中央集権体制の 廃止と連邦制

中央集権体制の
廃止と連邦制
~ 市町村合併が進んでいるが、中央集権を地方主権に
変えるのはこれでいいのか ~
東海大学川野辺ゼミ経済政策論パート
井口 翔真
小野 功人
細川 史人
山田 実香
目次
☆第 1 章
はじめに
☆第2章
現状認識
~Ⅰ
国家財政の現状~
~Ⅱ-①
地方財政の現状~
~Ⅱ-②
地方交付税~
☆第3章
問題点
~Ⅰ
中央集権体制の問題点~
~Ⅱ
政府の行っている市町村合併の問題点~
☆第4章
解決策
~Ⅰ
基本的連邦制~
~Ⅱ
アメリカの連邦制~
~Ⅲ
連邦制のシミュレーション~
~Ⅳ
課税権移譲~
~Ⅴ
権限移譲~
~Ⅵ
問題点の解決~
☆第5章
結論
☆第6章
参考文献
☆第1章
はじめに
今回の議題である「市町村合併が進んでいるが、中央集権を地方主権に変えることはこ
れでいいのか」について、東海大学川野辺ゼミ・経済政策論パートは以下のように考察し
た。
まず、現状の情勢を認識するために、国家財政と地方財政の状態を挙げ、現在の日本の
置かれている深刻な状況を明確にした。その結果、中央集権体制を廃止して地方主権を成
立、基本的に市町村合併を必要としない、という2つの理念を確立させるに至った。この
理念持った理由については問題点としても挙げているが、東京一極化によって許容量を超
えた巨大な市場、それにより起こった地方の衰退、多様性に富まない官僚主導の行政シス
テム、地方交付税の曖昧な交付、合併成立までに必要な長期の準備期間、そして吸収合併
される脆弱な市町村の行く末などを掲げ、これらを解消するための有益な手段について次
に述べることにした。
その手段として自分たちが考え着いた先は連邦制の導入である。現在海外諸国の中で連
邦制を敷いているアメリカを比較し、連邦制のプランをシミュレーションした。地方主権
を確立させるため、統計資料をもとに州の区分を考案し、権限と課税権を地方に移譲する
構想を立てた。それをもとに上に挙げた問題点についての解決策を述べる。
☆ 第2章 現状認識
~Ⅰ 国家財政の現状~
現在、日本は過去に例を見ないほど切迫した財政危機の中にある。長期国債に含まれる、歳入
の不足分を補填する為の特例国債(赤字国債)の発行はカードによるローンの支払いのようなもの
であり、平成15年9月現在、国が抱え込んだ国債及び借入金残高は約868兆円(長期国債約62
4兆円、短期国債及び中期国債約254兆円)にまで膨らみ、今もなお1日に約1700億円のペース
で肥大し続けている。平成15年度予算財務省原案の概要によると、国債依存度は過去最悪の44.
6%まで上昇する見通しである。近年の経済低成長の影響による税収は減少もあるが、これは先進
諸国の中でも極めて稀なものであり、日本はこのような状況からの脱出の為に、構造改革の一環と
して地方の財政力の弱い市町村にとって行政運営上欠くことのできない地方交付税などの削減に
より財政支出を抑制し、市町村合併への誘導を考えていると思われる。
図1 地方財政の借入金残高の状況
出展 日本経済新聞社 「NIKKEI NET:2003 年度予算」
~Ⅱ-① 地方財政の現状~
国家財政が危機的状況にあると挙げたが、地方財政は国以上に危険な状況に置かれている。も
ともと財政基盤の弱かった地方自治体の破綻は進行し、今後は地方税収等の落ち込みや減収等
による深刻な財源不足などの要因に伴って、県、市町村の行政上の役割と負担はさらに大きくなる。
地方債は景気対策といった名目で増発させたことにより、近年では借入金が膨大となり、残高は15
年度末には199兆円(うち地方債残高138兆円)になる見込みである。3年度の借入金残高が70
兆円であったことから考えてみると、この10年余の急増は異様なものがある。
図2 都道府県別地方債残高
地方債残高
残高ランク
地方債残高
残高ランク
北海道
43,875
2 滋賀県
7,676
39
青森県
11,013
20 京都府
10,936
22
岩手県
12,640
17 大阪府
39,169
3
宮城県
13,033
16 兵庫県
34,722
4
秋田県
10,578
23 奈良県
8,436
34
山形県
9,729
27 和歌山県
6,556
43
福島県
11,189
19 鳥取県
5,261
47
茨城県
13,584
15 島根県
8,705
32
栃木県
9,215
29 岡山県
10,543
24
群馬県
24,969
6 広島県
14,528
13
埼玉県
19,226
10 山口県
9,745
26
神奈川県
23,448
7 徳島県
7,924
37
千葉県
8,426
35 香川県
6,296
44
東京都
76,750
1 愛媛県
7,991
36
新潟県
18,178
11 高知県
7,423
40
富山県
8,996
31 福岡県
19,366
9
