ビジネスプランの作成法

(財)とくしま産業振興機構 「起業倍増講座」
ビジネスプランの作成法
平成18年2月22日
Office-mosaic(伊勢貞雄 中小企業診断士事務所)
Produced By office mosaic
本日のお話
事業計画の本来の目的は、事業を存続・成長・発展させるため!
単に、計画書の内容を埋めるものではない!
計画の内容を吟味するにあたっては、実現可能性と全体の整合性
を見られる。
したがって、「書き方」というよりも、いつ誰が何をどのようにするのかといった
事業内容(全体像)をイメージしたものを、書面に落とし込むため、
かつ、絵に描いた餅にしないために必要なポイントを説明していきます。
新規事業や新分野進出、創業後における最大の問題点は
「売上が思うように上がらない」こと
そういった事態に対する備えが肝心である!
そのためのポイントも説明します
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これまでのヒット商品に学ぶ
冬のソナタに代表される韓流ブーム
→ 実は「国家戦略」だった
 そのほかでは
「伊右衛門」「寒天」「ヘルシオ」「震災時帰宅支援マップ」・・・・

共通するキーワードは?
美、健康、感動、安、快適、楽・・・・
→ 「価値(バリュー)」
↑
「提案」できる汎用スキルが重要

汎用スキルとは、 戦略的思考、論理的思考、数学的思考・・・
+専門スキル=ヒューマンスキル

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≪ビジネスプラン策定フロー( イメージ) ≫
戦略的思考について
経営理念
経営目標
自社の現状把握
自社の強みと弱み
外部環境の変化
ドメインの決定
戦略的に行動するとは?
進むべき方向性を定め、数値目
標を立てて、それを達成するため
の具体的行動をとること。
限られた時間内でいかに成果を
あげることができるか?

5つのポイント

優先順位をつける(must or want)

差別化する(付加価値を高めるため)

捨てる(単純明快、常識)

マーケティングで考える(4つのP)

資源を集中させる(袋叩きの原則)
3∼5 年後の
あるべき姿

標的顧客・市場の明確化
明確な事業コンセプト
差別的優位性の確立
( 最適マーケティング ミックスの構築)
製品・サービス戦略
各種個別計画
市場・顧客戦略
各種個別計画
各種個別計画
PLAN(計画)
AC TION( 対策)
業績管理のメカニズム
DO( 行動)
CHECK(検証 )
目標貸借対照表 、目標変動損益計算書 、
見積CF計算書
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ギャップ解消
実績貸借対照表、 実績変動損益計算書 、
実績CF計算書
≪ビジネスプラン策定フロー( イメージ) ≫
論理的思考について
経営理念
経営目標
自社の現状把握
自社の強みと弱み
外部環境の変化
ドメインの決定
論理的思考ができないとどうなるか?
AならばB、BならばC、CならばD。つ
まり、AならばDとならないこと・・・最終
ならない
的な目的地に辿りつくことが難しくなる、
もしくはできなくなる。

3∼5 年後の
あるべき姿
標的顧客・市場の明確化
明確な事業コンセプト
差別的優位性の確立
( 最適マーケティング ミックスの構築)
製品・サービス戦略

市場・顧客戦略
問題解決の7つのステップ
①あるべき姿の構築
②現状の把握
③問題点の明確化
④原因の究明
⑤解決策の立案
⑥6W3Hの行動計画
⑦実践活動
各種個別計画
各種個別計画
各種個別計画
PLAN(計画)
AC TION( 対策)
業績管理のメカニズム
DO( 行動)
CHECK(検証 )
目標貸借対照表 、目標変動損益計算書 、
見積CF計算書
ギャップ解消
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実績貸借対照表、 実績変動損益計算書 、
実績CF計算書
ビジネスプランの中核

4つのポイント(それぞれが密接に結びついている!!)
①明確なビジョン・方向性を示すこと
・・・将来どうありたいか? どう見られたいか?
②誰に何をいくらでどうやって売るのかのしくみを作ること
・・・マーケティング
③財務的に事業を運営していける十分な裏づけをつくること
・・・財務会計よりも管理会計
④従業員が動くしくみをつくること
・・・モチベーション・リーダーシップ・コミュニケーション
↑
常にお客様の視点で「問題解決策」を用意することがカギ
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顧客(消費者)を知ろう!
問題解決が行われ、顧客満足度が高まると
顧客満足度
企業にとって有用な「口コミ」が発生する
 顧客満足度に関する法則
①新規顧客の獲得には、既存顧客を満足させ維持する費用

