概要 - 東京くらしWeb

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くらしの安全情報 Vol.43
Ⅰ クローズアップ
Ⅰ クローズアップ
1 高齢者の転倒転落に占める履き物と自転車の原因等
−高齢者危害・危険情報分析調査結果について−
東京都生活文化局消費生活部生活安全課
高齢者には、転倒転落事故や自転車事故が多
月末日まで)に歩行中に転倒転落した高齢者は
いことが各方面から指摘されてきたが、その正
2 3 . 7 %と4人に1人が転倒転落を経験してい
確な実態については明らかではなかった。東京
る。男女別にみると、男性が 16.2%に対して女
都では3年間にわたり、毎年65歳以上の都民約
性が27.9%と割合が高くなっている。年齢別に
1 0 0 0人にアンケート調査を実施し、結果をま
みると、9 0歳以上の転倒転落は4 6 . 2 %と一番
とめた。最終年度となる今回の調査では、過去
高く、次に85歳から89歳が30.8%、80歳から
2年間で明らかになった「履き物」「自転車」に
8 4歳までが3 0 . 2 %と、年齢が増えると転倒転
ついて更に詳しく調査し、「生活の工夫」と転
落する頻度が高くなる。
倒転落との関係についても調べ、報告書「高齢
転倒転落した高齢者うち 78.6%がけがをして
者の転倒転落に占める履き物と自転車の原因
おり、男性が73.2%、女性が80.3%で、女性の
等−非常に多い転倒転落防止の諸問題を探
方が、若干高い割合となっている。
る−」を発行した。
1年間の歩行中の転倒転落によるけがの有無
1 歩行中の転倒転落
合計(n=168)
(1)1年間の歩行中の転倒転落
1年間に4人に1人が転倒転落を経験
男性(n= 41)
1年間(平成1 2年1 1月1日から平成1 3年1 0
女性(n=127)
0
1年間の歩行中の転倒転落の経験
合計(n=708)
27.9
21.0
70∼74歳(n=169)
24.3
75.7
75∼79歳(n=152)
21.7
78.3
40
60
80
100%
転倒転落した原因で一番多いのが「つまづい
79.0
た」47.0%、「バランスを崩した」 32.1%、「滑
80∼84歳(n= 63)
30.2
69.8
85∼89歳(n= 39)
30.8
69.2
0
20
けがをした けがはなかった
72.1
65∼69歳(n=272)
90歳∼(n= 13)
19.7
80.3
83.8
男性(n=253) 16.2
女性(n=455)
26.8
73.2
76.3
23.7
21.4
78.6
46.2
20
転倒転落した
った」 3 1 . 0 % となっている、また、「よろけ
た・ふらついた・足がもつれた」等体力や筋力
の低下によるものも大きな割合を占めており、
特に女性が多い。
53.8
40
60
80
100%
転倒転落していない
−1−
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転倒転落の原因として指摘した履き物は、便
男女別・1年間の歩行中の転倒転落の原因(複数回答) 41.5
つまずいた
31.7
32.3
29.3
31.5
バランスを崩した
滑った
利な「つっかけ」「スリッパ」が上位2位を占
48.8
めた。これらはともに「滑りやすい」「引っか
かりやすい」という理由が大半を占めている。
また、安全と思われる「ウォーキングシューズ」
17.1
20.5
14.6
19.7
14.6
18.1
12.2
17.3
足を踏み外した
よろけた・ふらついた
物に引っかかった
足がもつれた
人・物・自転車・車
などをよけた
「スニーカー」でも雨で床面が濡れていたこと
や靴底がすり減っていた等の条件が重なること
での転倒転落も起きている。
6.3
2.4
1.6
2.4
0.8
2.4
0.8
2.4
3.9
リズムを崩した
人・物・自転車・車などに
ぶつかった・跳ね飛ばされた
人に押された
その他
0
10
履き物に原因があったと答えた人の履き物ごとの
原因の種類(1年間)複数回答(上位6位)
9.6 3.8
20
30
男性(n=41)
40
50
合計(n=52)
61.5
つっかけ(n=17)
58.8
スリッパ(n= 7)
60%
ウォーキングシューズ(n= 4)
75.0
75.0
くつした(n= 4)
(2)履き物が原因の転倒転落
「つっかけ」「スリッパ」は要注意!