石川県
9,089
30 佐賀県
5,615
46
福井県
6,853
42 長崎県
10,295
25
長野県
16,391
12 熊本県
12,378
18
山梨県
7,128
41 大分県
9,339
28
岐阜県
10,990
21 宮崎県
7,861
38
静岡県
19,410
8 鹿児島県
14,012
14
愛知県
31,338
5 沖縄県
5,921
45
三重県
8,657
695,464
-
33 全国
出典 新潟県 「図表資6 都道府県別基礎データ表」 よりコンピューター処理
~Ⅱ-② 地方交付税 ~
地方交付税は、以下のような目的のために地方交付税法で定められている
「第 1 条 この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行
する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じ
て地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地
方団体の独立性を強化することを目的とする。」
そして、現在国から援助される地方交付税の割合は、所得税・酒税の 32%、法人税の 35.8%、
消費税の 29.5%、タバコ税の 25%になっている。ここに地方自治ための財源を自治体に保障、財
源の均衡化する一方で総額決定や配分を通じて自治体の財政運営を統制するというもう一つの目
的が表れる。国は地方財政計画によって毎年度の地方財政収支の予測を立て、必要額の地方交
付税を確定、配分している。よって地方交付税とは配分資金であり、この配分によって財政運営を
統制しているのである。地方財政は国からの地方交付税や補助金による財政支援に大きく依存し
ている。例えば、鳥取県を見てみるとすると県の歳入額のうち、地方交付税の割合が 33%、国庫支
出金の割合が 20%となっており、歳入の 50%以上が国に依存している。鳥取県だけではなく、東
京都を抜かしたその他の県のほとんどが国に依存しきっている。
図3 歳入に対する地方交付税と国庫支出金の割合
北海道
46%
石川県
43%
岡山県
45%
青森県
50%
福井県
49%
広島県
44%
岩手県
49%
山梨県
49%
山口県
46%
宮城県
44%
長野県
45%
徳島県
48%
秋田県
54%
岐阜県
44%
香川県
43%
山形県
50%
静岡県
33%
愛媛県
47%
福島県
47%
愛知県
21%
高知県
57%
茨城県
39%
三重県
42%
福岡県
40%
栃木県
41%
滋賀県
41%
佐賀県
55%
群馬県
40%
京都府
39%
長崎県
51%
埼玉県
34%
大阪府
26%
熊本県
52%
千葉県
34%
兵庫県
36%
大分県
52%
東京都
8%
奈良県
50%
宮崎県
55%
神奈川県
26%
和歌山県
56%
鹿児島県
55%
新潟県
48%
鳥取県
53%
沖縄県
66%
富山県
46%
島根県
53%
全国
38%
出典 総務省
「地方税制度
資料一覧
計数資料」よりコンピューター処理
☆第3章
問題点
~中央集権体制の問題点~
・東京一極集中による許容量超過の市場
日本の首都である東京は、一千万人を越える人口を抱え込む巨大都市であり、上場企
業の本社数や、市場の動態傾向、人口密度、所得格差、財政力指数を地方と比較して見
てもあきらかな格差が見受けられる。敗戦後の東京一極集中は、高度経済成長期や2度
の石油危機、80年代後半のバブル期など、様々な歴史的背景による要因によって興っ
たが、その結果として政治や経済、商品取引などの主要な中心地がすべて東京に集中し
てしまっている。アメリカについてみると、政治はワシントン D.C.を拠点として機能し、
経済はニューヨークを中心に、テレビのネットワークはニューヨークやアトランタ、ロ
サンゼルスと多方面にわたり、商品取引の市場はシカゴに、航空網はシカゴ、ダラスに
点在している。
・地方の衰退
東京一極化の影響により深刻となっているのが、地方の衰退である。中国地方と四国地
方を例に挙げると、企業が進出せず町の活性化が進まない。さらに町の特色などをはっき
り持っていないと観光客や働きに来る人も少なくなってしまう。これにより、町の中の若
い人々が東京や大阪などの大都市圏に働く場所を求めて上京する。このように、東京など
の都市圏に集中が始まってしまうのである。これにより、地方は税収などの財源が減り、
国からもらう地方交付税のような補助金に頼らなくては運営できない状況になっている。
これが地方の現状であり問題点である。
・多様性に富まない官僚主導の行政システム
敗戦後の日本は官僚主導の下で先進国に追いつけ追い越せと行政を行ってきた。現状
の官僚主導の行政システムのままでは、肥大化した中央省庁の権限が強すぎるために、