の5∼10倍かかる
5∼10倍
②平均的な企業は、年間10∼20%程度の顧客を失っている
10∼20%
③業種によって差があるものの顧客離反率を5%低下させれ
5%低下
ば、利益率は25∼85%増加する
利益率は25∼85%増加
④顧客一人当たりの利益率は、維持された顧客の生涯を通
じて増加する傾向にある
増加
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それらをどのように活用すればいいか?
強い印象を残させるには
ハロー(後光)効果 ⇒ 1ベスト2ベター3アベレージ
↑
差別化したいもの、独自性(+α)
※ アンカー商品が有効(他店と比較or自店内で比較)
 広告・宣伝活動の5つのMとは
ミッション(目的)、メッセージ、メディア(媒体)、
メジャーメント(測定可能か?)、マネー(予算)
 説得型の販売から 「提案型」の販売へ
提案型」
「こんなふうにお困りではありませんか?」

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顧客満足度を高めるには
まずは、自店(自社)の顧客満足度がどの段階なのか
を図る必要がある。
 顧客の声を直接聞いたり、定期的にアンケート調査を
行い、不満や不安を汲み取るようにする。
 注意点として、不安や不満の解消は、満足度向上に直
接、関与するものでないことを理解しておく。
 継続購入(利用)することで、何らかのメリットがあること
も周知しておく。
↑
FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)の導入

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ブランドとは?

ある売り手の製品やサービスを、競合他社の製品やサービス
から識別する名称、ことば、デザイン、シンボル、そのほかの
特徴のことである・・・・AMAの定義 例)コロナ→プレミオ
特徴のこと
ブランドの要素・・・ブランドネーム、ロゴ、スローガン(キャッチ
コピー)、キャラクター、ジングル、パッケージ
↑
記憶可能性、意味性、移転可能性、適合可能性、防御可能性

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売れるブランドの公式
「認識」の変化がブランドの売上を伸ばす!
 テリトリー規定の法則・・・・・対象を絞り込む。
鎮痛剤→頭痛薬、30歳からの・・・、
 転身の法則・・・・・菓子市場から健康食品市場へ
 格付けの法則
・・・・・「ビジネスクラスでファーストクラスの快適さ」
 反転の法則1・・・・・マイナスの印象をプラスの表現で訴える。
冷たすぎて頭にツンとくるのがイヤ! → 頭に刺激的なおいしさ!
過剰在庫 → 限定生産(要シリアル番号)
反転の法則2・・・・・競合ブランドの強みを弱みに転じさせる。
競合はゲーム中毒になると規定、自社商品は脳を活性化できる

※商品スペックをいじらなくてもすむ
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∼ 1つ目のポイント ∼
明確なビジョン・方向性を示すこと
経営理念とは、企業がどうありたいかを簡潔に示したもので、
企業がどうありたいかを簡潔に示したもの
一般的に経営トップが発信するものである。
経営トップ
 例)「変えてはならないもの:社会への奉仕、
変えなければならないもの:社会への提案」
「おもしろおかしく」 「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」

※ (社)中小企業診断協会 徳島県支部 平成16年調査研究事業
「徳島県内企業における経営理念の調査研究」
http://www.j-smeca.or.jp/training/pdf15/tokushima.pdf

必ず、事業領域(ドメイン)を規定する ←「どこからどこまで」
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∼ 方向性を決めるために ∼
競争戦略と事業コンセプト

競争戦略の3類型
 コスト・リーダーシップ
 差別化
 集中化
ス
ビ
ー
サ
門
専
SM
従来型
の酒販
店
DS
事業の方向性を既定するには?
→ポジショニングマップ
2つの軸は、
対極表現でOK、
専門分
野に特
化した
酒販店

低価格
事業コンセプトとは
「価値」をユーザーにわかりや
すく伝えるための言い回し

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高価格
宅配サ
ービス
型酒販
店
ス
ビ
ー
サ
性
宜
便
コンビニ
店内飲
食型酒
販店
∼ 問題点を探るために ∼
現状分析とその手法

