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目
次
1
研究の動機
19
1令幼虫
3
研究の目的・方法 20
脱皮
4
調べて分かったこと 23
2令~終令幼虫
5
昆虫とチョウ・ガの進化 24
蛹
9
昆虫の進化とハネの誕生
27
成虫 I
11
昆虫について
28
成虫 Ⅱ
14
チョウ・ガの特徴
30
敵
15
チョウ・ガの体の仕組み
33
チョウ・ガの共生と人間
16
ガ・チョウを比べてわかったこと
34
擬態
17
卵
36
感想
18
チョウ・ガの幼虫の仕事
研究の動機
私は生き物が大好きです。犬、猫、ハムスター等の哺乳類、トカゲ、ヤモリ等の
ハ虫類、カエル、亀等の両生類も好きで今もいくつか飼育しています。
そして虫もいます。特にチョウ・ガは好きで小さい時から飼育しています。
私の家のまわりにチョウ・ガが産卵に来て、毎年育てて成虫にして自然に返します。
だけどどうして「チョウ」と「ガ」に分けているのか、どうして「ガ」というだけで
きらわれるのか気になりました。チョウはきれいだけどガは気持ちが悪いと言う人が
ほとんどです。だけど、ちがうところもあると思います。そこで今まで見つけたチョウ・
ガをもとに考えてみることにしました。
ガにも美しいものやおもしろいものがたくさんあると思います。 - 1 -
ふ化かしてすぐのカナヘビの赤ちゃん
ヤモリの赤ちゃん
オタマジャクシから育てた
アマガエル。今4匹いる。
ミシシッピーアカミミガメと金銭亀
キンセンガメ
カブトムシの終令幼虫 メス
ヒラタクワガタ オスとメス。
- 2 -
研究の目的・方法
私は飼育したチョウ・ガが羽化したら自然に返してしまうので標本は持っていません。
写真がたくさんあるので種類ごとに分けることにしました。
チョウ・ガで別々にして、それぞれ科に分けて特徴をしらべてみることにしました。
これまでに見つけたチョウ・ガは合わせて110種類位で、そのうち70種類を飼育しました。
50種類くらい卵から育てました。
これらはカイコガ以外、私の家の庭とその近くで見つけた個体です。
ほとんど成虫へと羽化しましたが、成虫になれなかった個体もあります。
それぞれの生活を調べてチョウとガをまとめました。
そして分かった事、調べたことをまとめました。
さなぎのぬけがら
- 3 -
調べて分かったこと。
昆虫とチョウ・ガの進化
地球の地質年代表
始生代 原生代
古 生 代
カンブリア紀 オルトビス紀
10億年前
6億年前
シルル紀
中生代
デボン紀
石炭紀
二畳紀
三畳紀
ジュラ紀
新生代
白亜紀
第三紀
第四紀
6500万年前 1000万年前
4億年前 3億 2億 2億 1億
1億
4億
4億
3千万年前 9千万年前 4千万年前 (始新生紀)
2千万年前
7千万年前
9千万年前 3千万年前
5億7000万年前のカンブリア紀にいた原始有そう類が昆虫をふくめた全ての節足動物の祖先と
いわれています。
昆虫が地球上に現れたのは今から4億年前の古生代デボン紀で「トビムシ」の化石が見つかっ
ています。
約3億年前の石炭紀に現れた「ムカシアミバネムシ」がハネを持つ昆虫の祖先といわれています。
「メガニウラ」という長さが30cmもある巨大トンボがいましたが2億7000万年前二畳紀に滅んで
しまいました。
この二畳紀に恐竜が現れて主な昆虫の仲間がそろっていたそうです。
カンブリア紀には三葉虫類や甲かく類の化石が知られています。
デボン紀の化石に陸生の多足類や昆虫があります。
昆虫の登場はシルル紀か、それ以前にさかのぼるといわれています。
- 5 -
三葉虫は水生で大きさは3~20cm位でクモやサソリに近いものです。
体は扁平でフナムシのようなかんじです。三葉虫は頭、胸、尾に体節が分かれていました。
この三葉虫から分化して出現したものの中に昆虫があります。
昆虫は4つの段階を経て進化してきました。
①強固な頭部の形成 ②頭部、胸部、腹部の機能分化
③ハネの発達
④完全変態の発達
地球は水の惑星です。地球上の動物の中では虫は80万~150万種以上います。