30
11.8
28.6
5.9
16.7 16.7
25.0
50.0
25.0
25.0
75.0
0
9.6
17.6 23.5
42.9
83.3
スニーカー・運動靴・ズック(n= 4)
17.3
52.9
71.4
ローヒール(n= 6)
女性(n=127)
34.6
60
90
120 150 180%
引っかかりやすい
滑りやすい
ゆるい
小さかった
かかと・そこが厚い
その他
町内会の集まりが終わり、2階の部屋を出
て雨に濡れた集会場の外階段を下りる時、
「つっかけ」の事故事例を見ると、家の回り
「つっかけ」の底が滑った。バランスを崩し
の作業や近所へのちょっとした外出時に履き転
階段を4、5 段落ち頭を打って1ヶ月入院。
倒転落している。「つっかけ」は、形状から考
履いていた「つっかけ」は底が滑りやすかっ
えても足が固定されておらず、足元が不安定で
た。
(69歳男性)
転倒しやすい履き物である。家への出入りや庭
での作業などには非常に便利だが、高齢者にと
1年間に転倒転落した高齢者のうち、38.5%
っては最も危険な履き物となっている。事例で
が履き物に原因があったと答えている。
は、このような危険な履き物を雨や雪の日でも
1年間で 履き物が原因となった転倒・転落の有無
(n=135)
履き物に
原因はない
61.5%
安易に利用している状況が見られる。
「スリッパ」の事故事例をみると、「急いで
玄関に行こうとしてスリッパを突っかけ、つま
履き物に
原因が
あった
38.5%
ずいた」
「夕方薄暗くなってきた頃スリッパを履
いて階段を降り、足を踏み外した」等があった。
アンケートによる高齢者の望む履き物は、
「濡れた路面で滑らず、乾燥した路面でつまず
−2−
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かない安全な靴を作って欲しい」との意見が多
かった。靴の「滑り」についての規格を作り、
道路・公衆施設(乗り物を含む)の現場の原因の種類
(上位8位)
複数回答(n=56)
「滑り度」等分かりやすい表示が望まれる。
階段・段差があった
39.
3
穴・凸凹・傾斜があった
(3)現場(場所)が原因の転倒転落
21.
4
放置自転車・看板・電柱・ポール・
街路樹等の障害物があった
道路・公共施設等ではちょっとした段差や凸
14.
3
路面・床が濡れていた
凹に注意!
10.
7
雨が降っていた
8.
9
床材・床面が滑りやすかった
8.
9
買い物の帰り道、自動車が来たのであわて
人に押された・人と接触した・
人を避けようとした
7.
1
て歩道へ上がろうとして、向こう側に傾斜し
暗かった
7.
1
0
ていた歩道のわずかな段差につまずいて転
び、ひざを打ち骨折。1ヵ月半入院した。(69
10
20
30
40
50%
転倒転落により医者にかかった割合をみる
歳女性)
と、69.7%が医者にかかっている。医者にかか
1年間に高齢者が転倒転落した場所は、住宅
った期間は、1か月以上が最も多く 5 0 . 0 %、3
が43.9%、道路が34.5%、公衆の場所が17.6%、
週間∼1か月17.4%となっており、高齢者の事
乗り物が1 . 4 %と、道路・公衆施設(乗り物を
故は完治までにかなりの時間がかかる。事例に
含む)で半数強の転倒転落事故が起きている。
おいても、ちょっとした段差や凸凹につまずき
骨折やねんざ等、道路・公衆施設でのけがが重
転倒転落した場所(n=148)
1.4%
2.0%
症になっている。
0.7%
道路・公衆施設(乗り物を含む)で医者にかかった割合
(n=66)
17.6%
43.9%
34.5%
住宅
道路
公衆の場所
自然の場所
乗り物
その他
かかっていない
30.
3%
医者にかかった
69.
7%
道路・公衆施設(乗り物を含む)で転倒転落し
医者にかかった期間(n=46)
場所の原因は「階段・段差があった」が
39.3%、「穴・凸凹・傾斜があった」が21.4%、
1日
10.
9%
「放置自転車・看板・電柱・ポール・街路樹等
の障害物があった」が14.3%の順となっている。
1か月以上
50.
