日本不動産学会秋季大会 発表資料 - 一般社団法人 移住・住みかえ支援

【日本不動産学会2014秋大会】
ワークショップ:空き家解消・活用のための不動産
システムに関する具体的提言にむけて
住宅循環による空き家の解消
­ DIY型長期リース・マイホームリースの導入 ­
立命館大学教授
金融・法・税務研究センター長
一般社団法人移住・住みかえ支援機構代表理事
大垣尚司
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
はじめに・・・
せっかくの機会なので、学術的な分析は他
の先生方にお任せして、これまで8年間空き
家や潜在空き家を借り上げてきた経験から
参考になりそうなことをまとめてみました。
大量になってしまったため、全てを説明す
ることはできませんが、空き家問題やこれ
からの住宅政策を考えるための資料として
活用いただければ幸いです。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
自己紹介を兼ねて・・・JTIとは?
移住・住みかえ支援機構
終身
借上げ
自宅・実家等
住
み
か
え
利用者
3年定借で
転貸
債
務
差額家賃
−5%(管理料) 保
証
新居・実家・子どもと同居
シニア向け住宅・施設等
10%
空き家・空き室
積立て金
国の保証基金
入居者
空き家・空き室
リスクを負担
※ 99%超のリスクを積立金でカ
バーするため、国の保証が発動
されるリスクはきわめて低い。
•
2006年に住宅の世代循環を支援する非営利法人として設立。
•
住宅メーカー、不動産業者、金融機関、工務店団体等の協賛
により独立採算で運営。
•
高齢者住宅財団に設定された国の基金5億円により債務保証。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
3
マイホーム借上げ制度(2006年10月∼)
1. 2つの制度
•
終身型:終身で借り上げて3年の定期借家で転貸
•
期間指定型:期間指定で借上げ・転貸。中途退去リスク吸収
2. 50歳以上(人) 耐震0.7以上
長寿命住宅(家) 何歳からでも(証明書発行)
3. 賃貸専用を除く。別荘・相続・2軒目以上もOK。
4. 全国可能(家賃で調整)
5. 空き家・空き室保証:過去20年の全国家賃変動率に基づき、
受益者負担でリスクの99%をカバー。
これを超える部分を政府基金で保証。
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4
制度利用の実績
マイホーム借上げ制度(2006年10月∼)
•
2014年11月13日までの取扱件数は657件
(うち、656件が終身型)
•
情報登録の上、カウンセリング中もしくは家賃の予備査定を受けて検討中の
者:2555名。
•
借上げ物件の平均面積(2014.11.13現在)
一戸建:115㎡、マンション:72㎡
•
貸主の平均年齢:60歳、借主の平均年齢:44歳(2014.11.13現在)
移住・住みかえ支援適合証明書(2008年∼)
•
認定長寿命住宅ないしこれに準ずる性能を有する住宅であって、住宅履歴の維持
要件を満たしたものに対して、50年間借上げ保証(地域によっては事前査定に基
づく最低家賃金額の保証も可能)。
•
2014年10月末までに27104件の証明書を発行
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5
制度を通じて住宅の世代循環が実現
制度利用者と入居者の平均年齢(2014.11現在、歳)
制度利用者
地域名
(オーナー)
入居者
年齢差
東北・北海道
58
42
16
中部・東海・北陸
60
45
14
中四国
55
45
10
九州・沖縄
61
45
16
近畿
61
45
16
関東圏
60
43
17
首都圏
62
44
18
全国
61
44
17
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
6
制度を通じて「持ち家グレード」の貸家を子育て層に提供
借上げ物件の平均延床面積(2014.11現在、㎡)
地域名
一戸建て
その他
マンション
東北・北海道
130
­
69
中部・東海・北陸
122
112
83
中四国
120
141
68
九州・沖縄
114
­
71
近畿
118
83
71
関東圏
118
145
­
首都圏
110
101
71
115
109
72
持ち家との比較
0.96倍
­
0.89倍
貸家との比較
2.23倍
­
1.40倍
119
­
80
全体
参考:新築住宅の面積(2013年全国)
持ち家
貸家
51
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
7
シニア層を中心とした「住宅の年金化」に一定の貢献
設立来約13億円、平成25年度は5.3億円の正味家賃収入を制度利用者に実現
2013.10­2014.9期の実績
入居者からの受取家賃
597,710,918円
100.00%
▲空き家・空き室積立金積立
▲59,771,092円
▲10.00%
▲管理費(協賛不動産会社)
▲29,885,546円
▲5.00%
21,263,361円
3.56%
529,317,641円
88.56%
14.9億円
100.00%
▲1.5億円
▲10.00%
△空き家・空き室積立金取り崩し
制度利用者への支払借上げ家賃
制度導入時からの累積(2006.10-2014.9)
入居者からの受取家賃
▲空き家・空き室積立金積立
▲管理費(協賛不動産会社)
△空き家・空き室積立金取り崩し
制度利用者への支払借上げ家賃
▲0.7億円
▲5.00%
0.5億円
3.22%
13.1億円
88.22%
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
8
実績家賃の地域差は地価に比べるとかなり小さい
転貸家賃と制度利用者に対する最低保証家賃の地域別平均(2006年度∼2013年度の実績値 単位円)
地域名
地域平均
東京都=100
(参考)
転貸家賃
最低保証家賃
転貸家賃
最低保証家賃
地価指数※
北海道
76,568
58,205
63
65
12
青森県
64,750
52,275
53
58
岩手県
85,750
65,875
70
宮城県
89,550
66,130
福島県
81,813
東北・北海道
地域名
地域平均
東京都=100
(参考)
転貸家賃
最低保証家賃
転貸家賃
最低保証家賃
地価指数※
長崎県
66,333
52,133
54
58
11
7
熊本県
63,000
47,600
52
53
13
73
9
大分県
76,167
56,667
62
63
10
73
74
14
九州・沖縄
70,464
54,673
58
61
13
62,953
67
70
8
三重県
91,000
66,867
75
74
8
81,726
61,911
67
69
10
滋賀県
83,417
66,371
68
74
14
山梨県
88,143
67,514
72
75
10
京都府
89,800
66,810
74
74
38
新潟県
64,333
49,867
53
56
11
大阪府
94,636
72,250
77
80
46
石川県
88,600
66,810
73
74
14
兵庫県
96,658
75,024
79
84
28
長野県
69,833
53,125
57
59
10
奈良県
91,556
71,683
75
80
19
岐阜県
69,333
51,850
57
58
13
和歌山県
66,250
51,850
54
58
12
静岡県
85,125
67,363
70
75
22
近畿
92,346
71,209
76
79
24
愛知県
98,977
73,278
81
82
33
城県
76,291
58,331
62
65
8
中部・東海・北陸
90,893
68,272
74
76
16
栃木県
84,412
62,300
69
69
11
岡山県
91,385
67,961
75
76
11
群馬県
83,133
62,503
68
70
10
広島県
81,182
61,432
66
68
21
関東圏
79,299
59,957
65
67
10
山口県
78,600
58,820
64
65
6
埼玉県
87,418
66,647
72
74
35
香川県
71,000
51,000
58
57
11
千葉県
87,087
65,835
71
73
23
愛媛県
76,500
56,525
63
63
10
東京都
122,139
89,807
100
100
100
中四国
83,486
62,327
68
69
12
神奈川県
114,968
87,645
94
98
42
福岡県
70,400
55,817
58
62
23
首都圏
100,849
76,023
83
85
50
佐賀県
66,000
49,867
54
56
7
※平成26年地価公示 都道府県庁所在地の住宅地平均価格を東京(23区)=100として指数化したもの
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
9
地価の低い地方圏では利用価値のほうが高い
▼土地価格+建物(?)
