高齢者自立型生活環境機能を実現する都市空間整備の方策策定

「高齢者自立型生活環境機能を実現する都市空間整備の方策」
(平成23・24年度実施事業)
【事業の目的と対象とする高齢者】
高齢者に適合した生活環境を、生活や介護をサポートする商業機能、支援機関等に自治体を加え
た「コンパクトシティ」のような中心市街地を核とする都市空間により実現することを前提に、こ
れらをサポートする新たな設備・機械システムを提案することを目的としました。
対象の中心は、経済的に自立し、健康状態も良いアクティブ思考の高齢者としています。こうし
た高齢者がまちを再活性化し、更には若い世代に対しても魅力ある生活環境を提供し、新たな都市
空間を生み出す原動力となることを期待しています。
【高齢者自立のための生活環境機能】
豊かな人生を送る高齢者の生活環境を支える生活環境機能を定義しました。
(1) 高齢者が自立的に生活するための衣食住に関わる生活基盤に、活動的な生活を支えるための移
動支援等の利便機能といった安全・安心な居住環境
(2)
ボランティアを含めた就労活動、生涯学習や趣味活動の場づくりといった充実感のもてる活動
環境
(3) 同世代・多世代による飲食を含めた交流機会や身近に自然と触れられる環境を創り出す和みあ
る交流・癒し空間
【活動圏域と基本モデルの想定】
高齢者の生活圏を都市空間的視点から、以下の三つの活動圏域を想定しました。
(1) 自宅を中心とした集落や自治会、近所づきあいを概ねの圏域と想定した地域コミュニティ圏
(2) 複数の地域コミュニティ圏の集合体で、小中学校や地域総合病院、最寄鉄道駅を核施設に持ち、
基本的に日常生活を賄えることができる圏域と想定した日常生活圏
(3) 職場やセミナー、インターネット・コミュニティといった各個人がピンポイントで外部と繋が
る日常生活圏を越えた圏域としての広域ネットワーク圏
これらの活動圏域から以下の基本モデルを想定しました。
①
住居⇔地域コミュニティ圏における基本モデル
②
住居⇔日常生活圏における基本モデル
③
中核拠点におけるコンパクトシティ型基本モデル
【ケーススタディ地域に基づく基本モデルの検証】
茨城県日立市の協力を得て、当該地域の人口・世帯、都市構造、産業構造、地域内活動等の現況
を整理し、この地で必要と考えられる生活環境機能を抽出しました。また、市街地、山側住宅地(郊
外住宅地)、中山間地から代表的な地域コミュニティ圏(モデル地区)を抽出し、中高年者・高齢者
へのグループヒアリング調査による生活環境機能の具体像に対するニーズの把握を試みました。
その結果を受けて、モデル地区の中高年者、高齢者の生活行動と生活環境機能に対するニーズを
もとに実際の生活からみた基本モデルの検証を進め、併せて、現在のみならず中高年者、高齢者の
将来的なニーズも踏まえつつ、自立した生活を生涯にわたって送れる環境の実現に向けた以下の四
つのプロジェクトテーマの抽出を行いました。
①
生活移動向上プロジェクト
②
健康管理・増進プロジェクト
③
コミュニティ力向上プロジェクト(中山間地型・郊外住宅地型)
④
コンパクトシティ推進プロジェクト
「コンパクトシティ推進プロジェクト」
移転
補助
自宅
生活支援端末( イ メ ージ )
・ 健康で いる 間は住み慣れた住宅で 暮ら せる
宅配 BOX( イ メ ージ)
・ 便利で 安心な 住居へ地域内移転
( 行政の買取・ リ バース モーゲッ ジ への補助)
多機能型集合住宅
移転
住居フ ロ ア ( 各戸に導入)
健康データ
計測器
生活支援端末
宅配 BOX
・ コ ン パク ト シテ ィ 化+人口増加
・ 中心市街地活性化
自宅
買取
・ 防災拠点整備
各拠点フ ロ ア
フ ィ ッ ト ネス
まち なか
野菜工場
健康相談窓口
行政
保育園
子育てサロン
パーソ ナルモビリ ティ
レンタ ル
( 電動アシスト 自転車等)
介護
デイ ケア
・ 密な コ ミ ュ ニテ ィ ネッ ト ワーク
オフ ィ ス空間
リ ノ ベーシ ョ ン
・ 多世代交流促進
管理
企画
運営
たま り 場
イベント スペース
・ 賑わい創出
交流センタ ー
管理
移転
コ ミ ュ ニテ ィ 単位の
たま り 場( 無人管理)
カ ルチャ ー
教室
カ ード キーで
自由に出入り
訪問・ 交流・ 参加・ 就業
連携
賃貸住宅
比較的
若い世帯
訪問
交流
住民
・ ご 近所と 交流で き る
商店街
スーパーマーケッ ト
・ 多世代交流がで き る
・ 就業機会や運動機会が得ら れる
医療機関
・ 健康相談ができ る
・ 商店街の利用機会が増え る
【想定する機械・システムの実現性の検討】
各テーマ別プロジェクトから、必要と想定される機械・システムを抽出し、その具体的な内容(イ
メージ)の検討、関連技術動向の整理、それらを踏まえた開発方向と実現性の検討を行いました。
屋内
受取側
宅配ボッ ク ス 機能イ メ ージ
屋外
業者側
「宅配ボックス」
○両面扉設置( 受取側・ 業者側)
○冷蔵機能
○宅配通知
○戸建住宅や多機能集合住宅で は…
冷蔵庫と のネッ ト ワーク 化( 食材管理等)
【問合先】
□ 調査研究全般:一般財団法人 機械システム振興協会 ℡:03-6848-5036
□ 本調査研究の詳細:株式会社 開発計画研究所
℡:03-3811-5119
成果紹介リーフレット:24-04