“Meta” Relativity 「超」相対性理論 の日本語翻訳文 (一部欠損あり) Transformed by KINOHITO KULOTSUKI, treeman9621.com 「超」相対性理論 O. M. P. BILANIUK, V. K. DESHPANDE, AND E. C. G. SUDARSHAN (1962 年 5 月 21 日受理) 相対性理論が生まれる前、中でも Thomson, Heaviside, Sommerfeld は、真空での光速 度より速く動くかもしれない粒子を仮定して生じる問題を調べてきた。そのような仮説は、 古典的な(量子力学とは関係のない)特殊相対性理論の枠組みにおいて、再検討される。 「ブライトという名の婦人がいて、ライト(光)よりも速く旅をして・・・」 導入 物理学者たちの間で交わされる昼食時のおしゃべりで、よく好まれるトピックスのひと つは、光速度を超える速度を持って生み出される、粒子のクラスの存在が仮定されるかど うかとということに、考えを巡らせることである。そのとき、人は粒子のクラスを三つに 区別して取り扱おうとするだろう。最初の二つは伝統的なものである。クラスⅠは光速度 より小さな速度で旅するすべての粒子を含んでいる。クラスⅡは光速度で旅するときにの み存在できる粒子からなっている。三番目のクラスは、光速度を上回る速度で生み出され る、仮想的な粒子で構成されている。この論文では、そのような仮説の影響が、そのよう な一般化において何らかの物理的な内容のあるものである可能性があるか、ということを 見るために、料理学よりもさらに厳格なものによって調査される。ある試みも、そのよう な三番目のクラスの存在が直接調べられうる実験を工夫して行われる。現在の議論におい て、問題の古典的な (量子力学ではない) 局面が調べられるということが指摘されるべきで あるが、それらはそれら自身に立脚しているからである。この意味において、Sommerfeld によって相対性理論誕生以前の時代にさらに詳しく述べられた、光速度を上回る粒子に関 する議論を続けるため、この論文は主張するが、特殊相対性理論の仮説が強く支持してい る、現在の調査におけるものを除く。場の理論的な仮説の取り扱いは、後の日に出版され ることになろう。 質量殻の考察 首尾一貫した相対論的理論が満足すべき、二つの基準を書き下すことによって始めよう。 (a) 任意の参照系において、粒子のエネルギーは正値でなければならない。 (b) 粒子の力学法則は、参照系からは独立したものでなければならない。 進む方向の光円錐の内に、あるいは、その表面に横たわっている、エネルギーと運動量 の 4 ベクトルによって特徴づけられる、求める粒子によって、これらの双方の要求が満た されるということが一般的である。異なる系から観察される事象は、そのとき、元となっ た 4 ベクトルが変形した、新しい 4 ベクトルによって記述される。 エネルギーと運動量の 4 ベクトルは、次の恒等式を満足する、最初の二つのクラスと関 1 係している。 E2-p2c2=m02c4. (1) m02c4>0 もしくは クラスⅠの粒子に対して、方程式 (1) は E 軸の周りにある、 二つの膜状になった回転双曲面を表している。そのような (E,p) 面の三次元モデルが図 1(a) に示されている。上記の基準(a)は、粒子の (E,p) 座標が、正のエネルギー面上に横た わるように制限するが、この面上にあるすべての点は、正規のローンツ変換のもとに、互 いに変換されうる。ローレンツ系があって、そこではクラスⅠの粒子がゼロ値の運動量を もつ一方で、非ゼロ値の質量の結果として、そのような粒子がゼロ値のエネルギーをもつ ような系はないということを、記しておくべきである。 図1 恒等式 E2-p2c2=m02c4によって描写される (E,p) 面の三次元モデル (a) m02c4>0である、クラスⅠの粒子に対するもの (b) m02c4=0である、クラスⅡの粒子に対するもの (c) m02c4<0である、クラスⅢの粒子に対するもの クラスⅡの粒子では m02=0 であり、(E,p) 面は、図 1(b) に示したような、E 軸につ いての回転円錐になっている。それは最初に、上側の円錐のみが物理的な性質を持ち、ロ ーレンツ変換は、上側の円錐にある点を、上側の円錐にある他の点へのみ、取り扱うこと ができるということを明らかにするかもしれない。