通信総合研究所の時間・周波数標準と標準電波 独立行政法人 通信総合研究所 電磁波計測部門 森川容雄 時の歴史 科学技術・産業の基盤としての時間・周波数標準 自然界の周期現象を利用して時計と人類の歴史 ・紀元前 古代エジプトの天文観測&暦 基幹産業としての農業への応用 ・16世紀 ガリレオの振り子の等時性の発見 ・18世紀 J. Harissonによるマリンクロノメ−タの開発 安全な航海に正確な時計が不可欠 英国の経度法の制定−国王の身代金に相当する賞金 ・20世紀 水晶時計・原子時計の発明 GPS、IT等に応用 科学技術の基盤としての時間・周波数標準 天文観測と暦 振り子時計 マリンクロノメータ 水晶時計 原子時計 時間・周波数標準業務の三要素 標準の発生・維持 つくる 電波時計 一次周波数標準器 標準の供給 標準の国際比較 くらべる くばる 較正 日本標準時 衛星比較 長波標準電波 Cs原 子 時 計 Cs原 子 時 計 Cs原 子 時 計 Cs原 子 時 計 商用Cs時計群 Cs原 子 時 計 通信総合研究所の時間周波数標準業務の位置付け ※法的根拠 ● 総務省設置法 ( 所掌事務 ) 第四条 七十三 周波数標準値の設定、標準電波の発射及び標準時の通報に関する こと。 ● 独立行政法人通信総合研究所法 (業務の範囲) 第十条 三 周波数標準値を設定し、標準電波を発射し、及び標準時を通報する こと。 ※独立行政法人通信総合研究所のミッション (1)国民生活の安全や福祉の向上に貢献 (2)経済社会の発展に貢献 (3)国際社会への貢献 (4)自然と調和した人類社会の持続的な発展に貢献 知的基盤(計量標準)の整備 標準電波の歴史 −60年のあゆみ− • • • • • • • • • • • • • 昭15. 1.30 標準電波運用開始 昭23. 8. 1 標準電波による秒報時開始 昭23.12.15 設置法「標準電波を発射し並びに標準秒報時を通報する」 昭27. 8. 1 電波研究所発足 昭52.12. 1 名崎無線送信所へ移転 昭63.12. 1 長波(JG2AS)に時刻コ−ド重畳実験開始 平 6. 1.28 標準供給将来方針検討委員会報告書 平 9 おおたかどや山標準電波送信所整備開始 平 9.11.27 電気通信技術審議会諮問第96号 「標準電波の高度利用のための技術的諸方策」 平11. 6.10 おおたかどや山標準電波送信所運用開始 平11 はがね山標準電波送信所整備開始 平13. 3.31 短波標準電波の運用停止 平13.10. 1 はがね山標準電波送信所運用開始 長波帯標準電波二局運用体制 はがね山 はがね山 標準電波送信所 標準電波送信所 > 40∼ 50dB 1500 km (60kHz) (60kHz) > 50∼ 60dB 1000 km > 40∼ 50dB 1500 km >60dB 500 km > 50∼ 60dB 1000 km おおたかどや山 おおたかどや山 標準電波送信所 標準電波送信所 >60dB 500 km 通信総合研究所 通信総合研究所 ◆ 高精度な日本標準時の送信 ◇ 放送・電話等の報時サ−ビス 時刻基準 ◇ 電波時計の時刻基準 ◇ 家電製品等内蔵時計の時刻基準... (40kHz) (40kHz) ◆ 高精度な周波数基準の供給 ◇ 計測器の基準周波数 ◇ 無線機器の周波数合わせ ◇ 電波伝搬研究... 長波標準電波送信所運用体制の特徴 ●おおたかどや山/はがね山二局運用による 相互バックアップ体制&カバーエリアの充実 ●システムの冗長化 ●24時間常駐体制 ●自家発電装置 ●日常&定期点検によるシステムメンテナンス体制 ●雷対策:雷情報の利用、送信機切り離し 長波標準電波送信所諸元 おおたかどや山送信所 平成11年6月10日 はがね山送信所 平成13年10月1日 福島県 佐賀県/福岡県 北緯 37度22分 東経 140度51分 北緯 33度28分 東経 130度10分 790m 900m アンテナ型式 支線式基部絶縁型頂部傘型 同左 アンテナ高さ 250m 200m 空中線電力 50kW 50kW アンテナ効率 約25%以上 約45%以上 搬送波周波数 40kHz 60kHz A1B A1B ±1×10-12 ±1×10-12 運用開始日 所在地 緯度・経度 標高 電波型式 周波数確度 おおたかどや山/はがね山長波標準電波送信所 はがね山送信所 はがね山送信所 佐賀県/福岡県 佐賀県/福岡県 アンテナ高200m アンテナ高200m 60kHz 60kHz おおたかどや山送信所 おおたかどや山送信所 福島県 福島県 アンテナ高250m アンテナ高250m 40kHz 40kHz 長波標準電波で送信する時刻符号(タイムコード) タイムコードは 60秒間 かけて基準マーカーMの位置の時刻を知らせます。 下の図では、例とし て1999年6月10日(通算161日目)木曜日の14時26分を表しています。 