プレスリリース:国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向調査

プレスリリース:国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向調査
・ 人事最高責任者(CHRO/CHO)の設置率は 10.5%にとどまる
・ 人事関連業務コストは、
「採用」が約 3 割と最多を占める
・ ユーザー企業は経営やビジネス視点を取り入れ、形骸化しない人事戦略と組織作りを検討し、IT サプライヤ
ーはクラウドソリューションで次世代の企業の取り組みを支援すべきである
IT 専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向の調査結果を
発表しました。
本調査は、国内企業の人事/人材戦略の策定や実行、関連するシステム管理に携わる 600 名を対象として、生産
性の向上や労働力の確保を目的に各社が進める戦略策定の推進者/取り組みと課題/関連する IT 利用の実態を
調査しました。本調査レポートでは、その結果を業績「増加」を続ける企業とその他における比較、また従業員
規模別による傾向も踏まえて報告しています。
2015 年から対応が進むマイナンバー制度/ストレスチェック/女性活躍推進法など、企業が推進すべき人事戦
略と取り組みには、人事最高責任者:CHRO(Chief Human Resource Officer)/CHO(Chief Human Officer)
などの参画による経営視点が従来以上に求められています。しかし、その設置率は 10.5%にとどまり、41.3%の
企業では人事部長がその役割を担っていました。大企業ほど、人事部が人事戦略と取り組みを推進する傾向が強
く、採用管理などで必ずしも IT 対応をしていない業務実態も明らかとなりました。
今後は事業のグローバル展開や人材の流動化を背景に、社員のモチベーションアップやスキルアップが重視され、
多様な取り組みを効率化する IT 導入が検討されています。17 種類の人事給与関連分野の IT について調査した
ところ、今後 1 年間の導入/刷新予定の上位は、マイナンバー管理/人材教育/ストレスチェックなど、主に法
制度対応と業務基盤を支える給与計算や正社員の要員管理に関心が高い結果となりました。しかし 3 年以内で
は、全種類で導入予定が上昇し、上位は人材教育/人事ワークフロー/採用 Web 制作、そして非正規社員の要
員管理など、多様化に向けての対策が進む様子を示しています。なお、調査時点における取り組み実施率は(IT
対応の有無にかかわらず)
、マイナンバーが 75.0%、ストレスチェックは 56.0%でした。
また、人事関連の取り組みにおけるコスト配分では、2015 年度実績も 2016 年度計画でも「採用」が全体の約 3
割と最も多く、いずれの従業員規模においても同様の結果を示しています。採用分野の IT(採用管理/採用 Web
制作/ソーシャルリクルーティング/ダイレクトリクルーティング)は、採用管理を中心に導入検討が進んでい
ます。本調査レポートでは、人材の可視化で重視する指標や、今後採用したい人材(職種とタイプ)、また業績
「増加」を続ける企業の自社に対するイメージなど、幅広い視点で調査した結果も合わせて報告しています。
「人材ビッグデータなど最新の IT 動向に注目が集まっている。しかし企業の評価指標や取り組み段階は実にさ
まざまで、現状では全企業に適用できるナレッジは限定的である。今後、競争力強化を図るためには、業績を前
年度比 1%以上で伸ばし続ける企業に見られたように、戦略投資として人材関連の取り組みを進めることが必須
である。そのためユーザー企業は、経営やビジネス視点を取り入れ、形骸化しない人事戦略と組織作りを検討す
べきであり、IT サプライヤーは、部分最適のシステム提案から、クラウドソリューションで次世代の取り組みを
支援すべきである」と IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの もたい 洋子は述べ
ています。
<参考資料>
会社の組織と人材強化に向けての取り組み段階:業績「増加」とその他企業