SWOT分析
強みを生かして弱みを克服する
強み
コアコンピタン
スを活かした
製品強化(大
画面TV)
マーケットイン
の発想による
新製品の開発・
投入
弱み
O液晶に強い ○プラズマ技術に強い
○小型化技術に強い
○ある程度の資金力あり
○遊休資産が多い
○法人営業に強い
○まじめな社員
○関西地区に強い
○系列販売代理店の弱体化
○量販店ルートに弱い
○官僚的な組織で小回りが利かない
○高コスト体質(年功序列、高齢化)
○分社化しすぎ(本社の求心力低下)
○人事制度の硬直化
○顧客志向になっていない
機会
脅威
○中国市場の拡大
○パソコンの普及
○インターネットの普及
○ネット家電が身近に
○ブランド好きの日本人
○新築ブーム(買い替え需要)
○テレビの大画面化
○パーソナル化
○二番手商法の限界
○販売価格の下落
○家電リサイクル法の導入
○携帯電話が成熟期
○家電量販店の強い販売力
○内部告発による社会問題化
○中国生産の品質問題
機会を生かして脅威を克服する
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中国生産の
コスト低減と
中国販売市
場の拡大
PCやインターネッ
トを利用した
ビジネスチャ
ンスの拡大
∼ 2つ目のポイント ∼
マーケティング(売れるしくみづくり)
習慣
認識
情報受信
商品・
サービスによる
メリット・効果
使用目的
アンケート調査、懸賞、
キャンペーン、イベント、
商品・
サービス
顧客ターゲット
誰に?
結びつける
場所 価値 価格
何を?
入手の
しやすさ
顧客ニーズ
顧客の負
担
プロモー
ション
情報発信
コミュニケーション
広告・宣伝、チラシ、
HP、クーポン、DM
パンフレット・・・※口コミ
オケージョン、ユーセッジ、好み・趣味、ライフスタイル、年齢、家族構成、職業、地域、 ・・・
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∼ 2つ目のポイント ∼
誰に何をいくらでどうやって
売るのかのしくみを作ること②



AIDMAモデル
「価値」を高める7つの技法
ステップ 1
ステップ 2
ステップ 3
ステップ4
ステップ 5
注 意
興 味
欲 求
記 憶
行 動
コミュニケーションスペクトラム
ステップ 1
ステップ 2
ステップ 3
ステップ4
ステップ 5
未 知
知 名
理 解
確 信
行 為
プロダクトライフサイクル
導入期
発展段階
成熟段階
衰退期
総
売上高
①修正点解析
何かの製品を取り上げ、何か修正、拡大、
縮小、代替できないか考えていく方法
②属性リストアップ
製品の属性(サイズ、デザイン、操作方
法等)を列挙した上で変更を加えていく
③強制的関連づけ
新しい組み合わせを試すこと
④製品問題解析
製品の持つ問題点について考える
⑤ブレーンストーミング
既成概念や常識を捨てヒトのアイデアを
盗みながら何でもいいから連想していく
方法、3セズが基本。
⑥理想法
こうだったらいいのにな!ということ
を消費者に問いかける方法
⑦消費連鎖法
消費の連鎖活動のなかで付け加えるも
のがないか連想していくこと
時間
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∼ 3つ目のポイント ∼
財務的に事業を運営していける
十分な裏づけをつくること

管理会計の考え方
売上高−変動費(売上に比例して変動する費用:仕入原価等)
= 限界利益 という式を活用して、
限界利益 をコントロー
限界利益 限界利益 ルし、経営改善を行う考え方である。実際の利益は、この 限
界利益 から固定費(売上の変動に関わらず発生する費用:
界利益 人件費)を引くと純粋な利益(経常利益)となる。
売上高 10,000
変動費 8,000(変動比率80%)
限界利益 2,000(限界利益率20%)
↑およその数字は業種で決まっている
固定費 1,000
経常利益 1,000
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∼ 4つ目のポイント ∼
従業員が動くしくみをつくること

基本的な考え方
この従業員が“動く”ために必要なのは、『従業員満足』である。
『従業員満足』
従業員が、不平・不満を持って仕事をすれば、業務中の態度
等に不満感が表われやすくなってくるのが一般的。
この従業員満足を高めるために必要なのは、従業員のやる気
を大きく引き出し、自身が納得できる評価をしてやり、それに
見合った報酬を支払うという一連の流れである。
見合った報酬を支払うという一連の流れ
それには、「何のために?」という目標設定が不可欠!
「何のために?」
全体目標(例:理念の実現)>チームごとの目標>個人目標
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本日のまとめ
事業を存続・成長・発展させるためのポイントと事業計画書のポイントは
同一のもので相互に関連しあっている。
したがって、第一に「事業の全体像(方向性)」が重要となってくる。
事業を存続・成長・発展させる最大のポイントは“顧客のため”という発想と
一貫性を持った行動による顧客や関係者(金融機関等)との信頼関係がカギ!!
との信頼関係
そのためには、従業員全員が、進むべき方向性ややるべきことを
共通認識していくための事業計画書が不可欠!
共通認識していくため
計画作成にあたっては、実現可能性と全体の整合性も
考慮していくことが肝要!
専門スキルも重要だが、汎用スキルや管理会計の考え方も不可欠である!
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