せきつい動物は5万8千種、植物は30万種です。地球の全動物の70パーセントが虫です。
研究が進めば500万種を超えるといいます。
日本には10万種の昆虫がいます。セミは32種類、トンボは190種類、チョウは250種類、
ガは54種類見つかっているそうです。
ジャングルや砂ばく、南極の氷の上等、虫は暑い所、寒い所どこにでもいます。
地球は虫であふれています。
地球上の虫の全体重は人の15倍あります。
体重50Kgの人、一人に750Kgの虫を分けられます。
ミツバチなら750Kgは600万匹分です。
- 6 -
虫はなぜこんなに生きることができるのかというと
①ハネがあっていろんな所にとんで行きすみかをさがせる。
②からだが小さいので食べ物も少なくていい。
③ほとんどどこでも生きていける。体をすむ場所に合わせられる。
水があまり無くても生きていける。
④変態してくらし方を変える。
⑤好きなときに好きな場所に卵を産める。
長い年月をかけていろんな種類に進化してきたから多くてもいろいろな所に
住み分けていきていけます。
チョウ・ガの仲間が現れたのは1億6000年前の中生代白亜紀でトビケラ類に
近い昆虫から進化したと考えられます。
そして今から約4000万年前の新生代第三紀には、現在と余り変わらない
チョウ・ガが現れていることがわかっています。
食物をかむ口をもっているコハネガの仲間や前後のハネの形がほとんど同じ
コウモリガの仲間がチョウ・ガの祖先に近い原始的なグループと考えられます。
それをもとに現在のチョウ・ガを仲間分けしてアゲハチョウの仲間(上科)と
セセリチョウの仲間(上科)にふくまれるものをチョウとよんでいます。
- 7 -
アゲハチョウ上科にアゲハチョウ科、シロチョウ科、シジミチョウ科、テングチョウ科、
マダラチョウ科、タテハチョウ科があり、セセリチョウ上科にセセリチョウ科があります。
その他の鱗し類はガのグループです。
チョウ・ガと分けているのは東南アジアだけで、他の国は全部「チョウ」だそうです。
チョウ・ガは人間に比べて小さくて短い一生です。
人間は80年位生きて、生まれてから大人になるまで20年かかります。
チョウ・ガは一年間のうちに生まれて大人の成虫になり、子孫を残すことを何回も
くり返します。
アゲハチョウの仲間は一年に3回は一生をくり返しています。
人間が大人になる20年間にアゲハチョウなら60回の一生を送ります。
何回も新しい命を繰り返すと進化が早く進みます。
- 8 -
虫の進化とハネのたん生
虫の祖先
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
頭の節はもともとは一つ。
すっかり変形してヘルメット
のようになっている。
足はアゴや口のまわりの
ヒゲのようなものになった。
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
胸は3つの節が集まってできた。
足はそのまま足としてのこった。
6本という足の数はうまくできている。
あし4本だ体をささえることができる。
のこりの2本があまる。
あまった2本がべんりに使える。
ミミズに足がついているような感じ。
おなかはふつう11の節があつまっている。
おなかまで足がついていると動かしにくいので
おなかの足はなくなった。
昆虫を辞書で引くと “頭、胸、腹の3部分にはっきり分かれています。頭には一対
の触角、胸には3対の足と3対のハネがある節足動物です。” となっています。
昆虫が昆虫になったのはハネができたからです。
原始的な節足動物には体の前方の体節から左右に張り出しを生じる現象があった
らしいのです。エビ、カニの仲間はあしの根元にあるえらをおおって保護するために
この張り出した部分を使っています。けれども昆虫はこの張り出しを使って空中を飛
ぶことにしたのです。ハネは背中の皮がのびたようなものです。
「さあ体のどこにハネを生やそうか?前のほうではとびにくい。あまり後ろでも困る。
- 9 -
からだの真ん中より少し前の方がいいみたい。数はいくつがいいかな?
