調査報告概要(PDF形式228KB)

報道関係各位
(財)海外技術者研修協会
広報課
2007 年 5 月 14 日
(報告書公表のご案内)
AOTS :(財)海外技術者研修協会
平成18年度経済産業省委託事業
「日本企業における外国人留学生の就業促進に関する調査研究」
報告書の公表について
AOTSは経済産業省より平成18年度「日本企業における外国人留学生の
就業促進に関する調査研究」を受託し、調査研究を実施いたしました。このた
び、報告書を取りまとめましたので、これを公表いたします。
財団法人 海外技術者研修協会(略称AOTS、主務官庁:経済産業省、本部:東京都足
立区、理事長:小川修司)は、1959 年の設立以来、開発途上国をはじめとする諸外国に対
する技術協力と相互の友好関係の増進を目的として、海外の産業界の人材を対象に国内外
における研修事業を推進してまいりました。
AOTSは、経済産業省より委託を受け、平成18年度「日本企業における外国人留学
生の就業促進に関する調査研究」を実施しました。
調査の結果、我が国企業が求める外国人人材像と、外国人留学生の活用に向け取り組む
べき課題として、①ビジネスに必要な日本語能力の向上、②日本企業文化・知識の理解、
③我が国企業で働く社会人としての行動能力の向上、の3点が明らかになりました。
この度、報告書を取りまとめましたので、これを公表いたします。報告書の概要につい
ては別紙を、報告書の詳細については AOTS ホームページに掲載しておりますので、以下を
ご参照ください。なお、本件については、経済産業省も本日、プレスリリースを実施して
おります。
http://www.aots.or.jp/jp/press/index.html
(本件に関するお問い合わせ先は以下の通りです。)
お問合せ先:(財)海外技術者研修協会
AOTS日本語教育センター
きんぱら
(担当)春原・志村・金原 (電話)03-3888-8250
(FAX)03-3888-8262
e-mail:[email protected]
[email protected]
[email protected]
AOTS ホームページ:
http://www.aots.or.jp
AOTS 日本語教育センター: http://nihongo.aots.or.jp/
平成18年度経済産業省委託事業
「日本企業における外国人留学生の就業促進に関する調査研究」
報告書の概要
1.経緯
近年、我が国企業のアジア等を中心とした海外事業展開の加速に伴い、新しい人材ニー
ズへの担い手として外国人留学生に対する期待が高まっています。こうした中、我が国企
業での外国人留学生就業促進に関する調査を実施し、本件に係る現状の課題とその課題克
服のための方策についてヒアリング、アンケート及び文献の3調査の結果から報告書を取
りまとめたものです。
2.調査方法
(1)ヒアリング調査(訪問調査)
日本の大学・大学院出身の外国人社員(以下、元留学生)と企業担当者から、元留学生
が直面したビジネス場面の実態とそこで生起する問題点のヒアリングを行いました。
(2)アンケート調査
上場企業3,500社に対し、①人事担当者向け調査票、②元留学生向け調査票の2種類
の調査票を送付し、双方の観点から、企業の留学生ニーズの把握、企業が求める日本語能
力、企業文化等に関する要件・水準について調査を実施しました。
(3)文献調査
ビジネスに必要な日本語能力やビジネス日本語教育に関する先行研究及び実践事例を中
心に文献調査を行いました。
3.調査結果概要
【企業の人材像:高い日本語能力を持つ高度グローバル人材】
今後、新卒採用において、グローバルに活躍できる人材を獲得したいと考えているかと
いう質問に対し、72.8%の企業が獲得を考えており、獲得したい属性については、「海
外留学し、大学等を卒業した日本人」(43.9%)と「日本に留学し、大学等を卒業した
外国人」(37.0%)との回答が得られました。
図1
グローバル人材の獲得希望
図2
獲得したいグローバル人材の属性
N=283
N=289
12.1%
27.2%
37.0%
はい
いいえ
海外留学し、大学・大学院
を卒業した日本人
その他
43.9%
72.8%
日本に留学し、大学・大学
院を卒業した外国人
左記以外の外国人
6.9%
また、2006年度と比較した上で、今後の元留学生の活用方針について質問したとこ
ろ、「2006年度よりも積極的に活用したい」企業が10.9%、「2006年度と同様の
活用」を考えている企業が14.0%となっており、今後の活用を前向きに検討している企
業(18.6%)と合わせると4割強の企業が、留学生の採用に前向きな見解を示していま
す。
図3
2006 年度と比較した今後の元留学生採用方針
N=285
10.9%
2006年よりも積極的
に活用したい
14.0%
43.9%
2006年と同様に活
用したい
今後できれば活用し
たい
18.6%
活用の予定はない
未定である
12.6%
採用の際は、日本語能力を非常に重視しており、8割以上の企業が大半の業務を日本語
で遂行できるレベルを期待しています。一方で、日本語能力、企業への順応性、定着率と
いった点に対する不安が挙げられました。
図4
採用したポイント(上位項目)
図5
採用時、入社時、入社後に重視する項目
N=415
日本語能力
96
専門知識・能力
母語を含む日本語以外の語学力
74
日本語以外の語学力
日本語力
77
性格
37
前に出る力
75
0
3
2
その他
20
40
60
80
100
120
0
図6
0.0%
11.2%
63
19
0
0.4%
まったく業務の遂行に
問題がない
33.5%
55.4%
N=269
25
50
75 100 125
期待する日本語能力
(話す・聞く)
0.0%
③入社後に企業として
育成したい項目
(N=396)
75
36
チームワーク力
日本の文化・社会に関する
一般教養的知識
②入社時点で企業が
求めていた基準に達し
ていた項目(N=367)
47
53
51
32
考え抜く力
40
①採用時に重視する
