale des Parcs Zoologiques de
France (ANPZ) www.anpz.org
■ Australian Regional Association of Zoological
Parks/Aquaria Inc. (ARAZPA)
www.arazpa.org.au
■ Austrian Zoo Association (OZO)
www.ozo.at
■ British and Irish Association of Zoos and
Aquariums (BIAZA)
www.zoofederation.org.uk
■ Danish Association of Zoological Gardens and
Aquaria (DAZA) www.daza.dk
■ Eurasian Regional Association of Zoos and
Aquariums (EARAZA) www.zoo.ru
■ European Association of Zoos and Aquaria (EAZA)
www.eaza.net
■ German Federation of Zoo Directors (VDZ)
www.zoodirektoren.de
■ Iberian Association of Zoos and Aquaria (AIZA)
www.aiza.org.es
■ Japanese Association of Zoos and Aquariums
(JAZA) www.jazga.org.jp
■ Latin American Zoo and Aquarium Association
(ALPZA)
■ Malaysian Association of Zoological Parks and
Aquaria (MAZPA) www.mazpa.org.my
■ National Foundation of Zoological Parks and
Aquaria (FUNPZA) www.funpza.org.ve
■ Sociedade de Zoológicos do Brazil (SZB)
www.szb.org.br
■ South Asian Zoo Association for Regional Cooperation (SAZARC) www.zooreach.org
■ South East Asian Zoo Association (SEAZA)
www.seaza.org
■ Swedish Association of Zoological Parks and
Aquaria (SAZA / SDF)
www.svenska-djurparksforeningen.nu
■ Swiss Association of Scientific Zoos (Zooschweiz)
www.zoos.ch
■ Syndicat National des Directeurs de Parcs
Zoologiques Français (SNDPZ)
www.sndpz.fr
■ Union of Czech and Slovak Zoological Gardens
(UCSZ) www.zoo.cz
■ Amphibian Ark (AArk)
http://www.amphibianark.org/
■ American Association of Zookeepers Inc. (AAZK)
www.aazk.org
■ Animal Keepers Association of Africa (AKAA)
www.zoo.ac.za/akaa
■ Aquariums de France
www.membres.lycos.fr/aquafrce
■ Aquarium and Zoo Facilities Association AZFA
www.azfa.org
■ Asociación Ibérica de Cuidadores de Animales
Salvajes (AICAS) www.aicas.org
■ Association Francophone des Soigneurs
Animaliers (AFSA)
www.leszoosdanslemonde.com
■ Association of British Wild Animals Keepers
(ABWAK) www.abwak.co.uk
■ Australasian Society of Zoo Keeping ASZK
www.aszk.org.au
■ Berufsverband der Zootierpfleger (BdZ)
www.zootierpflege.de
■ Central Zoo Authority of India (CZAI)
http://envfor.nic.in
■ de Harpij – Organisatie van en voor Nederlandse
en Belgische dierentuinmedewerkers
www.deharpij.nl
■ European Association for Aquatic Mammals
(EAAM) www.eaam.org
■ European Cetacean Society (ECS)
http://web.inter.nl.net
■ European Union of Aquarium Curators (EUAC)
www.euac.org
■ International Animal Data Information Systems
Committee (IADISC)
www.iadisc.org
■ International Aquarium Forum
www.intaquaforum.org
■ International Congress of Zookeepers (ICZ) http://
www.iczoo.org/
■ International Marine Animal Trainers Association
(IMATA) www.imata.org
■ International Species Inventory System (ISIS)
www.isis.org
■ International Zoo Educators Association (IZE)
www.izea.net
■ Marine Museums and Aquariums
www.seasky.org/links/sealink07.html
■ The Ocean Project (TOP)
www.theoceanproject.org
■ Zoo News www.zoonews.ws
■ Zoo Outreach Organisation
www.zooreach.org
■ Zoo Registrars Association (ZRA)
www.zra.homestead.com
■ Zoo Talk www.zoo-talk.com
補 遺 II
Zoo-AG Bielefeld www.zoo-ag.de
Zoo-Presseschau
www.zoopresseschau.info
Zoobiology, Mammal Behaviour and Ecology
Study Group www.zoobiology.de
■ ZooLex www.zoolex.org
■ Zoologic Research and Consulting
www.zoologic.ch
■ Zoological Information Management System
(ZIMS) www.zims.org
■
■
■
獣医協会
■ Alliance of Veterinarians for the Environment
(AVE) www.aveweb.org
■ American Association of Zoo Veterinarians
(AAZV) www.aazv.org
■ Association of Amphibian and Reptilian
Veterinarians (ARAV) www.arav.org
■ British Veterinary Zoological Society (BVZS) www.
bvzs.org
■ Canadian Co-operative Wildlife Centre
http://wildlife.usask.ca
■ Centre for Fish and Wildlife Health of Berne
University (FIWI) www.itpa.vetsuisse.unibe.ch/
fiwi/html/en/1_0.html
■ Edinburgh Veterinary Zoological Website
http://homepages.ed.ac.uk
■ European Association of Zoo and Wildlife
Veterinarians (EAZWV) www.eazwv.org
■ Glasgow University Veterinary Zoological Society
www.gla.ac.uk
■ International Association for Aquatic Animal
Medicine (IAAAM) www.iaaam.org
■ International Veterinary Information Service
(IVIS) www.ivis.org
■ The Australian Association of Veterinary
Conservation Biologists (AAVCB)
www.zip.com.au
■ Wild Vet Austria www.wildvet.at
■ Wildlife Disease Association (WDA)
www.wildlifedisease.org
■ Wildlife Information Network (WIN)
www.wildlifeinformation.org
■ Zoo Animals Clinic of Zurich University
www.zooklinik.unizh.ch
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
保全団体および国際条約
■ African Eurasian Waterbird Agreement (AEWA)
www.unep-aewa.org
■ Alliance Zero Extinction (AZE)
www.zeroextinction.org/index.htm
■ Amphibian Specialist Group (IUCN-SSC)
www.amphibians.org
■ Birdlife International www.birdlife.org
■ Centre for Amphibia and Reptile Conservation in
Switzerland (KARCH)
www.karch.ch
■ Conservation Breeding Specialist Group (CBSG
IUCN-SSC) www.cbsg.org
■ Conservation des Espèces et des Populations
Animales (CEPA)
■ Conservation Evidence (CEED)
■
■
■
■
■
■
www.conservationevidence.com
Conservation International CI
www.conservation.org
Convention on Biological Diversity CBD
www.biodiv.org
Convention on International Trade in Endangered
Species of Wild Fauna and Flora (CITES)
www.cites.org
Convention on Migratory Species (Bonn
Convention – CMS) www.cms.int
ECOTEER (volunteer placements)
www.ecoteer.com
European Nature Heritage Fund (EURONATUR)
www.euronatur.org
EUROSITE www.eurosite-nature.org
Fauna and Flora International (FFI)
www.fauna-flora.org
Freshwater Fish Specialist Group (IUCN
SSC / Wetlands International) http://www.
wetlands.org/Aboutus/Specialistgroups/
FreshwaterFishSpecialistGroup/tabid/201/
Default.aspx, www.iucnffsg.org (in progress).