1対では頼り無い。3対あるとじゃまになりそう。」というわけで2対4枚になりました。
ハネを動かしてとぶためには強い筋肉と支えが必要です。
せきつい動物は骨を付着点として筋肉を使っています。
節足動物には体の中に骨がありません。そこで、ハネの生えた二つの体節とその
前の一つをしっかりとした箱にまとめ、内部の消化器や脂肪はできるだけ小さくして
ほとんど筋肉だけでできた部分にしました。これが胸の部分です。
空をとぶ生き物に節足動物のような多くのあしはいりません。
それで重さが同じになるように「胸」に3対の強力なあしが残りました。
鳥の場合では前あしがつばさになったので(後ろの)あしをつばさに近づけた体に
作りバランスを取っています。
昆虫は「胸」が体の中央にできたので前の方の体節をまとめて「頭」になりました。
感覚と食べるための部分です。
運動と移動のための胸、外界を探る触角と食物を食べる口のある頭ができあがりました。
あと必要なのは食物の消化吸収と子供を残す機能です。
これを胸から下の部分が受け持ち、腹ができました。
これが昆虫の頭、胸、腹の三部分のことです。
- 10 -
昆虫について
☆昆虫の特徴
動物の体の中には骨があり「内骨格」というが
昆虫は体の外が骨になっていて「外骨格」という。
昆虫の皮は硬いキチン質でできている。
皮はのびないので成長するたびに皮をぬいでい
く「脱皮」。
脱皮するたびに体の中の組織が大変化して最後
には形の仕組みのちがったものが出現したりする
ことは「変態」。
4枚のハネが胸の部分から生えている。
6本の足も胸の部分から生えている。
体は「頭」「胸」「腹」の3つに分かれている。
空気を口から吸わずに「気門」から取り込む。
英語で昆虫は「インセクト」です。
語源でラテン語の「インセクタム」は「切り込まれた動物」という意味です。
- 11 -
☆昆虫の変態
昆虫の一生で特徴的な現象として変態があります。
蛹から羽化する現象です。チョウ・ガは二度も変身します。
ハネの無い幼虫時代をすごす間に3~5回脱皮して最後の脱皮で蛹になります。動
かない蛹の中では大変化が起きています。成虫原基という成虫固有の器官になる
細胞は幼虫期にはそのまま変化しません。蛹の中でその細胞が分裂をくり返して成
虫のハネ、眼、あし等が作られます。
反対に幼中固有の器官は退化して分解されてしまいます。
変態をすると生活の変化も大きくて生物の多様性をもちます。
すべての昆虫が変態をするわけではありません。
なぜ蛹になるかはわかりませんが蛹になって体を作りかえるということはさらに強い
大きな体になれます。そして長生きできます。
- 12 -
完全な変態
卵→幼虫→蛹→成虫。親と子では違う食べ物。
蛹になるということは高等な進化した変態方法。
チョウ・ガ、ハチ、アリ、ハエ、アブ、ウスバカゲロウ、カ、ノミ
不完全変態
卵→幼虫(若虫)→成虫。
変
態
小変態
親も子も同じ食べ物。やがてハネができる。
バッタ、カマキリ、セミ、カメムシ、ハサミムシ、ゴキブリ
半変態
幼虫の時は水中生活。
成虫になるとハネができて陸上生活。
親と子は食べ物がちがう。
トンボ、カワゲラ、カゲロウ
無変態
幼虫も成虫も同じ形をしている。
体の大きさだけ変化する。
トビムシ、イシノミ、シミ
- 13 -
チョウ・ガの特徴
チョウ・ガの仲間は鱗翅類(りんしるい)とよばれ、南極や北極のごく寒い地方以外地球上
のあらゆる所に住んでいます。
最も大きな特徴は4枚のハネのほとんどが色のついた鱗粉でおおわれていることです。