▼収益還元価値(家賃現在価値)
地方圏の公示地価平均(H24)とJTIの借上げ家賃実績※の比較
※割引率年3%で計算した月額家賃25年分の割引現在価値(2014年5月現在)
最少額:実査定の下限値 次回退去時保証家賃:最少額 85%
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
10
0.0%
2013/11/14
2013/11/21
2013/11/28
2013/12/5
2013/12/12
2013/12/19
2013/12/26
2014/1/2
2014/1/9
2014/1/16
2014/1/23
2014/1/30
2014/2/6
2014/2/13
2014/2/20
2014/2/27
2014/3/6
2014/3/13
2014/3/20
2014/3/27
2014/4/3
2014/4/10
2014/4/17
2014/4/24
2014/5/1
2014/5/8
2014/5/15
2014/5/22
2014/5/29
2014/6/5
2014/6/12
2014/6/19
2014/6/26
2014/7/3
2014/7/10
2014/7/17
2014/7/24
2014/7/31
2014/8/7
2014/8/14
2014/8/21
2014/8/28
2014/9/4
2014/9/11
2014/9/18
2014/9/25
2014/10/2
2014/10/9
2014/10/16
2014/10/23
2014/10/30
2014/11/6
2014/11/13
空き家・空室率は3∼4% で安定的に推移
借上げ済物件にかかる空き家率と案件数の推移(2013.11-2014.11)
6.0%
600
5.0%
550
4.0%
3.0%
500
空き室率
案件数
2.0%
450
1.0%
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
400
11
JTIによる定額最低家賃保証制度の導入
持ち家の転貸家賃は地域にかかわらずほぼ5万円以上で、安定している。
数理面だけでなく、全国で募集業務を行える体制面の整備も進んできた。
空き家・空き室時の最低保証家賃を長期間一定金額以上
とすることを保証する制度を導入して、事前査定を実施
250"
250"
!
200"
200"
150"
150"
100"
100"
50"
50"
0"
0"
¥0"
¥50,000"
¥100,000"
¥150,000"
¥200,000"
¥250,000"
¥0"
¥50,000"
¥100,000"
¥150,000"
¥200,000"
¥250,000"
マイホーム借上げ制度制約案件にかかる家賃と建物面積(㎡)の関係(2014.5現在)
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
12
全国の家賃査定は2015年度でほぼ完成する
2013年度に1年間かけて、賃貸業務に従
事する担当者が、7桁の郵便番号で区分
された全国約12万の区域のうち、36503
地域について査定を実施。本年度も査定
を継続。
査定にあたっては、上記調査結果に基づ
いて、将来にわたって最低保証家賃の下
限を3万円・5万円・7万円のいずれかと
することができるか、できないとして同
一地域の一部であれば可能か、長期間事
前に保証することは難しい地域か、とい
う5つに区分。
この結果、19395地域については3万円・
5万円・7万円のいずれかの金額で事前保
証が可能な地域とされた
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
13
移住・住みかえ支援適合住宅証明書
̶最低家賃保証型̶
7
8
9
:
:
一般社団法人
住 宅・住みかえ支 援 機 構
大垣尚治
代表理事 (c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
14
開始後8年を経過し、本年夏頃から利用者数
が急激に増加を始めている
次のような要素が影響
しているのではないか。
JTI
125#
N=3244(2014.11.13
2014.4.10=100
11.13
2013.4.11=100
11.14
120#
1. 空き家に対するネガティ
ブな報道
2. 経済的な楽観論が後退
115#
2014#
3. 相続住宅の増加
2013#
110#
4. ネットワーク財として
の借上げ利用(周知が
一定水準に達すると指
105#
数関数的に利用者が増
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
11/13#
11/6#
10/30#
10/23#
10/16#
10/9#
10/2#
9/25#
9/18#
9/11#
9/4#
8/28#
8/21#
8/7#
8/14#
7/31#
7/24#
7/17#
7/10#
7/3#
6/26#
6/19#
6/5#
6/12#
5/29#
5/22#
5/15#
5/8#
5/1#
4/24#
N=2348(2013.4.11
4/17#
100#
4/10#
加する性質)
15
人口循環は静か
に始まっている!
15
54
(55
74
)
55
一般には地方圏から首
都圏・大都市圏に一方
的な人口移動が起きて
いるとの印象。
しかし、年齢層別にみ
ればアクティブシニア
層は逆の動きを示して
いる。
この層の旺盛な消費と
巨額の資産で地方を活
性させられないか?
QOLを軸とした地方創生の方向性(産業振興のみでは隘路)
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
16
【JTIを通じた空き家の利活用】
・・・といっても大した数ではありませんが。
JTIはこれまでに空き家や空き家に
なったかもしれない住宅を約650件
借り上げてきた。この機会に実態を
まとめてみると次の通りである。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
制度利用者の4割程度が既存空き家の利活用
2014.10
,"83 ,"13%
,"1 ,"0%
48%
,"311 ,"
39%
649
$
$
,"254 ,"
$
$
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
18
利用打診の段階でも4割近くが空き家利活用の希望者
4800 2014 10
"
,"248,"5%
58%
,"2800,"
,"1752,"37%
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
19
全体でみると築10年∼30年の住宅が3/4を占める
2014 10
0%#
10%#
20%#
30%#
40%#
50%#
60%#
70%#
80%#
90%#
100%#
10
10
20
20
30
30
40
40
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
20
既存空き家のほうが若干古い住宅が多く、
旧耐震物件の比率も高い
100%#
90%#
80%#
70%#
10
60%#
10
20
20
30
50%#
30
40
40%#
40
30%#
20%#
10%#
0%#
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
21
既存空き家のほうが若干古い住宅が多い②
2014
0%#
10%#
20%#
30%#
40%#
50%#
60%#
10
70%#
80%#
90%#
100%#
80%#
90%#
100%#
10
10
20
20
30
30
40
40
2014
0%#
10%#
20%#
30%#
40%#
50%#
60%#
70%#
10
10
10
20
20
30
30
40
40
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
22
耐震・著しい劣化への対応に必要な費用は築年が古
くなるにつれて増大し、制度利用の障害となる
93
!
