服部 - 英詩の楽しみ

「英米文学史セミナーⅠ」課題レポート
教育心理学専修
服部 翔太
<英文学史の流れ>
14~15世紀頃
●時代思潮
・英仏間で百年戦争→社会不安
・中英語の成立→英語が公用語となり、現代の標準英語のもととなった。
●代表的作家と作品
* ジェフリィ・チョーサー「カンタベリ物語」
* ウィリアム・ラングランド「農夫ピアズ」
* トマス・マロリィ「アーサー王の死」
16世紀頃
●時代思潮
・近代国家の成立
・エリザベス女王の治世
・ルネッサンス→人間性の回復を目指し古代ギリシア、ローマの文化を学び、
復興しようとする運動
・中世と近代の混淆→人間性を謳歌する近代性、科学の進歩による未知の世界の解明など、
刷新的なものと中世の封建的な秩序観などが交錯
●代表的作家と作品
*ウィリアム・シェークスピア「ハムレット」、「オセロ」、「マクベス」、「リア王」、
「ロミオとジュリエット」
* エドマンド・スペンサー「妖精女王」、
「アモレッティ」
* フィリップ・シドニー「アストロフェルとステラ」
* トマス・モア「ユートピア」
* フランシス・ベーコン「学問について」
* クリストファ・マーロウ「フォースタス博士」
17世紀頃
●時代思潮
・王と議会の対立→ピューリタン革命へ、イギリスを二分する
●代表的作家と作品
* ジョン・ミルトン「失楽園」
、
「二十三歳になって」
* ジョン・ダン「夜明け」
* ロバート・へリック「乙女たちに 時間を大事にするように」
* ジョージ・ハーバート「花」
* アンドルー・マーヴェル「はにかむ恋人へ」
* ジョン・バニヤン「天路歴程」
18世紀前半
●時代思潮
・王政復古~名誉革命→平和と繁栄の時代へ 市民社会の成立
・古典主義の隆盛→理性重視
●代表的作家と作品
* ジョン・ドライデン「マック・フレクノウ」
* アレクザンダー・ポウプ「髪の毛ぬすみ」、
「人間論」
* ジョゥゼフ・アディソン「スペクテイター」
* ダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」
* ジョナサン・スウィフト「つつましい提言」
* ウィリアム・コングリーヴ「浮世の習い」
18世紀後半
●時代思潮
・植民地の拡大や貿易の振興などの富国強兵策→大英帝国の強化
・産業革命→生産技術と産業構造の変化にとどまらず、イギリス社会に広範な構造的変化
をもたらす。革新の時代といえる。
●代表的作家と作品
* サミュエル・ジョンソン「ポウプ伝」
* ジェイムズ・トムソン「冬」
* トマス・グレイ「墓畔の哀歌」
* ロバート・バーンズ「遠い昔」
* ウィリアム・ブレイク「虎」
* サミュエル・リチャードソン「パメラ」
* ヘンリ・フィールディング「トム・ジョウンズ」
* ロレンス・スターン「トリストラム・シャンディの生涯と意見」
* ジェイムズ・ボズウェル「ジョンソン伝」
19世紀初期
●時代思潮
・フランス革命の影響→イギリス国内では、労働者のストライキや、反政府の暴動が各地
で続発
・ロマン主義→ルソーの自然の状態を幸福とする自然説をその源とし、人間の尊厳を回復
することを目的とし、あらゆる束縛からの解放を目指して感性を重んじ、
個性や想像を尊重することで古典主義に挑戦
●代表的作家と作品
* ウィリアム・ワーズワス「虹」
、
「駁論」
* サミュエル・テイラー・コウルリッジ「老水夫の歌」
* ジョージ・ゴードン・バイロン「チャイルド・ハロルドの巡歴」
* パーシィ・ビシュ・シェリィ「西風の頌」
* ジョン・キーツ「秋に」
* ウォルター・スコット「ミドロージアンの心臓」
* ジェイン・オースティン「高慢と偏見」
* チャールズ・ラム「夢の中の子供たち」
19世紀中期
●時代思潮
・経済的繁栄、国力充実→物質文明の繁栄により人々は精神的なもの以上に物質的なもの
に強い関心を抱くようになった
・科学的に実証できるもののみを信じる合理主義や功利主義の風潮
・ヴィクトリアニズム→ヴィクトリア朝の時代に成功した中産階級の妥協主義、拝金主義
●代表的作家と作品
* アルフレッド・テニソン「砂州を横切り」