口について、大あごは一部の原始的なコハネガの仲間を除いて全て退化して蜜や水を吸
うのに便利なように小あごか細長い管に変化し、使わないときはゼンマイのように丸めてい
ます。
チョウ・ガは一生のうちに、卵→幼虫→蛹→成虫と4段階に変化していき、甲虫、蜂などと
同じように完全変態します。
- 14 -
チョウ・ガの体の仕組み
触角のいろいろ
チョウ
ガ
くしの歯状
糸状
こんぼう状
せん毛状
羽毛状
かぎ状
触角→メスのにおいがわかるだけで食草のにおいはわからない。
前あし→チョウもガも前あしで食草のにおいを確かめて産卵する。
チョウのオスは前あしでメスのにおいを確かめる。
人間で言えばなめるのと同じ。
- 15 -
ガ・チョウを比べて分かったこと 卵
共通すること
・ 科によって形がきまっているが、球形を変化させたもの。
・ 一つの卵に一匹の幼虫。
・ ふ化する直前には中の幼虫がすけ見える。
・ 卵のままで冬ごしする種もいる。
・ 新芽に産卵する時は葉の表がくっつきやすいので表に産む。
ナガサキアゲハの卵 黒い頭がわかる
ガ
・ 色は黄色、レモン色、オレンジ色、緑色、
ネズミ色、うす茶色、緑と白のまだら模様。
・ 食草の葉の表、裏、枝やまゆに産卵する。 新芽に産卵することもある。
・ バラバラに1個ずつ産む種と、100個以上 まとめて産む種がある。
・ スズメガ科の卵では中の幼虫の頭がわかる。
チョウ
・ 色は白、レモン色、オレンジ色、緑色、あずき色、銀色。
・ ヒョウモンチョウの仲間はツマグロヒョウモン以外は食草の近くに
産卵する。
・ 食草の葉の表、裏に産卵する。新芽に産卵することが多い。
・ バラバラに1個ずつ産む種が多いが、ギフチョウの仲間はまとめて
産む。サカハチョウは積み木のように卵を積み上げて産む。
・ アゲハチョウの卵では中の幼虫の頭ができあがってくるのがわかる。
- 17 -
チョウ・ガの幼虫の仕事
共通
・ チョウ・ガの幼虫の仕事はとにかく食べること、食べられないこと。
幼虫はたくさん食べて体に栄養を貯えておく。
だから幼虫は食べるために発達した口を持ち、体の中身の大部分は腸でできている。
・ 外的に食べられないように「擬態」などで身を守っている。
アゲハチョウ科の1~4令幼虫は鳥のフンに似せた体をしていて、「隠れる擬態」で。
5令幼虫では目玉模様と臭角で「おどしの擬態」をしている。
スズメガ科では1令幼虫の時から尾角があり、2令幼虫のときから目玉模様をもつ
「おどしの擬態」をする種が多くいる。
・ 食草とは幼虫が食べる草木で種類が決まっている。
それぞれ違うものを食べるからえさのうばい合いをせずに共生できる。
チョウは高い樹木より野草や園芸植物等の背の低い植物を、ガは野草もあるが高い
樹木やさいばい植物を食草にしているものが多い。だから大害虫といわれるものが多い。
- 18 -
1令幼虫
共通
・幼虫が一番最初に食べる食べ物は自分が
出たあとの卵のぬけがら。
・卵で冬ごしする以外、気温によって5日
から7日でふ化する。
・チョウ・ガどちらも1令幼虫の頭は黒い
ものが多い。
・体に目立った模様はほとんど無い。
・食草の上で目立たない色をしている。
ナガサキアゲハの1令幼虫
毛が生えている。
・1令幼虫には体に一次刺毛という毛が生えている、この毛の生え方でそれぞれ
分類することができる。
・種によって幼虫の体の特徴がある。例えばイラガのようにとげのある幼虫やコ
ムラサキのように角のあるもの。
- 19 -
脱 皮
共通