下側の円錐上にある点への任意の変換 (例えば、反射) は、負値のエネルギーをもって旅する粒子を導入するために現れるのだが、 この状況は基準 (a) によって除外されるものである。さらなる検討 (下記の例を見よ) が明 らかになるものの、そのような変換は、光子が過去へと旅することを含むことになる。こ の結論そのものからは、無意味なことであるとわかるのだが、負値のエネルギーといっし ょに取り扱われたときの結果として、それは、簡単な物理的再解釈へと進むことになる。 光子は、最初の系において、正値のエネルギーを、(x, t)=(x1, t1) から t2>t1 である (x, t) =(x2, t2) へと運ぶのであるが、他の観測者に対しては、過去に旅する負値のエネルギーを もつ奇妙な粒子ではなくて、未来へと旅する正値のエネルギーをもつ粒子として現れるだ ろう。ただし、逆の向きに進むのである。こうして、再解釈により、多くの事象が通常の 現象の範疇へと戻ることになる。 上記の再解釈は、三番目のクラスの粒子が仮定されるとき、v>cのため、特別な意味 2 を要求する。そのような粒子が物理的な意味を持つためには、そのエネルギーは、 E=m0c2/[1-(c/c)2]1/2 (2) であり、その運動量は、 p=m0v/[1-(c/c)2]1/2 (3) となり、実数でなければならない。このことは、この粒子に対して、虚数の「静止質量」 を意味し、このことは、最初からの、考え全体の正しさの根拠を奪うように見えるかもし れない。しかしながら、古典的な力学において、質量 m0 は、たとえ仮に遅い粒子であっ たとしても、直接に計測できないパラメータであることを、人は思い起こすべきである。 Max Jammer がそれを提案したように、質量は「それはそれであるものゆえに、それがや ろうとすることをやらないのではなくて、それがやろうとすることをするために、それで あるものであるのである。 」エネルギーと運動量のみが、それらの作用における保存性のお かげで、測定可能なのであり、それゆえに実数でなければならない。このようなわけで、 仮想の「超」粒子の静止質量が虚数という結果になったことは、思考の伝統的な方法と観 測可能な物理ではないということにのみ反する。 よく似た状況のもとで、固有長 L0 と固有時間 T0 の問題を解くことができる。これら の、観測者たちが測定できる量のみが、実数でなければならない。このことは、 (4) L=L0/[1-(c/c)2]1/2 2 (5) 1/2 T=T0/[1-(c/c) ] が実数でなければならないということを意味している。順に、このことは、v>c となる 粒子に対して、固有長 L0 と固有時間 T0 が虚数であるということを、含んでいる。この 結論に対する任意の反対は、L0 と T0 が、定義によって、クラスⅠに属するはずの観測 者による測定を受け入れるものではないということを根拠にして無効にされる。 虚数の質量、あるいは、m02<0としての、クラスⅢの粒子は、図 1(c) に示したように、 E 軸の周囲にある一葉の回転双曲面に、まさにある、方程式(1) によって記述される (E,p) 面を含んでいる。仮に特殊相対性理論の骨子が認められているとすると、その葉 (面) の上 にある全ての点は、正規のローレンツ変換のもとで、お互いへと変換されうる。単葉の双 曲面が+E の方向と-E の方向のいずれにおいても境界をもたないという性質により、無限 のエネルギー源をもつ可能性が導入されることになり、すると、そのような源が存在でき ないということにより、物理学の基礎的な概念を破ることになる。この問題は、下記の三 番目の例において議論される。この議論を促進するために、より単純な二つの場合につい て、最初に調べられる。 例 下記において、三つの例が議論されるが、そこでは、クラスⅢの負値エネルギー粒子を 含む現象の再解釈が詳細に調べられる。時間の逆転は、実際上は、負値のエネルギー粒子 の伝播に常にかかわっており、エネルギーに対する領域を再編する。下記の特別な場合を 議論する前に、もともとの基準に従って、さまざまな観測者たちが物理法則の独自性に同 3 意しなければならないが、特別な事象の描写には同意しなくてもよいということを、思い 起こしておこう。物理法則のみが、そして、任意の与えられた現象の記述ではなくて、そ れのみが、ひとつの参照系から他のものへと移るものとしての、不変量を保障しなければ ならない。 