エマージング市場: 2015年構造改革が再び焦点に

エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
~昨年の選挙イヤーを終えて~
empowered
investment
teams
strengthened
by global
resources
2015年2月
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
2014年は、世界中の新興国で数多くの大統領選挙や議会選挙が行われ、前例のない選挙イヤーとなりま
した。マニュライフ・アセット・マネジメントでエマージング債券を運用するロベルト・サンチェス・ダールとパオ
ロ・ヴァーレが、経済改革を巡る状況がどれだけ変化してきたかを検証し、エマージング債券投資における
その影響と意義を考察します。
変化するエマージング市場の政治状況
2014年は、エマージング市場をアジア・南米等地域別に見ると、1地域あたり少なくとも1ヶ国以上でなんらかの選挙
が実施され、過密な政治スケジュールの1年でした。この慌ただしい政局のなかで、政府は選挙の決着がつくまで
重要な法案を棚上げにしたため、経済改革は一時中断されました。選挙が概ね落ち着いた今、変化がテーマとして
台頭しており、その動きはエマージング市場で最も顕著です。
* 政府ではなく、法定署名数を集めた結果行われる「国民発議」。出所:Electionista、2014年12月現在。
-1-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
2014年に行われた数多くの選挙のうち、最も注目されたのはトルコ、インド、ブラジル、南アフリカおよびインドネシ
アの選挙でした。これら5ヶ国は、海外からの資金流入に依存して経常赤字を穴埋めしているため、「フラジャイル・
ファイブ(脆弱な5ヶ国)」と呼ばれています。エマージング債券の投資ユニバースにおいて戦略的に重要であること、
また、政策当局が達成の容易ではない改革に取り組む必要があることから、投資家がこれら5ヶ国における選挙に
注目したのは当然のことと言えるでしょう。
「フラジャイル・ファイブ」のなかで、トルコ、南アフリカおよびブラジルは、現職の指導者を再選しました。南アフリカ
とブラジルの政府は、現在、経済政策に焦点を当てることが可能となっていますが、トルコ政府は、2015年に取り組
まねばならない議会選挙が次のハードルとなっています。
一方、インドとインドネシアでは、斬新な政策とアイデアを持つ新政権が誕生しました。両国では、これら改革推進派が
勝利すると広く予想されていました。そのため、インドネシアのジョコ・ウィドド氏とインドのナレンドラ・モディ氏は、選挙
戦勝利後に直ちに改革を実行に移すことができました。さらに、両者とも政府の体勢を整えるための時間を与えられ
ており、マーケットはこれまでのところ、両政権を好意的に捉えています。
異なる市場-共通する改革の必要性
これらの国々を「フラジャイル・ファイブ」として一括りにするのは、単純化し過ぎていると考えています。各市場は非常
に異なっており、各社会特有の制約や国内の政治問題を抱えています。また、その深刻度は国によって大きく異なり
ます。しかし、複数の新興国に共通する課題があり、各国がそれらに取り組むことは長期的な経済の安定に不可欠で
あると見ています。
1)
雇用改革:多くの新興国では、雇用改革が極めて重要な問題です。なかでも、高水準の「非正規雇用」に対処す
る必要があります。この雇用形態では、多くの場合に労働者は正式な雇用契約や社会保険手当なしで雇用され、
税金も支払っていないため、多くの国で難しい問題となっています。世界貿易機構(WTO)の推定では、発展途上
国における労働者の過半数(約 60%)が非正規労働市場で収入を得ています1。
非正規雇用は、大量の労働力を低賃金職に縛りつけているという点で社会的平等を侵害していると同時に、本
来徴収されるべき税金が納税されていないという点で財政収支を悪化させています。さらに、WTO では、非正規
雇用率の高さが貿易の妨げとなり、生産性と輸出能力の低下を招いていると見ています2。
2)
インフラの未整備:インフラの未整備も、成長を阻害する大きな要因です。エマージング市場でインフラの整備が
必要なことは否定できません。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドおよびケンブリッジ大学の推計によると、エマ
ージング市場が経済成長と急速な人口増加に対応するには、向こう 20 年間にわたり 20 兆米ドルをインフラ関
