2008年 風景画教室

2008年 風景画教室
参加者
福王 翔 安藤達也 菊地 由佳 佐藤卓夫
藤田航平 中野秀樹 松村祐輔
担当 藤野陽三
指導 広瀬晴美先生
第一回
第二回
第三回
第四回
第五回
皇居
勝鬨橋
大師橋
御茶ノ水
日本橋
4/19
5/17
6/14
6/28
7/26
• 080003 福王 翔
•
日本橋の欄干にポイントをおいて描いています。
鉛筆での細かい描写に苦労をしていました。
もう少し、欄干の彫刻を観察できるくらいに近
寄って描いたほうがよかったのではないでしょう
か。ちょっと橋も描きたかったのかもしれません
が、橋が途中できれてしまった構図が残念です。
橋の絵をかくのは、それほどたいへん
なことではないだろうと今までは思ってい
ましたが、この風景画教室を通じて、それ
がいかに間違っていたかがわかりました。
橋の微妙なたわみ、曲線、アーチ、ケー
ブル、それら橋の基本の構造がまずとて
もかくのが難しく、さらに、細かい飾りや
質感などもかこうとすると、さらに難しく、
結局最後まで、自分でよくできたと思う作
品はかけませんでした。それでも、この風
景画教室に参加することで、今までと比
べて橋に対する見方が大きくかわり、とて
もよい経験になったと思います。
• 70020 安藤達也
橋や風景の絵を描いていて一番に
思ったことは、普段なにげなく見てい
ることは、本当はほとんど何も見てい
ないな、ということだ。橋にしても、欄
干のデザインから、側面のレンガ積
みの表情、橋脚の形、橋の裏側の桁
の構造などなど、とにかくたくさんの
要素があって、何時間見ていても飽
きることはなかった。空や水面の色
合いにしても、一色ではとても表せな
い深みのある色をしていて、その移
り変わりを見るのもとても楽しかった。
(そして、いずれも力不足でその深み
のある色を表すことは絵ではできな
いのが残念だったが…。)
• 授業でもなければ、普段はそんなに
毎回、鉛筆で描いたあとに丁寧に色鉛筆で
のんびりとして、橋のディティールや
着彩をしていました。この作品は今の日本橋の 風景の移ろいに気を留めることはあ
風景がよくわかります。都会の喧騒の中の橋の まりないので、とても貴重なよい機会
だったと思う。これからも時間を見つ
感じがよく表現されています。高速道路のカーブ けて、絵を描いていきたいと思う。
や橋脚の柱を画面の真ん中にもってくるなど、
思い切りのよい作品に仕上がりました。
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080006 菊地 由佳
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時間をかけて絵を描くのは高校1年の時以来で、最初
は少し緊張しました。久しぶりに絵の具を混ぜ、線を引
き…あぁ、そうだった、そうだった、と回を増すごとに感
覚を思い出していくようでした。この教室のメインテーマ
は「橋」! この題材は私にとって初めてのものでした
が、描くことは想像していたよりもはるかに難しかったで
す。この柱はどこに繋がっているのか、桁の間隔はど
れくらいか、高さの具合はどうか。ちょっと気を許すと、
部材の接合部分が歪んでしまったり曲がってしまったり。
曲線の微妙な感じ(大師橋は難しかった…)を表すのに
も大変苦労しました。
そもそも社会基盤学科に来るまで、橋は当然そこにあ
るもの、といった感じがあり、生活していく上で特に注意
を払っていませんでした。こうしてひとつひとつ観察する
と、それぞれの橋に構造の違い・材料の違い・デザイン
のこだわり・周りの風景との同調性などの特色があって
面白かったです。どの橋にも、場所と場所を繋ぐ・向こう
岸に渡れる、という魅力が潜在していて、街に色をつけ
ているようでした。
御茶ノ水橋で、佐藤君が絵を描いている時にその姿を
見た通りすがりのおじさんが足を止め、あぁ綺麗な景色
だね、と声をあげていたのが印象に残っています。目的
に向かって脇目も振らずに歩いていた人が、絵を描い
ている人を見て立ち止まり風景に目を留める。そのの
びやかな感じ、絵に限らず、この感じが生活の中に増
えていくといいと思いました。一度御茶ノ水橋を描くと、
次の日から他人行儀だった橋が急に親しげに見えるよ
うになりました。絵をじっくり描くというのは、時間はかか
りますが、思い出や発見、その時その時の想いが紙に
のせられ、貴重な経験になるのだと実感しました。
「描く」というのは私にとってとても楽しく充実した行為で
す。これからも機会があれば、是非、絵を描きたいと
