新 し い 価 値 を 創 造 し 、未 来 へ と つ な ぎ ま す 経営報告書 2012 CSR & Annual Repor t 2 011. 4 2 012 . 3 【詳細報告編】 目 次 報告範囲・ガイドライン 1 行動憲章 2 ¦経営管 理 体 制 リスクマネジメント 3 ¦安 全 ・ 環 境 海運業の安全についての施策 9 海運業の環境についての施策 13 不動産業の安全についての施策 17 不動産業の環境についての施策 18 安全・環境マネジメント 21 ¦社 会 海上で働く人のために 29 陸上で働く人のために 30 ガイドライン対照表 33 用語集 37 報 告範囲・ガイドライン ¦ 報告範囲 ●報 告 内 容 : 飯野海運グループのサステナビリティ (持続可能性)に向けての取り組みを総合的に報告してい ます。経営面、財務面、安全・環境性、社会性の各分野の取り組み・パフォーマンスを系統立てて報告 しています。財務面については、 「経営報告書 2012 」で報告しています。 ● 報 告 対 象 期 間 : 原則として 2011 年 4 月 1 日から 2012 年 3 月 31 日までの 2011 年度(財務会計の期間と同一:第 121 期)但し、報告対象期間以降の情報を提供することが適切なものについては、新しい情報を掲 載しています。 ● 報 告 組 織 の 範 囲 : 報告対象範囲は飯野海運株式会社の連結グループの全社です。 2012年3月末現在 海運業 不動産業 本社管理業務 飯野海運(株) 海運部門 不動産部門 本社管理部門 <船舶管理会社> <ビル管理会社> イイノマリンサービス(株) <システム開発・管理会社> イイノ・ビルテック(株) <海運会社> 飯野システム(株) 計4社 Iino Shipping Asia Pte. Ltd. イイノガストランスポート (株) Allied Chemical Carriers, LLC. など 報告書の記述対象範囲 <船員配乗会社> IMS PHILIPPINES MARITIME CORP. <海外現地法人> 計3社 Iino Singapore Pte. Ltd. <不動産関連事業> <調査会社> 東京桜田ビル(株) イイノホール(株) (株)イイノ・メディアプロ 泰邦マリン(株) イイノリサーチアンドパソナ(株) <機能分社> イイノマネジメントデータ(株) イイノビジネスサービス(株) など <海運関連事業> イイノエンタープライズ(株) 合同船舶工業(株) 計5社 など <仕組船会社> 46社 ※当社グループの2011年度中の異動および年度末の社数は以下の通りです。 連結対象子会社 :3社増 (+3社) 持分法適用関連会社:増減なし 非連結関係会社 :1社減 (+1社、-2社) → 52社 → 4社 → 13社 関係会社 計69社 <凡例> 連結対象子会社 非連結関係会社 参考としたガイドライン ■ 報告書:「サステナビリティ レポーティング ガイドライン 2006」 (GRI) 「環境報告ガイドライン (2007 年版) 」 (環境省) 「ISO 26000」 (国際標準化機構) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 1 行動憲章 ¦ 行動憲章 「経営理念」を実現する具体策として「行動憲章」を定める。 5 環境保護 ・当 社 の 事 業 か ら 生 ず る 環 境 へ の 負 荷 を 低 減 す る た め、内 当社ならびに飯野グループとその役職員は、企業活動を行う 外の関連法規ならびに国際ルールを遵守し、海洋、港湾、 場合、この憲章に従って行動するものとする。 所有ビル隣接地域の環境保全に努める。 1 社会への貢献と企業価値の向上 ・ 海 運 業、不 動 産 業 な ら び に グ ル ー プ の 事 業 目 的 を 遂 行 す 6 ・こ の 憲 章 で 顧 客 と は 代 金 を 受 け 取 る 相 手 お よ び 代 金 を 払 う相手等広義の取引先をいう。 る に あ た り、公 正、透 明、自 由 な 競 争 の も と で、質 の 高 いサービスを適正な価格で安定的に供給することを通じ、 顧客尊重 ・顧 客 を、代 金 を 受 け 取 る 立 場 あ る い は 支 払 う 立 場 あ る い は 会 社 や そ の 企 業 規 模 等 で 分 け 隔 て る こ と な く、ど の 顧 社会に貢献する。 ・ 企 業 は 利 益 を あ げ る た め に 設 立 さ れ、当 社 も 中 長 期 に 業 客とも常に対等の立場にたち誠心誠意かつ親切丁寧に応 績 を 向 上 さ せ、企 業 の 価 値 を 高 め な け れ ば な ら な い 事 は 対 し な け れ ば な ら な い。ま た 顧 客 の ニ ー ズ に 迅 速、的 確 い う ま で も な い。し か し 企 業 価 値 を 上 げ る た め に 社 会 の に対応し、顧客満足度の向上に努める。 2 利 益 を 損 な う こ と が あ っ て は な ら な い の み な ら ず、積 極 ・顧客との永い信頼関係は当社の繁栄をもたらす宝であり、 的に社会に貢献しなければならない。常に「会社のため」 各役職員は応対の都度自分が会社を代表して信頼関係を より「世のため、人のため」を優先させなければならない。 築いているという意識をもって行動しなければならない。 法令遵守と社会秩序の維持 ・ こ の 憲 章 で コ ン プ ラ イ ア ン ス と は「法 令 の 遵 守」と「社 内に遵守するための体制を整備すること」をいう。 ・ 当 社 は、事 業 の 遂 行 に あ た っ て は、法 令 を 遵 守 す る の み な ら ず、す す ん で 法 令 の 目 指 す 社 会 的 規 範・道 徳 律 の 趣 旨を体して行動する。 ・ 事 業 遂 行 に あ た っ て は 会 社 法、独 占 禁 止 法、証 券 取 引 法 等 の 国 内 法 令、及 び 船 舶 に 関 わ る 国 際 ル ー ル、規 則 な ら 7 情報開示とコミュニケーション ・株主、顧客、従業員、地域、市民団体等全てのステークホー ル ダ ー の 利 益 に 配 慮 し、理 解 を う る た め、十 分 な コ ミ ュ ニケーションを行うよう努めるものとする。 ・当 社 に 不 利 な 情 報 も 含 め 企 業 情 報 を 適 切 か つ 遅 滞 な く 開 示するものとする。 ・個 別 顧 客 に 関 す る 情 報、法 人 個 人 を 問 わ ず プ ラ イ バ シ ー に属する事項は開示対象としない。 びに事業活動を行う各国・地域の法令・規則を遵守する。 ・ 役職員は会社にとって不利なまたは不利となる懸念のあ る情報を知った場合はステークホルダー リレーションズ マ ネ ジ メ ン ト・調 査 グ ル ー プ 等 に 直 ち に 報 告 し な け れ ば ならない。 ・ 社 会 の 秩 序 や 安 全 を 脅 や か す 反 社 会 的 勢 力・団 体 と は 一 切かかわりを持たないものとする。 3 差別の廃絶・人権の尊重 ・ 雇 用、取 引 行 為 等 に お い て 国 籍、人 種、宗 教、年 齢、性 別その他不当な理由によって差別することをしない。 ・ 職場においては人権を尊重し働きやすい環境の整備に努 める。 4 安全の重視 ・ 当 社 事 業 で 使 用 す る 船 舶 お よ び オ フ ィ ス・ビ ル に お け る 事 故 は 人 命・顧 客 財 産 の 損 傷、環 境 汚 染 等 を も た ら す 危 険性が高く、安全優先を経営上の使命とする。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 2004 年 6 月 24 日制定 2 リスクマネジメント ¦リスクマネジメントの推 進 ● リスクマネジメント取り組 み 方 針 当 社 グ ル ー プ に お い て は、「安 全 の 確 保 が 社 業 の 基 盤」と 安全第一の事業遂行が、顧客資産の安全や人命の安全を確 の認識のもと、リスクマネジメントを経営の重要課題と位置 保し、ひいては環境の安全にもつながります。仮に何らかの づけて取り組んでいます。企業活動を取り巻くリスクが多様 要因でやむなく事業が中断しても、早期に事業復旧を果たし 化・複雑化している中で、リスクマネジメントを適切に推進 ます。それが、顧客・取引先はじめすべてのステークホルダー することは企業の責務であると考えます。 に対する社会的責任を果たすうえで不可欠と考えるからです。 ● 当 社グル ープ の 事 業リスクの 分 類と対 応 の 方 向 性 当社グループでは、グループ事業全体を取り巻く主要なリ スクとオペレーショナルリスクについて、重要度の高いもの スクを下表のように分類・整理しています。主にハザードリ から順に、具体的な対応策を検討・推進しています。 リスクの内容 対応の方向性 海難事故リスク および船舶運航 トラブルリスク 海運業に伴うリスク。 海難事故(漏油、衝突、座礁、火災、機関故障、緊急傷病、死亡者・行方不明者発生 など)の要因で、人・積荷・船体・環境を損傷するリスク。 海難事故以外の、乗員、燃料油・潤滑油、備品・船用品などの手配要因で、正 常な船舶運航が不能になるリスク。 「危機管理基本規程」 およびイイノマリンサー ビス(株)「海難処理要綱」の整備徹底により適切 な対応を図る。 ビル事故リスク 不動産賃貸業に伴うリスク。 自然災害・設備故障その他の要因で人・テナント財産・建物設備・ビル機能が損 傷するリスク。 「危機管理基本規程」およびイイノ・ビルテッ ク( 株 )「 危 機 管 理 計 画 書 」 の 整 備 ・ 徹 底 に よ り 適切な対応を図る。 情報システムリスク 各種災害や社内外の人為的要因による情報システム事故リスク。 情報システム機能停止リスク、情報システム内蓄積データの消失リスク、情 報システム内データの漏洩リスクの3つ。 「危機管理基本規程」 および飯野システム(株) 「情報システム危機管理計画書」の整備・徹底に より適切な対応を図る。 自然災害・ 事故リスク 地震・津波・噴火・台風・火災・爆発事故・感染症などの災害・事故により、飯野海 「 危 機 管 理 基 本 規 程 」に 基 づ き 、事 業 継 続 計 画 (BCP)の検討・整備を進める。 運グループに人的・物的被害や機能停止が発生するリスク。 法務(コンプライア ンス)リスク 会社・役職員が法令や社会規範に反する行為をしてしまうリスク、訴訟を起 こされるリスク。独占禁止法関連のリスク、インサイダー取引リスク、セク シャルハラスメント・パワーハラスメントリスク、役員賠償責任リスク、労働 条件関連リスク、その他の訴訟リスクなど。 「コンプライアンス規程」 に基づき、法務部門を 中心とする全役職員の意識強化・対応策実施に よる発生の防止を図る。 事務リスク 事務ミス、不正などにより不適切な事務処理を行い、顧客などのステークホル ダーとの関係悪化や、虚偽の財務報告につながるリスク。 業務手順書を整備する。財務報告に係る内部 統制を構築し、適切に運用する。 コミュニケーション リスク 社外の各種ステークホルダーへの情報開示およびコミュニケーションの方法・ 内容・タイミングなどが適切でないために、当社の信用・評判を失墜させるリ スク。風評リスクを含む。 「危機管理基本規程」や危機管理マニュアルを 整備し、広報・IR部門を中心に適切な対応を図 る。 労務リスク 円滑な事業遂行に必要な質と量の人員(船員・陸員)が確保できなくなるリスク。 船員部門、人事部門を中心に適切な対応を図 る。 財務リスク 為替変動、金利変動、株価変動などによるリスク、取引先倒産による不良債 権発生リスクなど財務関連のリスク全般。 財務部門を中心に適切な対応を図る。 経営戦略リスク 新船建造・新ビル建設、新規事業進出、新規事業拠点設置などあらゆる経営戦 略上の意思決定・判断に関わるリスク。海運・不動産市況変化、燃料油価格高 騰などの経済リスク、国内外の公的規制の実施・改廃リスク、海外の事業活動 地域における政治・経済・社会リスクなどを含む。 これらのリスクを極小化しリターンの極大化を 図る。そのための、企業としての戦略判断の最 適化に努める。 ハザードリスク リスク項目 オペレーショナルリスク 注)単独株式権(取締役会召集請求権など)や少数株主権(株主提案権・帳簿閲覧権など)については、会社法などの関連法規の規定に従っています。 ● ハ ザ ードリスクについての 対 応 策 事 故・災 害 などを 原 因として突 発 的 に 発 生 するハ ザ ードリ ス ク へ の 対 応 と し て、事 業 継 続 計 画(B C P :B usin es s Co n t inuity Pla n)の 整 備 を 進 め ています。これ により危 機 顕 在 化 を 極 力 防 止し、また 危 機 発 生 時 に は 損 失 を 最 小 化し、早 期 の事業復旧を図ります。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 危 機 管 理 の 体 制としては、平 常 時 の 組 織と緊 急 時 の 体 制 を 峻別して構築しています(詳しくは 4∼5 ページをご 参 照くだ さ い)。緊 急 時 に は、そ のレ ベ ル により、速 や か にグ ル ープ 全 体 の 緊 急 対 策 本 部を設 置して対 応 することとしています。平 常 時・緊 急 時ともに、飯 野 海 運グル ープ 全 体として連 携をとって リスクマネジメントを行います。 3 リスクマネジメント 当社グループのリスクマネジメント体制(平常時) ● 平常時のリスクマネジメント体制 します。三委員会とも、効果的なリスクマネジメント政策を立案 当 社グル ープで は 、コーポレ ートガ バナンスの 体 制として三 し、推 進 することがその 役 割となっています。飯 野 海 運( 株 )が 委員会体制をとっており、これが平常時のリスクマネジメントの 主体となって委員会を運営し、関係するグループ会社社長もメ 体制にもなっています。 ンバーとして参 加 することで、それぞ れ のテーマ に基 づ い たリ コンプライアンス委員会は法務(コンプライアンス)リスクを スク管理がグループ全体で徹底されるよう図っています。また、 担 当し、品 質 ・システム委員会 は 情 報システムリスク・事 務リス 各 委員会 の 傘 下 には 、関 連 する主 要 関 係 会 社 の 委員会を設 置 クを担当します。安全環境委員会はハザードリスク全般を担当 しています。 経営執行協議会 議 長 事務局 目 的 <法務(コンプライアンス) リスク> <ハザードリスク全般> コンプライアンス 委 員 会 委員長 事務局 目 的 SRM・調査グループ担当取締役 SRM・調査グループ法務・保険チーム グループのコンプライアンスに係る政 策立案と推進 イイノ・ビルテック( 株 ) 社長 イイノ・ビルテック( 株 ) 安全衛生推進者 安全衛生管理活動の円滑な推進 < 情 報 シ ステ ムリスク・事 務リスク> 安全環境委員会 委員長 事務局 目 的 社長 SRM・調査グループ安全環境室 グループの安全・環境に係る政策立案と 推進 委員長 事務局 目 的 イイノマリンサービス ( 株 ) 社長 イイノマリンサービス ( 株 ) 海務部 海難防止対策、安全運航対策の検討 イイノ ・ ビ ル テック ( 株 ) 安 全 衛 生 委 員 会 委員長 事務局 目 的 社長 総務企画グループ 取締役会付議・報告事項の審議、代表取 締役の業務執行に関する重要事項の審 議、経営に関する意見交換・情報交換 品 質 ・システム 委 員 会 委員長 事務局 目 的 総務企画グループ担当取締役 総務企画グループ グループのシステム・事務に係る政策 立案と推進 委員長 事務局 目 的 総務企画グループ担当取締役 飯野システム(株) グループの情報資産の保全管理の徹底・ 強化 船舶安全対策委員会 情 報 セキュリティ委 員 会 当社グループの危機管理体制(緊急時) ● 緊急時の危機管理体制 また、緊急対策本部はグループ各社が個々に設置するもの 飯野海運(株)および主要グループ会社では、緊急事態発生 でなく、各社が連携しグループとして一体的な体制を構築し 時には、社長を本部長とする緊急対策本部を設置して対応し ます。なお、本部長は各社の社長とするとともに、社長不在 ます。これにより、迅速に適切な行動を取り、被害の最少化 時の代行順位を定めています。 と早期の事業復旧を図ります。 飯野海運(株)緊急対策本部 ※ 本 部 長 事 務 局 イイノ・ビルテック(株) イイノマリンサービス (株) 社長 SRM・調査グループ 本部長代理・事務局 各グループ(担当役員・GL) イイノガストランスポート (株) ※飯野海運グループ全体の 緊急対策本部を兼ねる。 飯野システム (株) 他グループ会社 ※上記設置基準に拘らず、本部長の判断により各対策本部の設置・廃止を決定できる。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 4 リスクマネジメント ¦ 海運業の安全管理体制 ● 平常時のリスクマネジメント体制(イイノマリンサービス(株)) イイノマリンサービス(株)社長 管理責任者 船舶安全対策委員会 委員長:社長 リスク評価委員会 安全管理委員会 委員長:管理システム部長 運航管理委員会 業務部 海上人事部 変更管理委員会 緊急対策本部 安全衛生委員会 本部長:社長 委員長:海上人事部長 海務部 管理システム部 ● 緊急時の危機管理体制 安全管理部 船長 保船部 技術部 IT推進管理部 保船部 技術部 IT推進管理部 飯野海運(株)緊急対策本部 イイノマリンサービス(株)緊急対策本部 本部長:イイノマリンサービス(株)社長 補 佐:イイノマリンサービス(株)管理責任者 業務部 海上人事部 海務部 管理システム部 安全管理部 ¦ 不動産業の安全管理体制 ● 平常時のリスクマネジメント体制 飯野海運(株)安全環境委員会 イイノ・ビルテック(株) 安全衛生委員会 委員長:イイノ・ビルテック (株)社長 事務局:イイノ・ビルテック (株)安全衛生推進者 <飯野ビルディング> <その他のビル> 監視センター 安全衛生委員会 協力業者会 安全衛生委員会 各ビ ル 所長会 飯野ビルディング 監視センター員 協力業者 各ビル所長 ● 緊急時の危機管理体制 飯野海運(株)緊急対策本部 イイノ・ビルテック(株)緊急対策本部 委員長:イイノ・ビルテック (株)社長 事務局:イイノ・ビルテック (株)業務管理部 設 置:飯野ビルディング イイノ・ビルテック (株)事務所内 情報班 厚生・救護班 設 備班 保安班 業務管理部 総務人事部 安全管理部 施設管理部 安全管理部 各ビル・物件 *当社の主要賃貸ビルでは、 このほかに自衛消防組織 (自衛消防隊、 自衛消防本部) を編成しており、 緊急時には当社グループ社員はそれぞれの任務にあたります。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 5 リスクマネジメント( 安 全・環 境 保 全の推 進 ) ¦ 海運業の安全運航、 環境保全への取り組み 調 査 分 析し、議 論を重 ねました 。 そ の 結 果 、組 織 間 の 連 絡 をさらに 円 滑 化 することが 重 要と ● 海 上 安 全を守る2 つ の 組 織 の認識を深め、 「 ユ ニット 制 度 」を 導 入しまし た 。1 ユ ニット 当 社グ ル ープ の 海 上 安 全 は 本 社 に 置 か れ た 海 務 安 全グ は 、海 務 部 、保 船 部 など各 部 から選 ば れ た 社 員 1 名 ず つ で 構 ル ー プ と 当 社 グ ル ー プ 会 社 で あ る イ イ ノ マ リン サ ー ビ ス 成 されて い ま す。ユ ニットリーダ ー が 担 当 する 船 で 何らか の (株) ( 以 下 、I M S )に よって 守 ら れ て い ま す。うち 、海 務 安 全 問 題 が 発 生し た 場 合 、ユ ニットメン バ ー が 集 まって、問 題 解 グ ル ー プ は 当 社 グ ル ー プ 全 体 の 安 全 運 航 政 策 の 企 画・調 決 に 取り組 みます。 整・推 進 を 担 当し 、I M S は 各 船 舶 の 実 際 の 安 全 管 理 を 行っ こうした さまざ ま な 取り組 み の 結 果 、当 社グ ル ープ が 目 標 て い ま す。 としている大 手 石 油 会 社 からの 検 船 合 格 率 を 、大 幅 に 上 回る ことが で きまし た 。当 社グ ル ープ の 安 全 技 術レ ベ ル が 、ま す ● 当社グループの安全と環境を支える IMS I M S は 、1 9 7 4 年 に 飯 野 海 運 の イン ハ ウス の 船 舶 管 理 会 ます 向 上していると実 感しています。 社として 設 立 さ れ まし た 。1 9 7 5 年 に は 、日 本 で 初 め て日 本 ● 今後の取り組み 人 船 員 と 外 国 人 船 員 の 混 乗 シ ス テ ム を 導 入 し 、そ の 後 、 海 運 業 を 取り巻く現 在 の 環 境 は 、IM S の 設 立 当 初とは 大 き 1 9 8 8 年 に は フィリピ ン に 船 員 配 乗 会 社 を 設 立して、外 国 人 く変 わって い ま す。ソ マリア 周 辺 を 始 めとする 海 賊 問 題 に 対 船 員 の 育 成 に 努 め てきました 。 処 するた め に 、船 舶 へ の 様々な 防 御 設 備 の 設 置 など、さらな I M S は 、当 社 グ ル ー プ の 船 舶 の 管 理 を 主 た る 業 務として る 警 戒 態 勢 の 構 築 を 検 討して い きま す。環 境 面 に お い ても 、 い ま す が 、グ ル ー プ 外 の 船 主 の 船 舶 の 管 理 、船 員 配 乗 業 務 C O 2 削 減 に 係る 国 際 ル ー ル の 順 守 の み ならず、生 物 多 様 性 も 行 い ま す 。ま た 当 社 グ ル ー プ の 海 上 技 術 部 門 として 、海 保 全 を 重 視した バラスト水 管 理 条 約 の 発 効 に 備えて、研 究 を 務・工 務 に 関 する 技 術 支 援 を 行 い 、I M S の み ならず、当 社グ 重 ね 、適 切 に 対 応していきます。 ル ープ の 海 上 の 安 全・環 境 に 関 する 指 針 の 決 定 に も 関 与し 安 全 面 で は 、2 0 1 2 年 の 1 月 から2 月 末 に か け て、役 職 員 に て い ま す。 よる集 中 訪 船 活 動 を 行 いました 。現 場との 意 思 疎 通 および 安 現 在 、I M S は 、約 6 0 隻 の 船 舶 管 理・船 員 配 乗 を 行って い ま 全 運 航 の 維 持と強 化 に 係る 意 識 を 一 層 高 める た め 、今 後 も す。海 上 業 務 に は 約 5 0 名 の 日 本 人 、3 0 0 名 の 韓 国 人 、1 , 3 0 0 訪 船 活 動を継 続していきます。 