連に拠出する必要があります3。この問題を解決するために、新政府は民間部門及び海外からの投資を呼び込
んで、重要なインフラ・プロジェクトを推進する必要があります。
3)
社会保障改革:長期的には、多くのエマージング市場で、特に教育、医療および所得の平等といった分野で追加
改革が必要です。これらの根本的な構造改革は必要不可欠なものですが、一朝一夕で実現するものではありま
せん。
1 2
出所:世界貿易機構経済調査統計局「Globalisation and Informal Jobs in Developing Countries(グローバル化および発展途上国における非正
規雇用)」2009年
3
出所:「The Roots of Growth: Projecting EM infrastructure demand to 2030 (成長のルーツ:エマージング市場における2030年までのインフラ需
要予測)」– ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドおよびケンブリッジ大学、2011年
-2-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
構造改革プランの検証-ブラジル、トルコ、インド、インドネシア
これらの国々では、過去20年間にわたり第1段階、第2段階の構造改革が実施されてきました。各国で中間層が拡
大するなか、教育、医療、基本サービス、経済成長、所得の不均衡、インフラ面などにおいて、次の段階の改革を
継続的に実施することが課題となります。主要4ヶ国の次の段階の改革プランに着目し、投資家が期待可能な短期
から中期にかけての変化について考察します。
ブラジル-改革すべき点は山積しているが、連立政権運営に課題が残る
ブラジルは、取り組むべき複雑な問題を多く抱えており、連邦政府レベルでの改革が必要な国の一例として取り上
げるには最適です。必要な改革として、税制改革(厄介な規制制度の改革)、石油開発の自由化、最低賃金の改善、
雇用市場改革、年金改革などが挙げられます。また、ブラジル中央銀行の独立性を適切に担保する必要がありま
す。
ブラジルでは現職政権が再選されましたが、連立与党は選挙前より拡大し、むしろ分裂しています。議席を獲得し
た政党の数は、22から28に増えました。連立政権は9つの党で構成され、反対政党は複数のグループに分かれて
います。ルセフ大統領は、60%未満の議席数で連立政権を組んだため、多くの必要な改革を実施するために必要な
多数(5分の3以上)には届きません。そのため、政府は提案する改革を推し進めるうえで、間違いなく苦労するでし
ょう。
しかしながら、政府は多くの分野で真剣に改革に取り組んでいます。
■
税制-付加価値税(VAT)の現行の計算方法は、数十年前に設定されたもので、消費ではなく生産に対して課
税する極めて複雑な構造となっています。当面、税制改革が進展する可能性は低いと考えています。
■
石油開発-現在の連邦規則は、国有石油会社のペトロブラスがオフショアのプレソルト(深海掘削)プロジェク
トの新規探鉱・生産の操業を主導しなければならないと定めています。その結果として、ペトロブラスは膨大な
投資案件を抱えており、プロジェクトの操業度の一層の改善余地は限定的と見ています。政府は 2015 年にこ
の規則の改訂を試み、石油市場を民間の操業会社に開放し、海外からの直接投資を増やす可能性があると
見ています。
■
最低賃金改革-現在の最低賃金水準は、インフレ率と GDP 成長率に連動しています。ブラジルでは、現在の
GDP 成長率はゼロをわずかに上回る程度ですが、高水準のインフレ率が賃上げ圧力となり、それがさらにイ
ンフレ率を押し上げています。また、最低賃金の上昇は、政府による財政支出の大幅な増加要因となっていま
す。格付機関は、支出水準が持続不可能として、この点をブラジルの重大な弱点と捉えています。格下げを回
避するには、この問題に取り組む必要があります。
■
中央銀行の改革-現在、中央銀行は独立性を有していません。ルセフ大統領は、10 月に再選されて以降、こ
の問題に関して柔軟な発言を行っており、現行制度に関して意見の相違や反論があることを理解しています。
しかしながら、ルセフ大統領がこの分野の改革に優先的に取り組む可能性は低いと弊社では考えています。
■
雇用改革-ブラジルの雇用制度は極めて硬直的です。雇用と解雇には高いコストがかかります。雇用主は従
業員に賃金のみならず、税金や社会保険料を支払う必要があるため、新規雇用にはコストがかかります。さら
に、生産性の低い従業員を解雇する柔軟性がありません。雇用制度改革案が提出されていますが、極めて複
