Investment Note 2015年8月 米国社債市場の見通し マニュライフ・アセット・マネジメントのシニア・マネージング・ディレクターで、米国債券のポートフォリオ・マネ ージャーであるハワード・C・グリーンが、2015年後半の米国債券市場見通しについてご説明します。 Q1: 2015年後半の米国債券市場の見通しについてお聞かせ下さい。 2015年4-6月期の生産、小売売上高、雇用統計等の経済指標が高い伸びを示し、米国経済は低迷していた1-3 月期から改善したことが確認されました。7-9月期についても、引き続き力強い伸びが期待されることは、社債市 場にとって支援材料になると考えています。米国債の利回りは極めて低い状態が続いていますが、相対的なバ リュエーション水準と、ドル高にも支えられ、米国債券市場への資金流入は今後も続く見通しです。 当社では、米国の投資適格社債およびハイ・イールド社債市場に対して、今後もポジティブな見通しを維持しま す。歴史的にも高水準の社債発行と、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策転換への懸念から、米 国社債のリターンはまちまちとなっていますが、全体的には、国債の低金利環境下においてクレジットスプレッド 追求への強い動きが見られます。信用格付けは良好であり、企業のバランスシートは健全で、潤沢な手元流動 性に加え、償還スケジュールにも余裕があるため、デフォルト率は低水準で推移しており、今後も低水準が続く と見込んでいます。 Q2: 投資家は、なぜ今、米国の社債市場に注目する必要があるのでしょうか?また、社債市場のどこに投資 魅力があると考えていますか? FRBが利上げに踏み切る構えでいる一方、欧州と日本の中央銀行は量的金融緩和を継続するという、金融政 策が二極化している環境下においては、投資家は米国債券市場、なかでも魅力的なリターンが見込める米国の 投資適格社債およびハイ・イールド社債への投資を検討する価値があると考えています。全般的に、一定程度 の利回りがあるバランスの取れた米国債券ポートフォリオは、インカム収益により金利上昇による価格下落の影 響を軽減でき、投資家に安定したリターンを継続的にもたらすことが可能であると考えています。 ポートフォリオ運用という観点では、債券市場の中でも引き続きクレジット・セクターに注目しています。FRBによ る利上げが見込まれる中で、社債市場のバリュエーションは、過去に金融引き締め局面が近づいた時と比較し て、魅力的な水準となっています。このため、金融セクターの投資適格社債銘柄及びハイ・イールド債券全般を オーバー・ウエイトとすることが賢明であると考えています。また、商業不動産担保証券(CMBS)や資産担保証 券(ABS)などのストラクチャード・クレジット商品は、社債に対する割安感と分散効果から、保有価値があると見 ています。 Q3: FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ時期をいつ頃と想定し、また、利上げが米国債券市場にど のような影響を及ぼすと考えていますか? 現時点のコンセンサス予想では、FRBによる短期金利の引き上げは9月と見込まれています。当社では、2015 年上半期(1-6月)に発表された各種経済指標が弱含んだことから、金利見通しを若干調整し、コンセンサス予想 とほぼ同じ見方をしていますが、利上げ時期が12月に先送りされる可能性も十分にあるということを念頭に置い ています。年内に少なくとも1回の利上げが濃厚と見ていますが、各種経済指標や利上げペースとそのタイミン グが引き続き焦点となるでしょう。直近では、ギリシャ危機を発端に市場のボラティリティが高まり、足元では、中 米国社債市場の見通し 2015年4月 国経済減速に警鐘が鳴らされていますが、エネルギー価格や商品市況も引き続き注視します。全体として、国 債利回りは過去と比べて低位の状態が続き、高格付債券はリスク・オフの環境下において安全資産としての役 割を投資家に提供することになると考えています。 Q4: グローバル債券市場において、より高い利回り(名目ベース)が見込まれる国債も多くありますが、米国 債への投資機会をどのように考えていますか? 米国市場の魅力的な点としては、米国債の投資家は、米ドルへのエクスポージャーを取ることでドル高による潜 在的利益が見込めることが挙げられます。米ドルは、今後数年の間、他の主要通貨に対して相対的に強含むこ とが予想されています。というのは、米国では2015年中の利上げが濃厚であるのに対し、他の国々では金融緩 和が継続されているためです。米国債券市場においては、他の市場と比較して債券格付けが相対的に高いこと も魅力の一つとなっています。 Q5: 米国経済が回復傾向にある中で、インフレ率についてはどのような見解をお持ちですか? 米国経済の回復傾向は年後半も持続すると予想しており、FRBによる短期金利の引き上げは9月または12月に 実施される見込みです。