会長あいさつ要旨

会長定例会見(平成27年4月)
萬歳会長挨拶要旨
平成27年4月9日(木)
15:00~
JAビル301会議室
○
お忙しいところ、今月も、多くの皆様にお集まりいただき、心よりお礼。
○
新年度を迎え、TPPの問題や、新たな食料・農業・農村基本計画の実
践や、水田農業の確立など、農業をめぐる課題が山積しており、これまで
以上に、JAグループとして、精力的に対応していく所存です。
○
さらに、政府の農協改革を踏まえた形で、私どものJA改革の取り組み
も、より本格化させねばならない極めて重い27年度になろうかと思いま
す。
○
マスコミの皆様にも、この記者会見や意見交換などを通じて、今後、具
体化させるJAグループの考え方や取り組みについて、前広に皆様に情報
提供をしていくとともに、さまざまな形で、JAの現場の取り組みなども、
ご紹介してまいりたいと考えております。
○
私どもと皆様の距離を縮められるようなコミュニケーションの機会も可
能な限り作って参ります。よろしくお願いいたします。
○
はじめに、農協改革に関してであります。
○
今般の農協改革に関しましては、先週末に、農協法改正法案が閣議決定
されました。
-1-
○
全中の一般社団化や県中央会の連合会への移行、公認会計士監査の導入
など、JAグループがこれまでに経験したことのない組織の大転換が提起
され、現場から多くの不安の声があるなかで、極めて重い決断をしたとこ
ろであります。
○
今回の決断が、
「農業者の所得増大」と「地域の活性化」に結び付くよう、
組織の総力をあげて、JAグループの自己改革に取り組む所存です。
○ 「農業所得の増大」につきましては、わが国の農業には、
「多様性」があ
ると考えております。農業者でも、北海道から沖縄まで、作物や規模など
で、多様な農業者の方がおります。
こうした現場実態をふまえた改革に取り組むことが重要であります。
○
先日、安倍総理のところに伺いましたが、総理からは、
「農業所得の増大
につながり、若い人が農業に参画できるよう、地に足がついた農業・農協
改革をすすめていきたい」とのお話がございました。
○
また、
「地域の活性化」につきましても、JAが地域社会の1つの核とな
って、まちやむらの活性化に役割を果たしてまいります。
○
今後、農協法関連法案は国会で審議されますが、法改正が真の「農業者
の所得増大」と「地域の活性化」につながるものとなるかどうか、しっか
りと注視し、懸念される事項については要請をしてまいります。
○
今後につきましては、昨年11月に決定した自己改革の内容をもとに、
今後3カ年の中期計画となる第27回JA全国大会議案の検討に入ってま
いります。
-2-
○
現在、大会議案審議会を設置し、検討を始めております。また、JAグ
ループの自己改革に関する有識者会議を開催するなど、有識者の意見を大
会議案の検討に反映していくこととしております。
○
こうした検討をふまえ、今年の7月には大会議案のたたき台となる組織
協議案をとりまとめ、9月にかけて協議を行い、10月のJA全国大会議
案として決定していく予定です。
○
続いて、TPPに関してであります。
○
TPPに関しては、政府による情報開示が十分でないなかで、米を含む
重要品目に関するマスコミ報道など、生産現場は不安を募らせています。
○
このため、現在のTPPの状況と改めて政府の国会決議の遵守など、確
認するため、先月20日に情勢報告会を開催いたしました。
○
合意に不可欠とされるアメリカのTPA法案の動向について、仮に近く
TPAが可決されれば、各国の交渉が一気に加速する可能性も指摘されて
おりますので、今後のアメリカ議会の動向などを注視していく必要がある
と思っております。
○
こうしたなか、今月28日に日米首脳会談が予定され、その直前には首
席交渉官会合の開催が見込まれており、TPA法案の動向とあわせて、日
米協議の進展を、各国は注目しております。
○
安倍総理は、
「訪米にあわせて、必要のない妥協をすることはあり得ない」
と国会で答弁されました。また7日には、安倍総理との面会において、総
理からは「守るべきは守り、攻めるべきは攻める。農業は約束したとおり、
しっかり守っていきたい」との返答をいただきました。
-3-
○
日米の二国間協議も、大詰めの交渉が続いているものと認識しておりま
すので、JAグループとしては、引き続き、政府・与党に対し、一層の情
報開示とともに、国会決議を遵守した対応をお願いしたいと考えておりま
す。
○
政府におかれましては、米価下落のもとでの飼料用米の生産拡大や、畜
産・酪農生産基盤強化の取り組みを続けている生産現場の努力に応えるた
め、毅然とした交渉姿勢を貫いていただきたいと考えます。
○
続いて、都市農業に関してであります。
○
本日、参議院本会議で「都市農業振興基本法案」が可決される予定とな
っております。
○
現在の法体系では、都市の農地は宅地化していくものと位置付けられて
おりました。
○
このたび都市農業の基本理念や責務、必要な政策を基本法として定める
ことは、これまで長年努力して都市農業を営んできた農家の悲願であり、
都市農業の存在が認められたという意味においては、歴史的な政策の転換
として、大きく評価ができるものと考えております。
○
都市農業には、都市住民への新鮮な農産物の供給のほか、市民農園や体
験農園などの農作業を楽しむ場、防災、良好な景観形成、国土・環境保全
など、多様な機能がございます。
○
こうした機能を最大限発揮し、国民の期待に応えるため、都市農業を振
興し、都市農地の保全・活用をはかっていくことが重要です。
-4-
○
都市農業基本法は、今後、衆議院で審議されますが、成立したあかつき
には、生産緑地法などの関連法制や、固定資産税などの税制の見直しを検
討し、都市農業が将来にわたり継続しうる環境を整えてゆく必要がありま
す。
○
JAグループといたしましても、都市農業を抱える都道府県から、現場
実態をよく伺い、把握し、関係制度の見直しを提案してまいります。
○
また、都市農業の振興に向けて、直売所などや学校給食への地場産農産
物の提供などの地産地消の促進や、食農教育活動の支援、市民農園の設置
など、自らの取り組みを一層進めてまいりたいと存じます。
○
また、5月1日より半年間、イタリア・ミラノで開催されるミラノ万博
の開幕がされます。
○
ミラノ万博では、和食などの食文化に関心がいきがちですが、単なる「食」
の祭典ではなく、世界の深刻な「食料」問題をはじめてテーマとした万博
と聞いております。
○
ミラノ万博が世界に提起した課題は、
「良質の、健康に良い、持続可能な
食料を、全世界に十分に確保することは可能か」というものであります。
○
世界の食料問題の解決に向けて、JAグループでは、
「多様な農業の共存」
「食料主権」「相互扶助」「震災復興」などの必要性を訴えていくことが必
要であると考えております。
○
JAグループは、日本館の協賛団体として、イベントの開催や、7月1
1日に開催されるジャパンデーへの協力などを行って参ります。
-5-
○
国内だけではなく、世界でも、改めて、
「食料」問題に関して、考えるい
い機会としたいと存じます。
是非、取材等よろしくお願いいたします。
○
最後になりますが、私は、農協法の改正法案が閣議決定されたことなど
を一つの区切りとして、また、今後の自己改革を実践していくためには、
組合員のために、新しい中央会、新しい会長のもとで、流れを作っていき
たいということで、会長の職を辞することを本日の理事会で表明いたしま
した。
○
退任の時期については、今後、次期全中会長選出の手続きなどがあり、
8月の臨時総会において交代ということになろうかと思いますが、適切な
手続きをふまえて、対応してまいりたいと思います。
○
本日の私からの発言は、以上。
以
-6-
上