Frozen Ark www.frozenark.org
Global Nature Fund GNF
www.globalnature.org
IUCN International Union for Conservation of
Nature and Natural Resources www.iucn.org
Living Lakes www.livinglakes.org
Marine Turtle Specialist Group (IUCN SSC)
www.iucn-mtsg.org
Mollusc Specialist Group (IUCN SSC)
Odonata Specialist Group (IUCN SSC)
Reef Doctor www.reefdoctor.org
Reintroduction Specialist Group (IUCN SSC) www.
iucnrsp.org/pages/1/index.htm
Southern African Foundation for the
Conservation of Coastal Birds (SANCCOB)
www.sanccob.co.za
Species Survival Commission (IUCN SSC)
www.iucn.org/themes/ssc
Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
(IUCN SSC) www.iucn-tftsg.org
TRAFFIC www.traffic.org
United Nations Environment Programme (UNEP)
www.unep.org
Wetlands Convention – Convention on Wetlands
of International Importance (RAMSAR)
www.ramsar.org
Wetlands International www.wetlands.org
Wildlife Conservation Society (WCS)
www.wcs.org
World Conservation Monitoring Centre (WCMC)
www.wcmc.org.uk
World Land Trust (WLT)
www.worldlandtrust.org
World Wide Fund for Nature Global Network
(WWF) www.panda.org
Zoo Conservation Outreach Group (ZCOG)
www.zcog.org
63
64
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
補 遺 III
水族館 : 産業としての世界的規模
世界中にどれだけの水族館があるでしょうか?
水族館は、それ自体が独立した機関や既成の動物園の一部門として、動物アトラクションの本質
的な分野である。 各地域の動物園水族館協会からの報告にもとづいて確認された世界中の水族
館の数を下記にまとめた。
地域
動物園に併設
された水族館
水族館
日本
67
2
アメリカ合衆国
40
23
中国
60
0
カナダ
4
3
オーストラリア / ニュージーランド
12
3
ヨーロッパ
40
100
アフリカ
5
1
地域の協会に属していない水族館を含め、その数は 315 館と見積もられている。 ここ数年で世
界的に驚くべき数の新しい水族館が建設されており、かつてない新規来館者の利用と、水生保全
の問題を解説する新たな機会を生み出している。 100 以上の独立した水族館が 1990 年代初期
からオープンしてきた。 これは何億ドルもの投資を表している。 2000 年以降に建設された重要な
水族館は以下のとおりである。
地域
2000 年以降の新設水族館
ヨーロッパ
15
日本
13
北米
17
中国
22
オーストラリア / ニュージーランド
中東
2
0
アフリカ
1
その他
70
世界中でどれだけの人々が水族館を訪れるでしょうか?
環境保全活動を支持する世界的な動向に影響を与える水族館産業のとてつもない潜在能力は、
これらの水族館に訪れる毎年の来館者数に反映されている。 各地域の動物園水族館協会からの
報告にもとづいた来館者の数は以下のとおりである。
地域
単独の水族館の来館者
(100 万人 / 年)
動物園に併設された
水族館の来館者
(100 万人 / 年)
中国
*20 000 000
?
日本
32 600 000
2 960 000
アメリカ合衆国
42 500 000
32 000 000
オーストラリア / ニュージーランド
4 000 000
1 200 000
ヨーロッパ
20 000 000
52 000 000
南アフリカ
1 200 000
614 139
カナダ
2 200 000
3 200 000
~150 000 000
~100 000 000
合計
* 中国の水族館来館者は2億人
に上るかもしれない。
補 遺 III
現在、どの水族館が最も多くの来館者に恵まれているでしょうか?
それぞれの水族館の人気は、展示とプレゼンテーションの質からその水族館のある地域の人口
の規模までさまざまな要因による。 現在、年間の来館者数の多い単独の水族館は以下のとおりで
ある。
国
水族館
来館者数
アメリカ
リビング シー
6 300 000
アメリカ
シーワールド(オーランド)
5 000 000
アメリカ
シーワールド(サンディエゴ)
4 000 000
中国
香港オーシャンパーク
3 388 000
日本
沖縄美ら海水族館
3 023 328
日本
大阪海遊館
2 495 277
日本
名古屋港水族館
2 122 709
日本
横浜八景島シーパラダイス
1 789 309
アメリカ
ジョーン G シェド水族館
1 710 000
アメリカ
モントレイベイ水族館
1 700 000
オーストラリア
シドニー水族館
1 600 000
日本
葛西臨海水族園
1 582 192
スペイン
バルセロナ水族館
1 500 000
中国
北京水族館
1 500 000
中国
福州左海水族館
1 500 000
イタリア
ジェノバ水族館
1 350 000
中国
上海海洋水族館
>1 000 000
ポルトガル
リスボン水族館
>1 000 000
中国
大連老虎灘海洋公園
>1 000 000
中国
青島水族館
>1 000 000
中国
青島極地水族館
>1 000 000
中国
大連聖亜水族館
>700 000
中国
北京海洋館
>700 000
中国
北京太平洋水族館
>700 000
中国
上海長風水族館
>700 000
中国
長沙水族館
>700 000
中国
曲江水族館
>700 000
アメリカ・モントレイベイ水族館でのアメリカヤナギクラゲの展示
65
66
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
アトラクションのひとつとして水族館を併設した動物園で、年間来館者の多いのは以下のとおりで
ある。
国
水族館併設動物園
来館者数
アメリカ
ディズニー・アニマルキングダム
8 300 000
アメリカ
タンパベイ・ブッシュガーデン
4 500 000
ロシア
モスクワ動物園
3 500 000
ドイツ
ベルリン動物園
3 200 000
アメリカ
セントルイス動物園
2 922 000
オーストリア
ウィーン動物園
2 500 000
日本
東山動植物園
2 319 341
ドイツ
シュットガルト動物園
2 200 000
ドイツ
ライプツィヒ動物園
1 800 000
アメリカ
デンバー動物園
1 537 000
アメリカ
ヒューストン動物園
1 500 000
世界中の水族館でどれくらいの生物が飼育されているでしょうか?
