原子力の自主的かつ継続的安全性 向上への取り組みについて

原子力の自主的かつ継続的安全性
向上への取り組みについて
平成26年6月
日本原子力発電株式会社
1
【福島事故を踏まえた課題】
「原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループ」※からの提言
を踏まえ、当社における重要な課題を以下の3点に集約。
(1)リスクマネジメントの強化
①原子力特有のリスクを最優先の経営課題として取り上げ、適切な対策を講じ
ることが必要
②地震・津波など低頻度の外的事象等に対する総合的なリスク評価(PRA)が
必要
③事故の予測や事故発生直後の適切な対応、事故からの早期の復旧に配意した
対策(レジリエンスな組織)の強化が必要
(2)規制の枠組みを越えた安全性向上への積極的な取り組み
・原子力安全に対して一義的な責任を有する事業者として、規制の枠組みに囚
われず、自らが自主的かつ継続的に安全性を向上させていく取り組みが必要
(3)双方向のコミュニケーションの充実
・外部ステークホルダーとのコミュニケーションにおいて、ステークホルダー
の意見等のより一層の汲み上げが必要
※)総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会傘下に設置
2
【当社の取り組み(1/6)】
1.経営トップのコミットメントによるリスクマネジメントの強化
ü 経営トップのコミットメントの下、リスク情報の活用をはじめとす
る実効的な原子力の安全性向上策のロードマップを策定し、最高水準
の原子力安全を追求する不断の努力を継続する。
ü 具体的には、経営層の適切なリスクガバナンスにより、リスクマネ
ジメントのサイクル(広範なリスク情報の収集⇒評価⇒判断⇒リスク
低減の実行)の確立と継続的強化を図る。
(1)可視化による安全文化の不断の改善【課題(1)∼(3)】
ü 自主的かつ継続的な安全性向上活動を実施していくためには、健全
な安全文化を組織文化として根付かせることが欠かせない。
ü このため、これまで取り組んできた安全文化の醸成活動に加え、安
全文化の定着状況を可視化(定性的・定量的指標を設定)することで、
改善活動の効果や弱点を具体的に抽出し、不断の改善を進める。
3
【参考】
可視化による安全文化の不断の改善
「安全特性」と「行動規範」を設定し、定性的指標/定量的指
標を設定。可視化した指標の変化を監視・評価し、安全文化の継
続的な改善に活用する。
●安全文化の可視化のイメージ図
安
全
文
化
醸
成
活
動
安全特性設定
例)WANO等国際標準
行動規範
具体化
社員各層の業務プロセ
スの各段階において展開
する。
○リーダーシップ
○問いかける姿勢
○コミュニケーション
○継続的学習 ・・・など
指標化(可視化)
(監視)
指標の変化の可視化による行動規範の
実践状況の評価
改善
安全文化のレベル監視・把握/安全文化醸成活動計画
4
【当社の取り組み(2/6) 】
(2)原子力の自主的かつ継続的な安全性向上体制の再構築【課題(2) 】
ü 原子力の自主的かつ継続的な安全性向上の実現のため、海外の事業者
の良好事例やWANOガイドライン等の国際標準を参考とした
「パフォーマンス改善モデル」を導入する。これにより、現在の取り
組み状況を定量的に監視・評価することが可能となり、管理目標値と
の比較から、改善すべき事項を特定、継続的な改善のPDCAサイク
ルを確実に回していく。
ü 取り組み状況を定量的に監視する項目(パフォーマンス)の設定、指
標化にあたっては、炉心損傷頻度、格納容器機能喪失頻度、PRA結
果に基づく設備重要度等を反映し、現場作業の観察結果、他電力の良
好事例等についても考慮する。
5
【参考】原子力の自主的かつ継続的な安全性向上体制の再構築
PRA結果
リスク情報
リスクモニター
他発電所調査
【改善策の実施】
第三者的な監視
【パフォーマンスの監視】
教育訓練
新知見
【リスクガバナンス/
リーダーシップ】
現場観察
外部ステーク
ホルダー
【人材育成・能力向上】 【安全文化】
【管理目標値との比較分析&改善策検討】
緊急時対応
6
【当社の取り組み(3/6) 】
(3)PRAを含めたリスク情報の活用の強化【課題(1)②】
ü 原子力特有のリスクを定量化する上で、確率論的リスク評価
(PRA)は効果的なリスクマネジメント・ツールとなる。
ü このため、既に保有している内的事象等のPRA結果及び停止時リ
スクモニターについては、準備が整い次第、経営判断や実際の業務
プロセスに活用していく。
ü レベル2/3 PRAや外的事象等のPRAについては、「原子力リス
ク研究センター」の成果を速やかに取り込む等、順次整備を進め、
低頻度事象をも網羅したリスク評価に活用範囲を拡大していく。
ü また、PRAの結果はもとより、最高水準の原子力安全を追求してい
くため、リスクを広く捉え、国内外のトラブル情報、新知見等から
得られた情報等についても、経営資源の配分等に係る意思決定に活
用していく。
7
【当社の取り組み(4/6) 】
(4)第三者的な原子力安全監視機能の強化【課題(2)】
ü
改善の取り組み状況を、内部だけでなく、外部の有識者の方々か
らも監視・レビューして頂くことにより、確実な実行につなげる。
• 原子炉主任技術者とともに、発電所における安全性向上活動等に
ついて第三者的な立場で監視し、指導・助言する安全監視員を発
電所に配置する
• 本店/発電所で行う原子力の安全性向上活動等に対し、外部の視
点で監視し、改善の確実な実施につなげるため、社外有識者によ
る原子力安全監視のための会議体を設置する
8
【当社の取り組み(5/6) 】
(5)外部ステークホルダーとの双方向コミュニケーション【課題(3)】
ü 社会からの信頼を再構築していくため、外部ステークホルダーとの双
方向コミュニケーション活動の多様化などにより、ステークホルダー
の意見等を汲み上げる仕組みを充実させるとともに、それらに対する
当社の対応をステークホルダーにフィードバックする仕組みを構築す
る。
ü 自治体に対しては、残余のリスクの存在を前提とした避難計画の策定
に資するリスク情報の提供や意思決定者への支援を積極的に実施する。
ü 双方向のコミュニケーションの継続的実施のため、新たなコミュニ
ケーション活動の方法や人材育成を検討し、実行に移す。
9
【当社の取り組み(6/6) 】
2.緊急時対応の強靭化によるレジリエンスの向上【課題(1)③】
ü リスクは存在し続けるという認識のもと、事故の発生を防止するた
めの備えに加え、事故の発生後の適切な対応を行うための体制を整
備するとともに、ブラインド訓練等実践的な訓練の実施等を通じて
残余のリスクへの対応能力を強化し、レジリエンスの向上を図る。
3.教育訓練の充実【課題(1)∼(3)】
ü 当社が取り組むとした各種の自主的かつ継続的な安全性向上活動を
真に機能させるため、これを下支えする専門的知識、管理者能力、
不測の事態への対応能力等の向上を目的とした計画的な教育訓練を
行う。また、双方向コミュニケーションに係る人材育成の推進を図
るとともに、PRA要員の育成を継続的に行っていく。