0%
2∼3日
6.
5%
1週間
6.
5%
1∼2週間
8.
7%
3週間∼1か月
17.
4%
−3−
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高齢者からの道路についての自由意見では、
んど毎日・かなり使用」しており、足腰の弱っ
「階段・段差がわかるように色分けをして欲し
てきた高齢者が行動範囲を広げる手軽で便利な
い」や「道路・駅舎の表示を分かりやすく」、ま
交通手段として使用している実態がうかがえる。
た「道路工事後の凸凹・歩道タイルのへこみの
1年間の自転車の使用状況(n=700)
整備」等の意見が寄せられた。
使用した
ことがない 使用した
ことがある
45.6%
54.4%
●歩く時のポイント
①近所に出かける時でも「つっかけ」など脱げ
やすい履き物ははかない
②家の階段では「スリッパ」ははかない方が安
全
自転車の使用頻度
③靴は、足にあった滑りにくいものを選ぶ
④濡れた路面や段差は十分に注意して歩く
合計(n=381)
46.7
⑤時間に余裕をもって、あわてず、周りに注
男性(n=177)
38.4
女性(n=204)
意して歩く
0
⑥リュックサック・ポシェットなどを使用
34.5
27.1
24.0
22.1
53.9
20
40
ほとんど毎日使用
し、手はふさがないようにする
28.9
24.4
60
80
かなり使用
100%
たまに使用
⑦混雑している場所は避ける
⑧体調が悪い時、疲れている時外出は外出は
しかし、1年間に24.4%の高齢者が自転車の
控える
転倒を経験し、うち7 8 . 2 %がけがをしている。
自転車の転倒の原因は「ペダルが滑った・車体
2 自転車使用中の転倒
高齢者は使いにくいと思いながらも自転車に
が高く乗りづらい」といった自転車の原因、
「自転車を避けようとした・段差があった」と
乗っている
いった場所の原因、「急いでいた・あわててい
た」といった自分自身の原因が重なっている。
買い物をして、たくさんの荷物を自転車の
自転車が原因と答えた人の自転車の原因の状況
(上位5位)
前カゴに載せて走っていて、道路の凸凹にハ
複数回答(n=21)
ンドルを取られて転倒。左手首にひびが入
28.6
ペダルが滑った
り、治るまでに2ヶ月かかった。荷物の積み過
ぎでハンドルが上手に切れなかった。(67歳
女性)
1年間で54.4%の高齢者が「自転車を使用した
車体が高く乗り降りしづらい
23.8
足が届かなかった
23.8
ブレーキが操作しづらかった
14.3
安定性が悪く乗りにくい自転車だった
14.3
0
ことがある」と回答し、そのうち、71.1%が「ほと
−4−
10
20
30%
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転倒転落した場所の原因(上位5位)
使用自転車の使いやすい点(n=139)
複数回答(n=52)
(複数回答)
サドルが低い
ハンドルが持ちやすい
車体が軽い
車輪が小さい
タイヤが太い
電動エンジンがついている
三輪車である
その他
30.8
自転車を避けようとした
階段・段差があった
23.1
穴・凸凹・傾斜があった
17.3
放置自転車・看板・電柱・ポール・
街路樹などの障害物があった
人に押された・人と接触した・
人を避けようとした
13.5
11.5
0
10
20
30
40%
複数回答(n=51)
21.6
20
30
40
50 60%
り安全を確認する
②荷物は積み過ぎないようにする
11.8
20
7.
2
10
①交通規則を守り、四つ角などでは一度止ま
45.1
17.6
10
4.
3
3.
6
●自転車に乗る際のポイント
17.6
0
30.
2
18.
7
15.
1
0
自転車使用中の転倒転落時の自分の原因(上位5位)
急いでいた、あわてていた
目測を誤った
他のことに気を取られていた
回りに不注意であった
荷物を持ち(積み)すぎていた
52.
5
47.