国際種情報機構(ISIS)の 2008 年 12 月のリストによると以下のとおりである。
動物の総数
*
*
2 314 938
生体数
373 498
分類群
61 637
水生と陸生
科
属
種
亜種
1
5
0
22
143
1
3 388
43
無顎類
0
軟骨魚類 ( サメとエイ )
3
硬骨魚類
51
503
個体数
生体数
8
1
6
軟骨魚類 ( サメとエイ )
4 314
1 435
521
硬骨魚類
21 452
3 113
21 995
無顎類
分類群
国際種情報システム(ISIS)は歴史的に元来、水族館よりも動物園で利用されてきた。 そして
ISIS の組織はここ 5 年間、水族館のことを念頭に置いて動物園情報管理システム(ZIMS)の構築
を進めてきた。 この革新的な新しいコンセプトは、世界中の動物園と水族館の動物コレクションの
大規模管理を容易にするウェブベースの情報システムになるだろう。 ZIMS は 2009 年末に配布
開始予定である。
世界の水族館は重要な生物学的資源を保有しており、地域の協会は以下のように報告している。
日本
アメリカ
ヨーロッパ
オーストラリア/ ニュージーランド
アフリカ
280
-
60
87
-
科
1 000
-
218
254
-
属
2 300
-
809
516
-
5 200
1 170 000
-
1837
946
350
318 700
61 398
41 692
19 000
目
種
個体数
67
補 遺 IV
保全のサポートにおける水族館の利点
保全のサポートにおける水族館の利点
以下のリストは、 2003 年 3 月 21 日にプラハ動物園で開催された EAZA/EUAC 下等脊椎動物
および無脊椎動物分類群アドバイザリーグループ会議および 2003 年 3 月 22 日にバーゼル動物
園で開催された EUAC 委員会会議で行われたディスカッションにもとづいて編集された項目である。
の保全活動にその技術と専門知識を伝える
■ 水生生物の域外保全は、再導入まで「絶滅
機会を非常に多くもっている
の危機にある種」の個体数の維持にとって
は費用対効果が大いに期待できる方法とな ■ 水族館は収集家などの生活を保証する野
生ストックを発展させるプログラムをもってい
りうる
る
■ 水族館に関する一般の認識は全体として好
■ 水族館は未知または未だ研究の進んでい
意的である
ない多くの種の生物学的、または生活史に
■ 先進国における海洋問題に関する一般の
関するデータの収集を容易にするユニーク
意識と関心の程度は高い
な機会をもっている
■ 水族館は動物福祉に関して、一般的によい
■ 水 族 館 は 絶 滅 の お そ れ の あ る 動 物 種 の
イメージを持たれている
IUCN レッドリストに載っているすべての魚
■ 水族館は人口の多い場所にその多くが存在
種のわずかに 10% ではあるが、保全評価
しており、動物園よりも環境への足跡は小さ
に対して有意義な貢献をしている
い
■ 水族館は特定の種の計画的または協力的
■ 館内環境は全天候型の施設が多い
繁殖プログラムを進展させることができると
■ 世界的に新しい水族館の開発が多く行われ
同時に、慎重に管理されている再導入プロ
ているため、潜在的な可能性に期待できる
グラムに参加することができる
■ 業界はスタッフの専門性において高いレベ
■ 情報技術やバイオテクノロジー(低温保存
ルにある
など)の進歩により繁殖プログラムの成功
■ 水族館同士での非常にオープンで積極的
例が増える
な意見交換がある
■ 水族館の収集生物は多くの種の多様性と ■ 水族館は一般に影響を与え、売店やレスト
ランで持続性を考慮した魚の責任ある販売
バイオマスをカバーしている
を推進できる
■ 水族館では水に親しむ体験を含めて、有意
■ 水族館は自然教育カリキュラムの水生保全
義な教育的機会を提供している
部門を支援しさらに発展させるのにふさわし
■ 研究機関や教育機関との間に積極的な協
い場所である、そして
力関係がある
■ 水族館のある場所や展示内容に含まれる ■ 水族館は保全問題に関する政府などへの
働きかけにとって、非常に重要な問題提起
地域的特性から保全プロジェクトにおける
の場を提供している
直接的な地域とのつながりに対する大きな
潜在的可能性がある
■ 水族館は単一種ではなく自然の生態系を展 保全のサポートにおける水族館の課題
示しており、生態学的な統合により自然の生
■ 水族館は先進国に最も集中している
息地を正確に示すことができる
■ 多くの種は比較的寿命が短く、一時的な展 ■ 多くの開発途上国は水生保全に対する関
心をあまりもっていない
示や展示の変更にとって適している
■ 生命をサポートする飼育技術について大き ■ 多くの開発途上国は大型の水族館を建設し、
運営するのに必要な資金や技術をもってい
な進展が見られ、さらに発展が期待されて
ない
いる
■ 餌料に関する技術についても現在までに革 ■ 水族館は建築費用や運営費用が非常に高
い
新的な改善が見られる
■ 水族館は保全医学に実質的な貢献ができ ■ 水族館は技術や技能に非常に大きく依存し
ている
る
■ 水族館スタッフの専門知識はフィールドでの ■ 水族館の運営には非常に多くのエネルギー
が必要とされる
プログラムにおいて大変重要となりうる
■ 水族館は(サンゴ礁の回復など)フィールドで ■ アマゾン川流域やコンゴ川流域など、熱帯の
68
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
淡水で最も生物多様性の程度が高いエリア
にはほとんど、あるいはまったく水族館が存
在しない
■ 海洋や淡水の水路では魚を無限にとれると
いう共通の一般的認識がある
■ 人々は感情をもって、魚を認識することはなく、
陸上の動物よりも感情的に見る部分が少な
い
■ 魚は食料として見られ、野生生物として見ら
れることはない
■ 魚は社会経済的な圧力の増加で今までより
も多くとられるようになっている
■ 保全、繁殖と研究のためのサポート施設が
不足している
■ 飼育されてい る 種の数と多様 性に関する
ベースとなる情報が不足している
■ 個体記録の保持が困難で、多くは群れ管理
に依存している
■ 専門獣医の能力は非常に進歩しているが、
水族館内における膨大な種の多様性に照ら
しても、そのニーズはさらに大きくなる
■ 病気の発生はその治療に多額の費用がか
かり、安全性の見地からコントロールするの
が困難な場合が多く、事業の運営上重大な
事態にいたる
ウツボ © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
■ 水族館産業は依然として野生からの供給に
依存している
■ 自然界で捕獲した生物を入手して飼育すると
いうことについては、法律的な規制とさらなる
圧力が存在する
■ 繁殖の成功には限界があり、また水族館業
界では協力的な繁殖プログラムはほとんど
存在しない
■ 養殖は難しくコストもかかるが、多くの魚種を
飼育したり、繁殖することが必要である
■ 展示は、魚の収集を趣味にしている収集家
の取引を増やす可能性が考えられる
■ 無責任な取引の慣習があまり規制されてい
ない
■ 特にサメや海洋哺乳類について、動物福祉
または権利を主張する人々のグループによ
る圧力が大きくなり続けている
■ 油の流出などの地域環境が開放式の水族
館に脅威となっている
■ 水族館は偶発的な外来種のリリース、あるい
は薬品や他の汚染物質のたれ流しによって
地域の生態系に悪影響を与える可能性があ
る
■ IUCN 再導入ガイドラインの実施については
未だ認識が浸透しておらず、実施されていな
い場合が多い
■ WAZA 水族館戦略はフィールド指向で、水
族館はこの分野での潜在的可能性を現実
のものとし始めたばかりである
69
補 遺V
水族館 : 教育における世界的役割
世界動物園保全戦略によれば、毎年 6 億 5 千万人の人々が動物園水族館を訪れて楽しい時
間を過ごしている。 この数は世界人口のほぼ 10 分の 1 で、世界中で一年間に開催される球技の
全試合を観戦する人々よりも多い。 したがって、この産業が多くの来訪者に与える潜在的な影響
ははかり知れないほど大きい。 もちろん、人々は何かを学ぶために水族館を訪れるわけでは必ず
しもないが、多くの水族館職員は以下のようなことがらと無関係に水族館に訪れる人はいないと考
えている:
■ 家族や友人と楽しい時間を過ごす
■ 水生生物の生息地とそこにすむ生き物たち
についてある程度の知識を得る
■ 水生生物の生息地についてさらに深い認識
をもつ、そして
■ 私たちの星の限られた資源を持続的に利
用するために、ライフスタイルを変えることに
挑戦しようとする
ら趣味向けの産業を教育する積極的役割を
になうことができる
■ 最近開館している多くの水族館は地域の生
息域や種にもとづいた地域的テーマをもって
いる場合が多く、結果として来館者もその特
定の地域に関係するユニークな体験ができ
るようになっている
また以下は一般の人々と水族館の職員を教
育するために、水族館が果たすべき役割につい
て一連のワークショップで提起された項目である
■ 水族館は保全教育を推進する道徳的義務
を負っている
■ 水族館は複数種の生息地およびコミュニ
ティーをリアルに展示することに精通する
■ 水族館は知識の獲得と同時に、恐怖や驚き
などの感情的な側面も体験できるようにす
る
■ アクリルトンネルなどの革新的な技術を使う
ことで、来館者に日常生活では近づくことの
できない未知の世界を体験させる
■ 水族館は趣味で水生生物の収集をしている
人々の取引や水産養殖産業について来館
者に知ってもらい、水生動物の社会経済的
価値を説明できる
■ 水族館はさまざまな国々での水生動物の文
化的価値について説明できる
■ 時にはハイテク機器を使ってメッセージを一
般の人々に伝え、見る人の心にうったえるよ
うに展示がデザインされる
■ 人間の行動を変えることに重きを置いた教
育、さらには行動に直結する教育をすること
ができる
■ あまりカリスマ的でない種を効果的に展示
する
■ 水族館は種の多様性をいっせいに展示する
ことができ、生態系の重要性を強調すること
ができる
■ 水族館のなかには都市再生プログラムの
重要な構成要素となっている水族館がある
■ 水族館は都市部に多く見られるが、自然と
都市生活のギャップをうめる役割をなす
■ 水族館は福祉と責任ある行動という観点か
シーフード持続性プログラムを説明するダイバー(モントレイベイ水族館・アメリカ)
70
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
補 遺 VI
水族館:国際条約・規約・ガイドライン
特定種
動物
■ Director General, New South Wales Department
of Primary Industries. Amended March 2006.
