1.生コンクリートに関する基本情報

生コンクリートに関する基本情報
ここでは、生コンクリートの製造・供給態勢、生コンを
注文する際に必要となる基礎的知識、コンクリート施
工の要点について概説します。
白鳥生コン株式会社
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白鳥生コン
生コンクリートの製造・供給態勢
コンクリートの製造方法
レディーミクストコンクリート(生コン):
設備の完備した生コン工場で製造されるコンクリート。生コン工場で練混ぜら
れた生コンを固まらないうちにアジテータトラックで撹拌しながら現場へ運搬し
ます。
現場練りコンクリート:
工事現場で製造するコンクリート。住宅の基礎などの小規模の部材を小型ミ
キサや手練りで簡便に製造するものと、ダムなどの大規模な構造物を現場プ
ラントを設置して製造するものがあります。
生コン工場の製造・供給態勢
貯蔵設備
(セメント、骨材、混和剤)
搬送設備
計量設備
練混ぜ設備
洗車・廃水処理設備
トラック
運搬
荷卸し
生コン工場の選定に関する規定
土木学会コンクリート標準示方書[施工編6.2]
(1) 工場の選定に際しては、現場までの運搬時間、コンクリートの製造能力、運搬車
の数、工場の製造設備、品質管理状態等を考慮しなければならない。
(2) 生コン工場は、JIS認証品を製造する工場のうち、全国生コンクリート品質管理監
査会議から 適 マークを承認された工場から選定しなければならない。
日本建築学会 JASS 5[6.2]
b. JIS A 5308の規定に適合するレディーミクストコンクリートを使用する場合、原則と
して使用するコンクリートがJIS Q 1001およびJIS Q 1011に基づいてJIS A 5308に
適合することを認証されている製品を製造している工場を選定する。
d. 工場には(社)日本コンクリート工学会が認定するコンクリート主任技士またはコン
クリート技士、あるいはコンクリート技術に関してこれらと同等以上の知識経験を
有すると認められる技術者が常駐していることとする。
f. 工場の選定にあたっては、同一打込み工区に2つ以上の工場のコンクリートが打
ち込まれないように配慮する。
白鳥生コン
生コンの注文
生コンを注文する際は、容量(?m3)、打設場所、日時、コンクリートの品質種別
を指定する必要があります。
コンクリートの品質種別は、「30-21-20N」のように指定します。呼び強度30、ス
ランプ21cm、粗骨材の最大寸法20mm、普通セメントNの生コンを意味します。
呼び強度と設計基準強度
生コンの発注では、呼び強度が用いられます。設計基準強度は、構造設計計算
において基準とした強度です。
土木: 呼び強度=設計基準強度
建築: 呼び強度=設計基準強度(または耐久設計基準強度)
+構造体強度補正値
スランプ
生コンの流動性(軟らかさ)を表し、大きい値になるほど流動性は良くなりますが、
材料分離しやすくなります。基本的には、施工ができる範囲内で小さいスランプ
が望ましいといえます。スランプは荷卸し地点における値を指しています。
空気量
凍結融解抵抗性を高め、施工性を良くするため、AE剤という混和剤を用いて一般
に4.5%の空気量が生コン中に混入されています。
なお、空気量が多くなると強度や耐久性が低下します。空気量は3.0~7.0%が標
準です。
白鳥生コン
粗骨材の最大寸法
粗骨材の最大寸法を大きくすれば、練混ぜ水量を少なくできます。大きすぎると豆
板や充てん不良が生じやすくなります。部材寸法や鉄筋のあきを考慮して決められ
ます。
一般の場合:20mm、25mm
断面が大きい場合や無筋コンクリートの場合:40mm
単位水量
単位水量は作業ができる範囲内で出来るだけ少なくします。
土木:上限値 175kg/m3 (標準)
建築:上限値 185kg/m3 塩化物イオン濃度
コンクリート中に塩化物が含まれると、鉄筋は腐食しやすくなるため、その量が制限さ
れています。
許容塩化物イオン量 土木、建築:0.30 kg/m3
生コンの購入者が生産者と協議できる事項
骨材のアルカリシリカ反応性による区分、混和材料の種類及び使用量、標準と異なる
塩化物含有量の上限値、呼び強度を保証する材齢、標準と異なる目標空気量、軽量
コンクリートの単位容積質量、コンクリートの最高温度又は最低温度、水セメント比の
上限値、単位水量の上限値、単位セメント量の下限値又は上限値、その他
白鳥生コン
生コンの運搬時間
区分
範囲
JIS A 5308
練混ぜから現場到
着まで
1.5 時間
限度
土木学会 コンクリート標準示方書
練混ぜから打ち終りまで
日本建築学会 JASS 5
練混ぜから打ち終りまで
外気温が25℃を超
えるとき
1.5 時間
外気温が25℃以
上のとき
90 分
外気温が25℃以下
のとき
2.0 時間
外気温が25℃未
満のとき
120 分
生コンの製品検査(JIS)
項目
検査頻度
2.5 cm ±1cm
5 および 6.5 cm±1.5 cm
