MJT-1030Ex

-196℃の低温トラップをGCオーブン内で達成。 さらに 30% の窒素ガスの省力化を達成。
マイクロジェット・クライオトラップ
< MJT-1030Ex >
Liq. N2
He
Liq. N2
Liquefied N2
N2 Gas
Liq. N2
MS
GC
熱分解GC/MSシステム(オートショット・サンプラー付き;内部にパイロライザーを内蔵)との組合せ例
マイクロジェット方式のクライオトラップとは?
ガス中の希薄成分や、マルチショット・パイロライザーを用いて、
ム先端部に狭いバンド幅で濃縮させた後に、急速熱脱着させる
試料の連続加熱により数分間にわたり発生する成分をキャピラ
ことが必要です。本装置はこの目的を達成させるために、全く新
リー分離カラムに導入して分析するためには、これらを分離カラ
しい画期的な考案をもとに開発した装置です。
動作原理と流路図 (特許第3290968号)
本装置では、液体窒素中の熱交換コイルに3~7 L/min程度の窒素
ガスを流して液化させ、GCオーブン内の分離カラム先端部に、ジェッ
流量制御器
電磁弁
パイロライザー等
ト流として吹き付けて、局部を冷却します。そこに分析成分をトラップ
マイクロジェットチューブ
し、その後電磁弁を閉じることでジェット流を瞬時に停止させ、同時に
オーブン内の循環加熱空気が約800 ℃/minで冷却部を急速加熱し、
熱脱着します。
また、新考案のマイクロジェットチューブ内で冷却トラップを行うことで、
液体窒素
窒
素
ガ
ス
分離カラム
空気中に含まれる水分の分離カラム外壁への着氷を防止させること
で、高温多湿の環境での使用を可能としました。
GCオーブン
流量コントローラー
熱交換コイル
Fig.1 MJT-1030Exの流路図
分離カラム先端部の冷却トラップとその後の熱脱着
冷却時
液体窒素ジェット流
マイクロジェットチューブ両側からの窒素ガスの排出により、空気中の
水分を、分離カラム冷却部に着氷させない構造となっています (着
着氷防止金具
空気中の水分
氷した場合は、ピークの割れなどの異常現象の原因となります)。
マイクロジェットチューブ
窒素ガス
また、新考案の着氷防止金具の採用により、従来のマイクロジェット・
クライオトラップ(MJT-1030E) と比較して、窒素ガスと液体窒素の消
費量を30%程度削減しました *。さらに、窒素ガス流量を調整すること
で、下表のように分離カラムを任意の温度に冷却することも可能とし
分離カラム
冷却部
ました。
熱脱着時
窒素消費量とトラップ効率の関係
冷却温度の目安 ( ºC )
-190
-150*
-50
3.5
7
5*
液体窒素消費量 ( mL/min )
20
15*
10
トラップ可能な化合物の目安
>C4
>C6
>C11
窒素ガス流量 ( L/min )
加熱空気
* 他社の1/3以下の窒素消費量です。
Fig.2 マイクロジェットチューブ内のガスの流れ
トラップ部の冷却速度/低温安定性と
その後の熱脱着速度
40
します。また、ジェット流の停止後には、約800 ℃/minでトラップ成分
は急速加熱脱着され、シャープなバンド幅となります。
トラップ温度(ºC)
0
液体窒素のジェット流の吹き付け開始から約2分で-196 ℃付近に達
窒素ガス流量
3.5 L/min
-50
-100
5 L/min
7 L/min
-196
0
1
2
3
4
冷却区間 15分
開始
5
15
16 min
停止
Fig.3 トラップ部の冷却速度/低温安定性と熱脱着速度
GCオーブン温度: 40 ℃
2
3つの特長
1. 低沸点化合物の高いトラップ効率
分離カラム : Ultra ALLOY+-1 (L = 30 m, i.d. = 0.25 mm, df = 0.25 µm)
GCオーブン : 40 ºC
iso-C4
ライターガス5µLをGC注入後、本装置を用いて10分間キャピラリー分
離カラム先端にトラップさせ、冷却用液体窒素のジェット流を停止後
n-C3
n-C5
に熱脱着させて分析した例を右図に示します。炭酸ガスからプロパン、
イソ・ノルマルブタン、ペンタン等がトラップされていることが分かりま
n-C4
す。
N2, O2
CO2
H2O
0
2. 迅速な冷却と熱脱着
1
2
10
11
12 min
冷却停止
試料注入
(5 µLガス)
Tenax などの吸着剤を用いた従来のトラップ法では、急速加熱を達
成するために、外部ヒータ-を用いていましたが、本方式により、GC
Fig.4 簡易ライター用燃料ガスを用いた捕集性能の確認
オーブンの熱を有効に使った熱脱着が可能で、ピークの異常分離を
D
防止して理想的な低沸点化合物の分離を達成します。
C
B
A
40
100
200
300
20 ℃/min
400
500
600 ℃
EGAサーモグラム中の温度画分の設定
3. マルチショット・パイロライザー (EGA/PY-3030D)
を用いた試料の加熱による発生ガス成分の
任意画分の自動分析
