USA FLY&DRIVE REPORT USA フライ&ドライブ・レポート ③ クリアウォーターのビーチ VISIT FLORIDA モーガン・フリーマンが経営するライブハウス 近代的かつ美しいシアトルの街 意外なアメリカが発見できる ドライブルート ドライブならではの面白さが詰まった3コース アメリカのドライブといえば西海岸の海沿いのルートがポピュラーだが、広いアメリカの大地を走るドライブルートは無限にある。 人気の定着している定番の街以外のスポットをルートに取り入れることで、まだ知られていないアメリカの魅力に出会うことができる。 短期間でもツアーが組みやすいゲートウェイ都市を起点に、容易に行けるユニークなルートを商品造成のヒントにしたい。 クリスタルリバー (オーランドから139㎞) オーランド ターポンスプリングス (クリスタルリバーから91㎞) クリアウォーター (ターポンスプリングス から22㎞) セントピーターズバーグの夕景 VISIT FLORIDA ◎フロリダ編 タンパ(セントピーターズバーグから38㎞) セントピーターズバーグ (クリアウォーターから36㎞) フロリダマナティとエスニックタウン マイアミやキーウエスト以外にも、フロリダには 多くの興味深いドライブルートが存在する。なか でもフロリダ半島中西部は、オーランドからのア クセスも良い人気のリゾート地だ。オーランドか ら1泊2日。野生のマナティと触れ合える町から、 エスニックな雰囲気漂う町をドライブする。 ゲートウェイとなるオーランドは、ディズニーワ ールド、ユニバーサルスタジオ、シーワールドな ど世界に名だたるテーマパークが集まるうえ、そ れぞれの規模が大きく、街は広域にわたってい るが、レンタカーがあればテーマパーク間も自 由に移動できる。 オーランドでテーマパークを楽しんだ翌日、北 西のクリスタルリバーを目指す。ここは冬でも温 かい内陸の川に上ってくる野生のマナティと泳 げるところ。ベストシーズンは11∼3月。ダイブシ ョップの現地ツアーに参加すれば、ウェットスー ツを着用し、シュノーケリングでマナティウォッチ ングをしながら泳げる。 クリスタルリバーから19号線を南下すると、天 然のスポンジ(海綿)で有名なターポンスプリン グスがある。19世紀後半にギリシャから来たス ポンジダイバーの移民によってスポンジ業が栄 えた町で、店の看板にはギリシャ語があふれて いる。本場のギリシャ料理が味わえ、オイルな ど質のいいオリーブ製品が手に入り、ギリシャ の港町のよう。スポンジダイビングを体験できる 約1時間のツアーもある。水分の吸収力が強く 柔らかい天然のスポンジもお土産になる。 さらに南下すると、リタイアした人が多く住む ビーチリゾートのクリアウォーター。車もゆっくり 走っているので、初心者でもドライブしやすい。 50km以上も続く白いビーチは西向きに広がっ ていて、サンセットもロマンチック。セントピータ ーズバーグはタンパ湾に面したかわいらしい町 で、サルバドール・ダリ美術館や歴史博物館な ど美術館やギャラリーが多い。ここに宿泊して 美術館巡りを楽しむのもいい。 275号線を北上し、タンパ湾に架かるハワー ドフランクランド橋を渡る。海上の長い橋を走 る爽快なドライブの先にあるタンパは、高層ビ ルの立ち並ぶ典型的なアメリカの街。イボール シティは葉巻会社ヴィンセンテ・イボールが工場 をキーウエストから移したことで、19世紀後半 にキューバ人やスペイン人の技術者が集まった ところ。古い街並みが残るエリアは、夜は歓楽 街となり、独自のラテンカルチャーが見られる。 ここからオーランドへは、4号線で136㎞。 TRAVEL JOURNAL 2008.9.29 65 USA FLY&DRIVE REPORT USA フライ&ドライブ・レポート ③ メンフィス クラークスデイル (メンフィスから123㎞) グリーンウッド (クラークスデイルから90㎞) インディアノーラ (グリーンウッドから62㎞) ヴィクスバーグ (インディアノーラから153㎞) ナチェス (ヴィクスバーグから115㎞) クラークスデイルの名所、クロスロード バトンルージュ ◎ミシシッピ編 (ナチェスから146㎞) 南部ブルースが生まれた 61号線 メンフィスからニューオーリンズにかけては南 部音楽の原点といえるエリア。過酷な労働を強 いられた黒人の間で歌われたブルースは、綿花 の積み出し港ニューオーリンズにつながるミシ シッピ川沿いの61号線で花を咲かせた。ゆか りの町を訪れながら生演奏を聞けば、ブルー スが生まれた背景を実感できるドライブとなる。 ゲートウェイはテネシー州のメンフィス。ブルー スやロックンロールを生んだ街で、エルビス・プ レスリーやここで活躍したB.B.キングゆかりの地 として、数々の伝説がある。音楽や街の歴史に かかわる多くの博物館はミシシッピを旅するう ニューオーリンズ (バトンルージュから130㎞) えで役立つので、 ドライブ前に寄っておきたい。 秋には綿花で一面が真っ白となるコットンフ ィールドに囲まれた16号線を南下すると、デル タブルースの中心地クラークスデイルに着く。