なお、実質賃金が伸び悩んでいるため、インフレ率は抑制されると見ています。 引き続き、今後公表される各種経済指標に着目し、年後半にかけて経済成長が一段と加速する兆候がないか を注視します。年内に少なくとも1回の利上げを予想しており、金利は緩やかに上昇すると考えているため、米国 債への投資においては、デュレーションをベンチマーク対比短期化したポジションが賢明であると思われます。 Q7: 金利上昇が見込まれる中で、証券化資産への投資についてはどのように考えていますか? 資産担保証券(ABS)と商業不動産担保証券(CMBS)は、ハイ・クオリティ銘柄として、他の資産より相対的に短 いデュレーションで比較的高いインカム収益が見込めると考えています。モーゲージ担保証券(MBS)は、米国 債券市場で大きな割合を占めており、バークレイズ・キャピタル米国総合指数の 30%を占めています。証券化 資産は一般的に、社債のクレジットリスクに対する分散効果があり、変動金利構造の MBS の場合は特に金利 上昇の局面において有益であると考えています。 Q9: 米国債券市場における主要なリスク要因について説明して下さい。 エネルギー価格、特に原油価格の見通しについては、引き続きリスク要因の一つとして考えており、ハイ・イール ド債券市場の 15%を占めるエネルギー・セクターでは特に不安定さが増している状況です。2015 年 3 月中旬 から 6 月にかけて原油価格が約 20%上昇したことから、ハイ・イールド債券市場は前回の下落局面において生 じたマイナスを回復しましたが、原油価格は足元で再び低迷しています。OPEC の産油動向、イラン核協議に加 え、米国のシェールオイルの生産量など流動的な要素も多く、原油価格の先行きを予想することは容易ではあり ません。昨年の 6 月から断続的に上昇している米ドルもリスク要因の一つとなりつつあり、米国経済にとっては 逆風となっています。この動きは債券市場と関連しており、外国人投資家がより高い債券利回りを追求し、米ド ルと米国債の両資産に投資するため、米ドル高が一段と進行しています。当社では引き続き、原油価格および 米ドルの動きを注視し、それらが米国経済の成長を促進する要因となるか、それとも抑制することになるかを見 極めていきたいと考えています。 本資料は、Manulife Asset Management Limited が作成した ”Robust outlook for US corporate bonds” (2015年7月発行) より、マニュライフ・ア セット・マネジメント株式会社が抜粋・翻訳したものです。 マニュライフ・アセット・マネジメントについて Manulife Asset Management は、カナダのグローバル金融サービス企業であるManulife Financial Corporation の資産運用ビジ ネス部門です。運用拠点はカナダ、米国、英国、日本、香港を含む世界17ヵ国・地域に構え、伝統的資産からオルタナティブに至る まで多岐にわたるグローバル投資戦略をご提供しています。2015年3月末時点のグローバル運用総資産は3,018億米ドル(約 36.2兆円)です。 トロント Manulife Asset Management Limited 200 Bloor Street East Toronto, Ontario, M4W 1E5 Canada TEL:+1-416-852-2204 ボストン Manulife Asset management (US) LLC 197 Clarendon Street Boston, MA 02117 United States TEL:+1-617-375-1500 ロンドン Manulife Asset Management (Europe) Limited 18 St Swithin’s Lane London, EC4N 8AD United Kingdom TEL:+44-20-7256-3500 ボストン(実物資産運用/森林・農地投資) Hancock Natural Resource Group 99 High Street, 26th Floor Boston, MA 02110-2320 United States TEL:+1-617-747-1600 東京 マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館15階 TEL:03-6267-1940 (セールス・顧客サービス部) 香港 Manulife Asset Management (Asia) 47/F, The Lee Gardens 33 Hysan Avenue Causeway Bay, Hong Kong TEL:+852-2910-2600 上記以外のアジアにおける資産運用拠点一覧 • 中国(北京市) Manulife TEDA Fund Management Company Ltd. • 台湾 Manulife