外骨格の幼虫は体が大きくなると皮が伸びてきついので脱皮して大きな体
へと変える。
チョウ・ガでは3~6回脱皮して最後は蛹になるために脱皮する。
脱皮した後のぬけがらの皮を食べてしまう種と食べない種があるが頭は硬い
のでみんな食べない。
そして蛹になった時の終令幼虫のぬけがらは食べない。
1~4令への脱皮はそれぞれ2日くらいで完了するが終令幼虫への脱皮は
2、3日かかることが多い。
大きくなるので時間がかかる。蛹への脱皮も同じこと。
- 20 -
頭が出る
どんどん脱いでゆく
脱いだ皮がおしりにたまる
古い頭と皮をはなした。
(ツマグロヒョウモン5令幼虫)
体の横の白い線は気門(クロメンガタスズメ5令幼虫)
脱皮のからを食べている
(ナガサキアゲハ5令幼虫)
これも食べている
- 21 -
アオスシアゲハのぬけがら
1令~4令の頭と5令の体と蛹。
モンシロドクガ(さす)
2つ卵があってふ化した
タケノホソクロバ(さす)
集団で生活する若い幼虫
タケノホソクロバ
いっしょに飼育したのに5令幼虫になると茶色と緑色に変わった(コスズメ)
チョウのフン
ガのフン。ガのフンにはタイヤのようなみぞがある。
- 22 -
2令~終令幼虫
共通
・2令~4令幼虫では脱皮のたびに少しずつ大きくなる。
・終令幼虫の時ぐんと大きくなるので食草をよく食べる。
・終令幼虫は体の模様がはっきりしてくる。
・幼虫は食草にしがみついて食べる。
・無理に葉からかがそうとするとあしに傷ができる。
・さわると食草からコロンと落ちる種もいる。
・幼虫で冬ごしをするものもいる。
・2令から生える毛は二次刺毛という。
ガ
チョウ
・毛虫、とげ虫が多くて刺すもの、毒を持ちさす
・毛虫、とげ虫がいるがささない。
もの、毛をとばしてかゆくさせるもの等いろいろ。
毛虫はアカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、
・食草の色に関係なく、同じものを食べても体色に
ツマグロヒョウモン等で、とげ虫はインガケチョウ。
ちがいがある。
・食草の色によって体の色に変化がある。
- 23 -
蛹
共通
・蛹になる前(前蛹)1、2日くらいかかる。
(前蛹とは蛹になるための糸をかけたり脱皮を待つだけの状態)
・蛹で冬ごしが多い。
・体を止める糸や、まゆの糸は自分で吐く(口の下に吐糸管がある。)
・蛹になる前には何も食べないでフンをいっぱいして最後におしっこをして腸を空にする。
チョウ
ガ
・葉をつづってまゆを作って中で蛹になる。
土にもぐって土を固めて部屋を作り蛹になる。
自分のまゆだけで部屋を作り蛹になる。
・蛹になる前にシュウ酸カルシュウムという汁を吐
いて体を湿らせる。
・前蛹の時、色の変化が大きい。
・おしりを固定して背中に糸をくぐらせる帯蛹と、
おしりでぶら下がる垂蛹がある。
・帯蛹の体に糸をかける所は科によって決まってい
る。かける糸の本数も決まっている。
・糸かけの糸の出ない幼虫もいる。これは先天的な
病気らしい。自然界では生きていけない。
複眼
触角
口
脚
気門
ハネ
糸かけの糸が出なかった
クロアゲハ
- 24 -
蛹へと脱皮した。
背中を下にしてあお向けになる。
体に口を入れて脱いでいく。
だいぶ皮がぬげた。
脱皮成功。
だんだん色がつく。
シモフリスズメの蛹
緑色の蛹は時間がたつと茶色になる。
脱いだ皮
- 25 -
体をちぢめたりのばしたりする。
アオスジアゲハの前蛹
ツマグロヒョウモン
の前蛹。
体を上下させている。
背なかが割れた。