12,000,000"
10,000,000"
8,000,000"
旧耐震物件であっ
て70年代であれ
6,000,000"
ば200万円以内に
収まる例が多い。
新耐震物件でも相応
に補強が必要になる
事例が少なくない。
4,000,000"
2,000,000"
0"
1960"
1965"
1970"
1975"
1980"
1985"
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
1990"
1995"
2000"
2005"
23
最終申込みに至った案件の当初査定額を現況空き
家と居住中で比較すると、後者が若干高くなる
n=536
耐震・劣化補強に要する費用
も現況空き家のほうが高い
n=79
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
24
【市場の分析】
空き家の実態を整理しておこう
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
空き家は確かに増えている
ただし、賃貸とその他、都市部とその他では異なる動き。
住宅総数
総数
別荘
6,063
5,210
820
25
16
1,787
1,572
203
4
愛知+静岡
510
438
69
大阪+京都+兵庫
864
739
3,161
売却用
本来の
空き家
429
31
318
3
131
12
53
4
1
40
2
22
121
1
3
67
6
44
2,749
393
9
7
238
20
119
2,902
2,462
427
17
9
191
11
199
5,759
4,960
757
24
17
413
35
268
1,660
1,458
186
4
4
113
13
51
愛知+静岡
473
412
57
5
1
31
2
18
大阪+京都+兵庫
814
694
113
1
3
65
7
37
2,946
2,565
356
10
8
210
22
106
2,812
2,395
401
14
9
203
13
162
△305
△251
△62.9
△1.1
▲1.0
△16.6
▲4.1
△50.3
東京+千葉+神奈川+埼玉
△127
△114
△16.9
▲0.7
▲0.3
△17.3
▲1.2
△1.8
愛知+静岡
△37
△26
△12.3
▲0.8
▲0.0
△9.0
△0.1
△4.0
大阪+京都+兵庫
△50
△44
△8.3
△0.1
▲0.3
△2.3
▲1.0
△7.3
△214
△184
△37.4
▲1.4
▲0.6
△28.6
▲2.2
△13.1
△90
△67
△25.5
△2.5
▲0.4
▲12.0
▲1.9
△37.2
全国
東京+千葉+神奈川+埼玉
2013年
速報値
小計
その他の県
全国
東京+千葉+神奈川+埼玉
2008年
調査
小計
その他の県
全国
5年間
の変化
空き家
居住世帯の
ある住宅
小計
その他の県
その他の 賃貸用住宅
二次的住宅 の空き家
※住宅土地統計調査平成20年、25年(速報)。速報値では大都市圏の集計があるが、平成20年にはないため該当県の合計値で比較。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
26
賃貸と持ち家は異なる動きをしている
大都市部では賃貸住宅の空き室の増加が著しい。
H20→H25
60.0#
景気対策、相続対策等のために需要をはるかに上回
る新築アパートの供給が行われ、既存アパートがクラ
50.0#
ウドアウトされて空室率が急速に悪化しているのでは
ないか。
40.0#
もしそうだとすれば、空き家対策以前の問題ではな
30.0#
いか。
地方では賃貸住宅の空き室は減少しているが、
持ち家の空き家化が深刻。
20.0#
本来親世代の既存住宅を循環させるべきところ、若
10.0#
年層が新築住宅を購入するため、親世代の住宅が空
き家化しているのではないか。
0.0#
もしそうだとすれば、空き家化を防止するために
は、新築ではなく既存住宅を若年層が有効活用する
住宅の世代循環を促進する新たな仕組みを検討する
必要がある。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
27
空き家の増大には新築住宅建築のあり方が
影響している可能性
大都市と地方の建築着工戸数の推移(H20→H25)
大都市:東京・千葉・神奈川・埼玉・愛知・静岡・大阪・京都・兵庫 地方:その他の全県
出所:建築着工統計(2013)
3大都市圏9県で残り
全県を上回る貸家着
工がなされている。
600,000
大都市
500,000
地方
400,000
同様に先行着工が可
能な分譲住宅(マン
ションが中心か)が
大量に建築されてい
る。
貸家
300,000
分譲住宅
持家
200,000
100,000
0
市
都
H
大
0
2
方
2
H
0地
H
大
1
2
方
方
方
方
方
市
市
市
市
地
地
地
地
地
都
都
都
都
21 2大
22 3大
23 4大
25
24 5大
H
H
H
H
H
2
2
2
2
H
H
H
H
市
都
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
28
非稼働化住宅全体をみる視点が必要ではないか
H20∼H25の新規着工数はその間の居住世帯のある住
宅総数の伸びをはるかに上回る。
住宅の世代循環一般の
そうすると、空き家に加えて、取壊し等何らかのかた
問題ととらえる必要。
ちで非稼働化した住宅がその差だけ存在するはず。
本稿の立場
非稼働化した住宅の多くは本来の寿命よりかなり短い
段階で取壊し・建替えの対象となった可能性が高い。
H20→H25住宅着工累計から想定される住宅の非稼働化
H20
H21
H22
H23
H24
H25
合計
(A)
新規着工累計
大都市計
地方計
る住宅の増加数
(B)
持家+分譲住宅
37
63
93
125
158
貸家
26
44
62
78
96
持家+分譲住宅
25
44
65
87
110
貸家
21
34
47
59
73
合計
▲居住世帯のあ
253
▲184
H20から
(C)=
(A)-(B)
70
183
▲67
116
437
▲251
186
の空き家
増減
(D)
▲13
▲29
▲37
12
▲67
▲112
▲141
▲253
※建築着工統計と住宅土地統計調査から大垣作成。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
29
【考察】
(作りすぎという問題はひとまずおいて・・・)
空き家が増える構造的理由があるのではないか?
