寄稿 深沢先生!ごめんなさい ―ひとってみんな、正しいと思ってることが

平成21年(2009年)10月1日
発行:りぷりんとネットワーク事務局
第6号
“りぷりんと”のエリアをつなぐ・・・
寄稿 深沢先生!ごめんなさい
―ひとってみんな、正しいと思ってることが・・・ー
りぷりんと・中央区会長
山田源次
りぷりんと・中央区7月定例会講演に二面性、反対側からの観察というテーマで深沢先生に講演を
お願いしました。お願いしてから、結論を求めるテーマではなかったと思い、案の定、先生より「え
らく悩まされました」のお叱りでした。しかし、講演をお聞きして、尚テープを起こさせていただ
き、自分としては「してやったり」の成果でした。
「女優の引退」
「強制送還の経緯」
「脳死の問題」
と現在話題に、或いは社会問題になっているテーマを取上げて、見事に現象の捉え方、二面性、反
対側からの観察、判断など、
「深沢節」を堪能させていただきました。
読売新聞夕刊・8月25日のコラム「いま風」欄に哲学者の鷲田清一さんが書かれていました。
『東
京は左、大阪は右。エスカレーターで立つべき位置。
・・考えた結果の理屈は、東京の人は勝手に自
分を上に運んでくれる装置。大阪の人はより速く駆け上がるための装置。従って東京は「普通の人
は左側、異例(急ぐ)の人は右。大阪はじっと立っていたい異例の人は右』と述べて、いずれも「正
しい者が左にくる」としています。コラム最後の文章に大阪でのボランティア事業に参加した女子
高生の言葉「ひとってみんな、正しいと思っていることが違うんですね」を紹介しています。
柔道の指導者山下泰裕が監督2年目に、4年生に意欲が見られない控えの選手がいて、楽な方向に
仲間や後輩たちを誘導しているように見え不愉快だった。或るとき、東海大学病院に白血病の子ど
もが入院し、部員に献血の協力をしたが、結果的には父親の骨髄が適合した。退院時、子どもの母
親から問題があると思っていた部員が何度も見舞いに来ていて「あのお兄さんの言葉が、落ち込み
がちだった子どもを慰めた」と聞かされた。その学生は大学から病院まで電車とバスを乗り継ぎ報
復2時間、試験などで行けない時は励ましの手紙も送っていた。山下は「人を一面から見て決めつ
けることは怖いことだと思った。本当は美しい心を持った学生を私は駄目な人間だと思ったわけで
すから」と語っています。
最後にクイズを一つ。表の時計は 12 時を指しています。裏の時計は9時を指しています。表の世
界が3時間過ぎました。裏の世界は何時を指していますか?流石、大場さん、正解です。
自分が正しいと思っていても、側面、反対側から見れば、全く逆。しかしこのことを人生に譬える
と、寿命・余命にまっしぐらの私たちも「年を重ねる」のではなく、文字通り「年をとる=若返る
=無二向かう」と考えられませんか。
おもて
1
おもて
うら
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りぷりインフォ(おしらせ)
目次
寄稿:山田源次・・・・・・・・1面
講師コーナー:植田たい子・・2面
りぷりんと・かわさき・・3面
りぷりんと・すぎなみ・・3面
りぷりんと・長浜・・・・・・4面
りぷりんと・中央区・・・・4面
* りぷりんと・長浜の第 6 期生の養成講座が 8 月 11 日に終了しまし
た。既に 6 名の 6 期生がデビューを果たしました。
* りぷりんと・かわさきが、9 月 17 日に”川崎市健康いきがいフェス
ティバル”に、9 月 20 日に”多摩区健康フェアー”に参加しました。
* りぷりんと・長浜から 3 名の会員が 9 月 17-18 日にりぷりんと・
かわさきとりぷりんと・中央区を見学、交流しました。
* 10 月 14 日より、りぷりんと・かわさきが第 7 期生養成講座を開講
予定です。
* 10 月 17 日 13:30 より、りぷりんと・中央区が”みんなで楽しむ
おはなし会”を開催します。
(於:月島社会教育会館)
* 11 月 2 日より、りぷりんと・すぎなみが、杉並総合高校を対象に、”
絵本の読み聞かせ”授業を実施します。
講師コーナー 続101選、新たな試みに向けて
植田たい子(りぷりんとネットワーク)
『子どもとシニアが元気になる絵本の読み聞かせガイド』が上梓されたのは2008年2月のことでした。そ
こに紹介された101冊の絵本は、今も色あせることなく、皆さんの手であちらこちらの場で子どもたちに伝
えられていることでしょう。
ご承知のように、その第2段、続101選刊行の準備が「りぷりんとネットワーク」の活動として始まって
います。今回の特徴は高学年から中学生を対象にシニアが伝えたい絵本とは…を機軸に、続 101 選が選ばれ、
原稿執筆の段階です。タイトルは検討の段階ですがどんなふうに仕上がるか、年度内の刊行を予定しています。
続 101 選準備のさなか、中央区の 6 月定例会で高学年向きに1冊の絵本を紹介しました。奴隷制度の中、
自由を求めて、やっと一人入れる箱に入ってアメリカ北部へ脱出する事件を描いた『ヘンリー・ブラウンの誕
生日』です。次の定例会会場で、1 冊の絵本を手にしたMさんにお会いしました。
「この本はとてもいい本。紹
介してくださって感謝しています。私の大切な絵本になりました。
」その表情は大切な宝物を見つけた時の子ど
ものよう…。輝く笑顔と大切な絵本を子どもたちに読んでいきたいという、そんな気持ちが伝わってくる表情
でした。続 101 選「高学年に伝えたい」の抄に入ることになったエピソードです。
りぷりんとの皆さんはこれまでの人生で刻まれた深い思いを、優れた絵本が持つ豊かな言葉に託し、そこに
描かれる真実を多くの子どもたちに語り伝えてきました。続 101 選にはこのエピソードのように今だからこそ
伝えたい絵本が101冊も並ぶのです。次の世代からその次の世代へと大きな橋を架けることにつながる本!