族議員の天下りや政・官・業癒着による利益誘導、裁量行政など、利権に絡む様々な問
題が生じている。日本の道路建設の決定権は国土交通省にあるため、建設会社は東京に
本社を構えるのがいい例である。小泉政権が構造改革を掲げ取り組んできた郵政事業や
特殊法人に関する改革の成果を見ても、結局のところ族議員や関連企業団体などに対す
る妥協が見られる。この族議員や関連企業団体を排除しない限り官僚主導の行政システ
ムからは抜け出せない。
~政府の行っている市町村合併の問題点~
・地方交付税
市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)によれば、「合併が行われた場合、合
併が行われた年度から 10 年間、合併関係市町村が合併しなかった場合と同様に算定し、
支払われる。その後5年度については段階的に増加額を縮減することになる。」とある。
この結果、市町村は健全財政に努力せずとも赤字を補填することができる。これでは合
併以前との変化は見られない。さらに地方交付税には、努力してもその分だけ報われな
い。例えば自治体が歳出などを減らすと、地方交付税額が減らされてしまう。このよう
なことから、地方自治体は効率よく行政を行わないようになってくる。更なる問題点は
公共事業にかかる費用である。公共事業をするにあたって、地方は国から補助金を増や
してもらうことができる。これにより無駄な公共事業が増えてしまう。
・合併に伴う準備期間
現在のところ昭和60年以降に行われた合併は47件ある。近年国が提示した市町村
合併法定協議会運営マニュアルによると、今後の合併協議では、各地で行われている多
くの事例等を参考にしながら合併協議を進めていくことにより、効率化が図られること
などを考えると、法定協議会設置準備期間を含めて、合併するまでには22ヵ月程度か
かるとされている。しかし、実際には地方自治体の将来を決定する重要な協議というこ
とで、すでに合併が行われた市町村の実例を見ても3年間は必要ではないかと考える。
合併した市町村へのさまざまな特例措置や、財政支援のある合併特例法の期限である
平成 17 年3月末までに合併するには、3年という期間を考えると早急に任意協議会の設
立準備に入り、任意協議会での協議を始める必要がある。
・一方的な吸収合併
市町村合併を行ったときに、新設合併だとくっついた市町村たちが協力し合って街づ
くりにはげむのだが、吸収合併だと吸収された方の市町村が権限をあまり持てなくなり、
町作りに参加できないなどの可能性が出てくる。これは、その町の住民にも多大な影響
を及ぼすものである。しかし、中山間地などでは、合併をしないと地方交付税が削られ
てしまうという状態にあり究極選択を迫られている。このような状況の場合に上の人間
は住民を考え行動できるのだろうか。このようなことから一方的な吸収合併には問題点
が生じる。
図4 合併に伴う準備期間
合併協議の流れ
期間
内容
2か月
合併協議会立ち上げ準備(スケジュール作成、組織立案等)
6か月
市町村建設計画案策定(将来構想)、市町村現況調査票の作成
8か月
6か月
出展:立山町役場総務課
合併協定項目の協議、市町村建設計画(県支援本部と協議)作成(合
併に関する具体的な判断材料を取りまとめ、公表)
合併準備作業(電算システム、人事・組織体制、条例・規則等の改正、
住民相談、移転等)、調印式
「みんなで考えよう市町村合併 6」
☆第4章
~Ⅰ
解決策
基本的連邦制~
ここまで見てきたように現在敷かれている中央集権体制と政府が行っている市町村合併
により、日本の崩壊も後わずかという状況になっている。しかし前項にも挙げたように、
今の政府の方針では地方分権をするにあたって数多くの問題が出てきてしまうことから、
私達は連邦制の採用を考えた。
~Ⅱ
アメリカの連邦制~
現在世界で連邦制を敷いている国は、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリアであ
る。その中でアメリカの地方自治制度をみてみると、アメリカは、50の州と州に属さな
い地域(ワシントン D.C.)で構成する連邦制国家である。基本的には、それぞれの州では
扱いきれない外交や国防問題、国際貿易などの諸問題についてのみ連邦政府が扱い、それ
以外のことについては各州の自治にゆだねられている。そのため、州議会の権限は大きく、
州ごとに憲法と法律があり、州の自治権が大きい分、州知事の権限、役割も日本の県知事
とは比べ物にならないほど大きい。その範囲は州内に限られているが、大統領とほぼ同じ
権限が与えられていると言ってもいいほどなのである。さらに、日本とアメリカとの大き
な相違点は、連邦政府とは別に州や自治体が財源確保の為に課税権をもっていることであ
る。
図5
アメリカ政府の権限配分
連邦政府
州政府
