速報 盛岡大会 (社) 日本PTA全国協議会 第40回 東北ブロック研究大会盛岡大会 語り合おう イーハトーブの地で 「夢」 と 「誇り」 と「志」 を 盛岡大会実行委員会 第1分科会 組織・運営 [魅力あるPTA活動を生み出す組織・運営] 基調講演者 コーディネーター 劇団「ゆう」理事長 菊田 弟 一 盛岡市 PTA 連合会 元会長 宮澤 祐一 パ ネリスト 宮城県 PTA 連合会常任理事 渥美 裕之 ●基 調 講 演 青森県三沢市連合 PTA 副会長 米内山 美奈子 劇団「ゆう」のある滝沢村は盛岡市と岩手山の中 間に位置しています。ここでお話する劇団「ゆう」 と PTA の活動は組織や運営で似ている所がありま す。今の子どもたちは変わってきたといわれますが、 1954 年の「子どもが育つ魔法の言葉」という本に ある詩は、 「子どもの心」の原点は変わらないことや、 多くの出会いや環境が子どもたちの心を変えるこ と、子どもは親の鏡であることを教えてくれます。 私もPTA会長として様々な家庭環境の子どもたち と出会い、多くのことを学び子どもたちの将来のた めに尽力しようと決心しました。また地域の活動を 通しての子どもたちとの感動的な出会いもありまし た。劇団「ゆう」は 17 年前に立ち上げました。劇 団を運営して感じたことは、多様な文化との出会い の場、体験の場、選択の機会の多さが子どもたちの 人生とそして社会を豊かにするということでした。 劇団には多様な子がいます。実際に体験することに よりもっと学びたいという意欲が増し自信を持つ機 会として、また、沸き起こる感動を体験でき出来る 事業として行政協働の必要性を感じます。子どもた ちの可能性は未知数ですが、目標や夢の無いところ に人は集まりません。PTA の活動も同様ではないで しょうか。劇団ではチャリティー活動を通して、社 会貢献やグローバルな考え方で地球の中心にあるこ とを信じています。文化や情報は必ずしも中央から のみ発信されるものばかりではなく、滝沢村から岩 手から全国へそして世界へ発信できることを知りま した。過去を知り、現在を見極め、未来を展望しな がら子どもたちのエネルギーが社会を明るくし、次 代をつくることを信じて育てていきたいと思いま す。 ● パネルディスカッション ○組織活動を行う上での課題について ■役員の引き受け手がありません。中には PTA 会 長不在の単 P もありました。学年委員長を決める 会議に 2 人しか参加しなかったことも…(即、委 員長と副委員長というわけにもいかず)。 岩手県 PTA 連合会副会長 神﨑 浩之 ■単 P でやりたいことがあっても、人が、お金があ りません。例えば「子どもの登下校の安全を見守 りたい」という想いがあっても、どうすればいい のか…。 ■子どもの教育機関はあります。先生の教育機関も あります。親の教育機関はどこ?親の親には期待 できないし近所にこわい親父もいなくなってしま いました。ガムを噛みながら PTA 総会に出る親、 草取り奉仕作業にミニスカートで来る親、誰がど こで教えてあげればいいのでしょう。 ○魅力ある活動を行うために ■例え会長や副会長が連合 P に出かけても、単 P に は専門委員長がいます。お互いが助け合っていく ところに PTA 組織の良さがあります。想いがあ れば必ず活動はできます。ある単 P では「いじめ をなくしたい」との親の想いから「子どもが制作 するいじめ根絶 CM」という活動が生まれました。 想いを持ち続けることが大切です。 ■ PTA を解体した学校があるそうです。活動がマ ンネリ化し行事消化型の組織になっていることが 理由だそうです。でも、マンネリ化は悪いことで はなく、目標さえしっかりしていればどのような 活動でもいいのです。 ■「親の通信簿」、「学校を素敵にしよう作戦」、「7 年 A 組」…。さまざまな工夫で楽しい活動をつく りあげてみませんか? ○参加者のみなさんがうらやましい!