¨ 本稿は Linux Japan 誌 2001 年 3 月号に掲載された ¥ brw-rw---... brw-rw---brw-rw---brw-rw---§... 記事に補筆修正したものです. フロッピーディスクの活用 DIMM メモリは投機筋が蠕いているらしく値段の上 がり下がりが激しいですね.今は底値で 128MB がノー ブランドなら 5000 円 以下です.安いといえば,CD-R は普及と供に健全に価格が低下し今や 1 枚 50 円です. 50 円で買えるものというと,3.5” 2HD(High Density の略) のフロッピー.強引なイントロですが (^^;,今 回はこのフロッピーディスクの活用についてお話しま す.話題の中心は,Fdutils というユティリティです. これは Linux でフロッピードライブを扱うためのを集 めたものです [1] W3 . 1 root floppy 2, 0 ... /dev/fd0 1 root floppy 2, 84 ... /dev/fd0u1040 1 root floppy 2, 88 ... /dev/fd0u1120 1 root floppy 2, 28 ... /dev/fd0u1440 ¦ のように (字詰めしてます) となっていることと思い ます.この設定では,フロッピーを使うには floppy の グ ル ー プ に 所 属 し な け れ ば な り ま せ ん .そ れ に は /etc/group の floppy グループにユーザー名を追加 します (再度ログイン後有効になります).登録すべき ユーザーが多く煩わしい場合には,セキュリティが低 下しますが, ¨ ¥ §chmod 666 /dev/fd0 ¦ により /dev/fd0 のパーミッションを 666 にして other にも解放するしかないでしょう. Fdutils の概要 物理フォーマット Fdutils には以下のものが含まれており,各配布系で 現 在 Linux の フ ロッピ ー ディス ク は /usr/src/linux/drivers/block/floppy.c の 400 行目あたりに記述されているように,31 種類が定 義されており (固定パラメタ),デフォルトで使えるよ うになっています.これ以外にもパラメタを変更して フォーマットすることがもちろん可能です.例えば, Fdutils のサイトには fdrawcmd を用いて,CP/M の ディスクを解析,アクセスする方法などが紹介されて います. 標準的にインストールされている筈です. superformat, fdmount, xdfcopy, MAKEFLOPPIES, getfdprm, setfdprm, fdracmd, floppycontrol, floppymeter, diskd, diskseekd このうち,一般ユーザーが日常使って幸せになれるのは superformat による,ディスク容量の増加 (3.5” 2HD で 1992 kB まで) でしょう. superformat コンパイル superformat は,種々のパラメタを指定してフロッ ピーを物理フォーマットします.ついでに,その物理 フォーマットに合わせて MS-DOS 論理フォーマットも 実行します.表 1 に,3.5” 2HD に対してデフォルト 標準でインストールされている筈ですが,詳しいド キュメント Fdutils.dvi を得るためにソースを展開して configure, make(make install は不要ですね) しましょ う.この記事の内容は,Fdutils.dvi に全て記載されて で定義されているタイプを示します.例えば 1920 kB いますので,筆者の怪しい説明よりも原文を読んだ方 (ただし,この値は ext2 で論理フォーマットした場合 が正しく理解できることと思います. の容量で,DOS のものとは違います) は ¨ ¥ superformat /dev/fd0 hd tracksize=12kB mss § ¦ とします.ここで mss は Mixed Sector Size の略で, パーミッションの確認 フロッピーデバイスにアクセスするには,/dev/fd* に 読んで字の如く大きさの異なるセクターを混ぜて使う 対して書き込みの権限が必要です.“ls -l /dev/fd0* ことでディスク容量を拡大する方式です.ディスク容 ” としてみてください. 量の拡大方法は,基本的にはシリンダー (cyl) や セク ター (sect) を通常の値よりも大きくすること (1440kB は cyl=80,sect=18) や,上記の mss などの方式を導 入することで計られています.なお,-f を付けるとベリ 1 ファイを省略しますからフォーマットに要する時間が える長さのファイルは変な名前 (もちろん規則性はあり 短くなります.表 1 には superformat でファオーマッ ます) に変換されてしまいます.例えば ¨ ト可能な最大容量 1992kB タイプと 1826kB タイプも mdir a: ... TORI_P~1 TORI_P~1 TORI_P~1 TORI_P~2 示しました.1992kB の場合は mss のおかげでアクセ スがかなり遅くなります,1826kB はアクセスがあまり 遅くならない範囲での最大容量です. 以降このフロッピーは DOS のフロッピーとして使 うことができます.例えば,mdir すると ¨ Volume in drive A has no label Volume Serial Number is 71BF-CB26 Directory for A:/ ¥ File "*" not found 1 947 648 bytes free § ¦ と使用可能な残り容量が表示されることで確かめると ことができます.