100921内部監査立会い事例(7.4)

神奈川県技術士会 ISO9000C メールマガジン(NO.57:100921 号)
内部監査立会い事例(7.4)
某社社長より、当社の内部監査では不適合が少ないし改善提案も少ないのだが、何か物足りないの
で、管理責任者と内部監査に立ち会って、どんな様子か確認して改善点の見つけ方等について報告
して欲しいとの依頼を受けて、立ち会った時の状況の一部です。
<監査プロセス:購買プロセス>
内部監査員:
それでは、7.4.1 関連の確認です。当社の購買先の評価はしていますか。
購買部担当者:
はい。当社の購買管理規定に従って、毎年年度末に再評価をして、次年度につ
なげています。これが、評価結果です。
内部監査員:
なるほど、100 社近くの会社を抜けなく評価しているようですね。60 点以上が
合格となっていますが、全て合格点ですね。OK です。
それでは 7.4.2 関連の確認に移ります。
管理責任者:
ちょっと待って!!
チェックリストでは、確かに購買先の評価を確認すること
となっているのだが、それだけ?
内部監査員:
購買先の評価をチャント確認しましたが、何か問題ですか。
管理責任者:
購買については、いろいろ問題があったので、購買先の評価にも何か問題か改
善点があるのではないかと思ったのだが、これで良いのかな?
コンサルタントから見ていかがですか。
コンサルタント:
7.4.1 に限って見ると、選定、評価及び再評価の基準は一応決められていて、そ
れに従って確認したわけですが、単に点付けをすることが重要という訳ではあ
りませんね。評価した後が重要です。例えば、次のような点です。
① 規格は「評価によって必要とされた処置の記録を維持する」ことを求めてい
ます。これは積極的に使うと良いでしょう。
② 規格は「供給者及び購買した製品に対する管理の方式及び程度は、購買製品
が、その後の製品実現のプロセス又は最終製品に及ぼす影響に応じて定めな
さい」と言っていますので、評価の結果に基づいて、それぞれの購買先に対
する管理の方式及び程度を決めると良いでしょう。
管理責任者:
具体的にはどのようなことを確認していけば良いのですか。
コンサルタント:
例えば、評価結果を見ると、同じものを購入できる購買先に対して、80 点の購
買先と 61 点の購買先がありますね。
これからは、例えば、なぜ 61 点の会社から購入する必要があるのか、そこから
購入するときに何か条件がありそうですが、それは何か等、いろいろ気になる
ことがありそうです。
これらのことを「評価によって必要とされた処置の記録」として明確にしてお
けば、誰でも間違いなく条件を守って発注できそうですね。
今回の購買先評価表の備考欄は全て空白ですが、これを「評価によって必要と
された処置の記録」欄として明確にしておけば、間違いなく何か書くようにな
るでしょう。
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コンサルタント:
ところで、昨年の評価結果とどこか変わっているのですか。
購買部担当者:
実は、毎年 100 社近くを再評価するので、昨年の購買先評価表を一括コピーし
て、記憶で多少気になっているところがあれば見直す程度です。
コンサルタント:
それはもったいないですね。
これも先ほどの備考欄を、
「年間の購買における問題点等」の欄として、不合格
品が納入された時の状況を、その時点で直ぐに記録して、その後の発注時や、
再評価の際の情報として使えるようにすると良いでしょう。
コンサルタント:
また、点数の低い会社に代わる会社を探して、当社の購買先のレベルを上げる
ことを購買プロセスの目標にすることもできるかもしれませんね。
管理責任者:
なるほど。
ところで、②の管理の方式及び程度については、どのようなことが気になりま
すか。
コンサルタント:
管理の方式及び程度は、極端に言うと、アウトソーシングを含めたすべての購
買品ごとに異なると言ってもいいくらいですが、少なくとも、アウトソーシン
グ・プロセス、製品品質に影響する購買品、製品品質には直接影響しない購買
品くらいには分けて考えると良いでしょう。
例えば、製品品質に影響する購買品の受入検査についてみると、全数検査か、
抜き取り検査か、購買先の検査証明書の受領で済ますか、いろいろ管理の程度
は異なるでしょう。
このことを考えると、先ほどの購買先評価の結果を利用して、購買先の管理の
方式及び程度を個々に決めることもできるでしょう。
このことから、先ほどの備考欄は「評価の結果に基づく管理の方式及び程度」
としておくと、より書きやすく実質的でしょう。
特に、アウトソーシング先については、7.4.2 とも関連して、個々の会社ごとに
管理の方式及び程度は違うでしょうから、そこをはっきりさせると良いでしょ
う。
管理責任者:
なるほど、7.4.1 だけ取ってみても、いろいろ改善することがあるのですね。
購買部担当者:
私も、購買先評価表を作成していて、備考欄が狭いので特に書かなくても良い
と思いましたが、事務局とも相談して、「備考欄」のような曖昧な欄はやめて、
「評価した結果に基づく購買先の管理の方式及び程度」のように、はっきりさせ
ていきたいと思います。書く枠が狭ければ、添付資料の形でも出来ますから。
また、評価した結果から、品質目標設定の可能性も感じたので、考えてみます。
コンサルタント:
購買先の評価はややもすると形骸化しかねないので、このように「作った資料
は使う」という視点で考え直してみると良いでしょう。他にも役立てていない
資料や記録があるかも知れません。
今回の監査では、購買でいろいろ問題があったようなので、その原因がどこに
あるのかを見つけるのも内部監査員の役目です。上記のことも参考にして何か
確認して行けますか。
購買部担当者:
それでは、もうチョット続けてみます。(以下省略)
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