住宅循環からのアプローチ
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
典型的な住宅購買層の親世代は
8割超の持ち家比率
相続期待は高い
世帯年年齢別
65歳以上世帯(所得別)
90%
100%
81%
79%80%80%
76%
73%
80%
67%
70%
95%
96%
96% 96% 96% 95%95% 94%
92%
90%
世帯数
累積比
90%
81%
80%
70%
58%
60%
持ち家なんか
いらないもん♪
66%
63%
60%
50%
46%
50%
40%
40%
30%
30%
30%
20%
20%
12%
10%
10%
2%
0%
75歳以上
70~ 74
65~ 69
60~ 64
55~ 59
50~ 54
45~ 49
40~ 44
35~ 39
30~ 34
25~29歳
25歳未満
0%
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
31
ただし・・・長寿化が住宅の循環を阻む
人生85年以上の時代になると、子世代がファミリー住宅が必要な世
代になっても親が住み続けているために新たに取得せざるを得ない。
でも
親が住んでる
のよね
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
32
こうして・・・
若い層はローンを借りてでも持ち家が欲しい(H23JTI調査)
!
75
65
75
60
65
55
60
50
55
40
30
30
0%#
10%#
20%#
じゃあ、オレ
も家買おう
30%#
40%#
50%#
60%#
70%#
80%#
90%#
100%#
しかし・・・
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
33
子育て層の生涯年収期待は確実に低下
入社年次別給与推移(名目)
22
住宅取得によって生涯可処分所得は大きく
影響を受けるようになっている。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
34
歴史的低金利というけれど・・・
冷静に考えれば定年後に10年以上返済が続く
35年住宅ローンは健全な金融商品とは言いがたい
前提
取得価額
地方圏
大都市圏
3,500万円
5,000万円
金利
2%
自己資金
350万円
500万円
借入額
3,150万円
4,500万円
借入れ時年齢
40歳
月返済額
104,348円
149,068円
総返済額
43,826,064円
62,608,663円
65歳時残高
11,340,491円
16,200,701円
定年後返済額合計
12,521,733円
17,888,190円
35年住宅ローン
現役時代に早期完済できず、退職金が十分もらえない人が35
年住宅ローンを借りて家を買うことは、老後に「自宅」では
なく「家賃の高い借家」に住むのと同じ。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
35
折しも、35年住宅ローンが標準となった2000年以降
の借入人がこれから徐々に役職定年・定年を迎える
,
27
186
(
:
06
0
,
,
,
(
(
,
,
,
,
(
(
0
0
0
(
(
(
(
36
(
(
(
(
(
(
(
(
(
549
(
(
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
36
それなのに!
持ち家指向は世代を超えて根強い(H23JTI調査)
!
!
75
65
75
60
65
55
60
50
55
40
30
30
0%#
10%#
20%#
30%#
40%#
50%#
60%#
70%#
80%#
90%#
100%#
?
持ち家指向の背後には何があるのか?
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
37
「持ち家」の意味するところ・・・
利用関係別戸あたり床面積の推移
(着工ベース)単位:㎡
分譲
分譲戸建
2000
140
106
92
53
70
2001
137
105
95
52
72
2002
136
105
93
50
70
2003
135
105
90
49
71
2004
134
105
89
48
67
2005
134
105
89
47
69
2006
133
106
86
46
67
2007
132
106
88
46
66
2008
130
105
84
45
64
2009
128
104
84
47
57
2010
126
103
84
50
63
2011
126
103
83
51
69
2012
125
103
82
51
70
2013
125
103
80
51
82
マンション
貸家
給与住宅
持ち家
その他
「持ち家」とは、
所有している家で
はなく、「持ち家
並の広さとクオリ
ティーの家」とい
うことなのではな
いか?
?
わが国では広い家に住むには買うしかない
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
38
それなら、「持ち家」を「貸家」として提供すればよいのでは?
幸い空き家はこれからいくらでも出てきそうである。
70年代∼80年代に作られて団塊世代の子育てを見守った住宅に
次の世代の子育てのめんどうもみてもらう。
内装・設備は完全にリニューアルして、新しい「持ち家グレード」
の家として子育てが終わるまで長期間住んでもらう。
これによって、わが国の数字が著しく短いと指摘される「廃棄ま
での期間」が倍になり、CO2問題の一助にもなる。
既存住宅が循環し、
循環する住宅が新築
される仕組みを築く
住宅循環
という発想
ここで重要なのは、「何を作るか」というハードの話ではな
く、「高いものをどうやって安く買うか」というソフトの話。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
39
住宅の長寿命化とライフスタイルの変化を反映
した「相続によらない住宅の世代循環」を実現
直線型ライフコース(これまでの住宅パラダイム)
空き家化
親世代
就労・子育て期
アクティブシニア期
高齢者住宅
は不足
老いじたく期
相続
高齢期に
メンテナンスは困難
世帯を上回る住宅戸数はある
が,親世代がシニア期にそれま
での持ち家に住み続ければ,子
世代は新たに家族住宅を保有せ
空き家にした家は,
相続する頃にはもは
や住めない状態に。
子世代
就労・子育て期
アクティブシニア期
老いじたく期
ざるをえなくなる。
循環型ライフコース
シニア期のための住宅
建築を促進して,家族
住宅を子世代に循環さ
せる政策[も]必要なので
はないか。
生活都市型住宅の建築促進
老いじたく期
相続
老いじたく期
親世代
アクティブシニア期
RENOVATION
子世代
親世代
子世代
親世代
就労・子育て期
就労・子育て期
アクティブシニア期
子世代
戦略的同居も
物理寿命におい
て健全に建替
収益資産として活用・メンテナンス
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
40
既存住宅の循環に向けて
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
住宅循環の対象物件は膨大
新耐震基準以降に建造された2階建て・3階建て以上の一戸建て住宅の件数(平成25年住宅土地統計調査)
全国
建築期
築後年数
防火木造
鉄筋・鉄骨コ
ンクリート
大都市圏
鉄骨
防火木造
鉄筋・鉄骨コ
ンクリート
その他地方圏
鉄骨
1981 1990
24-33
2,443,600
183,800
187,300 1,190,800
82,600
1991 1995
19-23
1,437,500
102,600
124,400
666,000
47,800
69,600
1996 2000
14-18
1,636,200
118,400
152,200
826,400
58,800
2001 2005
9-13
1,594,500
105,600
136,800
879,300
2006 2008
8-4
996,000
64,500
82,600
2009
3
271,300
18,400
2010
2
278,000
2011
1
2012
2013/1/9
ンクリート
鉄骨
81,900
771,500
54,800
54,800
93,000
809,800
59,600
59,200
56,000
87,000
