岩熊力也展 砂の島


岩 熊 力 也 展 砂の島
I WA K U M A R I K I YA S o l o E x h i b i t i o n
2011 年 1 月 7 日(金) −1 月 22 日(土)
コバヤシ画廊企画室
時下ますますご清祥の事と存じます。
いつも大変お世話になっておりまして誠に有り難うございます。
この度、年明けの恒例の「岩熊力也新作展」を開催致しますので、
ここにお知らせ致しまおしらせす。
来年早々には国立新美術館での「アーティスト・ファイル 2011̶
現代の作家たち」に出品が決定し、ますます活躍が期待される岩
熊力也の新作展です。
近年は山水画を思わせる風景の中に動物や様々な事象を織り交ぜ
た、繊細かつダイナミックな作品を発表してきた岩熊力也。湧出
する山々の情景を経て今回は「砂の島」をテーマに新作を発表致
します。大作 4
-
5 点と、小品数点を展示予定。同時期に、第一生
命南ギャラリーでも個展を開催いたします。
砂の島2、130
どうぞ送らせていただきました資料をご査収の上、貴社刊行の出
194cm、アクリル、ポリエステル、2010 年
版物にご案内御掲載をご検討頂ければ幸いに存じます。
コバヤシ画廊企画室
展覧会一般情報
岩熊力也略歴
岩熊力也展「砂の島」
2011 年 1 月 7 日(金)−1 月 22 日(土)
日曜休廊・祝祭日開廊
1969 年東京に生まれる。1990 年日本大学芸術学部映
画学科中退。1997 年 B ゼミスクーリングシステム修了
2004 年ポーラ美術振興財団国際交流プログラムにてメ
キシコに滞在。2009 年リトアニアに滞在。制作
1996 年よりコバヤシ画廊他で個展多数
主なグループ展
1999「INDEX」セゾンアートプログラム・ギャラリー,
東
京。2000 年「第 16 回平行芸術展
-響きと絵画-」エス
パス OHARA,
東京。2000「MESSAGE
2000」コバヤシ
画廊,
東京[以後毎年出品]
2002「VOCA 展 2002
現代美術の展望
-
新しい平面の
作家たち」
上野の森美術館,
東京[08
同
大原賞受賞]
2007「「森」としての絵画」岡崎市美術博物館,
愛知
2008「現代美術の展望-VOCA 展 2008
-新しい平面の作
家たち」上野の森美術館,東京
<大原美術館賞>
パツリックコレクション
大原美術館、愛知
午前 11 時 30 分より午後7時まで(最終日は 5 時まで)
コバヤシ画廊企画室
東京都中央区銀座 3-8-12 ヤマトビル B1
TEL03-3561-0515
FAX03-3561-7859
[同時期開催]
岩熊力也展「Gasstation
Hamburger
Queen」
第一生命南
ギャラリー
2011 年 1 月 14 日(金)−2 月 19 日(木)
12:00a.m.-6:00p.m.
TEL
050-3780-3242
東京都千代田区有楽町 1-13-1DN タワー21
砂の島
日比谷はかつて海岸であり、その沖合に墨田川が運んだ砂の堆積によってつくられた江戸前島と呼ばれる砂州があった。そ
の突端が現在の銀座である。埋め立てられ、度重なる大火、震災、空襲、占領軍による接収をへて現在に至る。その砂の上
でいま中国人観光客が大人買いに奔走している。
この一年私は新橋界隈にて埋蔵文化財発掘作業員として働いているが、その大地を掘り進めてゆくと砂の層に行き当たる。
仄かに潮の香りの漂う穴の底でその仄暗い緑灰色に囲まれていた時、私は浮遊感を味わった。月面を漂う自分がみえた。
日本は6852の島々からなる。それぞれの島の浜辺は波に洗われ、境界線は常に揺れ動いている。地図を眺めれば、爆破
され大陸から引き離された欠片が海洋を漂っているようにも見える。頼りなげな国土。思えばこの国はイザナギとイザナミ
が海をかき回して引き上げた矛から滴る一しずくの塩から始まったのだ。それから積りに積もって今や6852ではある。
しかし気まぐれな神々は人間存在になどお構いなしである。彼らが欲しているのは変化と混沌だけだ。
「かちかち山」のお人好し(のんき?) なタヌキはウサギに騙されつづけたあげく泥の舟に乗りこみ沈められた。敗戦後、平
和を謳歌しつづけた私たちもまた砂の島の上で何も気づかずあぐらをかいているのかもしれない。
「砂の島」と題された絵画群は国土流出の危機を憂う悲壮感からスタートしたが、同時に制作の現場では始源の世界への憧
憬もほとばしりでた。描きながらそのことに気づいた。絵画もまた人間存在になど興味ないのだ。
岩熊力也