そんな本になるといいですね。
9 月、澄み切った夜空に満月を見ました。その光は清らかななかにも神秘的。何かを想像させる不
思議な力を持っています。そこで今回は月の絵本を紹介します。10 月、また満月がめぐってきます。
自然の営みと絵本を結ぶチャンスです。
『お月さまってどんなあじ?』
絵と文:マイケル・グレイニエツ 訳:いずみちほこ
出版社: セーラー出版
出版年月:1995.9
対象年齢:幼児・小学校低学年
あらすじ:動物たちは夜空に輝くお月さまを見て、
どんな味がするのかかじってみたいと思った。カ
メは決心して山に登るが手が届かない。そこで仲
間を呼び、カメの背にゾウが乗り、その上にキリ
ンが乗り、最後にネズミが乗って、バリッ!とお
月さまをかじる話。子どもたちは大喜び、それぞ
れのお月さまの味を堪能しました。シワ紙を生か
した味のある絵本。
2
『満月をまって』
文:メアリー・リン・レイ
絵:バーバラ・クーニー 訳:掛川恭子
出版社:あすなろ書房 対象年齢:高学年
あらすじ:とうさんはかごを売り生活に必要な
ものを買うために、満月を待って町へ行く。ぼ
くが9歳になったとき憧れの町に初めて行っ
た。家への帰り道、
「おんぼろかご、山ザル・・」
と心無い男に怒鳴られて心が震えた。静かな山
間の暮らしと自然のままに凛として生きる一家
を暖かく描く。クーニーの最後の絵本。絵本か
ら遠ざかる高学年に読んであげたい。
りぷりんと・かわさきトピックス
クレヨンハウス(児童書専門店)での選書 ―2期生主催拡大勉強会報告―
(りぷりんと・かわさき 江刺彰子)
8 月 25 日、火曜日、天気快晴。小田急線、登戸上りホーム最前車輌あたり、12 時 30 分集合。
「ゆうべは、ワクワクして、よく眠れなかったわ」と後ろの誰かが言う。「私もよ」と聞こえて
くる。これから、いよいよ、表参道クレヨンハウスへ。12 時 30 分も過ぎて、熊谷先生をはじめ
12 名のちょっとしたツアーの出発です。おしゃれな街並みを入って、緑やセンスの良い花々の植
木鉢が並ぶ階段を降りて行く。まずオーガニックの昼食を摂って、絵本一杯のフロアへ移動。至
福のひとときを持つ。読んでも、読んでも、まだまだ、終わらない。私は今回は、保育園児向け
の絵本を、と思って出掛けたが、フロアの 1/3 も読まないうちに、4 時の集合時間になり、お茶
をしながら買い求めた本の紹介をし合う。皆それぞれ、満ち足りた表情で絵本を紹介、今日半日
の収穫を披露する。この本を読んだら、子供達は、どんな顔をしてくれるかな?さあ、また明日
からの読み聞かせに励むぞ!と、気持ちを新たに、5 時解散。登戸「ビールで乾杯コース」へと向
かう。
りぷりんと・かわさき 9 月 17 日
多摩区健康いきがいフェスティバルでのひとコマ
荻窪東保育園での交流会の様子
りぷりんと・すぎなみ副代表 南さん
りぷりんと・すぎなみトピックス
会員相互の学び合い-設立から10ヶ月過ぎて-
(りぷりんと・すぎなみ副代表
沼田仁子)
「りぷりんと・すぎなみ」は、2009年度定期総会を4月に開きました。3期生20名を迎
え、1期生8名、2期生16名、計44名、7グループでの活動になりました。読み聞かせ先も
10ヵ所に増えました。例会では、連絡事項、各活動先で読んだ絵本の子どもたちの反応や、読
み手の感想、問題点等話し合われています。6月からは、例会終了後の30分を会員相互の研修
会をすることに決まりました。8月までは各グループ1名、絵本を読み聞かせる人を決め、なぜ
その本を選んだかも発表しました。9月からは毎月順番に1グループが受け持ち、30分の枠で、
読み聞かせを中心に自由なプログラムをくみ、発表します。最初は1期生が受け持ち、テーマを
「秋」と決め、3人で3冊の読み聞かせと手遊びを入れてのプログラムでした。終了後の感想で