715,200
49,600
49,800
528,600
33,700
50,100
467,400
30,800
32,500
23,500
146,600
9,700
13,800
124,700
8,700
9,700
17,700
23,600
154,500
9,800
14,600
123,500
7,900
9,000
282,100
18,700
22,600
157,000
10,300
13,800
125,100
8,400
8,800
0
266,300
16,000
19,700
147,800
8,800
12,000
118,500
7,200
7,700
­
174,500
10,400
13,200
92,400
5,800
8,600
82,100
4,600
4,600
築後年数
防火木造
鉄筋・鉄骨コ
ンクリート
105,400 1,252,800
鉄筋・鉄骨コ
101,200
関 東 大 都 市 圏
建築期
防火木造
中 京 大 都 市 圏
鉄骨
防火木造
鉄筋・鉄骨コ
ンクリート
近 畿 大 都 市 圏
鉄骨
防火木造
鉄筋・鉄骨コ
ンクリート
鉄骨
1981 1990
24-33
762,000
31,400
36,900
129,600
17,900
25,500
299,200
33,300
43,000
1991 1995
19-23
418,100
19,200
26,100
78,600
9,600
17,400
169,300
19,000
26,100
1996 2000
14-18
493,500
22,900
30,700
103,000
11,300
23,200
229,900
24,600
39,100
2001 2005
9-13
534,500
22,500
31,000
106,000
11,100
21,200
238,800
22,400
34,800
2006 2008
8-4
320,800
14,000
16,700
72,500
7,100
14,600
135,300
12,600
18,800
2009
3
89,600
4,000
5,200
21,000
2,400
4,100
36,000
3,300
4,500
2010
2
97,000
4,600
5,800
20,600
2,100
4,100
36,900
3,100
4,700
2011
1
97,100
4,700
5,200
22,500
2,300
4,100
37,400
3,300
4,500
2012
0
91,000
3,900
4,500
21,500
2,200
4,000
35,300
2,700
3,500
2013/1/9
­
56,200
2,900
3,000
14,500
1,200
2,500
21,700
1,700
3,100
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
42
住宅価格の構造
•
住宅価格は土地・スケルトン(構造躯体)・インフィル(設備内装)から構成
•
土地は永遠、スケルトンとインフィルの耐用年数は大きく異なる。
•
インフィルの耐用年数は概ね1家族の子育てステージ期間と合致
•
中古住宅の流通とは、ライフステージ完了時=インフィルの寿命において、土地+構造躯体
の残存価値を回収することとも考えられる ← これを私人間の市場に委ねることには無理
望ましい中古価格
現実
この差を埋め
ることは容易
購
入
価
格
設備・内装
ではない。
構造・躯体
土地
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
43
マイホーム借上げは中古住宅の利用価値を実現
•
マイホーム借上げ制度等によって、住まなくなった住宅を賃貸運用することは、空き家にし
ていても減価する価値、すなわち、住宅の持つ利用価値を入居者に売ることと同じと位置づ
けられる。
•
いいかえれば、賃貸とは住宅の収益還元価値の実現手法であり、中古住宅流通の一形態とい
うことができる。
空き家にしていても減価
する価値を家賃で回収
※ 設備・内装は最小限の投
設備・内装
資にとどめて家賃に反映
購
入
価
格
収益還元価値
売却理論価値
構造・躯体
構造・躯体
中古市場の価格
土地
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
44
中古住宅流通から住宅循環へ
すぐに使えないものはそのままでは流通しない。すぐに使えないから値段がつかない。放置
されば空き家になる。
•
中古住宅の物理的価値をインスペクションによってどれだけ評価しても、根本的な解決にはならない。
築後5年の住宅は「中古住宅として流通」する。しかし、築後25年の住宅は「内装・設備
を再投資して再生住宅として販売・賃貸」する新しいビジネスモデルが必要。
•
そうでなければ、「まだ住める家」として漠然と住み続ける「終の住処」になってしまう。
•
本来リフォームが必要だが、シニア期には不要不急の出費は難しい。ローンを借りてまですることとい
う理解は希薄。
ほとんどの「持ち家」はファミリー住宅。再生するには次の子育て世代にもう一循環住ん
でもらう住宅の「世代交代」が必要。
1. 移住・住みかえの捕捉
•
①住みかえを事業者もビジネスイベントとして確実に捕捉し、②潜在需要としての住みかえを顕在化し、③
より積極的に、セカンドライフのために住みかえたい「住宅+場所」をプロモートする必要がある。
2. 単に賃貸・売却するのではなく、「再生投資」が行われるビジネスモデルと組み合わせる。
•
再生住宅
•
DIY型長期リース+おまかせ借上げ制度
3. 住み続けるなら、ファミリーにも住んでもらう「賃貸併用型二世代住宅化」に建替・リフォームする。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
45
0"
2013"
2012"
2011"
2010"
2009"
2008"
2007"
2006"
2005"
2004"
2003"
2002"
2001"
2000"
20#
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
2000#
2002#
2004#
2006#
2008#
2010#
2012#
2000#
2002#
2004#
2006#
2008#
2010#
2012#
200,000"
2000#
2002#
2004#
2006#
2008#
2010#
2012#
1,200,000"
2000#
2002#
2004#
2006#
2008#
2010#
2012#
1,400,000"
2000#
2002#
2004#
2006#
2008#
2010#
2012#
一方、このまま何もしないと住宅需要は減少が続く
可能性が高いのではないか。
140#
120#
1,000,000"
100#
800,000"
80#
600,000"
60#
400,000"
40#
建築着工統計調査より2000年=100
46
住宅購買層の変化のイメージ
従来30代∼40代で「そういうもの」として
持ち家を購入していた中間層が剥落していく。
買わずに「持ち家」に
住む仕組みが必要
人口減
ハイエンド
持ち家購入
ミドル
剥落
•
公的住宅
民間賃貸
•
セーフティーネット
•
ローエンド
ハイエンド
ミドル
ローエンド
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
47
しかし、人口構造の形状に着目すれば、これからの10年
はむしろ戦後最も購買人口が多い時期とみることもできる。
問題は住宅需要の構造変化に対応できるか(次頁参照)
2012年頃から購買層の主役が世代交代。
勢いと慣性で持ち家取得していた層が去り、将来不安が顕在化し
た層に主役が移る。
ただし、購買層の人口そのものはむしろ増加。この層の将来不安
を除去して、その心を掴めばむしろビジネスの増大を狙える。
団塊層はこれまでの常識では「終わった」層。しかし、住みかえ
ニーズを顕現化させ、これを既存住宅の循環によって資金的に裏
付ければ、2015年から10年間が追加的なビジネスチャンスに。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
48
0"
2012
2020
現役購買層
24年以降は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口、過去は人口動態統計に基づく
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