思っています。
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毎回、風景の中の橋を丁寧に時間をかけて淡彩で表現していました。この聖橋も初夏の緑の感じがよく
描かれています。石の橋の質感や水の流れの感じもよく描き分けられている。気持ちの良い作品です。
これを機会にまた絵を描き続けて下さい。
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03-080010 佐藤卓夫
今回の風景画教室の自信作は最後
の回に描いた日本橋としました。こ
の絵では日本橋の全体像が紙に収
まりそうな場所がなかったことと、橋
の上の獅子や龍の銅像を描きた
かったということから、橋の内側から
描くことにしています。その中で、あく
まで橋の上で描いていることが分か
る場所を選び、微妙に地面がカーブ
を描いているのが見える場所を選び
ました。それが効果的になったので
はないかと思います。
• 今回の風景画教室で、絵の描き方
はもちろんのこと、土木構造物として
だけではなく、鑑賞するものとしての
橋を見ることが出来るようになったと
思います。橋やそれを取り巻く風景
本人が自信作というように日本橋の欄干の獅 に対する興味が強くなったことが良
子や龍の銅像をよく観察し、描きこんだ秀作で かったと思います。
す。高速道路の影の部分と
橋の向こうの明るい景色の差が印象的で、獅
子や龍に凄味を感じるほどの効果がでていると
思います。
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学籍番号080040 藤田航平
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<今回描いた橋梁>
勝鬨橋 (その1,その2) ― 2008/5/17
大師橋 ― 2008/6/14
聖橋
― 2008/6/28… ☆ (好きな絵,紫陽花と湯島
聖堂‐入徳門の間から見える聖橋の構図が気に入って
いる)
日本橋 ― 2008/7/26
横浜水道‐境川水道橋 ― 2008/8/18
最後の横浜水道‐境川水道橋は近所にある水道橋で
す。藤沢市と横浜市の境を流れる境川沿いの低地には
水田が広がっており、川沿いにはサイクリングロードが
走っています。天気の良い日に、ここをサイクリングす
るととても気持ちいいところです。
<感想>
こんなに橋を観察するのは初めてでした。一枚絵を描く
と、橋の特徴が記憶に残ります。5枚の絵を見返すと、
それぞれ下手ながらも、それらの風景を思い浮かべる
ことができ、見ていて面白いです。また、同じ橋でも描く
人によって、構図も視点も画風も違って、複数人で同じ
橋を書くという面白さも味わえました。
今回絵を描いていて、木や植え込みや空、水面も難し
いと感じましたが、やはり一番難しいと感じたのは、橋
のバランスでした。少しでも橋の線が変だと、膨らんで
見えたり、傾いて見えたり、平行なものが平行に見えな
かったりして難しい。ここから、橋梁として合理的な形は、
目にとっても心理的に安定なのでは、と感じました。
今回は、鉛筆のみ、または鉛筆+ペン+色鉛筆で描
きましたが、また機会があるときは水彩に挑戦してみた
いと思います。
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遠景の湯島の聖堂と手前のアジサイが画面を
半分に分割している構図ですが、聖堂を緻密に
描くことによって奥にピントがあっているように
見え、奥行を感じさせます。毎回、鉛筆で丁寧に
描写をしていました。次回はもう少し色をつける
ことを楽しんでみてください。
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086036 景観研究室 修士1年 中野秀樹
今年になってたぶん10年ぶりくらいに絵を本気
で描いたように思います。歳を取ってくると構図
やプロポーションなどの理論的なところは理解
しやすく上達もしやすくなる気がします。けれど
も色づかいや明暗、ディティールなどからでる
空間の雰囲気のようなものはなんとなくその絵
に対する描き手の感情や思い入れのような感
性的な部分が大きいように思いました。絵自体
のバランスは上達しても、そういう点はもしかし
たら心が大人になるにつれて無味乾燥なもの
になってしまうんじゃないかと思ったりもしました。