Asset Management (Taiwan) Co., Ltd. • シンガポール Manulife Asset Management (Singapore) Pte. Ltd. • インドネシア PT Manulife Aset Manajemen Indonesia • マレーシア Manulife Asset Management Services Bhd • タイ Manulife Asset Management (Thailand) Co., Ltd. • ベトナム Manulife Asset Management (Vietnam) Co., Ltd. • フィリピン The Manufacturers Life Insurance Co. (Phils.), Inc. 日本における資産運用業務の展開 日本における資産運用業務は、1999年にマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションが旧第百生命保険との生命保険事業に おける合弁を開始したことにさかのぼります。弊社の前身はマニュライフ生命保険会社の資産運用部として保険資産を中心とした 業務を行なってきましたが、2004年に投資顧問会社MFC グローバル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社(※)として 設立、国内の資産運用ビジネスに参入し、年金基金を含む機関投資家向けの投資一任業務を開始いたしました。今日弊社では、 マニュライフ・グループの保険資産のほか、年金基金をはじめとする機関投資家のお客様向けに国内債券および日本株式を5年 超に亘り運用しているほか、近年実物資産としての注目の高いグローバル森林投資やグローバル農地投資、また成長期待の著し いアジアにおける債券および株式運用、さらにモーゲージ証券等を活用した債券ソリューション戦略商品をご提供しています。 (※2011 年1 月11 日に社名を変更、マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社となる) 日本国内向け主要運用戦略一覧 <株 式> 日本株式クオンツ・アクティブ(バリュー型) グローバル株式 アジア太平洋小型株式 <債 券> 日本債券アクティブ・コア 日本債券ストラテジック・アクティブ グローバル債券 エマージング債券 アジア債券アクティブ 証券化資産 バンクローン <オルタナティブ> グローバル森林投資 グローバル農地投資 ディスクレーマー 本資料は情報の提供のみを目的として作成されており、特定の商品について勧誘・販売を行うものではありません。また、作成時における信頼で きると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、適時性, 信頼性、完全性を保証するものではありません。また、資料に掲載 された過去の実績等は将来の結果を約束するものではありません。 投資一任契約に関する留意事項及び投資対象となる有価証券等に係るリスク 投資一任契約はお客様から金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部の一任を受け、その投資判断に基づきお客様のために 投資を行うのに必要な権限を委任されお客様の財産を運用する契約です。当該契約に基づき投資を行う場合、資産種目ごとのリスクは以下のと おりです。投資対象資産の種類や投資制限、投資対象国等によりリスクの内容や性質が異なります。なお、以下はすべてのリスクを網羅したもの ではありません。 ① 株式 株式市場および投資先となっている企業の株価が下落するリスクがあります。株式市場全般における株価が下落する場合や株式の発行体の 業績が悪化した場合には、投資先の株価が下落し、損失が生じることがあります。 ② 債券 金利の上昇により債券価格が下落した場合や発行者の信用状況の悪化等の場合に損失を被ることがあります。従って投資一任契約のもとで 投資した元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。 ③ 証券投資信託受益証券 組入れた有価証券等の値動き(外貨建証券の場合には為替市場の変動の影響も受けます)や当該有価証券発行者の信用状況の悪化等によ り基準価額が下落し、損失を被ることがあります。従って投資元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド 期間がある証券投資信託受益証券については、クローズド期間中は換金することができません。 ④ 外国籍ファンド(外貨建) 組入れた有価証券等の値動きや当該有価証券発行者の信用状況の悪化、為替相場の変動(組入れた有価証券がファンドの表示価格と異な る場合)等により、基準価額(表示通貨建)が下落し、損失を被ることがあります。