クラスⅢの粒子にとって、この描写は、任意の一つの系において、正値のエネルギーの みが現れるということが成り立つように選ばれうるものである。そのような再解釈は、(E,p) 双曲面の負値エネルギー部分での粒子が、過去へと旅するように現れるという事実によっ て可能なものとなる。これらの二つの事実は、実際、たとえ双曲面が単葉で、その上にあ る全ての点が、正規のローレンツ変換のもとで、互いに他へと変換されうるとしても、エ ネルギーが全ての観測者たちに対して正値であるものとして定義されたことを回復させる ものである。 特別な場合を調べることによって、この点に関して、さらに詳しく述べることにしよう。 (1)参照系 x において、次の事象が起こるものと仮定する。x1=0 にある源 S1 が、t1=0 の時間に、v>c の一つの粒子を放射し、x2 にある、吸引点の S2 が、それを時刻 t2 (t2>t1) に 吸収する (図 2 を見よ)。他の系 x’を考えよう。この系では、図 3 に示したように、間隔の 時間成分が負値になる。この x’系では、エネルギーもまた負値である。それゆえ、系 x’から の眺めのように、粒子は負値のエネルギーをもって動き、 図2 クラスⅢの粒子に対する、生み出し源と吸い込みどころの役割の交換 (ここは p720 の最後であるが、このあと p721 の大部分が欠損しているので、文が p722 へと、そのままつながっているか不明である。また、図 3 と図 4 も不明である。) (この前の表現は不明・・・) 粒子はエネルギーの無限の源として、本当に保存することがで きて、それらの存在の考えが、そのような源の存在を含んでいる基本的な物理概念を打ち 砕く。この明確な矛盾の解明は、再び、その過程の再解釈を正しく行うことによって、成 し遂げられる。クラスⅢの粒子のエネルギーが負値 (-ε以上) で現れるような、任意の系 において、その粒子はまた、過去へと動くように現れるだろう。こうして、その過程の時 間系列のため、図 5 を見てほしいが、クラスⅠの粒子と共に、四つの粒子が一体化すると ころを、観測者たちが見るようになるだろう。クラスⅠの粒子のエネルギーが 2εに増大す るのは、二つの融合粒子が、外の源からそれぞれεのエネルギーをもってきているからで ある。 4 図5 クラスⅠの粒子を伴った、クラスⅢの二つの粒子の、同時衝突は、クラスⅠの粒子を 伴ったクラスⅢの四つの粒子の融合と解釈される。この時の系は、クラスⅢの二つの粒子 が、衝突において、負値のエネルギーを要求するように見えるものとなっている。 速度の加算 さらに光が発せられうるが、これは、速度加算の問題を考えることによって、仮想的な 「超」粒子の特性を調べるためである。二人の観測者 O1 と O2 によって、それぞれ測定さ れる粒子の速度を、u, v としよう。このとき、二人の観測者の相対的な速度は w である。 クラスⅢの粒子が方程式 (1) の恒等式に従うという、私たちの仮定は、それらが速度加算 についての相対論的法則に従うということを含んでいる。それは次の式である。 v=(u+w)/[1+(uw/c2) ] (10) これの一般化の結果は図 6 にグラフの形で表されており、v は w の関数としてプロット され、この w とは観測者たちの相対速度であるが、このプロットは次の三つの特別な場合 についてなされている。それは、u<c,u=c,u>c である。すべての観測者たちは クラスⅠに属しているので、w の範囲は |w|<c に制限されている。 図 6 の部分図 (a) と (b) は、クラスⅠとクラスⅡの粒子が遭遇するものとしての、よく 知られた状況を表している。図 6 の部分図 (c) は、クラスⅢの粒子の、顕著な性質に焦点 を合わせたものである。中でも最初に、クラスⅠの粒子に対する限界の速度としての c が役 目を果たしているのであるが、私たちにとって、クラスⅢにおいて、やはり同じ役目を果 たしているということを記しておくべきである。しかし、ここでは、c は速度に対して、よ り低いほうの限界となっている。この結果は、図1(c) のエネルギーと運動量の双曲面が、 p2<m02c2に関する任意の点で構成されないという事実に反映している。超粒子が c と 同じか、それより小さな速度で旅するようなローレンツ系は存在しない。 5 図6 相対論的速度加算式 v=(u+w)/[1+(uw/c2)]が成立する仮定の、 グラフ表現。