Standards for Exhibiting Pinnipeds in New
South Wales. NSW. Australia.
■ Professional Committee for Marine Mammals
of European Zoos. 1988. Guidelines for the
keeping of the Bottle-nosed Dolphin and Marine
Dolphins of the same size in member countries
of the EEC.
■ European Association of Zoos and Aquariums.
Approved 2006. Minimum Standards for the
Accommodation and Care of Animals in Zoos
and Aquaria.
■ Report to the Federal Assembly of the Swiss
Confederation. 1995. Swiss Federal Act on
Animal Protection 1978 (Stated 1995) and
Swiss Animal Protection Ordinance 1981
(Stated 1998). Including Appendix 2. Minimum
Requirements for the keeping of wild animals.
Le
Ministre de L’ Agriculture. 1999. Belgian
■
Standards. (Non-English document).
■ Swedish Animal Welfare Agency 2004. Animal
protection regulations in regards to the
husbandry of animals in Animal Parks. (NonEnglish document) Sweden.
■ Canadian Association of Zoos and Aquariums.
CAZA Standards of Animal Care and Housing.
■ Standards South Africa. 2003. South African
National Standards for Zoo and Aquarium
Practice. South Africa.
海獣類
■ Queensland Department of Primary Industries.
August 1992. Guidelines for the Care, Holding
and Transport of Marine mammals in
Queensland. Queensland Australia.
■ United States Department of Agriculture.
Update April 2001. Standards for Keeping
Marine Mammals in Captivity. USA.
■ Alliance of Marine Mammal Parks and Aquariums,
Abbreviated Standards and Guidelines. 2003. USA.
■ Swiss Animal Welfare Ordinance. Draft 2006.
Minimum requirements for the keeping of
aquatic mammals according to the Swiss
Animal Welfare Ordinance. Switzerland.
リーフィーシードラゴン(Phycodurus eques) © Richard Gibson, Chester Zoo, UK
飼育マニュアル
■ Laurence Couquiaud. Special issue 2005. Aquatic
Mammals – A Survey of the Environments of
Cetaceans in Human Care. Especially Chapter 8 –
Husbandry.
■ Harris, Gabrielle, Updated 2005. Animal Care
Manual for Mammals and Birds at SEAWORLD
uSHAKA Marine World. South Africa.
■ EAZA Marine Mammal TAG (Comp. and
Ed.). 2008. Husbandry guidelines for eared
seals (Otariidae). http://www.eaza.net/
members/DownlTAGs/Hg_eared%20seals%20
VERSION%202008.pdf
■ Sea World uSHAKA Marine Mammal Training
Standards and Procedures Manual. Edited Aug
2005.
■ USDA Sterilization of Marine Mammal pool
waters. Theoretical and Health Considerations.
Oct 1991.
■ Smith, M., Warmolts, D., Thoney, D. and Hueter,
R., 2004. The Elasmobranch Husbandry Manual:
Captive Care of Sharks, Rays and their Relatives.
http://www.colszoo.org/internal/elasmo_2005/
page2.htm
■ Koldewey, H. J. (Ed.). 2005. Syngnathid
Husbandry in Public Aquariums. http://seahorse.
fisheries.ubc.ca/pubs/Syngnathid_Husbandry_
Manual2005.pdf
■ Leewis, R. and Janse, M. (Eds)., 2008. Advances
in coral husbandry in public aquariums. Volume
2 in the Public Aquarium Husbandry Series.