また、表示通貨での基準価額が元本を割り込んでいない場合 でも、ファンドの基準価額の表示通貨と円との為替相場の変動により、円換算時に損失を被ることがあります。従って資本元本は保証されてい るものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド期間があるファンドについては、クローズド期間中は換金することができません。 ⑤ 為替リスク 為替変動により外貨建資産の円換算価値が下落することがあります。外貨建資産を保有する場合、円高局面では円換算により資産価値が減 少し、損失を生じる場合があります。 ⑥ 金利変動リスク 金利変動により公社債等の価格が下落するリスクがあります。一般に金利が上昇した場合には、既に発行されて流通している公社債等の価 格は下落し、損失が生じる場合があります。 ⑦ 信用リスク 有価証券等の発行体が財政難、経営不振、その他の理由により利息又は償還金をあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる(債 務不履行)リスクをいいます。この場合、有価証券の価格が大きく下落することが予想され、損失が生じることがあります。また、発行体の信用 力に対する市場参加者や格付機関の見方が悪化することにより、有価証券の価格が下落することがあり、損失が生じることがあります。 ⑧ 流動性リスク 有価証券等を売却(または購入)しようとする際に、需要(または供給)がないため、有価証券等を希望する時期に希望する価格で売却(また は購入)することができなくなるリスクをいいます。一般的に、規模が小さい市場での売買や、取引量の少ない有価証券等の売買にあたっては、 このリスクが大きくなります。また、一般的に市場を取り巻く市場環境の急変があった場合には、市場実勢価格での売買ができなくなる可能性 が高まります。市場での流動性が低下する場合、有価証券等の価格が下落し、損失を生じる場合があります。 ⑨ カントリーリスク 投資先となっている国の政治・経済・社会・国際関係等が不安定な状態、又は混乱した状態に陥った場合に、当該国における資産の価値や当 該国通貨の価値が下落するリスクをいいます。このような国に投資している場合、有価証券の価格低下、通貨下落等により、損失を生じる場 合があります。 ⑩ カウンターパーティリスク 取引の相手方の倒産等により、意図した取引ができなくなるリスクをいいます。債務不履行が生じたり、契約を履行するコスト等により損失が 生じる可能性があります。 ⑪ 投資手法・対象に伴うリスク 空売り、貸し株、各種スワップ、コール・プットオプション、株価指数オプション、差金決済取引、先渡し取引、その他のデリバティブ取引などの 投資手法を用いるリスク、確定利付証券、未公開・譲渡制限付・非流動性証券、償還制限証券、財務状況の困難な企業に投資するディストレ ス投資など投資対象に伴うリスクなどにより損失が発生する可能性があります。 ⑫ レバレッジリスク 少額の投資により、高い投資効果を得るためにレバレッジを利用することがあります。高い効果が得られる反面、想定が外れた場合多額の損 失を被る可能性があります。さらに、先物証拠金等においては、レバレッジによって元本を超えた投資を行う結果として、元本超過損失が生じ る可能性があります。またこのレバレッジの比率は投資方針や国内外の市場環境の変化等により、随時変えていきますので事前に表示するこ とができません。証拠金はデリバティブ取引を行なう期間、発注先証券会社の計算に基づき当社が妥当であると判断した金額を契約資産から 預託します。 ⑬ 実物投資のリスク 森林あるいは農地投資は火災、天災、灌漑設備、水源、天候等、実物投資特有のリスクが顕在化する場合があります。 ⑭ 複合的なリスク 上述のリスクが複合的に重なり、多岐にわたる未曾有のリスクが発生し、想定外の元本超過損失が生じる場合があります。 マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社との投資一任契約に際しお客様にご負担いただく報酬等は各種商品、サービス等により異なるため、 事前にその合計額または上限額等を表示することができません。投資一任契約の締結にあたっては、必ず「契約締結前交付書面」や「金融商品販 売法に基づく重要事項説明書」等をご確認の上、お客様ご自身でご判断下さい。 本資料の著作権・知的財産権の一切の権利はマニュライフ・アセット・マネジメント株式会社に帰属しており、弊社の書面での許可なく本資料を使 用またはその他の行為(複製、改変、譲渡、貸与、販売、出版、及び営業活動または営利を目的とする使用等すべて)を行うことを禁止させて頂き ます。 商 号 : 登 録 番 号: 加 入 協 会: マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者) 関東財務局長(金商)第433 号 一般社団法人 日本投資顧問業協会
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