皮が下にたまっていく。
頭が出た。
どんどん脱いでいく。
- 26 -
脱げた。
皮をふりおとす。
体をふり落として
腹の先を固定する。
蛹化成功。
共通
成 虫 Ⅰ
・頭、胸、腹の三部分にはっきりと分かれて胸にハネが4枚とアシ6本がある。
・ハネを使ってとべる。ハネ模様はいろいろ。科でちがう。
・眼は単眼から複眼になり、頭には2本の触角ができる。
・オスの腹の先は縦に割れていてメスの腹の先は横に割れている。
・子孫を残すという役割がある。
ガ
チョウ
・多くのものは地味で目立たない。
・多くのものは色模様が美しい。
・触角の形はいろいろ。
・触角はこんぼう状。セセリチョウ科だけかぎ状。
・口は長くストローのように発達し行動時間に
・口は長くストローのように発達している。
よって長さが違う。退化して口の無いものもある。
・ハネは麟粉でおおわれ、麟粉ははがれにくい。
・ハネは麟粉が多く落ちやすい。
毛はすくない。
たくさんの毛でおおわれている。
・体は細く毛は余り生えていない。
・体は太く長い毛が生えている。
・多くはハネを合わせて立てて閉じて止まる。
・多くはハネを開いてぶら下がる。
・主に日中に行動する。
・主に夜活動する。
・ハネの表と裏が違うものがいる。
・ハネの表と裏は余り変わらない。
・成虫のオスとメスでちがうものが多い。
・オスとメスではあまりちがわない。
・メスはオスがさがしてくれるので、とび回らない。
・メスはフェロモンというにおいを出すの
・太陽にあたり体をぬくめてとぶ。
でオスはそのにおいに寄ってくる。
雨の日等は寒くてとべなかったりする。
・夜とぶので明かりに集まってくる。
・成虫は2~3週間くらい生きるものと、成虫のまま
・成虫は口の無いものでは1週間くらい、
冬ごしして長く生きるものがいる。
ふつうは2~3週間くらい生きて、
・成虫は花の蜜、樹液、動物のフン、くさった果実を吸う。
成虫で冬ごしするものは長く生きる。
・成虫は花の蜜、樹液などを吸う。
- 27 -
成 虫 Ⅱ
ガ
ガは人間があかりをつけるようになる前の時代
から生きている。夜光性のガは月や星の光を頼り
に行動している。
天体のように遠くの物体が光を発している場合、
その光線の方向ときまった角度を保ってとべば、
虫は直線上をとぶことができる。
しかし、光のもとが近くにあると、そこからの光
線の方向ときまった角度を保ってとぶと虫はその
まわりをまわりながら、次第に光のもとに近づい
てしまう。
あかりの登場によりガの行動が狂ってしまった。
ガにとっては「光害」。
人間の住んでいる所のあかりにハネ模様の地味
な大きなガがとんできて鱗粉をとばすのできらわ
れてしまった。かわいそうなガたち。
ガの前バネは活動しないで静止している昼間に
隠れるための模様だけど、後ろのハネはちがう。
襲われそうになったとき後ろバネを開くと目玉模
様や派手な模様が現れる。そうすると捕食者はひ
るむらしい。長い年月かけたガの進化。
チョウ
チョウの成虫は昼間活動するので美しい。
花の蜜を吸っている姿はきれいで自然の恵み。
太陽を頼りにして生活していて成虫で冬ごしす
るチョウは天気のいい日は活動している。
種の区別がつきやすいようにハネの模様を様々
なカラフル模様にしている。
渡りをするチョウや遠くまで台風にとばされて
とんでいくチョウがいる。
森林の開発や住宅の建設で絶滅したり、しかけ
たりするチョウも多い。
- 28 -
羽
化
ナガサキアゲハが頭から出てくる
体とハネが出た。