雑な内容であるため、政府は実施を延期する可能性があります。
-3-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
■
年金制度改革-現行の公的年金制度は最低賃金と連動しているため、賃金が上昇する都度、公的年金も引
き上げられ、財政支出の大きな重荷となっています。格付機関およびグローバル市場がこの問題に対する懸
念を強めているため、ブラジル政府は今年この問題に取り組むだろうと思われます。
トルコ-注目すべきは赤字のみ
トルコでは2014年に2回の選挙(地方選挙および大統領選挙)が行われ、2015年6月には議会選挙が控えています。
そのため、政府が改革を実施するうえで、選挙・政治日程が大きな制約要因となっています。2015年後半まで改革
の進展はあまり期待できそうにありません。
■
経常赤字-大幅な経常赤字は、トルコのアキレス腱となっています。経常赤字の半分以上がエネルギーの輸
入によるものだからです。最近の原油価格の下落は、経常収支を改善させる要因となりますが、改革はいず
れにせよ必要です。政府はこの点を理解しており、再生可能エネルギーの促進や原子力エネルギー・プラント
の建設といった問題解決のための施策を既に講じています。
■
ガス市場法-最初の法案は、海外からエネルギー・セクターへの直接投資を呼び込むことによって、最終的に
ガスの輸入価格を改善させ、年率約 7%で増加する電力需要への対応に資することを目的としていました。法
案内容は内閣によって当初より効果の低い内容のものとなりつつあり、議会の決議を必要とします。2015 年
後半までは、進展が期待できそうにありません。
■
雇用改革および年金改革-雇用法の柔軟性を高め、「公式」経済(課税対象であり、GDP 統計等に表れる経
済部門)への参加者を増やす必要があります。現在の退職年齢は 45 歳であるため、労働者が年金給付の受
け取りを開始しつつ、「非公式」経済へ参加する風潮を促しており、政府の財政収支に悪影響を与えています。
この環境を改善する一つの有効な手段として、直接課税を引き上げる必要があります。
■
非公式経済-トルコ経済は大規模な「非公式」経済を有しています。しかし、次の議会選挙が終わるまで、政
府がこの問題に取り組む可能性は低いと考えられます。議会で過半数の議席を確保するため、政府は温情主
義的な姿勢を維持するでしょう。そのため、当面、不人気なこれらの改革が実施されることはないと見ています。
インド-今後の課題は多いが、改革プランには勢い
モディ政権は、昨夏の選挙以来、インフレ目標に向けて成果を上げていますが、改革はこれまで市場に織り込まれ
たペースより緩やかなものになると予想しています。新政府は、計画中の大胆な改革を実施するうえで大きな課題
に直面すると考えられます。野党が上院を支配しているという点で、政府は少なくとも当初は議会承認を必要としな
い行政改革に焦点を当てることになるでしょう。それでも、政策は正しい方向に向かっています。現在視野に入って
いる改革は以下のとおりです。
■
税制改革-モディ政権が公約した改革のなかには、税制改革があります。中央政府と州政府の現行税制には
重複があり、煩雑であるため、企業の租税回避を意図せずに促す結果となっています。新政府は、財・サービ
スに対する単一税制の導入により、簡略化を目指しています。
-4-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
■
海外および民間部門の直接投資-海外および民間部門からの直接投資に対する規制緩和の法案が出てい
ます。インドは閉鎖経済であるため、電力販売、防衛、鉄道、保険および建設など特定セクターへの参入障壁
の軽減を政府は目指しています。経済規模を考えると、海外投資家には参入機会の大幅な拡大が見込まれま
す。
■
補助金-その他予定されている改革は、ディーゼル油など燃料に対する補助金の削減です。石油関連の補
助金だけで、インドの補助金総額 424 億米ドルの 4 分の 1 を占めています。モディ首相は、既に燃料補助金
問題に対処しており、2014 年 10 月にディーゼル燃料価格に対する州規制を 10 数年ぶりに撤廃する一方で、
天然ガス価格を引き上げました。このような動きは正しい方向への第一歩であり、最終的には財政支出の節
減分を公共投資に振り向けることができるようになると思われます。なすべきことはまだ多いものの、これらの
取組みは大変評価できるものです。原油価格は比較的低水準にとどまっているため、今はむしろインド国民に
不人気な改革を実施する好機と見ています。
インドネシア-インドに類似した状況