(a) クラスⅠに対するもの (b) クラスⅡの粒子 (c) クラスⅢの粒子。仮に u が私たちの参照系における粒子の速度であるとしたとき、そのグラフは、私たちの系に対 して速度 w で動いている観測者によって測定されたものとしての、同じ粒子の速度 v を示 している。グラフは |w|<c に限定されるが、その理由は、すべての観測者たちがクラス Ⅰに属していると仮定されるからである。 観測者 O1 に相対する、観測者 O2 の速度が、w=-c2/uに近づくにつれて、超粒子の 速度は、O2 から見ると、無限へと向かう。そのような結果自身、その仮説の資格を奪うの に十分であろう。なぜなら、無限の速度でエネルギーの伝播が起こりうるわけがないとい うことが、その仮定を犯すように現れるからである。粒子のエネルギーが、粒子の速度 v が無限へと向かうような系において評価されるときですら、E=m0c2/[1-(c/c) 2 ]1/2 のエネルギーがゼロへ向かうことになり、それで、上記の原理は、それもまた、侵 されていないままにとどまる。クラスⅢの粒子に対するw=-c2/uの状況は、クラスⅠ の粒子の、静止状態に対応するということを記すのは興味深いことである。後者はゼロ値 の運動量と最小値のエネルギーをもち、前者はゼロ値のエネルギーと最小値の運動量をも って、p=m0v/[1-(c/c)2]1/2=E2/c2-m02c2=-m02c2(>0) となる。エネルギーと運動量の空間の用語では、w=-c2/uの状況は、図 1(c) におけ る双曲面の、E=0での胴回りのところに横たわっている、一つの点へのローレンツ変換 に対応する。 探索 その仮説の物理的な内容を突きとめるための、唯一の確かな方法は、超粒子を見つける ことである。仮想のクラスⅢの粒子が電荷を持つと仮定すると、それらの発見への可能な 道筋は、Čerenkov 効果の中に横たわっているかもしれない。簡単な幾何的な議論は、 Čerenkov 放射の独特な放射角が、クラスⅢの粒子に対して有効なままであることを決める、 6 結合条件を示す。このことは、クラスⅢの粒子が、クラスⅠの粒子から、はっきりと区別 されうるということを示唆しており、その理由は、クラスⅢの粒子にとっては、Čerenkov 角が常に、クラスⅠの限界角より大きくなければならないからである。しかしながら、放 射出力の問題は、それほどはっきりしたものではない。周波数のカットオフは、これは、 クラスⅠの粒子の場合、単位長あたりのエネルギー損失の有限値を導くものであるが、こ こでは使われることができず、形式主義の詳しい再実験のみが、超粒子のエネルギー損失 から決まる Čerenkov 放射の強度予測を導くことができる。質的な考察により、媒体の中で エネルギーを失う超粒子が、実際に加速のもとにあるだろうということが示されているよ うに見える。このことは、図 1(a)と図 6(c)からも見られうるもので、クラスⅢの粒子にとっ て、エネルギーの損失は、速度の増大を意味しているということを表している。運動量の 損失に関して、通常のクラスⅠの粒子が、ゼロ値の速度と有限値の静止質量をもって止ま るのに反して、エネルギー損失に関して、超粒子は、無限値の速度だが有限値の運動量を もって消える。超粒子のエネルギーが減るので、Čerenkov 角は 90 度へと向かうだろう。 紳士の皆さんの誰か一人が、そのように計算された値の組を捨てたのだろうか。欠陥のあ る電子工学によるものではなかったかもしれなくて、あなたが仮定するように、超粒子の シャワーによって理由づけられてきたものかもしれない。 結論 尐なくとも一つの観点において、上記の推測は、とてもうまく証明してきている。導入 段階の特殊相対性理論の課程における、問題や図の方法によって導入されたとき、それら は変わることなく、学生たちの中で、活気のある、よく行き渡った議論を導いてきた。 感謝 著者たちは、数々の刺激的な議論を共にしてくれた、多くの学究の友人たちに感謝した い。彼らは上記の仮説の一貫性を、いつもうまくいったわけではないものの、納得させよ うと試みてきた。 この論文の出展は、次のサイトからのもの。 http://wildcard.ph.utexas.edu/~sudarshan/pub/1962_006.pdf 7
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