(基調講演者から) 今日は、美しいお母さん、たくましいお父さんと 会えてとてもうれしいです。卒業してしまうと参加 したくても参加できません。卒業した者から見れば うらやましくてしかたがありません。後で振り返っ たとき、 「よかったな」と思える活動をしてください。 第2分科会 研修活動 [会員の資質及び活動の質的向上を図る研修] 基調講演者 コーディネーター 元岩手県 PTA 連合会会長 久慈 竜 也 盛岡市立大新小学校 校長 平澤 勝郎 パ ネリスト 福島県郡山市立芳山小学校 PTA 会長 新田 勝雄 ●基 調 講 演 秋田県東成瀬村立東成瀬中学校PTA 会長 高橋 かおる ○「子どもからの心の声」 ピアスや髪を染めたら不良でしょうか?なぜ、そ うなったのかに関心を持つことが必要です。私は、 県PTA連合会の会長に突然なりましたが、会長と して沢内村の教育を語る会にお邪魔した時のことで す。高橋教育長さんの話ですが、教育長さんが子ど もの頃、悪いことをした時、親に連れられて相手の 家に謝りにいったことがあります。その時ちゃんと 謝ったので、教育長になりました。そしてその後町 長になりました。小さいときちゃんと手を差し伸べ られていることが大切ですね。 小3の遠足にコンビニの幕の内弁当を持ってきた 子供がいます。お母さんが弁当を作ったことがない 家庭があります。食事をつくることで親の愛情が伝 わります。 ある万引き事件での父親の態度ですが、二人の少 年の親の態度が全く違っていました。一人はその場 で子どもを怒り、殴りました。もう一人の父親は、 子どもに対しては怒ることも殴ることもしませんで した。しかし、店長に土下座して謝りました。子ど もに行動をもって責任の取り方を教えたんです。 皆さん、夢があるでしょう。夢は絶対叶うんだと 思うんですよ。夢を子どもと話したことがあります か。皆さん、夢を持ってPTA活動を行ってくださ い。 ● パネルディスカッション 視点1 子どもを取り巻く状況 〈パネリストから〉 ・ 出稼ぎ、不況、片親の家庭が多い等、PTA 活動に参加できない家庭が増えています。不定 愁訴が増えています。食事がもらえない子もい ます。そういう子は、自信喪失の傾向がありま す。(岩手県) ・ 平成 12 年4小学校が1つに統合しました。 地域から学校がなくなっても、地域の子供とし て育てています。子どもをたくましく育てるい 岩手県久慈市立久慈小学校 PTA 会長 野場 秀輝 いチャンスととらえています。(秋田県) 〈フロアから〉 ・ 私の所属している学校はPTA活動への参加 率が悪いです。しかし、校舎新築に関わる引っ 越しにPTAの協力を呼びかけたら、たくさん 出てきました。トイレ掃除に募集をかけたら出 てきました。学校のためにやりたいという人は たくさんいることに感動しました。まだまだ捨 てたもんじゃないと感じました。(秋田県) 視点2 PTA活動活性化の工夫 ・ 元気カードで基本的な生活習慣の内容を子ど もが自分で決めて1週間取り組むことを行って います。親が子に関心をもつことがよい結果に つながります。(岩手県) ・ 地域を巻き込んだ行事を行っています。運動 会に、地域種目を作って開催しています。郷土 のことを教えられる方がいるので、紙すき、民 芸品をやっている方が学校に教えにいくように 計画しています。(秋田県) ・ 顔が見える関係が大切と考え、綱引き大会を 行いました。名前を入れた大きなゼッケンをつ くってつけたのもよかったです。(福島県) 〈助言者から〉 ・ おやじの会を作ろうとしたが、片親家庭が多 い中でできなかったので「出番ですよ委員会」 をつくりました。岩泉の分校で、閉校、廃校の 流れの中で、子どもたちが中心にアンケートを とって、盛大な運動会ができました。子どもの 力もすごいですよ。子どもの視点で見ていきま せんか。