8 以上18cm以下 ±2.5cm
21cm ±1.5cm
スランプ
空気量
温度
塩化物イオン
圧縮強度
判定基準
1回/150m3
4.5% ±1.5%
5~35℃
0.30kg/m3以下
1回の試験結果:呼び強度の85%以上
3回の試験結果の平均:呼び強度以上
施工段階におけるスランプの経時変化
スランプ
練上がりの
目標スランプ
◯
◯
◯
品質の許容差
経時に伴うスラ
ンプ低下
◯
圧送に伴うスラ
ンプ低下
打込み
荷卸しの目標
スランプ
運搬によるスラ
ンプ低下
スランプの
バラツキ
施工の流れ
◯
打込みの最小
スランプ
圧送開始
荷卸し
練上がり
トラック運搬
場内運搬
(圧送)
生コンの指定スランプは荷卸しの目標スランプです。
白鳥生コン
施工環境条件への対応
寒中コンクリート
土木:日平均気温が4℃以下になることが予想される場合
建築:打込み後材齢28日までの積算温度が 370 ゚D・D 以下の期間(゚D・D :℃×日)
暑中コンクリート
土木:日平均気温が25℃を超えることが予想される場合
打込み時の温度が35℃以下
建築:日平均気温が25℃を超えることが予想される場合
荷卸し時の温度が35℃以下
マスコンクリート
土木:部材寸法が広がりのあるスラブについては厚さ80~100cm以上、下端が拘束
された壁では厚さ50cm以上の場合
建築:断面の最小寸法80cm以上で、セメントの水和熱によるコンクリートの内部最高
温度と外気温の差が25℃以上になることが予想される場合
白鳥生コン
コンクリートの打込み工法のまとめ
打込み工法
長所
短所
1日当たりの打設量
・単位水量が増える
・配管が閉塞すると復旧
までに時間を要する
・打設時に揺れを伴う
基本的に150 m3 以下
ポンプ工法
・荷卸し地点から離
れている場所に打設
できる
・少ない人数で打設
できる
・連続して打設できる
・硬練りでも打設でき
る
・材料分離しにくい
・連続的に打設できない
・打設に時間を要する
基本的に100 m3 以下
・重機を必要としない
・生コンが材料分離しや
すい
30 m3 程度以下
バケット工法
シュート打ち
(斜めシュート)
打重ねと打継ぎ
打重ね:コンクリートを層状に打込む際、下層コンクリートの打込み終了後に上層コ
ンクリートを打込む作業を指します。下層コンクリートの打込み終了後から
上層コンクリートの打込み開始までの時間差、すなわち、打重ね時間間隔
が問題となります。
許容打ち重ね時間間隔の標準(土木学会)
外気温
許容打ち重ね時間間隔
25℃以下
2.5 時間
25℃を超える場合
2.0 時間
打継ぎ:硬化した状態にあるコンクリートに接して、新たなコンクリートを打込み、一
体構造とすること。新旧コンクリートの打継ぎ目には、水平打ち継ぎ目と鉛
直打ち継ぎ目があります。旧コンクリートの打ち継ぎ面は、レイタンスを取り
除き、十分吸水させた後、新コンクリートを打ち継ぐ必要があります。
注意:打重ねと打継ぎの違い
打重ねは硬化前にあるコンクリートに新たなコンクリートを打込む作業行為で
あり、打継ぎは硬化したコンクリートに新たなコンクリートを打込む作業行為で
あります。
締固め
締固めの目的
締固め方法
1.内部の空隙を少なくして密度を高め
る。
2.鉄筋との密着を良くする。
3.断面欠損をなくする
4.表面仕上がりを良くする。
・内部棒状バイブレータによる方法
・型枠振動機による方法
・棒突きによる方法
・タッピング(表面を叩く)による方法
・遠心力による方法
内部棒状バイブレータによる締固めの規準
バイブレータ挿入時間 バイブレータ挿入間隔
土木学会コンクリート
標準示方書
5~15 秒
50 cm以下
日本建築学会 JASS 5
5~15 秒
60 cm以下
養生
コンクリートの硬化が十分に進行するまでの間、湿潤状態を保ち、適切な温度
下で、直射日光や風からコンクリートの露出面を保護しなければならないので
あります。
湿潤養生期間の標準[ 普通ポルトランドセメント使用]
土木学会コンクリート標準示方書
日平均気温
湿潤養生期間
15℃以上
5日
10℃以上15℃未満
7日
5℃以上10℃未満
9日
日本建築学会 JASS 5
計画供用期間の級
湿潤養生期間
短期および標準
5日以上
長期および超長期*
7日以上
*長期:100年以上、超長期:200年
脱型時期
脱型してよい時期のコンクリート圧縮強度
土木学会コンクリート標準示方書
部材面の種類
例
圧縮強度( N/mm2 )
厚い部材の鉛直または鉛直に近い面、傾い
た面、小さいアーチの外面
フーチングの側面
3.5
薄い部材の鉛直または鉛直に近い面、45°
より急な傾きの下面、小さいアーチの内面
柱、壁、はりの側面
5.0
橋、建物のスラブおよびはり、45°より緩い傾 スラブ、はりの底面、
きの下面
アーチの内面
14.0
日本建築学会 JASS 5
部材面の種類
基礎、はり側、柱および壁
計画供用期間の級
圧縮強度( N/mm2 )
短期および標準
5 以上
長期および超長期
10 以上