か つてマディ・ウォーターズ、アイク・ターナーなど が活躍、地元出身のモーガン・フリーマンがラ イブハウスをオープンしたことをきっかけに、再 び脚光を浴びている。ロバート・ジョンソンが 「悪魔に魂を売った」国道49号と61号の交差 点、ブルースマンが常宿にしていたリバーサイド ホテルなど多くの伝説の場所が残る。 グリーンウッドは典型的なミシシッピデルタの シアトル (さらに50㎞北上すると エバレットに) マウントレーニア国立公園 (シアトルから北東の入り口まで121㎞) 活気あふれるポートランドのファーマーズ・マーケット ポートランド・オレゴン観光協会 ポートランド ◎シアトル∼ポートランド編 (西の入り口∼ポートランド 222㎞) 住んでみたくなる街と大山脈 西海岸の都市でも、北部のシアトルとポート ランドは落ち着いた雰囲気で、住みたい街の 上位にその名前が挙がるところ。シアトルから ポートランドを結ぶインターステート5号線を中心 に、街なかや周辺の観光ポイント、両都市の途 中にあるマウントレーニア国立公園を楽しみな がらのドライブがお勧めだ。 マリナーズの本拠地でもある港町シアトルは、 郊外にマイクロソフトの本社があるなどIT産業 が栄えている。スターバックス発祥の地で、小 さな店にもエスプレッソマシンが置いてあるな どコーヒー文化が根付いているところ。ドライ 66 TRAVEL JOURNAL 2008.9.29 ニューバーグ(ポートランドから39㎞) ダンディー(ニューバーグから4㎞) ブの前後にはコーヒーブレイクを入れたい。ダ ウンタウンから北50kmのエバレットにはボーイ ング社の工場があり、見学ツアーが人気。公共 交通機関では行きにくく、レンタカーで行く価値 は高い。 シアトルの南東にマウントレーニア国立公園 があり、なかでもその中心は日系人にタコマ富 士と呼ばれるカスケード山脈一の標高4392m のレーニア山。山頂まで行かずに公園内を走 るだけで、美しい山々を眺めながらの快適なド ライブが楽しめる。公園の北東の入り口から南 西の入り口までぐるりと回って87㎞(一部、冬 町。ロバート・ジョンソンの墓などブルースゆか りの場所がある一方、高級キッチンシステムの バイキング社が併設するモダンなデザインホテ ルがあるので、ここに泊まるのも一案。タラハ チフラットという黒人が綿花労働のために住ん だ小屋に泊まることもできる。グリーンウッドか ら61号線を目指す途中にあるインディアノーラ はB.B.キングが生まれた町で、9月にB.B.キング 博物館がオープン。ブルース界の大物がプレー した伝説のライブハウスもある。 ミシシッピ川と隣接するヴィクスバーグでひと 休みの後、さらに61号線を南下してナチェスを 目指す。ナチェスは南北戦争前のプランテーシ ョンホームが60軒以上残り、豪華なB&Bとな っているところも多く、滞在するのにはお勧め だ。情緒のあるダウンタウンの散策も楽しい。 バトンルージュを経由し、ルイジアナ州ニュー オーリンズへ。フランスの植民地時代からの文 化を踏襲したデキシーランドジャズの本場で、バ ーボンストリートを中心にライブ演奏が楽しめ る。ここで生まれたジャズは、1917年ごろの歓 楽街閉鎖により、仕事を求めてミシシッピを北 上したミュージシャンたちとともに、シカゴなど の大都市に広がっていく。綿花を運ぶミシシッ ピ川と16号線はミュージシャンがたどった道で もあった。行程中、少なくとも2泊はしたい。ニ ューオーリンズからは直接空港へ。 メンフィス∼ニューオーリンズ間は816㎞。 期は通れない道もある) 。途中、公園内にはシ カなどの野生動物が見られ、天気が良ければ レーニア山の山頂を望める。各ビジターセンタ ーからは各種トレイルもあり、氷河に覆われた 山々や湖、川の澄んだ景色を見ながら歩ける。 帰りは南西側の出入り口から、インターステート 5号線に戻り、南下するとオレゴン州のポートラ ンドへ出る。 ポートランドは緑豊かで、食材も地元産やオ ーガニックにこだわるなどスローライフを実践し ている街。マーケットやレストランに足を運ぶこ とで、その生活に触れることができる。ポート ランドやオレゴン州の食へのこだわりを感じら れるものの代表がオレゴン産ワイン。ポートラン ドから南に約40km、ウィラメットバレー北部の ワイナリーはピノノワールの産地として知られ、 こだわりのワイナリーが多くある。オレゴンワイ ンの名前を世界に知らしめたダンディーにある ジ・アイリー・ヴィンヤーズのワインや、オレゴン を代表するヴィンヤードコンサルタントのジミー・ ブルックスが手がけたバイオダイナミックス (自然 農法) のワインを味わいたい。オレゴンのワイン は小規模生産でほぼ地元で売り切られるため、 ニューバーグやダンディーのワイナリー訪問は貴 重なテイスティングの機会となる。ポートランドか らシアトルまではノンストップで280㎞・約3時 間。無理せずポートランドに宿泊して、街を楽 しんでから飛行機で帰路に就いてもいい。
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