http://www.coralhusbandry.org/
71
補 遺 VII
水族館:域内と域外の保全および教育プロジェクトの実施例
(訳注:プロジェクト名や施設・組織名などの固有名詞は原文のままとしました)
種/生息地
プロジェクト
組織
Center for Ocean Solutions (COS) は、海洋へのチャレ
ンジにかかわる問題解決のための新しい知識を開拓
するために設立されました。 COS の研究者とスタッフ
は、政府、企業や非営利団体の政策決定者に直接接触
して、海洋科学の結果と政策研究を行動に移せるように
理解させます
The Stanford University, Monterey Bay Aquarium, Monterey Bay Aquarium
Research Institute (MBARI)
Tagging of Pacific Predators は、海洋生物センサスの
17 プロジェクトのなかのひとつとして 2000 年に始まりま
した。 このセンサスは、生き物たちがこれまで生きてき
た、また現在生きている、そしてこれからも生き続ける海
洋における 10 年におよぶ長期的なプロジェクトで 80 の
国々の努力を集結して、海洋生物の多様性と豊富さの
程度について評価し解析します
NOAA’s Pacific Fisheries Ecosystems Lab, Stanford’s Hopkins Marine Lab, and
University of California, Santa Cruz’s Long Marine Laboratory
海洋
Ocean Project は、海洋に関する一般の人々の認識レベ
ルと保全に関する行動を増やすために、世界的に活動
しています。 保全についてのコミュニケーションの効果
を向上させることによって、 Ocean Project は、海洋の価
値や重要性、周囲から影響を受けやすい性質について、
一般の人々が継続して理解し、最優先の関心をもつこと、
そしてそれが徐々に浸透していくことに期待しています
http://www.centerforoceansolutions.org/
http://www.topp.org/
400 以上の水族館、動物園、科学博物館、産業博物館、自然史博物館、保全組
織、その他
www.gdrc.org/oceans/oceans-day.html
Fjord and Baelt (Denmark)
海生哺乳類
www.fjord-baelt.dk
海生哺乳類
The Chiloé Small Cetacean Project
チリ固有のイルカと小型鯨類の保全状況に関する評価
と地域における対応能力の構築
JNGO Yaqu Pacha、 Wildlife Conservation Society、 Zoo Nuernberg、 Society
for Marine Mammalogy、 Universidad Austral de Chile、 University of St
Andrews、地域の行政機関の支援を受けて、 Biol.Marjorie Fuentes と Dr. Sonja
Heinrich が共同で実施
www.tiergarten.nuernberg.de/v02/de/pub/index.html?navID=45andpoolID=60a
ndIDS=bRRWrRUM
http://eaam.org/index.php?option=com_contentandtask=viewandid=82andItem
id=53
ウスイロイルカ
ウスイロイルカプロジェクトは、 1990 年代に計画決定さ
れ、ウスイロイルカの状況をモニターします。 絶滅危惧
種で KZN( クワズル ・ ナタル ) 海岸沖のサメのネットに
よって悪影響を受けています
uShaka Marine World と Kelley Legge Dolphin Fund の 支 援 を 受 け て、 Endangered Wildlife Trust’s (EWT) Marine and Coastal Conservation Group が
運営。 Natal Sharks Board、 Richards Bay Coal Terminal、 Natal-Kwazulu およ
び沿岸の自治体と国の港湾機関が協力
マナティー
マナティー保護センター
ベネズエラ・ボリバル共和国環境省(MARN)、ベネズエラ国立動物園水族館財
団 (FUNPZA)、 Zoological Foundation of South Park Zoo、 Maracaibo、 The
Dallas World Aquarium の協定により運営
www.ewt.org.za
www.funpza.org.ve/centro_manati.html
http://www.waza.org/conservation/projects/projects.php?id=48
マナティー
The US Fish and Wildlife Service’s Manatee Rescue
and Rehabilitation Program
8 頭のオスのマナティーがマナティーコーストで飼育され
ています。 過去 5 年の間に 4 頭がリハビリを受け、自然
界へのリリースのためにフロリダに送られています
Columbus Zoo and Aquarium, US Fish and Wildlife Service, Sea World,
Orlando
ミナミオオカワウソ保護プログラム
Columbus Zoo、 SECAS Zoo、 Fulbright Commission、 Idea Wild の協力を受け、
Ilo、 Morro Sama、 Vila Vila の漁業協同組合と共同で PRO DELPHINUS が実施
http://www.columbuszoo.org/conservation/ongroundsprograms.aspx
http://www.seaworld.org/animal-info/info-books/manatee/conservation.htm
ミナミオオカワウソ
Lontra felina
www.prodelphinus.org
72
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
種/生息地
プロジェクト
組織
The Humboldt Penguin Conservation Center, Punta San
Juan
Spondulus、 ACOREMA (共にペルーの NGO)と土地所有者である Proabonos
Fertilizer Company を 含 む 努 力 と、 American Zoo and Aquarium Association
(AZA) の Humboldt Penguin Species Suevival Plan(SSP)、 Penguin Taxon
Advisory Group (TAG) の協力による Brookfield Zoo、 Philladelphia Zoo、 Saint
Louis Zoo の共同運営
海洋
フンボルトペンギン
Spheniscus
humboldti
www.stlzoo.org/wildcareinstitute/humboldtpenguinsinperu.htm
フンボルトペンギン
Spheniscus
humboldti
フンボルトペンギンとその生息域であるチリ南部の保全
サポート
Fundación Otway に よ る 保 全 活 動 は、 Zoo Landau in der Pfalz、 Zoo am Meer
Bremerhaven、 Zoo Magdeburg、 Zoo Osnabrück (以 上 ド イ ツ)、 Zoological
Society of Ireland – Dublin Zoo な ら び に Frankfurt Zoological Society、 Martin
Will´s Trust、 WWF Germany、 Batsford Arboretum、 Berufsverband der
Zootierpfleger (German Zookeepers Association)、 Naturschutzbund Sachsen、
Senckenberg Research Institute and Nature Museum、 Laudau Zoo 関 係 者 の 支
援を受けています
ケープペンギン
Spheniscus
demersus
ケープペンギンを救うための SANCCOB (The Southern
African Foundation for the Conservation of Coastal
Birds)の援助
Artis Zoo, Banham Zoo, Bristol Zoo, Paignton Zoo, Baltimore Zoo, Birmingham
Zoo (USA), Landau Zoo Zoologischer Garten Wuppertal and PAAZAB
www.zoo-landau.de
ケープペンギンの新しい繁殖コロニーの確立
SANCCOB、 New England Aquarium、 IFAW、 Dyer Island Conservation Trust、
University of Cape Town、南アフリカ沿岸管理行政機関の支援を受けて、 Bristol
Conservation and Science Foundation (Bristol Zoo) が実施
www.sanccob.co.za
ウミガメ
海洋のカメに関する地域プログラムはいくつかあり、そ
のなかには研究に関するプログラム ( 例:Naples など )
が数件、その他は寒さで体が弱ったカメのリハビリテー
ション(例:New England)、その他繁殖プログラム ( 例:
Nagoya)、さ ら に そ の 他 の 一 般 教 育 プ ロ グ ラ ム ( 例:
カメがビニール袋を食べた後の体内での影響など –
Oceanopolis)
Naples (Italy), Genoa (Italy), Monterey Bay (USA), Port of Nagoya (Japan), La
Rochelle (France) New England (USA), La Coruna (Spain), Oceanopolis (France) http://www.szn.it/SZNWeb/showpage/115?_languageId_=2;
http://www.neaq.org/conservation_and_research/projects/conservation_
medicine/rescue_and_rehabilitation/index.php
ARAZPA の支援を受けて、 UnderWater World と Melbourne Aquarium が実施
シロワニ
Carcharias taurus
水族館での大型サメにおける繁殖技術の使用:シロワ
ニ (Carcharias taurus) 繁殖の可能性
クロマグロ
Thunnus orientalis
and
Thunnus thynnus
マグロの秘密解明:1994 年以来、自然界にいる巨大な
クロマグロにスタッフがタグをつけて、水族館に隣接する
パシフィックグローブにある施設でマグロの研究が行わ
れています
Monterey Bay Aquarium, Tuna Research and Conservation Center (TRCC)
タツノオトシゴ
Hippocampus spp.