は「さすが1期生」と褒めていただき、読んだ人は大きな自信を得たと思います。
会員共通の悩みは、絵本選びの難しさです。読み手が好きで読んだ本が必ずしも子どもが好き
とは限らず、子どもが好きな本に首をかしげることもあり、悩みはつきませんが、学び合いによ
って、本選びの参考になっています。3期生も読み聞かせ先が決まり、積極的に参加しています。
会員が前向きにイベントなどにも楽しく参加していることは、嬉しいことです。
例会の準備がきちんとされているので、会は順調に運営されています。会員が自由に発言でき
ることがなによりです。会場の確保に協力してくださるNPO法人シニア総合研究所にも感謝し
ています。
3
りぷりんと・長浜トピックス
読み聞かせの会員になって
(りぷりんと・長浜 長浜南小グループ 小川静子)
3 年前、当時の私は主人が亡くなったのを機に仕事を辞め、
“来る日も来る日も日曜日”のよ
うな状態でした。
「これでは駄目だ」と思っている時に藤原先生の講演を聞き、読み聞かせボラ
ンティアの募集を知りました。私は、第 3 期生としてセミナーを申し込みました。ところが、
セミナー会場までは自宅から10kmほども離れた場所。私は自動車の免許がなく、バスを利
用しても遠回りで時間がかかります。片道 40 分、自転車で行く決心をしました。滋賀県一の伊
吹山、青々とした田んぼ、草野川と大自然の恵みを受けながらの道のりでした。道中お尻が痛
くて辛い時もありましたが、「サイクリングだ、健康のために良い。」と自分に言い聞かせ自転
車を走らせました。おかげさまでセミナーは皆出席、この時は健康であることに感謝しました。
3 期生の仲間の方とも親しくなり、
「自動車で迎えに行ったるで。
」と言ってくださり胸が熱くな
った事を今でも覚えております。
現在は、長浜南小グループに仲間入りしています。男子 2 名(内 1 名休会)女子 9 名。月に 1
度は打ち合わせ会を聞き、雑談を交え 2 時間強皆さんと過ごします。とても楽しいひとときで
す。教室での読み聞かせは教師になった気分になれます。
“来る日も来る日も日曜日”だった私
にとって、今は目的があり大きな幸福を感じております。
りぷりんと・長浜(原田さん・中央、川上さん・右)の
訪問を受け交流するりぷりんと・中央区稲田さん(左)
りぷりんと・長浜 長浜南小グループのメンバーと
小川さん(前列中央)
りぷりんと・中央区トピックス
あかちゃんの笑顔に魅せられて-あかちゃん天国のとりくみ-
(りぷりんと・中央区:南部悠紀子)
中央区では子ども支援センターの子育て交流サロンとして、親子の触れ合いの交流の場『あかちゃ
ん天国』があります。
そこには主に0歳から2歳ぐらいのお子さんが、お母さんと一緒に遊びに来ています。りぷりん
と・中央区として月2回読み聞かせをしています。お母さんも一緒であるという条件を生かして、い
つも絵本を読む前や後に親子で触れ合う“わらべうた”で遊んでいます。
わらべうたを歌いながら、顔やお腹、おしり、手、足などに触れてあげると赤ちゃんは喜びます。
例えば「じーかいてポン!」という歌があります。これはかぞえうたですのでメロディーはありませ
ん。1本指又は2本指、5本指全部でもかまいません。ほっぺや鼻、手、足、お腹などにタテに線を
引くようになでてあげます。
「ポン」のところでそっと叩くのです。赤ちゃんはにこにこ笑ったり、
キャッキャッと声を出して喜びます。
こんな遊びを通して親子の触れ合いが楽しめたらいいなと思っています。絵本では「がたんごとん
がたんごとん」
「こりゃまてまて」
「もこもこもこ」
「ぴょーん」などのような心地良い音の繰り返し
の本を喜びます。こうしてあかちゃんの笑顔を求めて毎回読み聞かせを楽しんでいます。
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