今日はたくさんの方に協力してもらい ました。ありがとうございました。 健全育成 第3分科会 [子供の安全・安心を見守る学校や地域との連携活動] 基調講演者 家庭教育カウンセラー 内田 玲 子 コーディネーター 盛岡教育事務所主任社会教育主事 今野 洋明 パ ネリスト 山形市立第十小学校 PTA 前会長 小関 和彦 ●基 調 講 演 宮城県 PTA連合会常任理事 佐々木 賢司 生活の中体の中に答えが在る。子ども達の幸せを 願うなら「子どもの言葉をありのままに受け入れる こと」が基本だ。 先日、私の近くでも事件が起きた。35 歳の人が 母と弟をさし殺した。この母親は長男が小学校5年 の時、弟を生んだ。母はかわいくてかわいくて仕方 がない。長男そっちのけで弟をかわいがった。「た だいま。」といっても「うるさい。」 「あのね。」といっ ても、 「今忙しいから後にして。」とさんざん長男を はじきとばしてきた。そして長男は小・中と不登校。 大人になってからは引きこもり。35 歳まで。母は 次男から離れられない。長男は、「俺はあの弟が生 まれたためにいらなくなった」と思っている。父は 無関心。そして、寂しさが頂点に達したとき、弟と 母を一気に刺し殺してしまった。全ては家庭の中に 根っこがある。人のせい。物のせいにしていては答 えがでない。人はありのままに受け入れたときに変 わるんです。認められたときに人は変わるんです。 親が変われば子も変わるんです。赤ちゃん検診に持 ち物に「赤ちゃん」と書いていなかったから赤ちゃ んを連れてこない母親や、「遠足に水筒持たせて下 さい」と書いてあったので、空の水筒を持たせる母 親ではいけない。 聞かれたらそのことにしっかり答えることでいい のです。しっかり受け入れる、聞いてあげる。「今 日はお父さん遅いね。」と言ってきたら「遅いね。」 と返してあげればいい。それを「また酒飲んでるか らでしょ。」などといらないことは言わない。先回 り先回りして話を遮る親もいる。自分をかばうよう な発言は相手は受け入れない。結局、親がどのよう に接していくかである。子が失敗したときこそ、ど 岩手県花巻市PTA 連合会元会長 鎌田 修 う学ばせるかが 生きる力を与え る。あ!おかし いなと思ったと き、気づいたと きスイッチを入 れればいいんで す。変えていけ ばいいんです。サインを送るのは「寂しいよ、今な ら間に合うよ」という印です。 良いこと、悪いことをしっかり教え、一つのこと を長く取り組んでいきましょう。答えは家の中、体 の中にあります。 ● パネルディスカッション 子どもを取り巻く環境は大きく変わっている。携 帯電話は主に高校生から多く持っている。全国的に は小学生 20%、中学生 40 ~ 50%だが東北は持っ ていない方が多い。携帯は誰が、どこで、何をして いるかわからない。携帯の会社や警察の安全課など 活用して携帯電話の有害について学習できる。 アンケートをとって驚いたことがある。朝食を食 べない理由の中に「食事が準備されて無い」という のがあった。食事は親が準備するべきものだと思 う。親の責任放棄としかいえない。食については生 産者を紹介することによって地域との結びつきが 大きくなる。 今の時代は一貫性がない。親の行動も一貫性がな い。地域そろって「おはようございます。」などい えるように一貫性があった方がいい。 子どもが安心して暮らせるように保護者が真剣に 取り組みその姿勢を持って地域に働きかけていくべ きだ。そうでないと地域から「親は何やってるや。」 といわれる。それが、連携である。地域の思いは同 じである。それをまとめていくのは親である。 最後に親は子どもにいつでも、死ぬくれだったら 一言父ちゃんや母ちゃんに一言でも言えよと言って あげてください。一人でも二人でも自分から命を捨 てる子がいなくなれば今日来たかいがあります。 