―最近の気になる動き 35― <2015.4.29 記> 【33-1の続編 経産省「事故確率半減論」と「ベイズ確率」 】 『気になる動き33-1』で指摘したとおり、経産省「発電コスト検証ワーキング グループ(WG)」(山地憲治座長)が「事故確率が半減」という“虚構”に基づき「原 発が最安」との結論を了承し<4.28 朝日>、それを受けて経産省は翌日“粛々と”原 発依存率を 20~22%とする 2030 年電源構成案を提示しました<4.29 朝日>。 筆者は全くの専門外ですが、最近は電力会社も事故・故障確率等の説明時に言及す る「ベイズ確率(ベイズ統計) 」について、分かりやすい説明を見つけました。ベイズ 確率の考え方は、中学で習うような客観確率(サイコロで「1」の目が出る確率は6 分の1)を求めるため「サイコロを何十万回も振るような実験は事実上できない」こ とから、「最初は適当に決めた不正確な確率(事前確率)から出発し、これを何らかの 実験や測定、観測などによって、もっと正確な確率(事後確率)へと改良していこう」 というものとのことです<小林雅一『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』pp.93-95 講談社現代新書 2015.3.20:下線は筆者>。 そうすると原発の事故確率などは正に「ベイズ確率」でしか求めようがないことは 明らかで、スリーマイルやチェルノブイリの原発事故経験を反映させた福島原発事故 前の「事前確率」より、福島事故後の‘もっと正確な’ 「事後確率」が増大しているこ とは、誰の目にも明らかです。 にもかかわらず、上記のように、経産省(御用学者)は「対策を強化した分、事故 が起きる確率は半減」などという“希望的観測(=憶測)”(今回も地球環境産業技術 研究機構・秋元圭吾氏<2.19 朝日>の“学識”でしょうか?)を根拠に、原発コスト 「最安」論や原発依存率 20~22%などを打ち出しましたが、それらは全て“エセ数学” に基づく(合理的根拠のない)虚言・虚構でしかないことは明らかです。 <了>
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