1本のストローになる。
頭と背中が出た
2本の口をのばす。
するとハネがのびはじめる。
- 29 -
体を出す、つかまる。
このときおしっこをする。
2本を1本にする。
セスジスズメも羽化直後は
ハネがのびていない。
敵
卵にはタマゴバチという寄生虫が卵を産みつけてその幼虫が中身を食べてしまう。
カメムシが卵の中身を食べる。
幼虫の時は敵がいっぱい。
鳥、ヘビトカゲ、ヤモリ等のは虫類、カエル等の両生類、肉食の昆虫のサシガメ、
カマキリ、テントウムシ、アシナガバチ、スズメバチ等とクモ、ムカデ、ネズミ、
タヌキ等-これらの敵は外部性天敵で、内部性の天敵に寄生蜂、寄生蝿がいる。
親虫が幼虫の体に卵を産みつける。その子虫はチョウ・ガの体の中身を食べてしまい、ある決まった
時期に体や蛹を食い破って出てくる。
寄生蜂、寄生蝿の種類は多くて、幼虫の食草のように決まったチョウ・ガにしか
寄生しないものがほとんど。私もいくつか見つけたが、寄生が一番こわいと思う。
隠れても、おどしても、見つかるとのがれられないから。
成虫になっても同じような敵がいっぱいいる。だけど寄生されることはない。
もしかすると一番の天敵は人間かもしれない。
人間は自然をこわすし、昆虫売買をするし、殺虫剤をまいたりその他チョウ・ガにとって困ることを
いっぱいする。
- 30 -
捕食者
サシガメ
ツバメ
キイロスズメバチ
(羽化したての)ナミテントウ
ジョロウグモ
ショウジョウトンボ
セミをつかまえたカマキリをつかまえた。
- 31 -
寄生者
タマゴバチ
ナミアゲハの蛹のなかにいた
アゲハヒメバチ
カイコノウジバエ
ルリタテハコマユバチの幼虫
ギンケハラボソコマユハチ
アオムシコマユバチが脱出
ブランコサムライコマユハチ
スズメヤドリコマユバチ
- 32 -
まゆを作っている。
羽化した
成虫
チョウ・ガの共生と人間
チョウ・ガは卵からふ化するまで4日から8日かかる。
気温が高いとき早く大きく育つ。1令から2令へは2、3日、2令から3令へは3、4日、3令から
4令へは3~5日、4令から5令へは5~8日かかる。5令から蛹になるのは7~12日かかり、羽化
するには8~18日かかる。
産卵から成虫まで30~50日。
卵や幼虫で冬ごしする種はまた日数がちがう。
成虫で冬ごしするものは何ヶ月も成虫で生きている。
冬ごししない成虫は種によって3週間くらい生きる。
みんなが春と夏に活動するわけではなく、種によって活動する季節がちがっている。
チョウ・ガ共生するのに季節ごとに住み分けている。
1日も昼と夜で住み分けて、えさの取り合いにならないようにしている。
成虫と幼虫で食べ物が違うので親子の争いもない。
仲間とともに生きるために知恵を合わせ、進化を重ねて今を生き抜いている。
チョウ・ガの住める自然を守ることはその地域に生きるあらゆる動植物を守ることで人間を守ること
につながると思う。
- 33 -
擬 態
チョウ・ガに多くの敵がいるということは食べられるために生まれてきた。
だけど食べられないで生き抜く。その手段の一つに「擬態」を進化させてきた。
擬態には「隠れる擬態(カモフラージュ)」と「おどしの擬態(目立つ)」がある。
幼虫が食草の色に体を似せたり、成虫が木の皮のようなハネ模様にすることは基本的なこと
で、シャクトリムシが枝にそっくりなことやアゲハの幼虫が鳥のフンに似ていること等の保護
色が「隠れる擬態」。
チョウは昼活動するので、見ることで仲間を見分け花や樹液に寄っていく。ガは夜活動する