権限 … 連邦憲法に記された事項に限定
権限 … 権限は各州に留保
例 … 度量衡、貨幣、郵便、国防、外交、 例 … 州内の治安、福祉、衛生、地方自
帰化、貿易及び習慣通称の規制等
図6
治制度、教育、産業、交通等
アメリカの税の種類
連邦税
州・市町村税
直接税 … 個人所得税、法人所得税、関 各州・市町村により課税され、税項目・
税、相続税等
名称が異なる
間接税 … 小売業税、製造業税、酒・タ 例 … 法人所得税、個人所得税、相続税、
バコ税、施設・サービス税
贈与税、自動車税、タバコ税、資産税、
ガソリン税等
~Ⅲ
連邦制のシミュレーション~
・北海道州 … 北海道
・東北州 … 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県
・関東州 … 茨城県、埼玉県、千葉県
・東京都(特別区) … 東京都
・北陸州 … 群馬県、新潟県、富山県、石川県、長野県、岐阜県
・東海州 … 神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、三重県
・近畿州 … 福井県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県
・中国州 … 大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
・四国州 … 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
・九州・沖縄州 … 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、
宮崎県、鹿児島県、沖縄県
図7
連邦制施行後の州の区分
図8
総面積
州別データ
所得格差
完全失業率
財政力指数
地方債残高
北海道州
83,454.08
92.1%
5.8%
0.35
43,875
東北州
70,394.35
87.9%
4.1%
0.34
77,397
関東州
14,858.86
101.8%
5.2%
0.58
41,236
東京都
2,102.35
140.8%
5.9%
1.04
76,750
北陸州
47,096.95
95.1%
3.9%
0.38
88,613
東海州
24,825.08
102.1%
4.5%
0.63
89,981
近畿州
21,073.76
94.7%
5.7%
0.40
40,457
中国州
42,097.87
91.1%
5.4%
0.38
122,673
四国州
18,788.53
83.8%
4.9%
0.29
29,634
九州
42,176.39
80.2%
5.7%
0.30
84,787
全国
377,887.25
100.0%
5.4%
0.50
695,464
総面積
所得格差
完全失業率
財政力指数
地方債残高
北海道州
1
6
2
7
7
東北州
2
8
9
8
5
関東州
9
3
6
3
8
東京都
10
1
1
1
6
北陸州
3
4
10
5
3
東海州
6
2
8
2
2
近畿州
7
5
4
4
9
中国州
5
7
5
6
1
四国州
8
9
7
10
10
九州
4
10
3
9
4
出典 「国土地理院 都道府県別面積」
「総務省
都道府県総合人口」
「総務省
統計局 都道府県完全失業率」
「内閣府
経済社会総合研究所
平成 12 年度兼任経済計算」よりコンピューター処理
この連邦制のシミュレーションでは、各州の所得格差をなるべく 100%に近づくように県
を分割させないで分けた。そして財政力指数、完全失業率も同時に検討していきこのシミ
ュレーション結果が出た。この分け方で一番目立つ東京都が一つだけの県で要る理由は、
問題点でもあげたように、東京一極化を改善させようと思い、所得格差と財政力指数に飛
びぬけているので東京を一つの特別区として存在させた。さらに中国州に大阪府を入れた
理由は、中国地方の中心的存在として引っ張ってもらうためである。
~Ⅳ
税制~
連邦制の導入に際しては、各州が独自の方法を用いて自主財源を確保する必要が出てく
る訳だが、全国の市町村が一律の税制を敷いている現状から逸脱し、国から地方への大幅
な課税権移譲が重要となる。課税権の移譲の仕方だが、これについては州によって多様な
政策があり、それによって多少の項目、名称の差異が予想されるので、国と州の主要な税
の項目のみを考案する。
図9
連邦制施行後の課税権移譲
連邦税
地方から分配
州税及び市町村税
各州・市町村により課税され、項目、
名称の異なる連邦税に含まれない税金
例 … 所得税、法人税、酒税、タバコ
例 … 州税、事業税、地方消費税など
税、消費税の一部
都道府県歳入の全国平均の実に約38%を占めている地方交付税と国庫支出金について、