Project Seahorse は、世界の沿岸域の海洋生態系の保
全と持続的利用を実行する国際組織です。 地域共同体
から国際協定までの広範な規模で、関連する研究と運
営に従事します。 利害関係者やパートナーとともに協
力に際し、海洋保全の解決への努力目標としてタツノオ
トシゴを使っています
University of British Colombia, Canada; Zoological Society of London (ZSL), UK;
John G. Shedd Aquarium, USA
www.underwaterworld.com.au
http://www.montereybayaquarium.org/cr/trcc.asp
www.projectseahorse.org
New Jersey State Aquarium
バンガイカーディ
ナルフィッシュ
Pterapogon
kauderni
www.njaquarium.org
分子遺伝子学研究
Wildlife Conservation Society
1998 年に設立された FishArk は、メキシコの絶滅危惧
種で、野生では絶滅した可能性のあるゴーデア科魚類、
およびトラフサンショウウオ類の保全を目的としていま
す。 モレリアにある大学に本部をおき、 40 種以上の魚
類の種の保全に成功し、水族館で繁殖を行っている一
方で、大学のスタッフや学生によって、関連する実験施
設とフィールドでの研究、保全活動が行われています。
フィールドワークの中心となっている場所のひとつ、ザカ
プ湖は FishArk の実績が認められてラムサール条約履
行の指定を受けています
University Michoacana de San Nicolas de Hidalgo, Morelia, Mexico, Chester Zoo,
UK, Private Goodeid enthusiasts
ヴィクトリア湖の
シクリッド
ヴィクトリア湖シクリッドの血統登録台帳管理
New England Aquarium, Toledo Zoo
カメ類
カメの国際保護センター
域内保全と域外の手段を結びつけることによる絶滅が
危惧されている東南アジア野生生物の生き残り強化
(South East Asian Wildlife)
Münster Zoo
サンゴと褐虫藻
淡水
メ キ シ コ 固 有の
ゴー デ ア科魚 類
と水生トラフサン
ショウウオ類
Innsbruck Aquarium
アルプスの魚類相
www.allwetterzoo.de
補 遺 VII
種/生息地
プロジェクト
組織
ヨーロッパヌマガメ
ドナウアウエン国立公園におけるヨーロッパヌマガメの
保全計画
Vienna Zoo
キタブチイシガメ
キタブチイシガメ回復プログラム
American Zoo and Aquarium Association の Conservation Endowment Fund の
支 援 を 受 け て、 Washington State Department of Fish and Wildlife、 Nature
Conservancy、 U.S. Forest Service、 Western Aquatic Turtle Education and
Research と共同で Woodland Park Zoo と Oregon Zoo が実施
淡水
www.zoovienna.at
www.zoo.org/conserve/worldwide.turtle.html
クビカシゲガメ
リリースプログラムのためのクビカシゲガメの繁殖
Dallas Zoo; El Paso Zoo; Columbus Zoo and Aquarium
砂漠の魚類
チョウザメ
UWA の Dr Gerald Kuchling、 Conservation and Land Management (CALM)、
World Wildlife Fund、 Friends of the Western Swamp Tortoise の 意 見 に よ り、
Western Swamp Tortoise Recovery Team のメンバーと共同で Perth Zoo が実施
チョウザメ回復プログラム
La Rochelle
www.aquarium-larochelle.com
Tennessee Aquarium
http://www.tnari.org/
Hellenic Centre for Marine Resources, Greece; Zoological Society of London
コルフキリーフィッシュ
Valencia
letourneuxi
個体数の迅速評価と保全管理計画の開発
淡水魚
絶滅が危惧されている一定地域特有の淡水魚
Rhodes Aquarium
Otjikoto tilapia
Protected areas for Otjikoto tilapia
Chester Zoo
The El Valle Conservation Center
Houston Zoo が運営をし、エルバルデアントン(パナマ)の El Nispero Zoo が場
所を提供し、施設完成後の管理などの協力をします。 このプロジェクトに関与す
る 施 設 は 多 く、 Project Golden Frog and the Amphibian Recovery and
Conservation Coalition の 代 表 が 含 ま れ ま す。 計 画 段 階 の 主 要 施 設 は、
Atlanta Botanical Gardens、 Zoo Atlanta、 Denver Zoo と バ ル テ ィ モ ア の
Maryland Zoo で全施設が両生類を所有しています。 施設完成後は、パナマに
もどる予定です。 Conservation International’s Neotropical Critically Endangered
Species Fund、 San Antonio Zoo、 Zoological Society of San Diego、 Moody
Gardens (以上アメリカ)、 Banco Continental – Panamá、 Ripard Holding Corp. –
Panamá、 Continental Airlines は、財 政 的 な 支 援 を し、パ ナ マ 市 の Summit
Natural Park は、建設時に専門担当者を派遣し、労働力や設備を提供しました
が、これらの協力体制は継続します
www.zsl.org
両生類
www.houstonzoo.org/Golden_Frogs.aqf
Perth Zoo のカエル繁殖と研究
Western Australian Office of Science and Innovation か ら の 補 助 金 と Western
Australian Department of Conservation and Land Management、 Western
Australian Museum、 University of Western Australia、 Murdoch University の支
援を受けて、 Perth Zoo が実施
東南アジアの
カエル
東南アジアのカエルにおける繁殖バリエーション
American Society of Ichthyologists and Herpetologists、 Singapore Zoological
Gardens の 支 援 を 受 け て、サ ン デ ィ エ ゴ の University of California の Miss
Jennifer Sheridan が実施
ベトナムの両生類
ベトナムにおける両生類爬虫類繁殖ステーション
ベトナムのハノイの Institute of Ecology and Biological Resources、Vietnamese
Academy of Science and Technology (IEBR) の協力を得て、 Cologne Zoo が実
施
www.zoo-koeln.de
スイスのチューリッヒ自然保護公園における両生類の保
全
www.wildpark.ch, www.sihlwald.ch
ミドリヒキガエル
スウェーデンで最も絶滅の危機に瀕している両生類の
救済
www.nordensark.se
ヨーロッパアマガ
エル
スイスのラウエルツ湖におけるヨーロッパアマガエルの
再導入
www.tierpark.ch
サンバガエル
Alytes
obstetricans
スイスにおけるサンバガエル Alytes obstetricans の遺伝
的多様性の喪失とカエルツボカビ症
www.zoo.ch/xml_1/internet/en/application/d693/f717.cfm
チチカカミズガエル
Telmatobius
culeus
チチカカミズガエルTelmatobius culeusの絶滅の脅威と
保護状況の評価
Thrigby Conservation Fund (Thrigby Hall Wildlife Gardens und AmazonaZOO)、 Zoo Salzburg、 Blue Planet Aquarium (イギリス)、 Natuurpunt (ベルギー) の
支 援 を 受 け て、 ボ リ ビ ア の Santa Cruz de la Sierra の Stiftung Artenschutz and
Asociación Armonía (section of BirdLife International) が実施
www.armonia-bo.org
73
74
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
種/生息地
プロジェクト
組織
プエルトリコヒキ
ガエル
プエルトリコヒキガエルの生存計画
Puerto Rican Department of Natural Resources、 The United States Fish and
Wildlife Service、 University of Puerto Rico、 Ciudadanos del Karso、 Inciativa
Herpetologica の 協 力 を 得 て、 Audubon Zoo、ボ ル チ モ ア の Maryland Zoo,
Buffalo Zoological Gardens、 Central Florida Zoological Park、 Central Park Zoo、
Chester Zoo、 Cincinnati Zoo and Botanical Garden、 Cleveland Metroparks