ので、見るよりにおうことが発達して昼間隠れるハネ模様になり、仲間や花、樹液をにおいで
見つける。隠れてばかりいても見つかったら逃げないとつかまる。
それで敵を「おどす擬態」も身につけた。ガの後ろバネにある目玉模様やアゲハの幼虫の臭角
等が脅しの擬態。
初めからおどしている「目立つ」擬態もたくさんある。
ツマグロチョウモンのメス成虫が毒チョウのカバマダラに似ていたり、オオスカシバ成虫は
スカシバと体の模様でスズメバチに似ていたりする。オオスカシバは飛び方もハチと似ていて
昼に頭の後ろでブーンと飛ばれるとびっくりする。
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自然界では目立つ物には毒があるものが多い。
赤と黒のテントウムシ、イモリ、クモ、黒と黄のスズメバチ、ドクガエル、ガの幼虫のドクガにある。
「私は毒があります。食べるとまずいです。」と教えていて「けいかい色」という。
チョウ・ガの幼虫のツマグロヒョウモン、キアゲハ、セスジスズメ、ホソダカモクメ等が体にけい
かい色を持っている。目立つ模様の他にドクガの幼虫の長い毛に似せた体の幼虫も多くいる。
そしてチョウ・ガの成虫から幼虫までにある目玉模様もおどしていると思う。
派手な色の目玉模様、多くの目玉模様を体に持つ幼虫はおそわれにくいことで、多くの種の幼虫の模
様に進化したらしい。
成虫の目玉模様は鳥がヘビをこわがっているからおどしのためについている。実際にハトよけに目
玉風船が流行した時がある。だけど自分の目より小さい目玉はおそうらしい。
チョウ・ガは隠れる擬態に始まりおどす擬態に進化してきた。
まねをする、そして相手をだますことはチョウ・ガだけでなく、地球の生き物の世界を多様化させて
進化させてきた。
アケビコノハ
後ろのハネは派手
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昼は葉のかげでじっとしている。目立たない。
感 想
チョウ・ガのことが少しわかりました。比べてみるとチョウ・ガを分けているということ
が少し理解できました。共通することも多いけど、ちがっていることも多くありました。
昼と夜に分けて生活していることが大きな違いの基本でした。
ガが嫌われているのはかわいそうだけど、チョウだって幼虫はあまり好かれていません。
でもチョウにもガにもそんなことはどうでもいいことで、どちらも敵の多い自然界を生きる
ためにいっしょうけんめいです。
私は毎年自然界の生き物をいろいろ育てています。これらは自然からのあずかりものだか
ら大切に育てています。チョウ・ガは飼育ケースで育てるので成虫になる時に羽化にしっぱ
いする個体もいました。その個体は死ぬまで世話をしました。
羽化に成功したチョウ・ガはみんな自然に返します。
そして卵を産みにもどってくるのを待ちます。
「また会えるといいね。待っているよ。」
私はこれからも生き物の飼育をずっと続けていきます。
アサギマダラ
ウンモンスズメ
地味なハネだけど迷さい色
ガの損なところ。昼間隠れる。
遠くまでとんで旅するチョウ
白の部分はうすい水色。大きくてきれい。
チョウの得しているところ。
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糸かけの糸のでなかったクロアゲハ
死ぬまで飼育した。
参考文献
昆虫おもしろふしぎ探検記 矢島 稔 虫たちの地球 海野 和男 野や庭の昆虫 中山 周平 オルビス学習科学図鑑 - 37 -