* ロバート・ブラウニング「望郷の歌」
* マシュウ・アーノルド「ドーヴァの浜辺」
* ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「恋のまなざし」
* チャールズ・ディケンズ「大いなる遺産」
* ウィリアム・メイクピース・サッカレイ「虚栄の市」
* シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」
* エミリィ・ブロンテ「嵐が丘」
* ジョージ・エリオット「フロス川の水車場」
* ジョージ・メレディス「エゴイスト」
* ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」
* トマス・カーライル「英雄と英雄崇拝」
* ジョン・ラスキン「近代画家論」
19世紀後半~20世紀初期
●時代思潮
・ヴィクトリア朝の衰退、自由主義から帝国主義政策へ
・大衆化社会の発生
・デカダンスの風潮→従来の功利主義的な観念や世俗的な常識に対する反動から、享楽や
感覚的な美を求めるようになった
●代表的作家と作品
* トマス・ハーディ「ダーバヴィル家のテス」
* ジェラード・マンリィ・ホプキンズ「長元坊」
* ウィリアム・バトラー・イェイツ「クールの白鳥」
* サミュエル・バトラー「万人の道」
* ジョウゼフ・コンラッド「ロード・ジム」
* ジョン・ゴールズワージィ「小春日和」
* ウォルター・ペイター「ルネッサンス」
* オスカー・ワイルド「サロメ」
* ジョージ・バーナード・ショー「ピグマリオン」
参考・引用文献:
「はじめて学ぶイギリス文学史」 神山妙子編著
「イギリス・アメリカ文学史 作家のこころ」
<視覚的教材を用いた授業を受けての感想>
ミネルヴァ書房
福田昇八著 南雲堂
外国の文学は、多くの学生にとって普段からの親しみがあまりなく、どちらかというと
っつきにくい内容であると思います。そのような内容を学ぶにあたって、ただ話を聞いた
り資料を読んだりして知識を得ているだけでは、なかなか作品内の情景が頭に浮かびませ
んし、なにより退屈に感じてしまい、集中することが難しくなっていたと思います。
林先生の授業では作品の映画の映像が頻繁に用いられ、退屈することがありませんでし
た。映画であれば学生にとって身近に感じやすいと思います。作品のストーリーが自然と
スムーズに頭に入ってきました。また、学習にあたっての負担も、軽くなったと思います。
先生が映画の要所で解説を挟んでくれたのも良かったです。所々あった、これはどういう
意味だろう、という疑問が解消されました。授業を受ける前は正直に言って抵抗感があり
ましたが、英文学への興味も湧いてきました。
以上のような理由から、英文学を大学の授業で学生に学ばせるにあたり、映画のような
視覚的教材を用いることは有効な方法であると私は考えます。
<「ダーバヴィル家のテス」についての考え>
テスは、副題にもあるように、清純、純情な女性です。当時ヴィクトリア朝であったイ
ギリスでは、女性は作品におけるテスのように上品に振舞うべき、というような風習が根
付いていたようです。しかし、そのお手本のようなテスは不幸になっていきます。この表
現は、当時の王朝への痛烈な皮肉、批判としての意味が込められているとも捉えられます。
こういったように、作品について考える際、それぞれの時代背景などの、裏にあるもの
に目をやることは重要であり、また読者にとっての大きな楽しみの一つであると改めて感
じました。
<早期教育についての考え>
早期教育を受ける子どもの中には、物事に対する十分な認識力や判断力などが育つ以前
に、何もわからずに親のエゴによって教育を受けさせられている子どもも少なからずいる
のではないかと考えます。子どもが自発的にやりたくてやっているなら何も問題はないと
思うのですが、本当は他のことで遊びたいのにいやいややらされているとしたら哀れに感
じます。頭が柔軟で吸収しやすい時期であることや才能があるわが子の将来に期待する親
や周りの人の気持ちもわからなくはないので是非を判断するのはなんとも難しいと考えま
す。