第 1 8 5 号 平 成 22年 2月 1日 田 上 屋 か わ ら 版 版元 田上税務会計事務所 ㈱ ク イ ッ ク ブ ラ ン [email protected] 「こども社長」∼未成年者は社長になれる??? トヨタ自動車「こども店長」の CM が人気ですが、それでは「こども社長」、すなわち未成年者は 会社の社長(代表取締役)になることができるのでしょうか?また、実際に会社をつくったり(発起 人)、会社の株式を所有したり(株主)することも可能なのでしょうか? アメリカには、独特の「飛び級制度」というものがあり、未成年者が社長になる、会社を設立する、 ということはたいして珍しいことではないのですが・・・果たして日本では? Q:未成年者も(代表)取締役になることができますか? A:一般に 10 歳以上であれば、取締役になることができます。15 歳以上であれば、代表取締役になるこ ともできます。 会社法上、取締役になることができない者の中に「未成年者」は含まれていません。したがって、 民法上の意思能力(10 歳程度の判断能力)がある限り未成年者でも取締役になることができます。た だし、就任には親などの同意が必要となり、登記申請の際には、親などに一定の書類の提出が求めら れます。 これに対し、意思能力を認め難い 10 歳未満の未成年者については、取締役になることができないと 解されています。取締役は個人の能力に着目して会社から委任され、継続して業務執行の意思決定を 行う地位であるため、常に親などに代理されて業務を遂行することは予定されていないからです。 また、会社を代表する取締役、すなわち社長には、一般に 15 歳未満の者はなることができません。 これは法律で制限されているのではなく、印鑑登録が満 15 歳以上でなければできない(各自治体によ り多少異なります)ところに理由があります。現行の商業登記法上、代表取締役の就任登記の際には 印鑑証明書の添付が義務付けられているからです。 Q:未成年者は、発起人になることができますか? A:一般に 15 歳以上であれば、なることができます。 取締役と異なり、意思能力は発起人には求められていないため、理論上は(親の同意さえあれば) 何歳であっても発起人になることができるはずです。しかし、設立の際にやはり印鑑証明書の添付が 義務となっているため、実際には 15 歳未満は発起人になることはできません。 Q:未成年者は、株主になることができますか? A:親の同意があれば、何歳でも株主になることができます。 取締役、発起人と異なり何歳の未成年者であっても親の同意があれば、株主になることができます。 ただし、15 歳未満の者については、前述の通り発起人にはなれませんので、株主となることができる のは会社設立後の株式取得の場合に限られます。 天才子役のように、独特な感性を持った未成年の経営者が今後出てくることになるかもしれません。 (伊藤)
© Copyright 2024 Paperzz