名 の フィリピン 人 、2 0 0 名 のミャン マ ー 人 船 員 が 従 事して い こうし た 取り組 み をより効 率 的 に 進 め て いくた め に は 、船 ま す。ま た 、陸 上 に は 外 国 人 の 海 務・工 務・船 員 監 督 を 含 め 舶 技 術 に 精 通し、マ ネ ジメント能 力 の ある 人 材 が 必 要 で す。 て、約 8 0 名 の 従 業 員 が い ま す。私 たち は 海 陸 一 体となって、 今 後 も 、人 材 育 成と風 通し の 良 い 職 場 作りに 努 め ま す。そし 「 安 全 の 確 保 が 社 業 の 基 盤 」という飯 野 海 運 の 経 営 理 念 を 守 るべく、日々の 安 全 運 航 や 環 境 の 保 全 に 取り組んで います。 て、無 事 故 の 実 現 、環 境 汚 染 の 回 避 を 目 標 に 、一 段とレ ベ ル の 高 い 船 舶 管 理を目指します。 ● 2011 年度の主な取り組み ∼ 安全面の強化 ∼ I M S が 管 理 する 船 舶 の 約 8 割 が オ イ ル・ガ ス・ケ ミカ ル 製 品 等 を 輸 送 する タ ン カ ー で す 。世 界 の 大 手石油会社の安全等に係 る 要 求 事 項 を 満 た し 、検 船 に 合 格 す る こと が 、当 社グ ル ープ の ビジ ネスを 支えます。 CHEMROAD LILY その た め には 、安 全を確 保し、大きな 事 故を発 生させ な いこと が 求 められます。1 つ の 大きな 事 故 の 裏 に は 、3 0 0もの 小さな 事 故 があるとい わ れます。IM S はどん な 小さな 事 故で も、現 場 からニアミスレポートを報告させ、再発防止に努めています。 2 0 1 1 年 度 で は 、これら小さな 事 故 をさらに 減らしていくた め 、若 手 社 員を 中 心 に「 事 故トラブ ル 防 止 委 員 会 」を 結 成し、 何 が 問 題 な の か 、どうす れ ば 事 故 を 防ぐことが で きるの か を 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 飯野海運(株)取締役専務執行役員 イイノマリンサービス(株) 代表取締役社長 根本 滋 6 リスクマネジメント( 安 全・環 境 保 全の推 進 ) ¦ 不動産業の安全・環境に対する取り組み ● ビルの資産価値の最大化と最適運営 グ ル ープ 所 有 ビ ル のメンテナンス 業 務 を 担う会 社として設 立 されました 。当 社グル ープ は 現 在 都 心 に 6 棟 のオフィスビルを 所有しています。 I B T は 、施 設 の 監 視・警 備 、環 境 衛 生 管 理 、営 繕 計 画・工 事 、 技 術 支 援 業 務 を 実 施して い ま す。建 物 の 安 全 面と省 エ ネ ル ギ ー に 重 点 を 置 き、さらに テナントの 皆 様 の 満 足 度 を 高 める た め 、きめ 細 か な 運 転 制 御・保 守 点 検・警 備・清 掃 などの 業 務 と、品質とコストのバランスを踏まえた 管 理を行っています。 また 、ビル の 資 産 価 値を高 めることを目的として、管 理 ビル の 維 持 保 全 の 適 正 化 を 実 施しています。管 理 ビ ルごとに 最 適 な 営 繕 計 画を立 案し、予 防 保 全を含 め 、ビル のリニューアル の 企 画・立 案 、工 事 監 理を行 います。そして中 長 期 的 な 投 資 の 最 適な配分を行い、利益の 最 大 化を図っています。 故 対 応 に は 担 当 者 が ワンストップ で 対 応 することで 、お 客 様 の 負 担 を 解 消 するとともに 、施 設 管 理 業 務 の 効 率 化 も実 現し ます。 ( 3 )2 4 時 間 3 6 5日、万 全 の 管 理 体 制でのビル 運 営 ビ ル 運 営 に あ たり、万 全 の 管 理 体 制 を 構 築 するた め 、業 務 管 理 部 を 新 設し 、飯 野 海 運 株 式 会 社 の 不 動 産 事 業グ ル ープ と人 事 交 流 を 図 ることで 、業 務 管 理 部 門 を 強 化しまし た 。ま たグ ル ープ 会 社 幹 部 の 全 員 参 加 による 安 全 衛 生 委 員 会 、ビ ル の 運 営 責 任 者 会 議 を 毎 月1 回 開 催して い ま す。この 委 員 会 等 の 開 催 により、各 ビ ル にて顕 在 化した 運 営 上 の 課 題と解 決 策 、安 全 確 保 の た め の 知 識 の 共 有 化 を 図り、事 故 等 の 防 止 に I B T で は 、ビ ル の メン テ ナンス 業 務 を 全うする た め に 、飯 野 ビ ル ディング を 軸とし た 安 全 体 制 の 確 立 、エ ネ ル ギ ー 管 お い ても 最 高 峰 を 誇 る 飯 野 ビ ル ディ 理 の 効 率 化 を 行 い 、全 力 で ビ ル 管 理 運 営 業 務 に 取り組 んで ング が 開 業 し まし た 。こ の 飯 野 ビ ル い ま す。 ディン グ の 運 営 に 合 わ せ 、I B T で は そして、時 代 の 要 請 で もある 環 境 保 全 を 遂 行 する た め 、飯 組 織 体 制 の 見 直し を 行 い まし た 。こ 野 ビ ル ディング に お いては 、照 明 、コンセント、空 調 などの エ れ に より、I B T で は 以 下 の 3 つ の 業 ネ ル ギ ー を 効 率 的 に 利 用 する た め 、B E M S( ビ ル エ ネ ル ギ ー 務 を 遂 行して い ま す。 マ ネ ジメントシステム )の 導 入 、さらに は「 エ ネ ル ギ ー の 見え 組 織 変 更 後 のイイノ・ビルテック(株) 安全管理部 設 管 理 に 関 するテナントの 皆 様 からの お 問 い 合 わ せ 、災 害 事 ● 飯野ビルディングにおける環境保全の推進 機 能 を 装 備し 、環 境 保 全と快 適 性 に 施設管理部 部 を 新 設し、施 設 管 理 業 務 を 一 元 化しました 。これ により、施 努 め 、万 が 一 の 災 害 に 備えて、迅 速 に 安 全 を 確 保 で きる体 制 2 0 1 1 年 秋 、オフィス ビ ル 最 新 鋭 の 建築チーム いままで あった 監 視 センターと保 安 部 を 統 合し、安 全 管 理 を整えています。 ● 飯野ビルディング開業に伴う組織変更 /イイノ・ビルテックの目標 総務人事部 最 適 化を図ります。 ( 2 )施 設 管 理 業 務 の 一 元 管 理によるお 客 様 の負担 解 消 イイノ・ビルテック株 式 会 社( 以 下 、IB T )は 、1 9 8 7 年 に 当 社 業務管理部 建 物 の 基 本 計 画 に 盛り込 むことにより、設 計 上 の 施 設 管 理 の 新しい飯野ビル 本社と連携し契約、コストなどの管理 る化 」をシステム に 取り入 れ 、テナントの 皆 様とエ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 情 報 を 共 有し 、ビ ル 全 体 の 省 エ ネ ル ギ ー を 目 指し た 管 理を行っています。 このように I B T は 、当 社グ ル ープ が 所 有 する 全 て の 建 物 を 利 用 する方々に 、安 全と 設備チーム 既存ビルの営繕・保守、 新築ビルの業務支援 監視センター 各ビルの管理、エネルギーの抑制 フィス 空 間 を 提 供 す る 保安チーム 各ビルの保安、警備、防火、防災対応 とともに 、環 境 保 全 を 実 安 心 を 与 え 、快 適 な オ 現してま いりま す。そ の ( 1 )建 物 の 適 切 な維 持 保 全 の 実 現 た め 、社 員 一 人 ひとりが いままで あった 建 築 部と設 備 部 を 統 合し、施 設 管 理 部 を 新 高 い 見 識と向 上 心 を 維 設しまし た 。これ により、建 築 チ ー ムと設 備 チ ー ム の 効 率 的 持 し 、多 様 な ニ ー ズ に な 協 働 作 業 が 期 待 され 、工 期とコストの 最 適 化 が 図 れ ま す。 お 応 えし 、き め 細 か な 具 体 的 に は 、中 長 期 修 繕 計 画と定 期 的 な 建 物 診 断 に 基 づ い サービスの提供に努 た 改 修 工 事 の 実 施 により、緊 急 に 改 修 が 必 要 に なるような 不 め 、ステ ークホ ルダ ー の 具 合 を 未 然 に 防 ぎ、改 修 コストの 削 減 等 により、建 物 の 適 切 皆 様 から一 層 信 頼 され な 維 持 保 全を実 現します。 る 企 業 を 目 指してま い また 、施 設 管 理 部 で は 、建 物 が 竣 工してから施 設 管 理 を 始 ります。 めるので は なく、新 築 ビ ル の 企 画 段 階 から業 務 支 援 を 実 施し イイノ・ビルテック(株) て い ま す。今 まで ビ ル 管 理 業 務 で 培っ た 施 設 管 理 の 視 点 を 顧問 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 石川 廣行 7 リスクマネジメント ¦グループITインフラの安全対策 ● 情 報システムの 安 全 対 策 の 特 徴 情 報 シス テム の 安 全 対 策 は「リスク管 理 」と言 い 換 えるこ ともで き ま す が 、そ れ を 捉 える 視 点 に よって 、次 の ような 多 様 な 側 面 が ありま す。 ( 1 ) コ ー ポレ ート・ガ バ ナンス( 企 業 統 治 )の 一 部 を 形 成 する I Tガ バナンス ( 2 ) 全 社 的 な 事 業 継 続 計 画 の 一 部 を 形 成 する情 報システム 危 機管理計画 ( 3 ) 内 部 統 制 の 基 盤( I T 全 般 統 制 / I T 業 務 処 理 統 制 ) ( 4 ) 情 報 資 産 を 守る情 報 セキュリティ 飯 野 システム はこれらす べ ての 側 面 で の「 情 報 システム の 安 全 対 策 」を 推 進しています。 ③ 可用性 認 可され た ユ ー ザ ー が 、必 要 なときに 情 報 および 関 連 資 産 にアクセスできることを保 証 する。 (2)情 報 セキュリティマ ネジメント活 動 情 報 セキュリティを確 保 するた め に 、当 社グル ープ は 次 の 施 策を実 施しています。 ① 制度的な施策 飯 野 海 運グ ル ープ 全 社 の 共 通 規 程として、国 際 基 準 に 即した 情 報 セキュリティポリシーを制 定・実 施してい ます。 プ ロシ ージャおよび マ ニュアル を 整 備し、飯 野 海 運 グ ル ープ の 全 要 員を 対 象 に セ キュリティ講 習 を 定 期 的 に 実 施しています。 ② システム的 な 施 策 <不正接続防止> ● 情報システムの業務継続に対する取り組み ネットワークへの不正接続防止(含む標的型攻撃)のため、多 飯野システムは、情報システムの業務継続対策には広義と 狭義の二段階により、次の施策を講じています。 <機密文書へのアクセス制限等> (1) 広 義:情 報システム 危 機 管 理 計 画 広 域 激 甚 災 害 対 策 など、全 社 的 な 事 業 継 続 計 画 の 一 部 を 構 成します。現 在 、特 に 緊 急 復 旧 を 要 する主 要 システム を デ ータセンター に 設 置 するとともに 、バックアップ シス テムを 構 築し、危 機 対 応 訓 練を実 施しています。 (2) 狭 義:障 害 対 策 社 内 ネットワーク上 の サ ー バダウンなどへ の 対 策で す。 ダ ウンタイム を 最 小 限 に 留 め る た め に 、主 要 シス テム を 完 全 に 二 重 化しています。 ● システムによる内部統制の取り組み (1) I T 統 制 I T 全 般 統 制 および I T 業 務 処 理 統 制 の 枠 組 み を 整 備し、 運 用 の 徹 底 を 図っています。 (2) 文 書 管 理 内 部 統 制 および I S Oを推 進 する際 、膨 大 な 文 書を適 切 に ライフサイクル ベースで 管 理 することが 必 要となります。こ のため 、文書の生成から廃棄までの各工程を管理する専用 文書管理ソフト(電子ファイルおよびハードコピー)を開発し て、文書管理の効率化と監査証跡の確保に努めています。 様な防止装置およびソフトウェアを導入しています。 機密文書等には暗号化・改ざん防止・アクセスログ採取を含 む種々のアクセス制限・監視システムを導入しています。 <不正行為の抑止・追跡> すべてのクライアントPCに操作ログを取得・サーバーに保存 するシステムを導入し、不正行為を抑止し、また万一不正行為 が行われた場合にはその行為の追跡を可能としています。 <ホームページ閲覧管理> ホームページの閲覧を管理し、不正ホームページ閲覧による コンピュータウィルス感染防止のシステムを導入しています。 <データのバックアップ> 定期的にデータおよびソフトウェアをバックアップし、堅固な 保管施設に預託しています。 <主要ネットワーク機器の二重化> 新飯野ビルディング移転に伴い、昨今重要度を増している社 内ネットワークを見直し、主要ネットワーク機器を二重化して ハードウェア障害による通信障害への耐性を強化しました。 ● 情報資産のセキュリティに対する取り組み 情報セキュリティを情報システムの安全対策の基盤をなす ものと位置付けています。 (1) 情 報 セ キュリティの 基 本 機 能 当 社グ ル ープ は 、情 報 セ キュリティの 次 の 基 本 機 能 を 維 持 するた め に 活 動しています。 ① 機 密 性 当 該 情 報 にアクセス 認 可 され た もの だ け が 、アクセ ス 可 能 なことを保 証 する。 ② 完 全 性 情 報 および 処 理 方 法 が 正 確で あること、および 完 全 であることを保 護 する。 飯野システム(株) 代表取締役社長 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 國 孝夫 8 海 運業の安 全についての施 策 ¦ 安全運航のための取り組み 当社グループでは、船舶の安全運航を徹底し、事故防止に努めています。技術、システム、体制、人材育成等を総合的に強化 することで、安全の確保のため、グループ一丸となって取り組んでいます。また、安全運航を推進するためのさまざまな国際規 制を順守し、適切な対応を心がけています。 ● 主要な安全確保策の全体像 狭水路通狭回避 危険回避 海運業に おける 安全確保 事故防止 台風・暴風雨の回避のための停泊 安全設備の導入 座礁・衝突防止設備,海賊対策設備など 監視活動の励行 レーダー・目視での監視の励行、適正人員の配置など 安全教育の徹底 各種安全教育、危険予知訓練(KYT)など 労働安全衛生の強化 乗組員の健康管理(健康診断、病気予防など) 事故原因の分析と 再発防止策の実施 事故損失軽減 損失軽減設備の導入 消火設備、救命設備など 事故発生想定訓練の実施 安全管理の体制と仕組みの整備・充実 優秀な船員の確保と育成 ● 主要な安全確保規制 SOLAS 船舶の安全確保に関する最も基本的かつ包括的な国際条約。海上人命安全条約。船舶の構造・設備面を中心に規定。 ISM コード SOLAS に規定される国際安全管理規則。 ISPS コード SOLAS のもとに 2004 年 7 月に発効した国際船舶港湾保安規則。 STCW 船員の訓練、資格証明、当直基準などについて規定した条約。 COLREG 海上における衝突防止のための航行ルールなどを規定した条約。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 9 海 運業の安 全についての施 策 ¦ 安全運航のための活動 ● 緊急事態を想定した訓練の実施 ● 関門海峡・来島海峡通峡規制 当 社グル ープ は 、海 運 業 の 安 全 確 保 策 の 1 つとして、 「事故損 関門海峡・来島海峡は、鳴門海峡と並び日本三大急潮に数えられ 失 軽 減 」を目 的 に 、事 故 発 生 を 想 定した 机 上 訓 練 を 実 施してい るほど潮流が早く海峡も狭いため 、海上交通の難所とされていま ます。海 運 業を営 む 企 業としては 、事 業を継 続 する中で 事 故を発 す。日本の海峡の中でも事故発生率が最も高く、船舶の運航には厳 生させ な いことが 重 要で す。しかし、自らがコントロー ル 不 能 な 重な注意が必要となっています。 大 規 模 災 害 などの 事 象 が 招く事 故 も存 在します。そ のような 万 当社グループでは、過去のケミカルタンカーの来島海峡での衝 一 の 事 故 発 生 に 際し、被 害 を 最 小 限 にとどめることが で きるよ 突事故を契機に、両海峡での通狭規制を設けています。両海峡とも う、平時から訓練に努めています。 昼間のみ航行することを原則とし、水先人の乗船や事故発生時の そ の 成 果として、2 0 1 1 年 3月に 発 生した 東日本 大 震 災で の 対 連絡体制の確立を図っています。また、通峡前は海務安全グループ 応 に 活 かされ た ので は な い かと考えています。船 舶 や 港 湾 にも へ報告し、通峡許可を取得しています。 大 きな 被 害 が 出ました が 、当 社グ ル ープ の 管 理 船 で は 、小 名 浜 特に来島海峡では、オイルタンカー、ケミカルタンカーについて 港で 原 油 の 荷 降ろしを行ってい た「 D I A M O N D C H A M P 」の 係 留 は空船で、かつ視界が1海里以上であることを条件に通峡を許可す 用ワイヤーが2本切れ た以外 は 、幸 い にも大きな 被 害 はありませ るなど、関門海峡より厳しい規制を敷いています。 んでした 。 これらの社内規制については、用船者の方々にご理解いただけ るよう、営業各部より事前に申し入れています。 2 0 1 1 年 度で は 、東日本 大 震 災 の 経 験を踏まえ、巨 大 地 震 が 発 生した 場 合を想 定した 机 上 訓 練を9月に実 施しました 。本 訓 練で 瀬戸内海西部の地図と関門来島海峡の位置 は 、日本 近 海 にお いて当 社グル ープ の 船 舶 が 停 泊 中 、もしくは 運 航 中 に 巨 大 地 震 が 発 生したと想 定し、緊 急 対 応 や 危 機 管 理 、連 山口県 絡体制等について確認を行 いました 。 また 、2 0 1 2 年 2 月に は 、シンガ ポ ー ル 海 峡 に お いて当 社 運 航 の オイルタンカー が 他 船と衝 突 、油 の 海 洋 流 出 が 発 生したとい う海 難 事 故 を 想 定し、机 上 訓 練 を 実 施しました 。この 訓 練で は 、 愛媛県 福岡県 当 社 の 他 、I i n o S i n g a p o r e P t e . L t d . など のグ ル ープ 会 社 、 D i a m o n d Ta n k e r P t e . L t d(シンガ . ポ ー ル )、大 手 商 社 や 保 険 会 社 などの 関 係 各 社 の 皆 様と合 同で 、逐 次 連 絡 を 取りな がら実 施しました 。 このような緊急事態を想定した訓練を、少なくとも年2回の頻度 で 実 施して 安 全 管 理 を 徹 底して いる他、いざとい う 時 に 、情 報 を 正しく伝えられる よう、メディア・コ ミュニケーション 対 応 訓 練 も行っ 関門海峡 来島海峡 (写真提供:関門海峡観光推進協議会) (写真提供:今治市観光課) ています。 机 上 訓練の様子 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 10 海 運業の安 全についての施 策 ¦ 安全運航のための活動 CDI インスペクション ケミカルタンカーについては、化学製品業界各社が1994年に設 ● ユニット制による組織横断的な安全確保 立したCDI(Chemical Distribution Institute)による検船も受検し 安 全 を 確 保 する に は 、 「 安 全 管 理 の 体 制と仕 組 み の 整 備・充 実 」も重 要で す。2 0 1 1 年 度 、イイノマリン サ ー ビス( 株 )で は 、若 手 社 員を 中 心 に「 事 故トラブ ル 防 止 委 員 会 」を 結 成し、どうす れ ば 小 さな 事 故 を 防ぐことが で きるの か を 調 査 分 析し、議 論 を 重 ねました 。 そ の 結 果 、組 織 間 のコミュニ ケーションをさらに 円 滑 にし、迅 速 な 対 応をすることが 重 要との 認 識を深 め 、海 務 部 、保 船 部 など 組 織 横 断 的 に 構 成 される「 ユ ニット制 度 」を 導 入しました 。オイ ルタンカー、ケミカルタンカーなど、船 種 によって分 けられ た 4 つ の ユ ニットごとに 、定 期 的 にミー ティング を 実 施して い ま す。ま た 、担 当 する船 舶 に 何らか の 問 題 が 発 生した 場 合 、ユ ニットメン バーが集まって、解決を図っています。 こうした 取り組 み の 結 果 、社員は 、組 織 間 の 風 通しがよくなり、 組 織 的 な 対 応 を 迅 速 に 行うことが 可 能 に なったと実 感していま す。また 、これらユ ニットは 、本 船 の 乗 組員とともに検 船 の 準 備 や 情 報 提 供 なども行っており、乗 組 員 の 安 全 意 識 の 向 上 にも貢 献 ています。 CDI インスペクション受検実績 項目 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 31隻 32隻 30隻 27隻 25隻 受検数 ● 当社グループによる検船 飯野検船システム 第三者による検船に合格するには、安全に対する日頃の取り組 みが全てです。当社グループでは、セーフティマネジメントシステム (SMS)で要求されている内部監査と、管理船舶を対象とした当社 独自の検船システム(飯野検船)を実施し、安全管理水準の向上を 図っています。この飯野検船は、原則として、オイルタンカー、LPG キャリアに対して半年に1回、 ドライバルクキャリアに対して年1回 実施されていますが、SMSの導入以前から継続的に実施されてお り、膨大なノウハウが蓄積されています。また、飯野検船が、船員の 安全に係る意識・知識などの向上につながっています。 飯野検船受検実績 しています。 項目 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 33回 41回 45回 75回 95回 受検数 ● 第三者による検船 安全監督臨船 メジャーオイル インスペクション オイルタンカー、ケミカルタンカー、L P G キャリアにて、石 油メ ジャー ※ 製の原油・石 油製品等の輸送業務に従事するためには、 石油メジャー各社による検船を受検し、合格する必要があります。 