5
30
40
50%
③段差を通過するときは、降車し押し歩きする
④脱げやすい「つっかけ」などでは乗らない
6 3 . 5 %の高齢者が現在使っている自転車は
⑤傘をさしての片手運転はしない
「特に使いやすいとは思わない」と回答してい
⑥動きやすく、目立つよう明るい色の衣服を
る。自由意見等からサドルが低く、ハンドルが
着用、車輪に巻き込まれないようズボンの
持ちやすい体に合った高齢者向けの自転車を望
すそ等に注意する
んでいる。また、近年フレームやハンドルが折
⑦体調の悪い時、雨・風の強い時は乗らない
れたといった品質不良が原因の事故も報告され
⑧ブレーキはよくきくか、サドルは固定され
ている。自転車の安全確保のための JISマーク、
てるかといった日常の点検をする
SGマーク、TSマーク等を参考にして、信頼で
⑨信頼できる店で自転車組立整備士などに相
きる店で身体にあった自転車を購入することが
談し、身体にあった自転車を購入する
大切である。
3 転倒転落を防ぐ生活の工夫
使用自転車の使いやすさ(n=381)
(1)高齢者の日常生活や体の状況と転倒転落
足腰が丈夫で、1人で何でもできる高齢者が
特に使い
やすいとは
思わない
63.
5%
高齢者に使い
やすい自転車
である
36.
5%
転倒転落しにくい
今回の調査では、足腰が丈夫な高齢者、1人
でなんでもできる自立度の高い高齢者の方が、
転倒転落しにくい関連性がみられた。
−5−
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人に3人となっている。行っている運動・趣味
歩行中、1年間転倒転落した人、しない人の
日常生活の自立度
転倒転落した合計(n=168) 11.9 24.4
20
の項目が20%台であるのに対し62.5%となって
61.9
転倒転落しない合計(n=538) 14.9
0
は、「散歩・ウォーキング」が圧倒的に多く、他
いる。他には「ボランティア活動」「家庭内で
79.4
40
60
80 100%
の運動」「コーラス・カラオケ・民謡」「散策・ハ
かなり不自由で人に頼むことが多い
一人で生活できない
少し不自由を感じるがなんでも一人でできる
イキング・登山」が約20%で、次に「手芸・工芸」
不自由なくなんでも一人でできる
「踊り・ダンス」「俳句・和歌・短歌」「絵画・写真」
等多種多様な趣味が続いている。地域社会で健
康に注意し、趣味や運動をして楽しく元気に暮
歩行中、1年間転倒転落した人、しない人の
足腰の自由度
転倒転落した合計(n=159)
21.4
転倒転落しない合計(n=521) 11.1
0
42.1
41.7
20
40
らしている人が多いことが分かる。
28.3
高齢者が行っている運動・趣味等(n=573)
44.1
60
62.5
散歩・ウオーキング
20.6
家庭内での運動
19.5
散策・ハイキング・登山
11.7
運
踊り・ダンス
動
10.3
屋外での運動
9.9
水中歩行・水泳
9.8
スポーツ
ジョギング・マラソン 1.2
武道 0.9
0
10
20
30
80 100%
非常に不自由 かなり不自由
少し不自由 全く自由である
また、転倒転落したときの高齢者自身の原因
をみると、「回りに不注意であった」と「急い
でいた、あわてていた」が各31.6%で、「体調
が悪かった」「疲れていた」「病気だった」が合
わせると27.8%であり、注意が足りなかった事
やからだの不調が原因となっている。
転倒転落事故を防ぐには、高齢者自身が身体
機能や注意力、バランス感覚等の衰えを自覚し、
ボランティア活動
コーラス・カラオケ・民謡
手芸・工芸
俳句・和歌・短歌
趣
味
絵画・写真
習字・版画
禅・瞑想・宗教
楽器演奏
囲碁・将棋
つり
70%
21.8
20.4
12.6
11
10.6
10.1
7.7
6.1
5.2
1.9
0
10
60
20
30
40%
落ち着いてあわてずに行動することが大切である。
●生活の工夫におけるポイント
①買い物、散歩、ウォーキング等積極的に歩く
(2)高齢者の健康管理
②歩くだけでなく、筋力をつけバランス能力
健康管理について、日頃健康に何か特別に注
を高める体操や運動を継続的に行う
意している人は88.5%あり、最も多かったのは