インドネシアには、その他の「フラジャイル・ファイブ」の国と同様、新政府が取り組むべき多くの重要な課題がありま
す。改革の主なテーマは次のとおりです。
■
燃料補助金-インドネシアの経常赤字は、年間 240 億米ドルに達する高水準の燃料補助金が重荷となってい
ます。同国には石油精製能力がないため、ガソリン、ディーゼル油、灯油などの燃料は、市場価格に対して補
助金を出すことによって割安価格で販売されてきましたが、政府はこれらを見直し、燃料補助金を大幅削減し
インフラ投資に充当するプランを提出しました。
■
海外からの直接投資-政府は、海外からの直接投資を促進するために、主要セクターにおける規制を緩和す
る必要があります。例えば、鉱業には 2017 年まで規制が課されています。その他規制緩和の可能性があるセ
クターとしては、石油・ガスセクターが挙げられます。
■
雇用市場改革-インドネシアの雇用市場は、非常に硬直的です。雇用契約に柔軟性がないため、労働コスト
は極めて高くなっています。この問題については、より幅広く、改革プランの一部として取り組む必要がありま
す。
構造改革が投資動向を左右する
エマージング市場には、複数の課題があることは疑いありません。世界経済の成長が著しく鈍化するならば、インド
ネシア、南アフリカ、トルコ、ブラジル、インドなど経常赤字の国は悪影響を受けます。それは2013年半ばに、FRB
(米・連邦準備制度理事会)が資産買入プログラム(QE)を縮小する考えを最初に打ち出したときと同様です。逆に、
ポーランドやメキシコなど既に構造改革を行った国や、今後の改革プランを明確に打ち出している国は、世界経済
からの逆風に立ち向かうだけの財政力を備えていると思われます。投資家にとっては、これらの国を差別化すると
いうことが、今後数年にわたり一層重要になるでしょう。
今後、構造改革は新規企業が市場へ参入する新たな機会をもたらし、現地クレジット市場は厚みを増すと考えてい
ます。例えば、インドとインドネシアは、現在、エマージング社債ベンチマーク 4に占める割合が著しく低く、インドは
4
JPモルガン・コーポレート・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス(CEMBI)。指数に直接投資することはできません。
-5-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
5%強、インドネシアは約0.9%です。国債ベンチマーク 5に占める割合も同様で、インドが約0.4%、インドネシアは7%を
やや上回る程度です。インドネシアとインドの人口規模を考慮すると、この割合はさらに上昇する余地があると考え
ています。
これらのクレジット市場に投資する際に、投資家は文化的な違いを認識する必要があります。これらの国では、多く
の企業が同族経営もしくは緊密な同族支配下にあり、債券発行に伴う財務・業務内容のディスクロージャーに慣れ
ていません。例えば、インドで社債が発行されたのはほんの2年前からに過ぎず、そのわずかな社債発行残高の大
部分を銀行が占めています。企業の多くは同族経営の大手グループに属する傾向があるため、銀行以外のセクタ
ーの社債発行は極めて限定的です。インドは閉鎖経済のため、金融システムは専属市場(買い手が他の売り手を
選択できない状態)であり、実質的に借り手と貸し手が同じです。このため、政府は一部の企業グループとともに恒
常的な赤字を穴埋めすることができました。現在、債券市場は開かれつつあり、改革がしっかりと机上に上がってい
るため、インド経済の発展は新たな局面を迎えると見ています。
こういった進展は歓迎されるものです。というのも、債券発行のない地域や様々なセクターにおいて潜在的な投資
機会が存在するということは、投資家の旺盛な需要を喚起することに繋がるからです。
5
JPモルガンEMBIグローバル・インデックス。指数に直接投資することはできません。
-6-
エマージング市場: 2015年 構造改革が再び焦点に
まとめ
エマージング市場では、引き続き国債に魅力があると考えます。特に、改革の進展が見られる国の好例と
して、メキシコに投資機会があると見ています。メキシコは、選挙以降、率先して重要な構造改革の実施に
向けて動いています。2012年に新政権が選出された際に、政党が集結して政治協定が結ばれ、特にエネ
ルギー・セクターと電気・通信セクターにおいて、数十年にわたり行き詰まっていた改革が承認されました。
メキシコでは一連の改革に同時に取り組んでいることが、広範囲にわたるセクターおよび企業の社債発行
に繋がり、投資家に魅力的な社債への投資機会をもたらすと見ています。インドでも同じように、インフラお