Zoo、 Columbus Zoo、 Dallas Zoo、 Detroit Zoo、 Disney’s Animal Kingdom、
Fort Worth Zoo、 Granby Zoo、 Juan Rivero Zoo、 Louisville Zoological Gardens、
Lowry Park Zoo、 Miami MetroZoo、 Milwaukee County Zoological Gardens、
North Carolina Zoo、 Oklahoma City Zoo、 Omaha’s Henry Doorly Zoo、 Saint
Louis Zoo、 Santa Barbara Zoological Gardens、 Sedgwick County Zoo、 Toledo
Zoo、 Toronto Zoo、 The Vancouver Aquarium Marine Science Center が 実 施。
SSP は、 American Zoo and Aquarium Association (AZA) の支援を受けています
南西コロンビアの
両生類
南西コロンビアにおける両生類の保全
EUAC からの財政支援を受け Zoo Zürich (スイス)と Cali Zoo (コロンビア)が実
施
両生類
www.zoo.ch
アメリカオオ
サンショウウオ
St Louis Zoo におけるアメリカオオサンショウウオ保全
のための RonGoellner Center
Missouri Department of Conservation、 Arkansas Game and Fish Commission、 University of Missouri – Rolla、 Southwest Missouri State University、 University
of Arkansas、 United States Fish and Wildlife Service の 支 援 を 受 け て、 St
Louis Zoo が 運 営。 プ ロ ジ ェ ク ト は AZA と 多 数 の AZA 公 認 組 織 , AZA’s
Cryptobranchid Interest Group の支援を受けています
www.stlzoo.org/wildcareinstitute/hellbendersinmissouri.htm
生息地
Bonaire, Rotterdam Zoo
Philippines, Zoological Society of London
マングローブ
マングローブの管理
海草
チェサピーク湾における海草藻場
National Aquarium in Baltimore
海洋保全エリア
モザンビークとタンザニアにおける越境海洋保全エリア
SAAMBR
www.zsl.org
www.aqua.org
WCS/AZA
グロバーズリーフ
www.aza.org
サンゴの回復
SECORE プロジェクトはユニークな活動で、サンゴの保
護問題を 2 つの世界の最もよいものを結んで取り組もう
としています。 水族館と動物園が、サンゴの成育と研究
において、海洋科学と密接に連携をとり、知識と作業技
術を共有しながら、プラットフォームを作り上げています。
SECORE は海、つまりサンゴ礁の非常に多様な生態系
にとって将来的に健全な状態を保つのに貢献すること
を目標としています
Rotterdam Zoo and Columbus Zoo and Aquarium を含む 50 以上の水族館から
なる共同事業。 SECORE のウェブサイトで協力施設の全リストを閲覧できます
http://www.secore.org/
シュナイダームカシカイマン(Paleosuchus trigonatus)© Richard Gibson, Chester Zoo, UK
75
補 遺 VIII
水族館 : 繁殖プログラム
学名
種名
CITES
ISB
地域の協会
哺乳類
Trichechus manatus latirostris
フロリダマナティー
I
Arctocephalus australis
ミナミアメリカオットセイ
II
AZA, EAZA
EAZA
Arctocephalus forsteri
ニュージーランドオットセイ
II
ARAZPA
Arctocephalus pusillus
ミナミアフリカオットセイ
II
ARAZPA, BIAZA
Arctocephalus tropicalis
アナンキョクオットセイ
II
BIAZA
Eumetopias jubatus
トド
-
JAZA
Neophoca cinerea
オーストラリアアシカ
-
ARAZPA
Otaria byronia
オタリア
-
EAZA, JAZA
Otaria flavescens
オタリア
-
EAZA
Zalophus californianus
カリフォルニアアシカ
-
ARAZPA, EAZA, JAZA
Halichoerus grypus
ハイイロアザラシ
-
EAZA, BIAZA
Phoca largha
ゴマフアザラシ
-
JAZA
Phoca vitulina
ゼニガタアザラシ
-
BIAZA
Phoca vitulina stejnegeri
ゼニガタアザラシ
-
JAZA
Phoca sibirica
バイカルアザラシ
-
BIAZA
Aonyx capensis
ツメナシカワウソ
II
AZA, JAZA
Amblonyx cinereus
コツメカワウソ
II
Enhydra lutris
ラッコ
I/II
X
ARAZPA, AZA, BIAZA, JAZA
AZA, JAZA
Lontra canadensis
カナダカワウソ
II
AZA, JAZA
Lutra lutra
ユーラシアカワウソ
I
Lutra lutra lutra
ヨーロッパカワウソ
I
Lutra perspicillata
ビロードカワウソ
II
EAZA, BIAZA, JAZA
X
EAZA
JAZA
Pteronura brasiliensis
オオカワウソ
I
Tursiops aduncus
ミナミバンドウイルカ
II
X
AZA
SEAZA
Tursiops truncatus
バンドウイルカ
II
AZA, EAZA, JAZA, SEAZA
Neophocaena phocaenoides
スナメリ
I
Delphinapterus leucas
鳥類
ベルーガ
II
JAZA
AZA
Aptenopdytes patagonicus
オウサマペンギン
-
EAZA, BIAZA, JAZA
Eudyptes chrysolophus
マカロニペンギン
-
Eudyptes chrysocome (crestatus)
イワトビペンギン
-
EAZA, BIAZA, JAZA
Eudyptula minor
コガタペンギン
-
ARAZPA
Pygoscelis papua
ジェンツーペンギン
-
EAZA, BIAZA, JAZA
Spheniscus demersus
ケープペンギン
II
AZA, EAZA, JAZA, PAAZAB
BIAZA. JAZA
Spheniscus humboldti
フンボルトペンギン
I
Spheniscus magellanicus
マゼランペンギン
-
AZA, EAZA, JAZA
BIAZA, JAZA
ARAZPA
爬虫類
Pseudemydura umbrina
クビカシゲガメ
I
Cuora amboinenis
アンボイナハコガメ
II
EAZA
Geoclemys hamiltonii
ハミルトンガメ
I
EAZA, JAZA
Heosemys grandis
オオヤマガメ
II
EAZA
Heosemys spinosa
トゲヤマガメ
II
EAZA
Kachuga tecta
インドセタカガメ
I
JAZA
Orlitia borneensis
両生類
ボルネオカワガメ
II
EAZA
JAZA
Andrias japonicus
オオサンショウウオ
I
Hynobius hidamontanus
ハクバサンショウウオ
-
JAZA
Hynobius takedai
ホクリクサンショウウオ
-
JAZA
Atelopus zeteki
ヤドクガエル
I
AZA
Bufo baxteri
ワイオミングヒキガエル
-
AZA
Peltophryne lemur
プエルトリコヒキガエル
-
Dendrobates azureus
コバルトヤドクガエル
II
ARAZPA, BIAZA
Littoria aurea
キンスジアマガエル
-
ARAZPA
Leptodactylus fallax
マウンテンチキンフロッグ
-
EAZA
Rana ishikawae
イシカワガエル
-
JAZA
Philautus romeri
ロマーズアオガエル
-
X
AZA
ARAZPA
76
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
学名
種名
CITES
ISB
地域の協会
魚類
Neoceratodus forsteri
オーストラリアハイギョ
II
Arapaima gigas
ピラルク
II
JAZA
JAZA
Scleropages formosus
アジアアロワナ
I
JAZA
Leptobotia curta
アユモドキ
-
JAZA
Acheilognathus longipinnis
イタセンパラ
-
JAZA
Acheilognathus typus
ゼニタナゴ
-
JAZA
Aphyocypris chinensis
ヒナモロコ
-
JAZA
Hemigrammocypris rasborella
カワバタモロコ
-
JAZA
Pseudorasbora pumila
ウシモツゴ
-
JAZA
Rhodeus atremius suigensis
スイゲンゼニタナゴ
-
JAZA
Rhodeus ocellatus kurumeus
ニッポンバラタナゴ
-
JAZA
Tanakia tanago
ミヤコタナゴ
-
JAZA
Lefua costata echigonia
ホトケドジョウ
-
JAZA
Coreobagrus ichikawai
ネコギギ
-
JAZA
Goodeids
ゴーデア類
-
EAZA
Cyprinodonts
キプリノドン類
-
EAZA
Hippocampus guttulatus
ロングスナウテッドシーホース
II
EAZA
H. hippocampus
ショートスナウテッドシーホース
II
EAZA
H. barbouri
バーバーズシーホース
II
AZA
H. erectus
ラインドシーホース
II
AZA
H. kuda
クロウミウマ
II
AZA
Gasterosteus microcephalus
ハリヨ
-
JAZA
Pungitius sp.