「食事に気をつけている」次に「こまめに身体
③掃除、選択、炊事、買い物などこまめに身
を動かしたり外出するようにする」「睡眠を十
体を動かす。禁煙、節酒、規則正しい生活
を心掛ける
分にとる」「好きなことや趣味を楽しむ」「規則
④太り気味で動脈硬化のある高齢者が転びや
正しい生活をする」「何でも関心を持ちできる
すいと言われている。生活習慣病を避ける
だけ自分でやる」の順となっている。また、運
ために食生活に気をつける
動や趣味を行っている人は74.7%で高齢者の4
−6−
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Ⅰ クローズアップ
4 浴室事故
24.6%となっている。このうち「転倒転落」では
6 5 歳 以 上 が 、 5 1 . 2 % あり、「 溺 水 」 で は 、
1階に1人で寝ていた父が夜中に目を覚ま
し風呂に入った。翌朝浴槽で座ったままの状
78.3%となっている。また、同じ東京消防庁の
態で死亡しているところを発見。検死結果は
救急搬送ではあるが、「災害と環境からみる高
「心臓麻痺による死亡」であった。
(95歳男性)
齢者の実態(平成12年中)」としてまとめられ
た中から、浴室事故の傷病の程度をみると、
洗い場で椅子が小さかったため椅子の中心
47.7%が死亡し、41.5%が重篤となっている。
にうまく座れず、椅子と一緒に転倒し右肩を
加齢とともに身体能力も変化する。高齢者自
骨折した。(74歳男性)
身だけでなく家族や回りの人が一緒に時々安全
点検し、浴室内で滑り防止の商品等必要な工夫
過去2年間の調査結果から、浴室事故は29件
を心掛ける事が大切である。
報告されている。浴室設備の事故が17件、浴室
用雑貨(すのこ・ブーツ・マット・いす等)が
●浴室でのポイント
12件となっている。2年間の危害総数572件の
①寒い季節は脱衣所や浴室は暖めて入る
うち5 . 1 %と少ないが、事故内容は東京消防庁
②入浴の前後に水分の補給をする
などの統計からみても代表的な浴室事故と思わ
③「半身浴」や「掛け湯」の工夫をする
れ、危害も重篤になっている。
④家族に声をかけてから入浴する
・洗い場・浴室設備
⑤湯温は38℃∼41℃の中温程度がよい
自宅
公衆浴場
旅館・ホテル
13
2
2
⑥飲酒後は入浴しない
⑦浴槽内で掴まれる手すりがあるとよい
⑧洗い場の椅子は底に滑り止めのついた、身
・浴室・洗面所用雑貨
すのこ
4
ブーツ
3
マット
椅 子
2
3
体にあったものを選ぶ
⑨浴槽はまたぎやすく、滑り止め防止マット
等、底は滑らない工夫をする
浴室事故は、脱衣所や浴室の温度と浴槽の湯
⑩浴槽はあまり大きいものは避け、足を伸ば
の温度差に高齢者の体が順応できず浴槽内で意
した時、届く位のものがよい
識を失ったり、浴槽内で滑ってバランスを崩し
5 食品の容器包装についての安全対策
なかなか体勢を直せず溺れてしまうケースと、
高齢者にとって使いにくい食品の容器包装
洗い場で滑ってバランスを崩し転倒して骨折や
昨年度調査で高齢者が使いにくいと思いなが
打撲する2つ形態の事故がある。
ら使っている上位1 0商品、「ビン詰めのフタ」
東京消防庁「家庭内における不慮の救急事故
「ジュースのステイオンタブ」「缶詰のプルトッ
(平成 12年中)」の浴室での事故をみると、65
プ」
「ヨーグルト・ゼリー類のフタ」
「菓子の袋」
歳以上の高齢者の割合が多く48.5%と半数近く
なっている。また、けがの形態を全体でみると
「豆腐のフタ」「プルリング容器(醤油、酢、ソ
「転倒転落」が最も多く 4 4 . 3 %、次に「溺水」
ース等の中フタ)」「牛乳パック」「ペットボト
−7−
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くらしの安全情報 Vol.43
Ⅰ クローズアップ
ルのフタ」「レトルトパウチ食品」の試買調査
ヨーグルト・ゼリーの容器でもフタが開けに
を行った。
くいとの声が多かった。引き剥がすとき持つ舌
「安全への配慮」については、ステイオンタ
部は2mm以上必要であり、フタの裏面にはしっ
ブ缶と形状が同じで、誤飲する恐れがあるアル
かりと滑り止め加工がないと滑って力が入らな
コール飲料には「おさけ」と誰もが分かる表示