項目(N=501)
54
40
50
日本企業文化・働き方への対応力
42
83
66
58
24
48
108
54
37
日本の文化・社会への対応力
異文化への適応
58
15
専門知識
54
向上心
47
19
おおむね業務の遂行
に問題がない
16.4%
(読む・書く)
まったく業務の遂行に
問題がない
0.0%
30.9%
おおむね業務の遂行
に問題がない
ある程度業務が遂行
できる
ある程度業務が遂行
できる
日本語での業務遂行
は、あまりできなくても
よい
日本語での業務遂行
は、ほとんどできなくて
もよい
日本語での業務遂行
は、あまりできなくても
よい
日本語での業務遂行
は、ほとんどできなくて
もよい
52.4%
N=269
各種調査の結果から、企業が外国人留学生に期待する点は、①国籍・職種に関係なく優
秀な人材であること、②日本と現地の架け橋となり企業のグローバル化に対応できる資質、
語学力を備えていることが挙げられます。さらに、③企業内の活性化のための人材という
側面にも期待が寄せられています。
【外国人留学生の活用に向けて取り組むべき課題】
●留学生側の課題
各種調査の結果、大きく以下の3点が課題として挙げられます。
①ビジネスに必要な日本語能力の向上
・
相手や場面に応じて使い分けるコミュニケーション能力
・
電話やメールなどの「非対面型」コミュニケーション能力
・
文書や資料の作成・理解
②ビジネス文化・知識の理解
・
日本企業の組織性、仕事の進め方の理解等
③我が国企業で働く社会人を意識した行動能力の向上
・
チームワーク、規律意識、協調性、ビジネスマナー等
●企業側の課題
企業側は、外国人留学生に対して、高い日本語能力を持つ高度グローバル人材として高
い関心を示していることが明らかとなりました。一方で、元留学生からは、企業が求める
人材像が十分伝わっていないという声が寄せられました。今後、企業が求める人材像の明
確化とその発信に加え、企業の活性化に向け、日本人社員の異文化理解が求められます。
図8
図7
就職した際の課題(元留学生)
日本語
留学生が日本企業で活躍するために
必要な項目(元留学生)
25
34
日本人社員の異文化理解力
専門知識
22
文化の違い
留学生を人材として活かす方法
の共有・蓄積(現場・人事)
18
企業文化
・習慣
31
ビジネスに必要な日本語教育の
充実
17
25
13
電話応対
21
評価・処遇の透明性の確保
職場の
人間関係
12
年功よりも能力重視の評価・処
遇体系
10
仕事の進め方
0
5
10
15
20
25
30
N=168
19
0
5
10 15
20 25 30 35
N=259
【課題克服のために必要とされる方策】
上記課題を克服し、企業内活動へのソフトランディングを実現するためには、外国人留
学生が、在学中に3つの課題を統合した学習コンテンツ(プロジェクト型研修)の実践的
経験を通して課題を克服し、グローバル人材としての能力を活性化することが期待されま
す。また、これらの課題について克服しようとしている外国人留学生を、日本企業も積極
的に受け入れる態勢整備が望まれます。
(本調査を受託しました財団法人 海外技術者研修協会の概要は以下をご参照ください。)
AOTS:団体と事業の概要
財団法人
海外技術者研修協会
(英語名)
○ 設
The Association for Overseas Technical Scholarship [AOTS]
立 : 1959 年(昭和 34 年) 8 月 10 日
○ 事業内容 : 日本国内および海外において産業技術ならびに管理技術・管理手法等に
関する研修事業を行い、開発途上国をはじめとする諸外国産業界の人材
育成を通して日本の国際経済協力に貢献、相互の経済発展および友好関
係の増進に資する事業を推進している「研修機関」です。
○ 事業概要 :(以下に掲載の研修生数の実績は 2005 年度までの累計数字)
(1) 海外の産業界の人材に対する日本での研修(累計:129,183 人)
(2) 海外の産業界の人材に対する海外での研修(累計:159,582 人)
(3) TV会議システム等を利用した遠隔研修
(累計: 23,526 人)
(4) 海外からの研修者の受入および研修に要する施設の管理・運営等
○ 基本財産 : 1億円
○ 事 業 費 : 116 億円 (2007 年度予算)
○ 事業計画 : 受入研修
253 コース
6,751 人
(2007 年度計画)
海外研修
153 コース
5,690 人
(2007 年度計画)
そのほかに 遠隔研修等を実施
○ 事 業 所 :
(1) 本部事務局(東京都足立区千住東 1-30-1)
(2) 研修センター :東京・横浜・関西(大阪市)・中部(愛知県豊田市)
(3) 海 外 事 務 所 :北京、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、
バンコク、ニューデリー、ハノイ
○ 役職員数 : 194 人(2007 年 4 月現在)
○ 主務官庁 : 経済産業省 貿易経済協力局 通商金融・経済協力課および技術協力課
○ コーポレートメッセージ
人づくりで 世界をむすぶ “LINKING THE WORLD through Human Resource Development”
○ シンボルマーク
1981 年 10 月に制定。2003 年 5 月に、日本政府特許庁の商標原簿に登録されました。マー
クの造形意図は、開発途上国の人材に対する技術研修、相互理解、開発途上国の経済発展と
いう3つの基本的な目的を表象しております。同時に外形の三角形は、開発途上国または地域
を代表するアジア、アフリカ、ラテンアメリカのイニシアルであるAを、3つ
の帯はこれらの3地域を表したものです。マークが全体としてもっているメ
カニカルな印象は技術を、互いに組み合わされているような印象は人間
の交流や友好を、外形的に突き出ている印象は成長や発展を示してい
ます。AOTSは、今後とも開発途上国をはじめとする諸外国の経済
発展並びに相互理解と友好に資する事業を推進してまいります。