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僕が好きな絵に選んだ4枚目の聖橋のたもとの
絵(すいません完成には至りませんでした)は
橋脚から高覧に至るまでの橋の側面に鬱蒼と
茂った蔦の葉を一枚ずつ描くことで全体的なテ
クスチャーとしてどこか暖かい雰囲気がかもし
出されているように感じます。またその周辺に
生い茂っている草木をそれぞれ個別に観察し
て表現することで本来コンクリートだけでは感じ
聖橋の袂の蔦を実に細かく丹念に鉛筆だけで表現 られない空間の豊かさが伝わってくるような気
がしました。
した作品です。景観研究室の所属ということで橋の
•
とにかく今回の風景画教室は初心(きっと童心)
話題から渋谷川再生プロジェクトまで私もわくわくす に戻れたような貴重な経験でした。
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大人になってもいつも優しい心をお持ちの藤野
るような話を毎回しました。熱心な探究心は絵描き
先生と広瀬先生をはじめ松村さんやその他関
にも必要な要素です。景観を研究する人にはこれか 係者の方々に感謝いたします。
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らも風景画をたくさん描いてほしいと思います。
藤野陽三 御茶ノ水橋
昔,聖橋を描き,秋葉原よりの総武線
松住町架道橋も数年前に描き,
永年の課題であった御茶ノ水橋を今回,描く
ことができた.聖橋の上からの絵である.
この付近の風景も高層ビルが増え,
随分と変わり,背景が賑やかな絵となった.
藤野先生の作品はもう何枚目になったのでしょうか。
スケッチブックも何冊目?毎回、描く場所を決められ
るのが早いのは先生のセンスの良さなのかな、橋を
見極めていらっしゃる専門家の目で見られると閃くも
のがあるのでしょうか。絵を描くことに前向きな先生
の姿勢に支えられ今年度も無事に終わりました。
先生の作品はどれもその日のお天気や街の様子な
どが感じられます。来年も楽しみにしています。
御茶ノ水橋は昭和6年(1929年)に完成して
おり,すでに80年近くが経過している.私が
見た御茶ノ水橋はもう少しその年齢を感じ
させるものであったが,絵にはその雰囲気が
十分に出ていないのが悔しい.土手の緑ももう
一つの出来栄えである.代わりと言うわけ
ではないが,ビル群がそれなりに描けて
いると思っている.これは遠くのビルから描
いていくため,念が入っているのに対し,
最後の方は時間が足りなくなり,橋とその周り
の緑が丁寧で描けないためである.1時間も手を
いれれば,よくなるような気もしているが...
近景から描いていくやり方もあるのかもしれない.
来年は,広瀬先生に教わりながら,それを試して
みようと思う.
絵の道は尽きない.
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37-076045 松村祐輔
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今回で4年目になる風景画教室で
すが、今年は聖橋、日本橋、二重橋
など、東京の名橋を多々めぐること
ができ、とても充実していました。作
品は、一番初めに書いた、皇居二重
橋を選びました。当日は風が強くて
とても寒く、なかなかポジションを決
めるのが難しい場所でした。建物の
デッサンはなかなかうまくいったと思
うのですが、橋のアーチや木の着彩
などまだまだ練習すべき点が多いと
感じています。
今年で卒業なので、今回が最後の
風景画教室になると思います。はじ
めのころに比べれば、格段に進歩し
たように思います。藤野先生、広瀬
先生はじめ、たくさんの方にお世話
になりました。ありがとうございまし
た。ぜひ藤野先生退官記念風景画
教室最終回のときには、また参加し
たく思います。
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皇居の二重橋を描いた日は風が強くて少し寒かった
ように記憶しています。出たばかりの新芽の黄緑と
松の緑の色の描き分けや、木々の特徴のつかみ方など
質問をよくされました。この作品はそれぞれの感じがよく
でています。石橋と木の質感の差も描き分けていますが、お濠の
水の感じをもう少し描けるとさらによくなったのではないでしょうか。
いつも連絡係をありがとうございました。
2008年7月26日
風景画教室
打ち上げ
(日本橋にて)
2008年7月26日 風景画教室 打ち上げ 日本橋にて