い。また、開封箇所の分かりにくさもあり、赤
が必要とされ、既に酒類への点字表示は浸透し
色などの見やすい色で大きく三角マークなどの
ている。さらに「突起」をつけるなどの共通サ
表示が望まれる。
インが望ましい。「おさけ」マークをさらに大
醤油、酢、ソース等の中栓(プルリング容器)
きく、分かりやすくして全商品に表示すること
はリングが小さいため指が入らず開けにくい。
が望まれる。
また、上ブタの内側に中栓をつけ、上ブタを開
フルオープン缶は指がかかりにくく、特にス
けると中栓も開く構造のものもあり、開けにく
チール缶のタブを起こすとき力が必要で、実際
さが解消するこの構造への改良が待たれる。
に爪を痛めた。指先が入るタブの窪みや起こし
牛乳パックの「切欠き」への取組みは多くで
やすい工夫、引き上げるためには指が2本入る
行われている。浅くて幅の広い「切欠き」より
ほどの大きさが必要などの声があり、JIS規格
深くて幅の狭いものが分かりやすいとの意見が
「開封試験方法」を用いて開封性の向上が望ま
多かった。この切欠き表示の反対側が開封箇所
れる。さらに、鋭利な切り口の危険性も指摘さ
となるため、開封箇所の識別にもなり全商品の
れており、切り口に手が触れても安全な形状の
実施が望まれる。また、開封口を左右に押し広
タニケエンド(セーフティーE O缶)を採用し
げないと開かないものもあり改善が待たれる。
ているところもある。積極的な安全性への取組
同様に豆腐の開封性の向上も待たれる。生活の
みが望まれる。
楽しみである菓子袋は内容量が多く「切込み」
高齢者の利用も多いと思われるレトルトパウ
や「ギザギザ」があっても縦や斜めに切れてし
チでは調査した8品目中1品目が電子レンジの
まい中身が飛び出しやすく、保存性が保たれな
使用への注意表示が文字のみで、細かな文字の
い。また、開封方法が「切りさいて開ける」の
注意表示だけでは不十分である。「袋のまま電
か「つまみを引き開ける」か「両方なのか」よ
子レンジは禁止」が一目でわかる絵表示を併記
く分からないものが多い。
するよう速やかな改善が望まれる。
「持ちやすさ」「出しやすさ」では容器に窪
「開けやすさ」については、ビン詰め・びん
みがあったり、表面に凹凸などの工夫があると
のフタで多くの高齢者が開けにくいという指摘
滑りにくく安心である。
がトップである。まわして開ける「スクリュー
「商品内容の見やすさ」では全体的に文字が
キャップ」、一度ひねって開ける「ツイストキ
小さく、字間、行間が狭く、コントラスト等の配
ャップ」ともかなりの力が必要であった。開封
色が悪く、見にくいとの指摘が多かった。また、
性試験方法をもとに開けやすさの改善が待たれ
商品選択に重要な期限表示の場所がまちまちで
る。
見つけるのに苦労している。JAS法による品質
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くらしの安全情報 Vol.43
Ⅰ クローズアップ
一括表示の枠内に記入、又は正面表示の一番見
やすい場所にはっきりと大きな文字で表示する
等の改善が必要である。
「棄てやすさ」ではごみの分別収集、リサイ
クルなどが徹底してきており、分別するときに
必要な材質識別マークは全てに表示する必要が
ある。醤油などのボトルからキャップを分別す
る時はさみを使わないと外せないものも多い。
地球環境を考慮した容器包装が求められている。
6 まとめ
3 年間の調査結果の概要を「履き物」「自転
車」「浴室」「家庭内」「道路・公衆施設等」「生
活の工夫」の6種に分類し、消費生活総合セン
ターのホームページ「東京の消費生活」の「く
らしの安全」からも見られます。
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/k_
joho/anzen/anzen.html
この報告書は都庁第1庁舎3階の都民情報ル
ームで410円で販売している。
また、リーフレット「高齢者の事故防止マニ
ュアル」を発行しました 。 3年間の調査結果
を分かりやすくまとめたリーフレットを作成し
て、都民向けとして、各区市等の消費生活セン
ター等で配布している。
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