こ の検船では、ハード・ソフト両面の安全性が重要視され 、船舶の安 全運航の指標にもなっています。管理船1隻あたり、年間3∼4回の 検船を受検しています。 2011年度は、2009年度、2010年度と比較し、検船の合格率が向 上しました。合格率向上には複合的要素があるため、一概には言え ませんが、2011年度から本格的に始動しているユニット制を含め、 当社グループでは、オイルタンカー、LPGキャリア、 ドライバルク キャリアが日本国内で荷役を行う際に、安全監督を派遣していま す。安全監督は、船体や荷役機器などの状態を確認して、安全かつ 環境に十分配慮した荷役作業を行うよう、現場で指導・助言してい ます。 安全監督臨船実績 項 目 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 延べ隻数 269隻 269隻 224隻 186隻 264隻 延べ日数 866日 920日 773日 635日 858日 OJTなど今まで継続的に取り組んでいる施策が、成果として現れて きたものと考えられます。 当社では、各石油メジャーを定期的に訪問し、最新の安全技術 や、当社グループの取り組み態勢などについて、情報交換を重ねて いきます。 ※石油メジャー:世界の石油産業をリードする大企業群 メジャーオイル インスペクション受検実績 項目 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 受検数 175隻 123隻 149隻 141隻 122隻 ケミカルタンカーにて検船中 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 11 海 運業の安 全についての施 策 ¦ 安全運航のための設備対策 ¦ 安全運航のための海賊対策 当 社グル ープ の 船 舶 には 安 全 に航 行 するた め 、多 数 の 設 備 機 海賊事件は、近年世界各地の海で増加してきましたが、2011 年 器が搭載されています(下表参照)。これらの設備機器のほとんど には、世界の海賊発生件数が439件と前年から6件減少しました。 は「 S O L A S ( 海 上 人 命 安 全 条 約 ) 」や「 I S Mコード( 国 際 安 全 管 理 ただし、2007 年以降問題となっているソマリア周辺の海域にお コード)」等の条約や規則で搭載が義務付けられています。 ける海賊発生件数は増加しており、前年比8%増の237件です。 これ 主な設備機器 分類 らの海賊はソマリアを本拠地にしていると見られ 、その活動範囲は インド洋にまで拡がっています。日本の海運会社の関係する船舶も 堪航性設備 機関室内の主機・発電機・ボイラー 各種ポンプ、および船体 目的地まで安全航海する 設備機器 ジャイロコンパス・レーダーなどの 航海計器や各種通信設備、操舵設備 ソマリア沖・アデン湾では、日本の海上自衛隊が2009 年から艦 係船設備 錨および揚錨設備、 係船機・係船索などの係船設備 アフリカ東部ジブチにて、司令部庁舎や宿舎、哨戒機の格納庫など 荷役目的設備 安全な積荷・揚荷のための荷役器械設備 を備えた海外初の本格的拠点施設を開設しています。当社グルー 緊急時対応設備機器 救命設備、消火設備、警報設備 プは、アデン湾における単独航行を禁止しており、原則として自衛 その他の安全設備機器 海賊/テロ対策設備、曳航用機器、 航海情報記録装置 (VDR) 被害を受けています。 艇と航空機による商船護衛・哨戒活動を行っており、2011年には、 隊など各国軍の艦船護衛のもとで船を航行しています。具体的に は、各国海軍により設定され集中的に監視が行われる「安全回廊」 また、条約や規則に定められていない以下のような設備機器も を、艦船護衛をつけた船団方式や速力ごとの船団に加わり航行し 搭載し、より一層の安全確保に取り組んでいます。 ています。 電子海図システム ECDIS Electronic Chart Display and Information Systems ガード(保安要員)を乗船させ、海賊監視体制の強化を行っていま 電子化された海図、レーダー、船位、方位、船速などの情報をひ れ以外にも、船からの定時連絡、および通航船の位置情報の確認 とつ の ディスプレ イ上 に 表 示で きる操 作 性 に 優 れ たシステムで を強化しています。船の装備では、海賊の乗船を阻止するために船 す。最新の航路や掃海 ※ 情報などが容易に確認でき、安全航行を の周りにレーザーワイヤー(尖った鉄線)、熱水を放出する専用パ 効率的にサポートします。 イプを設置。夜間監視鏡を標準装備にするなど設備面を強化して ※安全航行のため、海中に敷設された機雷や不発爆弾などを捜索して除去すること。 います。さらに2011年には、万一海賊が襲撃してきた場合に、船員 当社グループは、アデン湾通航時には経験豊富なセキュリティ す。さらに乗組員の安全教育、非常時の対処支援もしています。そ が避難できる頑強なシタデル(籠城設備)を船舶内に設置していま 油噴霧事故監視装置 Oil Mist Detector 機 関 室 内 は 高 圧 下で 燃 料 油 や 潤 滑 油 が 流 動しているた め 、パ イプ などが 損 傷 するとオイルミスト( 霧 状 になった 油 のこと) が 発 生し、引火・爆発事故につながります。この装置により、オイルミス ト濃度を常時監視し、一定以上の濃度を検知した際には警報を発 することで、事故予防を図っています。 す。今後もこうした準備を重ねて、海賊からの被害を防止します。 *ソマリア沖・アデン湾における海賊対策については、 「経営報告書 2012」 34 ページを併せてご覧下さい。 海賊発生件数と被害状況 項目 2010 2011 445 439 人質 1050 1174 802 誘拐 12 27 10 脅迫 14 18 27 暴行 4 6 6 障害 69 37 42 殺害 8 8 8 行方不明 8 0 0 1165 1270 895 被害 人 数 410 合計(人) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 2009 発生件数(件) 12 海 運業の環 境についての施 策 ¦ 環境保全の取り組み 当社グループは環境への影響に配慮するとともに、さまざまな国際規制に従い環境負荷の低減に努めています。 ● 主要な環境保全策の全体像 安全運航による座礁・衝突防止 漏油防止 海運業に おける 環境保全 海洋環境保全 タンカーのダブルハル(二重船殻構造)化 有機スズ(TBT)を含まない船底防汚塗料の使用 海洋生態系保全 バラスト水の適正処理(外洋交換など) ビルジの適正処理(油・水分離処理) 排出物の適正処理 生活系廃棄物の適正処理 主機の燃焼効率向上 地球温暖化防止 温室効果ガスの排出抑制 省エネルギー策 (=燃料消費効率向上策) の推進 船体抵抗低減 排熱回収・利用 大気汚染防止 (酸性雨防止) 窒素酸化物(NOx) の排出抑制 新型ディーゼル機関の採用 硫黄酸化物(SOx) の排出抑制 硫黄(S)分の少ない燃料の使用 フロンの使用取り止め 空調機・冷凍機の冷媒の代替フロン転換 ハロンの使用取り止め ハロン消火装置の使用取り止め オゾン層破壊防止 ● 主要な環境保全規制 MARPOL73/78 条約 船舶による環境保全に関する最も基本的かつ包括的な国際条約。海洋汚染防止条約。 附属書にⅠ∼Ⅵがあり、油、廃棄物、排出ガスなどによる海洋および大気の汚染を規制。 OPRC 条約 大規模な油濁事故を対象とした、油汚染に対する準備、対応および協力に関する国際条約。 油濁二条約 オイルタンカーからの油流失による損害に対する、船主と荷主の責任と補償について定めた条約。 92 年 CLC 条約 油濁事故について、船主の無過失責任、責任限度額、強制保険の付保を定めたもの。 92 年 FC 条約 油濁事故について、荷主の責任負担を定めたもの。荷主の拠出による国際油濁補償基金について規定。 バンカー条約 燃料油の流出による汚染損害の被害者に対する責任・補償体制を定めた条約。 ロンドンダンピング条約 船舶、海洋施設、航空機からの陸上発生廃棄物の海洋投棄や洋上での焼却処分を規制する条約。 オスパール条約 北東大西洋の海洋環境保護のために定められた条約。オスロ・パリ条約とも言う。 シップリサイクル条約 船舶のリサイクルの際、労働安全衛生や環境に配慮するよう定められた条約。(2012 年発効予定) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 13 海 運業の環 境についての施 策 ¦ 温室効果ガス排出抑制の主な施策 船 舶 の 運 航 には 、 燃 料である重 油 の 燃 焼 により、C O 2 などの 温 室 効 果 ガス の 排 出 を 伴 います。2 0 1 1年 7 月に 、 海洋汚染防止条 約( M A R P O L 7 3 / 7 8 条 約 )が 改 正され 、船 舶 からの C O 2 排 出 量 が 規 制 されることに 決 定しました 。条 約 改 正 の た め 、2 0 1 3 年 以 降 の 新 規 造 船 契 約より段 階 的 に C O 2 排 出 基 準 が 強 化されます。当 社グル ープで は 、こうした 国 際 動 向 の 流 れを踏まえな がら、地 球 温 暖 化 防 止 の た め に 以 下 のような 温 室 効 果 ガス 排 出 抑 制 対 策 に積極的に取り組んで います。 ● 主機の燃焼効率向上 電 子 制御エンジン 2 0 0 6 年 竣 工 の 大 型 原 油タンカー( V L C C )から、主 機 へ の 電 子 ● 船体抵抗の低減 ターボリング・PBCF(Propeller Boss Cap Fins) プロペラは 回 転 するときに 水をかき混 ぜるた め 、プロペラの 後ろには 渦 が 発 生し、船 舶 の 推 進 上 のエネ ルギーロスになりま す。この 渦 を 整 流し 、抵 抗を減らして前進エネル ギ ー に 変えるた め に 、プ ロペラ後 部 中 心 軸 の 先 端 に フィン ( ひ れ ) を 装 着 。プロペラ効 率 が 改 善 し、燃 料 効 率 の 向 上 につ ながります。 省エネフィン・省エネダクト 制 御 燃 料 噴 射 装 置( 電 子 制 御エンジン)の 採 用を開 始 。低負荷 運 プ ロ ペ ラ の 前 方 、プ ロ ペ ラ 軸 の 上 方 に 4 ∼ 5 枚 の 放 射 状 の 転 時 の 発 煙を抑 制し、燃 料 効 率 向 上を図っています。試 験データ フィン(ひれ状)、または円形か半円形のダクト(導管)を取り付 で は 、C O 2 約 0 . 8 % 、S O x 約 1 . 0 % 、粒 子 状 物 質( P M )約 0 . 8 % の 排 けることで、船尾での水流を制御。プロペラ効率が高まり、燃料 出削減が可能です。 効率の向上を図ります。また、プロペラの動きによる水の流れ を整流するため、船体の振動を低減する効果もあります。 燃 料 油前処理システム 船 舶 用 燃 料 の 重 油 には 、泥 分 、水 分 、精 製 過 程で 添 加される触 船底船側洗浄・プロペラ研磨 媒 などが 含まれているた め 、前 処 理 が 必 要となります。燃 料 油 前 船舶性能解析により、船体やプロペラの損傷による燃料消費 処 理 システム により、エンジン 性 能 に 悪 影 響 を 及 ぼ す 物 質 を 除 量変化を把握し、適切な時期にダイバーによる船底船側洗浄や 去し、燃 料 油 の 燃 焼を良 好 に保 つことで、燃 料 効 率 の 向 上と大 気 プロペラ研磨を実施。燃料効率の維持向上を図っています。 汚 染物質の削減を図っています。 助 燃 剤・改質剤 燃 料 の 性 状 を 改 善 する助 燃 剤・改 質 剤 を 効 果 的 に 投 入 するこ とで 、燃 料 効 率 の 向 上 を 図り、廃 油 や 含 油スラッジ( 沈 殿 汚 泥 )、 有 害物質を含む黒煙の排 出・発 生を抑 制しています。 燃 料 処理装置 燃 料 処 理 装 置 のフィルター により、規 格 外 の 燃 料 重 油 に 含ま れるエンジン性 能 に悪 影 響を与える不 純 物をろ過 し 、 スラッジの 付 着 や 残 留 を 除 去 することで 、燃 料 の 性 状 が 改 善し黒 煙 の 発 生 と排出を抑制します。 主 機 運転性能解析ソフト 主 機 運 転 性 能 解 析 ソフトを 導 入し 、主 機 の 回 転 数 、出 力 、ス ピードなどの 運 転 状 況を、即 時 に 把 握しています。これらの 情 報 ● 排熱回収・利用 タービン発電機 タービン発電機は、高温高圧の蒸気をタービン(羽根車)に当 てて回転させ発電機を駆動する仕組みで、重油などの燃料を使用 しないため、発電の際にも温室効果ガスを発生させません。ま た、排気ガスエコノマイザーと組み合わせて使用することで、主 機から発生する排気ガスの熱を回収・再利用し発電しています。 ● その他 主機シリンダ注油量制御装置 主機に注油される潤滑油は、燃料油とともに燃焼するため、 CO 2 などの温室効果ガスを発生させています。潤滑油の量を最 適化し、無駄な消費を防ぐことにより、地球資源の節約に寄与 するとともに、温室効果ガスの排出を抑制します。 をもとに 、経 済 性を追 求した 運 転 が 行 い や すくなり、燃 料 消 費 効 率 の向上と温室効果ガス排 出 抑 制 につ な がります。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 14 海 運業の環 境についての施 策 ¦ 海洋環境保全のための船体設備 ● 船尾管エアシール装置の採用 積 荷 の 原 油・化 学 製 品 や 燃 料 油 を はじ め 、廃 油・ビ ル ジ など の 海 洋 へ の 流 出 を 防 止し 、海 洋 生 物・環 境 を 保 全 する た め 、当 社グル ープで はさまざまな 対 策を 実 施しています。 船舶のプロペラ部には、海水がプロペラ軸を伝って船内に浸入 す る こ と を 防 ぐ た め の シ ー ル 装 置 が 必 要 で す 。当 社 グ ル ー プ で は、潤滑油の船外への漏洩を防ぐために、加圧した空気の力で潤 滑油と海水を遮断するエアシール機構を持つ船尾管エアシール ● タンカーのダブルハル化(二重船体構造) 装 置 を 積 極 的 に 導 入 し て い ま す 。ま た 、万 一 潤 滑 油 が 漏 洩 し て ダブルハ ルとは 、二 重 船 体 構 造 のことで、万 一 衝 突 や 座 礁 によ も、海水中で短時間に水と二酸化炭素に分解される環境に優しい り外板に穴があいても油の海洋流出を起きにくくします。 生分解性船尾管潤滑油の採用を進めています。 当 社グル ープで は 、1 9 9 2 年 にダブル ハ ルタンカーを初 めて導 入 。2002年10月以降は 、当 社グル ープ の すべての 原 油タンカー、 プロダクトタンカー、ケミカルタンカーがダブルハル構造になって 安 全・環 境 保 全 を 支 え る 仕 事 弘 (株)常務取 締役 技術部 長 斎藤章 イイノマリンサービス います。 技術部は、新造船の建造・竣工に関わる手続き、国際条約やルール ダブルハルタンカーの 構造模式図 貨物油タンク シングルハル(ダブルポットム) タンカーの構造模式図 バラストタンク への対応に関する業務を行っています。新造船は、現行のルールが新 ルールに適用されるかどうかをチェックし、新しい条約やルールが新造 船 の 他、既に運 航している船 舶にも適 用されるかどうかについても 貨物油タンク バラスト水 バラストタンク チェックを行います。既存船に適用される場合は、社内の関連部署と の連携・協力も重要になります。当社グループは、ケミカルタンカー、 * 横外板がシングル オイルタンカー、大型・小型ガスキャリアなど油関係の船の割合が多い ● 燃料油タンクのダブルハル化 ため、海洋汚染防止のための規制やルールの適用には細心の注意を 大型の船舶では、小型のオイルタンカーの貨物油よりも多く 払っています。 の燃料油を積載していることもあります。当社グループでは、油 流出事故を防ぐため、タンカー同様に燃料油タンクについても ダブルハル化に取り組んでいます。当社の管理船では、合計22隻 (飯野海運16隻、他船主船6隻、建造中の新造船を含む)が燃料油 環境などに関連する法規制が年々強化されているため、安全や環境 に投資することが当然の流れになってきています。現在では、速度や 容量よりも省エネ性能を重視した、環境にやさしい省エネタイプの船も 導入されています。 環境保全に関し、特に重点的に取り組んでいるのは、地球温暖化防 止とバラスト水処理(P.16 参照)です。特に地 球 温暖 化防止は、条 約 タンクのダブルハル化に対応しています。 や規制への義務的対応も当然ありますが、一方的にやらされるだけで はなく、対応する私たちにも省エネやコストダウンの便益があるのでや ● ビルジ処理システム りがいがあります。 船 舶 の 運 航 により、機 関 室 内で はビルジと呼 ば れる汚 水・油 水 技術部は、機関部の出身者がほとんどで、技術部で経験を積んでか 混 合 物 が 発 生しま す。発 生し た ビ ル ジ は 、海 洋 汚 染 防 止 条 約 ら、海上の現場に戻って船を動かす機関長などになる社員も多くいま (MARPOL73/78)に従い、ビルジセパレーター装置によって油分 す。そのため、一種の重要な通り道のような役割を持っています。海 のみを分離除去し、排水基準(油分濃度15ppm未満)を満たした 水分のみを海中に排出しています。 また、当社グループではビルジの発生量を極力抑えるために独 上で習得した知識に加えて、図面や参考文献から情報を入手し、新造 船や既存船の技術的対応をするアカデミックな要素があります。さま ざまな情報が各方面から入ってくるため、若い機関士にとっては、その 気になれば非常にいいチャンスだと思います。資料・情報はいくらでも 自のビルジ発 生 源 分 離 方 式を採 用しています。プライマリータン 入手可能で、船に乗っているだけでは得られない知識が簡単に入ってく クという装置でビルジを水分と油分に分離させた上で、ビルジセ る環境にいます。ここで習得した知識・経験を実際の現場で活かして パレーター処理を行うことで、ビルジ処理量を減少させ海中へ排 欲しいと思っています。 出する水分量を極小化しています。 当社のビルジ処理システム 水分のみ ビルジ等 油水混合物 ビルジセパレーター ポンプ イイノマリンサービス(株) 船外排出 常務取締役 技術部長 斎藤 章弘 油 プライマリー タンク 油 ビルジ セパレーター ビルジタンク 排出基準を 満たした水分 スラッジタンク ビルジセパレーター オイルタンク 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 廃油タンク スラッジポンプ 船内 焼却炉 消却処分 15 海 運業の環 境についての施 策 ¦生物多様性保全のための取り組み ¦ オゾン層破壊防止 ● バラスト水の適正処理 ● 代替フロンへの転換 船 舶 は 、積 み 荷 の な い 時 に は 船 体 の 安 定 性 を 保 つ た め 、海 水 船舶の空調機・冷凍機には、冷媒としての性能に優れ、信頼性 を「 バラスト水 」としてタンクに 注 入して航 行しています。バラス が高いフロンの一種 HCFC-R22 が広く使用されてきましたが、 ト水 に は 、船 体 を 適 当 な 喫 水 に 沈 めて安 定させ 、スクリューと舵 オゾン層破壊や地球温暖化への悪影響が明らかになり、代替フロ を 有 効 に 機 能 させる役 割 が あります。しかし、この バラスト水 が ンへの転換が進められています。当社グループの新造船では、オ 生 物 多 様 性 に 世 界 各 地 で 悪 影 響 を 及 ぼして いると指 摘 さ れ て ゾン層を破壊しない HFC-R404a を使用しています。 います。 生 物 多 様 性 保 全とは 、各 地 域 の 固 有 種 や 生 態 系 を 守ることに ● ハロン消火装置の使用取り止め あります。バラスト水 は 原 則として揚 地で 注 水され 、積 地で 排 水 ハロン消火装置については、すでに使用を取り止め、ほとんど されるた め 、バラスト水 に 含まれている注 水 時 の 海 域 に 生 息 す の船舶で C O 2 式消火装置や高膨張式消火装置を搭載しています。 る小 動 植 物 やプランクトン などの 海 洋 性 生 物 を 越 境 移 動させて しまう可 能 性 が ある の で す。実 際 に 最 近 の 東 京 湾 で は 、北 米 産 の ホン ビノスガ イ、東 南 アジ ア 産 の サ キグ ロタマ ツメタなどの ¦ 廃棄物の適正処理 貝 が 繁 殖して、従 来 の 生 態 系 を 壊 す 懸 念 が 出 て い ま す。これら 船舶内で排出される廃棄物処理は、法令に則るとともに、イイ の 生 物 は 、バラスト水で 運 ば れてきた 可 能 性 が あります。 ノマリンサービス(株)が実施している「安全・品質・環境マネ I M O( 国 際 海 事 機 関 )によると、船 舶 によって 年 間 3 0 億トン ジメントシステム」の中で、発生処理量を減らすよう、目標をもっ から1 0 0 億トン の バラスト水 が 国 際 移 動して いると指 摘 されて て管理されています。具体的には、以下のような行動を継続して い ま す。そ の た め 、世 界 の 海 運 業 界 の ル ー ル を 決 め る I M O が います。 主 導し、2 0 0 4 年 2 月に は 、バラスト水 の 管 理 や 処 理 基 準 を 定 め ❶ ガベッジ&シーウェージ マネジメントプランの記録 (Garbage and Sewage Management plans) た 国 際 条 約( バ ラスト水 管 理 条 約 )が 採 択 さ れ まし た 。この 条 約 は 、排 出し た 水 1 立 方 メ ートル 当 たり5 0ミクロン 以 上 の 生 物 含 有 量 を 1 0 個 未 満 に することを 義 務 付 ける など 、厳し い 規 制 を 課しています。 この 条 約 は 、3 0ヶ国 の 批 准 およ び そ の 合 計 船 腹 量 が 全 世 界 の 商 船 全 体 の 3 5 % を 越 えた 日 から 1 2ヶ月 後 に 発 効しま す。 2 0 1 2 年 6 月4日時 点 で は 、3 5ヶ国 が バラスト水 管 理 条 約 に 批 准 し、そ の 合 計 船 腹 量 は 2 7 . 9 5 %となっており、来 年 度 にも発 効 す ることが 予 想されます。 当 社グ ル ープ は 、バラスト水 の 扱 い に つ いて、今 後とも、寄 港 国 の 規 制 に 従って 対 処して い きま す。ま た 、最 近 で は 技 術 革 新 も進 み 、バラスト水 の 浄 化 ❸ 船舶からの定期的な廃棄物発生レポート報告 ● 船内生活系廃棄物の適正処理 船舶では、乗組員の船内での生活に伴い、さまざまな生活系廃 棄物が発生します。