現役購買層
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
団塊世代が
2015
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
2000"
2010
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
2005
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
35
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
0"
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
2000"
0 4
5 9"
10 14"
15 19"
20 24"
25 29"
30 34"
35 39"
40 44"
45 49"
50 54"
55 59"
60 64"
65 69"
70 74"
75 79"
80 84"
85 89"
90
2000
2025
10000"
8000"
6000"
4000"
団塊Jrの心を掴めるか
引退団塊に動きを
起こせるか
2030
10000"
8000"
6000"
4000"
団塊Jrが
現役購買層が激減
単位:千人
49
住宅循環をビジネスにするという発想
新たに子育て世代になる者に新築住宅を売り、古屋の保有者に建替を推奨し、
相続税懸念のある遊休地保有者に狭小アパートを建てさせるというワンパター
ンの営業では住宅産業の行き詰まりは明らか。
生涯年収期待に見合った家を売るという発想では値引き合戦の隘路に嵌まる。
コアコンセプト:住宅の期間所有
長寿命
新築住宅
既存住宅
ライフスタイルに適合した住宅を
その期間だけ所有して住む
築後20年∼30年の
住宅を取得・賃借し
た者が自ら再投資し
てあと一世代住む
住宅循環事業
ハード:長寿命住宅(すでに存在)
ソフト:マイホームリース
長期DIY型リース
4世代が25年ずつ
100年住宅を循環
して所有する
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
50
大垣の妄想:
住宅循環による投資押し上げ効果のイメージ
新築住宅の自然減を既存住宅循環+リース導入による長寿命住宅の
着工増・投資金額増+将来の再リース投資で補完。
新築着工
①既存住宅循環に
よる請負増
③再
の自然減
長寿命住宅
②リ
リー
ス物
件投
資
ース
導
現行シェア
入に
1/4
よる
着工
非長寿命住宅
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
増・
投資
増
51
【そこで・・・】
JTIでは、空き家発生の防止と既存空き家利活用
のために住宅循環ビジネスの支援事業に取組み
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
空き家利活用
1. DIY型長期リース
既存住宅(耐震)
期間指定型(長期)
•現行の耐震基準を満たす住宅を対象。
•10年程度以上の長期定期借家契約でJTIが借上げて、長期転貸
•インフィルの耐用年数と転借期間をほぼ一致させることで初期投資を
DIY型長期リー
ス
借家契約期間で償却。
•リフォームは入居者が実施。提携ローンを提供。
•借地借家法に基づく中途退去リスクはJTIが吸収。転貸も10年以上の
場合家賃差額は5%とする
•造作買取義務なし
•原状復帰義務なし(故意・重過失による滅失の場合を除く)
•JTI(オーナー)による定期点検受忍義務
現状有姿で長期定期借家契
約により賃貸(最低10年程
度を目安)
家賃定額保証
定期点検
入居者リフォーム
提携リフォームローン
承諾
設備/内装施工
転貸
住宅
保有者
入居者
躯体リース料
リフォーム
資金
躯体リース料
リース料(政府基金保証)を担保化
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
民間銀行等
53
空き家
利活用
2. おまかせ借上げ制度
+DIY型長期リース
制度利用者
DIY型長期リース
耐震リフォーム(JTI)
入居者リフォーム
住宅機構等からの融資
提携リフォームローン
空き家もしくは空き家化が予定される住
工事金額は500万円を超えないものとす
宅を保有する者(年齢制限は本制度につ
る。
いては課さない)
借上げ期間
既存住宅(築年が2000年以前の一般戸建住宅)
借上げ家賃
① 10年以上の期間の定期借家契約とする。
転貸家賃から以下を控除した金額
① 空き家/空き室積み立て金 5%
② 管理費 5%(現行通り)
② 10年経過後は終身もしくは期間指定型
③ 耐震改修費用の月割り額(2万円∼5万
の通常制度で新規契約をすることができ
る。
転貸借の特例
① 転貸借は借上げ期間を超えない期間の
円程度以内)
定額最低家賃保証
場合であっても、最低限③の金額を下回
DIY型長期リースとする。
らない定額最低保証家賃の支払いが保証
② 転借人が中途退去した場合にはJTIの判
される(期中に制度利用者の持出は起こ
断で3年等の定期借家契約で運用する。
建物診断の特例
JTIにおいて、必ず耐震診断を含む建物
らない)。
制度利用者からの中途解約
JTIにおいて、耐震基準値を原則として
当初10年間は中途解約は認
められない。
診断を実施する。
耐震改修の特例
中途退去により空き家・空き室となった
造作買取請求権
期限においてJTIは耐震改修にかかる造
1まで引き上げる耐震改修工事ならびに
作買取請求権を有しない。
JTIが必要と認める劣化補強工事を実施
ただし、制度利用者が、10年以内に制
する。
度利用者の事情で借上げを終了させる場
工事内容については制度利用者の承認を
合には、JTIがあらかじめ定めた残存価
得る。
格表(借入れ元本残高に一致)により改
修費を清算せねばならない。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
25年4月開始
54
おまかせ借上げ制度+DIY型長期リースの仕組み
躯体/構造補修・補強
現状有姿で賃貸
空き家
保有者
設備/内装施工
躯体リース
インフィル
リフォーム
資金
入居者
躯体リース料
躯体リース料
耐震等リフォーム資金
住宅金融支援機構
民間銀行等
手取り家賃の
目安(反転部分
は手取りが転貸家
賃の半分未満と
なる場合)
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
55
入居者募集のイメージ
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
56
11
10
25
SLDK
112
1
120
2
m
1987
JTI
×
/
3
600
2
/
/
DIY
/
/
/
/
/
5
/
/
/
/
/
/
/
JTI
JTI
1
4500
112
15
120
3600
1.5
900
35
35
24
11
4620
3
10
1
38
25
35
2220
4200
5520
1920
3900
5
2
3
35
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
57
【空き家の根絶に向けて】
新築市場における住宅金融革命
マイホームリース
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
再論:家を買うとはどういう行為だったのか
100年住宅といっても、保つのは構造・躯体(スケルトン)のみ。
住む者にとってより重要な内装・設備(インフィル)の耐用年数
は15年∼25年。
それなら、スケルトンは賃借(レンタル)してインフィルのみ所有
する「持ち家」の形態があってよいのではないか。
この場合、インフィルは「所有」しても、耐用年数に等しい期間、
取得価額+金利相当の賃料で「リース」しても同じ。
期間所有=(土地+スケルトン)のレンタル
+インフィルのリース
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
59
マイホームリースという発想
1. 持ち家グレードの躯体を公的主体が保有・借り上げて
賃貸(複数世代利用)
2. 入居者は持ち家グレードの内装・設備を自ら施行して
経済耐用年数で償却(ファイナンスリース)
3. 中途解約は許すが造作買取権は放棄させる
4. 新築対象については期限に買取オプションを提供