家庭と小学校教育 第4分科会 [家庭の教育力向上と小学校教育] 基調講演者 コーディネーター 元盛岡市教育長 佐々木 初 朗 岩手県 PTA 連合会 元副会長 生内 雄二 パ ネリスト 五所川原市立中央小学校 PTA 元教養部会副部長 佐藤 真理 ●基 調 講 演 仙台市 PTA協議会副会長 草刈 美香子 「心の引き締まった人間に」 < 家庭教育の役割 > 人間一人一人の質を高めるという原点に立っ て、家庭で教育・子育ての3つの定石(健康・し つけ・勉強)を持って取り組むことが必要である。 1.健康 ①腰の骨を立てる。姿勢を良くする。 ②甘い物を控える。甘い物は子供の体をしまらな くする。 ③早寝・早起き・朝ごはん。夜更かしは子供の成 長が遅くなる。 2.しつけ ①親に朝あいさつをする。 ②親に呼ばれたら「はい。」と返事をする。 あいさつと返事ができると、親の言うことを 聞き入れる態勢ができたということになる ③座ったいすを入れ、履き物を揃える。 しまりのある心を育てることにつながる。し つけの3点はいずれも親が見本を示すことによ りできてくる。 3.勉強 家庭学習 ・小学校3年生までは国語の教科書を朗読させ る。声に出して読むことで自分に自信をつける ことができる。計算も同じ。速く正しくできる ように見てあげること。 ・小学3・4年生までは親が子供の勉強を見てあ げることにより子供の力がついていく。 ・中学・高校では手遅れ。しつけの定石、勉強の 定石がしっかり身についていれば伸びてくる。 PTAについて P(家庭)、T(学校)ともに定石について話 し合い、連携していきたい。 ● パネルディスカッション 前半、家庭教育について、パネラーから、読み聞 かせを通して親子の関係作りがなされ、本に親しむ 子、本好きになる子が増えてきという事例、子ども に何か伝えたいなら、自分はどうしているのか振り 岩手県 PTA 連合会前副会長 武田 哲 返り、親の態度として(言葉ではなく)伝えたいと いうこと、家庭でできること・すべき事をしていく とともに、「いただきます」の意味、そこから命の 大切さを伝えたいという話がなされた。 家族の中で役割分担し、働きながら働かせながら 役割を担っていける。両親の役割は平等という事は ない。それぞれの役を分担し、尊重することが大切 であるということが出された。 後半は、地域との連携について話題となり、地域 のスクールガードとのふれあいの中で、地域の優し さや智恵にふれ、学校では学べないこと・学ばない ことを学んでいること、PTA全世帯で地域の巡視 を行うことにより、共通の意識で子ども達の安全を 守る活動を行ったり、地域の運動会で同じ場所・同 じ時間を共有したりすることにより、地域の人々同 士の関係作りをしている事、紙芝居の色塗りの手伝 い、PTAを卒業したOG参加等により読み聞かせ のグループの輪を広げることができた。無理なく楽 しんで活動することが大事である事などが話された。 最後に、講師の佐々木先生から、PTAと地域が 連携をしていくことは大切であり、なかなか難しい 事であるが、面倒だとは思わずお祭りや地域の行事 などに参加することなどから始めるのが良いのでは ないか。地域で顔を合わせふれあう機会が多いほど 仲良くなり交流が深まり、明るい気持ちで対応して いくことが、子ども達の意識にも伝わり、心豊かな 子どもの育成につながるというまとめをいただいた。 第5分科会 家庭と中学校教育 [家庭の教育力向上と中学校教育] 基調講演者 岩手県教育委員 八重樫 勝 コーディネーター 岩手県PTA 連合会 前会長 藤原 由美子 パ ネリスト 秋田県PTA 連合会前副会長 後藤 展史 ●基 調 講 演 山形県 PTA連合会母親委員長 無着 道子 『育てたように子は育つ』 1、中学生を取り巻く状況で気になること ⑴子供にとってよくない情報が氾濫している。食べられな い人もいるのに大食いの番組があったり。子供にテレビ を見るなとは言わないが、親が呟きながら見ると言うの はどうだろうか。 ⑵物が豊富になっている反面、心が貧しくなっている。親 の姿勢を見せることも大切だ。子供には我慢する心を持 たせたい。 ⑶大人社会の醜さ、品格、品性のない大人が多すぎる。館 内で飲食を遠慮するよう放送があったにも拘わらず小学 生の親が堂々と食べ始めた。大人がやっているなら子供 もそうやるだろう。親、大人、先生が堂々と胸を張って 生きていけるようにしたい。 ⑷みんな我慢することができない 2、感性豊かな中学生 ⑴大方の子供たちは元気で明るく逞しく溌剌と生きてい る。それは地域の大人、学校の先生が頑張っているから。 ボランティア活動、福祉活動で役に立っている学校もあ る。一人暮らし老人のところに夕食弁当を届けている学 校もある。誕生月にはハッピーバースデーの歌を。中学 生は感謝される、役立っている感を味わって、また頑張 ろうと思うし、おじいちゃんに迷惑をかけるから横道に それないと思いとどまる。 ⑵子供たちの作品を紹介する。 「母さんの叱る言葉に進歩なし幼稚園から十年同じ」 「言い合いに負けた父さん縁側で猫を相手に母の悪口」 「父よ威厳をとりもどせ 母よ威厳を分けてやれ」子供 たちは家族のことをよく見ているが、こんな風に思って いる中学生もいる。「オレの部屋作ってもらったけど、 やっぱりこたつ囲む居間がいい」 3、親、教師に望むこと ⑴いのちを大事にする。これを日常生活、教育の中核に据 えたい。事件のあと母親が「私に骨を拾わせるような息 子はだめだ。親より先に死んではいかん」の言葉が心に 残る。 ⑵みんなちがってみんないい。テストの点数だけで評価し ないでほしい。子供の価値は点数だけでは決まらない。 勉強は好きでなくても遅刻しない掃除がちゃんとでき る。友達を大事にするお年寄りに優しい。学歴だけでな い。どこの高校・大学を終わったよりそこで何を学んだ かが大事。 ⑶ 待つ、ほめる、まかせる。中学時代に花開かない子供も いるが待ってほしい。何を叱り何をほめるか、大人の価 岩手県金ヶ崎町PTA 連絡協議会会長 梅田 敏雄 値観。子供をどう励ますか。 ⑷かわいい子には旅を。是非いろんな体験や試練を。そし て小さな挫折体験を。逞しさを育てるために南風だけで なく北風もあてる。 ⑸読書の勧め。勉強だけなくバランスよく。読書している 子は解答率も高い。テレビ等の時間が多すぎる。テレビ を消す、新聞を読む。 ⑹誇れる親、誇れる家族。他人の前で悪口を言わない親。 子供の関係のある人に文句がある時は子供の前で言わな いようにしたい。 ⑺大人が凛と生きる。子供ために人間として精一杯生きて いってほしい。足が遅くてもいい、勉強ができなくてい い、学ぼうとしない人間だけはだめだ。子供は育てたよ うに育つ。大人が夢を持って、子育てに誇りをもってそ ういう姿を見せたい。 ● パネルディスカッション ・ スポ少の指導者をしているが、勝ち負けにこだわること だけでなく、人に優しく人の痛みのわかる子を目指して指 導している。PTA活動としては職業のエキスパートをお 呼びしての「夢講座」や「立志の会」、文化祭の模擬店な ど一緒に楽しんでいる。 ・ 子供が大きくなると関わりが難しくなる。子供が自我に 目覚め、親の思うようにならなくなることに、気づかなけれ ばならない。そのときに親の学びがある。親に認めてほしい、 信じてほしい、愛してほしいのサインを出している。楽し さを共有するだけでなく大変さも共有していくのも家族。 ・ 中学生を健全に育成していくため、特に部活動では、学校、 保護者、地域が補完しながら、子供たちの部活動を支えて いる。 ・ 中学校3年間でなく、5年後 10 年後、立派になると信 じて。家庭の問題だからと言って投げ出していいか。先生 に世話になった。この先生を殴っていけないと思わせる。 心に寄り添いながら、心の底から話をすれば、本音を出さ せる。心の底からぶつかり合う。人のせいにしない。