よびエネルギー・セクターにおける構造改革により、社債への投資機会が中期的に顕在化すると考えてい
ます。
また、ブラジルにも投資機会があると見ており、以下3つの重要な要因から、オーバーウェイトしています。
第1に、経済規模及び戦略上の重要性から判断して、国債のバリュエーションは依然として魅力があると考
えています。第2に、過去の例が示すとおり改革は迅速には実施されないかもしれませんが、いずれは実
施されると確信するに足る十分な理由があります。第3に、ブラジルは改革を実施する必要性があるという
極めて単純な理由から、構造改革を推し進めると考えています。改革の失敗は社会的に悲惨な結果とな
り、政治的にも悲惨な状況となります。20年以上にわたって着実な進展を遂げ、国債が投資適格に格付け
されるまでに至った現在、そのポジションを維持し、格下げの可能性を排除するために可能なことを、政府
はすべて行うと予想されます。ブラジルでは社債にも大きな投資機会があります。多数の世界有数企業が
ブラジルを本拠としており、グローバル規模で極めて高い業績をあげているセクターもあります。
インドネシアでは、社債への投資機会はほとんどありません。投資可能なセクターが限定的であるため、弊
社は国債に焦点を当てています。天然資源の生産関連で興味深い企業もありますが、最近課された天然
資源の輸出禁止措置を巡り問題が生じていることから、セクターおよび銘柄を慎重に選択することが重要と
なります。
市場は、引き続き構造改革の進捗に左右されるでしょう。改革は、おそらく市場が予想するほどのペースで
実施されることはないと思われますが、いずれは実施されると考えています。社債や国債を慎重に選択し
投資するならば、多くの投資機会を捉えることができるでしょう。
最後に、各国政府の構造改革遂行能力が、今後の新興国の経済成長及び国債の信用力に差別化をもた
らすと考えています。期待と現実は乖離する可能性があり、それが短期から中期にかけて投資機会をもた
らすと見ています。
本資料は、Manulife Asset Management Limited が作成した ”Emerging Markets: Refocusing on reform” (2014 年12 月発行) をマニュライフ・アセッ
ト・マネジメント株式会社が翻訳したものです。
-7-
マニュライフ・アセット・マネジメントについて
Manulife Asset Management は、カナダのグローバル金融サービス企業であるManulife Financial Corporation の資産運用ビジ
ネス部門です。運用拠点はカナダ、米国、英国、日本、香港を含む世界17 ヵ国に構え、伝統的資産からオルタナティブに至るまで
多岐にわたるグローバル投資戦略をご提供しています。2014 年9 月末時点のグローバル運用総資産は2,750 億米ドル(約30.2
兆円)です。
トロント
Manulife Asset Management Limited
200 Bloor St. E., NT-6
Toronto, Ontario
M4W 1E5
Canada
TEL:+1-416-852-2204
ボストン
Manulife Asset management (US) LLC
101 Huntington Ave
Boston, MA. 02199
United States
TEL:+1-617-375-1500
ロンドン
Manulife Asset Management (Europe) Limited
10 King William Street
London, U.K.
EC4N 7TW
TEL:+44-20-7256-3500
ボストン(実物資産運用/森林・農地投資)
Hancock Natural Resource Group
99 High Street, 26th Floor
Boston, MA 02110-2320
United States
TEL:+1-617-747-1600
東京
マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-1
丸の内トラストタワーN 館15 階
TEL:03-6267-1940 (セールス・顧客サービス部)
香港
Manulife Asset Management (Asia)
47/F Manulife Plaza
The Lee Gardens, 33 Hysan Avenue
Causeway Bay, Hong Kong
TEL:+852-2910-2600
上記以外のアジアにおける資産運用拠点一覧
• 中国(北京市) Manulife TEDA Fund Management Company Ltd.