ムサシトミヨ
-
JAZA
Pungitius pungitius tymensis
エゾトミヨ
-
JAZA
Lates japonicus
アカメ
-
JAZA
Haplochromis spp.
ヴィクトリア湖シクリッド
-
AZA
Hypseleotris cyprinoides
タナゴモドキ
-
JAZA
Coreoperca kawamebari
オヤニラミ
-
JAZA
Stegostoma fasciatum
トラフザメ
-
EAZA, AZA
Carcharias taurus
シロワニ
-
AZA
Taeniura lymma
ブルースポッテッドファンテイルレイ
-
Pristis pectinata
スモールトゥース・ソーフィッシュ
I
AZA
Pristis zijsron
グリーン・ソーフィッシュ
I
AZA
漢方薬のための非持続的商取引の結
果絶滅の危機に瀕したミスジハコガメ
(Cuora trifasciatta) © Richard Gibson,
Chester Zoo, UK
EAZA
77
補 遺 IX
水族館:水生および湿地研究および環境に関する定期刊行物
Africa – Birds and Birding
Frequency: six times a year (one volume of six issues)
Africa Geographic
ISSN: 1609-154X. Frequency: 11 times a year (one
volume of 11 issues). Former title: Africa
Environment and Wildlife
Copeia
ISSN: 0045-8511. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Coral Reefs– Journal of the International Society for
Reef Studies
Print and Enhanced Access–Internet. Frequency:
eight times a year (one volume of eight issues)
African Journal of Aquatic Science
Internet, ISSN: 1727-9364. Frequency: twice a year
(one volume of two issues). Only available in
electronic format
Crustaceana
Print and Internet, ISSN: 0011-216X. Frequency: 24
times a year (one volume of 24 issues)
African Journal of Marine Science
ISSN: 1814-232X. Frequency: three times a year (one
volume of three issues)
Current – the Journal of Marine Education
ISSN: 0889-5546. Frequency: three times a year (one
volume of three issues)
American Fisheries Society
Journals Library Package – Print and Internet.
Frequency: 36 times a year (one volume of 36 issues)
Environmental Biology of Fishes
ISSN: 0378-1909. Frequency: 12 times a year (three
volumes of four issues)
Aquaculture Magazine and Buyer’s Guide and
Products Issue
Frequency: seven times a year (one volume of seven
issues)
Estuaries and Coasts
ISSN: 1559-2723. Frequency: six times a year (one
volume of six issues)
Aquarium Fish
ISSN: 0899-045X. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
Aquatic Conservation: Marine and Freshwater
Ecosystems
Print (ISSN:1052-7613) and Online (ISSN: 1099-0755)
Aquatic Mammals
ISSN: 0167-5427. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Asian Fisheries Science
Print and CD ROM and Internet. Frequency: eight
times a year (one volume of eight issues)
Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences
ISSN: 0706-652X. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues). Formerly: Jnl of the Fisheries
Research Board of Canada
Climate Summary of South Africa
Internet. Frequency: 12 times a year (one volume of
12 issues). Only available in electronic format
Coastal Management
Print and Internet. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
Estuarine Coastal and Shelf Science
ISSN: 0272-7714. Frequency: 20 times a year (five
volumes of four issues)
Fish and Fisheries
Print (ISSN: 1467-2960) and Online (ISSN: 14672979) Frequency: Quarterly
Fisheries – American Fisheries Society
ISSN: 0363-2415. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
Fisheries Management and Ecology
Print (ISSN: 0969-997X) and Online (ISSN: 13652400). Frequency: Bi-monthly
Fisheries Research
ISSN: 0165-7836. Frequency: 18 times a year (six
volumes of three issues)
Fisheries Science
ISSN: 0919-9268. Frequency: six times a year (one
volume of six issues). Our reference: 100SPRIA972,
00000370
Fishing News International
ISSN: 0015-3044. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
78
ターニング・ザ・タイド: 保全と持続性のための世界水族館戦略
Freshwater and Marine Aquarium Magazine
ISSN: 0160-4317. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
International Association for Aquatic
Animal Medicine
Membership. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
International Zoo Yearbook
Print (ISSN: 0074-9664) and Online (ISSN: 17481090), Frequency: Once a year
Journal of Applied Ichthyology
Print (ISSN: 0175-8659) and Online (1439-0426)
Frequency: Bi-monthly
Journal of Aquatic Animal Health
ISSN: 0899-7659. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Journal of Coastal Research
Print and Internet. Frequency: 10 times a year (one
volume of 10 issues)
Journal of Crustacean Biology
ISSN: 0278-0372. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Journal of Experimental Marine Biology and Ecology
E-Select – Internet. ISSN: 0022-0981. Frequency: 28
times a year (14 volumes of 2 issues) Only available
electronically
Journal of Fish Biology
Print and Standard – Internet. ISSN: 0022-1112,
Frequency: 40 times a year (one volume of 40 issues)
Journal of the World Aquaculture Society – Print
(ISSN: 0893-8849) and Internet (ISSN: 1749-7345)
Frequency: Bi-monthly
Limnology and Oceanography
Print and Internet. Frequency: 26 times a year (one
volume of 26 issues)
Marine and Freshwater Research
Print and Internet, Frequency: eight times a year
(one volume of eight issues). Not available through
subscription agencies.
Marine Biology
ISSN: 0025-3162. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
Marine Ecology Progress Series
ISSN: 0171-8630. Frequency: 25 times a year (25
volumes)
Marine Mammal Science
Print and Premium – Internet. ISSN: 0824-0469
Frequency: eight times a year (one volume of eight
issues)
Marine Ornithology
ISSN: 1018-3337. Frequency: twice a year (one
volume of 2 issues)
Marine Pollution Bulletin
ISSN: 0025-326X. Frequency: 24 times a year (two
volumes of 12 issues)
New Zealand Journal of Marine and Freshwater
Research
ISSN: 0028-8330. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
North American Journal of Aquaculture
ISSN: 1522-2055. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Ocean and Coastal Management
ISSN: 0964-5691. Frequency: 12 times a year (one
volume of 12 issues)
Reviews in Fish Biology and Fisheries
ISSN: 0960-3166. Frequency: four times a year (one
volume of four issues)
Wildlife Society Membership – including African
Wildlife
Frequency: four times a year (one volume of four
issues)
Zoological Society of South Africa – Membership
– including South African Journal of Zoology
Frequency: twice a year (one volume of two issues).
フンボルトペンギン(Spheniscus humboldti)(チェスター動物園・イギリス) © Steve Rawlins
ヘアリーハーミットクラブ(Anomura sp.) © Dennis King, South Africa
Publisher
WAZA Executive Office
IUCN Conservation Centre
28 Rue Mauverney
CH-1196 Gland
Switzerland
www.waza.org
高校の湖水生態クラス(シェッド水族館・アメリカ)
This publication was produced with financial support from the North of England Zoological Society