受け 止めたなら自分たちがやる。何ができるか知恵をしぼる。 ・ 教育行政の中で感じたこと。なぜ保護者と先生が仲違い しなければならないのか。先生と保護者が仲良くできるよ うに、学年懇親会、学年レク企画してもらった。地区懇談 会で校長が何を考えているのか。どんな考えなのか。教育 委員会に電話しても解決しない。学校がきちんと話を聞き ますよ、という姿勢を見せる。 PTA の活動は子供たちのための活動。子育ては東北で、と いうくらいの誇りと自信を。やる気が起きるのは、先生、親に 褒められた時、親が働いている姿を見たときという答えがある。 特別課題Ⅰ 第6分科会 [先人や地域の人から知恵・生き方を学ぶ教育] 基調講演者 コーディネーター 盛岡市先人記念館長 吉丸 蓉 子 盛岡市PTA 連合会 前会長 佐々木 秀彦 パ ネリスト 八戸市立奏小学校父母と教師の会副会長 若狭 光朗 ●基 調 講 演 仙台市PTA協議会副会長 阿部 清人 基調講演では、「先人教育のすすめ」と題して、 盛岡市先人記念館長吉丸蓉子氏からお話を頂戴し た。その要旨は以下のとおりである。 1 今、なぜ、心の教育か…子どもの幸せ、そし て人間の幸せとは何だろうか。お金でも物でも 地位でもない、 「所属と愛の欲求」「承認の欲求」 「自己実現の欲求」が満たされることである。 そして、最終的に自己実現するためには学びが 必要である。そのためには、心を育てていかな ければならないのである。今のこの豊かな時代 の教育には、意識的に「夢」を育み「がまんと がんばりの心」を育てることが必要であり、そ れができるのが先人教育であると考えている。 2 心の教育としての「先人教育」…先人学習で は、先人の業績や生き方そして人間性に触れ、 さらに先人を育んだ人々やその時代背景につい て学ぶ。その中で、先人を深く理解し、郷土の 先人に誇りをもち、憧れの人間像を少しずつ形 成していくことで、より高い価値を志向する子 どもに育て、自己実現への意思を育んでいくの である。このような心を育ててこそ、はじめて 子どもの心に生きる意欲や学ぶ意欲が生まれて くるのである。 3 先人教育のすすめ…先人教育は、「プラス思 考の心の教育」 「具体的イメージによる人間教 育、人格教育」「どう生きていけばよいかを示 唆するキャリア教育」である。人間教育として、 様々な先人に出会わせることで、子どもたちに 夢と希望と志を育むことができる。 講演全体を通じて「先人教育も心の教育の一環。」 「心を育てなければ学力も育たない。」ということを 繰り返し話されており、大変印象に残った。 ● パネルディスカッション 「子どもの夢や心を育むふるさとのよさ」「先人の 知恵や生き方に学ぶ教育を支援するPTA活動」と いう視点で、パネリストから各地の取組みや考え方 が紹介された。 盛岡市立北陵中学校 PTA 会長 菊池 正樹 八戸市の若狭光朗氏からは、 「湊の子は湊で育て る」を合言葉に、 「湊探検買い物ウォーク」を年間3 回開催し、湊のよさを子どもたちが理解する町おこ しに地域・PTA・教職員が一丸となって取り組ん でいる様子が紹介された。仙台市の阿部清人氏から は、1日6時間の職場体験を5日間連続行うことで、 生徒たちに責任感や大人との接し方を学ばせている ことや、親父の会主催の様々なイベントや、保護者 が先生役になって開催している化学実験教室の取組 みが紹介された。地元盛岡市の菊池正樹氏からは、 地区対抗親子球技大会や中学生による地域での雪か きボランティアの様子が紹介された。また、学校の 総合学習で地元の開拓の歴史を学ぶ学習を展開して いることに対し、PTAとしてどう支援していくべ きかについて今回学びたいという発言があった。 このような取組みを通じて、子どもたちが自分の 地域に誇りをもつようになってきたこと、子どもか らの問いかけが、改めて様々な気づきを大人や地域 に与えてくれることもあることなどの意見がパネ ラーから出された。