マイホームリースに関する受容度アンケート(n=1333)H23JTI実施
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
新築マイホームリースの構造
物の経済耐用年数>>実際の利用年数 の場合には、リース化して利用期間ごとの
「期間所有化」することに合理性。
•
•
構造躯体は10年∼25年の長期で賃借。
設備内装は入居者が毎回リノベーションして
賃借期間で償却
長期定期借家契約
・原状回復なし
・造作買取なし
1世代
2世代
躯体家賃
保有
借上げ
躯体家賃
構造・躯体
3世代
4世代
躯体家賃
躯体家賃
減価する価値(利用
価値)を家賃で回収
主体
土地
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61
新築・売却型マイホームリースの仕組み
中古流通型
躯体/構造補修・補強
売却
住宅売主
空き家
保有者
代金
設備/内装施工
躯体リース
住宅保有法人
買主
JTI
入居者
リフォーム
資金
躯体リース料
購入資金
リフォーム資金
住宅金融支援機構
民間銀行等
新築長寿命住宅型(セールリースバック方式)
売却
メーカー
工務店
購入
注文主
買主
リース
住宅保有法人
JTI介在
リース料
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
購入資金
維持管理資金
62
住宅ローン+所有 vs. マイホームリース
住宅ローンで所有権を買う
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住宅ローン+所有 vs. マイホームリース
マイホームリースで居住(期間所有権)を買う
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得・損ではなく、
生涯コストの比較
ライフスタイルの問題
取得価額
地方圏
大都市圏
3,500万円
5,000万円
金利
前提
2%
自己資金
350万円
500万円
借入額
3,150万円
4,500万円
借入れ時年齢
35年住宅ローン
25年リース
40歳
月返済額
104,348円
149,068円
総返済額
43,826,064円
62,608,663円
65歳時残高
11,340,491円
16,200,701円
定年後返済額合計
12,521,733円
17,888,190円
月リース料
104,348円
149,068円
総リース料
31,304,332円
44,720,474円
65歳(リース満了)時債務額
0
0
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
65
リースの導入によって、住宅事業者の仕事のやり方
が大きく変わることはない。
住宅展示場
住宅保有法人
これまで通りの営業
ローンを組みますか?
展示場
リースにしますか?
リースの場合もロー
ン審査
住宅セール
リースバック
JTI介在
住宅ローン
債務引受
請負契約締結
住宅完成・引渡
住宅ローン借入
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66
債務引受型住宅ローン
実質的な購入者が借り入れた住宅ローンを引渡と同時に住宅保有主体が債務引受。
•
有利な条件の住宅ローンをそのまま住宅保有主体の調達に活用。
•
リース期間満了時に買取オプションを行使するときは、そのまま住宅ローンの再引受す
ればよい。
中途解約時やリース債務不履行による強制解約時には、JTIが借上げ保証を行うことから、
「事実上貸し倒れないローン」が実現。
•
重畳的債務引受を行い、借上家賃を担保化するだけであり、特段追加的な商品開発は不
要。
•
JTIの借上げ家賃による事実上のノンリコース型ローンは、住宅機構の家賃返済型フラッ
ト35や常陽銀行・埼玉りそな銀行の家賃返済型リバースモーゲージに商品化がなされて
いる。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
67
マイホームリースの問題
発想そのものは10年前か
らあった。
小規模住宅にかかる定期借家契約
の入居者には事実上の中途解約権
がある。
長期契約では解約権を認めること
に相応に合理性。
再運用を確実に行える体制の確立
が制度導入上必須。
借地借家法 第三十八条 (定期建物賃貸借)
1 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面に
よって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないことと
する旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじ
め、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の
満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付し
て説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこと
とする旨の定めは、無効とする。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物
の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」
という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知を
しなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸
人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通
知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸
借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物
に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情に
より、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったとき
は、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合にお
いては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係
る特約がある場合には、適用しない。
逆に言えば、中途退去時の再運用さえ確実に保証できれば、「返せなく
なったら造作を放棄して出ていけばよいだけの住宅金融」が実現!
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
68
JTIによる再運用リスクの吸収にめど
大垣尚司「長寿化社会における定期借家制度の新たな位置づけ­公的定額借上げ制度を活用したマイホームリースの可能性­」立命館法学355号124-162頁より(一部編集)
再運用リスクの分析
5. 長期リース契約が解約された場合には発生時期にかかわらず爾
後は3年の定期借家契約で再運用するものとし、当初入居者決定
までに平均180日(標準偏差30日)を要するものとする。なお、
家賃水準はもともと非常に安定していることに加え、一般に短
期運用のほうが高めの家賃をとることができるので、今回のシ
ミュレーションでは家賃変動リスクは考慮せず、中途解約率を保
守的に設定することにした。
通常の集合住宅の借上げと異なり、長期定期借家の再運用リスクに
は特殊な考慮が必要である。ここでは、全国に十分に分散された借
上げポートフォリオを前提に、次のようなモデルを構築しシミュレー
ションを実施した。
1. 土地建物の取得価額は以下の3種類とし、それぞれがポートフォ
リオに占める件数割合はA地域:50%、B地域30%、C地域20
%とする。
6. 再運用契約の家賃水準は、物件が築浅の優良物件であることか
ら、実際には長期リースより高めの設定が可能と考えられるが、
同水準でしか運用できないものとし、家賃差額も本来の10%で
はなく5%しかとれないものとする。
シミュレーションの前提
土地
坪単価
建物
面積(坪)
価格
価格
構造躯体
内装設備
60%
40%
150,000
60
9,000,000
35,000,000
21,000,000
14,000,000