もちろん,以下のようにして ext2 で 論理フォーマットも可能です. ¨ ¥ §/sbin/mke2fs /dev/fd0 この際に表示されるメッセージは ¨ mke2fs 1.14, 9-Jan-1999 for EXT2 FS 0.5b, 95/08/09 Linux ext2 filesystem format Filesystem label= 480 inodes, 1920 blocks 96 blocks (5.00... ¦ ¥ 58995 444 42648 10300 ... ... ... ... tori_pm3d.gif tori_pm3d.gp tori_pm3d.jpeg tori_pm3d_s.jpeg § ¦ となってしまうのです.これを元の名前で復元してコ ピーするのは面倒ですね.ところがこのフロッピーを mount すると ¨ ¥ ls -l /floppy ... -rwxr-xr-x ... -rwxr-xr-x ... -rwxr-xr-x ... -rwxr-xr-x ... 58995 444 42648 10300 ... ... ... ... tori_pm3d.gif tori_pm3d.gp tori_pm3d.jpeg tori_pm3d_s.jpeg § ¦ と元の長い名前で扱われますから,cp コマンドで TAB による名前補間まで有効になって,簡単にコピーでき るようになります.mcopy ではオプション -t が UNIX ↔ DOS のテキストの改行コードを自動変換してくれ るので便利です. mount § ¦ となって,ext2 では 1920 block すなわち 1920kB の ディスクと認識されます. ところで,初めて superformat を行った際には,次 のようなメッセージが表示されるはずです. ¨ ¥ old capacity=12500 Measuring drive 0’s raw capacity (略)..., add the following line to /etc/driveprm : §drive0: deviation=-2400 GIF GP JPE JPE ¥ 以上,DOS のフロッピーは mount にかかわらず読 み書き可能な方法があって,DOS らしい使い方ができ ます.一方 UNIX ではストレージデバイスは mount し てシステムに組み込む必要がありますから,ext2 ディ スクも当然 mount する必要があります.一般にデバ イスの mount/umount は root に委ねられており一般 ユーザーには解放しないのが安全です.ところが,リ ¦ これは,フロッピードライブの物理的な容量が回転速 ムーバブルなものはそうも言ってられませんから,ユー ザー権限で可能にする道があります.御託を並べてし まいましたが,方法は /etc/fstab に ¨ 度の影響を受けて変化するので,規定の値からの偏差 を測定した結果なのです.指示通り /etc/driveprm に ¨ ¥ §drive0: deviation=-2400 ¦ ¥ /dev/fd0 /floppy auto user,rw,noauto,exec 1 1 を書き込みましょう.なお,この値は正確ではないら § ¦ と登録するだけです.2 番目のフィールドはマウントポイ ントで,筆者は/floppy としていますが,読者ご自身の しので,floppymeter で一度詳しく測定しみるとよいで ホストの環境に合わせください (/fd0 や /mnt/fd0 が多 しょう. いようです).こうすると,“cat /proc/filesystem” で表示されるファイルシステムは自動判別 (auto) されて ¨ ¥ 読み書き:mcopy, cp mount /floppy § ¦ で mount できるようになります.ext2 は問題ないでし ょうが,もし DOS が判別されないときは,“modprobe DOS のフロッピーは Mtools を用いてシステムに mount せずに読み書きが可能です.mcopy でフロッ msdos” を実行,それでもだめならカーネルの再構築と なります.mount した場合には (DOS であっても) cp ピーにファイルをコピーするとき問題になるのが,名 前の長さ制限です.DOS の 8 文字+拡張子 3 文字を超 2 表 1 3.5” 2HD の物理フォーマットにおけるパラメタ 番号 7 11 15 19 24 25 29 31 – – 容量 (kB) 1440 1680 1722 1743 1760 1920 1840 1600 1992 1826 ext2 メディア定義 hd hd hd hd hd hd hd hd hd hd ○ sect=21 sect=21 cyl=82 sect=21 cyl=83 sect=11 ssize=1kB tracksize=12kB mss tracksize=23b mss sect=20 tracksize=12kB cyl=83 mss sect=11 cyl=83 ssize=1kB ここでちょっと問題がありました.ext2 フロッピー 1 の ext2 欄の×印のものです.これは,フロッピーを 抜くと,ディスク情報がリセットされてしまうことに よるものです.×印のものを新規に入れ直した場合に は getfdprm でディスクがどう認識されているか調べ ると ¨ ¥ mount /floppy (マウント場所はホストの環境によります) getfdprm §DS HD sect=18 ¦ となり sect=18 すなわち 1440kB と認識されてしまう ことが判ります.したがって正しいディスク情報を与 え直す必要があります.root ならば明示的にドライブ ¥ ¦ のように正しく設定することが可能です.