dibutyl phthalate (DBP)
A
セラミック複合材の連続昇温加熱で得られたEGAサーモグラムの温
度画分A~Dを自動分析した例を右図に示します。
C
画分Aでは可塑剤のDBP、画分Bでは主にWaxの熱脱着成分、画分
Cと画分Dではそれぞれポリブチルメタクリレートとポリスチレンの熱分
hydrocarbons (wax)
B
D
tert-butyl methacrylate (t-BMA)
<ポリブチルメタクリレート>
n-butyl methacrylate (n-BMA)
styrene
<ポリスチレン>
styrene trimer
解成分が検出されました。
styrene dimer
本システムを使用することで、画分A~Dの加熱工程とGC分析を含
0
めた約4時間の手動分析の自動化が可能です。
10
20
30 min
各温度画分のハートカットGC/MS分析によるクロマトグラム
Fig.5 セラミック複合材料のEGAサーモグラムと
各温度画分の自動分析
各種装置との組合せ例
② 各種の試料前処理装置との組合わせ
① マルチショット・パイロライザーとの組合わせ
パージ&トラップやヘッドスペースサンプラーなど。
発生ガスのハートカット分析では、Fig.5のように、自動分
析が可能です。
試料前処理装置
窒素ガス
窒素ガス
EGA/PY-3030Dとの組合わせ例
各種の試料前処理装置との組合わせ例
3
熱脱着分析の自動化と再現性の向上
ポリスチレン(PS)中の残留オリゴマー成分の分析例
従来法(開放したGCオーブン中に保持した液体窒素デュアー
ガス流量が長時間安定した状態で保たれ、従来法より優れた
中に、分離カラム先端部を浸漬させてトラップ) と 本法(マイクロ
再現性(RSD)が得られました。
ジェット・クライオトラップ法) を用いた、PS中の残留オリゴマー
下図のクロマトグラムは、ポリスチレンを毎分20 ℃で40 ℃から
成分分析の再現性について検討しました。その結果、本法に
200 ℃まで連続加熱し、その後20分間保持して、この間に発生
おいては分離カラムはGCオーブン内にあるため、キャリヤー
したガスの分析例です。
熱脱着: 40 → 200 ºC ( 20 ºC/min, 20 min保持 )
試料量: PS薄膜 ( 200 µg )
styrene monomer
(S)
styrene dimer(SS)
isomers of styrene trimer
styrene trimer
(SSS)
各トラップ法による定量値の再現性の比較
n=5
5
10
15 min
液体窒素浸漬法
S
SSS
S
SSS
ppm
235
227
238
228
233
908
926
897
912
921
249
236
254
247
249
895
903
972
959
949
平均値
232
913
247
936
RSD(%)
1.9
1.2
2.7
3.7
CO2
0
マイクロジェット・
クライオトラップ
PS中残留オリゴマーの熱脱着GC法による分析
* 詳細は弊社ウェブサイト( http://www.frontier-lab.com/ )上のテクニカルノート、PYA1-001, PYA1-002をご参照下さい。
仕様 (特許第 3290968号 ):
◆ 冷却達成温度
: 約-196 ℃ ( 窒素ガス流量約7 L/min、GCオーブン温度40 ℃の場合 )
◆ 自動制御と温度モニター : EGA/PY-3030D、PY-2020iD、Rx-3050TR、Rx-3050SRから可能
◆ 使用可能分離カラム
: 金属キャピラリー分離カラム ( 内径 0.25 mm以下 )
溶融シリカ ( FS ) キャピラリー分離カラム* ( 内径 0.53 mm以下 )
* FS分離カラムは急激な冷却により、破損する可能性があります。
◆ 電源
: 100 VAC, 0.5 A
◆ 適用機種**
: アジレント社製GC、サーモフィッシャー社製GC、島津製作所社製GC、パーキンエルマー社製GC
製品構成・付属品
: 流量制御部、マイクロジェット部、液体窒素容器 ( 2 L ) など
ユーザー準備品
: 液体窒素 ( 最小2 L )、窒素ガスボンベ ( 2次圧: 6 kg/cm2まで制御可能 )
オプション
: 10 L容器セット ( 10 L容器、ジェック東理社製、CEBELL10 ) と10 L容器用熱交換コイルのセット
** GCオーブン上部に他の装置が設置されている場合には、取付けできない場合もあります。
* 外観、仕様は予告なく変更することがありますのでご了承ください。
963-8862 福島県郡山市菜根 4-16-20
TEL: (024)935-5100 FAX: (024)935-5102
ホームページ: http://www.frontier-lab.com/
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MJT-1030Ex_Ver1.09_J