• 台湾
Manulife Asset Management (Taiwan) Co., Ltd.
• シンガポール
Manulife Asset Management (Singapore) Pte. Ltd.
• インドネシア
PT Manulife Aset Manajemen Indonesia
• マレーシア
Manulife Asset Management Malaysia Sdn Bhd
• タイ
Manulife Asset Management (Thailand) Company Limited
• ベトナム
Manulife Asset Management (Vietnam) Company Ltd.
• フィリピン
The Manufacturers Life Insurance Co. (Phils.), Inc.
日本における資産運用業務の展開
日本における資産運用業務は、1999 年にマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションが旧第百生命保険との生命保険事業
における合弁を開始したことにさかのぼります。弊社の前身はマニュライフ生命保険会社の資産運用部として保険資産を中心とし
た業務を行なってきましたが、2005 年に投資顧問会社MFC グローバル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社(※)とし
て設立、国内の資産運用ビジネスに参入し、年金基金を含む機関投資家向けの投資一任業務を開始いたしました。今日弊社では、
マニュライフ・グループの保険資産のほか、年金基金をはじめとする機関投資家のお客様向けに国内債券および日本株式を5 年
超に亘り運用しているほか、近年実物資産としての注目の高いグローバル森林投資やグローバル農地投資、また成長期待の著し
いアジアにおける債券および株式運用、さらにモーゲージ証券等を活用した債券ソリューション戦略商品をご提供しています。
(※2011 年1 月11 日に社名を変更、マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社となる)
日本国内向け主要運用商品一覧
<株 式>
日本株式クオンツ・アクティブ(バリュー型)
アジア小型株式
グローバル株式
グローバル資源株式
中国A株運用(QFII(適格外国機関投資家) と
しての認可を取得しています)
<債 券>
日本債券アクティブ(総合型)
日本債券ストラテジック・アクティブ
アジア債券アクティブ
グローバル債券
米国ハイ・イールド債券
証券化資産
人民元(RMB)建て債券(QFII( 適格外国機関
投資家)としての認可を取得しています)
<オルタナティブ>
グローバル森林投資
グローバル農地投資
ディスクレーマー
本資料は情報の提供のみを目的として作成されており、特定の商品について勧誘・販売を行うものではありません。また、作成時における信頼でき
ると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、適時性, 信頼性、完全性を保証するものではありません。また、資料に掲載さ
れた過去の実績等は将来の結果を約束するものではありません。
投資一任契約に関する留意事項及び投資対象となる有価証券等に係るリスク
投資一任契約はお客様から金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部の一任を受け、その投資判断に基づきお客様のために
投資を行うのに必要な権限を委任されお客様の財産を運用する契約です。当該契約に基づき投資を行う場合、資産種目ごとのリスクは以下のと
おりです。投資対象資産の種類や投資制限、投資対象国等によりリスクの内容や性質が異なります。なお、以下はすべてのリスクを網羅したもの
ではありません。
① 株式
株式市場および投資先となっている企業の株価が下落するリスクがあります。株式市場全般における株価が下落する場合や株式の発行体の
業績が悪化した場合には、投資先の株価が下落し、損失が生じることがあります。
② 債券
金利の上昇により債券価格が下落した場合や発行者の信用状況の悪化等の場合に損失を被ることがあります。従って投資一任契約のもとで
投資した元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。
③ 証券投資信託受益証券
組入れた有価証券等の値動き(外貨建証券の場合には為替市場の変動の影響も受けます)や当該有価証券発行者の信用状況の悪化等によ
り基準価額が下落し、損失を被ることがあります。従って投資元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド
期間がある証券投資信託受益証券については、クローズド期間中は換金することができません。