これらは「MARPOL73/78 条約」に基づき適 正に処理し、海洋環境の保全に努めています。 廃棄物は分別収集され、焼却処理や海洋投棄をしたり、陸上受 入施設へ移送します。特にプラスチック類などは、本船で保管の 上 、全 量 陸 揚 げ 処 分 し 、受 領 書 を 付 し て 記 録 簿 へ 記 載 し て い ま す。写真左から、紙ゴミ・雑布類(黒)、廃プラスチック類(赤)、金 装 置 の 小 型 化・低 価 格 化 属・ガラス・陶磁器(緑)、食物くず(青)、梱包材などの事業系廃棄 が 進 んで きました 。バラス 物(黄)に分別して保管しています。 ト水 管 理 条 約 発 効 を 視 野 に 入 れ な が ら 、生 物 多 様 ● 廃油の適正な焼却処理 性の保全に必要な環境対 策 を続 けていきます。 ❷ 廃棄物管理手順書の遵守 船内廃棄物の保管状況 船舶用の燃料油には不純物が多く含まれているため、使用時の 前処理システムで不純物を取り除きます。その際に発生する水分・ 不純物が混ざった不要な油を廃油タンクに集め、新たに加熱し、 水分などを蒸発・分離した上で、廃油焼却炉で焼却処分にしてい ます。 また、廃油焼却炉は、焼却処分するときに発生するダイオキシ ンを極力抑制できる「MARPOL73/78 条約」に基づく型式承認を 得たもので、2000 年よりすべての新造船で採用しています。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 16 不 動産業の安 全についての施 策 ¦ 館内警備・警備システム ● 館内警備体制 1 9 6 0 年 の 旧 飯 野 ビ ル 竣 工 に 伴 い 、旧 飯 野 不 動 産( 株 )警 備 課 機械警備システム に よ る 自 社 警 備 を 開 始 し ま し た 。そ の 後 、長 年 に わ た り 培 っ た 警備会社(基地局) ビ ル 警 備 の 知 識・経 験 を 生 か し 、1 9 8 7 年 に ビ ル 管 理 会 社( 現 イ ビ ル イ ノ・ビ ル テ ッ ク 株 式 会 社 )が 東 京 都 公 安 委 員 会 の 警 備 業 の 認 間 非 定 を 受 け て 警 備 業 務 を 引 き 継 ぎ ま し た 。5 0 年 以 上 に わ た る 業 常 無 線 務 に よ り 蓄 積 さ れ た 知 識・経 験 を 基 に 、当 社 所 有 ビ ル の 安 全 か つ 快適な利用を目指した 施 設 警 備 を 行 っ て い ま す 。 装 置 センサー センサー センサー 依 頼 等 で す 。対 応 方 法 は 、侵 入 警 報 の 場 合 、警 備 員 が 出 動 し 、警 備 警 戒 状 況 を 確 認 センサー 盤 センサー 卓 機 ビ ル 間 非 常 無 線 装 置 センサー 設 センサー 備 N T T 回 線 中 センサー 司 示 令 装 装 装 置 置 置 警備車輌 基幹ビル(飯野ビルディング) ビル間 非常無線 ビ ル 間 非 常 無 線 装 置 表 信 無線・電話 設備警報等必要 に応じて出動 継 盤 警備室 放 送 システム 館 内 モニタ− 警 備 員 内線・無線 ・館内放送 ビル内巡回 中央監視センター センサー ビル群遠隔管理 システム 警 備 員 ・ 監 視 員 ルディング監視センターへ NTT 回線 信 受 センサー ビル監視卓 後 、該 当 室 内 の 点 検 、飯 野 ビ 視 常駐警備システム 最 も 多 い ビ ル で 3 4 回 で し た 。出 動 原 因 は 、入 居 者 の 操 作 不 慣 作 、設 備 な ど の 不 具 合 、解 錠 継 犯 監 ビル間 非常無線 り 異 常 を 感 知 し た 場 合 、車 両 で 警 備 員 が 出 動 す る「 機 械 警 備 」 れ 、他 の 執 務 者 に 気 付 か ず 警 備 を 設 定 し て し ま う な ど の 誤 操 センサー 発 ビ ル 監 視 卓 警 備 」と 、警 備 員 の 常 駐 は せ ず 、ビ ル に 設 置 し た セ ン サ ー に よ 2011年度は、 「 機 械 警 備 」に お い て 警 備 員 が 出 動 し た 回 数 は 備 防 中 ビ ル 警 備 の 形 態 は 、2 4 時 間 警 備 員 を ビ ル に 常 駐 さ せ る「 常 駐 の 2 種類です。 センサー 設 中央監視卓 NTT 回線 監 視 員 必要に応じて 応援要請・出動 の状況報告と出動報告書の 作 成を実施します。 飯野ビルディング監視センター ¦ 防火・防災・安全活動 ● 防火・防災管理体制 ● 防災訓練等 複 数 の 事 務 所 が 入 居 す る 建 物 で は 、火 災・地 震 な ど の 災 害 時 当 社 グ ル ー プ で は、火 災 等 の 災 害 発 生 時 に 備 え、冷 静 か つ の 混 乱 を 防 ぐ た め 、統 制 の と れ た 防 火 ・ 防 災 管 理 を 進 め る 必 要 迅速な対応が行えるよう、定期的に防災訓練を実施しています。 があります。当社の主要賃貸ビルのうち、飯野ビルディング、東 京 桜 田 ビ ル 、汐 留 芝 離 宮 ビ ル デ ィ ン グ は 、消 防 法 に よ っ て 入 居 す る 全 事 業 所 で 構 成 す る「 共 同 防 火( 防 災 )管 理 協 議 会 」の 設 置 が義務付けられています。 このほか、笹塚センタービルでも自主的に協議会を組織して います。協議会では、建物全体の消防訓練の計画と実施、消防用 設 備・防 火 対 象 物 な ど の 定 期 点 検 の 計 画 、改 正 消 防 法 関 係 法 令 の周知、収容人員の調査など、共同防火・防災管理に必要な事項 を決定し、実施しています。 なお、大規模建物では、事業所ごとに防火・防災上必要な業務 が日頃適正に行われているか、点検資格者に1年に1回点検をさ せ 、そ の 結 果 を 消 防 署 に 報 告 す る 定 期 点 検 制 度 が あ り ま す 。東 2011 年度の防災訓練実施状況 ビル名 総合訓練 消火訓練 地震訓練 AED訓練 その他の訓練 備考 飯野ビルディング 2回 2回 2回 1回 開業前訓練 1回 汐留芝離宮 ビルディング 2回 2回 2回 1回 応急救護訓練 1回 東京桜田ビル 2回 2回 1回 ー 東京富士見ビル 1回 ー ー ー ー 入居事業所が計画実施 飯野竹早ビル 2回 ー ー ー ー 入居事業所が計画実施 笹塚センタービル 1回 ー 1回 ー ー 防災センター 活動限界時間の測定 放送訓練 1回/週 京桜田ビルでは防火対象物点検報告が、飯野ビルディングおよ び汐留芝離宮ビルディングでは、防火対象物並びに防災管理点 検報告が対象となっています。2011年度の報告実施実績は以下 のとおりで、確実に点検報告を実施しています。 [ 2 0 1 1 年 度 定 期 点 検 報 告実施事業所数] 汐 留 芝 離 宮 ビ ル:2 0 事 業 所/東京桜田ビル:32事業所 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 17 不 動産業の環 境についての施 策 ¦ ビルの維持管理 ● 不動産業の安全衛生の維持 当社グループでは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づき、空気環境の定期測定、飲料水の定期検査、水槽を含めた 建物の定期清掃等を実施し、ビルの安全衛生の維持を図っています。 空気環境測定結果(基準値達成地点数/測定地点数、達成率) 空気清浄度 ビル管理法*1 規定項目 2008年度 2009年度 (対象範囲:主要賃貸ビル) 2010年度 2011年度 二酸化炭素濃度 449/483 (93%) 763/777 (98%) 872/917 (95%) 1,610/1,712 (94%) 一酸化炭素濃度 483/483 (100%) 776/777 (99%) 917/917 (100%) 1,712/1,712 (100%) 浮遊粉じん量 483/483 (100%) 775/777 (99%) 916/917 (99%) 1,712/1,712 (100%) *1 「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で定める目標基準値 水質検査 (対象範囲:全所有・管理ビル) 検査結果*2 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 異常なし 異常なし 異常なし 異常なし *2 検査項目は、「水道法」および「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に定める項目 ● 昼間・夜間別の消費電力 当社グループでは、2007 年度から主要賃貸ビルで昼間・夜間別に消費電力の計測をしています。ビル別の昼間と夜間の消費電 力量および二酸化炭素の排出量は下表のとおりです。 各ビルの消費電力とCO 2 排出量(2011年度) 東京 笹塚 項目(単位) 時 間 帯 東京桜田ビル 富士見ビル 飯野竹早ビル センタービル 消費電力量 (kWh) (t) CO 2 排出量 汐留芝離宮 飯野 ビルディング ビルディング 昼 間 1,346,890 793,610 310,824 984,672 3,115,292 3,943,322 夜 間 283,900 340,150 69,402 401,616 1,783,280 1,439,971 623 433 145 530 1,871 2,056 *CO 2 の消費電力量に対する排出係数は、東京都環境確保条例「総量削減義務と排出量取引制度における特定温室効果ガス排出量算定ガイドライン2012年3月」 での規程値(0.382t−CO 2 /千kWh)としました。 ¦ 廃棄物の排出と再生 当社グループの主要賃貸ビルでは、東京23区(千代田区、港区、 文京区、渋谷区)の「廃棄物の処理及び再利用に関する条例」に基 づき、 「 事業用大規模建築物における再利用計画書」を毎年作成・ 提出しています。廃棄物の再生率を上げるためには、ゴミの分別の 徹底が不可欠であり、テナントの皆様のご協力が必要となります。 汐留芝離宮ビルディングでは、廃棄物の重量を自社で正確に計 量し管理するため、廃棄物計量器を整備し、正確な数値を記録して 廃棄物排出量と再生率の推移 排出量(左軸) 2,500 2000 % トン 2,035 63% います。飯野ビルディングでも廃棄物の計量を行い、テナントの皆 様への情報提供を行っています。また、廃プラスチックの再生率を 1500 100%とするために、2011年4月より廃プラスチックの一部を江東 区の発電プラントでのサーマルリサイクルに利用しています。 最近5年間の「廃棄物の排出量と再生率の推移」はグラフのとお りです。各テナントの皆様と協力し、ゴミの分別を推進してきた結 果、再生率は確実に上昇してきています。2007年度から2008年度 にかけて排出量が大幅に減少しているのは、飯野ビルディング建替 えによるもので す。1 1 年 度で は 排 出 量 が 増えていますが 、これ は 2011年度秋の飯野ビルディングの開業によるものです。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 再生率(右軸) 66% 68% 72% 80 60 53% 1,028 1000 870 828 973 500 0 100 40 20 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 0 18 不動産業の環 境についての施 策 ¦ 環境性能の高い設備機器 2010年4月1日より、 「 改正省エネ法」と「東京都環境確保条例」 が、内容も新たに施行され 、年間のエネルギー使用量の合計が、原 油換算で一定量以上の事業所には、温室効果ガス削減義務が課さ れています。 ● 飯野ビルディング 飯野ビルディングは、 「 エネルギーをできるかぎり使わない」、 「利 用者が快適に過ごせる」 という相反しがちな二つの課題を、最新の 設備によって解決しています。 これによって、ビル全体のエネルギー 消費量を、通常の同規模ビルに比べて46%削減しています。 さらに、エネルギー管理運営も効率的に遂行するため 、資源や 当社グループでは、汐留芝離宮ビルディングと、飯野ビルディン エネルギーの効率的な利用を行うビル管理システムBEMS(ビルエ グ がこれらに 該 当しており、ビル による環 境負荷 の 低 減を図って ネルギーマネジメントシステム)を取り入れています。BEMSによる います。 エネルギー消費量の「見える化」により、テナントの皆様とエネル ● 汐留芝離宮ビルディング しています。 汐留芝離宮ビルディングは、設計時からトップクラスの環境性能 設置されている環境設備 ギー消費量に係る情報を共有し、ビル全体の省エネルギーを目指 を目指して、最先端の技術と設備機器を採用しているため、標準的 な大型ビルと比べて、温室効果ガス削減に大きく貢献しています。 2 0 1 0 年 度で は 、記 録 的 な 猛 暑 の 中 、テナントの 皆 様 の 協 力を仰ぎ ながら、温室効果ガスの排出を前 年度比3.84%削減しました。2011 年度では、東日本大震災による節 電 要 請 等 も あって 、前 年 度 比 で 16%削減しています。 導入設備 ダブルスキン デシカント空調 湿度管理を温度管理から切り離すことで、 夏の冷えすぎや、冬の乾燥を大幅に軽減できる。 エコボイド ビル中央部にある吹き抜け空間。風の通り道であり、 排気口として利用することで、室内換気が効果的に働く。 LED照明 オフィスフロアのベース照明として、LEDを全面採用。 電力量を大幅に削減。 コージェネレーションシステム (ガス発電機) 設置されている環境設備 温室効果ガス削減の仕組み 導入設備 ハイブリッド型 自然換気システム 窓を開けず外部の騒音を遮断したままで、 風の力で外気をビル内に取り込むことで空調設備の 運転時間を短縮。 Low-Eガラス 熱貫流率が低く、日射遮蔽係数が 高い外装材を利用することで、建物の断熱性能を高める。 コージェネレーション システム ガスによる発電で生じる廃熱を空調用の冷水、 温水に再利用することで、ガスや電気を単独で 消費するよりも資源を有効に活用。 氷蓄熱タンク 電力需要の少ない夜間の電力で氷を作り、 昼間の冷房に利用。電力不足となる最大電力需要 (14時頃)の抑制を図る。 共用部入り口に 空冷パッケージ設置 入り口にファンを設置することで、 自動ドアの開閉による夏季の空調負荷 (外気熱による室温の上昇など)を軽減。 温室効果ガス削減の仕組み 二重の窓を設け、外の壁や窓との間に空気を貯める構造。 換気がしやすく、冬は保温、夏は内部の熱気を外に 逃がす効果がある。 ダブルスキンの概要 屋外のブラインドはリモコン操作で 開閉が自由にできる 給気口と排気口の温度差で自然換気を行う 遮熱赤外線カットに優れたペアガラス ※外気導入のダブルスキンは 日本の超高層ビルで初めて 導入されました。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 ビル中央で風の出入りを促す 中空のエコボイド 19 不動産業の環 境についての施 策 の環境保全 本 社 オフィスで 活動 ● 紙コップの使用量の削減 当社グループは、本社オフィスビルにおいて、環境マネジメントシステム のISO14001に基づき、環境保全活動を推進しています。旧飯野ビルディン グにて運用を開始した環境保全活動は、飯野ビルディング建替えに伴い一 時本社機能を移転した芝大門フロントビルでも引き続き行い、さらに2011 年秋に竣工した飯野ビルディングにおいても継続して推進しています。 具体的な環境保全活動としては、電力、コピー用紙、紙コップの使用量の 削減とグリーン購入の推進を活動項目とし、それぞれに環境目標を数値に て設定して、その達成に向けて取り組んでいます。このISO14001の毎年の 環境目標と結果は、社内イントラネット内にある電子掲示板を使って公表さ れ 、社員一人ひとりに環境保全活動への目標意識の浸透と、環境保全活動 への協力を呼びかけています。 環境保全活動に取り組んできた結果、芝大門フロントビルでは、全ての 2011年度の紙コップの総使用量は前年度比30.2% 減、社員1人当たりの使用量は同30.5%減となりまし た 。紙コップ設置場所で使用削減の貼り紙をしなが ら、 「 マイカップ」の持参を奨励してきた結果、前年度 比1人当たりの使用量の5%減の目標を、前年度から 連続して達成することができました。2012年度も引き 続き、前年度比5%の削減を目標としています。 ● 社内周知のため電子掲示板を活用 紙コップの 使用量削減を促す提示 共通備品は総務チームで一括してグリーン購入を実施しているほかに、 当社グループではイントラネットの掲示板で、 グリーン購入を呼びかけ、社 員の環境配慮活動を推進しています。 目標を達成することができました。2011年秋から移転した飯野ビルディン グで は 、優 れ た 環 境 性 能 や 本 社オフィスの I T 環 境 が 整 備され 、電 力 やコ ピー用紙の使用量の大幅な削減が実現できました。2012年度以降につい ては、2011年度下期の実績を踏まえて目標の見直しを図り、グループ全社 をあげて目標の達成に向けた活動を推進してまいります。 (2)使い捨てでなく、長持ちするものを選ぶ (3)廃棄するまでを含め使用エネルギーの少ないものを選ぶ (4)化学物質による環境汚染や健康への影響の少ないものを選ぶ ● 節電 (5)自然や野生生物への影響を考慮して選ぶ 2011年度の使用電力量は、芝大門フロ (6)包装がないもの、少ないものを選ぶ ントビルでは、前年度比で13.2%減となり、 (7) リサイクルされた、またはリサイクル可能なものを選ぶ 目標である前年度比1%の削減を達成しま (8)環境問題に熱心に取り組んでいるメーカーやお店を選ぶ した。 これは、 こまめな消灯や不要時のパソ コンのシャットダウン、適切な空調温度の 設定といった運用改善活動、東日本大震災 ○ 備品、消耗品の購入に当たっては・・・ (1)必要なものを必要なだけ購入する 消灯を励行する指示 ○「環境ラベル」で環境に配慮した製品を選びましょう に伴う夏季の電力供給不安への対応として、照明設備の照度の最小化を図 るなどの自発的な節電活動をグループ全社で徹底した事によるものです。 2012年度では、飯野ビルディングへの移転により、照明、空調といった省 1 2 7 8 3 4 9 10 5 6 11 12 エネ仕様のビル設備やOA機器の入替え・再配置などによる削減量を見極 めた上で、削減目標を改めて設定する予定です。 ( 飯野ビルディングの導入 設備につきましては、 「 経営報告書2012」特集②をご覧下さい。)飯野ビル ディングでは、BEMS※の導入による使用電力の分析と削減対策の実施、エ ネルギーの見える化による役職員への省エネ意識の定着等、さらなる節電 1: 間伐材を使用 2: エコマーク 3: 消費電力基準値以下 対策を実施する予定です。 4: 省エネ基準達成 5: 省エネ達成 6: パソコン3R ※BEMS: Building and Energy Management System 室内環境とエネルギー性能の最適化を図るためのビル管理システム 7: 牛乳パック再利用 8: PETパネル再利用 9: 環境共生住宅 10: 古紙利用 11: 森林管理認証 12: 車の排ガス低減 ● コピー用紙の使用量削減 2011年度のコピー用紙の総使用枚数は ● 飯野ビルディング移転の際の安全環境への取り組み 前 年 度比 8 . 8 % 減 、1 人 当 たり使 用 枚 数 は 当社グループでは、飯野ビルディングへの移転に関しても、安全・環境に 9%減となりました。飯野ビルディング移転 配慮しました。移転に伴う保有資料・什器の移動には膨大なエネルギーを 後は、IT機器の整備によるコピー用紙の削 要します。 これらの移動コストおよび保管スペースの削減を図るために、紙 減対策として、役員会議でのiPadの活用、 類にて保管していた資料の必要性を見直しました。その結果、電子処理等 社内イントラネットの構築とノート型パソ コンの活用を実施しています。また 、大型 紙の分別と裏紙利用促進 も活用することで保有資料を40%削減することができました。機密文書の 廃棄は、溶解処理証明書を発行できる専門処理業者に依頼し、情報漏えい プロジェクタや大型ディスプレイの整備をすることで、ペーパーレス会議を 防止に努めました。また、保有船舶の図面類は全て電子データ化を図るこ 推進する環境を整えています。その結果、1人当たり使用枚数の前年比1% とで保管スペースを削減するとともに、会社資産としての永久保存を実現 減の目標を大幅に上回る結果になりました。下記「削減方法」に掲げた活動 可能としました。 を、社員一人ひとりが前年度より推進したことも大きな理由です。2012年度 も前年度比1%減の目標を堅持します。 [コピー用紙使用量の削減方法] ◇ミスプリントをなくすため、コピー後は複合機の設定を必ずリセットする ように習慣づける。 ◇裏面が利用可能なコピー用紙は回収の上で再利用する。 ◇両面コピー、縮小コピーの活用。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 ● チャレンジ 25 キャンペーンへの参加 飯野海運(株)では京都議定書の目標達成を目指す国民運動「チーム・マ イナス6%」に参加し、地球温暖化防止を推進してきましたが、2010年1月 から「チャレンジ25キャンペーン」に参加して います。温室効果ガスの排出量を2020年まで に 1 9 9 0 年 比で 2 5 % 削 減 するという目標 に 向 け、積極的に取り組んでいきます。 20 安 全・環境マネジメント ¦ 飯 野 海 運( 株 )の 品 質・環 境 マネジメントシステム ● 飯野海運(株)および当社グループの マネジメントシステム認証取得状況 当 社グ ル ープ で は 、飯 野 海 運( 株 )、イイノマリン サ ー ビス (株) ( 船 舶 管 理 会 社 )、イイノ・ ビ ル テック( 株 ) (ビル管理会 飯 野 海 運( 株 )で は 、2 0 0 4 年 3月に 海 上 運 送 業で I S O 9 0 0 1 ・ 社 )、イイノガストランスポ ート( 株 ) ( 内 航・近 海 のガス輸 送 海 14001の統合認証を取得しました 。また2005年3月にビル賃貸 運 会 社 )の 4 社 が I S O 9 0 0 1・1 4 0 0 1 の 認 証を取 得し、海 運 業・不 業に適用範囲を拡大し、2007年9月にはビル賃貸業の適用範囲 動産業の事業全般にわたって、品質および環境マネジメントシ を、飯野ビルから全ビルに拡大しました。 ステムを実施・推進しています。 ● 飯野海運(株)品質マネジメントプログラム 分野 目 的 全部門 J-SOX対応 営業部門 安 全 運 行・貨 物 の 効 率 的 輸 送・安 定 的サービスの提供、 および 安 全でかつ 快 適 な 賃 貸 スペー スの提供 2011年度目標 行 動 内容 2012年度目標 ※ 品 質 内部統制環境の整備 運用状況の 評価までには至らず コスト管理の徹底 <入渠を除くオフハイヤーを 総航海時間の0.76%未満とする> 定期的打合せ実施 海営4G 0.16%(支配船15隻) コスト管理の徹底 <入渠を除くオフハイヤーを ゼロとする> IMSとの定期的打ち合わせ 的確な動静連絡の徹底 <顧客から動静連絡に対する クレームをゼロとする> 動静連絡を実施 クレームなし 的確な動静連絡の徹底 <顧客から動静連絡に対する クレームをゼロとする> 部内会 市況・業界情報の提供 <顧客から評価をして貰う> 顧客訪問・情報提供を実施 市況・業界情報の提供 <顧客から評価をして貰う> 定期的な顧客訪問 テナント (顧客)からの クレームゼロ 正式なクレーム数ゼロ 定期的テナント訪問 <オフィステナント 2ヶ月に1回、 商業テナント 1ヶ月に1回> グループ、チーム定例打合せ/ IBTとの定期的打合せ 提案・報告書の差し替え 件数の1.0%削減 入念な事前確認 年5回以上実施 提案・報告書の差し替え 件数の1.0%削減 管理部門 業務改善に向けた 部門別目標 結 果 N/A 集計中 実務研修 <年5回以上実施> 集合研修:0回 階層別研修:6回 乗船実習:2名 実務研修 語学研修 <社外英語教室参加者の うち8割のスコア向上> 受講者2名中、1名(50%)が GTECスコア向上 語学研修 セミナーレポートの 社内発信 <年6回以上発信> 6回以上社内発信 安全環境、 法務保険の啓蒙 <それぞれ年6回以上発信> 社内ポータル掲示板へ 安全環境室、法務・保険T関係を 6件以上投稿、発信 安全環境、法務保険の啓蒙 夫々年6回以上発信 資金管理の効率化 <予想実績対比10%以内> 上期平均+4.8% 下期平均+3.1% 資金管理の効率化 予想実績対比10%以内 教育・訓練を通して人材の育成 <新入社員全員のタンカー 実務講習参加> 新人研修を全員受講 教育・訓練を通して人材の育成 新入社員全員のタンカー 実務講習参加 社外英語教室参加者のうち 8割のスコア向上 (TOEIC,GTEC) ※ 2 0 1 2年 度目標 は 暫 定で 設 定しており、現 在 見 直し検 討 中で す。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 21 安 全・環境マネジメント ¦ 飯 野 海 運( 株 )の 品 質・環 境 マネジメントシステム ● 飯野海運(株)の品質および環境の方針 を実施するところまでは実現しましたが、その有効性を評価し、 1. コー ポレ ートガ バナンス体 制 の 強 化を通じて社 会 的 責 任を 改善を進めるところまでは至りませんでした。 果す。 2 0 1 0 年 度で は 未 達 成 だった 、定 期 入 渠以外 の 理由によるオ 2. 顧客満足度向上に向けた業務体制及び作業環境の確立。 フハイヤーを総航海時間の0.76%未満とする目標は、専用船・ 3. 海 上 運 送 業 務 、不 動 産 業 務 及 び 会 社 事 務 所 にお ける環 境負 不定期船グループ(海外営業第4グループ)が、0.16%を達成し 荷の低減に努める対策の確立。 ています。2012年度は引き続き過去の教訓を生かしながら、各 4. 会社における、品質及び環境マネジメントシステムの実施及 び見直しによる継続的な改善。 部 門ごとに設 定した目標 に向 けて、さらなる改 善を進 めて参り ます。 5. 品質及び環境目的・目標を策定し、定期的に達成状況を評価 し、見直しを実施する。 な お 、当 社で は 、IS Oを品 質・環 境 の 側 面 にとどまらず、全 社 の マ ネ ジ メント の 仕 組 みと位 置 づ け て、P D C A( P l a n - D o - 6. 関 係 する全ての 要員に対 する教 育・訓 練を実 施し、この 方 針 の意義と個々の役割を認識させる。 Check-Action:計画−実行−検証−行動)サイクルを利用して 経 営 全 般 の 改 善を進 めています。例えば 、J - S O X 文 書をマネジ メントシステムの中に文書登録して、内部統制の整備や文書履 ● マネジメントシステム向上のための取り組み 歴管理を進めています。 飯 野 海 運( 株 )が 2 0 0 3 年 1 0月にI S O マネジメントシステムの 今 後とも、IS O の 認 証を受 けてい な い 関 係 会 社も含 めてI S O 運用を開始してから9年近くが経過しました。 規格に準拠した形でP D CA サイクルを定着させ、グル ープ 全 体 2 0 1 1 年 度を振り返ると、内 部 統 制 環 境 の 整 備で は 、リスクマ としての マネジメントシステム運 用を追 求して行きた いと考え ネジメントを社内制度化し、総括者への定期的な運用状況報告 ています。 ● 飯野海運(株)環境マネジメントプログラム 分野 目 的 廃棄物を低減し、 省資源・リサイクル を推進 環 境 天然資源の消費 低減、および 省エネルギーの 実施 事故災害への対応 社会への貢献 2011年度目標 結 果 2012年度目標 ※ 行 動 内容 紙コップ使用量 前年度比5%削減 総使用量 30.2%減 一人当り使用量 34.5%減 紙コップ使用量 前年度比 5%削減 リサイクルの意識啓蒙教育 芝大門フロントビルでの 紙使用量 前年度比1%削減 総使用枚数 8.8%減 一人当り使用枚数 14.5%減 紙使用量 前年度比 1%削減 裏紙の再使用励行 船内廃棄物の発生処理量 前年度時実績以下 前年度比 6.7%増 船内廃棄物の発生処理量 前年度時実績以下 意識啓蒙教育 運航船舶の燃料消費量 前年度比1%削減 <稼動延べトン当り> 前年度比 1.28%減 運航船舶の稼動延トン当り 燃料消費量 前年度比 1%削減 省エネ装置の装着、 燃料消費低減を心がけた運航 ビルから排出される 温室効果ガス 前年度比削減 汐留芝離宮ビル 前年度比 16.4%減 ビルから排出される 温室効果ガスを 前年度比 1%以上削減 削減手段の構築 芝大門フロントビルでの 使用電力量 前年度比1%削減 電気使用量合計 31.5%減 一人当りの使用量 35.8%減 使用電力量 前年度比 1%以上削減 不要時消灯、電源OFFの励行 船舶から甲板上・海上への漏油 (ケミカルを含む)事故の 1航海当りのレシオ 0.0005以下 社会貢献活動への参加 年2回以上、延べ15人以上参加 レシオ ゼロ 東日本大震災ボランティア 自主的参加 16名 船舶から甲板上・海上への漏油 (ケミカルを含む)事故の 航海当りレシオ0.0005以下 社会貢献活動への参加 延べ 15人以上参加 意識啓蒙教育 意識啓蒙教育 ※ 2 0 1 2年 度目標 は 暫 定で 設 定しており、現 在 見 直し検 討 中で す。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 22 安 全・環境マネジメント ¦ イイノマリンサービス( 株 )の 安 全・品 質・環 境 マネジメントシステム ● マネジメントシステム認証取得状況 項目もありました。 船舶管理会社であるイイノマリンサービス(株) (以下、IMS)は、1994 品質の面では、海難事故件数、石油メジャーによる検船(MOI)指摘 年にISMコード (国際安全管理規則)に適合する安全マネジメントシステ 事項数、石油メジャーによる検船での不合格率、全士官および幹部船 ムを構築し、 日本の海運会社で2番目に適合証書を取得しました。 員のリピーター率、顧客満足度評価点の平均点は目標を達成しました 同時期に品質マネジメントシステムを構築し、 日本の海運会社で初め が、船舶1隻当たりの設備・機器の故障・損傷件数(運航スケジュール・ てISO9002の認証を取得しました(2002年にISO9001に移行)。また、 環境・荷役に影響を与えるもの)が、0.05以下の目標に対して、実績が 2002年に環境マネジメントシステムのISO14001の認証を取得しました。 0.189と2010年度に続いて未達成に終わりました。なお、2012年度の 現在では、 これらのマネジメントシステムを個々に運用するのではな 目標から、1航海当たりの設備・機器の故障・損傷件数(運航スケジュー く、 「H・S・S・E基本方針」 ( Health, Safety, Security, Environment )のもと ル・環境・荷役に影響を与えるもの) としました。 に統合し、一体的な運用と改善を推進しています。なお、品質マネジメン 環境の面では、漏油とケミカル漏洩事故件数、紙コップ月間購入金 トシステム、環境マネジメントシステムの適用範囲は、IMS全社および全 額、 プラスチック・ビニール廃棄物の陸揚げ、事務所における紙購入枚 管理船舶となっています。 2008年からは釜山支店も対象としています。 数・電気使用量、船舶燃料油の硫黄分、燃料消費量削減効果および潤 滑油消費量削減効果のある装置・システムについては、目標値を達成 ● 安全確保・品質向上・環境保全に向けた取組内容と結果 することができましたが、船内ゴミ・廃棄物の発生処理量については、 IMSは前述したISO9001,ISO14001などの取得を通じて、安全・品 前年実績(27.95㎥/隻)以下の目標に対して実績が32.52㎥/隻と達成す 質・環境面での改善に継続的に取り組んでいます。2011年度は、健 ることができませんでした。 康・安全・保安・品質・環境の5つの分野毎にそれぞれ目標を設定して 目標を達成できた項目はさらに取り組みを進め、未達成だった項目 取り組みました。目標を達成できた項目が多かったものの、未達成の は、その原因を探り、行動内容を強化していきます。 ● イイノマリンサービス(株)安全・品質マネジメントプログラム 分野 目 的 健 康 職務傷の防止 衝突事故防止 目標項目 労働損失を伴う死傷の 発生頻度 <船員百万労働時間 当たりの発生数:LTIR> 衝突・座礁事故 (岸壁接触、船底接触含む) <1航海当たり件数> 2011年度目標 (2010年度結果) タンカー 0.817以下 (0.817) 結 果 2012年度目標 貨物船 0 (0) 0.658 全労働災害の発生 頻度( Total Recordable Case Frequency) :1.20以下 労働損失を伴う 死傷の発生頻度:0.70以下 0.0030以下 (0.0044) 0.0026 0.0025以下 0.648 行 動 内容 ・ 労働安全健康キャンペーンを毎月公文書で発行 ・ 月例安全衛生委員会で乗組員に周知し理解を深める ・ 乗船前研修・訪船にてLTI事例の周知と予防の喚起 ・ Non Conformity Reportを解析し、教訓として各船に周知 ・ NAVIGATIONAL AUDIT 実施・手順書見直し ・ 特殊運航手順書の遵守(UKC Policyの遵守) ・ Pilot乗船時の操船意図確認・徹底 ・ 港湾事情を会社へ報告 安 全 ・ 機器故障の未然防止のため、Maintenance Manual & Recordに 基づく保守整備を計画的に実施する ・ 機器損傷事故が発生した場合には、事故の原因を調査し同様な事故の再発防止に役立てる ・ 管理船舶の現状を把握し、適切な助言を行う 保 安 機関故障防止 設備・機器の故障・損傷 <1航海当たり件数> 0.015以下 (0.006) 0.010 0.005以下 荒天回避 荒天遭遇による船体損傷事故 <1航海当たり件数> 0.0010以下 (0.0006) 0.00051 0 ・ 気象情報の解析力向上 ・ BRIDGE SYSTEM のUPGRADE および有効活用法を教育 ・ 船舶動静を把握して熱帯性低気圧付近の航行が予想される船舶には 避航サービスを提供し荒天回避を図る ・ 船舶動静を把握して荒天海域を航行する船舶に注意喚起を行う ・ STS作業に於いては気象状況に十分配慮し、安全基準を設ける 外部審査(PSC,SIRE等)の指摘項目数 <検査・審査1回当たりの項目数> 0.025以下 (0.033) 0.028 0.025以下 ・ Ship Security Planの遵守 ・ 訪船者に対するID Card確認の徹底 海賊被害発生件数 0 (0) 0 0 ・ 訪船者のID Card確認徹底を訪船活動・周知文・Security Informationにより周知徹底する 保安侵害の 未然防止 ・ 乗船者に対する手順書の確立および訪船活動等を通じて教育しこれを徹底する ・ 海賊警戒海域航行船への保安要員の派遣、エスコートコンボイへの参加および連絡体制の確立 盗難被害発生件数 品 質 顧客満足度の 向上 ・ 内部監査によるShip Security Planの深度化 − 0 ・ 盗難警戒海域での停泊時の対応強化 ・ 周辺海域の情報の収集 ・ 船員の意識啓蒙教育 ・ NAVIGATION AUDIT 実施、安全セミナーにおける啓蒙活動 ・ UKC Policy遵守の徹底・訪船による確認 ・ 港湾事情の収集 ・ 船舶動静を把握して運河・事故の多い港湾入港前に担当者より注意喚起を行う ・ ISMの維持管理による海難事故の発生防止 海難事故 <衝突・火災・座礁・漏油> 件数<1航海当たり件数> 0.0030以下 (0.0044) 0.003 0.0030以下 石油メジャーによる検船(MOI) 指摘事項 <受検当たり項目数> 6.0以下 (5.8) 5.1 石油メジャーによる ・ 管理船からのMOI返答に対するBack Upの徹底 検船での指摘事項: ・ 検船3日前、1日前Checklistの徹底 6.0以下<受検当たり項目数> ・ 計画的なMajor Inspectionの実施 石油メジャーによる検船での 不合格率 5.0%未満 (−) 2.4% 石油メジャーによる 検船での不合格率: <3.0%未満> 設備・機器の故障・損傷件数(運航 0.05以下 スケジュール・環境・荷役に影響を (0.102) 与えるもの)<船舶1隻当たり件数> 0.189 設備・機器の故障・損傷件数(運航 スケジュール・環境・荷役に影響を 与えるもの)<1航海当たり件数> 0.005 0.003以下 ・ 計画的な保守整備の実施 ・ 再発防止対策の徹底 ・ 船主への報告体制強化 2年超の全士官のリピーター率 80%以上(83.41%) 84.7% 80%以上 2年超の幹部船員(トップ4)の リピーター率 80%以上(82.54%) 82.04% 80%以上 顧客満足度評価点の平均点 3.0以上(2.8) 3.1 3.2以上 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 ・ OJT結果を定量的に分析、次回OJT に反映させる ・ 褒賞金制度の効果を定量的に分析し内容を検証する ・ 計画的な保守整備の実施 ・ 再発防止対策の徹底 ・ 船主への報告体制強化 ・ Manning会社の監督強化 ・ 離職理由の分析、改善対策実施 ・ 船費削減と安全・効率運航の両立 ・ トラブル発生時の迅速な報告・対応 ・ 定期的な船主訪問によるクレームの収集・対応 ・ 船舶の通信費の削減 23 安 全・環境マネジメント ¦ イイノマリンサービス( 株 )の 安 全・品 質・環 境 マネジメントシステム ● 品質方針 3. 環境保全活動においては、環境方針に沿った環境目的および目 1. 顧客との連携を深めることにより社業である船舶管理に関し顧客 標を設定し、行動する。 また、環境方針、環境目的、手順の見直し のニーズを的確に理解し高品質なサービスを継続的に提供する。 を行う。 2. 各部門別に品質目標を定め、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイ この方針を周知 4. 管理船舶の乗組員および陸上の関係者全員が、 クルを通じて達成度を確認し、 改善を継続する。 され、理解し、実行し、かつ、維持する。 また、会社の活動に関連す 3. 品質方針・品質目標の意義と各自の果たす役割を正しく理解する る外部関係者にもこの環境方針は周知される。 ため、 教育・訓練を適宜実施する。 そ 5. 我が社の環境マネジメントシステムを有効に機能させるため、 の実施権限およびシステムの維持、実施状況の報告責任を有す ● 環境方針 る管理責任者を別紙の通り任命する。 1. 船舶の航行における海洋環境保全活動、および事務所における 6. 我が社は、管理責任者がその任務を行うために必要かつ適切な 環境保全活動を対象とする環境マネジメントシステムを構築し、 経営資源、および支援を行う。 文書化し、 これに従い行動し、汚染の防止に努めると共に、 システ 7. 環境マネジメントシステムへ適合し行動することを確実にするた ムの有効性を継続的に改善する。 めの教育・訓練を積極的に行う。 2. 船舶の運航において適用される環境の法規制、並びに会社が同 8. 環境方針は、社外へ必要に応じて公表する。 意したその他の要求事項を遵守する。 ● イイノマリンサービス(株)環境マネジメントプログラム 分野 目 的 海洋汚染の防止 廃棄物の低減 環 境 天然資源の 消費削減 大気汚染防止 目標項目 2011年度目標 (2010年度結果) 結 果 2012年度目標 行 動 内容 船舶から甲板、海上への漏油と ケミカル漏洩事故の件数 <1航海当たり件数> 0 (0) 0 0 ・ 船員の意識啓蒙教育 ・ 荷役前・作業前会議徹底 ・ ISMの維持管理による海難事故の発生防止 ・ Scupper plug・Spill tank plug の確認 ・ Bunkering 中や L.O.cooler からの漏油の防止 ・ 荷役装置/連絡手段/計測措置の適正整備/操作 ・ 入港前における油圧ライン状態確認の徹底 ・ 机上訓練・船上操練の強化による緊急時対応能力の向上 紙コップ月間購入金額 62,919円以下 (64,865円) 49,421円 47,938円以下 ・ 日々のマイコップの使用励行 ・ 社内歓送迎会での紙コップ使用制限 ・ 社内教育啓蒙 船内ゴミ・廃棄物の発生 処理量 <対前年比較> 前年実績(27.95㎥/隻) 以下(27.95㎥/隻) 32.52㎥/隻 27.95㎥ (2010年の実績)以下 ・ 船員の意識啓蒙教育 ・ 手順書の遵守 ・ 包装屑の適正処理 プラスチック、ビニール 廃棄物の陸揚げ(対象船舶) 全量陸揚げ (全量陸揚げ) 全量陸揚げ 全量陸揚げ ・ EMS Committeeの確実な実施 ・ 乗船前Meeting時における指導・教育 事務所における月間紙 購入枚数 <管理船1隻当たり枚数> 814枚以下 (814枚) 670枚 事務所における月間電気 使用量 <1人当たり使用量> 171.3kWh以下 (174.8kWh) 144.3kWh 船舶燃料油の硫黄分 2.96%以下 (2.94%) 2.90% 2.88%以下 ・ 第3者分析機関による燃料油の分析を実施し、含まれる硫黄分を把握する ・ MARPOL 73/78付属書VIによる燃料油硫黄分規制を遵守する また、各国の規制動向を継続して監視する 燃料消費量削減効果のある 装置・システム <管理隻数当たりの採用実績> 25%以上 (22.45%) 28.26% 30.0%以上 ・ 燃料消費量削減効果の期待できる装置やシステム、技術を抽出し、 導入を検討する ・ 燃料消費量削減効果のある装置やシステムを採用する 潤滑油消費量削減効果のある 装置・システム <管理隻数当たりの採用実績> 40%以上 (37.78%) 45.65% 45%以上を維持 ・ 潤滑油消費量削減の期待できる装置やシステム、技術を抽出し、 導入を検討する ・ 潤滑油消費量削減のある装置やシステムを採用する 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 24 安 全・環境マネジメント ¦ イイノ・ビルテック ( 株 )の 品 質・環 境 マネジメントシステム ● マネジメントシステム認証取得状況 2. 品 質 及 び 環 境目的・目標を策 定し、定 期 的 に 達 成 状 況を評 価し、見直しを実施する。 ビル 管 理 会 社であるイイノ・ビルテック( 株 )は 、2 0 0 5 年 6月 に、飯野ビルディングならびにイイノ・ビルテック(株)本社を適 3. 環 境 に 与える影 響 を 的 確 に 捉え、省 エ ネ ル ギ ー・省 資 源 を 用範囲として品質マネジメントシステムおよび環境マネジメン 実 現し、環 境 配 慮 型 商 品 の 購 入 に 配 慮し、環 境負荷 の 低 減 トシステムを確立し、ISO9001・ISO14001の統合認証を取得し に努める。 ました 。2 0 0 7 年 9月に は 、適 用 範 囲を延 床 面 積 4 , 5 0 0 ㎡ 以上 の 4. ビル 管 理 業 務 及 び 会 社 事 務 所 に お ける、品 質・環 境 マ ネジ メントシステムを構築し、継続的な維持・改善を行う。 ビル(6棟)とイイノ・ビルテック(株)本社に拡大し現在に至って います。現 在 、品 質・環 境 マ ネジメントシステムは 、統 合 マ ネジ 5. 関 連 する法 的 要 求 事 項 及 び 会 社 が 同 意 するそ の 他 の 要 求 事項を順守する。 メントマニュアルに基づ いて運用されています。 6. 社員教 育と啓 蒙 活 動 により、社員の 基 本 知 識 の 習 得と専 門 ● 品質および環境の方針 知 識 能 力 の 向 上を図り、この 方 針 の 意 義と個々の 役 割を認 識させる。 1. 顧 客 満 足 の 向 上 賃 貸ビル にお ける安 全で 且 つ 快 適 な 賃 貸 スペースの 提 供 に応え、業 務 体 制 及 び 作 業 環 境を確 立し、 7. 関 連 する全ての 従 業員は 、内・外 部 のコミュニケーションを 通して情 報 交 換を確 立し、顧 客 及 び 利 害 関 係 者 の 要 求を満 高品質のサービスに努める。 足させることに努める。 ● イイノ・ビルテック (株)の品質マネジメントプログラム 分野 目 的 品 質 顧客満足度 の向上 目標項目 2011年度目標値 2011年度結果 行動内容 2012年度目標値 内部統制環境の整備 内部統制環境の整備 ・全社統制 1.全社的統制 ・業務プロセス統制 2.業務プロセス統制 全社統制、業務プロセス統制とも、 前年度に同じ シートや文書内容のチェックと 見直しを実施。実態と比較・確認した。 ・全社的内部統制評価シートの整備・見直し ・保守営繕・管理・検針業務プロセスのフローチャート・ 業務記述書・RCMの整備・見直しを実施 清掃業務の品質向上 指摘件数比率: (清掃点検時の改善 点検項目数の6%以下 指摘件数の削減) 飯野竹早ビル 8%で未達成も 他ビル5棟 5%以下 桜田ビル 上期20%→下期3% (清掃業者を変更したため。) ・清掃業務の品質向上実施要領に基づき、 定期的な清掃点検評価を実施 ・日常的な巡回による改善事項については口頭で行い、 改善処置を記録、保存、管理 管理ビル内の安全・ 環境保全の維持 貢献度比率 ※ 東京桜田ビル:1.0%以上、 東京富士見ビル:2.0%以上 貢献度比率 ※ 東京桜田ビル:1.57%、 東京富士見ビル:上期2.33% (8月にて当社警備員の配置終了) 労務災害発生件数 0件 発生件数:0件 設備機器の不具合 早期発見 前年度に同じ ・異常の早期発見実施要領による ・警備室による座礁、警戒監視勤務(ITV)による確認 ・建物内外の巡回勤務 ・品質目標実施要領書による 設備機器の不具合 ・KYT内部講習を監視センター所属全ての人員が交代で 早期発見を目標とする 講師を務め全ての人員が受講する ・監視センター所長が訓練記録書に記録する 設備機器の 重大事故 0 ・設備機器の異常を早期発見し、適切な処置を講じ、 重大事故に至らせない。 ・異常発見のためにKYT講習を交代で講師を務め全ての 人員が受講する ・訓練終了後、監視センター所長が訓練記録書に記録する 設備工事における 事故・クレームの 未然防止 工事実施件数に対する 事故・クレーム発生率: 0.9%以下 発生率:0.6% (年間発生件数:2件/289件) 前年度に同じ ・ 「安全作業指示書」の順守徹底 ・安全作業手順書の作成 ・現場立会い 竣工検査における 指摘(是正)件数の 削減 指摘件数比率: 5%以内 指摘件数比率:0% (竣工検査実施件数 上期16件 下期48件中の指摘件数:0件) 前年度に同じ ・竣工検査での手直し削減実施要領による ・着工前に業者に対して、工事内容、納まり等の 要求事項について周知徹底する ・必要に応じて現場を巡回点検し、打合せ、指示等を行う 役職員の健康増進 年2回の実施の定期 健康診断の拾進率 90%以上 委託警備業務の 資質の向上 ・毎月2回 各ビルを訪問・巡回しヒアリング・ 委託先業者評価を行い、 規程帳票の閲覧をし、委託先業者評価を行う。 各ビル年間 ・月次評価を委託先警備会社にフィードバックし、 90点以上にする。 問題点の改善を図る。 役職員全員の健康診断受診の周知と 受診状況の確認により徹底する。 ※貢献度比 率 (% ) ={ ( A÷ B ) + C }× 1 2ヶ月 ÷ D × 1 0 0 A=発 見 件 数 B = 勤 務 数 C = 安 全・環 境 保 全 度 ={( 前 年 同月の発見件数÷勤務数)- (今月の発見件数÷勤務数)}×0. 5 D=300(ハインリッヒの 法 則で 3 0 0 のヒヤリハットがあると重 大 事 故が1件発生する) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 25 安 全・環境マネジメント ¦ イイノ・ビルテック ( 株 )の 品 質・環 境 マネジメントシステム ● マネジメントシステム向上のための取り組み ます が 、C( C h e c k:検 証 )とA( A c t i o n:改 善 )の 充 実 を 図るた イイノ・ビルテック( 株 )は 、2 0 0 4 年 1 0月に品 質・環 境 マネジ め 、検 証 後 の 改 善 提 案 を 積 極 的 に 進 め 、事 故 を 未 然 に 防ぐ た メントシステム( ビル 管 理 業 務 及 び 飯 野 ビル )の 運 用を開 始し め の K Y T( 危 険 予 知トレ ー ニング )を毎月改 善しな がら実 施 す ました 。2 0 0 7 年 9月に は 、適 用 範 囲 を 床 面 積 4 , 5 0 0 ㎡ 以 上 の 5 る 取り組 み を 行って い ま す。2 0 1 1 年 度 は 、 「不適合事項報告 ビルも適 用 範 囲 に加えました 。2 0 0 8 年 には 旧 飯 野ビル が 建 替 書 」に お ける不 適 合 事 項 が 前 年よりも増 加しているた め 、本 社 えの た め 適 用 範 囲 からは 外 れました が 、2 0 1 1 年 6月の 新 飯 野 各部門でもKYT講習を実施するなど改善を進めていきます。ま ビルディングの 竣 工 により、再 び 適 用 範 囲 に加えました 。また 、 た 、職員の 個々のレ ベ ルアップを図るた め 、若 手 の み ならず 中 2 0 1 1 年 5月に は 2 回目 の 更 新 審 査 を 終え認 証 の 更 新 を 行 いま 堅 社員の 外 部 講 習を増 や すなど各 種 教 育を充 実させるととも した 。 に、飯野海運不動産営業グループと連携を図りながらマネジメ 各部門ともPDCAサイクルに対する理解度は年々向上してい ントシステムの効果的な運用を進めていきます。 ● イイノ・ビルテック (株)の環境マネジメントプログラム 分野 目 的 目標項目 グリーン購入の推進 2011年度目標値 13品目以上の購入 2011年度結果 上期:10品目 14タイプ 購入比率 71.9% 下期:5品目 32タイプ 購入比率 46.8% 行動内容 2012年度目標値 グリーン購入比率を 70%以上に維持する 廃棄物再利用の向上 管理ビル廃棄物排出量の 再利用率を前年度より 向上させる ・グリーン購入の対象となる品目を ①特定調達品目 ②エコマーク商品に適合する中から 日常利用可能なものを選択する 各テナントへの再利用率向上のため教育・啓蒙を行う 環 境 環境に配慮した 建材の使用 環境に配慮した建材の使用。 塗装・接着剤での F☆☆☆☆製品の 使用率100%を維持する 使用率100% 前年度に同じ ・塗料、接着剤を使う際には、施工業者にメーカー名、 製品名、ホルムアルデヒド発散等級を提出させ、チェックする ・ホルムアルデヒド発散等級がF☆☆☆☆等級でない場合は、 仕様建材の変更を指示する 省エネルギーに 配慮した設備機器の 採用 省エネルギーに配慮した 設備機器の採用比率を 91%以上にする 上期:ファンベルト 100% 照明器具 97.2% 個別空調機 機会無し 下期:ファンベルト 機会無し 照明器具 97.2% 個別空調機 機会無し 前年度に同じ ・工事及び納品を発注するにあたりファンベルト、 空調機・照明器具についてグリーン購入適合品を選定する ・グリーン購入調達基準に適合していない場合は、 極力省エネルギーに配慮した機器を選定する 天然資源の 消費低減 および 共用部照明の消灯による 省エネルギー 消費電力量の削減。 の実施 共用部照明の消灯による 貢献度 ※ で東京桜田ビル 消費電力量の削減 1.5%以上、東京富士見ビル 3.25%以上を維持する 熱源機器の エネルギー使用量 熱源機器のエネルギー 使用量を前年比1%以上 削減 共用部照明による消費電力削減要領により以下を実施する ・最初巡回時の外階段照明の消灯 ・巡回時の利用者不在箇所の給湯室消灯 ・監視センター室昼休時間帯の消灯 ・監視センター室流し台スペースの消灯 東京桜田ビル 上期:1.8% 下期:2.3% 東京富士見ビル 8月で警備員の配置は終了。 その間の貢献度比率は4.2% 東京桜田ビル: 重油 上期0.03% 増加 / 下期 18%増加 冷凍機電力 上期24.2%削減 / 下期 24.5削減 東京富士見ビル:8.2%削減 飯野竹早ビル:35.5%削減 笹塚センタービル:12.5%削減 汐留芝離宮ビル:24.4%削減 前年度に同じ 環境目標実施要領による温度管理日誌の記録を行った時、 外気及び室内温度状況を確認し、熱源機出口温度調整を行う 冬季室内温度22℃ 夏季室内温度28℃ ・飯野ビル1階敷地内の ・月1回植栽保守点検巡回を行う、 植栽の環境を維持する もしくは保守業者からの報告を受け、 ・植栽の枯れ率を各設定値 弱っている木を特定し、回復手段を講じる 以下にする ・枯れさせない環境を整えるため、土壌潅水、 高木:8% 中木:15% 病害虫に配慮し、問題あれば改良・薬剤散布などの 低木他:20% 対応を行う ※消灯貢献度指標=(A+B+C)÷(D×E)×100 A:消灯した巡回回数 B:延べ消灯箇所数 C:テナントの意識向上度(前年度A×B) D:巡回回数 E:共用部分面積(m 2) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 26 安 全・環境マネジメント ¦ イイノガストランスポ ート ( 株 )の 安 全・品 質・環 境 マネジメントシステム ● 品質及び環境の方針 I G T 発 足 以 前 の 1 9 9 7 年 8月に 、近 海 石 油 液 化ガス 輸 送( 株 ) 1. 顧客満足度向上に向けた業務体制及び作業環境の確立 が I S Mコード( 国 際 安 全 管 理 規 制 )に 基 づく安 全 マ ネジメント 2. 海 上 輸 送 サ ービス( 船 舶 管 理を含 む )業 務 の 要 求 事 項 へ の システムの 適 合 証 書を取 得しました 。また 内 航 船で は I S Mコー 適 合 及 び 船 舶・会 社 事 務 所 に お ける 環 境 負 荷 の 低 減 に 努 ド の 適 用 は 義 務 づ けられていませ ん が 、光 マリン( 株 )が I S M める対策の確立 コードを任 意 適 用した 安 全 管 理システムを構 築し、2 0 0 1 年 1 0 3. 品 質 及 び 環 境 マネジメントシステムの 実 施 及 びレビューに 月に 認 証 を 取 得しました 。IG T はこれらを 引 き継 いで 、外 航 船 および内航船の安全マネジメントシステムを運用しています。 よる継続的改善 4. 品 質 目 標 及 び 環 境 目 的・目 標 を 策 定し、定 期 的 に 達 成 状 況 また 光 マリン( 株 )が 2 0 0 4 年 3月に I S O 9 0 0 1 : 2 0 0 0 の 認 証を 取 得 、2 0 0 5 年 3月に は I S O 1 4 0 0 1:2 0 0 4 の 認 証 を 取 得し、IG T を評価し、レビューを実施する 5. 関 係 する全 ての 要 員 に 対 する教 育・訓 練 を 実 施し、この 方 がこれらを 引 き継 ぎました 。さらに 2 0 0 7 年 1 1 月に は 、従 来 の 船 舶 管 理 に 、船 舶 運 航と営 業を加えた 海 上 輸 送 サ ービスを適 針の意義と個々の役割を認識させる 用 範 囲として、品 質・環 境 の 統 合 マ ネジメントマ ニュアル を 制 ● マネジメントシステム認証取得状況 定し、IS O 9 0 0 1と1 4 0 0 1 の 認 証を継 続しました 。その 後 、2 0 1 0 イイノガ ストランス ポ ート( 株 ) ( 以 下 、IG T )は 、内 航・近 海 年 3 月 に I S O 9 0 0 1 : 2 0 0 8 の 更 新 認 証 、2 0 1 1 年 3 月 に ( アジ ア 域 )の ガ ス 輸 送 を 行う海 運 会 社 で す。2 0 0 7 年 4 月1 日 ISO14001:2004の更新認証を受けています。 に 、飯 野 海 運( 株 )の 一 部 門と、グ ル ープ 会 社 の 光 マリン( 株 ) これ により、海 上 輸 送 サ ー ビス 全 般 に わ たる事 業 領 域 に 関 および 近 海 石 油 液 化ガス 輸 送( 株 )の 3 組 織 を 統 合して発 足し して、安 全・品 質・環 境 の マネジメントシステムを一 貫して適 用 ました 。 できる体制を継続しております。 ● イイノガストランスポート (株)の品質マネジメントプログラム 分野 目 的 顧客満足度の 向上 品 質 船員技量の 向上 2011年度目標 2011年度結果 2012年度目標 行動内容 顧客要望への早期対応 目標の状態を達成 顧客要望への早期対応 顧客クレームゼロの継続 クレームゼロを達成 顧客クレームゼロの継続 重大海難事故ゼロの継続 重大海難事故ゼロの継続 重大海難事故ゼロの継続 ・ヒヤリ・ハット事例の収集、分析と横展開 (訪船を1隻あたり6回以上) BRM研修受講者 80名以上 受講者62名 社外研修の受講 ・入渠時、研修会、乗下船時などに受講 上級免状の取得者5名増 取得者0名 海技に関する資格の取得 ・公的機関/団体、海大資格講習等の資格研修を受講 航海、機関トラブル件数 5%減少 ・TPM活動、入渠時整備を通じて、早期発見、予防 システム各機能課題事項低減 ・毎月の問題点、課題件数集積分析および対応 運航効率の 向上 航海、機関トラブル件数 5%減少 トラブル件数 7%増 (3件増) システム運用 効率 システム各機能課題事項 低減 目標の状態を達成 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 ・要望事項への迅速・確実な報告。対応とフォローアップ ・顧客訪問、満足度調査による分析、改善対応 27 安 全・環境マネジメント ¦ イイノガストランスポ ート ( 株 )の 安 全・品 質・環 境 マネジメントシステム ● 燃料消費の低減に向けた取り組み ・ 2011-2012年度に継続して、効果を検証中 2 0 0 6 年 4 月1日に 改 正 省 エ ネ ル ギ ー 法 が 施 行 されました 。 ・ 整備プログラムによる、推進機関の最良の作動状態の保持 同 法で は 、運 航 船 舶 の 合 計 総トン数 が 2 万トンを超える海 上 輸 送 業 者 は「 特 定 貨 物 輸 送 業 者 」に 指 定され 、燃 料 消 費 率( 貨 物 ・「燃料改質器」を装備し、継続して効果を検証中 3. プロペラの推進効率向上と、エネルギーロスの軽 減 。 単 位 重 量 を 単 位 距 離 運 送 する の に 要 する 燃 料 消 費 )を 毎 年 ・ 海水の流れを調整する整流板の取り付け 1 %ずつ削減することが義務付けられました 。 そこで、毎 年 6月末 には 、前 年 度 の 全 運 航 船 舶 の 燃 料 消 費を ・ プロペラ表面の研磨による平滑化 4. 燃料油の効率的消費によるエネルギー使用の効 率 化 。 集 計し、燃 料 消 費 率 につ いて国 土 交 通 省 へ 報 告しております。 2 0 1 2 年 3月時 点で の 運 航 船 舶 は 2 2 隻 、総 運 航トン 数 は 2 . 4 万 ・ 運航状況により、経済速度で運航実施 5. 輸送貨物の効率的な運航への転換。 トン で あり、引 き 続 き「 特 定 貨 物 輸 送 業 者 」に 該 当し ま す 。 ・ 新造船への転換による全体効率の向上 2 0 1 2 年 度 以 降 も以 下 の 方 策 を 実 施し、総 合 的 に 燃 料 消 費 率 ・ 船体の大型化の計画・推進による輸送効率の向 上 の低減を目指していきます。 1 . 船体と海水の摩擦 抵抗によるエネルギーロスの削減 。 法 令 で 定 められ た 目 標 を 達 成 することにより、地 球 環 境 を 船体外板のサンドブラスト施行(荒れた船体表面の平滑化: 保 護し、次 世 代 へ 継 承していくことは 、社 会 を 構 成 するものと 微細鉄粒子を高圧空気で吹き付け古い塗装を除去する) しての 義 務 で ある。IG T で は そ のように 認 識し、取り組 み を 進 2 . 燃 料 油 の 性 状 管 理 等 による 燃 料 油 エ ネ ル ギ ー の 有 効 活 めています。 用・燃料油への燃焼 促進剤使用の研究。 ● イイノガストランスポート (株)の環境マネジメントプログラム 分野 目 的 海洋汚染 防止 廃棄物の 低減 環 境 天然資源の 消費削減 大気汚染 2011年度目標 2011年度結果 2012年度目標 行動内容 漏油事故ゼロ 船内漏油事故発生 漏油事故ゼロ ・各船年6回以上の訪船活動を実施し、 安全意識の向上 廃棄物の海洋投棄ゼロの継続 海洋投棄ゼロ達成 廃棄物の海洋投棄ゼロの継続 ・各船年6回以上の訪船活動を実施し、 環境保護意識を向上 発生廃棄物 2%削減 発生廃棄物 2%削減 発生廃棄物 2%削減 ・廃棄物発生・陸揚げ量を記録、 確認 ・食料品・船用品の包装類の船内持込削除を指導 事務所物品購入額 1%削減(紙以外) 事務所物品購入額 2.19%削減(紙以外) 事務所物品購入額 1%削減(紙以外) ・各事務所で毎月の購入量を集計 事務所内紙消費量 1%削減 概ね達成 事務所内紙消費量 1%削減 ・各事務所での毎月の購入量を集計 ・社内使用のコピーは裏紙を利用、 ペーパーレス化を推進 事務所内電力消費量 1%削減 事務所内電力消費量 事務所内電力消費量 16.98%削減(神戸・徳山) 1%削減 エネルギーの使用に係る原単位 1%削減(船舶) 概ね達成 エネルギーの使用に係る原単位 ・運航状況・主機運転状況の監視、 分析。 減速運転 1%削減(船舶) ・燃料改善機・新型船底塗料を採用し、 効果を検証 ガソリン消費率 1%削減(車) ガソリン消費率 0.34%増 ガソリン消費率 1%削減(車) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 ・各事務所での毎月の消費量の集計 ・昼食時など不要な電灯の消灯 ・アイドリングや急発進などの防止 28 海 上で働く人のために ¦ 船員の 教 育 研 修 体 系 当 社グル ープ は 、乗 船 中 の 訓 練と陸 上で の 研 修を組 み 合 わ が 、そ れら教 育 研 修 を 担って い ま す が 、東 京 の イイノマリン せ、実 技と理 論 の 両 面 から、船員のレ ベ ルアップと早 期 育 成 に サービス( I M S )本 社 から講 師を派 遣し、安 全 マネジメントシス 努めています。 テム の 内 容 や 運 営 の 徹 底 、K Y T 講 習 などを 行う「 短 期 安 全 研 当 社グル ープ の 船員は日本 人 、韓 国 人 、フィリピン人 、ミャン マ ー 人で 構 成されています が 、国 際 条 約 や 各 国 の 法 令を順 守 しな がら、安 全 運 航を目指し、船員へ の 教 育 研 修を実 施してい ます(日本人船員の教 育研修体系は、下表参照)。 修 」も実 施しています( 韓 国 、フィリピン( 年 2 回 )、ミャン マ ー (年1回))。 短期安全研修 当 社グ ル ープ の 船 員 のうち、9 5 % 近くを占 める外 国 籍 船 員 に 対しては 、独自の 教 育 基 本 体 制と外 部 研 修 機 関 を 補 完させ な がら、船員の 技 術 力 向 上を図っています。当 社グル ープ 専 属 の 船員配 乗 会 社である韓 国・釜 山 の I M S K O R E A C O . , LT D .と フィリピン・マニラのIM S P H I LI P P I N ES MARI T I ME C ORP. 地 域 日本 受講実績 08年度 09年度 10年度 11年度 22名 28名 19名 24名 韓国 37名 68名 88名 82名 フィリピン 99名 101名 101名 106名 ミャンマー 31名 45名 46名 38名 (青色は航海士、茶色は機関士、黒色は共通) 海技免状・資格 一級海技士 (機関) 二級海技士 (航海) 二級海技士 (機関) 三級海技士 (航海) 三級海技士 (機関) 一航・機士 二航・機士 三航・機士 衛 生 管理 者 適 任 証 書 一級海技士 (航海) 甲 種 危 険 物取 扱 責 任 者 船長・ 機関長 教育研修(船上OJTを補完) 甲板作業管理者研修 操船シミュレータ研修 LNG船研修 原油タンカー研修 SSO研修 ECDIS研修 BRM研修 KYT研修 酸欠・硫化水素研修 塗料・塗装研修 油圧回路研修 新人 機関開放研修 主機造船所研修 主機リモコン研修 旋盤・溶接研修 過給機研修 LNG船研修 ETM研修 ボイラー研修 油圧回路研修 KYT研修 機関士フォローアップ研修 社内新人研修/海技大学校新人研修 ¦ 船員を支える家 族 へ の 感 謝 外航海運で働く船員は、一度乗船すると長期間自宅を離れる ことが多いため 、留守家庭を支える家族にさまざまな負担をか けています。これは国籍を問わず、外航船員共通の問題であり、 当社グループでは、船員とご家族に感謝するとともに、こうした 海上勤務の特殊性による負担を軽減し、家族の理解を得られる ように配慮しています。 当社グループでは、日頃の協力に感謝して、毎年年末に船員 とその家族を招待してパーティーを開いています。2011年度の 韓 国 にお けるパーティーで は 、家 族を慰 労 するとともに 、2 0 1 1 年度にて最も評価された船長、船員を表彰いたしました。また、 2011年度は、ミャンマーにて、 「 短期安全研修」の終了後 、船員 ミャンマーでのパーティー風景写真 の家族を招いたパーティーを開催いたしました。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 29 陸 上で働く人のために ¦ 陸 上 従 業員の 人 事・教 育 研 修 制 度 当社は、 「 少 数 精 鋭 による運 営 」 「 モチ ベ ーション向 上 、活 性 を組 み 合 わ せています( 下 図 参 照 )。自分 に 必 要と思 わ れる分 化を促 進 」 「 一 人 一 人をきめ 細 かく見る」などの 人 事 基 本 方 針 野 のプログラムを選 択・受 講できる「カフェテリアプラン」を採 に 則って、一 人 ひとりの 陸 上 従 業員の ニ ーズ や キャリアプラン 用しており、社 員 一 人 ひとりが 自らの 意 志 で 学 び 、チャレンジ などに配慮した支援・育 成に努めています。 できる体制を整えています。 人材育成の教育研修制度は、O J T とO ff - J T 、自己啓発支援 対象者 役割等級 off-JT スキルアップ研修 階層別研修 年次 上級管理者研修 実務研修 3年目 S-1 2年目 乗船実習 半年後 フォローアップ研修 新入社員 新入社員研修 代理店研修 入社前研修 パソコン研修 入社前 通信講座支援 4年目 推薦図書登録制度 中堅社員研修 S-2 I S O 研修 スキルアップ研修 ・プレゼンテーション力向上研修 ・論理的思考力向上研修など リーダーシップ研修 公的資格取得奨励金制度 新任管理職研修 S-3 英語研修 海外短期研修 M-1 各部門からの社外研修参加 M-2 自己啓発支援 各部門の人材育成計画に基づく 推進 M-3 OJT その他研修 O J T また 、陸 上 従 業員の 生 活 環 境 などの 変 化 に応じ、ワークライ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動 計 画 フバランス の 観 点 から、育 児 休 業 制 度 および 育 児 中 の 時 短 勤 目標 1 所 定 外 労 働を削 減するため 、週 一 回 のノー 残 業デー 務 制 度を導 入しています。2 0 1 1 年 度まで に育 児 休 業 制 度を利 を設定、実施する。 用した 当 社グル ープ の 陸 上 従 業員は 、延 べ 2 4 名で す。また 、厚 目標2 年次有給休暇の取得促進を目指す。 生 労 働 省 の「 両 立 支 援 の ひろば 」に登 録し、一 般 事 業 主 行 動 計 目標3 家族向けの会社見学会の実施を目指す 画を広く公開しています。 ¦労働安全衛生 当 社で は 、人 事グル ープ が 中 心となり、陸 上 従 業員の 健 康と でも、年2回の定期健康診断を実施しています。 安全の維持・向上に努めています。法定により年1回義務付けら イイノ・ビルテック(株)では、事業場の従業員数が50人未満 れている定 期 健 診を毎 年 2 回 実 施 するほ か、月1 回 、第 2 金 曜日 の た め 義 務 付 けられては いません が 、自主 的 に 安 全 衛 生 委員 には応接室を開放し、産業医との個別面談を無料で受けること 会 を 設 置 。