第二協立病院産婦人科 ちょこっとコラム 第6号 妊娠や出産は女性の人生を大きく左右する大切な出来事です。自らの人生プランの中で 妊娠を望まない時期には適切な避妊をしましょう。 各種避妊法の避妊効果(パール指数:100人の女性が使用開始1年間での避妊失敗率) • 低用量ピル‥0.27% • 子宮内避妊具(IUD/IUS)‥0.1-0.8% • 不妊手術(女性)‥0.5% • コンドーム‥2-15% • 避妊せず‥85% 若い世代や出産経験がなく、近い将来には妊娠を希望される方は低用量ピルが、 出産経験のある方や長期の避妊を望まれる方はIUD/IUS がお勧めです。 低用量ピルとは? 黄体ホルモンと卵胞ホルモンの合剤であり、3つの作用により避妊効果をもたらし、 避妊効果以外にもさまざまな副効用があります。 作用機序 副効用 以下の疾患になりにくくなる、 と報告されています。 ・月経困難症 ・過多月経 ・子宮内膜症 ・貧血 ・両性乳房疾患 ・異所性妊娠 ・良性卵巣腫瘍 ・子宮体がん/卵巣がん/大腸がん ・骨粗鬆症 ・尋常星ざ瘡(にきび) ・関節リウマチ 副作用 ・悪心・嘔気 6.3-29.2% ・乳房痛、緊満感 1.7-20.0% ・頭痛、片頭痛、頭重感 3.4-15.7% ・静脈血栓塞栓症 3-9人/1万人(欧米) 体重は増加しません。 また、長期間内服しても中止すれば 速やかに月経周期は回復し、卵巣機能 が低下することもありません。 ピルの適さない人 ・分娩後21日以内 ・母乳栄養中 ・乳癌 ・35歳以上の喫煙者 ・片頭痛 ・高血圧 ・静脈血栓塞栓症(VTE)の罹患または既往 ・血栓性素因 ・長期の安静臥床が必要な手術 ・虚血性心疾患、心弁膜疾患、脳卒中 ・糖尿病(血管性病変のあるもの) ・胆嚢疾患 ・肝硬変 ・一部の抗結核薬、抗痙攣薬の内服 喫煙、高年齢、肥満はピルによる静脈血栓症の発症リスクが高く、 よりリスクの少ない方法をお勧めすることもあります。 子宮内避妊具(IUD/IUS)とは? IUD(Intrauterine device:子宮内避妊具)は子宮内に装着することにより子宮内の環境 を変え、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ避妊具です。 黄体ホルモンが付加されたIUS(Intrauterine Contraceptive System)は持続的に黄体ホ ルモンが放出され、子宮内膜の増殖を抑えます。一度の装着で長期(最長5年)の避妊 ができ、子宮内膜が薄くなり月経量が減るといったメリットもあります。 子宮内膜に作用して 内膜が薄くなり、 受精卵の着床 (妊娠の成立)を妨ぐ 子宮の入口の粘液を変化させ、 精子が膣の中から子宮内に 侵入するのを防ぐ IUSの適さない人 ・子宮、頸管、骨盤内の感染症 ・子宮粘膜筋腫、子宮奇形など内腔の形態の異常(脱出の可能性が高くなります) ・子宮外妊娠の既往 ・先天性の心疾患や心臓弁膜症がある方 自分にあった避妊方法を知りたい方は、 ぜひ婦人科外来でご相談ください。
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