一方フロアーからは、片親が多 い近年、心の教育はどのように進めていけばよいの か悩んでいるという問題も提起された。 吉丸蓉子氏からは、「心を育てるのは心」つまり、 心を育てるのは人であり、特にも親子関係が最も心 を育むことになるので、地域での活動で、同じもの を見て同じことに感動することを大切にしていただ きたい。そして、自分の頭と心でとらえ・感じ・考 える子どもを育成していくPTA活動でありたいと いう助言をいただいた。 特別課題Ⅱ 第7分科会 [子どもの心を支える家族の絆] 基調講演者 明星大学教授 髙橋 史 郎 コーディネーター IBC岩手放送報道局次長兼報道部長 河辺 邦博 パ ネリスト 塩竈市父母教師会連合会前会長 板橋 二美 ●基 調 講 演 福島市立西根中学校 PTA 会長 山岸 波 人間の幸福感について、マザーテレサはお金の有 る無しではなく人間関係、特に家族関係にあるとし、 豊かな日本には心の貧しい人が多く、日本は心で滅 びると言ったそうである。物に飢える子どもより愛 に飢える子どもが増えている。様々な事件が報じら れている現在、子ども達の何が変わってきたのか。 ①共感性(他人の痛みが分かる心)の欠如 何事においても経済優先の考え方が、親の子 どもに対する愛情を破壊した。(難病を抱えた り、障害を持った子ども達の方が、温かい親の 愛情をたくさん受けるため、心の優しい子ども に育つ傾向が大きい事例がある) ②自己抑制力が欠如(自立できない子どもの増加) 江戸時代には、子ども達は親やお年寄りを敬 い人間教育において世界一美しい国と外国人に 言わしめた日本が、子どもの壁となるべく父性 愛の欠如から、夢を持たない、無気力な若者の 増加した国になった。 親は子どもに対して第一義的な責任を持って おり、親こそ人生最初の教師とならなければい けない。今の子ども達に欠けている共感性、優 しさを育てるのは親の愛情しかない。また、臨 界期と呼ばれる一生に一度のタイミングを見逃 さずに優しさを土台とした厳しさを持って接す ることも、子どもを自立させるために大切なこ とである。古来より日本に伝わる子育て文化の 中にこのような言葉がある。「しっかり抱いて、 岩手県PTA連合会母親委員会副委員長 及川 聖子 下に降ろし て歩かせ る」甘えて 依存する時 期にしっか りと抱きし め て や り、 時期が来た ら親がしっかりと子離れし、ならぬことはなら ぬものですと厳しく子どもの壁になってやるこ とが大切なのです。 親は子どもをしっかりと観る(外見的に見るので はなく子どもの人格をしっかりと見つめる)必要が ある。困難を乗り越え成就感を与えながら一緒に感 動してあげられる、そんな親に変わることができた なら、きっと子ども達も変われるはずである。 ● パネルディスカッション 「子どもの心を支える家族の絆」というテーマで 行われたパネルディスカッションの中で、現在様々 な問題を抱えている子ども達の教育について以下の ような意見が述べられた。 個性の大切さがいわれているが、最初から自由に なるわけではない。基本的生活習慣をしっかりと身 につけさせ、自立できて始めて個性が育つのである。 したがって、家庭内で自立心を育てることが大切で ある。 「お父さん、忙しすぎて僕寂しい…」 父親が家庭内でもっと父性を発揮して欲しい。ダ メな事はダメと優しさの裏打ちの上で厳しさを発揮 して欲しい。 子どもが求めているのは自分の存在意義、価値で ある。「2つ叱って3つ褒め、5つ教えてよい子に 育てる」この5つ教えるということが今まで抜け落 ちていたのではないか。物事を肯定的にとらえ、常 にプラス思考で、まず大人が元気になること、そし て、家族との会話から子ども達に希望を持たせる事 が大切なのではないだろうか。
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