B
500,000
40
20,000,000
35,000,000
21,000,000
14,000,000
C
1,000,000
30
30,000,000
35,000,000
21,000,000
14,000,000
7. 再運用後は、半年に12%程度の解約が生じ、再募集にはJTIのこ
れまでの実績値を踏まえ平均100日(標準偏差70日)かかるも
のとする。この期間についても、最低保証家賃ではなく、長期
リース契約の家賃額面100%を保証するものとする。
2. 土地と構造躯体の費用を50年借入れ(年利2%)でリース主体
が調達し、残額は入居者が負担するものとする。月返済額はABC
の順位に、79,137円、108,154円、134,533円となる。
8. 以上の前提に基づき、家賃差額から空き家負担を除いた積立金
の20年目ならびに25年目における残高のシミュレーションを実
施。シミュレーションにあたっては最も変動が大きいと考えら
れる ⑤と⑦の空き家期間について、その分布を対数正規分布
と仮定して1万回程度の試行を行った。
3. JTIは自らリース主体となるか、リース主体とユーザーの間に介
在し、上記家賃額面100%を空き家の場合にも支払うことを保
証するものとする。リース料は家賃差額が5%となるように決定
する。入居者が内装・設備について物件取得総額の1割程度の自
己負担をした上で、残額を20年の借入れで調達すると仮定した
場合の各地域における正味負担月額(租税負担・管理費・メン
テナンス費用を除く)のイメージは下表の通りである。
シミュレーションの結果
シミュレーションの結果、20年目の積立金残高はゼロとならない
ことがわかった。また、25年目の積立金残高が負値となる確率は1.5
%程度である(98.5%パーセンタイルの安全率)ことがわかった(右
図)。いいかえれば、上記前提であれば基本的には国の債務保証基
金に手を付けることなく収支相等以上の運営を行うことができる。
4. 長期リース契約にかかるやむを得ない事情による中途解約率は
年率3%、また、リース料の債務不履行により解約となる率は年
率1.5%とする(参考:住宅金融支援機構の初期延滞を含む総延
滞率は約1.5%、繰上償還(最終貸倒れ)に至る比率は約0.3%
程度)。
入居者
RHC
借入額
借入
金利
借入
年数
月返済額
自己資金
5%
10%
借入額
借入 借入
正味
月返済額
金利 年数
月負担
30,000,000
2%
50
79,137
83,302 3,000,000 4,400,000
2%
20
22,259 105,561
B
41,000,000
2%
50
108,154
113,846 5,000,000 5,500,000
2%
20
27,824 141,670
C
51,000,000
2%
50
134,533
141,614 8,000,000 6,500,000
2%
20
32,882 174,496
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
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マイホームリースの理想型
住宅保有法人の設立と低利資金調達の実現
•
当面は債務引受方式を活用してJTI自身が住宅保有法人の役割を果たす仕組み(自己信託を活用して倒産隔離を
実現可能)を採用しパイロット事業を展開。
•
ただし、理想的には特別法に基づくREIT的な法人がセールリースバックの相手方となり、JTIはバックアップ借
上げ機能の提供に特化することが望ましい。
•
この場合、住宅保有法人のエクイティー持分を立ち上げ時に政府が保有し、10年∼15年程度の期間をかけて漸
次証券市場に売り出していくことにより(一種のresidential REIT)、同法人の資金調達を支援すると同時に、
その価格形成を通じて戸建住宅の収益還元価値のインデックスとしての役割を果たさせることが考えられる。
住宅保有法人
売却
メーカー 購入
工務店
注文主
買主
リース
リース料
長寿命
住宅
デット
調達
証券市場
持分
漸次売出
当初出資
バックアップ借上げ
(中途退去リスクの吸収)
基金保証
政府
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若干の提言
住宅循環の現場から・・・
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若干の提言:住宅循環にかかる障害の除去①
銀行・預金金融機関が行う大口(おおよそ工事
金額額100万円をめど)のリフォーム融資に関
し、貸主に対する割賦販売法(個別信用あっせ
ん、ローン提携等)の適用除外を明確化する。
銀行がリフォーム融資に消極的な大きな要因である
ことが明白であるにもかかわらず、経産省・金融庁・
国交省のはざまに落ちて話が進んでいない。行政最大
の怠慢!!
大口リフォーム融資(無担保)を行うノンバン
クに対して団体信用生命保険の利用を認める。
新貸金業法で不動産担保ローンを除いて利用が禁止さ
れているが規制が広範に過ぎる。
保険業界と金融庁に、長期リース借主死亡時に
残存期間にかかるリース料を保障する新しい団
体生命保険(もしくは、その場合に将来リース
料を免除する貸主の負担を保障する企業利益保
険(損害保険))の開発を促す。
カード払いとした上でカード会社との提携生命保険と
するといった工夫も可能ではないか。
戸建住宅の再生住宅融資にかかる特有のリスク
に対応するための住宅売主瑕疵保証責任保険制
度の充実と利用の促進と、これを根拠とする中
古住宅取得時における大規模修繕費用の見積も
りならびに当該見積金額を含む総融資額に対す
る融資承認を取得前の時点で行う仕組みの構築。
個人間の中古住宅売買が大規模修繕(請負契約)に
先行するため、購入後に住宅の瑕疵が発見された場合
に最終融資額が受けられなくなるリスクを事実上買主
が負担することになる。
不動産売買契約において購入時に予定されていた改
修工事が困難となるような住宅の隠れた瑕疵が発見さ
れた場合には契約を解除できることを明確化する(現
在は瑕疵保証期間を3か月程度に縮減。また、個人売
主の場合事実上解除に応じて代金を返還することが難
しい場合が多いという問題がある)と同時に、解除に
金融庁は借主の団体性の認定に慎重。生命保険業界は
応ずるため、①代金を一定期間保全する措置か、②売
保険価額が少額になることから消極的。損保業界は無
買瑕疵保証保険への加入、のいずれかを売主に事実上
関心。
義務づけてはどうか。
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若干の提言:住宅循環にかかる障害の除去②
返済の引当てとなるJTIの支払い家賃(実質的に
•
減。
は住宅の収益還元価値)に対する国の家賃債務保
証基金の積立と、JTIが行う合理的な家賃保証引
当金の損金算入。もしくは、別途債務保証を行う
公益財団法人を設立して、保証料を支払い実質的
リース料債務不履行時の退去明渡し手続きのコスト低
長期リースの貸主に関するイベントリスクの排除
•
に無税積立を実現する等の仕組みを検討する。
貸主の破綻等をきっかけに貸主の債権者によって入居
者の賃借権がおびやかされることがないように配慮す
る必要。
現在の保証基金の受け入れ先である高齢者住宅財団が
公益財団から一般財団に移行したため、受け入れ先を
•
別法人化する根拠が希薄に。
性格をより明確にするために、期間が10年程度を超え
る長期リースについて借家権の登記請求権を借家人に
自己信託の設定により基金の倒産隔離が可能。逆に、
認めてはどうか。
現在の高齢者住宅財団については特段の保全措置がな
されていない。
•
自主的な債務保証基金の積立が現在有税でしか行えな
い(理論的には家賃差額から家賃負担実現金額を控除
借地借家法の特例はあるが、「期間所有権」としての
なお、上記の点を除いて現行借地借家法の規定を大き
く改めるニーズは感じない。むしろ、長期リースにお
いては借り手の権利確保が重要。
した剰余差額の60%しか積み立てられない)。長期リー
ス(定期借家)にかかる借主にかかる信用リスクの低
マイホームリースの住宅保有法人関連制度整備。
減
•
貸主が何らかのかたちで借主の個人信用情報にアクセ
スできる方法を検討する。
マイホームリース実施時のセールリースバックに
かかる登記費用の低減。
(c)Hisashi Ohgaki 複写・再利用等一切を禁じます。
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