一般ユーザー では,この形式では mount コマンドを実行できませ × × ○ ○ いことに気付くと思います.その訳は,floppycontrol で調べると判ります. ¨ ¥ floppycontrol -p ... autodetect seq.= 7,4,25,22,31,21,29,11 §... ¦ autodetect のリストに 24 番 (1760kB) が載っていませ ん,従ってスキャンすらされないのです.では,15 番 (1722kB) が mdir されるのは何故でしょう?スキャン の指定はセクター (sect) に関するものでトラック (cyl) は違っていても構わないと説明があります (最初のト ラックをスキャンするだけです.また,ディスクの情報 はその最初のトラックに書き込まれています).従って, 11 番 があれば 15 番,19 番はスキャン可能となります. これより 3.5” 2HD に関して,mdir で自動認識させる ために必要な登録番号は 7,11,24,25,29,31 の 6 個にな 番 (720kB) と 22 番 (1120kB:意味が良くわかりませ ラメタは /etc/fdprm に記述されており,1743 kB は 1743/1440 と登録されていますから (登録されてない 場合は floppy.c を参照して追記してください) ¨ ¥ setfdprm /dev/fd0 1743/1440 ○ ります.リストには最大 8 個の登録が可能ですから,4 ん.そこで登場するのが setfdprm です.ディスクパ § ○ か表 1 について試すと,1760 kB が mdir すらできな が実際には読み書きができないものがあるのです.表 § × 実は,フロッピーを入れ直して自動認識するかどう の一旦抜いてしまうと次には mount はされるのです mount /dev/fd0u1743 /floppy × 1,474,560 1,720,320 1,763,328 1,784,832 1,802,240 1,966,080 1,884,160 1,638,400 2,039,808 1,869,824 floppycontrol コマンドしか使えません. (ディスク容量) を指定して ¨ × dd 容量 ¦ と実行して正しくセットすれば,以降アクセスが可能 んが default の設定に敬意を表して) を加えて,root と なって ¨ ¥ § ¦ floppycontrol --autodetect 7,11,24,25,29,31,4,22 と自動認識のタイプの設定をやり直しましょう.とこ ろで,これはあくまで物理フォーマットの自動認識で になります.getfdprm で確かめてください. す.その上の ext2 ファイルシステムが認識されること を保証するものではありません.改めて,表 1 の ext2 欄は上記のようにして物理フォーマットが自動認識さ れるように設定した場合,○印のタイプは ext2 も認識 されるようになったということです (何故なのかは勉強 3 不足で説明できません). • DOS フロッピーは mount しなくとも Mtools で 読み書きできる. fdformat:時代遅れ 筆者はフロッピーの物理フォーマットをずーっと fd- format で行っていました.3.5” 2HD では標準的には 1440kB ですから, ¨ ¥ §fdformat /dev/fd0u1440 ¦ です.これより大きい容量で物理フォーマットするつ もりで, ¨ • DOS フロッピーは mount して使うと長い名前の まま扱える. • ext2 でフォーマットしたもので自動認識されるの は 7,24,25 番系列 (cly 数が違っていても良いとい う意味) のものである. うーん,まだすっきりしないですね.一般ユーザーに はこの複雑さが見えないようにしてフロッピーを使え るようにすることも管理者の腕前なのでしょう. ¥ §fdformat /dev/fd0u1920 ¦ とすると,エラーが出ます.実際 fdformat のマニュ アルには,3.5HD では一見 360,720,1440 kB しか物理 フォーマットできないような記述になっています.が, 実は 1760 kB までは,例えば ¨ ¥ §fdformat /dev/fd0u1760 ¦ で,物理フォーマットが可能です.superformat がある 以上,このコマンドは確かにもう過去の遺物 (obsolute) かもしれません. dd, tar と供に tar も dd も論理フォーマットに関係な物理フォー マットが認識できるデバイスに直接データを読み書き します.従って,フロッピーが物理的に認識されれば ¨ ¥ dd if=filename of=/dev/fd0 dd of=/dev/fd0 if=filename tar zcvf /dev/fd0 files tar zxvf /dev/fd0 § ¦ のようなコマンドを用いて,/dev/fd0 に対して直接読 み書きが可能となり,例えば 1992kB(ext2 上) のタイプ は 2,039,808 bytes(1024 × 24 × 83) の容量を持ちます. まとめ 今回は自分で読み返してもどうも見通しが悪いです. フロッピーを楽に使うためのマメ知識と Fdutils の設 定をここでまとめます. • フロッピーを自由に使うには /dev/fd0 にアクセ スできる権限を持たないといけない. • root で floppycontrol を用いて自動認識するタイ プの設定を行う • superformat でフォーマットすると DOS フロッ ピーが作成でき,新規挿入時にも自動認識される. 4 参考文献 [1] Fdutils の公式サイト http://fdutils.linux.lu
© Copyright 2024 Paperzz