④ 外国籍ファンド(外貨建)
組入れた有価証券等の値動きや当該有価証券発行者の信用状況の悪化、為替相場の変動(組入れた有価証券がファンドの表示価格と異な
る場合)等により、基準価額(表示通貨建)が下落し、損失を被ることがあります。また、表示通貨での基準価額が元本を割り込んでいない場合
でも、ファンドの基準価額の表示通貨と円との為替相場の変動により、円換算時に損失を被ることがあります。従って資本元本は保証されてい
るものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド期間があるファンドについては、クローズド期間中は換金することができません。
⑤ 為替リスク
為替変動により外貨建資産の円換算価値が下落することがあります。外貨建資産を保有する場合、円高局面では円換算により資産価値が減
少し、損失を生じる場合があります。
⑥ 金利変動リスク
金利変動により公社債等の価格が下落するリスクがあります。一般に金利が上昇した場合には、既に発行されて流通している公社債等の価
格は下落し、損失が生じる場合があります。
⑦ 信用リスク
有価証券の発行体が財政難、経営不振、その他の理由により利息又は償還金をあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる(債務
不履行)リスクをいいます。この場合、有価証券の価格が大きく下落することが予想され、損失が生じることがあります。また、発行体の信用力
に対する市場参加者や格付機関の見方が悪化することにより、有価証券の価格が下落することがあり、損失が生じることがあります。
⑧ 流動性リスク
有価証券を売却(または購入)しようとする際に、需要(または供給)がないため、有価証券を希望する時期に希望する価格で売却(または購
入)することができなくなるリスクをいいます。一般的に、規模が小さい市場での売買や、取引量の少ない有価証券の売買にあたっては、このリ
スクが大きくなります。また、一般的に市場を取り巻く市場環境の急変があった場合には、市場実勢価格での売買ができなくなる可能性が高ま
ります。市場での流動性が低下する場合、有価証券の価格が下落し、損失を生じる場合があります。
⑨ カントリーリスク
投資先となっている国の政治・経済・社会・国際関係等が不安定な状態、又は混乱した状態に陥った場合に、当該国における資産の価値や当
該国通貨の価値が下落するリスクをいいます。このような国に投資している場合、有価証券の価格低下、通貨下落等により、損失を生じる場
合があります。
⑩ カウンターパーティリスク
取引の相手方の倒産等により、意図した取引ができなくなるリスクをいいます。債務不履行が生じたり、契約を履行するコスト等により損失が
生じる可能性があります。
⑪ 投資手法・対象に伴うリスク
空売り、貸し株、各種スワップ、コール・プットオプション、株価指数オプション、差金決済取引、先渡し取引、その他のデリバティブ取引などの投
資手法を用いるリスク、確定利付証券、未公開・譲渡制限付・非流動性証券、償還制限証券、財務状況の困難な企業に投資するディストレス
投資など投資対象に伴うリスクなどにより損失が発生する可能性があります。
⑫ レバレッジリスク
少額の投資により、高い投資効果を得るためにレバレッジを利用することがあります。高い効果が得られる反面、想定が外れた場合多額の損
失を被る可能性があります。さらに、先物証拠金等においては、レバレッジによって元本を超えた投資を行う結果として、元本超過損失が生じ
る可能性があります。
マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社との投資一任契約に際しお客様にご負担いただく報酬等は各種商品、サービス等により異なるため、
事前にその合計額または上限額等を表示することができません。投資一任契約の締結にあたっては、必ず「契約締結前交付書面」や「金融商品販
売法に基づく重要事項説明書」等をご確認の上、お客様ご自身でご判断下さい。
当資料の著作権・知的財産権の一切の権利はマニュライフ・アセット・マネジメント株式会社に帰属しており、弊社の書面での許可なく当資料を使用
またはその他の行為(複製、改変、譲渡、貸与、販売、出版、及び営業活動または営利を目的とする使用等すべて)を行うことを禁止させて頂きま
す。
商
号 :
設
立 :
資 本 金:
登 録 番 号:
加 入 協 会:
登録されている取引行為:
代
表
者:
マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者)
2004 年4 月
1 億4,050 万円
関東財務局長(金商)第433 号
一般社団法人 日本投資顧問業協会
金融商品取引法に定める「投資助言・代理業」、「投資運用業」
代表取締役社長 チーフ・インベストメント・オフィサー 石田 成