推奨される代表的安楽死法 - 大阪大学医学部附属動物実験施設

推奨される代表的安楽死法
(実験用小動物、鳥類、ネコ、小型犬、ウサギ、ブタ)
二酸化炭素(推奨)
バルビツール酸誘導体
液化二酸化炭素
ペントバルビタールナトリウム
(商品名:液化炭酸ガス)
(商品名:ソムノペンチル 共立製薬 64.8mg/mL)
吸入麻酔薬
セボフルラン (商品名:セボフレン)
製品名
イソフルラン(商品名:フォーレン)
大脳皮質、皮質下部、生命維持中枢、心筋を直接的に抑制する。
作用機序
作用発現時間
やや速い。
速やかに麻酔状態となる。
麻酔導入はやや速いが、
導入時に興奮する場合がある。
方 法
動物を密閉容器内に入れて
フタをした後、
容器内の二酸化炭素ガス濃度を
徐々に上げる。
動物の確実な保定を行い、
静脈内あるいは腹腔内に投与する。
(投与量:200 ㎎/kg )
小動物には密閉容器を用いれば簡易
である。大動物にはマスクを用いる。
作業者の安全性
危険性は非常に小さい
安全だが、濫用の危険がある。
作業者への曝露が最小限になるように、
適切に換気する必要がある。
適する動物種
実験用小動物、鳥類、ネコ、小型犬、
ウサギ、ミンク(高濃度を必要とする)、
動物園動物、爬虫類の一部、ブタ
ほとんどの動物種
げっ歯類、ウサギ、ネコ、小型犬、
その他の小動物、人以外の霊長類
効果・注意点
効果的であるが、極度の二酸化炭素耐性を
有する幼弱動物や新生動物、水棲動物、
穴居性及び潜水哺乳類等の動物には
十分な濃度と時間が必要。
(注意点)液化CO2は「高圧ガス」及び
「極低温物質」であり危険。
麻薬及び向精神薬取締法に規定される
向精神薬であり、法律に基づき規制されている。
また、劇薬、動物用医薬品、用指示薬である。
適切に投与されれば非常に効果的である。
吸入麻酔のみでは死亡に至るまで時間が
かかるため単独使用は推奨されない。
全身麻酔下での気胸作成等を
組み合わせる事により確実な処置となる。
・麻薬及び向精神薬取締法第50条の21、22、23
規 制
高圧ガス保安法、労働安全衛生法、
消防法、食品安全衛生法、
・医薬品医療機器等法第48条、第50条、第83条
医薬品医療機器等法
注)向精神薬の試験研究施設として
当医学部は登録済み
・医薬品医療機器等法第48条、第50条
引用文献
鈴木真・黒澤努;安楽死に関する研究会報告2000(Ⅶ), 日本獣医師会雑誌, 58(11)(2005)
薮内かおり・高木康博・黒澤努;げっ歯動物の安楽殺処分施行ガイドライン.日本獣医師会雑誌.62(2009)
Guidelines for the Euthanasia of Rodent Feti and Neonates, ARAC Guidelines
参考文献
鈴木真・黒澤努;安楽死に関する研究会報告2000(Ⅱ), 日本獣医師会雑誌, 58(6)(2005)
鈴木真・黒澤努;安楽死に関する研究会報告2000(Ⅲ), 日本獣医師会雑誌, 58(7)(2005)
鈴木真・黒澤努;安楽死に関する研究会報告2000(Ⅳ), 日本獣医師会雑誌, 58(8)(2005)
推奨される安楽死法
(魚と両生類)
方法
薬剤
用量/経路
注 射
ペントバルビタールナトリウム
60 ~ 90 mg/kg
(iv,ip)
水中に投入
トリカインメタンスルフォネート
(MS-222)
500 mg/L
吸 入
二酸化炭素(Co2)
備考
意識消失は早いが、
安楽死には時間を要する。
魚:高濃度Co2の水中に浸漬
両生類:ボックス内での吸入
条件を満たせば可能な方法
物理的
断頭
中枢神経系は低血圧及び低酸素状態に
耐性であるため、断頭後は延髄破壊を
実施する必要があります。
熟練者の指導の下で行ってください。
*変温動物の安楽死においては、代謝、呼吸及び中枢神経系の酸素欠乏に対する耐性の違いを考慮しなければなりません。
また、死亡の確認が困難である場合があります。