0秒 10 M 40 20 10 “0” 8 4 2 1 20 “0” P1 “0” 20 10 “0” 8 分 4 2 1 2 1 “0” 通算日 :1 0.5秒 :0 0.8秒 “0” 200 100 “0” 80 “0” PA1 パリティ PA2 SU1 P4 SU2 80 40 20 10 8 4 2 1 P5 10 P3 0 4 2 1 曜日 40 LS1 LS2 “0” “0” “0” “0” P0 うるう秒 50 0 呼出符号送出時のタイムコード (毎時15分、45分) 0秒から40秒までは上と同じ 呼び出し符号 P5 ST1 ST2 ST3 ST4 ST5 ST6 モールス符号 :マーカ 0.2秒 20 50 年 (西暦下2桁) 予備ビット 40 1月1日からの 40 4 “0” P2 時 30 8 30 停波開始 予告 停波期間 予告 “0” “0” “0” P0 長波標準電波送信所系統図 通信総合研究所(東京都小金井市) 日本標準時 計算機 地上高 250/200m 傘型アンテナ 監視制御装置 時刻比較 遠隔監視 おおたかどや山/はがね山標準電波送信所 ステータス・制御 計測装置 計測 結果 計算機 1PPS ステータス 監視制御 装置 送信装置 出力切替器 制御命令 セシウム 原子時計 時計 ダミーロード 整合器 時刻信号 5MHz 5MHz 周波数 調整装置 5MHz 送信信号 発生装置 送信装置 1PPS 送信信号 送信機室 原器室 時刻信号管理室 整合器室 避雷器 長波帯 標準電波の停波要因・時間率 おおたかどや山標準電波送信所 2000.1.1 ∼ 2000.12.31 不明 機器故障 年間運用時間率 自 然 災 害(その他) 98.4 % 落雷対策 20 % 機器・装置保守 77 % 年間停波時間 h m 140 43 40 s 長波帯標準電波を利用した『電波時計』売上数の推移 2001年 200,000 売上数︵個︶ 2000年 1999年 150,000 100,000 50,000 0 1月 3月 5月 7月 9月 11月 長波標準電波による時間・周波数供給精度 16.5 長波標準電波受信周波数安定度 16 1.E-09 周波数安定度 受信位相(μs) 15.5 15 14.5 14 1.E-10 1.E-11 UTC=2:00:00のデータ 13.5 13 9/13 1.E-12 9/15 9/17 9/19 9/21 受信日時(UTC) 9/23 9/25 10 100 1000 10000 100000 1000000 平均化時間(秒) http://jjy.crl.go.jp/Pub/public.html 受信地 CRL@小金井 長波標準電波による精密周波数比較 長波標準電波 fJJY fJJY 受信機 受信機 M1=fCRL−fJJY 周波数標準器 fCRL M2=fUser−fJJY M1− M2=fCRL−fUser 周波数標準器 (M1:http://jjy.crl.go.jp/Pub/public.html) fUser 「長波標準電波の利用分野」 電波時計 電波時計 高精度周波数供給 高精度周波数供給 震央 観測地点 震源の深さ ●腕時計 ●計測器の基準周波数 ●置き時計 ●無線機の基準周波数 ●掛け時計 震源距離 震源 観測機器 観測機器 ●地震計、気象測器の時刻管理 民生機器 民生機器 長 長波 波標 標準 準電 電波 波 電力関係 電力関係 ●パソコン内部時計合わせ ●街灯の点灯 消灯の自動管理 ●家庭用電化機器内蔵時計合わせ ●発電所の周波数/位相管理 交通関係 交通関係 ●タ ク シ − 車 内 時 計 ●道路交通(信号機管理) ●鉄道の時刻一括管理 2000年電機製品国内出荷台数 品名 台数 (千台) 品名 台数 (千台) 品名 台数 (千台) カラ−テレビ 9,873 カーステレオ 本体 3,172 ルームエアコン 6,367 VTR 6,412 カーCDプレーヤ 6,131 電 気 洗 濯 機 4,179 ビデオ一体カメラ 1,451 カーラジオ 1,011 携 帯 電 話 55,303 ラジオ受信機 2,690 デジタルスチルカメラ 2,949 有 線 電 話 機 13,043 ラジカセCD付き 3,788 スチルカメラ 3,580 PHS端末 4,918 ヘッドホンステレオ 2,176 電子レンジ 2,868 FAX 3,255 CDプレーヤ 2,351 電 気 釜 5,277 パソコン MD 3,136 ジャーポット 4,969 ステレオセット 3,033 扇 風 機 1,745 総 計 12,102 165,779 まとめ ●長波標準電波二局運用体制が確立 信頼性の高い運用とサービスエリアの充実 関係省庁、地元自治体、整備協力機関の皆様に深謝 ●長波標準電波の供給精度 時間:±1.5μ秒 周波数:1×10-11∼2×10-12(1日平均) ●多様な利用分野が今後期待される 信頼性の高い運用が不可欠
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