毎 月定 例 会 を 開 催し、労 働 災 害 防 止 に 努 め ていま がで きます。以 前 は 人 事グル ープ 経 由で 診 察 の 予 約を受 け付 す。また、深夜勤務従事者については年2回の定期健診を受診、 けていました が 、社員のプライバシーを考 慮し、希 望 者 は 直 接 その他の従業員は法定外の検査項目を選択し、年1回の定期健 内線で申し込めるようになりました。イイノマリンサービス(株) 診を受診することになっています。 労災認定者数 飯野海運(株) * 1 (単位:件) イイノマリンサービス(株) * 1 (単位:件) イイノ・ビルテック(株) (単位:件) 年度 07 08 09 10 11 年度 07 08 09 10 11 年度 07 08 09 10 11 死亡 0 0 0 0 0 死亡 0 0 0 0 0 死亡 0 0 0 0 0 2 *2 0 負傷 0 2 *2 0 0 負傷 0 1 *2 0 0 0 負傷 1 *2 0 0 0 疾病 0 0 0 0 0 疾病 0 0 0 0 0 疾病 0 0 0 0 0 合計 0 2 *2 2 *2 0 0 合計 0 1 *2 0 0 0 合計 1 *2 0 0 0 0 *1 陸上従業員のみ *2 通勤災害による負傷 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 30 陸上で働く人のために 当社グループの役職員は、 「 社会への貢献と企業価値の向上」 という考えに則り、ステークホルダー(株主、顧客、従業員、地域、市民団 体など)の利益に配慮し、十分なコミュニケーションを行うことに努めています。2011年度には、以下のようなコミュニケーション活動が 行われました。 ¦ 社員同士のかかわり ● イイノの集い ● カッター競技 2011年11月8日、 「 イイノの集い」と銘打って、当社グループの 当社グループには、テニスやラグビーなど複数のクラブがあ 多くの役職員が新しいイイノホールおよびカンファレンスルー り 、活 発 に 交 流 し て い る 他 に 、正 式 な ク ラ ブ 活 動 で は あ り ま せ ムに集まりました。この集いでは、クラシック音楽や居合道、津軽 ん が 、趣 味 を 同 じ く す る 社 員 同 士 が 集 ま っ て 、親 睦 を 深 め て い 三味線など、さまざまな趣味・特技をもつ社員らが、業務を通じて ます。その中の1つに、カッターがあります。 だけでは知ることのできない一面も披露し、社員同士の交流を深 カッター(端艇)とは、昔の軍艦に必ず搭載されていた開放型 めました。 救命艇を起源としたボートです。船員養成課程などの実習など で、必須科目の1つとなっています。よくあるボートは細長いも のですが、カッターは、四角くて、がっしりした形です。 カ ッ タ ー の 競 技 会( 横 浜 港 カ ッ タ ー レ ー ス )は 、毎 年 1 回 、6 月 頃 に 開 催 さ れ て い ま す 。日 本 の 海 運 会 社 の み な ら ず 、多 く の 団 体・有 志 た ち が 競 技 会 に 参 加 し て い ま す 。当 社 グ ル ー プ の 有 志 (IINO GROUPカッター同好会)も集まり、練習して、本番に備え ます。船員・海運業を志した初心に返ると同時に、社員同士が親 睦を深める機会になっています。 カッター競技の風景 イイノの集いの様子 ラグビー部の活動紹介(写真上)と 演奏・演武前の社員たち(写真下) 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 31 陸上で働く人のために ¦ 社会とのかかわり ● 災害ボランティアへの参加 ●「海の森」プロジェクトへの参加 当社グループは、東日本大震災を契機に、2011年4月、災害ボラ 当 社 グ ル ー プ で は 、環 境 保 全 な ど に 係 る ボ ラ ン テ ィ ア へ の ンティアのための特別休暇を制度化しています。それ以降、2012 参 加 を 、社 員 に 対 し て 定 期 的 に 呼 び か け て い ま す 。そ の 中 の 1 年3月末までに、延べ16名の社員が、本制度を利用し、ボランティ つに、 「 海 の 森 」が あ り ま す 。こ れ は 、東 京 都 港 湾 局 が 主 催 す る アとして活動しています。ここでは、災害ボランティアとして参 事 業 で 、ゴ ミ と 建 設 発 生 土 で 埋 め 立 て ら れ た 中 央 防 波 堤 内 側 加した社員の声を紹介します。 埋 立 地 を 、緑 あ ふ れ る 森 に 生 ま れ 変 わ ら せ て い こ う と す る も のです。 この埋立地は、1973年から1987年にかけて約1,200万トンの (株 )イイ ノ・メ ディ アプ ロ ゴ ミ と 建 設 発 生 土 に よ っ て 造 成 さ れ て い る と の こ と で す 。こ こ 小田 島 薫 に、スダジイ、タブノキ、エノキ等の苗木48万本を植樹すること で、海から都心に向かう風の道の起点になるとともに、CO 2 を吸 私は、2011年 12 月18 日から19 日の 2 日間、および 2012 年 3 月 25日 から26 日の2 日間の2 回、合計 4 日間を、ボランティア休暇制度を利用 して南三陸町を訪れました。1回目の参加では、私を含め当社グループ からの参加が 3 名、2 回目は 5 名が参加いたしました。当社グループ以 外からの参加者を見ると、一般の会社員もいますし、会計士や新聞記 者など、その職業は様々でした。 収 し て 、地 球 温 暖 化 を 防 ぐ こ と が 期 待 さ れ て い ま す( 2 0 1 6 年 完 成予定)。 苗木は、多くの市民や民間企業からの募金によって調達・植樹さ れています。当社グループの社員は、これまでに延べ13名が、家族 と共に植樹イベントに参加しています。 私が関わったボランティア作業は、南三陸町の中心である志津川地区 での瓦礫撤去作業と漁業補助作業です。瓦礫撤去作業では、重機で 「海の森」とは? は分別できないものを、手作業で分類しました。漁業補助作業は、志 津川漁港の特産である牡蠣や海藻類の養殖に関するもので、養殖の際 に用いるブイ製作や、収穫された海藻類の仕分け作業でした。 東京都は、10年後の東京の姿として、水と緑の回廊で包まれた、美 南三陸町では、コンテナを改造して店舗にした商店街があり、復興 しいまち東京を復活させることを目指しています。そのために、 「海の に向かって人々の暮らしが平穏を取り戻しつつあると感じましたが、 森」を起点として、お台場、晴海、築地、皇居、新宿御苑、明治神宮といっ ボランティアセンターの方の話では、子どもたちが裸足で走り回れる た都内の大規模緑地を街路樹でつなぎ、緑のネットワークを築く計画 まで瓦礫を撤去することが目標ということで、復興は、10 年単位の事 を進めています。 業です。 緑のネットワークが築かれると、海からの風を都市の内部に導く「風 今回のボランティア参加者の多くは、ボランティアに参加することが の道」として機能します。緑地によって冷やされた風によって、都心部 何となく気恥ずかしいと感じていたと述べていました。しかし、最近で のヒートアイランド現象が抑えられる効果が期待されています。 は、様々なボランティア・ツアーが企画されていて、参加しやすくなって います。また、参加した後も、現地の状況を多くの人に話し、社会の関 心と支援を持続させていくことが、個人レベルでできる復興への貢献と して、本当に大切だと思います。 「海の森」植栽樹種 タブノキを中心に、 「 海の森」で自然に生育する可能性があり、 防風・防潮効果が高いものが選定されています。また、関東地 方以南の平地に広がるヤブツバキ域のシイ・タブ林などが主体 に植栽されています。 ○ 高木 [針葉樹]クロマツ [常緑樹]タブノキ、スダジイ、ヤブツバキ [落葉樹]エノキ、ハゼノキ など など ○ 低木 「南三陸町さんさん 商店街」の入口 [常緑樹]トベラ、ナワシログミ [落葉樹]マルバツグミ など など ○ 草本 ツワブキ など *東京都HP「海の森とは?」 より飯野海運㈱作成 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 32 ガイドライン対 照 表 GRI ガイドライン対照表 項目 指標 記載ページ 3.12 組織にとっての持続可能性の適合性と、その戦略に関する 1.1 組織の最高意思決定者(CEO、会長またはそれに相当する 項目 5 主要な影響、リスクおよび機会の説明 3.13 2.1 組織の名称 47 2.2 主要なブランド、製品および/またはサービス 3,4 2.4 主要部署、事業会社、子会社および共同事業などの組織の 経営構造 組織の本社の所在地 44 2.5 行っている、あるいは報告書中に掲載されている 2.7 所有形態の性質および法的形式 参入市場 (地理的内訳、参入セクター、顧客/受益者の種類を含む) 戦略の設定または全組織的監督など、特別な業務を担当 4.1 4.2 (兼ねている場合は、組織の経営におけるその役割と、 11,12 47,49,50 における社外メンバーおよび/または非執行メンバーの 4.4 4.5 株主および従業員が最高統治機関に対して提案または 指示を提供するためのメカニズム 以下の項目を含む、規模、構造または所有形態に関して 4.6 0 • 株主資本構造およびその資本形成における維持 ついての報酬(退任の取り決めを含む)と組織の パフォーマンス(社会的および環境的パフォーマンス 最高統治機関が利害相反問題の回避を確保するために 実施されているプロセス 0 ための、最高統治機関のメンバーの適性および専門性を 経済的、環境的、社会的パフォーマンス、さらにその実践 4.8 状況に関して、組織内で開発したミッション(使命)および バリュー(価値)についての声明、行動規範および原則 報告書のプロフィール 3.1 提供する情報の報告期間(会計年度/暦年など) 1 組織が経済的、環境的、社会的パフォーマンスを特定し、 3.2 前回の報告書発行日(該当する場合) 裏 マネジメントしていることを最高統治機関が監督するため 3.3 報告サイクル(年次、半年ごとなど) 裏 3.4 報告書またはその内容に関する質問の窓口 54 4.9 4.10 比較可能性に大幅な影響を与える可能性がある 1 4.11 4.12 1 (合併/買収、基本となる年/期間、事業の性質、 測定方法における前回の報告期間からの大幅な変更 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 × • プロジェクトまたは委員会に参加している × • 通常の会員資格の義務を越える実質的な資金提供を 行っている × • 会員資格を戦略的なものとして捉えている ステークホルダー参画 0 4.14 4.15 測定方法の変更など) 3.11 外部で開発された、経済的、環境的、社会的憲章、原則 あるいは組織が同意または受諾するその他のイニシアティブ • 統治機関内に役職を持っている 4.13 以前の報告書で掲載済みである情報を再度記載することの 3.10 × 団体および/または国内外の提言機関における会員資格 データ測定技法および計算の基盤 効果の説明、およびそのような再記述を行う理由 どうか、およびその方法はどのようなものかについての 説明 報告書内の指標およびその他の情報を編集するために 適用された推計の基となる前提条件および技法を含む、 × 組織が以下の項目に該当するような、(企業団体などの) その他の事業体に関する報告の理由 3.9 社会的パフォーマンスという観点で評価するための 組織が予防的アプローチまたは原則に取り組んでいるか 1 共同事業、子会社、リース施設、アウトソーシングしている 3.8 45 3 外部のイニシアティヴへのコミットメント 特定 業務および時系列でのおよび/または報告組織間の 2 プロセス 0 • 組織が報告書の利用を期待するステークホルダーの 制限事項を明記する 1 遵守を含む • 重要性の判断 報告書のスコープまたはバウンダリーに関する具体的な × 最高統治機関のパフォーマンスを、特に経済的、環境的、 以下を含め、報告書の内容を確定するためのプロセス 3.7 のプロセス。関連のあるリスクと機会および国際的に 合意された基準、行動規範および原則への支持または 報告書のスコープおよびバウンダリー 共同事業、サプライヤー(供給者)など) 45 決定するためのプロセス 3. 報告要素 報告書のバウンダリー(国、部署、子会社、リース施設、 × 経済的、環境的、社会的テーマに関する組織の戦略を導く 4.7 および変更業務(民間組織の場合) 3.6 45 を含む)との関係 報告期間中に生じた大幅な変更 • 報告書内のおよびテーマの優先順位付け 43 最高統治機関メンバー、上級管理職および執行役に • 提供する製品またはサービスの量 3.5 43,45 人数を明記する • 純売上高(民間組織について)あるいは純収入 報告期間中の受賞歴 4 単一の理事会構造を有する組織の場合は、最高統治機関 4.3 (民間組織について) 2.10 45,46 このような人事になっている理由も示す) 13,14 (公的組織について) または運営の変更 × 最高統治機関の長が執行役員を兼ねているかどうかを示す 47 • 負債および株主資本に区分した総資本 2.9 する最高統治機関の下にある委員会を含む統治構造 (ガバナンスの構造) 47 以下の項目を含む報告組織の規模 • 施設のオープン、閉鎖および拡張などを含む所在地 記載がない場合は、外部保証の範囲および基盤を説明する。 4. ガバナンス、コミットメントおよび参画 • 従業員数 2.8 サステナビリティ報告書に添付された保証報告書内に ガバナンス サステナビリティの課題に特に関連のある国名 2.6 33,34 また、報告組織と保証の提供者との関係を説明する 47 組織が事業展開している国の数および大規模な事業展開を 報告書内の標準開示の所在場所を示す表 報告書の外部保証添付に関する方針および現在の実務慣行。 33,36,38, 3,4 2. 組織のプロフィール 2.3 記載ページ 保証 上級幹部)の声明 1.2 指標 GRI内容索引 1. 戦略および分析 1 4.16 組織に参画したステークホルダー・グループのリスト 参画してもらうステークホルダーの特定および選定の 基準 種類ごとのおよびステークホルダー・グループごとの 参画の頻度など、ステークホルダー参画へのアプローチ 0 2 21,23,25,27 33 ガイドライン対 照 表 GRI ガイドライン対照表 項目 指標 記載ページ 4.17 通じて浮かび上がった主要なテーマおよび懸案事項と、 52,53 それらに対して組織がどのように対応したか 5. マネジメント・アプローチおよびパフォーマンス指標 側面:経済的パフォーマンス EN18 収入、事業コスト、従業員の給与、寄付およびその他の コミュニティへの投資、内部留保および資本提供者や政府 11,12 に対する支払いなど、創出および分配した直接的な 49,50 経済的価値 EC2 気候変動による組織の活動に対する財務上の影響および その他のリスクと機会 × EC3 確定給付(福利厚生)制度の組織負担の範囲 × EC4 政府から受けた相当の財務的支援 × EC5 EC6 EC7 新入社員賃金の比率の幅 主要事業拠点での地元のサプライヤー(供給者)について の方針、業務慣行および支出の割合 現地採用の手順、主要事業拠点で現地のコミュニティから 上級管理職となった従業員の割合 29 × × 展開図と影響 EC9 影響の程度など、著しい間接的な経済的影響の把握と記述 指標 重量で表記する直接および間接的な温室効果ガスの 総排出量 重量で表記するその他の関連ある間接的な温室効果ガス 排出量 温室効果ガス排出量削減のための率先取り組みと達成 された削減量 重量で表記するオゾン層破壊物質の排出量 種類別および重量で表記するNOx、SOxおよびその他の 著しい影響を及ぼす排気物質 側面:原材料 使用原材料の重量または量 × EN2 リサイクル由来の使用原材料の割合 × 側面:エネルギー 39 EN23 著しい影響を及ぼす漏出の総件数および漏出量 × 廃棄物の輸送、輸入、輸出、あるいは処理の重量、および 報告組織の排水および流出液により著しい影響を受ける EN25 水界の場所、それに関連する生息地の規模、保護状況、 側面:製品およびサービス EN27 製品およびサービスの環境影響を緩和する率先取り組みと 35,36,37,38 影響削減の程度 22,24,26,28 カテゴリー別の再生利用される販売製品および その梱包材の割合 EN28 環境規制への違反に対する相当な罰金の金額および 罰金以外の制裁措置の件数 EN29 組織の業務に使用される製品、その他物品、原材料の輸送 および従業員の移動からもたらされる著しい環境影響 労働慣行とディーセント・ワーク(公正な労働条件) 37 エネルギー効率の高いあるいは再生可能エネルギーに 基づく製品およびサービスを提供するための率先取り組み、 29,37 およびこれらの率先取り組みの成果としてのエネルギー 14,26 必要量の削減量 × 側面:水 EN8 水源からの総取水量 39 EN9 取水によって著しい影響を受ける水源 ̶ 割合 39 LA2 LA3 EN12 地域での生物多様性に対する活動、製品およびサービス の著しい影響の説明 EN13 EN14 保護または復元されている生息地 ̶ 35, LA5 ̶ 35 現在の措置および今後の計画 16 および国の絶滅危惧種リストの数。絶滅危険性のレベル ごとに分類する 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 雇用の種類、雇用契約および地域別の総労働力 従業員の総離職数および離職率の年齢、性別および地域 による内訳 主要な業務ごとの派遣社員またはアルバイト従業員には 提供されないが、正社員には提供される福利 29 × × 団体交渉協定の対象となる従業員の割合 労働協約に定められているかどうかも含め、著しい業務 変更に関する最低通知期間 × × 側面:労働安全衛生 労働安全衛生プログラムについての監視および助言を行う、 LA6 LA7 LA8 公式の労使合同安全衛生委員会の対象となる総従業員 × 地域別の、傷害、業務上疾病、損失日数、欠勤の割合 および業務上の総死亡者数 30 × ティのメンバーを支援するために設けられている、教育、 3,4 研修、カウンセリング、予防および危機管理プログラム 16 生物多様性への影響をマネジメントするための戦略、 IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト種(絶滅危惧種) × 深刻な疾病に関して、労働者、その家族またはコミュニ 事業によって影響を受ける地区内の生息地域に生息する EN15 種類別の環境保護目的の総支出および投資 側面:労使関係 LA4 管理している土地の所在地および面積 保護地域および保護地域外で、生物多様性の価値が高い × の割合 保護地域内あるいはそれに隣接した場所および保護地域 外で、生物多様性の価値が高い地域に所有、賃借、または ̶ 側面:雇用 LA1 側面:生物多様性 EN11 ̶ 側面:総合 39 EN10 × および生物多様性の価値を特定する 一次エネルギー源ごとの間接的エネルギー消費量 水のリサイクルおよび再利用量が総使用水量に占める × 国際輸送された廃棄物の割合 EN4 達成された削減量 39 バーゼル条約付属文書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲおよびの下で有害とされる EN30 間接的エネルギー消費量削減のための率先取り組みと 35 水質および放出先ごとの総排水量 39 EN7 × 種類および廃棄方法ごとの廃棄物の総重量 一次エネルギー源ごとの直接的エネルギー消費量 EN6 37 EN22 EN3 省エネルギーおよび効率改善によって節約された × 側面:輸送 EN1 エネルギー量 35,39 18 側面:遵守 × 環境 EN5 記載ページ EN21 EN26 商業活動、現物支給、または無料奉仕を通じて、主に公共 の利益のために提供されるインフラ投資およびサービスの EN20 × 側面:間接的な経済的影響 EC8 EN19 EN24 側面:市場での存在感 主要事業拠点について、現地の最低賃金と比較した標準的 EN16 EN17 経済 EC1 項目 側面:排出物、廃水および廃棄物 その報告を通じた場合も含め、ステークホルダー参画を LA9 労働組合との正式合意に盛り込まれている安全衛生の テーマ × 側面:研修および教育 LA10 従業員のカテゴリー別の、従業員あたりの年間平均研修 時間 従業員の継続的な雇用適性を支え、キャリアの終了計画を LA11 支援する技能管理および生涯学習のための プログラム × 42 29,30 34 ガイドライン対 照 表 GRI ガイドライン対照表 項目 LA12 指標 定常的にパフォーマンスおよびキャリア開発のレビューを 受けている従業員の割合 記載ページ × SO5 側面:多様性と機会均等 性別、年齢、マイノリティーグループおよびその他の LA13 多様性の指標に従った、統治体(経営管理職)の構成および × カテゴリー別の従業員の内訳 LA14 従業員のカテゴリー別の、基本給与の男女比 HR2 受けた重大な投資協定の割合とその総数 人権に関する適正審査を受けた主なサプライヤー(供給者) および請負業者の割合と取られた措置 SO6 SO7 × × SO8 業務に関連する人権的側面に関わる方針および 0 PR1 PR2 × それらの権利を支援するための措置 児童労働の事例に関して著しいリスクがあると判断された 業務と、児童労働の防止に貢献するための対策 強制労働の事例に関して著しいリスクがあると判断された 業務と、強制労働の防止に貢献するための対策 × PR4 PR5 × HR8 手順の研修を受けた保安要員の割合 HR9 取られた措置 × 0 事業の影響を評価し、管理するためのプログラムと実務 × 慣行の性質、適用範囲および有効性 PR7 17 およびサービス情報の種類と、このような情報要件の × 製品およびサービスの情報、ならびにラベリングに関する 規制および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載 顧客満足度を測る調査結果を含む、 顧客満足に関する実務慣行 0 21,23,25,27 コミュニケーションに関する法律、基準 × コミュニケーションに関する規制 0 および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載 不正行為に関連するリスクの分析を行った事業単位の 割合と総数 組織の不正行為対策の方針および手順に関する 研修を受けた従業員の割合 不正行為事例に対応して取られた措置 顧客のプライバシー侵害および顧客データの紛失に 関する正当な根拠のあるクレームの総件数 × 側面:遵守 PR9 側面:不正行為 SO4 製品およびサービスの安全衛生の影響に関する規制 および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載 および自主規範の遵守のためのプログラム PR8 参入、事業展開および撤退を含む、コミュニティに対する SO3 × 側面:顧客のプライバシー 社会 SO2 ならびにそのような手順の対象となる主要な製品および 広告、宣伝および支援行為を含むマーケティング・ 側面:コミュニティ SO1 ために評価が行われているライフサイクルのステージ、 広告、宣伝および支援行為を含むマーケティング・ PR6 側面:先住民の権利 先住民の権利に関係する違反事例の総件数と × 側面:マーケティング・コミュニケーション 側面:保安慣行 業務に関連する人権の側面に関する組織の方針もしくは 法規制の違反に対する相当の罰金の金額 および罰金以外の制裁措置の件数 対象となる主要な製品およびサービスの割合 側面:強制労働 HR7 0 各種手順により必要とされている製品 PR3 側面:児童労働 HR6 法的措置の事例の総件数とその結果 側面:製品およびサービスのラベリング 結社の自由および団体交渉の権利行使が著しいリスクに 曝されるかもしれないと判断された業務と、 非競争的な行動、反トラストおよび独占的慣行に関する サービスのカテゴリーの割合 側面:結社の自由 HR5 × 側面:顧客の安全衛生 側面:無差別 差別事例の総件数と取られた措置 政党、政治家および関連機関への国別の献金 および現物での寄付の総額 × 製品およびサービスの安全衛生の影響について、改善の × 手順に関する従業員研修の総時間 HR4 公共政策の位置づけおよび公共政策開発への参加 およびロビー活動 製品責任 研修を受けた従業員の割合を含め、 HR3 記載ページ 側面:遵守 側面:投資および調達の慣行 HR1 指標 側面:非競争的な行動 × 人権 人権条項を含む、あるいは人権についての適正審査を 項目 側面:公共政策 製品およびサービスの提供、および使用に関する法規の 違反に対する相当の罰金の金額 0 × <凡例> × ̶ 数字 : 経営報告書2012の対応記述ページ 数字 :【詳細報告編】の対応記述ページ ̶ : 該当しない項目 0 : 件数0件の項目 × : 対応記述していない項目 ※ GRI「サステナビリティレポーティングガイドライン2006」の項目への対応状況を示します。 ※ ガイドラインのより詳細な内容は、以下のURLをご参照下さい。 https://www.globalreporting.org/resourcelibrary/Japanese-G3-Reporting-Guidelines.pdf 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 35 ガイドライン対 照 表 ISO26000 対照表 中核主題および課題 6.2 組織統治 記載ページ 備考 1,5,44,45,46 2,3,4,21,23,25,27 6.3 人権 課題1 デューディリジェンス × 課題2 人権に関する危機的状況 3,4 課題3 加担の回避 1 課題4 苦情解決 × 課題5 差別及び社会的弱者 1,41 35 課題6 市民的及び政治的権利 × 課題7 経済的・社会的及び文化的権利 × 課題8 労働における基本的原則及び権利 × 人権保護を推進するために、人権保護に関わる社内規定を策定し、 人権担当役員と人権専任担当者を配置しています。 社内において、人権侵害に関わる相談・通報制度を設け、対応を行っています。 職場アンケートにより、労働における基本的権利の実態調査を実施しています。 6.4 労働慣行 課題1 雇用及び雇用関係 41,42 2,29,30,34 課題2 労働条件及び社会的保護 41,42 29,30,34 課題3 社会対話 × 課題4 労働における安全衛生 41,42 2,29,30,34 課題5 職場における人材育成及び訓練 41,42 29,30,34 課題1 汚染の予防 33,34,35 2,13,15,20 課題2 持続可能な資源の利用 38,39 13,14,22,24,26,28 課題3 気候変動の緩和及び気候変動の適応 35,37,39 13,14,18 課題4 環境保護、生物多様性、及び自然生息地の回復 35 13,15,16 従業員の権利を尊重し、労使協議の対話を実施しています。 6.5 環境 6.6 公正な事業慣行 課題1 汚職防止 × 課題2 責任ある政治的関与 × 課題3 公正な競争 35 課題4 バリューチェーンにおける社会的責任の推進 19 課題5 財産権の尊重 × 汚職・贈収賄防止のための行動基準を策定し、 汚職・贈収賄防止のための従業員の教育を実施しています。 政治への関与に関する行動基準を策定し、政治プロセスを阻害する可能性のある 不正操作、脅迫、強制などの行動を禁止しています。 行動基準を策定し、反競争的行為への関与、加担の防止に努めています。 6.7 消費者課題 課題1 公正なマーケティング、事実に即した偏りのない情報、 及び公正な契約慣行 2,35 課題2 消費者の安全衛生の保護 課題3 持続可能な消費 課題4 消費者に対するサービス、支援、並びに苦情及び紛争の解決 2,3,8,17,23,25,27 課題5 消費者データ保護及びプライバシー × 課題6 必要不可欠なサービスへのアクセス 46 課題7 教育及び意識向上 23 外部へ情報発信する際に内容を確認するための情報提供ガイドラインを 策定しています。 2,17,21,23,25,27 35,36,37,38 21,22,23,24,25,26,27,28 情報セキュリティ体制を整備し、個人情報が漏洩した際の対応マニュアルを策定しています。 6.8 コミュニティへの参画及びコミュニティの発展 課題1 コミュニティへの参画 31 32 課題2 教育及び文化 31 32,34 課題3 雇用創出及び技能開発 41,42 29,30 課題4 技術の開発及び技術へのアクセス × 課題5 富及び所得の創出 41,42 29,30 課題6 健康 29,30 課題7 社会的投資 31,32 <凡例> 数字 : 経営報告書2012の対応記述ページ 数字 :【詳細報告編】の対応記述ページ × : 対応記述していない項目 ※「ISO26000」の中核主題および課題への対応状況を示します。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 36 用語集 ● BCP:Business Continuity Plan 事業継続計画 自然災害や事故・事件等の要因により緊急事態が発生した場合に、企業の重要 な業務が中断しないこと、または中断しても目標復旧期間内に業務活動が再開 でき、顧客に対するサービスレベルが許容される程度で維持できるよう、組織体 制、事前対策・初動対策・復旧対策を定めた実行計画。 ● BEMS:Building Energy Management Systemビルエネルギー マネジメントシステム 業務用ビルや工場などの建物において、建物全体のエネルギー設備を統合的に 監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理シ ステム。 ● BRM:Bridge Resource Management 船橋資源管理 船舶のブリッジにおいて、利用可能なすべての資源を最適な方法で最も有効に 活用することにより、より安全で効率的な運航を実現するための手法。人(乗組 員・水先人等)、ハード(航海計器・機器)、ソフト (規則・マニュアル等)、情報等の 資源が対象となり、特にチームワークによる人的資源の最適活用が最重要と言 われている。航空パイロット向けのCRM(Cockpit Resource Management)を 船舶に応用したもの。 ● CSR:Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任 すべてのステークホルダーを視野に入れ、経済・環境・社会など幅広い分野での 社会ニーズの変化を捉え、それをいち早く 「価値創造」や「市場創造」に結び付け ることによって、企業の「競争力強化」や「持続的発展」 とともに、 「経済の活性化」 や「より良い社会づくり」をめざす取り組み。 ● DWT(D/W) :Deadweight Tonnage 載貨重量トン数 満載喫水線の限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し 引いたトン数。運航に必要な燃料・水などの重量も含まれるが、積める貨物量を 示す目安となる。一般に用いられるトン(メトリック・トン=1,000kg)の他にロン グトン(約1,016kg)、ショートトン(約907kg)がある。 ● ERM:Enterprise Risk Management 全社的なアプローチをとるリスクマネジメント。 リスクを全社的視点で管理する ことで、 リターンを最大化し、企業価値を高める活動。 ● GRI:Grobal Reporting Initiative 全世界に適用可能な持続可能性報告書のガイドラインの策定・普及を使命とし て米国NPOのセリーズ(CERES:Coalition for Environmentally Responsible Economies) と国連環境計画(UNEP)が中心になって1997年に設立した国際組 織。2002年に本部をオランダのアムステルダムに設置した。 ● GRIサステナビリティリポーティングガイドライン GRIが2000年に発表したサステナビリティ (持続可能性)報告書ガイドライン。 ト リプル・ボトムライン(経済性・環境性・社会性)から、企業が透明性を確保し、情 報開示する指針として普及している。2006年に第3版が発行された。 ● IMO:International Maritime Organization 国際海事機関 海上の安全、船舶による環境汚染防止など、海運に関する技術的・法律的問題に ついて政府間の協力を促進し、各種規則や条約等の作成を行う国連の専門機関。 1958年IMCO(Inter-Governmental Maritime Consultative Organization:政 府間海事協議機関) としてロンドンに設置され、1982年にIMOに改称。 ● ISMコード:International Safety Management Code 国際安全管理規則 1993年11月にIMOにおいて採択された国際的な船舶管理のための規則で、 SOLAS附属書第IX章「船舶の安全運航の管理」 として位置づけられている。船主 や会社(船舶管理会社等)に安全マネジメントシステム(SMS)の確立、陸上安全 管理者の選定、安全運航マニュアルの作成、船舶および設備の維持・管理、緊急 時の対応措置などを義務付けるもの。 これを船舶の旗国政府または認証機関が 審査し、会社には適合証書(DOC:Document of Compliance)、船舶には安全 管理証書(SMC:Safty Management Certificate) が発行される。2002年7月1日 以降、国際航海に従事する全ての船舶に適用された。わが国では、2000年6月か ら、内航船舶についても任意でISM コードを認証取得できる制度が実施されて いる。 ● ISO26000 各 国 の 代 表 的 な 標 準 化 機 関により構成される国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)が2010年11月に発行した、社会的責 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 任に関する世界標準の手引書(「社会的責任に関する手引」)。気候変動、生物多 様性、貧困、人権といった、1つの国や1つのセクターだけでは解決できない課題 の解決のため、組織はどのような社会的責任を果たす必要があるのかを「7つの 原則」、 「 7つの中核主題」 と 「期待される行動」、 「 組織が社会的責任に取り組む ための方法」を具体的に解説している。 ● ISPSコード:International Ship and Port facility Security Code 国際船舶港湾保安規則 2002年12月にIMOにより採択された、テロ対策強化を主眼に定められた国際 輸送に関わる船舶・港湾の保安管理規則。2004年7月1日に発効した。国際輸 送 に 従 事 する船 舶 は 、セ キュリティ管 理 体 制 を 整えてI S S C( I n t e r n a t i o n a l Ship Security Certificate)証書を取得すること、港湾も同様にセキュリティ管 理体制を整えて承認を得ることが義務付けられている。 ● MARPOL:Internatinal Convention for the Prevention of Pollution from Ships 海洋汚染防止条約 Marine Pollution(海洋汚染)を略してMARPOL条約と称する。海洋汚染防止を 目的として、油の排出規制等のために船舶の構造、設備などの技術基準を定め ている。1973年条約の1978年議定書(MARPOL73/78条約)は次の6つの附属 書から構成されている。 附属書 規制内容 発効日 Ⅰ 油による汚染防止 1983.10.2 Ⅱ ばら積みの有害液体物質による汚染防止 容器・コンテナ・タンク等に収納されて 輸送される有害物質による汚染防止 1987.4.6 Ⅳ 汚水による汚染防止 2003.9.27 Ⅴ 廃棄物による汚染防止 1988.12.31 Ⅵ 排ガスによる汚染防止 2005.5.19 Ⅲ 1992.7.1 ● SOLAS:The International Convention for the Safety of Life at Sea 海上人命安全条約 航海の安全を図るため船舶の検査、証書の発給などの規定を設け、船舶の構造 ・設備・救命設備・貨物の積付けに関する安全措置等の技術基準を定めた条約。 1912年4月14日に発生したタイタニック号事故を受けて、最初のSOLAS条約が 1914年に採択された。その後、新条約が採択され、現在の条約は1974年11月に 採択された1974年SOLAS 条約である。1980年5月に発効した。 ● VLCC: Very Large Crude Carrier 最近では28∼30万DWTクラスの大型原油タンカーのことを言う。その他の商船 の船型には以下のようなものがある。 名 称 対象船種 内 容 パナマックス タンカー/バルクキャリア パナマ運河を満載状態で通航しうる最大船型。通航可 能な船舶の最大幅は32.31mであるため、通常は船幅 を32.2mとしている。一般的には6∼7万DWT程度。 スエズマックス タンカー アフラマックス タンカー/バルクキャリア スエズ運河を満載状態で通航できる最大船型で14∼ 15万DWT程度。 Average Freight Rate Assessmentの略。元々は 79,999DWTのタンカーの呼称だったが、現在では、8∼ 10万DWTクラスのことを言う。 ケープサイズ バルクキャリア 南アフリカ共和国のリチャードベイ港に入港可能な15 ∼20万DWTクラスの鉱石・石炭船の総称。満載喫水が 18.1mに制限される。 ハンディ・バルカー バルクキャリア 世界の殆どの港に入港できる2∼5万DWTクラスの貨 物船の総称。 ● 運航:Ship Operation 自社グループ保有または船主から用船した船舶について、荷主から依頼された 海上運送を行うために、積荷の内容、積・揚地港、積・揚荷役の期日等を定めスケ ジュールを船舶に指示するとともに、必要な諸手配を行うこと。 ( 積・揚荷役の手 配、燃料油の補給など。船舶管理者に指示して実施することを含む) ● 温室効果ガス:Greenhouse Gas 地球温暖化の原因となる気体の総称。太陽により暖められた地表より放射され る赤外線を吸収し熱エネルギーとして蓄積して地表付近の大気を暖める「温室 効果」作用を有することから、 こう呼ばれる。二酸化炭素CO2、メタンCH4、亜酸化 窒素N2O、代替フロンであるハイドロフルオロカーボンHFC、パーフルオロカー ボンPFC、六フッ化硫黄SF6 の6 種類がある。 ● 稼動延べトン 貨物輸送の運航量を示す単位。積貨重量トン×月間航海日数/30日で算出。 37 用語集 ● 危険予知トレーニング(KYT) :Kiken Yochi Training ゼロ災害を目標として職場で行われる訓練で、全員参加でチームワークや危険に 対する感受性を高めること、全員で危険を発見し対策を考え、分かり合って実行 することなどを狙いに実践されている。(1)現状把握、(2)本質追求、(3)対策樹立、 (4)目標設定という4R(ラウンド)法が基本手法。 ● サステナビリティ:Sustainability 持続可能性 現在の経済・環境・社会のニーズのバランスを取り、将来世代のニーズを犠牲に しないことで実現する。1987年、環境と開発に関する世界委員会により 「持続可能 な開発」 (Sustainable Development)の概念が提唱され、1992年の地球サミット によるリオ宣言で世界的な方針として採用された。 ● 仕組船 外航海運会社が、パナマ、リベリア等の便宜置籍国に設立した子会社を通じて 建造し、登録、保有させ、外国人船員を配乗させて用船(チャーター)する船舶の こと。 ● スラッジ:sludge 船舶の貨物油や燃料油、潤滑油中の不純物のこと。タンクの底部に堆積するこ とが多い。 ● 船舶管理:Ship Management 自社グループ保有または船主から受託した船舶について、運航に必要な人・物・ 金など全ての条件を整え、運航中を含め船舶を運航者の指示通りの海上運送を 行える状態に保ち続けること。 (船舶整備、船用品の手配、船員の配乗手配等を 含む) ● ダブルハル:二重船殻(船体)構造 衝突や座礁などで船体に多少の損傷を受けても貨物油が流出し海洋汚染につ ながらないように、タンカーの船体を二重構造にすること。1992年3月にIMOに おいて、MARPOL73/78条約附属書I の一部改正が採択され、1993年7月に発効 した。1993年7月以降に建造契約が締結される/1994年1月以降に起工・改造 に着手される/1996年7月以降に竣工・引渡される、600DWT以上の石油タン カーのダブルハル化が義務付けられた。 ● フロン メタンやエタンなどの低級炭化水素の水素を塩素やフッ素で置換した化合物 (CFC、HCFC、HFC)の総称(日本独特の慣用的な名称)。不燃性で熱的・化学的に 安定で、強い毒性も認められないことから、かつては冷媒や半導体等の製造過程 での洗浄剤、スプレーの噴霧剤、プラスチックの発泡剤などに多用された。 しかし 大気中に放出されたフロンによるオゾン層破壊作用が指摘されたため国際的に 規制されることとなった。フロンのうち水素を含まないものをクロロフルオロカ ーボン(Chlorofluorocarbons:CFCs) と呼ぶ。 このうちオゾン層保護のため国際 条約により規制の対象となっているフロンのことを特定フロンと呼び、日本でも オゾン層保護法が制定され15種類のCFCs が1996年までに全廃された。 この特 定フロンの代替品として開発されたのが代替フロンであり、ハイドロクロロフル オロカーボン(HCFC)やハイドロフルオロカーボン(HFC)はその代表である。 し かしHCFCはオゾン破壊係数がゼロではなく、またHFCは、オゾン破壊係数はゼロ だが高い温室効果を持っている。 ● ホルムアルデヒド:formaldehyde 化学式HCHO。各種合成材料の原料として使用される。身近では壁紙、家具、合 板などの接着剤の原料として使われ、ここからホルムアルデヒドが長期にわた り放散されてシックハウス症候群の原因物質になる。発癌性も指摘されており、 厚生労働省による室内濃度指針は0.08ppm以下とされている。ビル管法、大気 汚染防止法、PRTR 法などの法令の規制対象。 ● メジャー オイル インスペクション:Major Oil Inspection メジャー(石油の探鉱・精製から販売までを行う国際石油資本)が、原油や石油 製品の輸送を委託する際に、独自に定めた安全運航に関する基準に基づきタ ンカーを検船する仕組み。 これに合格することが契約の条件となる。 ● リスクマネジメント:Risk Management 事業体を取り巻くあらゆるリスクを対象とし、リスクの回避・予防策と発生時の 損失軽減策を検討・実施する事業継続と持続的成長の確保のための経営活動。 ※海運業関連の用語の一部については、 (社)日本船主協会のホームページを参考にさせて いただきました。 ● デシカント空調 一般の空調機では、湿度の処理を、コイルを冷却して空気中の水分を結露させ ることで行っているが、デシカント空調機ではデシカント濾材にて直接除湿し、 温度と湿度を個別に制御することで、高い温度設定で低湿の空調が可能となり、 快適性を損なわずに省エネルギー化を図ることができる。 ● ハザードリスク:hazard risk *50音順に掲載しています。 青字は海運業関連、茶字は不動産関連、黒字は共通の用語を示します。 ハザードとは偶然性の強い外的なリスク要因を意味し、ハザードリスクとは、地 震、台風、水害等の自然災害や、火災や戦争・テロ等の事故・事件など主に外的 要因で突発的に発生するリスクを指す。 ● バラスト水:ballast water 船体の姿勢制御や復元性確保のためにバラストタンクに積載される海水のこと。 船舶の安全運航には不可欠のもの。バラスト水は、通常、揚荷港で注入され積荷 港で排出されるため、バラスト水の移動に伴って、 これに含まれる微小生物(バク テリアやプランクトン)や魚類の卵・幼生などが地球規模で移動していると言われ ている。 これらが、新たな環境で定着すれば、その海域の生態系や水産業等への 影響が問題となり、また一部の病原菌による人体の健康への直接影響も指摘さ れている。 このため、IMOにおいて、2004年2月「船舶のバラスト水及び沈殿物の 規制及び管理のための国際条約」が採択された。30ヶ国以上の批准、かつ合計船 腹量が世界の35%を超えてから1年後に発効する。 ● ハロン 臭素を含むハロゲン化炭素の一種。オゾン層破壊物質の一つで、フロンよりも 破壊力は強い。不燃性で安定しており毒性も少ないことから、消火剤として広く 使用されてきた。先進国においては1994年以降の製造は禁止され、CO2消火設 備等への転換が進められている。 ● ビルジ:bilge 船底に溜まった油水混合物のこと。 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 012 【詳細報告編】 38 www.iino.co.jp 経営報告書2012【詳 細報告編】 発 発 行 日 : 2012年6月 行 : 飯野海運株式会社 制 作 協 力 : NK S Jリスクマネジメント株式会社 デ ザ イ ン : 株式会社イイノ・メディアプロ 次 回 発 行 予 定 : 2013年夏頃(発行頻度:年1回) 前 回 の 発 行 日 : 2011年6月
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