現在政府の行っている市町村合併の問題点でも挙げたが、次のような理由から廃止を検討
している。まず、国に財源の一部を支配されることによって、国に逆らえない環境が作ら
れてしまうということ。沖縄県を例に挙げてみると、歳入に対する割合が6割を超え、ほ
とんど国に依存した形になっている。次に国庫支出金についてだが、用途を指定されてい
るために、主体性が奪われて地方財政に国が直接関与しているも同然となってしまうとい
うこと。
地方交付税と国庫支出金の廃止によって財政収入面に多大な影響を与えるとは予想され
るが、国からの課税権移譲によってこの問題は十分に補うことができる。
~Ⅴ
権限~
連邦制を敷いた際の国の権限は、「外交」「国防」「貨幣」の3つのである。そして、政府
は現在の国会議事堂を本拠地とし、上に挙げた仕事を行う。次に州に与える権限は、国に
与えた権限以外のもので、例えば「行政権」「憲法の範囲内での州法制定」である。
図10
連邦制施行後の権限配分
政府
権限
…
州政府
「外交」「国防」「貨幣」 権限
…
各州に留保
の権限に限定
例
…
外交、防衛、通貨管理
例
…
行政権、憲法の範囲内での
連邦警察、宇宙事業
州法制定、警察、消防、教育
医療、保険
そして、国は国会、州は州議会が運営する。このときの国会議員、州議員の選出方法は州ごと
に規定人数分選挙で決定する。
図11
議員選手方法
国会
州議会
国民投票で一人
州知事
首相補佐
…
国民投票で一人
州知事補佐
…
国会議員
…
州から五人
州議員
州ごとに三十人
首相
…
…
…
州ごとに一人
州ごとに一人
国民は双方の議員に対して、リコールを行うことができる
リコールとは解職請求権のことをいう。州法により異なるが、一例としては州民の3分
の1の署名によって解職請求の投票が行うことができる。
~Ⅵ
問題点の解決~
・中央集権体制について
東京一極集中による許容量超過の市場については、国から州への権限委譲により各州
がいろいろな政策を打ち出すことができ、企業に入りやすい環境作りができる。そして
なぜ州に分けるとできるかというと、市町村合併よりも規模がでかく大きな政策をしや
すいと考えた。さらに地方の衰退についても同じような考えで、補助金ではなく州ごと
の税金を作ることができオリジナルな地方自治というのができるからである。問題点で
も書いたようにアメリカでは州によって、政治の中心(ワシントン)
、経済の中心(ニュ
ーヨーク)など各地域によって地方自治となっている。次に多様性に富まない官僚主導
の行政システムについて見てみると、国には権限がほとんど無くなることから中央省庁
はスリムになり、今までなにも生み出さない議員に税金で払っていた多額の給料がカッ
トでき税金が有意義に使うことができる。
・市町村合併について
地方交付税の問題については、地方交付税を廃止して今まで国税だった所得税、消費
税などの課税権を州に移譲することによって交付税をもらわずとも行政ができると考え
た。合併に伴う期間と一方的な吸収合併は、市町村合併をせずに今の形を残したまま連
邦制にするので問題点はすぐに解決される。
このように中央集権体制や市町村合併などの問題点は自分たちが作った連邦制によっ
てすべて解決できる。よって市町村合併から地方分権という図式より市町村合併をせず
に連邦制を導入することで地方分権への道が開けると考えた。
☆第5章
結論
我々は今回の議題に答えるため、現在の国家財政、地方財政、市町村の現状問題点を見
ていくことによって、様々な角度から考えた。その結果地方主権を実現するためには市町
村合併は必要とせず、連邦制による地方主権が最良の手段であるという結論に達し、連邦
制のプログラムを作りそれがどのような影響を与えるのかについてシミュレーションをし
た。その結果我々の考えるプログラムが理論的には成り立つと証明されたため、地方主権
の施策としてこの連邦制を提案する。現在、国家財政、地方財政が危機的状況にあるのは
間違いなく、早急な地方主権改革が望まれる。
☆第6章
参考文献・参考サイト
森重暁・関野満天・川瀬憲子(2002)『地方交付税の改革課題』自治体研究者
古川俊一(1993)『連邦制~究極の地方分権~」ぎょうせい
本田弘・下条美智彦(2002)『地方分権化の地方自治』公人社
寺田宏洲(1999)『地方分権と行政改革』新評論
高寄昇三(1995)『地方分権と大都市』頸草書房
http;//shinsho.shueisha.co.jp/toranomaki/030129()
http;//www2.pref.niigata.jp/niigata/webkeiji.nsf/0149265b2c00llba5b49256dlfoolbd
http://www.soumu.go.jp/
http://www.stat.go.jp/
http://www.mof.go.jp/siryou.htm