4. 雇 用

4. 雇
用
外国での事業を上手く運営していくためには,現地での雇用
が不可欠となります。特に,会社設立後,専門的な知識をもつ
管理者や技術者などが必要となります。
ここでは 日本における求人から契約に至るまでの一連の流
れを説明し,日本ではどのように人材を雇用・採用・契約する
のか,また日本の雇用保険制度,個人所得税,賃金制度,雇用
に関連して知っておくべきことなどについて記載しています。
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4-1. 保険手続き及び就業に関する規定の作成
4-1-1. 会社設立後の労働社会保険の届出
会社(法人)を設立した際,従業員の労働安全確保と失業後の支援のために労働保険(労
働災害補償保険・雇用保険)
,従業員の健康維持と老後の生活のために社会保険(健康保険・
厚生年金保険)が必要になります。これらの保険は全て法律で法人に加入することを義務
付けています。
労働・社会保険の加入条件と届出窓口
区分
労災保険
労働保険
加入条件
届出窓口
原則として労働者を1人で
所轄労働基準監督署
法律
労働者災害補償保険
法
も使用する事業所
雇用保険
厚生年金保険
社会保険
所轄公共職業安定所
健康保険
厚生年金保険法
原則として常時5人以上の
従業員を使用する事業(法人
雇用保険法
年金事務所
の場合1人でも加入)
健康保険法
<必要な書類>
1.社会保険手続き(健康保険・厚生年金保険)
¾
新規適用届
¾
年金手帳
¾
年金証書(60 歳以上で年金を受けているもの)
¾
被保険者資格取得届
¾
健康保険被扶養者(異動)届
¾
法人登記簿謄本
¾
年金証書(60 歳以上で年金を受けているもの)
¾
建物賃貸借契約書写
¾
その他,労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・就業規則等
2.労働保険手続き(労災保険・雇用保険)
¾
保険関係成立届
¾
雇用保険適用事業所設置届
¾
雇用保険被保険者資格取得届(過去に被保険者証を発行してもらっている場合に
は,雇用保険被保険者証)
¾
法人登記簿謄本
¾
事業内容のわかる書類(営業許可証など)
¾
賃貸借契約書(賃貸の場合)
なお,必要な書類については,各地区届出機関によって異なりますので,必ず各地区の
届出窓口にお問合せ下さい。
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4-1-2. 就業規則作成
労働基準法は,常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は,就業規則を作成・届出し
なければならないと規定しています。労働者数においては,正社員だけではなくパート・
嘱託・契約社員を含め,全員で 10 人以上であれば就業規則を作成する義務が発生します。
4-2. 従業員の採用
4-2-1. 採用の対象
対象者
メリット
デメリット
・新技術やシステムへの適応力・柔軟性
新卒者
・教育訓練に時間がかかります
・教育訓練や職務経験によって企業文化を
浸透させることができます
・即戦力でない
・人件費が比較的安い
・即戦力
・企業文化への適応が必要
・専門的知識,高度の技術を保有
・人件費コストがかかります
中途採用者
4-2-2. 募集の方法
日本で企業が従業員を募集する際に利用できる主な制度
1.公共職業安定所(ハローワーク
URL:http://www.hellowork.go.jp/)
全国各地にある国の職業紹介機関。すべての職種についての職業相談及び紹介を無料で
行っています。インターネットのホームページを使った仲介業務も行っています。
2.人材銀行
(URL:http://www.fukuoka-jingin.go.jp/)
人材銀行は厚生労働省管轄の機関であり,全国の主要都市の庁舎施設などに6カ所設置
されています。原則として概ね 40 歳以上の管理的職業,専門的・技術的職業の求人及び求
職に特化した自己完結型の無料の職業紹介を行っています。
3.民間有料職業紹介会社
厚生労働大臣の許可を受けている民間の職業紹介業者。有料で職業紹介を行います。な
お,民間職業紹介事業を始めるには国の許可を必要とします。
4.求人広告(新聞・雑誌)
広告媒体を利用した求人。職業紹介を専門に行うホームページの運営会社経由での求
人・求職が近年増えています。
5.学校への求人
大学,短大,専門学校,高校,中学の新卒者を募集するときは学校に求人票を出します。
6.インターネットによる求人
インターネットにホームページを開設し,求人情報を流すことができます。
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